SKEの楽曲を短編で書いてみた

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1名無しさん@実況は禁止です
『SKEの楽曲を』と言いつつ、推しはくーみんなので
「花火は終わらない」くーみん.verしかストックは
ありませんが、ご一読いただければ幸いです
良ければ、リクエストも募集中
2名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 20:27:02.63 ID:ZX3eV+n60
 雑音一つ届かない、とても静かな夜。だからこそ、ドドンという一発一発の轟音は辺りに響き、静寂を破っていく。澄んだ夜空に光り輝く星も今日という日は裏方に回り、星空の中には今回の主役である一輪の花が咲いていた。
「やっぱり、綺麗だね」
 轟音で麻痺気味の耳元に、温かみのある音がする。そう呟く女の人は、手元にある団扇を扇いだ。微かにだが、その恩恵を、涼しい風の御裾分けを戴いた。
 その時、ふと既視感を覚える。一本の団扇と、やさしい風。風に扇がれた君の髪。僕の肩でそっと揺れて。その距離感。花火。静寂。
 現実世界と空想世界の両方で、花火が鳴り止み、小休止を迎える。再び訪れる静寂の中、どこからか聞こえる蝉の声。過去の記憶が鮮明に映し出されていく。
3名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 20:37:00.57 ID:ZX3eV+n60
花火は終わらない/SKE48 主人公:矢神久美.ver 

 雑音一つ届かない、とても静かな夜。だからこそ、ドドンという一発一発の轟音は辺りに響き、静寂を破っていく。
澄んだ夜空に光り輝く星も今日という日は裏方に回り、星空の中には今回の主役である一輪の花が咲いていた。

「やっぱり、綺麗だね」
 
 轟音で麻痺気味の耳元に、温かみのある音がする。そう呟く女の人は、手元にある団扇を扇いだ。微かにだが、
その恩恵を、涼しい風の御裾分けを戴いた。
 その時、ふと既視感を覚える。一本の団扇と、やさしい風。風に扇がれた君の髪。僕の肩でそっと揺れて。
その距離感。花火。静寂。
 現実世界と空想世界の両方で、花火が鳴り止み、小休止を迎える。再び訪れる静寂の中、どこからか聞こえる
蝉の声。過去の記憶が鮮明に映し出されていく。


「早く、早く!」
 
 頭上から僕を急かす声がする。小声でそう急かし立ててはいるが、ちょっとした悪事に対する興奮は到底抑え切
れていないようだ。その証拠に、上を見上げると鉄製のゲートを揺らす、彼女の姿が目に入る。勿論、揺らされる
ゲートからはガタガタと音が発せられ、物事はまさに本末転倒である。しかし、この状況を『本末転倒だよ』と
彼女に呟いても、本末転倒の意味すら多分知らないだろうから、『何それ?』っていつもの惚けたような顔が返って
くるに違いない。

「今、失礼なこと考えてたでしょ?」
 
 その癖、彼女は変なところで勘が良い。ゲートの上から疑いの目を向けてくる彼女の顔は見ずに、半ばその場をごま
かすように、僕もゲートの淵へと手をかけた。
 勿論これは、不法侵入である。夏休みも終わりに差し掛かった日の午後六時。学校の一斉休暇と呼ばれるその時期は、
部活動といった課外活動も禁止されている。そのため、普段その荘厳な面持ちで生徒を迎え入れているゲートも当然の
ように固く閉じられていた。だが、不法侵入を試みる二人にとって、それは所詮1メートルそこらの壁に過ぎない。

「よいしょっと」

 持ち前の身軽さを駆使して先にゲートへ登っていた彼女は、僕がよじ登るのを確認するとひょいとその身を地に投げ出して
いった。着地と共に振り返り、口元を綻ばせる彼女。僕はその姿に苦笑しつつも、出来るだけ音を立てないよう細心の注意を
払いながら、彼女に続き着地を成功させた。

 そもそも、何故不法侵入をしているのか。それは、彼女の何気ない一言からだった。
4名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 20:46:56.52 ID:ZX3eV+n60
 無事学び舎への侵入に成功した二人は、誰もいない昇降口に足を向ける。夏休みでなければ人で溢れかえる昇降口
も、活気がなければただのだだっ広いエントランスだ。
 だが、そんな味気無い光景も彼女にとっては新鮮なモノのようで、

「靴が一個もないよっ!すごい!」

 と何がすごいのか分からないが、目を輝かせていた。ただ、そう言われてみれば、靴が下駄箱に入っていない昇降口
というのも、侵入者ならではの感想である。
 先程も言ったが、彼女はおバカである。お世辞にも勉強が出来るとは言えないし、クラスで三馬鹿なんて揶揄されて
いる節もある。けれど、彼女のふとした時の発言は常人とかけ離れた『特別な視点』から繰り出され、周りの人間を
驚かせるのもまた事実であった。
 『学校で花火観たい!』と言葉少なに発言した時も、そんな彼女らしい発言だった。それだけならまだしも、
『一斉休暇中の学校に侵入して屋上で花火を観よう』と提案された時は流石の僕も躊躇した。しかし結局、
理由を尋ねた時に返ってきた、

「だって、その方が思い出になるじゃん」

との一言に、妙に納得してしまい、今に至るのである。


「ちょっと、時間早かったかな」
 
 昇降口辺りをフラフラしている彼女に声を投げかけつつ、目線は窓の方へ向ける。午後六時を過ぎても、
未だ夕焼けの名残を消そうとしない外の光景を見ると、花火が綺麗に見えるタイミングまではまだ時間が
あるようだ。

「どうせだから、探検してみる?」

 そう提案すると、それまで方々に拡散させられていた彼女の目線が、一気に僕へ集中する。そしてすぐに、
少し悪戯っぽい笑みと、勢いの良い頷きが返ってきた。
5名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 20:51:54.85 ID:P+AB3IVe0
つまんね
6名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 20:54:38.81 ID:ZX3eV+n60
 その後、僕たち二人は不法滞在を楽しんだ。自然が織り成す朱色に染められた学び舎は、普段見せるその姿とは
まるで違う。また、その一つ一つに興味を示し、次に次にと期待を胸に秘めながら廊下をスキップする彼女も、
普段見ることの出来ない姿である。探検をすることというより、僕はそんな彼女の姿を眺めているのが楽しかった。
 お目当てのモノを大方見終わった僕たちは、屋上に繋がる三階の階段の踊り場に腰を下ろした。ふと、手元の
腕時計を覗くと、校舎を探検し始めてから一時間程たったらしい。踊り場から見下ろす三階の廊下に、外からの
明かりはない。ちょうど良い頃合だ。
 一休みしたら、屋上に上がろうか。そう言おうとした時、先に口を開いたのは隣にちょこんと座る彼女だった。

「ねぇ、何の花火が一番好き?」

そう尋ねる彼女の真意は読めない。だから、思ったことをありのまま間髪入れずに答える。

「やっぱり、打ち上げ花火かな。あの迫力に圧倒されるし」
「打ち上げ花火かぁ。今日も綺麗なの見れるといいね」

 彼女はバカでも、バカ正直で。こういう時、声のトーンと表情に違いが出るからすぐ分かる。それをいつもの
ように察して、何か言いたげな彼女の横顔を見つめる。するとその視線に気づいたのか、

「でも、私は線香花火が一番好き」

と恥ずかしそうに呟いた。

「なるほど。絵になるね」

素直にそう思う。はじける時はとことんはじける彼女だが、基本は『陰』の要素が強い。

「絵になるかは分かんないけど、線香花火は長く続くから好き」
「その儚さが花火の魅力だと思うんだけどなぁ」
「でも、やっぱりすぐ終わったら寂しいじゃん」

意見の食い違いに苦笑しながらも、僕の顔をじっと見つめてくる大きな瞳に気づく。少し斜視気味の、それでいて
見つめる人間を吸い込んでいきそうな、目力の強い瞳。そんな瞳に、映る僕を見つける。瞳に映る僕は自然な笑み
を浮かべていた。

「また、失礼なこと考えてたでしょ?」

笑う僕が癪だったのか。語気強めに問いただしてくる彼女は、なおも笑いを抑えられない僕を見て、
「もう、いーもん」とそっぽを向いてしまった。
 ちょっとした沈黙。本当に怒らせてしまったのか、なんて不安が過る。彼女の華奢な肩に手をかけようとする。

「やっぱりさ、」

顔はそっぽ向けたままだから表情は伺えない。ただ、

「……花火は終わらない方がいいよ」

そう漏らした彼女の声は、どことなく切なさを帯びた声色だった。
7名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 21:11:10.10 ID:ZX3eV+n60
彼女がそう言い終わるや否や、頭上で辺りの空気を切り裂くような大きな音が聞こえた。
「「花火だ!」」
 
 思わず、二人で顔を見合わせる。彼女の顔には先ほど感じた寂しさは微塵も感じられない。

「よし、行こう!」
 
 先に立ち上がり、彼女の手を引く。ちょこんと頷いた彼女も、少し僕に体重を預けながら、すくっと立ち上がった。
握った手に、少し熱を感じる。
 二発目。先ほどよりもさらに大きな音。花火だと分かるその音は、聴覚だけでなく五感に訴えかけてくる。屋上へと
続く短い階段を二人で駆け上がると、目の前にある鉄製の扉を思いきり開けた。
 瞬間、何が起こったか分からなかった。光。ヒカリ。見渡す限りの一面の光。音に少し遅れて光り輝く花火は、
無骨な屋上のコンクリートを色鮮やかに染めていく。幻想的なその光景に息をのむ。綺麗という言葉より先に圧倒
される。
 例えるなら、真っ暗なキャンバスに色とりどりの大きな花が咲いていた。我ながら発想が安易だなと思う。
使い古された比喩に違いない。では、彼女ならどういった反応をするのだろうとふと思った時、隣にいる少女の存在を思い出した。

「……すご」
 
 口をぽかんと開けたまま、まさに唖然といった様子。何のフィルターもかかっていないありのままの感想がダダ漏れだ。

「どうせだから、特等席で見よう」

 いまだ唖然としている彼女の手を、半ば無理やり引っ張っていく。状況があまり把握できていないのか、
こくこくと無意味に頷く彼女を引き連れ、屋上に建つ唯一の建物へと足を運んだ。屋上にあるその建物とは
普段使われることのない用具置き場のことである。その建物には上に登れるよう、簡易はしごが設置されて
いる。簡易はしごの前まで来てやっと事を把握したのか、いそいそと先にはしごを登り始める彼女。
登り終えた後、「うわー」という小さな歓声が上がったのを耳にしつつ、僕もはしごを登り終えた。

「こりゃ、すごい……」

思わず、口に出る感嘆の声。遮蔽物がないだけで、これほどの違いがあるのだろうか。上空を見上げる
と黒い天井が広がっていて、自分たちが立つ斜め上方には今もなお途切れることなく花火が打ち上げ
られていた。

「本当に、特等席だね」

 半ば無理やり連れてきた身としては、彼女のこの一言は何より嬉しい。

「うん、でもまさかここまでとは思わなかった」

誘ったのは僕なのに、思わず食い入るように見てしまう。一方、彼女はというと肩掛けの小さなバック
のポケットをがさごそと探り始めた。

「何やってるの?」

 質問に対する返事の代わりに、彼女はポケットから一本の団扇を取り出す。
8名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 21:32:38.06 ID:ZX3eV+n60
「じゃーん」

 得意げに扇子を広げ、仰ぎ始める彼女。『やっぱ、花火と言ったら団扇だよね』と言いつつ、満足げに扇ぐの
はいいが、少し団扇の様子がおかしいことに気づいた。

「ポケットに無理やり入れてたからか、骨がちょっと折れてるよ」

 そう言われて初めて気づいたのだろう。元々大きい目をさらに大きく見開くと、いそいそと団扇の状態を確認する。
僕が『ここ』と指差して指摘すると、彼女は『あちゃー』と小さく声を漏らした。

「なんで、ポケットに入れたの?始めから持ってればよかったのに」
「だって、じゃーんってしたかったんだもん」

 彼女らしい発言に、思わず噴き出す。そこまできて、少し恥ずかしくなってきたのか、顔を赤らめる彼女。ただ、
持ってきた以上は使わないと気が済まないらしく、折れた部分を固定しつつ、団扇を再び扇ぎはじめた。
 馬鹿にしといて何だが、確かに風流であることは事実だ。艶のある長い黒髪を風に任せる彼女は、とても絵になる。
風に揺れる髪がふいに僕の肩でそっとなびく。そこで初めて二人の距離の近さに気づいた。友達より近い距離、
『寄り添う』という言葉を自然と意識させられる。
 心臓が早鐘を打つ。そんな僕の姿を知ってか知らずか、彼女が疑問を投げかけてきた。

「そいえば、どうしてこんなとこ知ってるの?」
「授業面倒だなぁって思う時によく来てたんだ。んで、花火を学校で見たいって言われてピーンと来た。ここしかないなぁと思って」

少し上目づかい気味に、大きな瞳が僕を捉える。

「授業サボるのいっけないんだー」
「普段、授業は受けててもすごく眠そうにしてる人には言われたくないな」
 
 とんだ捨て台詞。これ以上瞳を見続けたら、本当に吸い込まれかねない。

「でも、最近はちゃんと授業受けてるよ。席も一番前だし」
 なのに、彼女はなおもこちらに顔を向けてくる。無自覚なのだから、なおさらたちが悪い。半ば強引に顔を背ける。

「た、たしかに、最近は勉強頑張ってるかもね」
「三馬鹿からも、もう卒業だよ」
「それはどうかなぁ。夏休み前の英語だって、大して変わらなかった気が……」
「でも、ゆりあにも花音にも一点勝ったもん」
9名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 21:56:55.76 ID:ZX3eV+n60
 とても誇らしげに胸を張るけど、たかが一点。ただ、最近勉強を頑張っているというのも事実のようで、夏休み
の補講もしっかり出ているし、仲の良いクラスメートの松井さんにご教授願っているというのも、松井さん本人
の口から仕入れた情報である。

「松井さんから聞いたよ。勉強教えてもらってるんでしょ?」
「うん。玲奈ちゃん、すっごく教え方が上手いんだ」
「ああ、それは分かる気がする。松井さん、家庭教師とか似合いそうだよね」 

 クラスでは、その儚さと地味さから『かすみ草』なんて呼ばれてるけど、それは彼女の優しさと真面目さあって
こその敬称だと思う。それをみんなも知っているから、彼女を頼りにし、慕う者も多い。

「勉強出来るのに、それを鼻にかけないからなぁ」
「うんうん」
「性格本当に良いよなぁ。男子から人気あるのも納得だよ」
「……うん」
「この前もさ、久美頑張ってるから応援してあげてねって、わざわざ電話くれて。いやぁ、ほんと気配り出来るいい子だよね」
「そだね」
 
 ここまで勢いに任せて話していたが、何かの違和感に気づく。と同時に、横に立っている彼女の異変にも気づく。
コロコロと表情の変わる顔が、今は無。若干唇を尖らせ気味なのか、いかにも不機嫌ですといいかねない顔である。
 息をのむ。そこまで確認して、やっと自分の不手際に気づいた。

「えーと、もしかして怒ってる?」
「ううん、花火綺麗だね」
 
 顔に表情は戻ってこない。会話の内容もどこかチグハグだ。

「あー……ごめんなさい」

 素直に頭を下げる。上空ではこれまた特大の花火が打ち上がる。そんな中謝罪するというのもすごく滑稽だが、
こればかりは僕が悪い。最後まで悪い空気のままというのは、どうしても避けたい。そう思いながら、恐る恐る
顔を上げると、予想とは逆に少し恥ずかしそうにする彼女の姿があった。

「えっとさ、一応さ、これデートじゃん。だから、えっと、うん……そゆこと」

 慎重に、たどたどしく言葉を紡ぐ。自分から仕掛けていったのに、肝心な一番言いたい部分が恥ずかしいらしい。
だから、謝罪の意も込めて、

「ごめん、無神経だった。ちゃんと、久美だけ見るから」

 と、言った後からとても恥ずかしくなるような台詞を吐き出した。肝心の彼女はそれを聞くと小さく「ちょっ……」と
声にならない声をこぼす。
 ちょっとした空白。お互いの顔を見つめ合う。結局、どちらが先か分からないぐらいのタイミングで、二人とも噴き出してしまった。
10名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 22:25:47.38 ID:ZX3eV+n60
 ひとしきり笑った後、何気なく空を見上げる。いつのまにか、花火は鳴りやんでいて、腕時計と照らし合わせ
ると、どうやら休憩の時間のようだった。結局、花火を楽しんだのは初めの数発だけで、二人で喋っていた時間
の方がよっぽど長い。もったいないことをしたいなと心の隅で思いながらも、彼女と過ごした楽しい時間の方が
よっぽど有意義だと思った。花火を見たいと提案してきた当の本人も笑い疲れたのか、今はコンクリートの床に
背を預けている。僕もそれに倣った。夜風にさらされたコンクリートはほんのり冷たく、火照る体を外側から冷ましていく。

「あー、気持ちいい」

 僕が床に寝そべるのを見計らって、彼女が声を弾ませる。普段聞きなれたその声も、耳元で囁かれると
どこか違うように聞こえた。束の間の静寂。
 不思議と気まずさはなかった。隣を覗うととても満足げな表情をした彼女がいる。そんな横顔を見て、
嬉しくなってくる。無理をしてでも一緒に来て良かったと。

「ありがと、一緒に来てくれて」

 上空を見つめたまま、感謝を述べる彼女。本当は嬉しいその言葉、けれどどこかに寂しさがあった。

「あのさ、」「あのね、」

 問い詰めようとして、言葉が交錯する。彼女を覗う。ジッと見つめてくる瞳。吸い込まれそうな感覚
はない。むしろ、逆。拒絶、確固たる意志が見えた。
 ずるいな、と思う。素直に観念して、彼女の言葉を待った。

「私、勉強頑張ってるよね?」

 思いがけない一言に、一瞬気後れする。けど、彼女の眼と口調は真剣そのもので、一言一句逃さぬよう、
僕の言葉を待っていた。

「うん。本当に頑張ってると思う」
「私ね、目標が出来たんだ」

 彼女は、僕の返答の後一息入れて、何でもないことのように素っ気なくそう言った。

「そう、なんだ」

 言葉が震える。素っ気なく言う彼女とは対照的に、僕は動揺を隠しきれない。
それはまるで一本の針の先端だけが、腕に刺さったような感覚。気のせいとは言い切れない、鋭い痛みと違和感。
頭の中では、『試験』とか『ご褒美』とかそんな言葉が浮かぶけれど、浮かんだと同時にその言葉を消していく自分がいる。
11名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 22:35:38.34 ID:aYFWsRG4I
なんという糞スレ
12名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 22:36:14.56 ID:OVd/A6co0
なんというか…凄く……
13名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 22:51:32.95 ID:ZX3eV+n60
「私ね、やっぱり女優になりたいんだ」
 
 この言葉を聞くのは、一度目じゃない。彼女と初めて会話した時、何も話題がなくて『将来の夢は?』なんて
初対面には普通しない質問をした。その時、彼女は今も変わらない笑顔を浮かべて、『阿部サダヲみたいな役者
になりたい』と話してくれたのを憶えている。

「女優になるためには、それ専用の学校に行かなくちゃいけなくて。そしたら、今以上に勉強出来なくなっちゃうから、今のうちにやっとこうかなーって思った訳ですよ」
彼女は所々に恥ずかしさと、照れ隠しの笑みを浮かべながらも、比較的淡々と語る。
「そっか、だから頑張ってたんだ」

 そんな彼女に合わせようとする。無理する。針が強く刺さる。

「そうそう、そゆことー。じゃないと、矢神さんお勉強なんてしないよー」
「うん、だからおかしいなぁとは思ったんだ」

 辛い。さっきまで、あんなに楽しかったのに。これからも楽しいはずなのに。笑えない。笑おうとしても、
多分歪な顔をしている。そのくせ、頭の回転は速いし、意識もしっかりしている。さっきまで気づかなかった、
どこからか聞こえてくる蝉の声が耳障りだと認識できるまでに。

「だから、」

 やめろ、もう鳴くな。

「お別れなんだ」

 一発の花火が上がった。種類は、しだれ桜。夏に『桜』なんて風流なこと誰が考えたんだろう。黒いキャンバス
の一面に、大きな桜が咲く。それは、憎ましいと思える程に綺麗だった。

「君と見たこと、忘れない」

 そう呟く、彼女の顔は花火に照らされてとても綺麗だ。
切ないほどに美しく映る彼女の横顔から目を背けると、上空ではしだれ桜がちょうど消えかかっているところだった。
14名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 23:13:40.56 ID:Q3171/hK0
!?
15名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 23:15:46.59 ID:YpB/i719O
ちゃんと読んでないのにもかかわらず鳥肌たった
この>>1只者じゃない
16名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 23:16:34.86 ID:e+21Wj4a0
歌詞とくーみんネタが綺麗に入ってまとまってて良いと思います!
ただ花火だから風景の描写が多くなったのだと思いますが、
台詞をもう少し増やしても良いと思います!

読ませてくれてありがとうございました!!

また次作ができれば応援スレに書き込んでください
俺には需要があるので!
17名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 23:17:05.37 ID:e+21Wj4a0
歌詞とくーみんネタが綺麗に入ってまとまってて良いと思います!
ただ花火だから風景の描写が多くなったのだと思いますが、
台詞をもう少し増やしても良いと思います!

読ませてくれてありがとうございました!!

また次作ができれば応援スレに書き込んでください
俺には需要があるので!
18名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 23:23:43.59 ID:gjUf+Ll7I
あえてコメントしないでおこうかと思ったけど
ヲタらしいヲタ。まぁ小説家も、映画監督も同じだけど、悪く言えば自分だけの脳内でオナニーしている
よく言えば想像豊か

まぁ、どこかの出版社に出してみればとも言えるが、需要は極小なので自分のwebページを
開いて展示したほうがいいんじゃないの?
ここではそのうち落ちて終わり
19名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 23:33:18.13 ID:ZX3eV+n60
 一発の花火が上がった。種類はしだれ桜。辺りに轟くその爆音に、意識を強引に引き戻される。
昔あった、本当の話。でも、今はもう過去の話。
 あの日の後、彼女は女優という夢を叶えるべく、東京へと旅立っていった。あれ以来、蝉は嫌いだ。ちょっと、煩過ぎる。でも、不思議と花火は嫌いにならなかった。あれ以降、毎年一人で見に来ている。そして、今年も。

「あ、しだれ桜だ。綺麗」

 隣に立つ女の人が夜空を染めるしだれ桜に声を上げる。

「私ね、しだれ桜が好きなんだ」
「何で?」

 至極まともな質問に、女の人はふふと笑みを浮かべる。

「いつまでも、心に残るから。終わらない花火だもん」

 そう答えた彼女の手には、一本だけ骨の折れた古びた団扇が手に握られていた。

 
 心に打ちあがった君の花火鳴り響く、まだ終わらない。
20名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 23:42:05.13 ID:ZX3eV+n60
上記の分で以上になります

アルバムの『花火は終わらない』のMVに納得できなくて
書きなぐったものなので、読みづらい部分は多々あると
思います。長いながらも、読んで頂いた方有難うございました。
21名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 23:46:06.65 ID:ZX3eV+n60
>>17
わざわざ、お越しいただき有難うございます
くーみんの喋り方を模索しながらだったので、会話が
少なくなってしまったのは事実です。
衝動的に書きたくなったので、次回作があるかは未定
ですがその時はまた読んでいただけると嬉しいです
22名無しさん@実況は禁止です:2012/09/27(木) 23:51:59.21 ID:ZX3eV+n60
>>18
レス有難うございます
仰る通り、最初から最後まで作者のオナニーなのは否めません。
上記した通りMVの出来に納得できず突発的に書いたものだった
ので、webページを準備するのも面倒だったのでこちらに書かせてい
ただきました。
23名無しさん@実況は禁止です:2012/09/28(金) 00:37:53.77 ID:yRcOInGp0
イイネ・
24名無しさん@実況は禁止です:2012/09/28(金) 02:27:52.41 ID:R1qm5Q9u0
くーみん
25名無しさん@実況は禁止です
是非初恋の踏切で短編小説を作って頂きたい