【小説】マジすか学園4【主演・小嶋真子】

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1名無しさん@実況は禁止です
“・・・私はマジ女に行く”

“前田さん・・・”

“この街にいるのが辛いんだ・・・
 もうお前とも会えなくなるだろう”

“・・・行かないでください
 私を・・・1人にしないでください・・・”

“すまない。真子”

“前田さん・・・!!”

「・・・」小嶋真子の脳裏をよぎる過去。
「ここが・・・あの人がいた学校か」

真新しい制服に身を包み、
小嶋真子は“マジ女”の校門の前に立つ──
2名無しさん@実況は禁止です:2014/01/19(日) 21:13:40.97 ID:5D/9J3o/0
??????「どうだネズミ?今年の1年は」

「なかなか面白い奴らがいるよ。
 昨日の1年最強決定戦で生き残ったのは4人」

1人は相笠萌。こいつは中学時代から名が売れている。
3つの中学を支配下に治めてそれを手土産にマジ女に
入学してきたらしい。
C組を制して隣のDに攻め込んだが、そこでストップ。
まだ勝負はついていない。

2人目はその相笠を止めた大島涼花。
相笠とは中学時代からのライバルだ。
相笠が攻め込んだ4つめの中学にいたのがこいつでね。
見た目はガキだけど喧嘩は強い。

3人目は岡田奈々。
相笠は一度も南中には攻めようとしなかった。
南中にはこいつがいたからね。
色んなヤンキー高からスカウトが来ていたって話だ。
喧嘩が強い上に頭もキレる。
左目の下に涙のタトゥーがあるから、 見れば一発でわかる。

4人目は隣街の中学からきた西野未姫。
こいつは変わった奴らしい。
普段は子供みたいな性格だが、何かをきっかけに人格が変わる。
ちなみに金眉会の奴らがこいつにやられた。
気絶した相手を笑いながら殴っていたらしい。
もうひとつの人格の名前は“夜叉”。

ネズミの説明が終わるとセンターは腰を上げ窓から外の景色を見つめる。
「誰が来るだろうな?この部室に」

「ラッパッパの部長として楽しみかい?センター」

「ああ。前田やおたべがいなくなってから退屈だからな」
センターは振り返りネズミの顔を見て微笑んだ後
「屋上で寝るよ」と部室から去っていった。
前田を追っていたはずが、いつのまにか誰かに追われる立場になった。
それは寂しくもあり、嬉しくもあった。
強き者との出会いを待っていたから。

一時代を築いた前田達と、入れ違いで
入ってくる少女達との新たな出会いを。
3名無しさん@実況は禁止です:2014/01/19(日) 21:18:15.01 ID:5D/9J3o/0
“ガチャ” 屋上のドアを開ける。
目に映った光景に眉間に皺を寄せるセンター。
背を向けたままの“少女”にセンターは 静かに、
そして怒りを込めた口調で言った。
「放してやれ。もう気を失ってるだろ」
少女はパッと手を放す。
“ドサッ” 周りには5人ほど倒れていた。
ゆっくりと振り返った少女の長い黒髪が風に揺れる。

「“頂点”て普通、屋上にいますよね?
 いてくださいよ。 ラッパッパ部長“センター”・・・」

少女は髪を束ね始める。
子供のように優しく微笑んだその顔には
真っ赤な返り血が付き、やけに不気味だった。
センターはなぜか一瞬、前田敦子の姿を少女に重ねた・・・
こいつ・・・

「一応聞いておこう。私に会ってどうするつもりだ?」
「頂点から引きずり降ろす」
少女から感じる殺気。
この感じ・・・ゲキカラやチョウコクと対峙した時のような
死をも感じさせる危険な空気。
いや・・・その時以上かもしれない。
少女が目つきを鋭い眼孔に変えた。
その瞬間── “ザッ!”
少女の速攻がセンターを襲う。
だがセンターは左腕でガードする。
それとほぼ同時に繰り出されてきた左のハイキック。
センターは仰け反るように避けるが “ザ”頬をかすめ血が滴り落ちる。
「チッ・・・!」センターは左の拳を向けた。
少女は即座に反応し跳び上がるように
右のハイキックを繰り出す。
“ドカッ!”センターの左腕を狙っていた。
「く・・・!」センターは左腕を押さえ顔を上げた。
「ただの無謀な新入生ってわけでもないみたいだな・・・
  お前、名前は?」

──「小嶋真子」
4名無しさん@実況は禁止です:2014/01/19(日) 21:55:20.18 ID:3wSEVAR00
天才キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
5名無しさん@実況は禁止です:2014/01/19(日) 22:44:56.91 ID:5D/9J3o/0
新入生・小嶋真子とマジ女の頂点センターが
対峙している事を知らないネズミは部室に残り黒板に書かれた
1年の名前を見つめていた。
すると2年のつの字連合・イズリナが血相を変えて部室に入ってきた。
「副部長!とんでもない奴がマジ女の 1年に!」

「どうしたんすか?」

「今日、初めて学校に来たそうです。
『小嶋真子』・・・先輩も聞いた事ありますよね?」

ネズミは一瞬驚いた表情をする。
小嶋真子・・・・・・“伝説の成れの果て”
「チームZEROの小嶋真子」

以前チームホルモンウナギがこんな事を言っていた。
『ランドセルを背負った恐ろしく強い小学生が族を潰した』

その主人公がマジ女の新入生 としてやってきた──
6名無しさん@実況は禁止です:2014/01/19(日) 22:46:39.80 ID:5D/9J3o/0
なにかイヤな予感がした。
ネズミは険しい表情に変えイズリナに言った。
「で、その小嶋真子は1年の教室に?」

「いや、学校に来てそのままどこかに消えたみたいです」

やはり狙いは・・・マジ女のてっぺん・・・  
「屋上だ。あいつはセンターに会いに行ったはず、いくぞ」

ネズミ達が屋上へ向かった頃
センターと小嶋真子は激しい攻防を繰り広げていた。
互いに顔から血を流し、拳からは返り血が滴り落ちている。
“互角”の戦いだった。
センターは唇から流れる血を拭う。
「さすが・・・“チームZERO”の小嶋真子だな」

「あなたも・・・。狩りがいがありますよ。
 それにしても意外ですね。
 “私達”の事を知っているんですね」

「有名だからな。他の“仲間”はどうした?」

「・・・皆、別の高校に進んだと思いますよ。
 “隣街”のマジ女に来たのは、私だけじゃないですか?」

“チームZERO”
当時、小嶋真子が中学生だった頃、小嶋真子を中心に
各地区の選ばれた者だけで結成された最強の喧嘩チーム。
メンバーは・・・
現マジ女の“小嶋真子”
矢場久根“北川綾巴”
ガンギレ高校“薮下柊”“渋谷凪咲”
そして八木女の“田島芽瑠”
喧嘩上等を掲げた彼女達は幾つもの中学を恐怖に陥れた。
リーダーの小嶋真子は目が合っただけで
拳をぶちこむ事から、
付いたあだ名が“メデューサ”。
7名無しさん@実況は禁止です:2014/01/19(日) 22:51:07.69 ID:5D/9J3o/0
“ペッ・・!”口から血を吐き出しセンターは真子を睨みつけると
カーディガンを脱ぎ捨てた。
制服の背中には銀色でラッパッパのシンボルマークの刺繍が
施されていた。その周りには何枚かの桜の花びらの刺繍もある。
髪をかきあげた瞬間、センターの殺気が高まる・・・

「小嶋真子・・・マジ女に来たのは誤算だったな」

「誤算?」

「ああ。マジ女にはこの“私”がいたって事だよ・・・」──

──“おらぁ!!”
センターは飛び上がり、拳を振り下ろす。
“ガシッ!”それを左腕で受け止める真子。
センターはそれを読んでいたかのように
真子の後頭部に左手を回し引き寄せると同時に・・・
“ドカッ!!”飛び膝蹴りを叩き入れた。
“くっ!”真子は顔面を押さえながら
後ずさりをする。
鼻を押さえ、鋭い眼光でセンターを睨みつける真子。
真子もまたさっきまでの余裕の笑みを消す─
「・・・・・・“前田さん”に認められた奴ってのは本当らしい」

「お前、前田を知っているのか?」

「ええ。あんたらが、あの人を守れなかった事もね。
 それとも・・・マジ女にきて前田さんが
“腑抜け”になったか・・・」

「ふざけるな。あいつは誰よりも強い」

─「・・・八木女にいた頃のあの人はね」
8名無しさん@実況は禁止です:2014/01/19(日) 22:53:25.99 ID:+VufGoUt0
小説スレか
決定したかと思たわw
これは実現するといいな
9名無しさん@実況は禁止です:2014/01/19(日) 23:15:34.29 ID:5D/9J3o/0
“ガチャ”

「センター!」

屋上のドアを開けたネズミが足を止め “敵”を見据える。
連れてきたつの字の仲間達5人は怪我をしているセンターの様子に
一瞬戸惑いの表情を見せるが、 “敵”の小嶋真子に視線を移し、声を
上げ臨戦態勢に入る。
「殺すぞ1年!」「部長に何してんだコラァ!」

小嶋真子は余裕の笑みを見せ、一歩前に出て ネズミ達のほうへと近づいていく。
「いいですよ。 私はタイマンだとかこだわってないんで・・・・・・
  このまま全員相手にしたほうが“シンプル”ってもんですよ」
口調こそ穏やかではあったが明らかに敵意むき出しで殺気を纏い威圧していた。
センターが真子を止めようと動き出そうとした時だった。
ネズミが口を開く。
「小嶋真子・・・今日のところは止めにしないっすか?」

「ネズミ・・・!!」センターは納得いかない様子だが
ネズミが真剣な眼差しでセンターを見据えると
「・・・くそっ」怒りを堪えるように拳を握りしめていた。
ネズミは目の前まで接近した小嶋真子に顔を向けた。
真子は不敵な笑みを浮かべネズミに言った。
「嫌だと言ったら?」

「・・・・・“マジ女”が今日、お前を“全力”で潰す」
10名無しさん@実況は禁止です:2014/01/19(日) 23:21:38.31 ID:5D/9J3o/0
ラッパッパ副部長としてマジ女の生徒達を動かす─
微笑こそあったがネズミの言葉には強い意志が感じられた。
その場は静まり返り緊張感に包まれる。
小嶋真子がその緊張を破るように 「ふふっ」と微笑んだ。
「・・・わかりました。楽しみは最後にしておきますよ。
 他にもやる事がありますし」

「1年制覇か?」
ネズミの言葉に小嶋真子が 「ええ」と静かに頷くとネズミは言葉を続けた。
「甘く見て階段から転げ落ちないように・・・」

「ないですね。同世代に負けるわけがない」
小嶋真子はその場を去ろうとドアのほうへと歩いていくと
センターが口を開いた。

「あいつ・・・なぜ前田の事を・・・」──

センターを追い詰めるほどの強さを持ち、
前田敦子の過去を知る者・小嶋真子は
屋上から去っていった。
1年を制覇するのは“小嶋真子”である。
つの字連合の者達はそう思った。

だが真子はこの後、知る事になる・・・ マジ女の“頂点”に立つためには
“力”だけではダメだという事を。
これから出会う者達が小嶋真子を変える──
11名無しさん@実況は禁止です:2014/01/19(日) 23:52:23.34 ID:3wSEVAR00
( ゚∀゚)o彡゚ 天才! 天才!
12名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 00:06:26.27 ID:ekuenDvR0
ふむふむ、とりま続けて
13名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 00:24:21.20 ID:7QCL62hq0
超絶期待
14名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 00:33:07.37 ID:xHjkrf1M0
>>5
ランドセル��www
15名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 00:36:10.76 ID:xHjkrf1M0
>>6
あとみおたすもお願い
16名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 00:36:47.26 ID:nNYwyqlc0
カツッ、カツッ、1年の廊下に響きわたる真子の足音。
廊下にいたヤンキー達は真子に気が付くと静かに道を開ける。
ヤンキーなら誰もが知っている。
“ZEROの小嶋真子”
「“奈々”・・・・・・マジ女に入ったんだ?」
真子は足を止める。
真子の行く手を阻んだ
─“岡田奈々”─もその1人だった。
綺麗な黒髪に冷たい目。
その目の下の一粒の涙のタトゥーが彼女の顔に“切なさ”
を与える。
真子と奈々はお互い以前から知っているようだった。
「久しぶりだな、真子」

「会ったら殺してやろうと思っていたよ・・・」
真子はうっすらと微笑んでいたが
その目には徐々に怒りが宿る。

「ZEROを抜けた私を恨んでるか?・・・」

「裏切り者が・・・」
真子が拳を握ると、周りにいた生徒達の間に
緊張が走る。 その時だった──
奈々のほうへと近づいていく者達がいた。
岡田奈々の後ろに並ぶ5人組。
チームポン酢・高島祐利奈、篠崎彩奈、茂木忍、岩立沙穂、村山彩希。
茂木が奈々の肩に「ポンッ」と手を置く。
「手を貸すぜ。もし“こいつ”が頂点になったら
  マジ女は“チームZERO”のものって事になるからな」

篠崎もまた奈々のほうに顔を向けにっこりと笑う。
「マジ女は“マジ女”だからね。 うちらはどこにも屈しない
 最強のラッパッパに憧れてこの学校に来たから・・・
  そうだよね?“萌”」

篠崎が後ろに振り返ると、チームポン酢の者達、
そして岡田奈々も後ろを振り返る。
真子の視線の先にいるのは
─“相笠萌”と“大島涼花”だった。
17名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 00:40:34.16 ID:vMHCSFnYP
これは、面白い!
18名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 00:44:08.59 ID:nNYwyqlc0
小嶋真子は少し驚いた顔つきをする。
「城北中の相笠と東陽中の大島・・・あんた達手を組んだんだ?」

相笠はゆっくりと小嶋真子に近づいていく。
「勘違いすんな、バーカ」
涼花もまた相笠の後に続き、真子の前に立つ。
「“タイマン”だ!ほら、どっちか選べ!」

小嶋真子は不敵な笑みを浮かべる。
中学で名が売れていた強者たちも前にしても
焦る様子も動揺する事もなかった。
「・・・“タイマン”?こっちは取り込み中なんだよ。
 面倒だからまとめてかかってきなよ」

すると、岡田奈々は「ふっ」と突然笑みを浮かべた後、
小嶋真子に背を向けた。
「相変わらずお前の周りは敵ばかりだな・・・」

「なに?」笑みを消す小嶋真子。

「・・・それじゃマジ女の頂点には立てない」

「どういう事だよ?」
奈々の言った言葉が真子を苛立たせた。

「そのうち分かるさ・・・じゃあな 」
そう言って奈々は去っていった。
目の前には相笠と涼花、そしてチームポン酢が残った。
真子の苛立ちは彼女達に向けられた。
「頂点に立てない?・・・私が?」独り言のように呟く真子。
「・・・・・・黙って私の下につけばいいんだよ・・・」

真子の殺気を感じた涼花と相笠はその瞬間身構える。
「悪いな涼花!先、やらせてもらうぜ!」
相笠が向かっていくと、
涼花は「あっ、ずるいぞ!」と声をあげた。
相笠の拳が真子に向けられる。
「誰がつくか!コラ!」

真子が叫ぶ─
─ 「ならここで潰してやるよ!!」
19名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 00:58:10.34 ID:nNYwyqlc0
─“ガッ”
真子は相笠の左拳を右腕で払い、
即座に右のハイキックを叩き込んだ。
“・・・・!”相笠はこめかみを押さえ苦痛で顔を歪めるが
“おらぁ!”後ろ回し蹴りで反撃に出る。
真子は体を屈ませそれを避けると、
相笠の懐に入り拳を叩きこむ。
“ザッ”─床に手を付く相笠。
「てめぇ・・・」立ち上がり、相笠は声を荒げる。
「悪いコアラみたいな顔してんじゃねぇーよ!!」
真子に向かっていき相笠はドロップキックを叩きこむ。
「・・・・!」真子は両腕でガードするが
態勢が崩れ、“次”の攻撃の防御に間に合わなかった。
左腕に感じた痛みが反応を遅らせた。
“センターの拳”を受けたところだった。
あの時の・・・!
20名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 00:59:59.08 ID:nNYwyqlc0
相笠の右拳が真子の顔面に叩きこまれる。
長い黒髪が揺れ、真子の表情を隠す。
追撃しようと相笠が真子の胸ぐらを掴み、拳を上げた時──
─見上げるように顔を上げた真子の鋭い眼光に
相笠は一瞬怯む。
真子は相笠の襟を掴み、殴り飛ばした。
壁に背を打ち、尻もちを付く相笠。
「おい!やられてんじゃねぇーよ!」
涼花が相笠に向かって叫んだ時だった。

真子は“にこっ”と涼花へ微笑みかける─
そして涼花のほうへと向かっていき、
“ガッ”真子は涼花に跳び蹴りを繰り出した。
倒れた2人を見下ろす小嶋真子。
髪をかきあげ長い髪をシュシュで束ねる。
「言ったろ?・・・まとめて来いよ」

相笠と涼花は膝に手をつき、ゆっくりと立ち上がる。
真子の威圧感に相笠の顔色が変わる。
「タイマンじゃないってよ・・・・・・・どうするよ?涼花」

涼花は真子に気圧されるがそれを
楽しむかのように薄らに笑みを浮かべる。
「相手がそう言うなら・・・・別にいいんじゃね?」
小嶋真子は一歩、また一歩と2人に近づいていく。
獲物を狩る狼のように・・・・

2人は拳を強く握りしめ、同時に声を上げ向かっていく。
“行くぞ、おらぁ!!”──
21名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 01:16:09.38 ID:TARZF3+A0
面白い
いいぞいいぞ
やるじゃないかやるじゃないか
22名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 01:28:49.28 ID:7QCL62hq0
かなり面白い
小説スレは途中で辞めちゃう人も少なくないからこのスレは最後まで書いてほしいね
23名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 01:48:18.61 ID:nNYwyqlc0
チームぽん酢の面々は想像以上の真子の強さに動く事ができずにいた。
喧嘩なんて殆どした事がない。
拳を強く握ろうとするが、震えて力が入らなかった。
村山の目に映る本物の喧嘩。
“涼花”が倒される姿・・・・真子は倒れた涼花の髪を掴み
力ずくで立たせ、“バシ”執拗に顔面を殴りつけた。
涼花は目をうっすらと開け、殴られてはゆっくりと
真子のほうへと顔を向ける。
心はまだ折れていない。
適わないとわかっていても屈したくはなかった。
薄れゆく意識を涼花のプライドが繋ぎ止める。
「止めろ・・・・!」
血を流し体をふらつかせる相笠が真子の体を背後から掴む。
「もう勝負ついてんだろ・・・・私が相手だ・・・・」
“ドカッ”真子が涼花の髪から手を放すと
涼花は膝から崩れ落ちその場に倒れた。
「わりぃ・・・萌。後は・・・頼むわ・・・」
涼花は眠るように目を瞑る。

「黙って寝てろ・・・クソガキ」
相笠は構えるが、真子はなぜか違う方向に顔を向けた。
チームぽん酢の者達は警戒するように震えながら身構える。
相笠は真子を止めようと肩を掴む。
「待てよ・・・本当はアイツら、喧嘩なんてできる奴らじゃねぇよ・・・
 それに、私との喧嘩が終わってねぇだろうが」

振り返る小嶋真子。相笠の手を払う。
「アイツらは、あんたに守られてきたから喧嘩をする必要がなかったんだ。
 ・・・だから弱いままなんだよ」

「力や心が弱い奴だっている・・・
 そういう奴らを守るのが“てっぺん”の役目だろ」  
「守れるの?あんたに」真子は相笠の胸ぐらを掴み
不敵な笑みを浮かべた。
相笠もまた真子の胸ぐらを掴み、鋭い眼光で睨む。

「何度も言わせんな。アイツらは私が守る」
24名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 02:41:35.92 ID:vMHCSFnYP
熱い、熱いね!
こういうの好きだよ!
25名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 02:51:25.14 ID:nNYwyqlc0
相笠の体力はもう限界、真子はそれを知っていた。
だが『守る』と言った相笠の目は
虚勢でもなく本気でそう思っている。
そんな目だった・・・
その時、真子の目に信じられない様が映った。

「よく言った・・・萌。それでこそ私のライバル・・・」

少し驚いた表情をする真子。
「・・・まだ、私とやる気?」
「やる・・・っしょ」
“大島涼花”はゆっくりと立ち上がり傷だらけの顔で
笑ってみせる。

涼花はふぅ〜と息を大きく吐く。
「さぁ、続きやろうぜ・・・小嶋真子」

先に動いたのは相笠だった。
涼花が限界なのは明白で、これ以上無茶をさせる
わけにはいかない。
相笠の右拳が真子に向けられた。
“ガシッ”
真子は拳を左手で受け止め、掴む。
押し切ろうと力を込める相笠に、真子は問う。
「もう限界だろうが・・・どこにそんな力が」

「さぁ?友情パワー・・・ってやつだろ?」

「・・・なんだそりゃ、訳わかんねーよ!」
真子は右拳を相笠の頬に叩き込む。
体をふらつかせた相笠は倒れまいと足に力を入れ
“バシ”真子を殴り返す。
「・・・!」こいつ・・・!
真子はもう一度相笠を殴りつける。
だが、相笠は体をよろかせるも倒れない。
“バシッ”真子を殴り返した。
相笠は鋭い眼光で真子を見据える。
「どうした?・・・“マジ”になれよ」
26名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 02:53:57.45 ID:nNYwyqlc0
「お前・・・」
真子は彼女達を、マジ女を舐めてかかっていたのかもしれない。
予想を遙かに上回る強さに戸惑いすらあった。
“仲間のために”限界を超える。
それは、仲間と呼べる存在がいない
今の真子にとって理解しがたい事だった。
真子の脳裏をよぎるZEROのメンバー、薮下柊の言葉。
「真子・・・あんたは恐ろしく強い。
 けど、それだけや。強すぎるから周りが見えてない。
 “皆”これ以上付いていけへん言うてる・・・
 あんた、“何のために”マジに喧嘩してるんや?」
背を向けて離れていく柊、そして他のZEROメンバー達。

─「何が・・・マジ・・・だ」
真子は俯きながら拳を固く握りしめ言葉を続ける。
「何が・・・仲間だ?」

「・・・お前」相笠は真子の様子がおかしい事に気づく。
だが、遅かった。
真子は静かに口を開く─
「マジになっても虚しいだけだ・・・」
27名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 02:55:07.17 ID:nNYwyqlc0
サッ、顔を上げた真子の目は怒りに満ちていた。
“ガッ!”相笠はその目を見た瞬間、強い衝撃で
体が吹っ飛ばされた。真子の右拳が見えなかった。
壁に叩きつけられた相笠。
手を付いて立ち上がろうとするが、髪を掴まれた。
真子の膝蹴りが顔面に直撃する。
髪を掴んだまま、“ドカッ”“ドカッ”と続けて二発。
真子の容赦ない攻撃が相笠の顔面を真っ赤に染める。
真子は相笠の胸ぐらを掴む。
と、同時に拳を叩き入れる。
「仲間だ・・・?!」
“ドカッ”すでに気を失った相笠を殴りつける真子。
「いずれ離れていくだろうが・・・!」
何度も何度も・・・相笠に拳を向けた。
「信じられるのは自分だけだ・・・!」

あまりの惨状に涼花は茫然と立ち尽くしていたが、
ハッと我に返りすぐに助けに向かった。
「止めろこらぁ!!」
28名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 02:57:55.86 ID:nNYwyqlc0
読んでくれた人ありがとう。
ストックが無くなりかけてきましたー
頑張ります、おやすみなさい。
29名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 03:07:14.96 ID:nNYwyqlc0
真子は振り返りハイキックを涼花に叩きこむ。
体をふらつかせた涼花に止めの後ろ回し蹴り。
涼花もまた地面に倒れるが「くっ・・・」ゆっくりと立ち上がる。
だが真子はそれを許さない。
彼女が立ち上がる事をわかっていたように、
右の拳を顔面に叩きこむ。
涼花が壁に背を打ったと同時に
“バリッ”真子の拳は廊下の窓を割った。
涼花が膝から崩れ落ちたため、偶然にも真子の拳は当たらなかった。
“ぱらぱら”と落ちるガラスの破片と真子の拳から流れる血。
涼花は顔を上げ、見下ろす真子の目をじっと見据え
「あはは・・・」と笑顔を見せる。
大島涼花に真子は問いかける。

「なにが可笑しい?」

「・・・笑っちまうしかねーって感じだろ・・・
 ここまで手も足も出ねーなんてよ・・・」

「・・・」真子は何も言葉を返そうとせず
拳を固く握った。
涼花は真子の目をじっと見つめた後
真剣な表情に変えた。
「さっき・・・お前言ってたよな?
ダチは離れていくって・・・」

真子は涼花の胸ぐらを掴む。
そして涼花は言葉を続けた。

「私はそうは思わねぇな・・・
 お前は、まだ出会っていないだけだよ。
 “本当のダチ”にさ・・・」

涼花には見えた。
真子が拳を振り下ろす寸前に
とても寂しそうな・・・悲しい目をしていたのを。

“ドカッ”─
30名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 03:17:36.87 ID:qpcYflJ+0
ナイスなスレ立てだ
31名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 03:19:57.01 ID:TARZF3+A0
くぅ〜熱いね
お疲れ!
32名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 06:40:27.71 ID:UebBSkP/0
>>28
おつです( ̄+ー ̄)GJ
33名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 09:29:26.27 ID:S4fB9fxgP
34名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 13:56:45.39 ID:4lre+tdDO
サーモンさんか
35名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 15:07:36.88 ID:qwucINZ30
サー…モン(´・ω・`)?
36名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 16:54:21.13 ID:OyVwfrAX0
先生のペンネームか?
37名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 18:25:58.06 ID:nNYwyqlc0
涼花が倒れ、廊下は静寂に包まれた。
「萌!!」「涼花!」チームぽん酢は仲間の名を叫び、
倒れた2人に駆け寄る。
真子は涼花、そして相笠に顔を向けると
2人に背を向けその場を去ろうと足を踏み出す。

「待てよ・・・」小さく震えた声が背後から聞こえ、
真子は足を止め、振り返った。

チームぽん酢・村山が真子を怒りに満ちた目で睨む。
今にも飛びかかっていきそうな顔つきだ。
真子が静かに口を開く。
「無理するなよ。もう終わったんだ」
「うちらだって・・・」村山は震える拳をぎゅっ
と固く握り締める。
「戦える・・・!!」声をあげ村山は真子に向かっていった。
“ドカッ!”─
村山の拳が真子の頬に当たる。
当たるその瞬間まで、真子は村山の目を
見ていた。それでも村山は怯む事なく拳を当てにきた。
村山自身も、真子が“避けなかった”事に気付いていた。
「お前・・・どうして・・・」
38名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 18:36:36.77 ID:nNYwyqlc0
村山は真子の目を見据える。
真子はなぜか“ふっ”と笑みを浮かべた。
「・・・・・“本当のダチ”か・・・」
もう立ち上がれないはずの大島涼花が立ち上がり、
相笠は想像以上の強さがあった。
喧嘩をした事がない村山の意外な行動も然り。
仲間のために限界を超えた彼女達は、真子を苦戦させた。
真子は村山に背を向ける。
「いいな・・・そういうの・・・」

その場を去っていく真子の背中からは
孤独が感じられた。
村山はもちろん、チームぽん酢の者達は
なぜ真子が自分達に手を出さなかったのか
わからなかった。
ギャラリー達に紛れこの喧嘩を遠く見ていた者がいる。
“岡田奈々”にはその理由がわかった。
「マジ女であいつは変わるかもしれないな。
 ・・・・・・だが、もう“遅い”。
 チームZEROにお前の居場所は“ない”」

最後にみせた真子の優しさに、
奈々はそう呟き去っていった。
相笠と涼花は病院へ運ばれ、真子もまた保健室に
寄ったあと、学校から去った。
1年最強を決めるカードから、大島涼花と
相笠の名前が消え、
残るは3人。
小嶋真子・岡田奈々・西野未姫。
のちの・・・「ラッパッパ三銃士」である。
・・・・相笠と涼花もまた彼女達とともに
ラッパッパの1人としてマジ女を守り続ける。

だが、それはまだ先の話。
そして小嶋真子は大切な何かに気づいていく。
次に出会う“西野未姫”は真子にとってその
“大切な何か”となる。
39名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 19:22:19.12 ID:yo8Kc3ac0
こういうのめっちゃ好きです!

お願いですから続けてください!

楽しみにしてます
40名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 20:04:39.17 ID:nNYwyqlc0
廊下での戦いから三日後
小嶋真子がマジ女に姿を見せた。
大怪我を負った相笠と涼花は、学校が
サボれるという事もあり
入院生活を楽しむはずだった。
「なんでお前と同じ部屋なんだよ!」
相笠が隣で寝ている涼花に文句を言うと
「知るか!嫌なら出ていけバーカと!」
涼花も言い返す。
2人が騒いでいると看護師が怒鳴りこんできた。
「コラ!うるせぇぞ!クソガキ!」

「口のわりーババアだな・・・
 はいはい、静かにしますよ〜」
涼花の一言に看護師はピクッと
眉間に皺を寄せた。
「あぁ?病院生活延ばしてやろうか?」

拳をコキっと鳴らしたこの看護師の瞼には
小さな傷跡がある。
元ラッパッパ副部長・“サド”である。
41名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 20:07:50.61 ID:R8kx67tp0
ええやんええやん!
42サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/20(月) 20:08:20.34 ID:nNYwyqlc0
>>39
もし落ちたら完璧に書きあげてからスレ立てます(>o<)
>>34
おひさしぶりです!
43サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/20(月) 20:11:56.31 ID:nNYwyqlc0
その頃、真子は教室の一番後ろの窓際に座り
校庭を静かに見つめていた。
学校に来て真子に話しかける者はいなかった。
メデューサと呼ばれた中学時代の真子を知る者や
先日の廊下での戦いを見ていた者達により
真子の噂はマジ女中に広まっていた。
真子から目を逸らし、関わりたくないといった様子で
生徒達は道を空け、近寄ろうともしなかった。

だが・・・1人の少女が真子に近づいた。
「小嶋真子ちゃんだよね?」

真子は振り向き、少女を見るが
知らない人間だった。
まだあどけなさの残る顔で、無邪気な子供のように
ニコニコと笑顔を見せる少女。

「そうだけど、何?」
真子が訊ねると少女はスッと手を差し伸べる。
「私、未姫!真子ちゃんと友達になりたいの!」

「は?」真子は少し困った顔をしていた。
髪型はどこかのアイドルがしているようなツインテールに
着ているジャケットはピンク色。
マジ女にいるのが場違いとすら思える。

あえて気になるところといえば、
左目にしている眼帯。

これが“西野未姫”と真子の最初の出会いだった。
44サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/20(月) 21:38:18.21 ID:nNYwyqlc0
「・・・」真子は興味が無さそうに目を逸らし
椅子から腰をあげた。
そして教室のドアのほうへと歩いていく。
未姫は「待ってよ〜!」と追いかけるが
振り返った真子の鋭い目に思わず足を止めた。
「ついてくるな」

「やっぱりカッコいいね。ZEROの真子ちゃんは」

「・・・」真子は再び未姫に背を向け
教室から去っていった。
未姫は廊下に出て、真子の背中を
じっと見つめる。

「私と君は似ているの・・」

未姫がそう呟くと、周りにいる生徒達
は未姫を見てこそこそと話している。
「あいつ、“夜叉”だぜ・・・」
「バカ、見たら殺されるぞ・・・」

未姫にはその声が聞こえていた。
どこか寂しそうに未姫はふふっと無理に笑顔を作る。

─「夜叉かぁ・・・」
45サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/20(月) 21:44:15.51 ID:nNYwyqlc0
その次の日、廊下を歩く真子の前に
ぴょんっと姿を見せる未姫。
「おはよう!」

「・・・」真子はそのまま未姫の
横を通り過ぎて教室へ入っていく。
「え〜。シカト〜?つれないなぁ」
未姫もまた教室に入り自分の席に座る。
その次の日も「真子ちゃん!」
その次の日も「真子ちゃんてば〜」
と未姫は真子に気さくに話しかける。
そんなある日、退院してきた相笠が真子に声をかけた。
「よっ、久しぶりだな」

「退院したのか」

「ああ。おかげさまで学校サボれたぜ。
 ・・・てか、さっきお前が話してた奴・・・
 “夜叉”だろ?」

「夜叉?」真子は知らなかったようだ。
入学式で夜叉が金眉会をボコボコにした事を。
そして、その夜叉が“未姫”であるという事も。
その事を聞いた真子は少し驚いた表情
をする。
相笠は言葉を続ける。
「まぁ、あいつは普段は無害な奴だからな。
 1年のトップを決めるカードは
 お前と岡田だろうよ。せいぜい頑張れや」

「・・・ああ」真子がそういうと、相笠は
背を向けて「じゃあな」と真子の前から去っていった。

未姫のあの子供のような純粋な笑顔からは
想像もつかなかった。
誰かを殴る姿など、そして“二重人格”であるという事も。
46名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 22:28:34.37 ID:4lre+tdDO
サーモンさんお久しぶりです!文面ですぐ分かりましたよ。今後の展開楽しみにしてます
47サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/20(月) 22:39:39.76 ID:nNYwyqlc0
その次の日だった─
朝、いつもならば同じ時間に来る未姫だが
今日はその時間に来なかった。
昼過ぎ頃、廊下を歩いていた真子の目に
未姫の姿が映った。
─頬にはガーゼなどが貼られ、拳や脚に
包帯を巻いている痛々しい姿だった。
「やぁ。おはよう・・・真子ちゃん」

「どうしたんだ?その傷?」

初めて真子が自分に関心を持ってくれた。
そう思った未姫は一瞬嬉しそうに微笑んだ。
「なんでもない!大丈夫だよ」

「“夜叉”はどうした?お前、喧嘩強いんだろ?」

真子の言葉に、未姫は表情を曇らせた。
「知っちゃったんだね・・・。
 夜叉はその時いなかったよ」

「いない?」

「うん。この眼帯を取った時、
 私と夜叉は入れ替わる事ができるの。
 けど、怖いんだ・・・」

「・・・」真子は未姫の目を真っ直ぐ見据える。
“怖い”と言った未姫の目は悲しさがあった。
未姫は言葉を続けた。

「最近ね、覚えていない時間があるの。
 気付いた時、私の手や服に誰かの血が付いてるんだ・・・」

「夜叉が“お前”になろうとしているって事か・・・」
48サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/20(月) 22:41:00.24 ID:nNYwyqlc0
「そう。きっかけが何かはわからない。
 夜叉に頼り過ぎた“罰”なのかもね。
 今回もそう・・・私が前“自分の意志”で夜叉に
なって倒した相手にやられちゃっただけ。
 “私”が我慢すればそこで争いは終わる」

「その傷、相手は1人じゃないだろ?」

心配してくれているような真子の言葉に
未姫は嬉しそうに「ふふっ」と微笑んだ。
「やだな〜。真子ちゃんそういうキャラだっけ?
 それとも・・・興味があるのは“夜叉”のほう?」

「そんなんじゃない・・・ただ、」

「ただ・・・何?」

「いや・・・何でもない」
真子は何かを言いかけたが言葉を止めた。
「・・・ありがとう。“そう”だとしても・・・
 私は嬉しいよ?・・・バイバイ、真子ちゃん」

未姫は足を前へと踏みだし、
スッと立ち止まる真子の横を通り過ぎた。
未姫の顔に笑顔はなかった。
もう二度と“未姫”には会えない・・・
真子は、そんな予感がした。

ただ・・・お前は笑っていたほうがいい。

そう言おうとした。

私らしくないよな・・・そんな言葉は。
けど・・・あいつ・・・

「いや、私には・・・関係ない」
真子は自分の変化に気付いていた。
だがそれを認めたくなかった。
マジ女に来て変わってしまった“前田”のように
なりたくはない。
真実を知らない真子はそう思っていた。
49名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 22:43:24.79 ID:P5QfYEPb0
これは保守せねば
50名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 22:44:50.18 ID:Ub/XjDY50
マジすか4よりも勇者ヨシヒコ3を作ってくれ
51名無しさん@実況は禁止です:2014/01/20(月) 23:10:58.19 ID:LCZipAnh0
マジ続きが気になる木
52名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 00:08:05.85 ID:UebBSkP/0
おれも
53サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 00:09:12.45 ID:oGCtw+mZ0
その日の帰り道だった。
真子が校門の外に出て歩いていると
1人の少女が血相を変えて真子に駆け寄る。
「良かった・・・いた・・・。“マジ女の”小嶋真子さんだよね?」
はぁはぁと息をきらしている少女。
茶色いブレザーを着ていた。
「その制服、お前“ガンギレ”の奴か?」

真子が訊ねると少女はこくりと頷く。
「未姫が・・・未姫が危ないの」

「・・あいつが?」
しばらく少女の目見つめると、
「・・・だからどうした」
真子はそう言って足を前に踏み出した。
「待って!!」少女は真子の腕を掴み
言葉を続けた。
「未姫とあなたは似ているの・・・
 助けられるのはあなたしかいないの!」

・・・真子の脳裏に、未姫の笑顔がよぎる。
ちっ・・・
「・・・なにがあった?」─

─街中を走る小嶋真子。
少女の言葉を思い出していた。
「未姫は私を助けてくれたの。
 未姫が夜叉になる時はいつもそう・・・
 誰かのためにしか動かない。」

少女の名は橋本耀。未姫の中学時代の
同級生だった。

「あいつはどこにいる?」

「未姫はガンギレの奴らに連れて行かれた・・・
 私を助けたからこんな事に・・・」
耀は自分を責め、泣いていた。
耀は真子を目を真っ直ぐ見つめる。
「あなた会えて良かったって言ってたよ・・・
 思ったとおりの強い人だったって・・・」
54サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 00:22:13.37 ID:oGCtw+mZ0
──「くそっ・・・・・・」
真子は前田に言われた言葉を、耀の言葉で思い出す。
“私は・・・喧嘩が嫌いなんだ。
 ただ、みなみとバカやってるのが楽しかっただけなんだ・・・”

 “前田さんは・・・どうしてそんなに強いんですか?”

 “・・・ダチのためなら私はマジになる。
  お前にも、そのうち分かるよ・・・真子”

真子が向かっていたのはある場所。
ガンギレ・・・あいつらなら何か知っているはず。
だが、素直に教えてくれる奴らじゃない。
“柊”はともかく・・・“凪咲”とカチあったら面倒な事になる。
・・・その時は・・・やるしかない。
どちらかが出てくるまで、暴れてやる。
今は“コイツら”を─
「ぶっ飛ばす!!」

ガンギレ高校の近くまで来た真子の目に
映った茶色いブレザーを着たヤンキー達。
5、6人はいる。
ガンギレの生徒が気付いた。
「あいつ・・・・こっちに来るぞ」
「・・・おい!あいつ・・・!」
真子は飛び上がり敵に拳を振り下ろす。
─“ドカッ!”
1を倒し、敵の群れの中に立つ。
敵は皆、驚いた顔つきに変えた。

─「お前は・・・“小嶋真子”!!」

真子は前髪を右手でかきあげる。
そして鋭い眼光で敵を睨みつけた。

「マジ女に手を出したバカを
 ・・・連れて来いよ?」
55名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 00:34:43.08 ID:HpdVAFcR0
ワクワク
56サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 00:58:02.67 ID:oGCtw+mZ0
真子の迫力に気圧されるガンギレの生徒達。
真子に殴られた生徒が顔を上げ真子を睨みつけた。
「てめぇ、ここが“どこ”だかわかってるのか?」

「知ってるよ。この道を進めば、お前らの学校だろ?」

真子はそう言って、足を一歩前に出す。
不敵に微笑みながら。

「正気かよ・・・こいつ・・・」
このままガンギレまで行くつもりだ─
「ふざけんなよ、てめぇ!」
真子は殴りかかってきた生徒の拳を左手で掴み、
“ドン”腹部に拳をめり込ませ、
頭を両手で抱えこみ“ドカッ!”膝蹴りを
顔面に叩き込んだ。
膝から崩れ落ち、うつ伏せに倒れる敵。
そして真子は前に進む。
「次、やられたい奴は誰?」─

─小嶋真子は噂どおりの・・・
いや、それ以上の強さだった。
1人、また1人倒れていくガンギレの生徒達。
真子は1人倒していく度に確実に前に進んでいく。
だが、騒ぎを知ったヤンキー達が駆けつけてきた。
「いたぞ!!“ぶっ潰せ”!!」

3人に囲まれるが、真子は目の前の敵に
怯む事なく近づいていく。
“バシッ”拳で殴りつけ、背後から襲ってきた敵を
“ザッ!”後ろ回し蹴りで蹴り倒す。
3人目─
「また増えやがった。ピクミンかよ?お前ら」
真子の前にさらに8人、敵が来た。
「上等」──
57サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 00:59:57.45 ID:oGCtw+mZ0
真子は前に走り出し、“ザッ”と飛び上がり
一番遠くにいた敵を蹴り倒す。
すかさず横にいた敵の胸ぐらを掴み
殴りかかろうとした。
「おらぁ!!」

だが、真子は肩を掴まれ振り向かされた
ところを・・・“バシッ”顔面に拳を喰らう。
真子の長い髪をゆらっと揺れた。
「潰せ!!」
ガンギレのヤンキー達は一斉に真子へ襲いかかった。
敵の拳が真子に当たるが、真子はそのまま殴り返す。
制服を掴まれるが、「オラァ!」と声をあげ
敵に向かっていった。

─「・・・後、何人だ?10人くらい倒したか?・・・」
真子は攻撃を喰らいながらも、
確実に敵の数を減らしていった。

そして・・・残り2人。
敵は警戒するように後退りし、
真子は追い詰めるように前に進む。

だが・・・「こいつか?乗り込んできた奴ってのは」
さらに10人以上、敵の仲間が駆けつける。

それでも真子は前に進みながら、
長い髪を束ねシュシュで縛る。
「・・・ったく何やってんだ私は・・・」
鋭い眼光で睨み・・・
「他人のために“マジ”になるなんて・・・」
ピタリと足を止め、拳を固く握り締める。

─「ガラじゃねぇーんだよ!!」
襲いかかる敵を殴り倒していく。
だが、数が多すぎた。
4人ほど倒したところで、次第に息を切らし
始める真子。
“バシッ”顔面を殴られる。
「くそっ!」真子は殴り返す。
攻撃を受けながら真子は敵に向かっていく。
その時だった─

「あんたら止めんかい!!」
58サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 01:01:25.31 ID:oGCtw+mZ0
聞き覚えのある声が、敵の動きを止めた。
真子の目に映ったガンギレの生徒。
真っ黒いヒョウ柄のロングコートを着ているその“少女”に
ガンギレの生徒達は道を開けた。

「その子、うちのダチや。あんたらさっさと散れ」
 
真子は少女の名を呼ぶ。

「柊・・・」

チームZERO・そして渋谷凪咲と共に
ガンギレ高校を制した“薮下柊”─

柊の一言に、ガンギレのヤンキー達は
「は、はい」と頷き、倒れた仲間を連れ
その場から去っていった。

真子は柊に歩み寄っていく。
「お前に聞きたい事がある・・・」

「“うち”のモンがマジ女の生徒、
 攫ったって話やろ?」

「ああ。知ってるだろ?」

「うちは知らんかったわ。
 勝手にウチの奴らが動いただけや」

「未姫はどこにいる?」

「・・・この近くの“廃工場”や。
 手を出すな、とは言っておいたから・・・
 迎えに行ったらええ」
薮下柊の言葉に真子は安堵したような
表情を浮かべた。
「・・・悪いな。柊・・・」
真子は背を向け、その場から走り去っていく。
真子の背を見つめ、柊はポケットに手を入れる。
「・・・これで良かったん?“奈々”」─
59サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 01:04:13.04 ID:oGCtw+mZ0
柊に歩み寄っていく“岡田奈々”と
真っ白いヒョウ柄のジャケットを着た“渋谷凪咲”。
奈々は柊の隣に並び、真子が去った方向に視線を送る。
「ああ。これでいい」

凪咲は不敵に微笑み、奈々のほうへと
顔を向ける。
「しかしあんたも鬼やな〜。
 さすがの真子も今回は“無理”やろ〜」

「無理なら・・・それはアイツが“弱い”って事さ」
奈々の凍てつくような冷たい目が
柊と凪咲の目に映る。
柊は前を向き囁いた。

──「“50人”って・・・死ぬで・・・」
60名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 01:57:19.94 ID:HpdVAFcR0
保守
61名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 03:23:27.68 ID:jC2hBCUAP
セリフの言い回しがいちいち心に来るね!
作者さん期待してます!
62名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 05:22:55.20 ID:vDQ6eIMr0
期待age
63サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 06:26:57.05 ID:oGCtw+mZ0
そうとも知らない真子は柊が言っていた
廃工場の前まで来ていた。
「ここか・・・」工場のドアを開く真子。
窓から差し込む光だけで中は薄暗い。

辺りを見回し、あまりの静けさに真子は
少し警戒するように前へ進む。
“ザッ”─

背後から聞こえた足音。
振り返った時には、遅かった。
“ドカッ!”頭を何かで殴られ、地面に手を付く真子。
全てを悟った真子は怒りに満ちた目で顔をあげる。
「・・・てめぇら・・・」

ぞろぞろと姿を見せるガンギレのヤンキー達。
─およそ“50”人。

柊・・・。あいつ、私を騙したのか・・・

真子はゆっくりと立ち上がる。
「ウチの奴はどうした!?」

敵の1人が“未姫”を連れてきた。
傷だらけの姿だった。
「真子ちゃん・・・?」
未姫は今にも泣きそうな顔で真子を見つめる。

「・・・その“ちゃん”っての止めろ」

「私を助けに来たの?
 ・・・ごめんね。私のせいで・・・」

「謝るな。まだ負けてねーよ」
拳を握り締める真子。
64サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 06:29:30.33 ID:oGCtw+mZ0
ゆっくりと前に進む・・・一歩、また一歩。
目の前には50人の敵。
真子がピタリと足を止めた時だった。

─「お〜いたいた!ん・・・?敵の数多すぎだろ!!」

この声は・・・

真子は後ろを振り返った。

「大島涼花・・・」─

そして真子の目に映るもう1人の“仲間”。
「“こじまこ”!見直したぜ!
 夜叉を助けに行くなんて、いいとこあるな!」

「相笠・・・」真子は驚いた顔つきで2人を見つめる。
「こじまこってなんだ・・・?」

「ん?呼びやすいだろ」相笠と涼花は
真子のほうへと歩いていき、
隣に並んだ。
涼花は敵を睨みつけ、つま先をトントンと鳴らす。
「さぁ〜て始めようぜ」

相笠はネイルを外し、拳をコキッと鳴らす。
「1人・・・10人ってところか」

涼花は相笠のほうへと振り向きバカにしたように笑う。
「3人しかいねーのに、それじゃ余るだろ!バカだな〜」

「うるせぇな!」相笠が言い返すと
真子が「ははっ、あははっ」と笑う。
今まで見た事がない真子の純粋な笑顔に2人は驚いた。
そして真子は真剣な表情に変えた。

「いや・・・それでいい。残りは私がやる」

─「行くぞ!!」──
ついこの前まで敵同士だった“マジ女”の三人は
西野未姫を助けるために今、動いた─
65名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 06:48:36.20 ID:yN40zlt90
先生ありがとう先生!
66名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 10:53:19.95 ID:tkwjJZMsP
サーモン先生\(^o^)/
67名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 10:55:24.73 ID:jC2hBCUAP
盛り上がってまいりました!
68名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 13:43:44.84 ID:UowXosAH0
>>19
悪いコアラwwww
69名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 14:20:39.75 ID:t7l+eFR00
>「また増えやがった。ピクミンかよ?お前ら」

これもなかなか
70名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 16:07:57.16 ID:tkwjJZMsP
(・Д・)ノ名作あげ↑
71名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 19:07:04.58 ID:tkwjJZMsP
(´・Д・)」保全
72サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 19:27:59.78 ID:oGCtw+mZ0
「おらぁ!」ドロップキックをする涼花。
何人か将棋倒しになる。
だが、地面に手を付いて着地した涼花は
すぐに敵に囲まれ、蹴られる。
「あっ、待て!」

“ドカッ”涼花を囲む敵を殴り倒す真子。
「何ふざけてんだ。早く助けに行くぞ」

「わかってるっつーの!」涼花は立ち上がり、
真子の背後を襲おうとした時を蹴り倒す。
相笠もまた、涼花の背後にいた敵を殴り倒した。

そして・・・三人は背中を合わせる─

涼花は大きな声で叫ぶ。
「しっかり私の背中は守れよ!」
相笠が敵を殴り倒し叫ぶ。
「お前が一番あぶねーんだよ!」
真子はそんな2人の声を聞き、どこか
楽しそうに笑みを浮かべる。
73サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 19:29:18.42 ID:oGCtw+mZ0
“ドカッ”相笠は向かってくる敵の胸ぐらを掴み頭突きをする。
だがすぐ横から違う敵に殴られる。
「ちっ!」

真子の回し蹴りがその敵を地面に沈めた。
相笠は敵を倒しながら真子に話しかける。
「なんとなく分かったか!?」

「何が?」真子もまた敵を倒しながら
口を開いた。
相笠は大きな声で叫ぶ。

「“友情パワー”だよ!友情パワー!」

真子はふっと一瞬笑みを浮かべた後、
呆れたように答える。

「わかんねーよ!」

“バシッ”真子は敵を殴り倒す。
だが─真子はこの時すでに、体力の限界に近づいていた。
相笠や涼花もまた、次第に敵の攻撃を受け始め、
いつのまにか3人はバラバラになり
互いの姿が見えない位置になった。
74名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 20:09:56.02 ID:ue65jQOMO
熱い!いいねキャラがいい
もっと読みたい
75サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 20:57:53.05 ID:oGCtw+mZ0
無我夢中で敵を倒していた相笠は
2人の姿が見えない事に気付く。
「おい!無事か?!」

返事はなかった。相笠は2人の名を呼ぶ。
「涼花!こじまこ!!」
喧噪でかき消されているのか、相笠の声は届かなかった。

あいつ等なら、大丈夫か・・・
早く、西野を助けないと・・・

相笠が前に進もうとした時だった─
“ドカッ”背中に激しい痛みが走る。
振り返る相笠の目に、バットを持った敵の姿が映る。
「くそったれ・・・!」──
76サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 20:58:44.09 ID:oGCtw+mZ0
そしてその頃、大島涼花もまた体をふらつかせながら
敵と戦っていた。
「後・・・何人だ?半分以上・・・倒したかな・・・」
敵に掴まれるが、腕に噛みつく涼花。
そして怯んだ瞬間、噛むのを止め
殴り倒す。

ふらふらと歩きながら、敵の相手をする。

やべぇ・・・意識が飛びそうだ。
・・・皆、どこにいる?

・・・あれは、マジ女の制服・・・
倒れてる・・・誰だ?


・・・!

「萌!!」─

涼花は萌に歩み寄ろうとするが、
敵に囲まれ前に進めない。

「邪魔だ・・・!どけ!」

─「くそ・・!!」

頼むぞ・・・“真子”・・・

涼花は最後の力を拳に込めた。
─「おりゃぁぁぁ!!」
77 忍法帖【Lv=13,xxxPT】(1+0:8) :2014/01/21(火) 21:42:46.13 ID:oipUAJlT0
これは運営に見てもらいたいくらいおもしろい

絶対に落ちないでほしい
78サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 22:04:27.32 ID:oGCtw+mZ0
そして、小嶋真子は・・・・・・

ガンギレの生徒達に捕まっている
未姫の目に、倒れた相笠の姿が映る。
「・・・・!そんな・・・」

自分のせいで誰かが傷つく。
未姫は自分を責め、涙する。
その時、未姫の目に映った“姿”。

─小嶋真子が未姫のほうへと歩いてくる。
ズルッ、ズルッと気を失った敵の髪を掴み、
引きずりながらゆっくりと・・・・。

残る敵は気が付けば10人ほどだった。
敵の1人が真子に襲いかかる。
「この・・・バケモノが・・・!!」

掴んでいた髪から手を放し、
ハイキックで敵を倒した真子。
「はぁ・・・はぁ・・・」と息を切らし
血まみれになりながら敵を睨みつける。
その時だった─未姫が何かに気付き叫んだ。

─「真子!!後ろ・・・!」

バットを持った敵が真子に襲いかかろうとしていた。
未姫の声が聞こえた真子は振り返る。
“ドカッ”──
79サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 22:14:03.35 ID:oGCtw+mZ0
真子は驚いた顔つきをする。
目の前でゆっくりと、地面に膝から崩れ落ちる仲間の姿。

「お前・・・なんで・・・」

“大島涼花”は頭をバットで殴られ倒れた。
身を挺して、真子を守った。
「てめぇ・・・!」真子は涼花を襲った敵を殴り倒す。
涼花の体を抱きかかえる真子。
涼花は静かに、口を開く。

「昨日の敵は・・・・・・・・・昨日の・・・
 あれ?なんだっけ・・・」
 
「“今日の友”・・・だろ」

「そうそう・・・それだよ・・・。任せたぜ・・・
 “マジ”になれ・・・“真子”」

涼花は目を閉じた─

真子の脳裏をよぎる涼花の言葉。
“お前はまだ出会っていないだけだよ・・・
 本当のダチにさ”─

そっと涼花を寝かせ、立ち上がる真子。
「・・・マジだよ」

拳を握り締める。
敵は真子にじりじりと近づいていく。

「・・・私は・・・」
鋭い眼光で真子が睨むと、敵は怯み、足を止めた。
真子は首もとにあるスカーフをスッと抜き取り
拳に巻き、叫んだ。

─「いつでも“マジ”だよ!!」─
80名無しさん@実況は禁止です:2014/01/21(火) 23:15:02.04 ID:0Cm3H3Jg0
支援age
81サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/21(火) 23:43:12.04 ID:oGCtw+mZ0
敵もまた声を荒げて一斉に真子に向かっていく。
彼女達は身をもって思い知る・・・
マジになった真子の恐ろしさを。
“ドサッ”─
真子の目の前にいた敵が突然倒れる。
「・・・!?」
敵は皆、足を止める。
「こいつ・・・今、何をした?」
「さぁ?・・・」

本気になった真子の右拳を捉える事は
彼女達にはできない。
一歩、真子は前に進み、
“ザッ”敵に向かって飛び出した真子。
“ドンッ”また1人倒れる。
真子は怯んだ敵の頭を両手で抱えこみ、
膝蹴りを顔面に叩き込み、体をくるりと
回転させ後ろにいた敵を・・・
“ドカッ”
後ろ回し蹴りで地面に叩き伏せた。

敵は悟る。

“勝てない”─
「これが・・・ZEROの小嶋真子・・・」

真子はじりじりと敵を追い詰める。
「今は“マジ女”の小嶋真子だよ・・・」─

未姫を捕らえているガンギレのヤンキー達も
追い詰められているのは、自分達のほうだと気付く。
未姫の周りには5人ほどいたが、
誰も真子に挑もうとはしなかった。
“本能”が“勝てない”と思わせた。
ガンギレの1人が、やられていく仲間の姿を見ながら、
震える手で携帯を取り出す─
82サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/22(水) 00:08:06.92 ID:/iTMZRyL0
ガンギレ高校の近くの喫茶店にいる
“薮下柊”の携帯電話が鳴った。
「はい」

“柊さん・・・!うちら・・・このままじや・・・!”

「なんや?落ち着かんかい」

“アイツに・・・小嶋真子に潰されます・・・!”

「・・・あんだけの人数をやりおったんか・・・」
柊は隣にいる“奈々”と“凪咲”のほうに
顔を向け、首を横に振る。

“・・・どうしますか?”

携帯で話す仲間に聞こえないように
2人に柊は言った。
「・・・うちが行くわ」

すると奈々は柊に手を出し、
「私が話す・・・代わってくれ」と携帯を手に取る。
「おい、“人質”はまだこっち側か?」

“はい・・・けど、時間の問題です・・・”

奈々の耳にも聞こえる誰かの叫び声。
奈々は“最後の手段”に出る。

──「“西野未姫”の眼帯を今すぐ外せ」

「え?・・・」

「死にたくなければ今すぐ外せ」

「わ、わかりました!」
─“ッツー”電話を切る奈々。
未姫の“秘密”を奈々から聞いていた凪咲は、
奈々の顔を見て不敵に微笑む。
「ほんまに・・・血も涙もないな。あんたは」

奈々は自分の頬にそっと触れる
“一粒の涙のタトゥー”を指でなぞり
妖しく微笑みかける。
「涙なんて神が人間に与えた
  ・・・ただの飾り物さ」──
83名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 00:10:29.59 ID:K6xZm9fH0
サ−モン毎回ありがとな
初回の時から全部楽しく読まして貰ってるよ
NMB編のちゃぷちゃぷは笑たわ
84サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/22(水) 00:11:57.95 ID:/iTMZRyL0
感想ありがとうございます!
>>83
覚えています(^^)/こちらこそ!
85サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/22(水) 00:45:17.81 ID:/iTMZRyL0
その少し前─
奈々に言われたとおり、未姫の眼帯を
取ろうとするガンギレの生徒。
真子はもうすぐそこまで来ている。
仲間ももう、立っているのは3人しかいない。
テープで固く両手を巻かれた未姫に
“ナイフ”を突きつけ、真子を止めようとする。
「・・・動くな。本物だぞ・・・」

真子は足を止め、未姫に視線を送る。
未姫は涙を零し、「・・・もう止めて・・・」と敵に訴える。
だが敵の1人が、足を止めた真子を潰そうとした。
“バシッ”真子は顔面を殴られるが、
敵を睨み続ける。
未姫は叫ぶ─「止めてよ・・・!お願い!」
敵は動きを止めた真子を殴り続ける。
「許さない・・・」
未姫は泣きながら小さな声で囁く。
「“夜叉”・・・真子を助けて。・・・お願い・・・
 私はどうなってもいいから・・・」

そしてナイフを突きつけているもう1人が
未姫の眼帯を取ろうと・・・
手を延ばした・・・その時──
未姫がガクッと下に俯く。

「なんだこいつ?気絶したのか?」
敵は未姫の髪を掴み、無理矢理に顔を上げようとした。
「・・・!」敵の目に映った“微笑み”。
未姫・・・いや、“夜叉”が笑っていた。
“きゃははっ・・・”
──「“死ね”」
未姫の激しい怒りによって“夜叉”が目覚めた─
86名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 01:38:01.29 ID:AdZ6xkvy0
サーモンさんがいるとは!
保守保守
87名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 02:51:25.77 ID:HtlBzGlaP
ほす
88名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 04:58:04.77 ID:4VI3J7kZO
続きが気になるーっ
保守保守
89名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 06:45:21.90 ID:lIT5VPPC0
超☆保全!
90名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 08:26:32.49 ID:38gagmct0
期待age
91名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 11:22:23.35 ID:qV+2Z7uK0
>>85
なんて魅惑的な文章なんだ!
92名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 12:12:30.20 ID:NWWgqj2X0
保守
93名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 13:39:35.88 ID:+4BvUBlV0
素人の特徴

「説明する」
94名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 15:42:33.81 ID:38gagmct0
保守
95名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 17:49:01.22 ID:kZIdqkHoP
先生\(^o^)/
96サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/22(水) 19:07:11.62 ID:/iTMZRyL0
真子は未姫の変化に気付き険しい表情で声をあげた。
「未姫!!」
 
夜叉はチラッと一瞬、真子に視線を送った後
「未姫じゃない・・・」敵のほうへと顔を向けた。
夜叉はナイフを持つ敵の手を蹴り上げる。
その軌道は美しいほどの垂直。
“ザッ”ナイフはくるくると宙を舞う。
呆気に取られた敵を後ろ回し蹴りで倒した。
落ちてきたナイフを“パクッと”口に加え
両手に巻かれたテープをナイフで切る。
一瞬の出来事だった。
自由になった手をぷらぷらと揺らし
口に咥えたナイフを手に取る。
「私は夜叉だよ?・・・」
ナイフで髪を縛るゴムを切る夜叉。
バサッと長い髪が肩に触れる。
右手にナイフを持ち、右手で眼帯を取った─
“真紅の瞳”が真子を見据える。
97サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/22(水) 19:08:11.71 ID:/iTMZRyL0
真子は“夜叉”の姿に戸惑いを隠せない。
「・・・夜叉・・・未姫はお前の中か?」

「そうだよ。“未姫”が望んだ事さ」
ガンギレの生徒は2人が話している隙に、
その場を去ろうと静かに後ずさる。
夜叉が首をコキッと鳴らし、敵のほうへ
顔を向けた。
「真子を守って・・・だってさ?」
夜叉は逃げようとする敵に向かって走り出し
“ザッ”飛び上がる。
拳を振り下ろし、倒れた敵をまたぎ、
見下ろす夜叉。
“ドカッ”腹を踏みつけた。
そして拳を顔面へと振り下ろす。
「あははっ・・・キャハハハッ!」
ピッと夜叉の顔に返り血が付く。
何発か殴った後、夜叉は飽きたのか
スッと体を起こした。
残された敵の1人は、ガタガタと恐怖で足を震わせている。
夜叉がニヤリと不気味に微笑みかける。

─「君も“ひき肉”になる?」
98名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 19:31:50.97 ID:uxYXQt5p0
ひき肉待機age
99名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 20:29:30.95 ID:DfN4zOFt0
僕もひき肉になりたいです

どうかこのまま書き続けてください

頼みます
100名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 21:24:25.81 ID:4VI3J7kZO
続ききてた(・∀・)ノ
みきちゃん怖可愛い保守
101名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 22:13:10.25 ID:38gagmct0
保守
102名無しさん@実況は禁止です:2014/01/22(水) 22:25:35.84 ID:1BjwsvDO0
維持
103サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/22(水) 23:39:29.53 ID:/iTMZRyL0
「や、止めろ・・・うわぁぁ!」
背を向けて逃げようとした敵の襟を掴み
蹴るように足払いする夜叉。
転んだ敵の腹をボールを蹴るように蹴る。
敵は苦痛で顔を歪め、腹を押さえている。
顔を上げ、夜叉に脅えていた。
夜叉は敵の胸ぐらを掴み、拳を上げた。
だが、その時夜叉の腕が背後から掴まれた。
1人しかそんな事をする人間はいない。
夜叉は振り返る。
「放してよ?」

「もういい。止めろ」 
“バッ”夜叉は真子の手を払うと、
真子を見てニヤリと微笑む。
「・・・後少しだったのに残念だったね。
 “未姫”を助けられなくて」

「どうすれば未姫と話せる?」

「・・・無理だよ。君はもう未姫とは話せない。
 アイツの人格はそのうち消える」

「そんな・・・」
真子には引っかかっていた事があった。
なぜ未姫はここまで自分を慕うのか。
「・・・未姫はなぜ私を選んだ?」

「・・・君に憧れていたのかな。多分」
夜叉の顔つきが変わる。
笑みは消え、真剣な表情で真子を見つめ
言葉を続けた。
「未姫と君はとても似ている。
 力を誰かのために使っても・・・
 その誰かは、未姫を見て脅え、そして離れていった。
 アイツは孤独だった。 
 ・・・君もそうだろ?」

夜叉の言葉に、真子は自分の姿を重ねた。
求めれば求めるほど、“それ”は離れていく。
だから諦めた。手を延ばす事を。
そのほうが辛くないから・・・。
104サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/22(水) 23:56:36.81 ID:/iTMZRyL0
夜叉は言葉を続けた。
「君には1人で戦おうとする強さがあった。
 以前の未姫は辛い事は“私”に押し付け
自分の力で戦おうとはしなかった。 
君に出会い、そんな“弱い”自分を恥じたってところかな」

「未姫と私は似ているかもしれない。
 けど・・・あいつは諦めなかった。
 私に手を差し伸べてくれた。
 あいつは・・強い人間だよ」

「お前に感化され、、強くなろうとしたアイツは・・・・・
 私に頼ろうとはしなくなった。
 危うく、閉じ込められるところだったよ。
 まぁ、最後の最後で自分に負けたけどね」

「・・まるで見ていたかのような言い方だな」

「未姫が見た物、聞いた事は全て知っている」
 
「じゃあ・・・“未姫”も今が見えているって事だな?」

「さぁね・・・」
じっと真子は夜叉の目を見据える。
そして未姫を安心させようと真子は優しく微笑む。
「未姫・・・聞こえるか?
  強くなりたいなら・・・自分に勝て」

─「やっぱり・・・“お前”は私にとって危険な存在だよ」

夜叉はそう言ってゆっくりと歩き始め、
真子に近づいていく。
真子はなぜか悲しそうな表情をする。
例え人格は“別人”でも見た目は未姫。
そしてその“別人”は未姫の中で“自分”を見ていた・・・
孤独なのは・・・夜叉。
「お前と戦いたくはない・・・」

“ザッ”真子の前に立つ夜叉。
「君らしくないなぁ?・・・大丈夫だよ。  
“マジ”になっても・・・“私”には勝てないから」

その瞬間─
突き刺さるような殺気を感じる真子。
夜叉は不気味に微笑む。

「・・・あげるよ・・・
 未姫に、二度と近寄れないほどの恐怖をさぁ!」
夜叉の拳が真子に向けられた。
105名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 00:39:52.57 ID:qD+SM7Y1P
さとうきあらはデブ さとうきあらはデブ
さとうきあらはデブ さとうきあらはデブ
さとうきあらはデブ さとうきあらはデブ
106名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 00:52:21.08 ID:t/Kh28ll0
先生ありがとう\(^o^)/
明日もお願いします!
107名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 02:06:32.42 ID:gPiS3BcQ0
保守
108名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 06:39:42.34 ID:t/Kh28ll0
サーモン先生\(^o^)/
109名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 08:57:43.54 ID:kI/QlA7V0
保守
110名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 10:00:47.92 ID:DOtJH+dX0
111名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 12:38:14.67 ID:z8HefiQeP
保守
112名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 14:39:37.59 ID:JcHg13tI0
age
113名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 17:35:43.28 ID:z8HefiQeP
保守
114名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 18:09:33.58 ID:fahd/YI60
前半

マジ女のテッペン争い
ラッパッパ
部長センター
副部長ネズミ
四天王
さやねえ
ミルキー
ゲキカラ
おたべ
115名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 18:13:42.31 ID:fahd/YI60
高校1年
新星軍登場
三銃士の
まこ
おか
ひめ

パートナー
める
りょうは

新星軍は果たして部長のセンターまで階段を登れるのか!?
116名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 18:18:57.27 ID:fahd/YI60
後半
プリズン班がセンター達に合流
ぱる
ピース
名無し

センターとぱる達はプリズンの闇の組織と対立

無事にノブナガ達を助けることができるのか!?

今年の春のドラマで・・・・・
117サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/23(木) 19:36:05.55 ID:93hAXys10
「夜叉・・・!」真子は夜叉の拳を左手で受け止めるが・・・
“くっ”力ずくで押し切ろうとする夜叉。
真子は徐々に押され始める。
「・・・!」その細い腕からは考えられないほどの力。
このままでは危ない。
真子は反射的に拳を向けた。
だが夜叉の顔を見て思いとどまる真子。
拳は夜叉の目の寸前でピタリと止まる。
「優しいなぁ。けどこのままじゃ・・・」
夜叉はにっこりと微笑んだ後、
左のハイキックを真子のこめかみに叩き込む。
“ドカッ”体をよろめかせる真子。
夜叉の蹴りもまた、拳と同様に空を切るように
素早く、そして重い一撃だった。
スゥーとゆっくり左脚を下ろす夜叉。
─「君、本当に死んじゃうぞ?」

怪我をしていない状態で闘ったとしても
勝てるかどうかわからない。
夜叉の攻撃は真子にそう思わせた。

センターと闘った時でさえ、
感じた事がない“焦り”が真子を襲う。
だが容赦なく、夜叉は真子に攻撃する。
夜叉の右の拳を体を反らせなんとか避けた。
夜叉は蹴りで真子の腹部を狙う。
“ドカッ”体をくの字に曲げた真子は
痛みで顔を歪ませた。
その瞬間─
夜叉は脚を高く上げ、真っ直ぐ踵を
真子の頭にめがけて振り下ろした。

“ガッ”─

「殺す気か・・・」
ツゥーと真子のこめかみから流れる血。
「“殺す気”だよ?」
夜叉はあどけない顔をしてそう言った。
118サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/23(木) 21:17:25.14 ID:93hAXys10
夜叉の踵落としを間一髪避けた
真子は夜叉を見据える。

“真子ちゃん、私と友達になって!”
未姫の笑顔が真子の脳裏をよぎる。

「あいつは言っていたよ。
 気付いたら手に血が付いてる事があるって・・・
 悲しい顔でそう言ってた」

「ふ〜ん。・・・で?」
“ザッ”─夜叉の右のハイキックが
容赦なく真子を狙う。
ガッ、左腕でガードした真子は
真っ直ぐな瞳で夜叉を見つめる。
「“未姫”は閉じ込められたら
 お前と違って外が見えないって事だ」

夜叉は真子の胸ぐらを掴み、不敵に微笑む。
「そのとおり。だからなに?」

真子は自分を掴む夜叉の手にそっと触れる。
とても悲しそうに・・・
「怖いだろうな・・・ってさ」

夜叉の手を掴み、力を込める真子。
「暗闇の中であいつは1人でいる。
 」

夜叉は掴まれた手に痛みを感じ
真子を睨みつける。
「それは・・・私もさ・・・」

「寂しいか?“夜叉”・・・」
力ずくで真子は、ググッと夜叉の手を胸ぐらから放すと
拳に力を込めた。
「私が“暗闇”から“2人”とも助け出してやる」

真子の拳が夜叉の頬に叩き込まれる。
真子は夜叉に言った。
「バカなクソガキ達に教わった事がある・・・」

夜叉は唇から流れる血を拭い、顔をあげた。
真子が言葉を続ける。
─「“マジ”でぶつかれば、ダチになれるらしいぜ?」─
119名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 21:43:30.78 ID:xEI6h31M0
Sみきちゃんに興奮です

これからもよろしく頼みます
120名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 22:03:25.95 ID:ocKYL5d60
「”マジ”で保守すれば、続きが読めるらしいぜ?」
121名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 23:07:33.54 ID:U1QjXs2b0
マジage
122サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/23(木) 23:35:43.02 ID:93hAXys10
体力の限界は超えていた。
だが助けてくれた涼花や相笠のためにも
ここまで来て負けるわけにはいかなかった。
未姫を・・・そして夜叉を救う。
真子の拳が夜叉の顔面を狙った。
ギリギリで避けた夜叉の頬から血が滴り落ちる。
“アハッ、キャハハハッ!”
─「邪魔するなよ?私達の世界を!!」
夜叉の拳を受ける真子。
夜叉は追撃しようとさらに左の拳を向ける。
それを右腕でガードした真子が
“バシッ”右の拳を夜叉に叩き込む。
夜叉は顔を上げると同時に、
裏拳を真子に叩き込む。
夜叉は落ちていたジャケットを拾い上げ、
それを真子の頭にバッと覆い被せる。
「・・・!」
夜叉の膝蹴りが顔面に直撃。
視界の見えない真子に攻撃を非情にも続ける。
“ドカッ”“ドカ”─
そしてトドメの拳を叩き込むと、
ジャケットは床にバサッと落ちた。
ぱっくり切れた真子の瞼から血が流れる。
・・・夜叉は強い。
「・・・・・・くそっ」

“アハッ、キャハハハッ!”
「そんな体じゃ勝負にならないよ。
 君は勝てない」──


この喧嘩を裏で操っていた者。
岡田奈々は柊達と別れ、1人街中を歩いていた。
仲良さそうに話す中学生達が目に映る。
奈々は足を止め、その2人をどこか懐かしそうに
見つめていた。
真子とつるんでいた頃を思い出す。

──「奈々。聞いたか?
   うちらさぁ・・・他の中学の奴らに、
   “なまこコンビ”とか呼ばれているらしいぜ」

「・・・なんだそれ」

「どうせならもっとカッコいい名前がいいよな。
 奈々はそういうの考えるの得意だろ?なんかない?」

「そうだな・・・
 “ゼロ”なんてどうだ?うちらで0から伝説を創るんだ」

「おっ、いいね〜!」─
楽しそうに笑う真子の笑顔を今も思い出す。
あの頃は何もわかっちゃいなかった。
私の本当の敵が“誰”なのか・・・
奈々はふっと微笑み、また歩き出す。

─「“宿命のライバル”・・・か」


 
123名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 23:40:28.38 ID:xEI6h31M0
ななちゃんみきちゃん

まこをいじめるのをやめておくれ
124名無しさん@実況は禁止です:2014/01/23(木) 23:50:49.84 ID:JcHg13tI0
みきちゃんはいいこなの!
悪いのは夜叉なの!
125名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 01:10:48.66 ID:smhLyoQlP
まこちゃん!
126名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 01:56:22.57 ID:uoGrt0iP0
番組の途中ですがCMです。
http://i.imgur.com/CiZQL4O.jpg
127名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 02:49:59.93 ID:LP/sEnmt0
保守
128名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 03:06:11.60 ID:R5TsUzD70
奈々と真子が仲良かった時期があったのが意外・・・・
サーモンさんの作品の奥の深さには脱帽します。
129名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 04:53:37.10 ID:LP/sEnmt0
保守!
130サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/24(金) 06:41:45.77 ID:D29BfR4D0
あまり更新できずにすみません
もし落ちましたら書き上げてからスレ立てます(>o<)
131名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 06:41:46.25 ID:Equ7aJ+v0
132名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 08:45:12.71 ID:LHX/mwTtO
保守!!
133名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 09:33:09.73 ID:Gcz9XiK70
>>130
落としませんよ先生☆〜(ゝ。∂)
134名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 12:58:07.35 ID:I+LvAamJ0
まこちゃん
135名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 13:29:09.54 ID:kS8zE72Y0
136名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 15:39:33.66 ID:xzPIbl9b0
マジ女のテッペンに就いた部長のセンターと副部長のネズミが今日も屋上で会話する

センター「私が優子さんや前田のように部長が務まるだろうか、なあ、ネズミ!」

ネズミ「あっしがいるから大丈夫っすよ、センター!あっしはセンターの勝利の女神っすよ」

センター「ありがとう、ネズミ!」
137名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 18:24:43.39 ID:zktHKOMiP
138名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 19:19:12.04 ID:WXrt0x260
保守
139サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/24(金) 20:04:45.95 ID:D29BfR4D0
その頃、廃工場の入口でなにやらこそこそと
中を覗き見しながら話している者達がいた。
チームぽん酢の5人だ。
篠崎彩奈は少し困った顔をしている。
「遅れたうえに、すっかり出て行くタイミング見失っちゃったね」

茂木は心配そうに相笠と涼花のほうへ
視線を送る。
「あいつらだけでも助け出さないと・・・」
「真子は?」と高島がつっこむと
茂木は少し間を置いて、
「行ったら・・・うちらが“夜叉”に殺されちゃうだろ」

すると村山が覚悟を決めたような表情に変えた。
「私、真子を助けに行くよ。
 ・・・あいつ、噂ほどそんな悪い奴じゃないし」
そして、村山は中へと入っていった。
岩立はそんな村山を見て言った。

「え〜、は〜やい〜」─

そして5人は廃工場の中へ入っていった。
すぐに涼花と相笠のもとへかけより、
声をかける。
すると涼花が目を覚まし、次に相笠が意識を取り戻した。
「ん・・・お前ら・・・。おっそ!!」
と言った相笠は思ったよりも大丈夫そうだ。
涼花はまだ頭に痛みが残っているせいか
時折、苦痛で顔を歪めていた。
「・・・真子は・・・アイツはどうなった?」
「今闘っている・・・」
7人は真子と夜叉の戦いを見て息を呑む。
「アイツ・・・・・なぜ夜叉と」
相笠がそう呟くと、村山が立ち上がる。
「私、行ってくる。真子を助けに!」
だが、涼花は険しい表情で村山の腕を
掴み、止めた。

「・・・うちらが出る幕じゃない。
 タイマンじゃなきゃ伝わらない事がある」
涼花はなんとなく分かっていたのかもしれない。
真子が夜叉と闘う理由を──
140サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/24(金) 21:48:38.66 ID:D29BfR4D0
──「しつこいよ・・・!君・・・!」
夜叉は叫び、真子を殴り飛ばす。
ザッ、倒れまいと真子は足を踏みしめ堪えた。

もうどれくらい殴っただろうか。
攻撃は夜叉のほうが多い。
体力の限界を超えていた真子は
隙を見て反撃する程度。

だが・・・“恐怖”を感じていたのは
夜叉のほうだった。

後一発殴れば倒せる。
そう思い攻撃しても、真子は立ち上がる。
それが繰り返される恐怖と焦りが
夜叉を動揺させた。
“ガッ”真子の胸ぐらを掴む夜叉。
「どうしてそこまで・・・!」

「私が倒れたら・・・“おまえら”は
 何も変わらないだろ・・・」

「・・・余計なお世話だ・・・。
 お前に“私達”の何がわかる!!」
─“ドカッ”
夜叉は真子を殴り飛ばし、地面に手を
付いた真子の姿を、息を切らしながら見つめる。


まだ・・・立ち上がるのか・・・
こいつ・・・

真子は膝に手をかけ、ゆっくりと立ち上がる。
「・・・こうして闘って、気づいた事がある・・・
 お前は未姫の事を大切に思っている」

闘いのなかで真子は、夜叉の心を見ていた。
夜叉の強さの秘密は、未姫への思い。
141サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/24(金) 21:52:18.29 ID:D29BfR4D0
心を見透かされた夜叉の目は悲しみと憎しみが
入り混じったような・・・
そんな目をしていた。
「・・・・・・中2の時。
 未姫は、酷いイジメにあっていてね。
 地獄のような日々の中で、未姫は
 心の中で毎日誰かに助けを求めていた・・・・・・
 終わりの見えない苦しみは、精神を蝕んでいった」

「そして・・・“お前”が目覚めた」
真子は夜叉の目を見据える。
夜叉は言葉を続けた。
「私は未姫の苦しみや悲しみを代わりに背負った・・・・・」

夜叉はそっと目を瞑る。
開いた真紅の瞳から零れた涙が頬を伝う。
「真子・・・・“お前”にわかる?
 未姫が赤いバラなら私はその醜い棘なんだ。
 未姫を守ってきた・・・ずっとね」

「夜叉・・・・・」真子が夜叉に歩み寄ろうとした時─

「・・・けど、私はもう必要ないのかも・・・
 君を殺して・・・私は消える」
夜叉は地面に落ちていたナイフをそっと拾い、
真子にその切っ先を向けた。
「それがお前の答えか?“夜叉”」

「終わりにしようよ。
 “友達”なら一緒に来てくれるよね?」
142名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 22:09:17.29 ID:Equ7aJ+v0
岩立はそんな村山を見て言った。
「え〜、は〜やい〜」─

まさに天才w
143名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 22:12:10.58 ID:I33MEm6T0
まこちゃん選抜入り本当におめでとう!

これからも楽しみにしています!
144サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/24(金) 22:14:51.84 ID:D29BfR4D0
今知ったけど選抜おめでとうございます!
145サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/24(金) 22:58:55.95 ID:D29BfR4D0
夜叉はそう言って涙を零し、
にっこりと微笑み・・・ゆっくりと真子に
近づいていく。
真子は夜叉の目を真っ直ぐ見据え、
拳からスカーフをスッと外した。
「未姫がそれを望むなら・・・」

「絶望するね・・・」
接近し足を止めた夜叉は両手でナイフを握り、
真子の目を見つめ囁いた─
「ごめんね・・・未姫・・・」
前へ歩き出す夜叉。
真子の腹部にナイフの切っ先がゆく。

その時だった─
“止めて!夜叉!”
夜叉に聞こえた声。
夜叉は足を止め、目の前に立つ者の姿に戸惑う。
「どうして・・・お前が・・・!」

真子を守るように両手を広げている。
“2人とも死なせはしない!”

夜叉は叫ぶ。
「・・・“未姫”!!」──
146名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 23:01:58.32 ID:I33MEm6T0
夜叉ちゃん!
やめてええええええええええええええええええ
147サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/24(金) 23:17:44.92 ID:D29BfR4D0
それは夜叉にしか見えていない・・・
未姫の幻影だった。
“ごめんね・・・1人にして・・・
 私だけズルいよね・・・”

「・・・消えろ!・・・こいつを助けにきたのか!?」

“・・・夜叉の心の叫びが、初めて聞こえたの。
 私は夜叉の気持ちを分かっていなかった・・・”

「今更・・・そんな事・・・」
夜叉は地面にナイフを落とし、
未姫に殴りかかろうとする。
「・・・どけ!!」
夜叉の拳は未姫の幻影をすり抜け空を切る。
「・・・未姫?」真子は夜叉の様子に驚くが、
未姫が守ってくれていると気付いた。
「未姫!!」

未姫は真子のほうへと振り返り、相笠と涼花の方へも顔を向けた。
“・・・ありがとう。皆のおかげで私は・・・
 夜叉と向き合えた”
夜叉に視線を戻し、真っ直ぐ見つめる未姫。
“これからは私が夜叉を守る。
 私達はずっと一緒だよ?”

そう言って歩み寄る未姫。
その真っ直ぐな目は強い眼差しで、
夜叉の知る未姫とは違っていた。
夜叉もまた未姫の目を見つめる。
「・・・・未姫・・・お前・・・」

“今までごめんね・・・私を許して”

「・・・・・強くなったよ。本当に」
そう言って微笑んだ夜叉を優しく抱きしめる未姫。
そして未姫の幻影は徐々に消えていき
最後に夜叉へ言葉を残した。
─“私達は友達だよ”─

夜叉は目を瞑り、求め続けた友の腕の中で
眠りについた─
悲痛に叫ぶ少女を残酷な狼の群れの牙から守るため
夜叉は生まれた。
一つの体の中で二人は支えあう。
これからも。
こんな詩がある。

オオカミたちの夜が近づいて
主のいないボート小屋で眠ろう
君の体温 感じてるだけで
心はほっと安らいで来るんだ
    
バラはなぜここで咲いていたのか
そしていつから その実をつけたのだろう
刺が守る信じられない花の意地
美しいバラの果実─
148名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 23:21:12.74 ID:qyKB/ste0
すごい
鳥肌立った
149名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 23:34:36.41 ID:jqR8sXmK0
バラの果実で締めるとか…涙腺が…
150名無しさん@実況は禁止です:2014/01/24(金) 23:44:25.40 ID:I2vJqjol0
>>46
お前は俺かw
151名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 00:18:48.50 ID:Fdni68z40
天賦の才
152名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 01:03:14.87 ID:5mp0/xdp0
やばい、泣ける…(ノД`)
153名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 02:57:55.99 ID:78Tg1Uz80
154名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 05:45:39.98 ID:X3ksZEny0
支援
155サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/25(土) 06:54:04.17 ID:W4gaqZ3Z0
ほしゅありがとうございます。
おかげで未姫編までかけました。
156名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 08:49:53.20 ID:Fdni68z40
サーモンさんの4メンへの愛情が詰まってる
157名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 11:18:38.82 ID:Fdni68z40
名作保全(^人^)
158名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 13:16:38.01 ID:0h77Z8lFP
>>155
こちらこそ楽しませて貰いました
ありがとうございます!
159名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 14:59:51.47 ID:2Z3SagWJ0
保守
160名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 17:25:21.71 ID:1tFywo0z0
「サーモンさん・・・・“スレ主”にわかる?
 スレが赤いバラなら読者はその醜い棘なんだ。
 スレを保守ってきた・・・ずっとね」
161サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/25(土) 19:02:06.13 ID:W4gaqZ3Z0
膝から崩れ落ち地面へ倒れた夜叉。
「・・・おい!夜叉!」真子は血相を変えて飛び出し
夜叉の体を抱きかかえる。
夜叉の名を叫び続ける真子。
そして倒れた夜叉の姿を見て村山と高島に肩を借りながら
相笠と涼花、そしてチームぽん酢の者達が
2人のもとへとやってきた。
「なにがあったんだ?いきなり倒れたよな?」
相笠は真子に問いかけるが、
真子も真実はわからなかった。
「よくわからない・・・ただ、夜叉は未姫と
 話をしていたように見えた」

「マジかよ・・・そんな事って」
涼花は驚いた顔つきで夜叉の顔を見つめる。
すると、ピクっと夜叉の瞼が動いた。

「あ!」夜叉が起きると思ったチームぽん酢は
ささっと真子の後ろに下がった。

夜叉が倒れる前、夜叉は何かに安堵したように
優しく微笑んでいた。
目を覚ましたのが夜叉だとしても、
攻撃してくる事はない。
真子はそう確信していた。
真子は警戒する事なく、じっと夜叉の顔を見つめる。
“どちらも”もう、仲間だから・・・

─「・・・真子・・・ちゃん・・・」
162サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/25(土) 19:04:02.56 ID:W4gaqZ3Z0
─目を開けた“未姫”は仲間達の姿に
視線を送ると、静かに涙を零した。

「・・・皆・・・。ありがとう」

真子は子供を寝かせる母のように
優しく微笑んだ。
「おかえり。未姫」

「ただいま・・・・・・私ね、夜叉と友達になれたんだぁ・・・」
意識がまだ朦朧としているのか、ゆっくりと言葉を話し、
嬉しそうに未姫は微笑む。
あどけない子供のような笑顔だった。
真子は未姫の髪をそっと撫でる。
「良かった・・・・。お前達が少し羨ましいよ」

未姫は言葉を続ける。
「・・・“私達”・・・マジ女に来て良かった・・・」
真子は未姫の目から流れた涙を
手で拭う。
「未姫・・・ごめんな。痛いだろ?
 ・・・もう休め」

「いいの・・・これは、必要な痛みだから・・・」
未姫は安心したように目を瞑り、
眠りについた。

長い一日は終わった。
小嶋真子は未姫と出逢い、“本当のダチ”を見つけた。
真子を慕う未姫はもちろん、
助けに来た相笠と涼花、チームぽん酢は、
真子にとって大切な仲間となる。
そして、死闘を繰り広げた“夜叉”も。
163サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/25(土) 19:50:48.26 ID:W4gaqZ3Z0
─体が動く者達が車を拾い、怪我をした者達
をすぐに病院へと連れて行った。 
相笠と真子はすぐに退院できたが、
眠り続ける未姫と、頭を強打した涼花は検査入院となった。
次の日、真子と相笠はチームぽん酢を連れ
2人の見舞いへと向かった。
病室に入ると、楽しそうに未姫と涼花が話していた。
涼花は未姫と同じ病室で、目を覚ました未姫と
すっかり仲良くなっていた。

──「大丈夫だよ〜。もういきなり夜叉になったりしないから」
未姫はあっけらかんとした顔でそう言うが、
相笠はまだ少し警戒している。
「本当かよ・・・」

すると未姫は急に俯き、顔を上げ真剣な表情に変える。
「“マジ”だよ・・・」
変化した未姫の様子に、警戒しさっと構える相笠。
未姫が「わっ!!」と脅かすと相笠は
驚いて尻もちを付いた。
未姫は無邪気に笑っていた。
「騙された〜あははっ」

「てめぇ〜!」
相笠はすぐに立ち上がり未姫に声を荒げた。
すると涼花は興味深そうに未姫の顔を
まじまじと見つめ、顔を近付ける。
「この眼帯取ったら夜叉になるんだろ?
 漫画のキャラに出てきそうだよな〜」

そう言って未姫の眼帯に触れる涼花。
「取ってみようか?」

「バカ!止めろ!」と相笠が涼花の服を引っ張る。
“ズルッ”
態勢を崩した涼花の手には未姫の眼帯がある。
2人は声を揃えた。
──「あっ」
164サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/25(土) 20:30:52.22 ID:W4gaqZ3Z0
ゆっくりと未姫のほうへ顔を向ける2人。

真紅の瞳がこっちを見ている。
髪を留めたゴムを取り、首をコキッと鳴らした。
にっこりと笑う“夜叉”。
「ん?」夜叉は相笠を見て言った。

「あれ?君、未姫を助けに来て
 速攻やられちゃった人だよね?」

「な、なんだと!てめー!」
相笠は動揺して声を荒げた。
「萌、見せ場なかったもんな〜」と涼花は笑っていた。
真子もまたそんな3人の様子に笑顔で
楽しそうに笑っている。
夜叉は真子のほうへと顔を向ける。
「・・・礼を言うよ。真子」

「礼?」

「未姫が楽しそうだ」

「お前はどうだ?」

「・・・悪くないね」夜叉はふっと笑みをこぼす。
真子もまた嬉しそうに微笑む。
「いいよな・・・こういうのさ」

真子が本当に望んでいたのは、
仲間とくだらない事で笑い合う時間だったのかもしれない。
以前、“前田”が真子に言っていた言葉。
─“私はただ、みなみとバカやっていたかっただけなんだ・・・”
 “ダチのために私はマジになる”
その言葉の意味を分かり始めていた。
そして、小嶋真子はこの病院で、
“マジ女時代の前田敦子”を知る。
165サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/25(土) 20:36:57.07 ID:W4gaqZ3Z0
─「夜叉!てめぇ、シカトすんな!!」
相笠の怒りはまだ治まらないようだ。
ベッドから起き上がった夜叉は、
相笠の拳をいとも簡単にひょいっと避け続ける。
「君じゃ無理だって〜。
 いい加減にしないと、“ひき肉”にしちゃうよ〜?」

「ならてめぇは刺身だ!」
相笠がわけも分からず危ない事を叫んだ
その時、病室のドアが開く。
1人の看護師が相笠達を怒鳴りつける。
「うるせーんだよ!!
 ったく・・・お前ら何度言ったら・・・」

その看護師の姿を見て相笠と涼花は
姿勢を正し、“彼女”の名を呼ぶ。

─「“サド”さん!!」

真子はサドのほうへ顔を向ける。
「サド?」

するとチームぽん酢の物知りな岩立が驚いた顔つきで
サドを指差した。
「あっ!!この人・・・知ってる!!」

涼花は得意気に口を開く。
「ほらほら〜頭が高いぞ〜!
 この人こそ!長〜いマジ女の歴史の中でも〜最強と言われる
“あの”!大島優子が率いていた、
 最強武闘派集団ラッパッパの副部長・・・“サド”さんだ!」

マジ女の一同は驚いた顔つきでサドを
まじまじと見つめる。
サドは涼花のほうへと歩いていき、
“バシッ”と頭を叩いた。
「だから声が大きいんだよ!てめぇは!」
166名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 22:08:51.85 ID:AI1nFqKyO
サドさん登場!
167名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 22:19:52.38 ID:E/tP47Na0
作者は色々と良く分かってらっしゃる
168名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 22:50:00.94 ID:UrsRpKieO
病室の風景が目に浮かぶなぁ
169名無しさん@実況は禁止です:2014/01/25(土) 23:35:31.83 ID:aGQefWHE0
本当にありがとうございます
170名無しさん@実況は禁止です:2014/01/26(日) 01:20:30.28 ID:cyM0dr9u0
( ゚∀゚)o彡゚ 天才!天才!
171名無しさん@実況は禁止です:2014/01/26(日) 03:02:44.04 ID:bfJPtr/A0
まこちん
172名無しさん@実況は禁止です:2014/01/26(日) 05:13:54.98 ID:cyM0dr9u0
173名無しさん@実況は禁止です:2014/01/26(日) 09:53:14.59 ID:hra/c4QS0
( ゚∀゚)o彡゚ サーモン!サーモン!
174名無しさん@実況は禁止です:2014/01/26(日) 12:18:29.59 ID:R7aNFZBr0
断固保守
175名無しさん@実況は禁止です:2014/01/26(日) 12:26:04.95 ID:HW6k7wMa0
ちょw面白いじゃねーかwww
176名無しさん@実況は禁止です:2014/01/26(日) 13:01:01.31 ID:Dym47m7Z0
マジすか学園4はセンネズが部長と副部長なんだな
177サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/26(日) 13:23:02.67 ID:FS+RkpiO0
羨望の眼差しでサドに歩み寄るチームぽん酢。
夜叉は「ふ〜ん」と言ってベッドに戻り、興味が無さそうだった。

──「“前田敦子”・・・知ってますよね?」

真子はサドを真っ直ぐな瞳で見つめる。
“前田”の名を聞いたサドは、
急に真剣な表情に変え、真子を見つめる。

その目を見て分かる・・・。

最強と言われる大島優子や前田敦子と戦った
唯一の存在であるサドだから気付いたのかもしれない。

“小嶋真子”から感じた・・・

─優子や前田と同じ“頂点”の匂い──

「・・・なるほど。お前か?相笠と涼花を倒したって奴は・・・」

「・・・質問に答えろ」
真子の様子が変わった。
まるで涼花達と出会った時のような
トゲトゲしい殺気を放つ。
涼花は心配した様子で声をかける。
「おい、真子!止めろ!!」

だが真子はサドの胸ぐらを掴み、
鋭い眼光で睨む。

「なんであの人を“警察”に・・・!
 あんたもあの場にいたんだろうが!!」

「お前・・・前田の何だ?」
サドは静かに真子の手を掴む。
真子はサドを睨みながら、一筋の涙を零した。
─「・・・あの人は私を救ってくれた。
  それなのに・・・私はなにも・・・」

「・・・・・」
サドはそっと真子の手を服から放し
背を向けた。


「ここじゃ他の患者に迷惑だ。
 付いてこい・・・屋上で話そう」
178名無しさん@実況は禁止です:2014/01/26(日) 14:48:13.39 ID:cyM0dr9u0
先生キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
179サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/26(日) 15:06:33.70 ID:FS+RkpiO0
─空は夕焼けで真っ赤に染まり、
春の心地よい風が2人を包んだ。
サドは街の景色を眺める。
「よくこうやって・・・優子さんとマジ女の屋上から街を眺めていたっけ・・・。
 ・・・真子、だったか?隣に来いよ」

真子はサドの背中を見つめた。
何も言わず、サドの隣へと足を進め隣に並ぶ。
未だに敵意ある目をする真子の目を
見て、サドはふっと微笑む。
「前田も・・・そんな目をしていたよ。
 何を憎んでいるのか・・・
 何に悲しんでいるのか・・・
 よく分からない奴だった」

「・・・前田さんは“みなみさん”の事で
 自分を責めていた」

「あいつは変わっていった。
 マジ女に来て、色んな奴らと出逢い、戦い、
 少しずつ心を開いていった。
 いつのまにか、前田の周りには多くの仲間がいた」
サドは真子のほうへと顔を向ける。
「今のお前のようにな・・・」

サドは真子の“瞼”にあるまだ生々しい傷跡を見つめる。
夜叉との闘いで付いた傷跡だった。

「私もそうだ・・・マジ女で優子さんと出会って変われた」
サドは自分の瞼にある傷跡にそっと触れ
真子の顔を見て笑う。
そんなサドの笑顔は真子の瞳から敵意を無くした。
真子は静かに口を開く。
「優子さんて・・・」

「・・・・・・あの人は前田を可愛がっていたよ。
 前田も優子さんを慕っていた。
 正反対の性格だったからこそ、
 きっとお互いに惹かれ合う何かがあったんじゃねーかな。
 けど・・・優子さんの死は前田を再び闇の中でさ迷わせた」
180サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/26(日) 15:09:03.01 ID:FS+RkpiO0
サドはそう言って街の景色へと視線を
戻した。真子はそんなサドの顔を
じっと見つめる。
「・・・苦しかったでしょうね・・・とても」

「前田はずっと何かの答えを探していたようだった。
 暗闇でもがくように、街のチンピラを狩り続け
 前田は警察に追われた。
 けどあいつは逃げなかったよ。
 矢場久根との闘いに、姿を見せた」

「・・・どうして?・・・警察がいたんですよね?」

「“答え”を見つけたんだ。
 だから前田は全ての“ケジメ”を付けにきた。
 それが前田の望みだった。
 ふっきれたって顔してたよ。
 だから何の不安もなくセンターに“優子さんのスカーフ”を託せたんだ」

警察に捕まった事は前田の意志だった。
「そうだったんですね・・・」
真実を知った真子は、そう呟き街の景色を見つめる。
真子は何かを考えるように、瞳を閉じ、
風を感じるとスッと瞳を開ける。
まるでサドに心を開くように─

「・・・私が中1の頃でした。前田さんと出会ったのは。
 私は・・・どうしようもなく荒れていて
 いつも街のヤンキーに喧嘩を売っていた。
 そんな時でした・・・私がぶっ飛ばした奴は
 地元でも有名な族のレディースで
 男達を何人も連れてきて仕返しにきた」

サドは聞いた事があった。
その“伝説”を。少し驚いた顔つきをする。
「まさか1人で族を潰したって話しか?」

真子は笑みをこぼす。
「真実は違いますよ。
 小学生でもないし、私は1人じゃ勝てませんでした。
 あれは・・・」──
真子は話し始めた、真実を。
181名無しさん@実況は禁止です:2014/01/26(日) 16:42:27.21 ID:xvPKLw3Y0
期待挙げ
182サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/26(日) 17:17:48.88 ID:FS+RkpiO0
──「こいつ・・・!本当に中坊か!?」
真子の目の前には特攻服を着た男達とレディースが、
10人以上いる。
だが、真子の後ろには族の仲間が6人ほど苦しそうに倒れていた。
中1の真子に敵は容赦なく襲いかかり、
真子は傷だらけになっていた。
「はぁ・・・はぁ」と息を切らしながらも、
“まだ挑む”そんな目をしていた。
「潰せ!!」真子に襲いかかる敵。
真子は殴られるが、拳を握りしめ殴り返す。
だが違う敵に横から殴られ、
“バシッ”真子が体をふらつかせると、
また違う敵が真子を殴りつける。
地面に倒れ、手を付く真子。
その時だった─
顔を上げた真子の前に、“1人の高校生”が現れたのは・・・

その少女は真子を守るように
敵の前に立つ。
─「あんたら、中坊相手に何してる?
  ダセー真似してんじゃねーよ・・・」

敵は少女の顔を見て驚く。
「こいつ・・・!“八木女”の・・・!」

少女はカバンを地面に投げ捨てると、
敵に向かっていった。
真子は驚きを隠せなかった。
ひとつの族が、1人の高校生に殆ど一方的にやられていく。
少女は恐ろしく強く、そしてカッコ良かった。
全員倒すと、少女は真子に歩み寄り
すっと手を差し伸べる。
月灯りがその少女を照らす。
「・・・大丈夫か?」

「は、はい・・・」

「まだ中坊だろ?
 族と喧嘩する中坊なんて初めて見たよ」
そう言って少女は微笑む。
真子は少女の手を掴んだ。
「・・・もしかして、八木女の・・・」

少女は真子の手を引っ張り、立ち上がらせる。

─「私は“前田敦子”・・・よろしくな」
183名無しさん@実況は禁止です:2014/01/26(日) 17:19:43.12 ID:cyM0dr9u0
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
184サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/26(日) 17:23:23.75 ID:FS+RkpiO0
真子は病院の屋上から街の景色を見つめる。
遠くを見るように、あの時の前田の姿を思い出していた。
「当時から有名でした、八木女の前田敦子・・・・・
 そして同じ学校の“高橋みなみ”。
 この2人は、うちら中坊の憧れだった。
 まさか・・・そんな人が自分を助けてくれるとはね」

サドは真子のほうへと顔を向ける。
「“伝説”の本当の主人公は、前田だったってわけか・・・」

「ええ。私じゃありませんよ。
 私は・・・あの人には遠く及ばない。
 一緒にいればいるほど、それが良く分かった。
 けど、それでも私は楽しかった。
 憧れの人といる時間は夢のようでしたよ」

そして真子は悲しそうな目に変え
言葉を続ける。
「だけど・・・そんな時間は長くは続かなかった」

「あの事件か・・・」

「はい。私が駆けつけた時には・・・
 みなみさんはもう・・・。
 前田さんは泣き崩れていました・・・。
 私はただ、見ている事しかできなかった。
 その次の日、前田さんは病院から姿を消したんです。
 血眼になって探しましたよ」

「ダチの敵討ち・・・
 前田ならそうするだろうな。
 あいつは・・・そういう奴だ」

「止めていなかったら、
 きっと前田さんはガンギレの奴らを殺していましたよ。
 それくらい・・・あの時の前田さんは怖かった」
185サーモン ◆pdlO7HZYuo :2014/01/26(日) 17:26:50.17 ID:FS+RkpiO0
─“放せよ!!こいつらが・・・みなみを・・・!!”

“前田さん・・・・!”

“・・・・みなみ・・・!
 ・・・みなみ・・・うわぁぁぁぁ!”
前田は真子の胸で泣き叫んだ。
血まみれになったガンギレの生徒達は
前田に脅え、倒れた仲間を連れ逃げるように去っていく─

「前田さんはしばらくてマジ女に転校していった・・・
 それから私は、あの人を超えようと喧嘩に明け暮れたんです。
 必死でした・・・“仲間”を失うほどに」

サドは制服の上から羽織っていた
ファージャケットに手を入れる。
「だが、マジ女に来てお前は変わった」

真子はサドの目をしばらく見つめ
どこか照れくさそうに微笑む。
「今は・・・なんとなく前田さんの強さの秘密が分かります。
“アイツら”のおかげですよ」

サドはなぜが嬉しそうに微笑し、
真子に問いかけた。
「・・・学校は好きか?」

「はい」
真子はにっこりと微笑み、答えた。
その笑顔は辺りを照らす太陽のように明るく
ひまわりのように心を穏やかにする・・・
そんな笑顔だった。

サドはその笑顔を見て思い出す。
「お前、やっぱり似ているよ・・・」

「え?誰にですか?」

「悪いコアラに」

「なんですか?それ!」
真子が怒ると、サドは楽しそうに
「あははっ」と笑う。

似ているよ・・・

“優子さん・・・に”──
186名無しさん@実況は禁止です:2014/01/26(日) 17:55:10.37 ID:R7aNFZBr0
他スレじゃ馬鹿どもがお祭り騒ぎ
ここだけがオアシスだ
保守
187名無しさん@実況は禁止です
^^