食生活と生活習慣による花粉症対策 Part.2

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24Isogawa Takuji ◆.GEUF45Sqk
2009年3月29日 日本経済新聞 朝刊16面

菌とつきあう

腸内環境整える乳酸菌 花粉症など抑える

 花粉症に悩む人は年々増加している。花粉症はアレルギー反応
の一種で、原因はスギやヒノキなどの花粉が主である。まれにブ
タクサやイネの花粉が原因で夏から秋に症状が出る場合もある。
 花粉症を抑える食品として最近注目されてきたのが乳酸菌であ
る。乳酸菌はヨーグルトをはじめ多くの食品に含まれ、種類も大
変多い。しかし、大切なことは自分の体質に合った乳酸菌を選ぶ
ことである。一週間食べ続けて、便の様子を見てみよう。便が黒
ずんでおらず、黄色に近い色になっていれば、その乳酸菌が自分
の体に合っていることを示している。
 なぜ、自分の体に合った乳酸菌が存在するのだろうか。最近、
東北大学大学院農学研究科の斎藤忠夫教授らは、人の血液型を認
識する乳酸菌を発見した。
 私たちにとって有効な腸内細菌の中で、最も効力があるとして
注目されている乳酸菌はヨーグルトや味噌、チーズ、キムチなど
の発酵食品に含まれる。しかし、これらの食品を大量に摂取して
も、乳酸菌が一時的に腸内を通過するだけでは不十分である。乳
酸菌の機能が発揮され、維持されるためには腸内に長く留まって
いなければならない。
 齋藤教授らは多くの種類の乳酸菌の中で、人の腸に長く留まる
ものとそうでないものとが存在していることに気付いた。そして、
腸壁表層部を覆う腸ムチンの中に、乳酸菌が結合している特殊な
物質があることを発見した。それが血液型物質だったのだ。
 齋藤教授らはABOそれぞれの血液型に特異的に結合する乳酸
菌が存在することも明らかにし、「血液型乳酸菌」と令名。有名
な海外医学雑誌に論文投稿した。それぞれの血液型と相性のよい
乳酸菌が腸内に長く留まることができ、腸内環境を整え、花粉症
などの発症を抑えていることがわかった。
 実は、血液型物質と結合している微生物は乳酸菌ばかりではな
い。ノロウイルスやピロリ菌など、私たちの胃や腸の中で悪さを
する微生物も含まれている。
(人間総合科学大学教授 藤田紘一郎)