10月16日(ブルームバーグ):中国は、金融危機のピーク以降初めて、米国の最大の
債権者としての地位を失う見込みだ。米共和党の大統領候補ロムニー氏の選挙戦にも
影響を与える可能性がある。
最新の政府統計によれば、中国の今年1-7月の米国債保有残高は1兆1500億ドル
(約91兆円)で0.2%減少した。これに対して日本は5.6%増の1兆1200億ドル。
11月までに海外の債権者中の首位に立つペースで保有を増やしている。
米財務省は16日に、国際的な資本の流出入に関する8月分の集計を公表する。
ロムニー候補は、大統領選に勝利した場合、中国を為替操作国に認定することを
公約に掲げ、貿易紛争に関するオバマ大統領の姿勢はあまりにも手ぬるいと
批判してきた。
しかし、米国債利回りが過去最低近くにとどまり、政府や企業、個人の信用コストが
低下した理由は堅調な海外需要にある。
米財政赤字は2012会計年度(11年10月-12年9月)に4年連続で1兆ドルを
超えた。11月6日の大統領選でどちらの候補が勝っても、その穴埋めのため中国と
日本に依存することになるだろう。両候補は16日に第2回の討論会に臨む。
ドイツ銀行の金利戦略責任者ドミニク・コンスタム氏(ニューヨーク在勤)は11日の
電話取材に対して、「米国は引き続き、海外の資金をかなり必要とするだろう」と
指摘。
「米国は国債を大量に供給し、誰かがそれを買うことになる。それが中国でなければ、
他の誰かになる」と述べた。
■人民元の固定
ロムニー候補は9月26日のオハイオ州での遊説で、
「中国は自国通貨の価値を人為的に引き下げることで、その商品・製品の値段を
人為的に安く抑えている」とし、「中国は仕事を盗むべきではない」と訴えた。
米カンターメディア傘下で政治広告の調査を手掛けるCMAGによると、
ロムニー陣営の選挙広告には今月8日までの30日間で、中国に言及した部分が
2万9317回登場する。
中国は08年9月に、日本を抜いて世界最大の米国債保有国となった。
中国人民銀行(中央銀行)は金融危機に対応して人民元の対ドル相場を約2年間
1ドル=6.83元に事実上固定し、元高を防ぐためにドルを買い、輸出競争力の維持を
図った。それによって集まったドルおよび海外で稼いだ資金を米国債購入につぎ込んだ
形だ。
中国の米国債保有残高は11年7月に過去最高の1兆3100億ドルに達した。
これは07年末時点から約200%増加した水準。
それ以降、中国の保有は12%減少、日本は27%増加した。
ソースは
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MBYODW6S973D01.html