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名無しさん@実況は禁止です:
>「お連れになった侍女は一人だけですか?」
> 顔に他の令嬢方は山ほど連れて来たのに、とかいてある。
>
>「ええ。元々規定で後宮に連れて行けるのは一人だけだったと思いますし、何より私には気心の知れた
>シェリルが居れば充分ですわ」 にっこりと華やかだが若干儚げな笑みを浮かべてヴァンは答える。
>その姿は普段のやや気怠げで粗雑な態度とは打って変わって、少し身体の弱い優美な貴族令嬢だった。
> シェリルは内心思う、相変わらず素晴らしい演技能力だと。やらせれば、荒んだ孤児の少年や物腰柔らかな貴族の青年、
>笑顔の絶えない町娘から貴族令嬢までありとあらゆる人物になりきることができる。本人曰く「だって、その方が動きやすいでしょー。
>相手に好まれる人物なら色々と聞き出せるしねー」だそうだ。
>
> ヴァンの笑顔に見とれていた侍従長は咳払いをする。
>「ですが、一人だと何かと不便が多いでしょう。こちらで幾人か手配しておきます。……お待たせしました、謁見の間にご案内いたします」
被害作より引用 3
>「お連れになった侍女は、一人だけですか?」
>
> 立派な口髭を生やした侍従長は不思議そうにそう口にした。
> 姫君らしく、侍女をぞろぞろと引きつれてくるとでも思っていたのだろう。意外だ、と顔に書いてある。
>
>「ええ。もういつ帰郷できるのか、わかりませんから。まだ年若い少女たちを故郷や親しい人々と引き離すのは可哀想です。
>それに、私には気心の知れたこのシュニアがいてくれれば十分ですわ」
>
> ラスは華やかな笑みを浮かべてそう答えた。
> いつものやや粗雑ものとは打って変わった優美な言動である。
> 彼女は卓越した演技者でもあった。一般家庭にでも生まれていたら、今頃は名優として名を馳せたのではなかろうか、とシュニアは思う。
>
> 数瞬ラスの笑みに見とれた侍従長が我に返る。
>
>「しかし、一人では何かと不自由なこともあるでしょう。こちらでも何人か手配をしておきます。…お時間です。謁見の間にご案内しましょう」
盗作より引用 三話
> この奥の庭園は薬草の育成場所となっている為によほどのことがない限り人は来ないらしい。
>(演技中に庭師のおじさんに聞いた)のんびりと庭園散策をしていたヴァンは次の瞬間
>「は……!?」
>固まった。
>
> 綺麗に整えられた庭園の道に巨大な狼が悠々と横たわっていたのだ。
被害作より引用 3
>「……っ!?」
>
> そこには執務用の机や椅子、書類などもなかった。
> あったのは巨大な温室である。
> 植えられた南国特有の植物たちは珍しいものであったし、その温室が如何に贅をつくした代物なのかは一目でわかった。
>
> だが、ラスを驚かせたのはそんなものではない。
>
> そこには、巨大な白い虎が悠々と寝そべっていたのである。