欧州サッカー 米国で稼ぐ シーズン前の大会 9クラブ積極参加
欧州の9クラブを米国に迎え、サッカーの第2回チャンピオン・ワールド・シリーズ(CWS)が行われた。
シーズン前練習をしながら収入を得る、クラブにとって一石二鳥の大会だ。
満員の観客を集めたシアトルのシーホーク・スタジアムでの開幕戦でチェルシーはグラスゴー・セルティックに4―2で圧勝した。
昨年の第1回は、欧州の5チームと中南米2クラブが13日間で7試合を行った。観客は42万人、関連商品は飛ぶように売れた。
主催者は第2回の参加クラブを募る必要はなかった。彼らは自ら連絡を取ってきた。ピーター・ケニオン(元マンU理事長)は、
チェルシーのロシア人オーナー、アブラモビッチの片腕として参加を決断した。
「CWS参加は、クラブのブランドを世界展開する10年計画の最初の行動だ」
今年のCWSはすべて欧州勢。マンチェスター・ユナイテッド(マンU)、ACミラン、リバプール、バイエルン・ミュンヘン、ASローマ、
FCポルト、トルコのガラタサライと前記2クラブだ。11日で11試合あったが、参加方法は自由で、セルティックのように4試合でも、
バイエルンのように1試合だけでも可能だ。ドイツの強豪がなぜ、マンUとの1試合のために大移動をするのかと疑問に思うかもしれない。
だが、遠征は1年前から予定されていた。彼らは国内合宿の前に、シカゴで7月22日から26日まで過ごすように日程を調整していた。
旅費はCWS側が負担する。その上、60万―80万ユーロの参加報奨金も出る。バイエルンの幹部、ウリ・へーネスは
「遠征で、通常のプレシーズン試合全部より多く稼げる」と言う。滞在はのんびりしたものではない。4日ぶっ続けの
スポンサーイベントや会見をこなすのだ。「ドイツのサッカーは他大陸にあまり進出していない」とへーネスは分析する。
「もっと姿を見せたい」。スポンサーのアディダスは、米国での商業的プロモーションで重要な役割を果たすはずだ。
快適な環境で、ファンの重圧から解放される北米はクラブにとって理想的な練習環境だが、CWS参加の第1の理由は
経済的なものだ。欧州クラブは新市場開拓に乗り出した。主な対象は米、カナダ在住の移民社会だ(トロントでも2試合行われた)。
2年連続でCWSに参加したマンUにとって、大会は400万人のサポーターとその市場を維持するための手段だ。
この機会を利用し、米国に公式ファンクラブを立ち上げて150万ユーロの利益を得る。バイエルン戦入場券は、大会で
一番高額で1枚120ユーロ相当。欧州選手権後に休暇を取ったファンニステルロイら数人が不在だったが、すべて満員。
シカゴのソルジャー・フィールドは、試合を獲得するために手を尽くした。
セルティック―リバプール戦はイースト・ハートフォードのレンチュラー・フィールドでの最初のサッカー試合だった。
会場はボストンとニューヨークの中間に位置し、英国の2チームのファンをひきつけるのに好都合だ。誰にとってもいいことずくめ。
「サッカーはいまや米国人の生活の重要な一部だ」とCWSを企画したチャーリー・スティリアーノは喜ぶ。
(記事/ポール・ケネディー、翻訳/大沢信子、監修/小谷泰介)
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