続き株式上場は延期
ライバルの在京AM局職員の反応は、「公共電波を預かっているのに、文化放送も
地に堕ちたものですね」 民放のラジオ局では、早朝などに宗教番組が放送されて
はいるが、「教養そしてキリスト教や仏教の教義を解説するような番組ならいざ知らず、
恥も外聞もなくしてしまったのでしょうか。かつての文化放送は、多くの優良な番組を
作り、何度も賞を取りました。同局はもともとカトリックの聖パウロ修道会が母体。
経営が苦しいからといって、そんな番組を流すとは信じられません」 と放送評論家
の志賀信夫氏が嘆けば、ラジオ局の経営事情に詳しい専門誌記者もこう解説してくれる。
「在京の局で儲かっているのはFMジャパン1社。他局はほぼ減収減益です。とりわけ
文化放送は聴取率でTBSとニッポン放送の後塵を拝し、この1年は最下位。文化放送
では過去に源氏物語を朗読した番組の評判が高く、CD化もされました。良質な部分を
切り売りしないと、経営が立ち行かなくなっているんです」 ジャーナリストの乙骨
正生氏の話。「文化放送は昭和61年から平成3年まで「人間革命」の朗読番組を
流していました。当時と違って現在は、公明党が政権与党入りしている。その政党に
最も影響力のある人物を褒め称える内容を垂れ流すというのですから、これでは北朝鮮
のメディアと何ら変わりませんよ」 かつて文化放送は、発行済み株式の50%以上を
教育系出版社の旺文社が保有していた。長年にわたる旺文社支配から脱却し、年内にも
東証2部に上場する計画を公表していたが、「このような経済情勢ですから、株主とも
相談して、時期を遅らせることにしました」(佐藤重喜社長) 背に腹はかえられない
にせよ、これでは「文化」の名前が泣くというものだ。