学生時代成績優秀だった孤男

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74名前は誰も知らない
〜出来杉君没落物語〜

地域の小学校じゃちょっとした秀才だった出来杉君。
某有名私立に中学受験してみることにした。
ぶっちゃけ静香ちゃんに良いとこ見せたかったんだ。

まんまと合格した出来杉君。
「出来杉さんすごいのね」と静香ちゃん。
静香ちゃんとメル友を続ける約束をして、卒業&進学。

しかし華々しい人生はそこまでだった。
各校の秀才が集まってくる進学校、出来杉君よりできるやつはゴロゴロいたのだ。
真面目な優等生というキャラにも価値は無くなった。
アイデンティティを削がれ、宿題と補習に追われる日々。
静香ちゃんとのメールの話題も乏しくなる一方で、いつしか自然消滅してしまったのだった。

そして10年後。
なんとか1浪してマーチを出たもの、出来杉君は孤独だった。
ガリ勉がたたってビン底メガネだし、骨格も筋肉も貧相だ。
オナニーのしすぎなのか、ヒゲは濃く青々として、全く女性受けとは程遠い見た目に育ってしまった。

時折コンパに参加するも、輝かしい幼少期に培われたプライドが邪魔をした。
汚れキャラやいじられキャラに撤することは到底ムリだ。
しかし自ら場を盛り上げる話術も持っていない。
いつしか群れから離れ、ひとりコンビニ弁当を噛み締める日々を送っていた。

ポストなんかチラシしか入ってやしないが、風俗のチラシでもオカズにするか。〜はらり。
絵はがきが1枚。
「結婚しました。野比のび太、静香」

…僕の人生は何が間違っていたのだろう。
真面目に頑張ってきたと思う。
少し不器用だっただけだと、思いたい。
しかしこの敗北感はなんだ、ドラえもんがもし僕の所に来ていたら。

のび太への嫉妬で眠っていた不満が暴走しはじめた。
つづく