183 :
新・愛子たん物語 第30話:
俺「うぉぉぁぁ!!あ・・・愛子・・・!!」俺は慌ててズボンを履いた。愛子は怒っているような笑っているような
表情で俺をジッと見つめていた。俺「あ・・・えっ・・・と、その・・・。」愛子は暫くしてゆっくりと重い口を
開いた。愛子「しげ君・・・どういうこと・・・?」俺は完全に気が動転して、つい、愛子を怒鳴りつけてしまった。
俺「バーロー!!お前こそ何なんだよ!!何やってんだよ!!やっぱりアイツとそういう関係じゃねぇかよ!!」
愛子「だって・・・しげ君、私の事・・・女として見てくれなかったでしょ!!ずっと・・・ずっと辛くて寂しかったもん!!
大体、盗聴器仕掛けるなんて人間として有り得ない!!」俺は驚いた。愛子がこんな表情して、こんな口調になるなんて・・・。
俺「そ・・・それは、愛子が心・・・」愛子「嘘つき!!しげ君の嘘つき!!本当は出張なんて、嘘でしょ!?」
愛子は完全に別人になっていた。まるで怒れる鬼神のようで、恐怖すら感じる。
俺「バ・・・バーロー!!何で俺が嘘つかなきゃいけねぇんだよ!!嘘つきはお前だろ!?」愛子「・・・・・・。」
愛子は俯き、大粒の涙を零し始めた。暫く沈黙が続いた後、愛子はキッと俺を睨み、
愛子「じゃあ聞くけど・・・何で大卒で楽器屋なの!?楽器触ったことも無いのに何で!?店員がどこに出張なの!?
本当は無職なんじゃないの!?色んな女の子と遊んでいたからそうなったんでしょ!?」俺「ちっ・・・ちが・・・。」
愛子はいつの間にこんなに賢くなったんだ?昔だったら適当に言いくるめられたのに・・・。
愛子「もう・・・終わりだね・・・。お互い、信用しきれなかった・・・。これ以上一緒にいても、ただ傷つけ合うだけだよ・・・。」
俺の体に、電車に轢かれた様な衝撃が走った。しかし、どうすればいいのか分からなかった。
愛子「しげ君・・・さよなら・・・。今までありがとう・・・。そして・・・ごめんなさい・・・。」
184 :
新・愛子たん物語 第30話:2007/05/07(月) 21:26:01 ID:VZz8utCX0
愛子は部屋から走り去った・・・。部屋に残ったのは、愛子の流した涙だけ・・・。
俺は呆然と立ち尽くしていた・・・激しく後悔しながら・・・。結局俺は、愛子を傷つけているだけだった。
今になって、子供の時の愛子との思い出が、走馬灯のように鮮明に蘇る。
その時俺の中で、ある感情がフツフツと湧き上がってきた。
俺は愛子を愛している!!愛子を失いたくない!!愛子の手を離したくない!!愛子の笑顔が見たい!!
気づいたら、全力で走っていた。頭の中は愛子でいっぱいだった。