【小説】 古畑任三郎 × AKB48

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1名無しさん@お腹いっぱい。
2011年6月9日
第3回AKB選抜総選挙2011 終了後、一人の男が前田敦子に声をかける。
前田は男にゆすられ、やがて事件が起きるが...
偶然、選抜総選挙を見に来ていた古畑が事件を解決していく。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 11:04:01.19 ID:7X05VMbX0
−古畑任三郎−

「えー、世の中にはさまざまな分野で1番になる人がいます。
例えば、スポーツ選手、芸術の世界...んー、数えきれません。
身近な例だと運動会、テスト...
みなさんは、何かで1番になった事はあるでしょうか?
こうみえても私は...」
3名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 11:05:34.83 ID:7X05VMbX0
「発表致します。第5位は...5万9千...118票、AKB48 ティームB 渡辺麻友」
徳光和夫の声が日本武道館に響いた。

渡辺がメンバー、ファンに祝福され、ステージに上がりスピーチを始める。
「はい、みなさんこんばんは。AKB48 チームBのまゆゆこと渡辺麻友です。
今回の選抜総選挙で私の事を応援してくださったみなさん...」

「古畑さん、まゆゆが5位ですよ。まゆゆ、去年と同じかー」
「今泉君、うるさい。少し静かにしなさい」
「だって、ステージにAKBのメンバーがあんなに」
「興奮しすぎだよー」
古畑は今泉のおでこを軽く叩いた。
「今年は絶対あっちゃんが1位がですよ。僕、あっちゃんに4票投票しました」
「落ち着きなさい。ほら、4位始まるよ」
今度は先ほどより強く、今泉のおでこを叩いた。
古畑、今泉、西園寺は日本武道館2階席から
AKB48第3回選抜総選挙を見に来ていた。
4名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 11:06:24.74 ID:l+M1WF1S0
西村と三谷は仲直りしたの?
5名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 11:06:42.91 ID:7X05VMbX0
徳光が4位の封筒の封を切り、発表を続ける。
「さあ、それではいよいよ第4位の発表です。
第4位...最終獲得票数が6万票を超えました。
6万とび539票を獲得。AKB48 ティームA 篠田麻里子」

「あー...」
古畑は右手の指先を額にあて、眉間にしわを寄せながら、がっかりした表情とため息をつく。
その様子を見ていた西園寺が声をかけた。
「古畑さん、どうかされたんですか?」

慌てて今泉が西園寺の肩に腕を回し、小声で話しかけた。
「どうしたじゃないよ。篠田麻里子を応援してたんだよー」
「え?そうなんですか?」
「知らないのか?古畑さん、篠田麻里子の大ファンなんだよ。
携帯電話で投票の仕方がわからないから教えろって大変だったんだから」
「そうなんですか?じゃあ、あの獲得票数の中に古畑さんの1票が入ってるわけですね」
「1票しか投票してないけどね。僕はあっちゃんに4票投票したけど」
「古畑さんは『ゴールデンハーフ』一筋かと思っていました」
「最近、AKBにはまってるんだよ。この総選挙のチケット取れって言いだしたのも古畑さんだし」
「私はてっきり、今泉さんが行きたいって言っているものだと...」
「まあ、僕も行きたかったんだけど、言いだしたのは古畑さん。
あの人さー、ミーハーなんだよ。この前もさー...」

「今泉くーん、聞こえてるよ。余計な事しゃべりすぎ」
「あ...古畑さん...いや...その...すいません」
6名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 11:08:04.94 ID:7X05VMbX0
「いよいよ1位の発表ですよ。あっちゃん、あっちゃん...」
今泉は前田の1位を祈るようにステージを見ている。

壇上の徳光の声が一段と響き渡る。
「第1位は..最終獲得票数...13万...9千8百...92票。AKB48 ティームA 前田敦子」
隣にいた木佐彩子も徳光の言葉に続いた。
「総選挙に前田敦子が帰ってきました。
去年首位をゆずった事で、いい意味で肩の力が抜けた前田さん...
...AKBの顔、前田敦子、完全復活です!」

「やったー!あっちゃんが1位ですよ!古畑さん、あっちゃんが1位!」
今泉は両手を上げて、椅子の上に立って喜んだ。
「見ればわかるよ。周りに迷惑じゃないか。ほら座りなさい」

ステージでは前田のスピーチが続いている。
「...もちろん...私の事が嫌いな方もいると思います。えー、一つだけお願いがあります。
私の事は嫌いでも、AKBの事は嫌いにならないで下さい...」

「今泉さん、泣いてるんですか?」
西園寺が声をかけた。
「だって...感動するじゃないか。あれ見て感動しないのか。
あっちゃんを嫌いなやつなんているわけないじゃないか。あっちゃーん!!!」
今泉はステージに向かって両手を振りながら声援を送り続けた。
7名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 11:10:23.89 ID:7X05VMbX0
総選挙が終わり、メンバーは皆控室に戻って談笑している。
大島が前田に声をかけた。
「あっちゃん、おめでとう」
「ありがとう」
「あっちゃんはAKBの顔なんだから、これからは私たちを引っ張っていってね」
「うん」
他のメンバーも次々に前田にお祝いの言葉をかけていた。

控室のドアを叩き、一人の男性スタッフが声をかけた。
「前田さん、すみません。記念撮影があるのでお願い出来ますか?」
「えっ?全部終わったはずだけど...」
「すみません。前田さんのソロショットがまだ撮れてなかったようです」
前田は少し面倒くさそうに、もらった記念盾を持って席を立った。
控室の前は、まだスタッフやカメラマン、テレビの取材で人があふれている。

男は誰もいない通路を歩き続け、ステージ下へと向かった。
「どこへ行くの?」
人気が無い事に気付いた前田が不安そうにスタッフの男に声をかける。
「ねえ、ホントに撮影なんてあるの?」
スタッフの男は終始無言だ。
8名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 11:12:32.93 ID:7X05VMbX0
ステージ下は先程までメンバーそれぞれが衣装の着替えをしていた場所だったが、
今はすっかり片付けられガランとしており、ただの薄暗く広い部屋となっていた。
前田はあまりにも不自然な事に男に対して声を荒げる。
「ねえ、撮影なんて本当は無いんでしょ?あなた本当にスタッフ?一体誰?私帰る!」

男は周囲を見渡し、誰もいないのを確認すると、1枚の写真を前田に見せた。
それは、前田が以前から週刊誌で噂になっていた男とホテルから出てくる写真だった。
「この写真ばらされたくなかったらわかってるな?」
男はにやりと笑い、話を続ける。
「総選挙1位になったばかりで、こんなスキャンダルが出たら世間は大騒ぎするだろうな」
「何でそんな写真を...」
「まだ、会場には取材陣がいっぱいいるから、戻ってみんなに見せてもいいんだぜ。
AKBは恋愛禁止なんだろ?こんな写真が出たらAKB辞めなきゃいけないんじゃないか」
「そんな...私...どうすれば...」
「金だよ!金!」
「...お金なんてないです」
「まあ、金の件はゆっくり話すとして、今は楽しい事しようぜ」

男は前田の肩に腕を回すが、前田は即座に腕を振り払い、男を突き飛ばした。
「痛ーっ!何すんだ!」
前田は逃げようとしたが、腕を引っ張られすぐに捕まってしまう。
男は持っていたロープで後ろから前田の首に巻き付けた。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 11:13:55.90 ID:7X05VMbX0
「うっ...やめて...」
絞り出すように小さな声を出すが、首を締め付けられ思うように声が出ない。
前田は男から逃れようと必死に抵抗したが、男の力には敵わなかった。
意識がどんどん薄れていく。
最後の力を振り絞り、前田は後頭部を男の顔面めがけ、思い切り振った。
「痛っ!」
男の顎に、前田の後頭部が当たり、男はうめき声を上げると同時に
首を絞めていたロープを離し、よろけて床に膝まづいてしまった。

「この野郎!」
男が再び床を這うように前田に向かってくる。
前田は必死に逃げようとするが、恐怖でなかなか逃げる事が出来ずに
思わず座り込んでしまう。
ふと床に目をやると、先程、男に首を絞められた時に
落としてしまった受賞の記念盾が転がっていた。
男は必死の形相で向かってくる。
次の瞬間、記念盾を拾い、男の頭めがけて思い切り殴りつけた。
「うっ!」
男はうめき声を上げると、その場にうつ伏せに倒れ、動かなくなった。

しばらく時間が止まっていたかのように呆然としていたが我に返り
目の前に横たわっている男を覗く。
「...死んでる?...どうしよう」
前田は男の持っていた写真をポケットから抜き取り、
周囲を見渡して誰もいないのを確認すると慌てて逃げた。
10名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 11:34:50.79 ID:7X05VMbX0
メンバーや取材陣の多くは引き上げており、控室には、
大島、高橋、篠田、小嶋だけが残って待っていた。
「あっちゃん、どうしたの?」
大島が声をかけた。
他の3人も心配そうに声をかける。
前田の表情は青ざめていた。
「うん...痛っ...」
襲われた時に右足を捻じってしまったようだ。
そして、前田は突然男に襲われた事、今起きた出来事を4人に話し始める。
ただ、噂になった男とホテルから出てくる写真の事はさすがに言えなかった。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 11:36:11.43 ID:7X05VMbX0
「私どうしたら...警察に捕まっちゃうのかな...」
「でも、それって正当防衛とかにならないの?」
小嶋が言った。
「でも...私...人を殺しちゃったんだよ。
総選挙終わったばかりで、こんな事マスコミに知られたら何を言われるか...」
前田の目から涙が溢れている。
今度は篠田が口を開いた。
「面倒な事になりそうだよね。大丈夫、あっちゃんは何も心配しないで。私たちが付いてるから。
この事は、今ここにいる5人だけの秘密。他のメンバーにも内緒にしておこう」
「うーん...でも...こういうのやっぱり良くないし、警察に言ったほうが...」
高橋一人だけが躊躇っている。
「たかみな!」
小嶋が少し怒った口調で高橋を見た。
「あっちゃんは仲間でしょ?仲間が警察に捕まってもいいの?」
「それは...でも...」
「でもじゃない。どれだけ付き合い長いと思ってるの?こういう時はみんなで助けなきゃ!」
「...うん」
普段あまり怒る事のない小嶋が、前田をかばおうと必死になっている姿を見て、
高橋も覚悟を決めたようだ。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 11:37:13.96 ID:7X05VMbX0
大島が鞄からスカーフを取り出し、前田に手渡した。
「あっちゃん、ロープで首を絞められた時の跡が残ってるから、これで隠して」
「ありがとう。...みんな...ありがとう」
前田の目から先程よりも大粒の涙が溢れ出していた。
篠田が再び話始める。
「でも、どうする?まず、死体をどうにかしなきゃ。自殺か事故に見せかけるようにしないと...」
「あれは?」
小嶋が控室にあった業務用ポットを指差した。
「あのポットを持ってて転んじゃうの。
転んだ時に体勢を崩して運悪くポットが頭に当たって死んじゃったって言うのは?」
「あんなんで死ぬかなー」
4人は口を揃えた。
「でも、あのポット、かなり重いし...勢いつけてあのポットに当たったら、
打ちどころ悪ければ死んじゃうんじゃない?」
小嶋の話に4人は頷きながらも不安を抱いた。
が、大島がすかさず発した。
「あんまり時間かけても仕方ないし、にゃんにゃんの案でいこう。
じゃあ、麻里子とにゃんにゃんに任せてもいい?
みんなで行くと目立つ可能性があるから。
あっちゃんは現場に行かないほうがいいから、2人に場所を教えてあげて」
13名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 11:38:55.42 ID:7X05VMbX0
「任せて!」
小嶋と篠田が頷き、前田から場所を聞くとすぐに準備に取り掛かかる。
「麻里ちゃん、このポット重ーい。持てなーい」
「もう、陽菜は何やってるの。私が持ってくから」
「私はあっちゃんが心配だからそばについてるよ。たかみなも2人をサポートして」
大島がそう言うと、高橋は篠田と小嶋に着いていった。
控室前に取材陣がいない事を確認し、3人は現場に向かっていく。

「死んでる...」
3人は口を揃えた。
篠田は持ってきたポットで、一度、男の頭を殴り横にして近くに置いた。
小嶋は男の顔を覗き込みながら
「この人誰だろ?本当にスタッフ?
それともあっちゃんのファンの人が変装して忍び込んだのかなー?」
高橋はというと、ただおびえて見ているだけだった。

篠田がすかさず小嶋に聞いた。
「携帯とか財布は?」
「何も持ってない」
「そのロープは?」
「これであっちゃんの首を絞めたんだよ」
「どこかに隠さないとまずいね」
「そうだ。2人とも来て」
何か思いついたように、小嶋はロープを持って女子トイレに向かった。
女子トイレに入り用具室の中にロープを置くと
「この中なら不自然じゃないよ。いろんな用具が入ってるし、わからないよ」
2人は納得すると、3人は男が死んでいた場所へ戻った。
「あ、麻里子様、ポットの指紋は?」
高橋がふと呟いた。
「そうだ。あぶないあぶない。みなみ良く気付いたね」
篠田はあわてて指紋を拭き取ると、3人は急いで控室に戻っていった。
14名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 12:07:05.80 ID:TBn1kETJ0
あれは・・・・・・杉上!?
15名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 12:34:03.68 ID:dXYw+loU0
まさか古畑で帰ってくるとはさすが杉上
16名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 12:37:31.44 ID:1gJHPTnr0
今度は途中でサジ投げるんじゃねぇぞ
分かったか?
17名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 13:09:39.19 ID:7X05VMbX0
「いやー、古畑さん、総選挙感動しましたねー。あっちゃん良かったなー」
今泉は前田の1位に興奮が冷めやらない。
「篠田さんが1位だと思ってたんだけどねー。今泉君、君ホントに投票してくれた?」
「投票しましたよ。ちゃんと古畑さんのは篠田さんに入れましたよ。
投票するとこ一緒に見てたじゃないですか」
「あー、そうだったっけ?ンフフフ。
それにしても人が多すぎだねー。いつになったら出られるの?」
総選挙が終わり、日本武道館は会場を出るファンでごった返していた。

古畑が今泉の顔を見ながら、
「これじゃー、出られるのは当分先だね。空くまで座ってようよ。
今泉君、喉が渇いたよ。何か買ってきて」
「な、何で僕が...」
「いいじゃないか。買ってきて。あー、喉渇いたー」
「わ、わかりましたよ。買ってきますよ」
「今泉さん、私のもついでにお願い出来ますか?」
西園寺がそう言うと、今泉は嫌な顔をしてみせた。
「何で僕が君のも買って来なくちゃいけないんだよ」
「この人ごみですし、せっかく行かれるんでしたら、ついでに」
「や、やだよ。自分で行けばいいじゃないか」
その様子を見ていた古畑が今泉に言った。
「今泉君、ついでなんだから買ってきてあげなさい」
「で、でも...わかりましたよ。買ってきますよ」
そう言って、今泉は人ごみの中に入っていった。
18名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 13:11:01.78 ID:7X05VMbX0
「何だよ。ここも全部売り切れじゃないか。これで5台目だよ。他に販売機ないかな」
今泉は日本武道館の中を探し回っている。
「どこだ。ここ?販売機を探してたら迷っちゃったぞ」
館内をうろついていると、目の前に関係者入口の文字が目に入る。
AKBがまだいるのでは?今泉は興奮しながら、おそるおそる入っていった。
「失礼しまーす」
誰もいない事がわかると、関係者入口の奥へ足を踏み入れた。
「あっちゃん、いないかなー」
今泉はAKBに、というより前田に会いたい一心でどんどん中へ入っていった。
AKBがいないか、周囲を見回しながら歩き続け、いつのまにかステージの下まで来ていた。
「AKBもスタッフも誰もいないなー。うわー、何だここ?真っ暗じゃん。
そんな事より早く戻らないと古畑さんに怒られる。戻らなきゃ」
戻ろうとした時、暗闇の中に真っ黒な塊があるのに気が付く。
「あれは?うわーーー!!」
そばに近づいてみると男がうつ伏せになって死んでいるのを発見した。

「それにしても、今泉君、遅いねー。もう人もいなくなったし、出られるよ。
もう帰ろうよー。あいつは置いて帰ろー」
「はい、どこまで買いに行ったんでしょうか?外にでも出たんでしょうか?
携帯に連絡してみます」
「そうしてくれる」
古畑と西園寺は今泉の帰りを2階席でずっと座って待っていた。
19名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 13:12:09.72 ID:7X05VMbX0
西園寺は携帯を手に取り、今泉に電話をかけた。
「今泉さん、今どこですか?」
「西園寺君、今電話しようと思ってたんだよ。死体だよ!死体!」
「え、死体?」
その言葉に、古畑の眉がピクリと動き、西園寺の電話の様子を伺った。
「死体があるんだよ!人が死んでるんだよー!すぐに来てよ!」
「わかりました。今どちらですか?」
「それがわからないんだよ。迷っちゃってさー」
「何か目印とかありませんか?」
「ない。真っ暗!」
「ないって、今泉さんどうやってそこまで行かれたんですか?」
「あ、そうだ。関係者入口の中を入ってきた」
「関係者入口って、そこは入ってはいけない場所じゃ...」
「とにかく早く来てよ」
「わかりました。お調べしてすぐに向かいます。そこから動かないで下さいね」
西園寺は今泉との電話を切ると、古畑の顔を見た。

「西園寺君、あのデコ何だって?」
「はい、どうやら、飲み物を探しに館内を歩き回っていたら、迷ってしまい、
関係者入口の文字が見えたので、AKBに会いたくて、つい中に入ってしまったと...
そこで死体を発見したとの事です。
それと、今泉さんは今自分がどこにいるのかもわからないそうです」
「何やってんだろうね、あのデコは。西園寺君、警視庁に連絡しといてくれる。
それとここの責任者に関係者入口がどこにあるのか確認して」
「かしこまりました」
20名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 13:20:00.11 ID:7X05VMbX0
いち早く西園寺が現場に駆け付ける。
ステージ下に電気が点くと死体のそばに今泉が立っているのが見えた。
「今泉さん!」
「西園寺君、こっちこっち。待ってたよー。1人で寂しかったよー。ほら、死んでる」
床に横たわった死体を指差した。
「間違いないですね。今、鑑識の方たちも到着されましたので、これから現場検証を行います」
「古畑さんは?」
「あとから来るそうですよ」
「ま、古畑なんかいなくても僕1人で解決出来るんだけどね」
今泉は自信たっぷりに言った。

しばらくすると古畑が遅れてやってきた。
「お疲れ様です」
現場入口に立っていた1人の警官が古畑に声をかけた。
「あれー、君たしか、えー、名前なんだっけ?」
「はい、向島です」
「そうだ、向島君だ」
「実は離婚しましたので、今は向島ではなくて東国原といいます」
「やっと向島君の名前を覚えてきたところだったのに...
ひ、東国?んー、覚えられない。それで現場は?」
「はい、こちらです」

今泉は古畑の顔に気付くと、西園寺に隠れるように身を隠した。
「あ、古畑さん...あの...」
「お前はこんな所で何をやってたんだ!」
「痛っ!」
古畑は今泉のおでこを叩いた。
21名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 13:33:13.35 ID:7X05VMbX0
西園寺が男を連れて古畑のそばにやってきた。
「古畑さん、こちらが関係者入口の場所を教えて頂いた責任者の方で、
劇場支配人の戸賀崎さんです」
「戸賀崎です」
「古畑と申します。戸賀崎さん、お名前は聞いた事があります。
んー、エヘヘ 実は私もAKBのファンなんです」
「そうでしたか。ありがとうございます」
「今も総選挙...ずっと見てました」
「あ、ご覧になっていたんですか?本当にありがとうございます」
「私、篠田さんに投票したんですよ。1位じゃなくて残念です」
「古畑さんみたいな方がファンだなんて知ったら篠田も喜びますよ」
「本当ですか?また後ほどお話を...」
古畑が西園寺のほうに目をやった。
「西園寺君、館内にいた方たちに残ってもらうように言ってあるんだよね?」
「はい、一般のファンの方やマスコミ関係者はほとんどいませんでした。
一部のスタッフとAKBのメンバーが数人残っているだけです」
「AKBのメンバー?AKBのメンバーがまだいるの?」
「はい、前田敦子さん、大島優子さん、篠田麻里子さん、
小嶋陽菜さん、高橋みなみさんの5名が残っています。
それ以外のメンバーはすでに武道館を出られています」
「まず、現場を」
22名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 13:35:16.77 ID:7X05VMbX0
今泉が得意気に古畑に話始めた。
「これはどうみても事故ですね」
「事故?」
「だって、死体のそばにポットが転がってるじゃないですか。
頭に何かが当たったような跡が付いてますし...
この男がこのポットを持って歩いていたら、転んだんですよ。
それで、転んだ拍子にポットに頭がぶつかって、
当たりどころが悪くて亡くなったんじゃないかと...間違いないですよ」
「...」
古畑は何も言わず、眉間にしわを寄せながら、
右手指先を額に当てながら考え込んでいた。

尚も今泉は意気揚々と話を続けていた。
「ねえ、西園寺君もそう思うだろ。事故だよ。事故!」
「ですが、今泉さん。転んだにしては、どこにも躓くようなものはありませんし...」
「それはさ、ほら急いでいて、足がもつれたんじゃないかな」
「このようなポットで亡くなるでしょうか?何かで殴られたようにも見えますが...」
「これ結構重いよ。こんなのに当たったら死んじゃうよ。
もう事故でいいじゃない。事故にしとこうよ」
「ただ、古畑さんはそうは思っていないみたいですよ」
「あの人は何でも事件にしたがるんだよ。悪いくせだよ」
23名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 15:05:36.07 ID:7X05VMbX0
古畑は死体を確認しながら考え込んでいた。
「西園寺君、彼、今殴られて亡くなったって言ってたよね?」
「はい。まだ特定出来ていませんが、頭部の外傷をみると何か固い物で殴られたようですね。
現状ですとこのポットという事になっていますが...」
「彼の首の所、何かで切られたような跡が付いてるよ」
「あ、本当ですね。たしかに首の所に何か鋭利な刃物のような跡がありますね」
「これ、何で切ったんだろうねー?」
「現場にはナイフやカッターのような物はありませんし、一体何でしょうか?」
古畑が死体の周りを見渡すと、そばに何か光る物を見つけた。
「西園寺君、ピンセット」
その光る物をピンセットでそっとつまみながらじっくり眺める。
「これはー?」
「何かのガラスの破片のようですね。すぐに調べてみます」
「あ、ちょっと待って、何か文字が書いてあるねー」
「欠けてしまってるので何とも言えませんが、これは漢字でしょうか?」
「んー、『千』って書いてあるみたいだね」
「詳しく調べてみます」
24名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 15:07:13.87 ID:7X05VMbX0
戸賀崎に案内され、古畑と西園寺はAKBのメンバーがいる控室にやってきた。
「みんな、こちらは古畑さん、警察の方だ」
「警察?」
高橋が驚いたように言った。
「どうも、古畑と申します。遅くまで残って頂いてすいません」
「警察って何かあったんですか?」
大島が古畑に聞いた。
「はい、死体が発見されました」
「死体って?その男の人は何か事件か事故に巻き込まれたんですか?」
「まだ...わかりません。ただ...私は事件だと思っています」
5人は驚いたように顔を見合わせた。
「それでですね。形式上、みなさんに聞いているので、失礼かと思いますが...」
「アリバイですね」
大島が1人で喋っており、他の4人は黙って古畑と大島のやりとりを見ていた。
「はい、実はそうなんです」
「その時間はみんなずっと一緒にいましたよ」
「全員?こちらに?」
「はい、間違いないです。ねえ」
4人は大島の言葉に合わせて頷いた。
「んー、そうですか。遅くまでありがとうございます。ところで前田さん、顔色が悪いようですが...」
「あっちゃんはステージに呼ばれる前から緊張で過呼吸になってしまって、今もあまり調子が良くないんです」
「お大事にして下さい。あ、そういえば総選挙お疲れ様でした。先程までずっと見させて頂いてたんですよ」
「え、見てくれてたんですか?」
高橋が喜んだように古畑に聞いた。
「ンフフフ 総選挙を見に来ていたら、たまたまこんな事に...よくある事です」
25名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 15:09:29.34 ID:7X05VMbX0
しばらくすると、今泉が大きな靴音を鳴らしながら控室に走ってやってきた。
「古畑さん。僕だけ置いていかないで下さいよ。
自分だけAKBに会いに行くなんてひどいじゃないですか?」
「会いに行くって仕事じゃないか。捜査してるだけだよ」
「僕も捜査したいです」
「もう失礼する所だよ」
「あ、あっちゃんだ!あっちゃん、あの大ファンです!握手してもらってもいいですか?」
「やめなさい。前田さんは体調が悪いんだから、あっち行ってなさい。どうもすいません」
「た、体調悪いって大丈夫?」
「いいから。あっち行きなさい。では失礼致します」
古畑は今泉を押し出すように部屋をあとにした。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 15:10:54.87 ID:7X05VMbX0
「あのー...」
古畑が控室のドアから少しだけ顔を出した。それに篠田が気付く。
「あれ?古畑さん、どうしたんですか?今出てったばかりじゃ...忘れ物ですか?」
「えー、エヘヘ 私、実は篠田麻里子さんの大ファンなんです。
あのー、もしご迷惑じゃなければ握手して頂いてもよろしいですか?」
「いいですよ」
「ンフフフ ありがとうございます。いつも応援してます。総選挙...篠田さんに投票させて頂きました」
「わー、うれしい。ありがとうございます」

そこへ、今泉が再び大きな靴音を鳴らしながら控室に戻ってきた。
「ちょっと、あんた!ずるいじゃないか!自分だけ握手するなんて...」
「うるさい!」
「ぼ、僕もあっちゃんと...」
「君はいいから」
古畑は今泉のおでこを叩く。
「すいません。今度こそ本当に失礼致します」
「あ、ぁっちゃーん...」
今泉は古畑に引き連られていった。
27名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 15:12:46.46 ID:7X05VMbX0
武道館のロビーにある椅子に腰かけながら、古畑は西園寺を呼んだ。
「西園寺君、何かわかった?」
「はい、まず、殺害された男性ですが、日本武道館の駐車場に不審な車が止まっておりましたので、
お調べした所、男性が乗ってきたものと判明致しました。
また、車内に財布、携帯電話も置いてありましたので、身元の確認を急いでいます。
それと関係者の方に確認した所、男性はスタッフでない事も判明しております。
その他の詳細につきましては引き続き調査中です」
「はい、どうもありがとう」
「スタッフでもない人間が...一体、彼は何をしに来たんでしょうか?」
西園寺は首をかしげながら古畑に聞いた。

少しの沈黙のあと、古畑は舌打ちをすると話始めた。
「彼は...前田さんに殺された」
「え?前田さんって、前田敦子さんですか?」
「彼女ね、控室にいる時、足を引きづってたんだよ。それにスカーフを巻いていた。
スカーフ...おかしいと思わないかい?」
「いえ、おしゃれで巻いていたのでは...?」
「んー、その割には不自然なんだよね。総選挙の時の衣装のままだよ。
1位の時、ステージの上では巻いてなかった。
総選挙が終わって控室に戻ってからスカーフを巻いた。
何のために?おしゃれだったら着替えてからすればいいじゃないか」
「たしかにそう言われてみれば...。という事はスカーフで何かを隠している」
「そう。おそらく、彼は前田さんを襲った。
そして首を絞めようとしたが、逆に何か固い物で頭を殴られて死んでしまった」
「つまり、スカーフは首を絞められた跡を隠すためという事ですね」
「現場の近くにロープの類がないかもう一度調べてくれる」
「かしこまりました」
28名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 15:31:46.57 ID:xkP3Njht0
杉上はもう小説を書く資格もAKBファンの資格もない
こいつのやったことはAKB小説作者に泥を塗っただけ
こいつこそ法で裁くべきだし国会で説明責任を求めるべきだし死刑に処すべし
杉上はAKB小説作者の恥、岐阜県民の恥、日本国民の恥、世界の恥、人類の恥、哺乳類の恥、動物の恥、地球生命体の恥、地球の恥、銀河系の恥だ
こんな奴と同じ息を吸ってると思うと嫌になるわ
29名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 16:53:13.18 ID:7X05VMbX0
翌日、朝早くから古畑はレコーディングスタジオの入口に立っていた。
前田はレコーディングスタジオに着くと、古畑の顔を見つけ驚いた。
「前田さん、おはようございます。昨日はどうも」
「おはようございます。古畑さん、どうしたんですか?」
「お忙しそうですねー。今日はお1人ですか?」
「はい、今日はレコーディングなんです」
「レコーディングというと新曲か何かで?」
「そうです」
「ところで亡くなった男性、ご存じないですか?この方なんですが?」
古畑は前田にわざと今泉が現場で倒れている写真を見せた。
「え...この人...」
「あー、失礼しました。これはうちの今泉でした。こちらの写真です」
今度は亡くなった男の写真を見せた。
「いえ、知りません。見た事もないです」
「ご存じない?」
「はい、もしかして疑ってるんですか?」
「いえ、参考までに聞いてるだけです」
「昨日も言ったように、私たち5人はあの時間みんな一緒にいました。
事件があった事なんて知りません」
「んー...足...大丈夫ですか?」
「え?」
「昨日お会いした時も足を引きづってらっしゃった。
そして今も...総選挙のステージ上ではケガしてるようには見えませんでした」
「こ...転んだんです。ドジですね私」
30名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 16:55:02.15 ID:7X05VMbX0
前田のレコーディングが始まると古畑はそばにいたスタッフに声をかけた。
「彼女...前田さん、歌う時も首にスカーフを巻いてるんですか?」
「いえ、初めてです。それに何か今日、喉の調子が悪いのか声が出てないような気が...」
前田は男に首を絞められたせいで思うように声が出せないでいた。

録音部屋から前田が出てくるとスタッフが慌てて声をかける。
「前田さんどちらへ?」
「お腹空いたから食事してくる」
「え?まだレコーディングが...」
「気分がのらないの!」
前田は切れ気味に言った。古畑の顔を見ると
「古畑さんはまだ何かご用ですか?」
「いえ、こういった所は初めてなので、見学させて頂いてたんです。あ、お食事ですか?」
「はい」
「お食事でしたらご一緒してもよろしいですか?私も朝から何も食べてないんです」
「結構です」
「あのー、お邪魔はしません。ですから...」
「1人で食べたいので」
「じゃあ、こうしましょう。私、黙ってますから」
前田は返事をしなかったが、古畑は前田の後を着いて食堂に向かった。
31名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 16:56:40.48 ID:7X05VMbX0
前田がテーブルに付くと、古畑は真向かいの席に座った。
ウェイターがメニューを持ってくる。
「アメリカンクラブハウスサンド」
前田がそう言うと、古畑はしばらくメニューに目を通している。
「ねえ君さー、この店には甘いもの無いの?」
ウェイターにそう尋ねると、メニューのパフェの部分を指差した。
「パフェ?私はお腹が空いてるんだよ!」
古畑はまるでクレーマーのごとくウェイターに向かって声のトーンを上げる。
「では、ハニートーストはいかがですか?」
「あるの?ハニートースト?ではそれで」
ウェイターは渋々注文を取り、席を離れると、古畑は前田の顔を見て軽く微笑んだ。
「エヘヘ 私、甘いものが大好きなので、お恥ずかしいです」
前田は無愛想な表情で聞いていた。

やがて注文した食事が運ばれてきた。運ばれて来た前田の食事を見て古畑は尋ねた。
「それが、アメ...アメリ...何でしたっけ?」
「アメリカンクラブハウスサンド」
「おいしそうですねー。ところで、喉の調子良くないんですか?」
「古畑さん、さっき黙ってるって」
「あー、ごめんなさい。もう黙ります」
しばらくすると古畑はまた話始めた。
「先程、スタッフの方が声があまり出ていないと言っていたので...」
前田は食事をしながら面倒くさそうに答えた。
「喉の調子が良くないんです。風邪でも引いたんですかね」
「風邪ですか?んー、ありがとうございます」
32名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 16:58:29.57 ID:7X05VMbX0
古畑は高橋のいる収録スタジオに向かった。
「高橋さん」
「あ...え?...古畑さん?どうしたんですか?こんな所まで」
「少しお時間よろしいですか?」
「今は休憩中なので、少しでしたら」
高橋が読んでいた漫画に古畑は目をやった。

「漫画がお好きだそうですね」
「はい。『ONE PIECE-ワンピース-』が大好きなんです。古畑さんは読んだ事ありますか?」
「『ONE PIECE-ワンピース-』?すみません。読んだ事ないです」
「古畑さん、漫画とか読まなそうですもんね」
「いえ、そんな事ないですよ。あの漫画ご存知ですか?『カリマンタンの城』?」
「『カリマンタンの城』?うーん、聞いた事ないですねー」
「ご存じない。では『アゼルバイジャンの夜は更けて』はどうでしょう?」
「えー、知らないですよー。それ少女漫画ですか?」
「はい...ご存じないですか?小石川ちなみですよ」
「聞いた事はあるような...何かその人、捕まったんじゃないでしたっけ?
私、少女漫画はあまり読まないので...古畑さん、少女漫画とか読むんですか?」
「えー、実は...小石川ちなみの事件を解決したの、私なんです。エヘヘ それ以来読んでるんです。ンフフフ」
「へー、すごいんですね。古畑さん」
「ところで、昨夜は5人がずっと一緒にいたと言っていましたが...」
高橋は少し動揺した。
33名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 16:59:31.86 ID:7X05VMbX0
「あ...はい...間違いないです」
「みなさん仲がよろしいんですか?」
「そりゃあいいですよ。ずっと一緒にやってきてる仲間ですから」
「高橋さんはリボンを集めるのが趣味だそうですね」
「はい、いっぱい持ってますよ」
「そういえば、前田さんもリボンを集めてらっしゃるんでしたっけ?」
「敦子?敦子は集めてないと思いますよ」
「あーンフフフ 失礼しました。前田さんはリボンじゃなくてスカーフでしたね」
「スカーフ?スカーフも集めてないと思いますよ」
「あれ?そうですか?昨日お会いした時に巻いてらっしゃったから」
「あー、あれは優子の...」
「大島さん?」
「あ、いや...たまたま優子が似合うからって...貸しただけ...」
高橋は動揺を隠せないでいた。
「ありがとうございます。失礼致します」
34名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 17:05:23.47 ID:0jMYBu5m0
杉上落ちたな・・・

元から落ちまくっていたけど
35名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 17:22:02.04 ID:kUIL29QJ0
>>1
杉上左京様

あなたのせいで小説スレはおかしくなりました
途中で書くの投げ出すわキャラは活かせてないわグダグダだわ
もういい加減関わらないでください
あなたがいるとロクなことがありませんのでもうやめてください
36名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 18:28:20.79 ID:7X05VMbX0
今度は大島がいるという収録現場に古畑はやってきた。
大島の顔が見え、軽くお辞儀をすると、大島も古畑に気付き近づいてきた。
「大島さん、ちょっとよろしいですか?」
「古畑さん?こんな所まで何ですか?」
「えー、ちょっとお話を...」
「今、撮影中で忙しいんです」
「お忙しいのはわかります。1つだけお聞きしたいんです。それを聞いたら帰ります」
「1つだけ?何ですか?」
「スカーフ...総選挙の日、前田さんがされていたスカーフ、大島さんのものらしいですね」
「私の?そうでしたっけ?忘れました」
「覚えてらっしゃらない?」
「そんなこともあった気がしますけど...私の事疑ってます?私じゃないですよ」
「ンフフ...どうでしょう」
古畑は意地悪そうに大島を見ていた。
37名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 18:29:56.68 ID:7X05VMbX0
「撮影中なので、あまり時間がないんです。
それにしてもこんな所まで来るなんて古畑さん、ずいぶん仕事熱心なんですね」
「はい。よく言われます」
「仕事熱心といえば面白い話を聞いた事がありますよ」
「ぜひ聞かせて下さい」
「たしか、ある晴れた日の午後、男の人が道を歩いていたら、
向こうから赤い洗面器を頭の上に乗せたおじいさんがやってくるんですよ。この話知ってます?」
「ちょっと待って下さい。男の人はおじいさんなんですか?」
「はい、おじいさんです」
「続きを」
「で、洗面器の中には水が入ってるんです。
それを一滴もこぼさないように、おじいさんはゆっくりゆっくり歩いてくるんです。
それで男の人は勇気をふるいおこしておじいさんに聞いたんですよ。
『もしもしおじいさん、どうして洗面器を頭に乗せて歩いてるんですか?』
するとおじいさんは答えました。」
「はい。すると...何て?」
「それは君の...」
「君の...?」
「残りは覚えてないんですけど、でも、この話の半分を思い出すだけでも、大笑いしてしまうんですよね」
大島は笑いが止まらないようだ。
古畑はあと一歩というところで話が聞けず悔しがった。

「大島さんお願いしまーす」
スタッフの呼び出しがかかる。
「あ、ごめんなさい。古畑さん行かなくちゃ」
古畑は大島の背中を見送った。
38名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 18:31:09.16 ID:7X05VMbX0
篠田のいるスタジオに向かった。
古畑はテレビカメラの後方から収録の様子を見ていた。
収録が終わり篠田は古畑に気付いた。
「古畑さん?」
「どうもー。今日もお綺麗ですね」
「本当ですか?うれしい。古畑さんだって素敵ですよ」
「光栄です。えー、PON」
PONの仕草をしてみせる。
「PON」
篠田も古畑に合わせてやってみせた。
「テレビってこうやって撮ってるんですね。慣れない場所なので緊張します。
あれ...見てました。『大切な事はすべて君が教えてくれた』毎週楽しみにしてました」
「見てくれてたんですか?ありがとうございます」
「それと『ギネ』。あれも出てらっしゃった」
「はい、ちょっとしか出てなかったんですけど...古畑さん、今日は一体...?」
スタジオのそばにあった出演者用の椅子に2人は腰をかけた。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 18:32:41.11 ID:7X05VMbX0
「あ、肝心な事を忘れていました。実はですねー、昨夜の事がどうも気になるんです」
「気になる?」
「えー...コーヒーお飲みになります?」
古畑はテーブルに置いてあったポットを指差した。
「今は大丈夫です」
「じゃあ、私頂いてもよろしいですか?」
「どうぞ」
「みなさん...AKBで集まる時も控室にポットが置いてあるんですか?」
「はい、飲みたい人は勝手に自分で入れて飲んでます。それより気になる事というのは?」
「そうでした。現場にですね。ポットが落ちていたんです」
「ポット?」
「はい、誰もいないステージの下でポットを持って何をしていたんでしょうか?」
「お茶かコーヒーでも飲もうとしたんじゃ...」
「誰もいないステージの下で?それだと、おかしなことになります。
もしコーヒーか何か飲もうとするなら、カップが必要です。
周りにはカップのようなものはありません。それにポットの中にはお湯が入っていませんでした」
40名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 18:34:03.68 ID:7X05VMbX0
「じゃあ、趣味とか?」
「趣味?ポットを持ち歩くのが?面白い事を言いますね」
「でしょー」
「亡くなった男性なんですが、頭頂部に痕跡があったんです。これがどうも引っかかるんです。
犯人はですね、おそらく事故に見せかけたかったんでしょう。
男性が転んだ拍子にポットに頭をぶつけて亡くなったと見せたかったんだと思います。
しかしですねー、その男性、床にうつ伏せになって亡くなっていたんです。
もし、本当に転んだとしたら、前から倒れていますから、おでこのほうに痕跡が無いとおかしいんです。
それが、頭頂部、それも後頭部に近いほうに痕跡があるんです。
んー...男性が転んだ時に、手に持っていたポットが宙を舞って、頭の後ろに落ちてきた。
これなら考えられるんです。でも、そんな事はありません。
そこがどうしても悩んでいるんです」
「じゃあ、すべって後ろから倒れて、持っていたポットが偶然頭に当たったとか。
その時はまだ生きていて、助けを呼ぼうとして起き上がろうと寝返りをうったんだけど、
力尽きてうつ伏せになったっていう考え方は?」
「たしかに、そういう考え方も出来ますね」
古畑はコーヒーを全部飲み干すと席を立った。
「ごちそうさまです。どうもありがとうございます」
41名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 18:35:05.75 ID:7X05VMbX0
古畑が帰ろうとした時、もう一度、篠田のほうに振り返った。
「あ、そうだ。そういえば、あれ何て言ってるんですか?
『小池』の歌でセリフの最後...こんな時間に一人で...
はい、このあとです。何かを買っていたと言っているんですが...」
「がりがりくんです」
「がりがりくん?アイスの?」
「すいません。私、滑舌が悪くて...」
「あー、いえそんな事ないです」
「滑舌が良くなるように、早口言葉とか練習してるんですけど...
赤巻き紙、青巻きまみ、黄巻みまみ...あれ、うまくいかないですね」
「えー、アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンス」
「何ですかそれ?早口言葉ですか?」
「歯周病の名前です。どうも失礼致します」
42名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 18:43:40.04 ID:kUIL29QJ0
杉上やめろ!
43名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 19:18:21.60 ID:+QtUb8Le0
本当に杉上か?
44名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 21:20:20.50 ID:7X05VMbX0
前田、大島、篠田、高橋が集まっていた。
大島が先頭を切って話始める。
「あの古畑って刑事、みんなの所にも来たんだって?」
前田が続いた。
「うん、しつこいよね。何かもう、ばれてる感じがする...」
「ごめん。敦子のスカーフの事、優子のだって...つい...」
高橋が申し訳なさそうに言った。
「もうたかみな何やってるの!」
前田は高橋の顔を見て怒っていた。
「私もしつこかった。陽菜はまだだって言ってたけど」
篠田が言った。
その言葉を聞いた瞬間、前田の顔が曇る。
「うわー、にゃんにゃんいんじゃんもうダメだ。絶対ばれるって!」
「大丈夫だよ。意外に怖いものしらずだから」
篠田がすぐに携帯で小嶋に余計な事を言わないように伝えた。
45名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 21:21:26.21 ID:7X05VMbX0
「小嶋さん」
古畑の顔を見て驚いた。
「古畑さん?どうしたんですか?」
古畑は小嶋の顔をじっと見つめ微笑んだ。
「小嶋さん、あなた...嘘つきましたね?」
「え?」
「昨夜、小嶋さんを見たっていう人間がいるんです。
昨夜は5人でずっと一緒にいたなんて言ってましたけど嘘つきましたね?」
「え...な...何の事ですか?」
「小嶋さんを見たっていう証人がいるんです」
小嶋は冷や汗をかいた。
「ど...ど...どこでですか?」
「テレビで。昨夜、有吉AKB共和国に出てたそうじゃないですか。
総選挙スペシャル生放送だったそうで。
うちの今泉が小嶋さんを見たって言ってました」
「テ...テレビの話をしてたんですか?」
「ンフフフ はい」
古畑は小嶋の顔を見ながら微笑んだ。
(意地が悪い...)
小嶋は声には出さなかったがしかめっ面をした。
「古畑さん、用件は何ですか?」
「えー、後ほど...」
46名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 21:22:59.32 ID:7X05VMbX0
戸賀崎に会うために、AKB48劇場に古畑と今泉はやってきた。
戸賀崎は古畑の顔を見るや怒った口調でまくし立てた。
「古畑さん!あの5人を尋問してるそうじゃないですか。」
「いえ、尋問というほどのものでは...」
「メンバーそれぞれ仕事で忙しいんです。
これ以上、メンバーに迷惑をかけたら営業妨害で訴えますよ!」
「ちょっと待って下さい」
「あの5人の中の誰かが事件に関わってるってそう言いたいんですか?」
「そんな事一言も言ってません」
「だってそういう風に見えるじゃないですか!」
「一人が関わっているなんて言ってません。全員が関わっていると言っているんです」
「は?何を言ってるんですか?」
「戸賀崎さん、あの5人を集めてもらえますか?」
「え?」
「えー、その時にすべてお話します」

戸賀崎は二人にコーヒーを入れた。
「ここで待ってて下さい。5人を呼びますので」
そういって戸賀崎は部屋を出た。
47名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 21:24:14.53 ID:7X05VMbX0
古畑は小さなビニール袋の中に入った『千』と書かれたガラスの破片を見て悩んでいた。
時折、眉をひそめたり、舌打ちをしながら...
「んー、このガラスの破片に書かれてる文字...これがどうしてもわからない」
その時、西園寺が慌ててやってきた。
その瞬間、コーヒーを持っている今泉とぶつかり、今泉は持っていたコーヒーを自分にかけてしまった。
「あ、熱ぃ...危ないじゃないか!」
今泉が騒いでいるのをよそに西園寺は古畑に報告を始める。
「古畑さん、現場近くの女子トイレからロープが発見されました。
登山などで使われるロッククライミング用のロープです。
おそらくこのロープで前田さんを殺害しようとしたものと思われます」
「ご苦労様」

コーヒーがかかってしまった今泉はあわてて上着とワイシャツを脱ぎ、Tシャツ1枚の姿になった。
「あー、これ昨日、日本武道館で買ったばかりなのになー。びしょびしょだよ」
「ちょっと待って!そのまま!」
古畑は今泉のTシャツを見て、何かに気付いたように微笑んだ。
「今泉君、お手柄だよー」
「え?何がですか?」
48名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 21:26:55.10 ID:7X05VMbX0
暗くなりスポットライトの中、古畑が振り向き語り始める。

「えー、みなさん、今回の事件、男性を殺害した犯人は前田敦子さんです。
殺害された男性の首には鋭利な刃物で切られた跡がありました。
それが出来るのは前田さんだけです。それは一体なぜなのか...
ヒントはガラスの破片...

ここで、ちょっとお便りを紹介します。

『古畑さん、こんにちは』ンフフフ こんにちは。
えー『いつも楽しみにしています。古畑さんの事件は
時々、証拠があいまいな所があるのに、古畑さんの直感だけで
犯人を決めつけて解決してしまいますよね?
もしかして、今回の事件もあっという間に解決してしまうんじゃないですか?』

お便りどうもありがとうございます。
これはですねー、非常に心外です。私は今まで多くの事件を解決してきましたが、
あっという間に解決した事は一度もありません。きちんと捜査をした上で解決しているんです。
たしかに...直感だけで多少強引に犯人を決めつける事はあります。
例えば今回の場合、前田さんが不自然にスカーフを巻いていたり、足を引きづっていたり、
他のメンバーもあきらかに前田さんをかばってる。
怪しいところはたくさんあります。だからといってそれだけで前田さんを犯人だと決めつけるのは
いささか強引かもしれません。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 21:27:54.16 ID:7X05VMbX0
しかし、みなさん聞いて下さい。
古畑任三郎という物語は事件発生当日、もしくは翌日には解決しなければなりません。
今回は、昨夜事件が起きましたから、今日中には何としても解決しなければならないんです。
限られた時間の中で解決する。これは非常に大変な事です。
証拠が弱くても、多少の強引さは仕方がありません。
そして今回の物語は素人が書いているものなので
どうしても粗が出てしまいます。
んー、ですからですねー、そこの所はちょっと大目に見ようじゃありませんか。ンフフフ
では、またお便りお待ちしております。
後半はセリフが長いので、うまく伝えられるか心配です。
えー、解決編はこの後...
古畑任三郎でした」
50名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 23:58:16.28 ID:7X05VMbX0
戸賀崎はAKBの5人を連れて部屋にやってきた。
部屋には、古畑、今泉、西園寺が待っている。
「古畑さん、一体何ですか?」
古畑の顔を見るや、メンバーそれぞれが問いかけた。
「えー、みなさん、お忙しい所、ご足労頂きましてありがとうございます。
昨夜、亡くなった男性についてお話したい事があります」
「私たち関係ないんじゃ...」
大島がそう言うと、古畑はその言葉をさえぎった。
「昨夜亡くなった男性はある人物によって殺害されました。そう、これは殺人事件です」
AKBの5人は顔を見合わせる。
「そして、彼を殺害した犯人は...この中にいます」
戸賀崎が驚いたように口を開いた。
「一体、何を言ってるんです?そんなわけないじゃないですか」
「今回の事件...不自然な所が多すぎました。まず...」
そう言って古畑はまずポットを見せた。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/19(土) 23:59:41.65 ID:7X05VMbX0
「これ、現場に落ちていました。
おそらく、犯人はこのポットで頭を打って亡くなったように見せたかったのでしょう。
このポットは普段みなさんが休憩の合間に使用しているものです。
メンバーの誰もが...そう、大勢の人が使用しています。
ところが、このポットには指紋が一切付いてません。
大勢の人が使用するポットに指紋がまったく付いてない。おかしいと思いませんか?
もし、亡くなった男性が持ち歩いたというのであれば、彼の指紋が無いのも不自然です。
しかし、殺害された男性自身の指紋も付いていません。
指紋が一切ないポット、ポットが勝手に飛んできたのでしょうか?ありえません。
犯人が事故に見せかけようとして、指紋を拭き取ったんです」
古畑は話しを続けた。

「そして、これを見て下さい。現場に落ちていたガラスの破片です。何か文字が書かれています。
はい、初めはこれ、『千』。漢字で『千』と書いてあると思いました。数字の『千』です。
えー、これが何なのか悩みました。今泉君、服脱いでくれる?」
そう言って、今泉のほうに目をやった。
「え、いやですよ。」
「いいから脱ぎなさい。全部じゃない。Yシャツだけでいいから」
渋々Yシャツを脱ぎ、Tシャツ姿になった。
「みなさん、この今泉が着ているTシャツ見て下さい。これ、何のTシャツかわかりますか?」
「総選挙の時の...」
全員が口を揃えた。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 00:03:30.42 ID:hG1lXTxf0
杉上が古畑か
53名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 00:04:11.44 ID:vhTgFVqa0
「そうなんです。昨日行われた総選挙の記念Tシャツです。これを見てピンときました。
はい、そして先ほどのガラスの破片、これ、『千』ではないんです。『チ』カタカナの『チ』です。
『チ』の下の部分が欠けていたので『千』に見えてしまったんです。
では、この『チ』は何なのか...もう一度、このTシャツを見て下さい。
『神様に誓ってガチです』。はい、このガチの『チ』が欠けていたんです。
このガラスは何なのか?表彰の時に頂いたガラスの盾です。
犯人はこのガラスの盾で、男性を殴った...
それによってその男性は亡くなった...男性を殺害したのは...前田さん、あなたです」
前田の顔から血の気が引いていた。
「だからといって、あっちゃんがやったとは...選ばれた人はみんなもらってるし...」
小嶋が抵抗した。それに続くように、大島、篠田、高橋、戸賀崎も声を上げ前田じゃない事を主張した。
「たしかにみなさん、表彰された方はガラスの盾をもらっています。ここにいる5人の方は全員もらっています。
しかし、これは前田さんにしか出来ないんです。彼は鋭利な物で喉を切られていました。
争った時に切れたのでしょう。ここに総選挙の時にみなさんが受賞した時の写真をご用意しました。

まず大島さん、篠田さん、小嶋さん、高橋さん、そして前田さん

※実際に表彰された時の5人の写真を見てみて下さい。
54名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 00:06:31.60 ID:7X05VMbX0
おわかりですか?前田さんの盾とみなさんの盾、形が違います。前田さん以外の4人は丸い盾です。
しかし、そう...前田さんだけは菱形です。先端がナイフのように尖っています。
前田さんの盾、お調べすれば、おそらく彼のDNAが出てくるでしょう。
前田さん...違いますか?」
前田は観念し、コクリと頷いた。
「今回の事件、前田さんに同情するところはあります。しかし、犯罪は犯罪です」
「ごめんなさい。ごめんなさい...」
前田は両手で顔を覆いながら涙をこぼした。
「前田...どうして...」
そう言うと戸賀崎は呆然と立ち尽くした。
大島、篠田、高橋、小嶋も前田のそばに近づき、抱き合っていた。
5人とも涙で顔がぐしゃぐしゃだ。
55名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 00:16:44.49 ID:vhTgFVqa0
前田は何かを思いついたかのように突然立ち上がり、
先程まで古畑らが飲んでいた目の前のコーヒーカップを床に叩きつけた。
突然の行動にその場にいた全員が驚き、前田を見ると
割れたカップの破片を手に取り、自らの手首に当てた。
「私...人殺しをしました。だから...私も死んで...」
「あっちゃん!」
その場にいた誰もが止めようとしたが止める間もなく、前田は手首を切った。
手首から大量の血が流れている。
「救急車!」
高橋がそう言うと、戸賀崎が慌てて携帯電話を手に取り連絡を入れる。
しばらくして救急車が到着すると、戸賀崎と高橋を始め他のメンバーも前田とともに病院に向かった。
56名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 00:19:46.56 ID:vhTgFVqa0
古畑は事務所の椅子に座ると、天を仰ぐように見つめていた。
目にはうっすらと涙が浮かんでいるようにも見える。
今泉と西園寺は古畑を一人にするべくそっと部屋から出た。
「西園寺君、あんな古畑さん見たの初めてだよ」
「はい、一番の容疑者が自殺を図ったんですからね」
「あの人にとっちゃ、そりゃあ悔しいと思うよ。
僕は長年あの人と一緒にいるけど、今まで犯人を捕まえられない事なんてないし、
ましてや目の前で自殺されるなんて事はなかったからね」
「まさかこんな形で事件の幕が降りるとは...」

今泉は部屋に一人になっている古畑を気遣うべく隣に座った。
「古畑さん...」
「...」
「古畑さん」
「...」
今泉が何度も声をかけるが古畑は気が抜けてしまったように無言だ。
二人はしばらく沈黙のまま座っていた。
57名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 00:22:54.85 ID:vhTgFVqa0
しばらくすると、西園寺が何かを掴んだかのように慌てて部屋の中へ飛び込んできた。
「古畑さん!ちょっといいですか」
「やだ...」
「お願いします!」
「やだ...」
必死な西園寺を見て渋々話に耳を傾ける。
「殺害された男性ですが、週刊誌の記者から前田さんのスキャンダル写真を購入しています。
記者の話ですと、元々は週刊誌に載せる予定だったのを圧力がかかってお蔵入りになったようです」
「どんな写真?」
「前田さんが週刊誌等で噂になっている男性とホテルから出てくる写真です」
古畑はしばらく写真を見つめ舌打ちをした。
「西園寺君、私は大きな間違いをしでかしていたのかもしれない」
「どういう事ですか?」
「前田さんが搬送された病院は?」
そう言うと3人は病院に向かった。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 05:23:25.49 ID:vhTgFVqa0
戸賀崎を始め、高橋、大島、篠田、小嶋は病院で前田の無事を見守っている。
しばらくすると手術を終えた前田が運び出され、病室に移された。
「よかった...」
皆が安堵の表情を浮かべる。
麻酔が効いているのか前田は眠っているようだ。

「あのー、よろしいですか?」
古畑が病室を覗く。
それに気付いた戸賀崎の表情は一変した。
「古畑さん、あんたのせいですよ!あんたが追いつめるから!
たしかに殺人を犯した事は...」
前田がゆっくりと目を覚ます。
「敦子!」
高橋が気付くとみんな安心したように声をかける。
「みんな、迷惑かけてごめんね」
「そんな事...無事でよかった」
高橋は前田の手を強く握りしめた。
古畑に気付いた前田は重い体を起こす。
「古畑さん、私は人を殺した...だから...私も死んで罪を...」
「お察しします。だからといって自殺はいけません」
「こんな事が知れたらマスコミは大騒ぎするし、みんなにも迷惑がかかっちゃう」
「それでも...死ぬべきではありません」
「私にはもう何もありません。生きていろんな事を言われるほうが辛いです」
「だとしてもです。たとえ全てを失ったとしても、生き続けるべきです
あなたにはたくさんの仲間がいます。
また一からやり直せばいいじゃないですか?
まだまだお若い...これからじゃないですか」
59名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 05:25:18.27 ID:vhTgFVqa0
前田は高橋のほうへ顔を移した。
「たかみな...私...AKB48を卒業するよ」
「何で...?」
「こんな事件を起こしたんだもん。AKBに残るわけにはいかないよ」
「でも...」
「ううん、今回の事があったからじゃない。前からずっと思ってた事なの。
いつまでも私なんかがいたらダメだって。後輩のためにもそのほうがいいの」
「敦子...」
「急な事だからいつになるかはわからないけど、秋元先生にも相談して、
次の総選挙には出ないつもり。でも、その前に罪を償わなきゃね」
「だったら私たちだって...」
高橋の目には事件の事と前田の卒業の事で頭が動転していた。
それは、そばで見ていた他のメンバーも同様だ。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 05:27:00.18 ID:vhTgFVqa0
前田が古畑の顔を見る。
「古畑さん...」
「はい」
「古畑さんみたいな刑事さんが捜査してくれてよかった」
前田の言葉に古畑は微笑んだが、意外な言葉を返す。
「えー、前田さんは...利用されたんです」
「何を言ってるんですか?」
「この事件の本当の真犯人に...」
前田を始めその場にいた誰もが顔を見合わせ驚いた。
「どういう事なんですか?」
「前田さんが彼を殺害したのは間違いありません。
そして、ここにいる4人もおそらく前田さんに協力をしたのでしょう。
しかし、真犯人は前田さんを意のままに操り、彼を殺害...
そして前田さん自身をも葬り去ろうとしました。
前田さんは操られていた事すら気づいていないと思います」
61名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 05:31:26.27 ID:vhTgFVqa0
古畑は少し間をおくと、再び話始めた。
「殺害された男性...彼が持っていた携帯電話をお調べした所、
あるメンバーと頻繁に連絡を取っている事がわかっています。
名前を阿知川真一さん。職業はダンサー。趣味はロッククライミング。
この名前ご存じですね?大島さん?」
「え?」
全員が大島に視線をむけた。
「大島さん、あなた...彼に前田さんを殺すように依頼しましたね?」
「優子、嘘?」
前田は信じられない表情だ。
しかし、大島は悪びれた様子も無く淡々と古畑に言い返した。
「たしかに、私は彼とお付き合いをしていましたから、連絡を取り合う事はあります。
だからと言って何なんですか?連絡を取っていたからって、私が何かしましたか?」
「何も...」
「でしょー。連絡を取っていただけで私は何か罪になるんですか?」
「何も...大島さん、あなたは何もしていません」
「じゃあ、私関係ないじゃないですか!彼を殺したのはあっちゃんだし、
事故に見せかけようと実際に工作したのは、麻里子、にゃんにゃん、たかみなでしょ!」
「優子!」
前田、篠田、小嶋、高橋、そして戸賀崎も思わず声を上げた。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 05:33:44.05 ID:vhTgFVqa0
大島はさらに続けた。
「古畑さん、それとも何ですか?彼と連絡をしていただけで、
あっちゃんを写真でゆすったり、殺すように指示したという証拠はあるんですか?」
「証拠はありません」
「ほら」
「証拠はありません...ただ、大島さん、あなた、今何とおっしゃいました?」
「???...ですから、あっちゃんを写真でゆすったり...」
「はいー、写真でゆすったり...あなた...どうして写真の事をご存知なんですか?
前田さんは確かに彼にある写真でゆすられていました。
しかし、その事は前田さんは誰にも言っていません。
ここにいる篠田さん、小嶋さん、高橋さん、もちろん戸賀崎さんにもです。
それなのになぜあなた...ご存知なんですかー?」
前田ら5人は大島を見つめている。
大島は何も言い返す事が出来ず、黙り込んでしまった。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 05:38:05.86 ID:eFZB0xmHO
古畑とかもうお腹いっぱい
64名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 05:41:46.05 ID:jlAGfDuTO
どうしても奈和ちゃんが出てきます
65名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 06:05:03.41 ID:vhTgFVqa0
そして、先程までの強きな態度から一変して、その場で泣き崩れた。
「ご...ごめん...ごめんなさい...どうしても...どうしても1位になりかったんです。
人気、実力、どれをとっても、私のほうがあっちゃんより優れていると思ってた。
でも、何をやってもあっちゃんには敵わなかった。
今回の総選挙、絶対に私が1位だと思ってた...
でももし...あっちゃんが1位だった時はスキャンダルを流して辞めさせようと...
もし抵抗された場合は殺してもいいと指示しました」
「優子...何でそんな事...」
前田は大島の言葉が信じられない。
大島は話を続ける。
「あっちゃんにはドラマや映画の仕事が入るのに、私には下着姿になったり汚れ仕事ばかり...
だから、あっちゃんが...あっちゃんがいなくなればって...
でも、逆に彼のほうが殺されてしまった。
彼とも週刊誌に報道されて邪魔になっていたので、どちらかいなくなればって...
ごめんなさい。あっちゃん...ごめん...みんな...ごめんなさい...」
大島の目には大粒の涙が流れていた。
「えー、1位になりたかったという気持ちはわかります。
だからと言って人を殺そうとするのはいけません」
「はい...」
66名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 06:06:14.05 ID:vhTgFVqa0
古畑はゆっくり口を開いた。
「ここにですね。大島さん、昨夜、あなたが総選挙のステージで言ったコメントがあります」
古畑は紙に書いてある大島のコメントを読み始めた。
「えー、あなた...あなた、こんな事言ってます。
『第3者はいろんな事を言います。この票数、1人何枚も買って本当に総選挙と言えるのか?
選挙は1人1票じゃないか。いろんな事AKBの周りはいいます。ですが...』
はい、ここからです。『私たちにとって票数というのは愛です。
この選抜に...アンダーガールズに入れなかったみんなにも、ちゃんと愛という票数が入っています』
これ、あなたご自分でおっしゃったんですよ。
私...篠田麻里子さんの大ファンです。総選挙の結果は4位でした。
しかし、例え何位でも私の中では1位です。
大島さん、あなたを応援しているファンにとっても、例えあなたが何位であっても、
その人にとっては1位じゃないですか?ちゃんと、愛という票数が入っているはずです。
確かに、順位は大事な事です。しかし、ファンの事を忘れてはいけません」
「...古畑さんの言う通りです。馬鹿ですね。自分で言った言葉なんですよね。
応援してくれているファンの事、一番大切な事を忘れていました」
すべてを白状した大島は覚悟を決めた。
67名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 06:08:23.21 ID:vhTgFVqa0
大島は古畑に聞いた。
「古畑さん、いつから私たちだって気付いてたんですか?」
「初めてお会いした時からです」
「それはいくらなんでも嘘でしょ?」
「えー、私が死体が発見されましたというお話をした時に、あなた、まずこうおっしゃいました。
『死体って?その男の人は何か事件か事故に巻き込まれたんですか?』と。
私は死体が発見されたと言っただけで、男性とも女性とも言っていません。
それなのに、大島さんは『その男の人は...』と自信たっぷりにおっしゃいました」
「嘘をつくって難しいものですね。これでも女優の仕事だってやってるんですよ。
私もまだまだですね。こんな事いうのもなんですけどいい台本だと思ったんだけどな」
「人生というステージには台本はありません」

西園寺が手錠を取り出しメンバーに近づくと、それを見た古畑は西園寺を静止させた。
「西園寺君...必要ない」
「古畑さん、しかし...」
「彼女たちは逃げない」
古畑はそう言うと軽く微笑んだ。

おわり

本作品はフィクションです。実在する人物、団体等とは一切関係ありません。
68名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 06:09:55.41 ID:vhTgFVqa0
あとがき

古畑任三郎といえば犯行の全容をみせておきながら、犯人とのやりとりの中で
証拠を固め、自供に追い込んでいくという倒叙形式のストーリーです。
過去42回放送の中でも異色回である古畑任三郎FINAL『今、蘇る死』という
叙述形式を参考にしています。
古畑の笑い方を文字にするのは難しいのですが『ンフフフ』『エヘヘ』となっているのは
古畑任三郎を地デジで字幕放送に切り替えた時にこのような表現方法でしたので
同じような表現方法にしています。

※参考引用回

死者からの伝言/小石川ちなみ(中森明菜)
動く死体/(堺正章)
さよなら、DJ/中浦たか子(桃井かおり)
再会/安斎亨(津川雅彦)
悲しき完全犯罪/小田嶋さくら(田中美佐子)
古畑任三郎 vs SMAP/SMAP(SMAP)
今、蘇る死/堀部音弥(藤原竜也)・天馬恭介(石坂浩二)
69名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 06:28:39.12 ID:/pVH2ZQx0
>>68
堺正章の役名は中村右近
70名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 10:35:42.06 ID:/Hf0kicM0
杉上満足か?

もう二度と書くんじゃねぇぞ分かったか?
71名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 10:53:58.19 ID:+nEdDbRS0
見るんじゃなかった
もう二度と書くなよ
72名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 11:36:55.49 ID:Oqtk/izR0
事件が起こる前まではそこそこ読めたけどな
73名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 11:52:49.36 ID:dUU0TjVZi
またこのてのステか
74名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 12:49:33.31 ID:fvJGQUWy0
殺さず最初っから写真流失させればよかっただろ


75名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 13:00:19.71 ID:Oqtk/izR0
自殺未遂がいただけないw
76名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 13:15:51.72 ID:vhTgFVqa0
−今泉慎太郎−

「えー、世の中にはさまざまな分野で1番になる人がいます。
例えば、スポーツ選手、芸術の世界...数えきれません。
身近な例だと運動会、テスト...
みなさんは、何かで1番になった事はあるでしょうか?
私は将棋、手芸、手品が得意です。それとあの男に一番おでこを叩かれています。
それから...あっ...まだ終わってない...あ゛あ゛あ゛ー」
77名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 13:16:53.38 ID:vhTgFVqa0
桑原科学研究室

「桑原君、まいったよー」
今泉は科研室のドアを開け、毎度の事のように桑原に愚痴を言いに来た。
それを聞いた桑原はまた始まったと心に思いながら話を合わせている。

「今泉さん、どうしたんですか?」
「今度という今度は頭にきたよ」
「何?また古畑さん?」
「またあいつだよ。本当に腹が立つんだよなー。あいつ、人のおでこを叩きすぎなんだよ!」
「古畑さんに叩かれているうちに刺激されて、毛が生えてくるんじゃないの?」
桑原は今泉のおでこを見て笑った。
78名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 13:17:48.85 ID:vhTgFVqa0
「桑原君、笑い事じゃないよ!もうおでこがこんなに赤くなってる。
それに西園寺、あいつのせいでせっかくのAKBのTシャツがコーヒーでびしょびしょだよ!」
「今日はどうしたの?事件解決したんでしょ?聞いたよ。前田敦子が犯人だったんだって。
で、その殺した相手っていうのが大島優子の恋人だったらしいじゃない。
しかも、事件を仕組んだのは大島優子だったんでしょ?でも、さすが古畑さんだね」
「あいつ、古畑の野郎さ、自分だけ推しメンの篠田麻里子と握手して、
俺なんか結局あっちゃんと握手出来なかったんだぜ」
「古畑さんも抜け目ないねー。さすがだね」
「しかもさー、篠田麻里子に投票した事アピールしてんだぜ。1票しか入れてないのに」
「そうなんだ」
「それにさ、今回の事件、はっきり言って俺が解決したようなもんなんだよ」
「へー、何で?」
「だって、今回の事件の手がかりはガラスの記念盾なんだよね」
「面白そうだね」
79名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 13:18:46.02 ID:vhTgFVqa0
「で、古畑は犯人を見破ったんだけど、これさ、はっきり言って
俺が昨日買ったTシャツを見て解決したんだよ」
「うそー」
「まじまじ。つまり、俺が事件解決したようなもんなんだよ」
「すごいじゃん!」
「あいつの推理能力は認めてるよ。でも、俺に全部任せてくれたら、
古畑の半分の時間で事件解決するのになー」
「かなりの自信だね」
「ちょっと古畑にいたずら電話してみるかな。俺さー、古畑の電話番号知ってるんだよ」
「やめなよー。古畑さんに怒られるよ」
「そ...そうかな」
今泉は桑原にそう言われると動揺して慌てて電話をするのをやめた。
80名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 13:19:40.80 ID:vhTgFVqa0
「ねえ、そんなに自信あるんだったら解決してほしい事件があるんだけど」
「事件?言って言って。すぐに解決しちゃうから」
「まあ、事件っていうほどの事でもないんだけどさ。犯人見つけてくれる?」
そう言って、桑原は机の上にあった総選挙のガイドブックを今泉に見せた。
「この本の最初のページ、メンバーのシールがあるんだけど、
前田敦子のシールだけが無くなってるんだよね。誰が取ったのか犯人わかる?」
「任せなさい。では2〜3、質問させて下さい」
今泉は急に刑事口調になり、古畑のまねをして、額に指先を当てながら桑原に話かけた。
「この部屋には桑原君の他に誰かいた?」
「今泉さんだけだね」
「俺が来てからこの部屋を出た事は?」
「ずっと一緒にいたじゃない。何言ってるの?」
「では、この総選挙ガイドブックから目を離した事は?」
「まあ、ずっと見てたわけじゃないけど」
「なるほど。桑原君が目を離した一瞬のスキの犯行って事だね」
今泉は総選挙ガイドブックを手に取り、じっくり観察した。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 13:20:43.02 ID:vhTgFVqa0
部屋が突然暗くなりスポットライトの中、今泉が語り始める。

「えー、みなさん、これは油症の男で、抜け毛が激しい人物の犯行です。
なぜわかったか...解決編はこのあと...今泉慎太郎でした」
82名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 13:21:46.33 ID:vhTgFVqa0
桑原が電気のスイッチを点けた。
「ちょっとー、誰に向かって喋ってるの?急に部屋暗くしてさー。その油症とか何なの?」
「解決編の前に部屋が暗くなるのはお約束なんだよー。古畑がいつもやってるんだよ」
「そうなのー?まあ、何でもいいけど」

今泉は総選挙ガイドブックを手に取り桑原に見せた。
「いいかい。このガイドブックを良く見て。表紙が手の油でべたべたになってる。
つまり油症って事だよね。そして本の間に髪の毛が落ちてる。これは抜け毛が激しいって事だよ」
「つまり?」
「桑原君が目を離した時、この部屋にいたのは俺だけだよね。そして俺はあっちゃんの大ファン。
そう、前田敦子のシールを取ったのは俺です」
今泉は自信たっぷりに言った。
「ちょっとー、やっぱり取ったの今泉さんじゃん。返してよ!」
「いいじゃないか。欲しかったんだよー」

おわり

本作品はフィクションです。実在する人物、団体等とは一切関係ありません。
83名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 13:55:22.26 ID:QLVH0P4c0
杉上いい加減にしろよ

復活作がコレか?笑わせるんじゃねぇ
ブログとかに載せるんじゃねーぞ
84名無しさん@お腹いっぱい。:2012/05/20(日) 14:55:53.35 ID:Oqtk/izR0
桑原技官が亡くなられて、もう10年なんですね
85名無しさん@お腹いっぱい。
古畑好きな人が書いたって感じ