no3bとNot yetがひとつ屋根の下★２

連日小嶋さん争奪
それを横目でみるゆいはん

※前スレ
http://hato.2ch.net/test/read.cgi/akb/1316244382/

とりあえず立てたけどこれで大丈夫かな？
作者さん来るまでみんな保守よろしく

>>1
乙！

>>1
乙!!

>>1
乙！

>>1
乙！

>>1
乙

作者さんも乙

>>1乙

>>1
おつちゃ

>>1
乙です！

遅くなってすみません
前スレ保守＆埋めありがとうございました(´□｀)

１９

「絶好の運動日和ですねー！」

　驚くほどの青い空｡サンサンと輝く太陽に､優子は声を上げる｡
うはぁ､気持ち良いね｡こんなにいい天気だと｡朝はぐっすりと眠って､布団も干して｡
芝生に転がりたくなっちゃうね｡見せてあげようか､必殺の峯さんローリングをっ！そんな技はないけどねっ！
　5月と言えばのゴールデンウィーク｡滅多に貰えない2日間の休日の1日目｡
私達ノースリーブスとNot yet以外のメンバーは､今日はまだ休日じゃないらしい｡あぁ､あと例外としてさっしーも｡
さっしーは去年から人気帯番組のレギュラーになったからね｡生放送だし､抜けることはできないもんね｡
　まぁ､そんなさっしーには悪いけど､私達は思いっきり遊ばせて貰おうじゃないか！

「行くぞ､峯岸！我が魔球を受けてみろっ!!」
「ふっふっふ！大島君､あぁ大島君！甘いんだよぉっ!!」

　ブンッと振ったプラスチックのバットに､優子の投げたカラーボールがぶつかる｡
ボールは綺麗に弧を描いて､遠くに飛んでいく｡さすが峯さん！腕力には自信あるんだよね､私｡

「たかみなー！早くボール戻せーっ!!」
「きたりえー！戻ってこーいっ！」
「うおーっ!!」

　芝生の向こうで転がるボールを､追いかけるたかみな｡
日差しが強いせいか走り回ってるせいか既にたかみなは汗だくのテカテカ｡
その間にも塁に出ていたきたりえが芝生を回って戻ってきた｡

「いぇーい！」
「ランニングホームラーン♪」
「あぁもう！たかみな､何やってんだよー!!」
「ごめーん……！もう､ヘロヘロで」
「それでもキャプテンかよ！」

　いやー､思った以上に圧勝してしまってごめんなさいね｡
やっていたのは2対2の三角ベース｡由依が持ってきたガラクタの中にプラスチックバットとカラーボールがあったからね｡
いい大人がこんなことしてはしゃぎすぎとか思う人もいると思うけどさ､案外童心にかえれて楽しいもんだよ｡
っていうか私､まだピチピチの19歳だし☆キャピッ♪おばさま達には負けていられませんわよ､おほほほほ｡
　あ､ちなみに陽菜は「運動できなーい」とか情けないこと言ってレジャーシートを敷いて楽しそうに見てる｡
うさみみちゃん達を抱きしめながら｡その横で､由依は携帯電話でワンセグテレビを起動させて､生放送の帯番組を見ていた｡
何やらいつも以上に真剣な顔をして､携帯電話にかじりついている｡上下

「由依ってば､あぁやっていつもさっしーの生放送見守ってんだよ」
「へー､そんなに心配なんかね」
「『莉乃ちゃんのことやから､いつか絶対に何かやらかしますわ〜！』ってさ」

　由依の口調を真似る優子だけど､由依本人が聞いてたら怒られるであろう イントネーション｡
しかしそんな優子も､この前現場の休憩中にテレビの前でさっしーの生放送を見てたんだけどね｡
1時間ずっと心配そうだったけど､見終わった後の安堵にも見える笑顔には､ちょっとにやけちゃったね｡

　それにしても午前中だけで結構遊んだなー｡
缶蹴りで陽菜がしばらく鬼になったし､だるまさんがころんだで優子が脅威の停止率を見せたり､ビーチボールでバレーもやった｡
まぁ陽菜の運動音痴が凄いったらありゃしないね｡これはノースリー部として私とたかみなでもっと鍛えてあげなくちゃ｡

「次何しますー？」
「え､もう止めるん？」
「みなみちゃんがボール取れなさすぎなんですよ！」
「きたりえー､凹むからやめてくれー」
「でたー､きたりえの不機嫌モード｡お腹空いてらっしゃるー」
「一旦お昼にしようよー」

　レジャーシートの上に大きめのランチボックスを置きながら､陽菜がこっちに向かって言っていた｡
ぐー､と誰かのお腹がなる｡むぅ､確かに午前中走り回ってたからお腹空いちゃったな｡

「お〜！お弁当豪華っ！」
「いただきますっ！」
「いや､きたりえ｡一足早すぎるぞ」
「早くしてください我慢できませんお腹空いたハヤクシロハヤクシロ」
「きたりえが呪文唱えだした」
「はいはい､それでは皆さんご一緒に」
「いただきまーす！」

　陽菜の号令で､皆いっせいにサンドウィッチに手を伸ばした｡
うーん､こんなに沢山作ってくれたなんて､陽菜は共同生活始まって以来､本当に良いママだな｡

「さっしーのお弁当のついでなんだけどね」
「え､にゃんにゃん､さっしーにお弁当作ったの!?」
「うん｡お弁当作ってくださいって頼まれたから」

　優子とたかみなの目付きが一瞬変わった｡まったく｡
本当にこいつらは陽菜のことが好きだな｡さっしーが気に入られてるからって嫉妬しすぎだろ｡
たかみななんてあっちゃんというものがありながら！私にももっと構ってくれよ！拗ねちゃうぞ､ぷんっ！

「サンドウィッチうまっ！」

　きたりえは相変わらず食べ物を食べると幸せそうな顔｡由依も食を進めながら､携帯電話をまじまじと見つめている｡
共同生活始めても何も変わらないな｡もっとさ､7人も女子が一緒に住んでるんだからさ､ちょっとはギスギスした感じになると思ったんだよ｡
昼ドラみたいなね｡優子とたかみなが陽菜を奪い合う｡しかし陽菜はさっしーと結ばれていた｡さっしーを憎む優子とたかみなが……！
って､これじゃきたりえみたいだな｡きたりえの妄想みたい｡嫌いじゃないんだけどね｡深夜のラジオコーナーかっての！……ラジオ｡

「のわぁっ！」
「うおっ､どうした｡みぃちゃん」
「ラジオのこと忘れてた!!」
「ラジオ？え､まさか仕事入ってたとか言うんじゃ……！」
「じゃなくて！替え曲たちって､私が作詞したいからって始めたコーナーじゃん……」

　そうだよそうだよそうでしたよ！あぁー､自分で作詞したいって言ってたじゃんかよ､私｡
忘れてたとかなんて罪な女なんだろうねー｡それなのに運動した後に陽菜の御飯を満喫しちゃって｡
ラジオのスタッフさんにもリスナーの皆さんにも悪いことしたわ､こりゃ｡むむむむーっ｡
　こうなったら今度ラジオの時にスタッフさんに頼んで今までのやつ見せて貰おう｡何かの参考になるかもしれない｡
出演の機会があれば､作詞のことについてリスナーに聞いてみるのもありだよね｡利用できるものは利用しないとね､ぐへへへ｡

「終わったー」

　由依が携帯電話を置いた｡
時刻は13時｡ちょうど生放送が終わったであろう時間｡

「莉乃ちゃん､今日も大丈夫そうだった？」
「やっぱり口が悪くなるときあったけど､大丈夫そうやった」
「ははは､莉乃ちゃんらしいね」
「きたりえはさっしーのこと心配じゃないの？」

　ガチって呼ばれるのもわかるぐらい､きたりえとさっしーは仲が良い｡
家族ぐるみの仲の良さなのは有名な話｡いいねー､親同士も仲が良いって｡素晴らしい｡
そんなきたりえだけど､由依や優子と違ってさっしーの生放送を見てる姿を見たこと無い｡

「まぁ､私は莉乃ちゃんのこと信頼し切ってるから」
「またまたー､そんなこと言って毎週録画してるくせにー」
「こじはるさん､ちょっと！何言ってんですか！」
「きたりえってばー､この前心配そうに見てたんだよー」
「こ､こじはるさんこそ毎週堂本兄弟と47ｃｈ録画してるじゃないですか！」
「えーっ､私じゃないよー！」
「にゃんにゃん……！」
「陽菜ーっ！」

　たかみなと一緒になって､嬉しさをこらえ切れず陽菜に飛びつく｡
支えきれなかったのか､陽菜はそのまま背中からレジャーシートに寝転がる｡

「重いよー」
「台湾での仕返しだーっ！」
「食らえ､陽菜ー！」
「あー､何か眠くなってきちゃったー」
「良い天気だし､このままお昼寝って言うのも悪くないかもねー」

　さっしー､ごめんね｡今､休日を超満喫してるわー｡

あげます(´-∀-)

乙です

age

あげ

待ってました！
あげ

あげ

（・o・）ノ昼休みあげ！

就職決定記念age

>>21
おめでとうw

age

遅くなったが新スレ乙
作者さんも乙

勉強疲れたage

あげ

夕食後age

keep

保守

ほーしゅ

守り続けたいスレだから
守る

「ごめんじゃねぇよっ!!こっちが働いてる時に休日しやがってーっ!!」

　むきゃーっ､と奇声を発しながらリビングの床をゴロゴロ転がるさっしー｡
こっちが遊びまくったのが相当気に入らなかったのか､帰ってきて早々に今日何やったのかを事細かに聞かれた｡
お昼を食べた後は､ちょっとだけ本気の昼寝が入った｡まぁ20分くらいだけどね｡それからレジャーシートなんかを片付けて､夕飯のお買い物｡
　あ､ちなみに遊びまわってたのはマンションからそんなに離れてない場所にある公園｡やっぱり閑静でいい所｡

「指原ー！働いてるって､今日もしどろもどろしてただけじゃねぇーか！」
「優子ちゃんにはわかりますかっ!?あのメンバーに囲まれた時の威圧感！」
「わかんねぇよ！いいから仕事に集中しろよ､にゃーちゃん近づけんぞっ！」
「いや､それ優子ちゃんも自滅ですからね｡っていうか指原にそんな態度で良いんですか!?」
「あぁっ!?それが先輩に対する態度かよー､お前はー」
「今日のゲスト､香里奈さんから優子ちゃんへのお土産のチーズ預かってるんですけどいらないんですかっ！」
「すみませんでしたっ！」

　いや､謝るんかい｡それを越して土下座するんかい｡どんだけチーズ好きやねん｡
　それにしてももう身体がクタクタだ｡一眠りしたいぐらいに瞼が重い｡そしてそれ以上にお腹が減った｡
ソファに寝転がってるきたりえなんか､物凄い低い声で唸り声を上げてる｡夜中の冷蔵庫みたいな､ウ"ーーーンって感じの唸り声｡
さすがにこの状態のきたりえには由依も近づけないようだ｡HP0のきたりえはバーサーカーだからね｡怖すぎる｡

「指原さん､チーズをください！」
「しょうがないですねぇ､まぁ香里奈さんから頼まれたので良しとしましょう！」
「いや､優子｡もっとプライド持てよ」

　今日の鍋奉行はたかみな｡現在キッチンで鍋の準備中｡
あれでたかみなは料理上手いからね｡結構楽しみにしてるんだよ｡鍋パー鍋パー鍋パーティー！

「みぃちゃんの番だよー」
「あ､ほいほい」
「こじはるさん､何でそんなにスター取れるんですか」
「えー､普通にやってれば取れるんじゃないのー？」
「そんなに取れるの陽菜だけだから……」

　御飯が出来るまで由依と一緒にゲーム中｡
某赤い帽子のヒゲのおじさんの双六ゲーム｡陽菜が持ってきたやつなんだけどね､単純に見えてなかなかはまるんだよねー｡
けど､陽菜の驚異的な運が何故かゲームにも現れて､スターの差が尋常じゃないことになってる｡赤マスにも止まらないし｡
まぁ､そんな中ずっと唸り声が聞こえてくるから集中しきれないなー｡あー､後ろ振り向きたくない｡

「りっちゃーん｡りっちゃんにもお土産だよ」
「むぅ……？」

　機嫌の悪そうなきたりえに､さっしーは普通に近づいていく｡すげーな｡私には到底真似できそうに無い｡
聞いた話じゃ､お腹空いててもそこまで機嫌が悪い訳じゃないらしいけど､でも唸り声出してたらなぁ｡

「りっちゃんの好きなチョコレートだよ」
「うなっ!?」

　さっしーの差し出したチョコレートを見てバッと起き上がる｡
いや､自分でうなって言うんかよ！っていうかチョコが出てきた瞬間の反応の早さったらない｡
さっしーのお土産のチョコは､その辺のスーパーにも置いてありそうなチョコレート菓子の巨大版｡

「ドンキに行く用事があったから買ってきたよ」
「りのちゃんラブ！」
「はいはーい､鍋の準備できたよー｡チョコは後にしなよー」

>>21
おめでとうございます！
実のところ、自分もこの前決まったところですｗ

>>24
勉強頑張ってください∈(°◎°)∋

>>22
>>32ありがとう
お互い頑張りましょう

なんかおめでたいスレだなｗ

あいかわらず、クオリティが高い。

　たかみながダイニングテーブルに鍋敷きを置いていた｡
その間にも､きたりえがさっしーに飛び付いている｡きたりえの勢いが大きすぎたせいか､さっしーに支えられる訳も無く床に倒れる｡
「うわぁ〜」と情けない声で倒れるさっしーを､既の所で優子が支えに入った｡おぉー､なかなか危機一髪な状況だったぞ｡

「危ねぇな！怪我したらどうすんだよ！」
「おぉ､優子ちゃんありがとうございます！」
「ふっ､チーズの借りを返したまでだ」
「あー､こじはるさん､またスターを……」

　由依の声に振り向くと､陽菜の使うキャラクターがまたまたまたまたスターを手に入れるところだった｡
おいおい､まだ私も由依も1つもスター持ってないんだけどな｡何でこんなに運が良いんだろう｡
しかし､しかしだよ小嶋くん！甘いんだよ！ここまで大差を付けられた状況で晩御飯なんて良いタイミング！

「電源オーフッ!!」
「あーっ！みぃちゃん何すんのー！」
「さ､晩御飯食べよー､由依ー」
「そうですねー」
「ずるいよー」

　頬を膨らます陽菜を無視して､由依と肩を組みながらダイニングへ向かう｡

「おー？何やこれー」
「お店みたーい」

　たかみなが鍋敷きの上に置いた鍋は､しゃぶしゃぶのお店で見るような二層鍋｡
陰陽マークのように2つに分かれた鍋には､黄金色に輝く出汁と真っ赤なスープ｡
具材も沢山｡お肉につくね､野菜もたっぷり山のよう｡見ただけで涎が出てきた｡

「指原がドンキで買ってきた鍋ですよ､褒めて褒めて！」
「最高だよ､莉乃ちゃん！」
「おぉー､しゃぶしゃぶーん｡たかみな､すげーじゃーんっ！」
「やろやろー！もっと褒めてー」

　たかみなもさっしーも揃って胸を張る｡無い胸だけに､褒めるかどうか迷っちゃうなー｡

「みぃちゃんも由依ちゃんもずるいよー」
「うっせー､陽菜ー！妙な魔法使ってんじゃねぇ！」
「えーん､何でそういうことゆー」
「でたー！にゃんにゃんのテンプレー」
「テンプレってなーにー？」
「いいから早く食べましょうどうでも良いから食べましょう！」
「りっちゃん､少し落ち着け」
「じゃあ､皆座れー」

　7人がそれぞれ席に着いて､皆で揃っていただきます｡
鍋パーティーの始まりです｡まぁ鍋パっていうよりはしゃぶしゃぶパーティー｡
さっしーも加わって､やっとこさ7人の休日が始まったわけだ｡パーティー終わったら明日の旅行の準備｡
楽しみだなー､日光｡何度か行った覚えはあるんだけどさ､このメンバーで行くって言うのが楽しみ｡
とりあえずまぁ今日はこんなところで｡え？続き？オチ？そんなのは無いよ｡だって今日は休日だからね｡ばいびー｡

いい！

最高！

今日はおれも休みあげ

ナイス↑

メンバーたちが楽しそうだから読んでる自分も嬉しい

あげえ

乙age

あげ

ひるあげ

（・o・）ノ午後あげ

にゃげ

パーマ中あげ

今日はカレーあげ

あげ

あげ

age

あげ

寝る前あげ

２０

　ゴールデンウィーク､超が付くほど楽しかったわ｡皆で日光に行って､色々満喫してしもうた｡
優子さんが言ってた通りにワールドスクウェアはほんまおもろかったわ｡模型好きの私からしたら夢の国みたいやった｡
たかみなさんも展示物に感動しはったのか､帰ってきてからブロックを買って建造物組み立て取った｡作詞しながらね｡
あとは東照宮とか江戸村とかも行ったよ｡里英ちゃん莉乃ちゃんと一緒に三猿の真似して写真取ったり､着物きたり｡
詳しくは皆さんのブログ見てくださればえぇかな｡たくさん写真も撮れたし､お土産も買ってほんま満足やったなー｡
　んー？温泉？あー､そうそう｡温泉の話もせんとあかんね｡忘れとった｡

「折角個室借りたんだから早く脱げよー!!」
「わかりました！わかりましたからその手つき止めてください！」

　脱衣室の方から､優子さんと莉乃ちゃんの声が擦りガラス越しに聞こえてくる｡
結局､たかみなさんと莉乃ちゃんが入るか入らないかで駄々をこね出しちゃって､こんな状況｡
折角の温泉､普通に恥ずかしいことなんかあらへんのになぁ｡個室やから誰に見られるでもなし｡

「莉乃ちゃーん､りえことの約束忘れたのかー」

　先に入ってるのは私と里英ちゃんとみぃちゃんとこじはるさん｡
ゆっくりまったりしててほんまに気持ちえぇなぁ｡温泉ってえぇもんやわ｡
里英ちゃんが脱衣室の莉乃ちゃんに呼びかけると､すぐに情けない声が返ってくる｡

「うーっ､しかし……！」
「約束守れない奴､りえこは嫌いだぞー」
「わ､わかったよー！こうなりゃやけだ!!」
「よしよしっ！次はたかみなだぞー！」
「やめてけろーっ！」

　この後､こじはるさんも脱衣室に乗り込んで結局入ることになったんですね｡
莉乃ちゃんもたかみなさんもバスタオルでグルグル巻きで｡しかもたかみなさんなんか顔が真っ赤やった｡
皆で入る温泉はえぇもんや｡お家のお風呂かて広いゆうても限度があるからね｡ほんまに素晴らしいわ｡
　そんな感じですっきりさっぱりして､晩御飯は優子さんの実家に行っていただいてしもうた｡
優子さんのパパさん､料理上手でな､かなり美味しかってんで｡旅館の御飯みたいで思わず写真撮っちゃったし｡
お土産まで持たせてくれて､優子さん家に泊まりたいぐらいやった｡明日朝からお仕事やから､それは無理やけど｡

「今度はお泊りに来たいですねー」
「そうだねー｡楽しかったー」

　帰りの電車は､こじはるさんと2人｡
7人で一斉に行動すると､もしかして人が集まってきちゃうんじゃないかってことで3組に分かれての帰宅｡
私とこじはるさん､優子さんと莉乃ちゃん､たかみなさんとみぃちゃんと里英ちゃんっていう組み合わせ｡
それぞれちょっとずつ時間をずらして移動中｡私達は1番最初に出発した訳です｡

「こじはるさんと横山で大丈夫ですか!?帰れなさそう！」
「えー､さっしーよりは由依ちゃんの方が安心だよー｡ねー優子ー」
「本当だよ｡指原と2人じゃ心配で心配で」
「そこまで馬鹿にしなくても良いじゃないですか！」

　なんてやり取りで見送られた｡実際､遠くへの移動には慣れてるから平気｡
オーディションに合格した頃に比べれば､首都圏ってゆうだけで京都より全然近いしな｡
鈍行の電車はゴールデンウィークらしく人でいっぱい｡運良く2人分席が空いていて座ることが出来た｡
これもこじはるさんの運なのやろか｡声を掛けられずゆっくり出来てるし｡私はともかく､こじはるさんは気付かれてしまいそうやけどなー｡

寝る前あげ

この二人に何か起きそうｗ

はたして、指原の文才とかは作詞に関係してくるのかな？

あげぽ

（つoー）ノ夜中あげ・・・

朝あげ

寝起きあげ

いってきまあげ

ブログでやれ

小嶋さんとゆいちゃんって珍しい組み合わせ♪

前作も合わせてブログにまとめたりしたら読みやすいのは読みやすいかもな

（・o・）ノおやつあげ

満員電車あげ

pixivにあるのは作者公認？

ここはブログに移行するべきですかね・・・？

>>68
本人です＾＾；

>>69
いつもお疲れ様です
最高です
誰にも迷惑かけてないから大丈夫でしょ
それどころかみんな楽しみにしてますよー！

日4-0夕

お祭りマンボあげ

>>69
ここでいいですよ
今話題の優子姐さんときたりえの深イイ話貼っておきます
作者さんもしご存知なかったらどうぞ
http://akb48matome.com/archives/51783070.html

>>73
これはホント泣けた
是非作者さんも

「由依ちゃんって旅行とか行かないのー？」
「えー､そうですねぇ｡なかなか時間取れなくないですか？」
「私は時間あればどこかに行きたい派なんだよねー」

　そういえばこじはるさんってそういう人やったっけ｡
普段の印象からまったりしてそうなイメージがあるけど､結構行動的｡前に1日使って麻里子様と韓国に日帰り旅行したらしいわ｡
いくら1日のお休みを貰っても､さすがに韓国にまで旅行に行こうとは思えへんな｡っていうか実家にだって無理やわ｡
色々と準備とかしてたら1日じゃどうにもならん気がしてしまうもんな｡

「旅行に行くならゆっくりしたいんですよねー｡旅館のお部屋でごろ寝するのが好きなんです」
「あ〜､そういうのも良いよねー｡畳にゴロンって転がったりね」
「はい､それでお茶煎れて､お茶菓子を食べるんです」

　忙しいのも嫌いじゃないけど､やっぱりまったりするの大好きやなー｡
食べるのが大好きやからね､ゆっくり食べたいねん｡雰囲気って言うのも楽しみたいし｡
願わくば､今日ももっとゆっくりしたかったな｡東照宮とか歴史のあるところをゆっくり眺めたいわ｡

「良いねー｡それから旅館の中を探検したりしてね」
「わかりますわかります｡ここに自販機あるんやーとか､温泉広いなーとか」
「そーそー｡温泉街だったらブラブラしたりねー」

　まぁ､正規メンに昇格してからはなかなかそんなことも出来んくなってるんやけど｡
お仕事でホテルに行っても､疲れて早く寝ちゃうことばっかり｡泊まらんくても御飯食べたらすぐに東京に戻るし｡
ゆっくりと､時間に縛られずに旅行に行きたいわ｡願わくば､全国ツアーで行ったところにもう一度行きたいな｡

「ねー､由依ちゃん」
「はい？」
「今度さー､京都に行きたいから案内してよー」
「えっ､私がですか？」
「うん｡だって京都って言えば由依ちゃんだもーん｡色々行きたいところあるんだー｡竹の道とかー､石のお庭とかー」

　こじはるさんは指折り行きたいところを数えていく｡なんやろなー｡
それだけの仕草なのに､ほんま可愛らしい人やわ｡優子さん達に好かれるのもわかる気がする｡
共同生活を始めてから､皆のえぇ所を沢山知ったと思う｡アイドルやっても､皆人間なんやなって実感したわ｡
上げたら切りが無いから上げんけどな｡でも皆､仲良くて優しくて､ほんまに大好きや｡

現状はとりあえずこのままで行きますね
>>65の言うとおり前スレ読めるように追々まとめていきたいと思います

>>73-74
自分も読みました！
いい話ですよね

乙！

　そんな感じでこじはるさんと一緒に､のほほんと東京に帰って来ました｡
今度お休みがあったら京都に行こうって言う約束をして､ついでにお洋服も貰えることになりました｡
残りのお休みはほとんどお仕事で終わってしまって､またお仕事ばかりの毎日が始まっとります｡

「うーん､お腹空いたー｡何か無いもんかねぇ」

　お仕事終わりの控え室｡今日はチームKでのお仕事やったんです｡
優子さんやともちんさんはこの後もお仕事やからって既に次のお仕事先に行ってて､他の皆さんも各々お仕事や予定があるそうで｡
そして残った控え室には､ビックリするくらいの独り言｡私はこじはるさんがくれた服に着替えてるとこなんですけどね｡
チームKで行動してるとたまに聞こえてくるんですけどね､最初の頃は急やったから驚くことばっかりやった｡さすがに慣れましたけどね｡

「梅田さん､チョコレート食べますか？」
「え､くれるの？なら貰っちゃおうかなー」

　AKB48の大先輩｡優子さんと同じ2期メンで優子さんと同じくらい小さくてダンスが上手くて元気｡
ともちんさんにそっくりで､クールな人やと思ってた｡ダンス上手いし孤高の人って感じの印象やった｡
福岡出身のう〜めっ！ことDiVAの梅田さん｡梅田彩佳さん｡独り言の主｡

「ゆいはむー､ありがとう！」
「いえいえ｡それにしても梅田さん､今日はゆっくりなんですね」
「今日はもうこれで終わりなんだよー｡っていうかいい加減梅ちゃんって呼んでおくれよー！」

　朗らかに笑う梅田さん｡うーん､先輩のことをちゃん付けで呼ぶのはさすがに……｡
里英ちゃん莉乃ちゃんみぃちゃんはね､やっぱり年齢近いしあれなんやけどな｡梅田さんレベルともなると｡

「それは私がおばちゃんって言いたいわけかー､ゆいはむー」
「いえいえいえ！決してそういう訳やなくてですね……」
「良いよ良いよー！わかってるけんね！それよりゆいはむ､これゴールデンウィークのお土産だよー！」

　今日の梅田さんはやけにハイテンション｡
いつだかゆったんさんが言ってたけど､梅田さんはその日その日にキャラがあるとか｡
確かに見るたび印象が変わる人やな｡髪型をちょくちょく変えてるってのもあるけど､性格がガラリと変わる｡
基本的には元気というかお茶目というか､……ちょっとおばちゃんっぽい人｡たまにクール｡時に甘えん坊｡
大人っぽかったり子供っぽかったり､でもいつだってダンスが好きでとてもカッコえぇなって思う｡

「あぁ､ありがとうございます｡どこ行かれたんですか？」
「亜美菜ちゃんと有華ちゃんとね､実家の福岡に行ってきたんばい！超楽しかったー！」

　えへへへ､と楽しそうに笑う梅田さん｡子供っぽい一面｡貰ったのは明太子｡

「これは有名なお店の明太子なんばい｡ほんまは優子に渡そうと思ったんやけど移動しちゃったからさ｡皆で食べてー！」

　私が言うのもあれなんやけど､博多弁って言うのかな？バリバリやなー｡
イントネーションとか独特｡何だか釣られて変な喋り方になってしまいそうやわ｡
でも博多弁で喋る梅田さんは生き生きしとる｡地元って嬉しいもんやからね､わかるなー｡

「どうもです｡でも､あー……お土産買ってないんです」
「日光に行ったらしいね｡でもよかよー！気にしなかで！今度どっかに行ったらなんか買ってきてよ｡あ､梅田､八橋大好いとぉばいー！」
「何かすみません……」
「ううん｡それよりゆいはむ､この後は暇かい？」
「え､あぁ｡特に予定は｡お家帰ってお掃除するぐらいですかね」
「そっかそっかぁ｡ならちょっと付き合っておくれよー｡御飯行こうよー」

　おぉ､梅田さんからのお誘い！何や､レアな状況！
普段はみちゃさんにベッタリの梅田さんやけど､みちゃさんもお仕事ゆうて移動してしまったし､代わり？
いやいや､梅田さんのことやから単純に誘ってくれてるんやろな｡やった｡

保守

まさかの梅ちゃん登場キセキーーーー(･∀･)

梅ちゃんじゃん！
あの梅島夏代とノイエの話くるかな？

「何が良いかねー｡やっぱりいくらかな｡でもイカも捨て難いね｡うーん」

　やってきたのは回転寿司｡梅田さんのリクエストで､お寿司が食べたいってことでね｡
私も梅田さんに言われてお寿司が食べたくなっちゃって､承諾した訳です｡さすがにカウンターのお寿司は高いから､回転寿司｡
いつかカウンターのお寿司とか普通に食べれるようになりたいわ｡お寿司のネタが時価だったりしてね｡えぇなぁ｡
でも私は回転寿司の変わりネタも好きやから､回転寿司も捨てがたいねんな｡ハンバーグとかお肉とか美味しいもん｡
　梅田さんは髪を1つにまとめて､やる気満々でコンベアを流れてくお寿司をまじまじ見つめていた｡独り言しながら｡

「ゆいはむの好きなお肉だよー｡はーい､どんどん食べなさいねー」
「あ､ありがとうございますー」

　お肉､ほんまに美味しいなー｡御飯とお肉がよく合うんよね｡
あー､牛丼食べたくなってきてしもうた｡帰りに買っていこうかなー｡
うーん､でも食べすぎは止めろって優子さんに言われてしまったし､我慢せな｡

「何ゆうとるとー｡若い子はどんどん食べて育った方が良いよー｡そうしないと私みたいになっちゃうよー」
「えー､梅田さん綺麗で素敵やないですか」
「おーっ！ゆいはむ！そんなこと言ってくれるのゆいはむだけだよー！」

　背の小さい人も胸の薄い人も共同生活で見慣れてるからなぁ｡
私もそこまで胸が厚いわけとちゃうしね｡さすがに優子さんのそれを見ると凹むときあるけど｡
梅田さんは一緒にいると､そこまで背が低いって気がしない｡並んで歩くとさすがにちっさいとは思うけれど､でも何やろうな｡
やっぱり圧倒的なパフォーマンスだから｡梅田さんのダンスはいつ見てももの凄いって思う｡気迫が違う｡
私は歌やけど､梅田さんはダンス｡ダンスのスキルはメンバーからもスタッフさんからも評価が高い｡
梅田さん､優子さん､なっつみぃさん､野呂さんの4人で結成していたダンスユニット･梅島夏代｡
Not yetの前身と言っても良いぐらいの存在｡梅島夏代のダンスの動画を見ると､感心を通り越して敬愛してしまう｡

「おほぉっ､やっぱりいくらだねぇ｡プチプチする触感ってばたまらんねぇ」
「梅田さんってお寿司好きなんですか？」
「うん｡魚介は美味しいよ｡年取るとね､お肉よりお魚になっちゃうけんねぇ」
「そんなもんですかねぇ」
「ゆいはむもいつかわかるよー」

　そう良いながら､笑顔でいくらの軍艦巻きを頬張る梅田さん｡
幸せそうやなぁ｡こういう顔を見てるとこっちまで幸せな気分になってきてしまうわ｡

「そうそう､共同生活のほうはどうなんだい？」
「どうなんだいと言いますと？」
「喧嘩とかしとらんかい？楽しくやってるのか心配でねぇ｡さっしーとかちゃんとやっていけてるのかねぇ」
「梅田さんって指原さんと仲良かったでしたっけ」
「良いって言い訳じゃないけどねぇ､悪いってほど悪くないよ｡見てて面白いやん」

　確かに｡莉乃ちゃんとかたかみなさんとか優子さんとか､リビングを暴れまわったりしてるから見てて飽きない｡
こじはるさんがうさみみちゃん達をお風呂に入れてあげたとき､塗れたままの2匹を追いかけまわる3人はほんまに面白かった｡
莉乃ちゃんなんて逆にうさみみちゃん達にあしらわれてびしょ濡れになっとったしね｡それでも楽しいからって笑ってた｡

「皆仲良くて楽しいですよ｡家事も分担してやってますし｡こじはるさんや優子さんの御飯が本当に美味しいんですよ」
「御飯美味しそうやないの〜！ええねぇ｡DiVAやったら御飯とか心配だわ」
「秋元さんとか､普通にプロテイン出してきそうですねぇ」
「皆ムキムキになっちゃってねぇ｡ってさすがに才加を馬鹿にしすぎだぞ､ゆいはむ〜」
「ふははは」

　梅田さんのゆったりした感じのノリツッコミが大好き｡何度聞いても笑ってしまうわ｡

朝うｐ(*｀ω´)

お昼御飯あげ

あげ

握手空き時間あげ

あげw(ﾟoﾟ)w

握手会帰宅中あげ

(∋ﾟ◎ﾟ)人(・o・)人(-∀-`)人(゜o゜)w　ノイエあげ！

(∋ﾟ◎ﾟ)人(・o・)人(-∀-`)人(゜o゜)w　
さげてしまった・・・再あげ

博多弁難しいねー
在住二年だけどまだ『ばい』の使い方がわからない(>_<)
けん、たい、と、はなんとなくわかるようにはなったけど。

>>91
正直、「ばい」ってあんまり使わないよｗ

しよーと
せんけん
よかばい

方言はやっぱその地域に係わりないと全然わからないよな

あげ

あげ

あげー

日付変更あげ

作者応援age

あげw(ﾟoﾟ)w

あげ

寝起きあげ

（●¨●）

待ち人age

午後あげ

あげあげ

おやつのドーナツあげ

あげ

からアゲくんあげ

あげお

あげw(ﾟoﾟ)w

寝る前あげ

明日は月9だー☆

>>112
ヨンパラ見てあげようよw

ヨンパラ待機age

「作詞の方はどうなの？大丈夫そう？」
「はぁ､まぁ何とかやってますかねぇ｡一応､私もノートに色々書いてみてるんですけど」

　優子さんも里英ちゃんも莉乃ちゃんも､それぞれ自分でノートを用意して色々と書いとるみたい｡
たかみなさんもみぃちゃんもそう｡こじはるさんはぁ……まとめてるのかはわからんけど色々考えてはいるようや｡
私もちゃんとやらなあかんと思って､ちゃんとノートを買って来て自分なりに歌詞を考えてるとこや｡
こんな詞を歌ってみたいなーとか､絆ってどんなやろなーとか｡時間があるときはちゃんと考えてんねんで｡
まぁそうは言うても､優子さんみたいに何でもできるわけじゃないし､里英ちゃんみたいに頭がいいわけじゃない｡
その上､莉乃ちゃんみたいに考えることができるわけでもない｡

「ノイエはバランス良いんだか悪いんだかわからないんですよね｡私は別に何が出来るわけでもないんで」
「何言ってんのー｡ゆいはむにはゆいはむの良いところがあるよー｡努力家なのは皆認めてるし」
「努力でどうにかなる問題なんですかねー」

　やっぱり､作詞が出来るかっていうのは才能の違いもあると思うわ｡
私には才能があるんかな｡目立つほうかと言われればそうでは無いと思う｡
歌にもダンスにも自信はある｡あった｡けどたくさんのメンバーと一緒にいてそれは大したことないと思い知らされた｡

「何ゆうとると｡努力の塊が一緒に住んでるのに」
「……たかみなさんのことですか？」
「たかみなだって最初からあんなだったわけじゃないんだよ｡もちろん優子だってきたりえだってさっしーだってそうなんだよ」
「そうですかねぇ……」
「皆､色んな経験を積んで今があるわけだ｡私もね､他の皆に比べたらタイムラグがあるんから」

　AKB48に入ってすぐくらいに､疲労骨折で長い療養を取った梅田さん｡
本人からも話を聞いたことがあるし､雑誌の特集などでもたまに読む｡1年半の長い療養｡
成長していくAKB48｡しかし踊れない自分との葛藤は､とても苦しかったろう｡想像もつかない苦しみだったろう｡

「療養中に色んな経験できたから､それはそれで良かった｡でもAKBとしての経験は差があるんばいね」
「でも梅田さんにはダンスがあります」
「それは私がダンスだけをやってきたからかもね｡差を埋めるためにダンスだけ頑張ってきたけん｡だからそれ以外は自信ない」

　あははは､と快活に笑う梅田さんはとても楽しそうや｡
自信ないなんてそんな｡歌だって上手いのに｡歌姫と呼ばれるユニットにいるぐらいやのに｡

「梅田さんのダンスも歌も､大好きです」
「あら〜､ありがとう！そう言ってもらえるだけで頑張った甲斐があるってもんだよ」
「素敵でカッコいいです」
「褒めすぎだよー｡ゆいはむには1年もあるんだからとにかく頑張ると良いよ｡ノイエは解散しちゃ駄目だぞ」

　梅島夏代が春のコンサートで歌い踊った曲を最後に解散した｡
解散というよりは一旦幕を閉じたという感じやろな｡涙涙の凄いステージやった｡野呂さんを送り出すために｡
そして梅島夏代を応援してくれたファンの皆さんのために｡その気持ちが十分伝わってきた｡
気迫が物凄かった｡袖でずっと見ていたけど圧倒的なパフォーマンスに感動したのを覚えてる｡

>>115
作者さんだよね？
乙です

「……恨んでませんか？」
「えっ､急にどうしたのよ､ゆいはむ！」
「だってNot yetが始まって……」
「何を今更な話をしてるんだよ〜｡っていうかノイエと梅島夏代は全くもって関係ないでしょうが」

　そうは言っても､Not yetが始まった頃の優子さんはそうやった｡
今では仲が良くてとても大好きな先輩なんやけど､あの時の優子さんは怖かった覚えがある｡
AKB48派生ユニット初のダンスユニットと言われたNot yetだけれど､優子さんには梅島夏代があった｡
Not yetが初じゃないことに納得がいかなくて｡そして1人だけメジャーデビューすることに踏ん切りがつかなくて｡
里英ちゃんと莉乃ちゃんと私の3人は､なかなか話してもらえなかったこともそうだけど､優子さんとの技術の差が怖かった｡　
あんなにすごいダンスを踊る人とのユニットやもん｡AKB48のトップに立てる人やもん｡
なかなか話してもらえなくて､距離が縮められなくて､壁ばっかりが大きくなって……一緒にユニット組んでえぇんかなって､怖かった｡

「優子さんは､私達を恨んでたように思うんです｡口ではそんなこと無いって言ってましたけど」
「それはちごうとるでしょ｡優子は負けず嫌いなだけだって｡ただの負けず嫌い｡根は単純やけん､恨むなんてしていよー」

　私よりも､梅田さんの方が優子さんとの付き合いは長い｡
去年の総選挙でも優子さんは梅田さんが22位にランクインした時､一緒になって喜んでいた｡
まるで姉妹のような関係｡姉妹というよりは双子かな｡すっごい羨ましいわ｡

「ゆいはむにしては考えすぎだねぇ｡私からしたら､ノイエは4人とも仲良くて逆に羨ましいけど」
「えぇ〜､そんなにですか……？」
「うん､4姉妹って感じで良いと思うなー｡っていうかさ､私だって……恨まれる側だよ」
「そんなことは……」
「私だってDiVAでデビューしたんだからさ｡でもなっつみぃもノンティーも応援してくれてる｡優子のことはもちろん､ノイエのこともね」

　良いながら､コンベアの上のいくらの軍艦巻きを手に取る梅田さん｡
なっつみぃさんと野呂さんが応援してくれてる｡梅田さんの笑顔を見るに､嘘じゃないと思う｡
ほんまやったらとても嬉しいなぁ｡あんなにダンスの上手い人たちが応援してくれてるなやんてね｡

「私も､いつだって応援してるからね！ゆいはむ､作詞頑張りな！そしてDiVAも応援しておくれ！」
「梅田さん､それを言いたかっただけでしょ！」
「あ､バレちゃったかー｡今度新曲も出るからねぇ｡買っておくれよー」
「え､くれたりしないんですかー？っていうかちゃんと､DiVA応援してますから」
「ありがとねー！しょうがないからCD貰ってきてあげるけんねー｡あとどんどん食べなさい！」

　コンベアの上を､お肉系のお寿司が沢山流れてきた｡
いつの間にかはわからないけれど､私の為にと梅田さんが注文してくれたらしい｡
いや､けど頼みすぎってぐらいきたなー｡あれば食べるからいいんだけど｡

「はいはい､そっち置いて！」
「いや､頼みすぎでしょ」
「沢山食べて､どんどん踊ってどんどん歌いなさいね｡優子をよろしく頼むよ〜」

　あれま｡優子さんを頼まれてしまった｡
まるで優子さんをお嫁にでも貰ってしまった見たいや｡まぁ貰えるなら貰いたいぐらいやけどね｡
料理は上手いし､お話はおもろいし､可愛いし､グラマーやし､素敵な先輩でお姉さんやもん｡
梅田さんもなっつみぃさんも野呂さんも､カッコよくて素敵で尊敬できる人たちや｡
恨まれてるとか思うよりは､好きになったほうがえぇ｡知ったほうがえぇ｡応援してもらえるように頑張ったほうがえぇな｡
優子さんにもそう言われたんや｡見てもらう仕事なんやから､頑張るほうが手っ取り早いのかもしれん｡

「梅田さん､私頑張ります」
「うんうん！それが良いよー！」
「だから今度､ダンス教えてください」
「えぇ？私でいいのかい？」
「是非ダンススタジオ梅田の門下生に」
「良いのか〜､受講料高いぞ〜」
「お願いします」

　応援してくれてはるのならば応えなくちゃあかん｡
Not yetを応援してくださってるのならば､解散せんように｡卒業せぇへんように｡
そして梅島夏代の皆さんの意志も継ぐつもりで｡まだまだ､頑張ることはたくさんある｡

>>116
>>115も>>118も私ですｗ

深夜更新乙！

あぜ

おはあげ

相変わらず安定したクオリティだー
更新お疲れさまです

乙age

いろんなエピソード織り込まれてて良いな

（・o・）ノ昼あげ！

まきあげ

２１

　5月が終わりに向かうにつれて､不安が高まっていくメンバー達｡
ファンの皆さんの期待値と自分の中の向上心｡緊張はこうして高まっていくんだろうな｡
だけど私はそんな時でも､いつも通り｡いつも通りに周りのメンバーを眺めていた｡
　総選挙を前にして､それぞれユニットや個人個人での仕事が増えて､5月はあっという間に過ぎていく｡
もう下旬とも言えるぐらいの日にち｡取材の仕事は総選挙のことばかり｡「今年の意気込みは？」とか「何位が良いですか？」とか｡
まぁ私に聞かれても正直答えられないんだよね｡いつも順位のことはそんなに考えてないから｡10位用のコメントとか考えちゃうし｡

「こじはるさーん､おはようございますー」
「あー､おはよう｡あきちゃー｡久しぶりー」
「えー？あれ､久しぶりでしたっけー」
「うーん､わかんない」
「あれー？まぁいいかー」

　右目の下の黒子が可愛い天然ちゃん｡
緑茶､麦茶､ウーロン茶､でもやっぱりー？あきちゃー！こと高城亜樹ちゃん｡
　今日はチームAの公演。とは言えたかみなもあっちゃんも麻里ちゃんも他のお仕事で今日はいないけど｡
さっしーは他のお仕事に出かけているし､今日は私も少しは気合入れていかないとな｡言っても初期メンだし｡
言っても麻里ちゃん抜きなら最年長だし｡でもAのメンバーはしっかりした子が多いから大丈夫かな｡
年少組のらぶたん､あーみん､わさみんも本当に大人っぽいから心配ない｡トークはしーちゃんやちぃちゃんが何とかしてくれそう｡
なっつみぃやもっちぃ､なかやんがいればパフォーマンスも大丈夫｡はるごんがワイワイ盛り上げて､はーちゃんとさっしーがいじられてくれてれば､大丈夫かな｡
でもたまーに心配なのがあきちゃなんだよね｡しっかりはしてるんだけどね､基本フワフワしてるから何もしてなくても不安になる｡

「今日は早いんですねー」
「うん､生放送終わりでそのまま来たから｡あきちゃも早いねー」

　ブランチタイムの生放送｡毎週出させていただいてる楽しい番組｡
今日はとくにすることも無くて､お昼どうしようかなーなんて考えてたらいつの間にか劇場に来てた｡
別に深く考えてたとかじゃないんだけどさー｡まぁお昼なら時間あるし食べに行けば言いかなー｡

「私はですねー､あのー､起きる時間間違えちゃって」
「へー」
「まぁ良いかなって思ってたんですけど､いつもの電車が来なくてですねー､この時間です」

　よくわかんなかったー｡あきちゃのことだから大分早起きしたのかもしれない｡
あきちゃはかなりの天然さんだからな｡しっかりしてるし､ちゃんと色んなこと考えてるけど､でもやっぱり天然｡
基本的に何言ってるかわからない｡きたりえやさっしーは「へー」とか頷いてるけど､本当にわかってるのかな｡
　えー？私は天然じゃないよー｡あきちゃと一緒にしないで｡私はマイペースなだけ｡
さすがに呼吸の仕方がわからなくなるなんてことはないよ｡確かにあきちゃに比べたら運動音痴だけどさ｡

「あとですねー､来るときに可愛い石を拾っちゃったんですよー」

　えへへへ､と笑いながらバッグのポケットから石を取り出した｡
石｡何の変哲も無いただの石｡何がどう可愛いのかわかんないぐらい､その辺に落ちてそうな石｡

「えー､可愛さがわからないよー」
「何でわからないんですかー｡ゆきりんはたまにわかってくれますよ」
「だってただの石じゃん！」
「違いますよー｡可愛いんです！今日はこの石の為に頑張ります」

　いやいや､そこはファンの皆さんの為に頑張ろうよ｡
って何で私がツッコミとかしてるんだろ｡そういうキャラじゃないんだけどなー｡

あきちゃ*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･'(*ﾟ▽ﾟ*)'･*:.｡. .｡.:*･゜ﾟ･*

あげ

あけ

あげあげ

「あきちゃー､お腹空かない？」
「うーん､朝御飯食べてきたんでそうでもないです｡あ､じゃがりこならありますよ」

　石の次にバッグから出てきたのは市販のスナック菓子｡
あきちゃがいつも持ってる大好物｡持ってる味は毎度違って､あきちゃ曰く味は何でも良いらしい｡
「どうぞ」と渡されたけど､これでお腹が膨れるほどでもないんだけどなー｡

「あきちゃー､今暇ー？」
「今は石を愛でてるところですよー」

　めでてるってなんだろ｡初めて聞いた日本語だからよくわかんない｡でもまぁとりあえず､石を眺めてるみたいなもんかな｡
じーっと見つめてるし｡うーん｡1人で行ってもいいんだけど､折角あきちゃがいるんなら一緒に行きたいかな｡
私はいつもはあんまり後輩を誘うほうじゃないんだけどね｡でもたまには麻里ちゃんみたいに仲良くしなくちゃな｡

「あきちゃー､御飯買いに行くんだけど良かったら付き合ってー」
「えー､良いですよー｡まだ時間あるんで何しようか迷ってたところなんで」

　あれ｡あれれ｡それを日本では暇って言うんじゃなかったっけ｡
うーん……｡まぁ深く考えるのは止めよう｡あんまり考えすぎても面白くないし｡
あきちゃはめでていた石をバッグにしまうとお財布だけ持って立ち上がった｡

「お財布だけで大丈夫？」
「お財布あれば何とかなるんで」
「そっかー｡じゃあ行こう」
「はーい」

　今日もとてもいい天気｡秋葉原は電気街でオフィス街｡
お昼でも町を行き交う人が結構多い｡っていうかお昼だから多いのか｡ちょうどランチタイムだもんね｡
これでどこかのお店に入ろうとすれば､なかなか時間が掛かっちゃってリハに間に合わなくなっちゃうかも｡
だから向かうのはコンビにかなー｡コンビニの御飯も美味しくて良いよね｡

「良い天気だねー」
「こういう日は何か眠たくなりますねー」

　そう言うあきちゃの目が既にトロンとしていた｡
ただ歩道を歩いてるだけなのに､道行く人にぶつかりそうで心配になる｡

「おーい､寝ちゃ駄目だよ！」
「さすがに寝ないですよー｡道の真ん中ですからねー」
「公演までまだ時間あるし､合間合間で眠ってもいいからね」
「はいー｡こじはるさんが心配してくれるなんて珍しいー」

　珍しいかなー｡うーん｡それなりにいつも心配とかはしてると思うんだけど｡
何でかあきちゃとさっしーが一緒にいると心配になるもん｡何かをやらかしそうっていうか｡
あー､でもそれを口に出していったことはないや｡基本見てるだけだから｡

いつみてもいいわー。ぜんぜんあきない。

あきちゃキタ〜(ω#)

　コンビニは結構混んでる｡ランチタイムだし予想通り｡
OLさんとかサラリーマンとか多くの人が買い物をしてる｡でもあんまり時間が無いのかな｡
私達がお店に入ってきても気付いてないみたい｡日本の人は働きすぎって聞くけど､御飯の時ぐらいゆっくりしたいよね｡

「何食べようかなー」
「あっ､じゃがりこの新しいの出てるー」

　レジ前で山のように積まれてる新商品を見つけるや否やあきちゃはそっちへ｡
この狭い店内だし､迷子になることも無いから放っといても良いよね｡さすがにあきちゃもそこまで酷くは無いでしょ｡
さてと､何を食べよう｡気温も高くなってきたし､何かさっぱりとしたものが良いかな｡あんまり汗かきたくないし｡
と､御飯のコーナーに行くと冷やし中華が並んでいた｡おー､冷やし中華始まってるー｡AMEMIYAさんだー｡
こういうの見るとさ､物凄く食べたくなっちゃうよね｡新商品の魅力っていうのかな､売り方が上手いなー｡
ってこれじゃあきちゃと一緒じゃん！新商品見つけてそれ買うって｡

「おー､冷やし中華良いですよねー」

　振り向くとあきちゃが買い物籠を左手に提げて立っていた｡
ノホホンとした顔で冷やし中華を見つめるあきちゃ｡籠の中にはすでにスナック菓子が3つも……｡

「私もお腹空いたから冷やし中華買っちゃおー」
「えー､私が先に見つけたのにー」
「じゃあ一緒に食べましょう」
「被るじゃーん」
「こじはるさん､あんまりそういうの気にしないじゃないですかー」
「そうなんだけどねー」

　結局冷やし中華を買っちゃうっていうね｡
みぃちゃんがたまに「被るから変える！」ってレストランのメニューとか変えることあるからね｡
ちょっと真似してみたかっただけ｡ちゃんと使えて良かったー｡

「おたまる〜」
「うわぁっ」

　驚いたのかどうかよくわからないまったりとしたあきちゃの声に振り返る｡
あきちゃが背後から思い切り抱きしめられていた｡凄い勢いで耳を弄られている｡
会って最初の挨拶代わりがこれって､さすがだなって思っちゃうよね｡

「あ〜おたまる〜！」
「もっちぃ､おはよ」
「明日香ちゃん止めてーっ」

く、倉持さんっ！

変態トリオの一角、もちくらさんが登場とは……
胸熱

つっこみにゃんもいいなw

あげ

（・o・）ノ昼あげ！

アゲアゲアゲオ

あげw(ﾟoﾟ)w

あげ

あげげ

あげ

　炎のストッパーを父に持ち､フレンチ･キスのメンバーに選ばれるほどの清楚な見た目｡
ふんわり優しく温厚で､ツボが浅くていつも笑顔｡傍から見れば凄いお嬢様に見える｡
けど､メンバーには変なあだ名を付けて､野球とプロレスを語りだしたら止まることを知らない｡
そして､ね……｡アイドルらしからぬ物凄い変態さん｡メンバーの耳たぶと二の腕を見たら､それが誰であろうと飛びついてくる｡
あのあっちゃんでさえもっちぃの阻止には全力で対抗するみたい｡この前もあっちゃんが苦戦してるの見かけたっけ｡

「おたまる〜､今日も元気そうだねー」
「明日香ちゃーん……耳元でうるさいよー」

　劇場に戻ってきて､控え室でお昼を食べる｡
コンビニで合流したもっちぃも一緒にお昼を食べるつもりだったんだけど､御飯より耳に夢中みたい｡
控え室に入るなり背後からあきちゃに抱きついて､そのままずっと耳を弄り回している｡
さっきまでふんわり笑顔だったあきちゃも､このもっちぃの奇行にはほとほとまいっているようだった｡
うん､こればっかりは私じゃなくて良かったな｡もっちぃのコミュニケーションは疲れちゃうからね｡

「もっちぃも今日早いんだねぇ」
「お父さんに早く起こされちゃって､そのまま眠れなかったんですよねー」

　チャームポイントの前歯を見せながらふんわり笑顔｡
あきちゃといいもっちぃといい､フレンチ･キスは本当にふんわりしてるなー｡ゆきりんも結構ふんわり系だし｡
まぁ見た目だけね｡腹黒と天然と変態｡うーん､私が男の子だったら決して親に紹介したいとは思わないかなー｡
特にもっちぃに関してはねー……｡私と話してる間も普通にあきちゃの耳を弄り回してるし｡満面の笑みで｡

「いつもながらに良い耳たぶだねぇ｡えぇ？どしたのー？今日も元気なのー？」
「もっちぃ､誰と話してるのー？」
「もちろんおたまるとですよ｡今日も血色が良くて元気みたいです」
「へぇ……そうなんだ」

　あきちゃのぐったり感が物凄い｡冷やし中華も食べづらそうだし｡
2人はいつも仲が良いからこんなのは日常茶飯事なんだろうけどさ､何でか見てると気の毒な気分になってくるんだよね｡
たかみなもよく弄られてるけど「もっちぃはガチだから怖い」ってよく言ってる｡けどこんな満面の笑みだと怒るに怒れないしねー｡

「あー､今日も満足した！さ､お昼食べよ〜」
「明日香ちゃん……」
「またあとで触らせてね､おたまる！」
「う〜……」

　もっちぃは何も無かったかのようにコンビニで買ったサラダを食べ始める｡
いやー､清清しいぐらいに何も無かった風を装ってるけど､さすがに自由すぎるでしょ｡
眉毛をハの字に曲げるあきちゃを尻目に､満足気｡あきちゃも断るに断れないんだろうな｡
断ろうものならプロレス技かけてでも弄りにくるからね｡うん､頑張れとしかいえないな｡

「こじはるさん､お家の近くに公園あるって本当ですかー？」

　気を取り直して､あきちゃが冷やし中華を啜りだした｡
もう忘れてるのか｡それともただ気にしてないだけなのか｡もうふんわりオーラ全快｡

「あー､うん｡芝生とベンチだけしかないけど､海から近くて良いところだよ」
「うわー､良いなぁ｡ワンちゃんのお散歩って出来ますかー？」
「うん､うさみみさん達のお散歩コースだよ」

　本当に良い所なんだよねー｡朝にお散歩行くには素敵な場所｡
春先はまだまだ海風が寒かったんだけど､最近は温かくなって気持ちいいもん｡
お家の近くにあぁいう場所があるって本当に良い｡皆で遊べるしねー｡

「今度､うちのワンちゃん達とお散歩してくださーい」
「えー､良いよー｡あきちゃの家はチワワだっけ？」
「はいー､ウィンちゃんとフーちゃんです｡可愛いんですよー」
「見たーい！今度連れて来てよー」
「うわー､行きたいです｡ねっ､明日香ちゃん」
「行きたい行きたーい｡皆がどんな所に住んでるのか気になるー」

　おっと､まさかもっちぃに振るとは思わなかった｡いや､もっちぃに来て欲しくないわけじゃないんだけど｡
でも企画発表の頃に秋元先生が言ってたことが脳裏に浮かぶ｡もっちぃとの生活が出来るかなってやつ｡
もっちぃが家に来たら､目を離せない気がする｡いつの間にか部屋に潜り込んでたりして……｡それはいやー！
うーん､まぁ私自身は被害無いから別に良いんだけどさー｡被害ゼロじゃないけど､たかみなやさっしーよりはマシだと思う｡

「さっしーが言ってたけど､随分広いみたいですね」
「そうなんだー｡リビングで皆でお布団敷いて寝たこともあるし」
「うわー､良いなー｡お泊りしたいなー」
「今度来れば良いよー｡あ､さっしーときたりえがホルモンパーティーやりたいって言ってたよ」
「あー良いですねー｡皆で行きます」

　パーティーかー｡良いなー｡そういうのもやってみたいかも｡
あれだけ広ければAKB48全員は入れなくても､結構な人数は入れると思うんだよね｡
例えばチームAで集まったりできたら良いな｡最近はなかなかそうやって集まることもできないから｡

「いいなー､フレキスでもやってみたかったなー」

　いやー､あきちゃ……本気で言ってるなら止めたほうがいいと思うんだけどな｡
さっきまであきちゃの耳大変だったんだからさ｡1年間も耐えられないと思うんだよ｡
って､何で今日の私こんなキャラなのかなー……｡ツッコミは向いてないんだってー｡

もっちーが来たらさしこのパンツを上げ下げ…

「2人の夢ってなーに？」
「急にどうしたんですか？」
「あのねー､作詞の参考にしようかなって思って」

　たかみなもみぃちゃんも､色々と歌詞を考えてる｡ノートに沢山歌詞を書いてた｡
特にたかみななんてね､寝る間も惜しむって奴かな｡前までは控え室や移動の車ではグッスリ眠ってた｡
でも最近はそんな時間もずっとノートに向かってる｡っていうかノートが2冊目に突入してた｡
「にゃんにゃん､これ読んでさー､気に入ったものあったらピックアップしといてー」って一昨日1冊目を渡された｡
読んでみたら､本当にたかみなが頑張ってるんだなーって思った｡沢山の言葉を書いてて､グッと来るものもいつかあった｡

"未来のことはわからない　だけど夢はもてるものだから　夢を道標に未来へ向かおう"

　途中で見つけた一小節は､かなりたかみなっぽいなって思った｡
たかみなっぽいなって思った｡いつでも熱く頑張るたかみならしくて良いな｡私もちゃんと頑張らないと｡

「そう言えば作詞してるんですよねー｡うーんそうですねー」
「何でも良いよ｡夢で思いつくこととか」
「あー､この前ー､はるごんとお出かけする夢見てー」
「いや､ちゃちゃ丸っ｡そっちの夢じゃないでしょ」
「あれー？」

　さすがあきちゃだなー｡さすがに私でもこの間違いはしないよー｡

「あー､将来のほうの夢ですか｡私は女優さんになることとー､AKBを続けることとー､フレンチ･キスでドームコンサートですかねー」
「へぇ､結構沢山夢があるんだね」
「自分のことも頑張りたいし､AKBももっと頑張りたいし､フレンチ･キスも頑張りたいです」

　自分とグループとユニット｡それぞれの夢か｡
まぁそうだよね｡いろんな立ち位置があるから､夢は1つとは限らないんだよね｡
AKB48は夢への通過点っていう人もいるけど､夢の1つでも良いのかな｡良いんだろうな｡

「もっちぃはー？」
「私はお父さんを超えることなんですけどね､どうやったら超えられるかなーって」

　もっちぃのお父さんは凄い人だから､それを超えたい気持ちが強いんだと思う｡　
もう十分に名前は広まってると思うけど､でももっちぃ自身は納得できてないのかも｡夢が叶うって､自分が納得できるところまでいくことでもあるのかな｡
女優が夢だとして､でも女優になったからってそこが夢の終わりじゃないもんね｡女優としてレッドカーペットに立つとか､歌手として記録を残すとか｡
夢のことって考えたら切りが無いな｡未来のことだもんね｡難しいな｡

「あ､でも当面の夢はもう1つありますよ」
「えー､何々ー？」
「もちろん､たかみなちゃんと由依ちゃんが卒業しないことです！」

　もっちぃが満面の笑みでそう言った｡嘘偽りは無い｡この笑顔をみればわかる｡

「あー､それなら私もそうですよー」

　あきちゃももっちぃもやっぱり良い子だなー｡天然さんで変態さんだけど､でもとても素直で優しくて｡
たかみなが聞いたら泣いて喜びそうだなー｡由依ちゃんだったらえへへって､嬉しそうに笑ってそうだ｡

「たかみなちゃんと由依ちゃんの耳､大好きだからいなくなったら困っちゃうもんね｡けろっ」
「あぁ……そういうことか」
「さすが明日香ちゃん……」

もちくらさんうｐ(бвб)

もちくらさん変態すぎるww
今回もめちゃくちゃ面白かった
作者さん乙です

（つo−）ノ寝る前あげ

あげ

おやすみあげ

おはようあげ

変態さんあげ

（・o・）ノひる休みあげ！

２２

　AKB48さんのチームAの控え室前で､私はどうしようかと迷っていた｡ノックをするか､それともしないか｡
ノックをしてもあの人はいるのかな｡いつも忙しいあの人だから､もしかしたら控え室にはいない可能性もある｡
こんな時に私が迷惑かけちゃ駄目かな｡上げた手は､そのままゆっくり下ろすしかなかった｡
自分では堂々としてるつもりなんだけど､……今日は弱気になっちゃうな｡この広い武道館だもん｡

「ちゅりー？」

　ビクッと身体が震え上がった｡思わず声を上げそうになった｡
いや､別にビビりじゃないんだけどさ｡この状況で急に話しかけられたらそりゃ驚くって｡
私のチームと同じアルファベットを持つ､もう１つのチーム｡振り向いていたのはチームKのれいにゃんだった｡

「あー､ビックリしたー……」
「どうしたの？Aに用事？」
「あっ､いや､ここはAか！間違ったー！緊張してKの控え室と間違えちゃったー」
「まぁ緊張も仕方ないよね､今日が今日だし」

　チャームポイントの釣り目だけど､いつも通り目が輝いている｡
AKB48第2回じゃんけん選抜で第2位に輝き､MVではあの篠田麻里子さんと並ぶ主役級の扱い｡
メディアにも沢山露出するようになって､この半年で随分と知名度が上がったれいにゃんこと藤江れいなちゃん｡
私､チームK�Uのリーダーである高柳明音とはトゥイーティー同盟を組む､グループを超えた仲良しさん｡

「れいにゃんは今年は大丈夫でしょ｡年末年始は大活躍だったじゃん」
「自分で言うのもなんだけど､今年はいける気がするんだよね」

　無邪気な顔はれいにゃんの代名詞かな｡
まだまだ18歳でチャンスの順番をしっかりと掴んで､羨ましい限り｡
そんな今日はAKB48グループの年に1度の最大行事｡６月と言えばの総選挙の日｡
AKB48､SKE48､NMB48､そしてHKT48の全メンバーが選抜の椅子を賭けて望む1日｡
武道館の中は､この最大行事を目前に賑やかにも慌しかった｡

「ちゅりも沢山テレビ出てたし､大丈夫だよ｡お互いに頑張ろうね」
「うん……」

　無邪気なれいにゃんにはわからないかもね｡今年の私は､多分駄目かもしれないんだよ｡
緊張でネガティブになってるのもあるけれど､去年の私は問題を起こしてしまったからね……｡
去年というよりはSKE48に入る前なんだけどさ｡1つのチームのリーダーとして､恥ずかしい行為だと思う｡
過去のことだからと､表向きには大きな問題にはなっていないようだけれど､でもファンの皆さんには幻滅されたろう｡
　去年の総選挙では､シングル選抜までもうちょっとの23位だった｡
順位で言えばSKE48のトップ2､W松井こと玲奈と珠理奈に続くSKE48の第3位に入れてもらえた｡
とても光栄なことだ｡2人と一緒にテレビ番組も出来たし､メディアに沢山出れるようになったのは嬉しい｡
けれど､過去の過ちが明るみに出てしまった｡付いてきてくれたファンの皆さんは､どう思ったんだろう……｡
SKE48の先を行く､AKB48のキャプテンの1人､私が尊敬する高橋みなみさんは……どう思ったのだろう｡

「イベント前にれいにゃんと話せてよかった｡お土産､あとで持ってくるね」
「うん｡私もちゅりと話せて良かった｡またあとでね」

　やっぱりれいにゃんの笑顔は私のとは違うな｡今の私は､多分こんな風には笑えないよ｡
自分が仕出かしてしまったことだから誰にも何の文句も言えない｡順位が上がる自信なんて､全く無いな｡

トゥイーティー同盟まででてくるとはw
さらに期待

ところで総選挙の順位はどうするんですか?

>>160
まゆ「こういう順位はただの数字なので､こういう数字に私は左右されません！」

　リーダーとして､私は先頭に立っていたい｡皆を引っ張っていけるような存在｡それが私の中でのリーダー像だった｡
だってリーダーってそういうものじゃん｡皆の見本になってさ､皆を引っ張っていく人じゃん｡そんな私が順位を下げたら､チームの皆には申し訳が無いじゃん……｡

「鳥さん……､顔色悪いけど大丈夫……？」
「えー､そんなに悪いかな｡っていうかしゃわこも良くないし」

　控え室に戻って椅子に座っていると声をかけられた｡強がってみても､メンバーにはばれてるのかな｡
っていうかまさかしゃわこに心配されるなんて｡顔色のことじゃ正直しゃわこが一番悪い気がする｡
同じチームのお姉さん｡お姉さんだけど引っ込み思案｡極度も超えるシャイガール､秦佐和子｡
彼女もまた､この1年で人気が急上昇したメンバーの1人だ｡シャイだけど豪快な物真似｡そんな特異なキャラがとても人気｡

「あ､わ､私の場合は……元からって言うか」

　遠くから聞こえてくるのかと勘違いしそうなぐらいに小さな声｡今にも消え入りそう｡
伸ばした前髪で目を隠そうとしてるのかもしれないけど､でもしゃわこは立ったまま｡
座ってる私からすれば､その顔は普通に見えている｡隠れてないぞ｡

「……そんなに顔色良くないほうだし」
「まぁそうかも｡でも宝塚の真似するときは生き生きしてるじゃん」
「あれは……やっぱり好きだから」
「好きなことには頑張れる､みたいな？」
「そんな感じ……」

　しゃわこの物真似は本当に凄い｡何が凄いってインパクトがね｡
正直言ってごめんなさいなんだけど､私は宝塚さんことはよくわからないから似てるのかも判別できない｡
でも宝塚のことを喋ってるときのしゃわこは物凄い生き生きしてて､物真似するときなんかそれこそ人が変わったみたいだ｡
テレビで普通に「死ねばいいっ!!」とか言っちゃうし｡普段のキャラとかけ離れすぎてて､インパクトが凄いよ､この人は｡

「鳥さん､あの……あまり聞いて欲しくないと思うんだけど……」
「選挙のこと？」
「あ……はい」

　多分､今年はしゃわこやれいにゃんの順位がグンとアップするんじゃないかって思ってる｡
やっぱり活躍が凄かったし｡それにNMB48やHKT48のメディア露出も増えてきたし､40個の椅子はいつもより格段に狭くなってる｡

「リーダーとして上にいたい気持ちはあるんだけど……どうなるかな」
「怖い……よね」
「うん｡っていうかしゃわこ､座りなよ」

　立ったまま話してると何か違和感ある｡
背も高いから見下ろされてる感バッチリだし｡威圧感は全く無いんだけどさ｡

「あ……すみません｡失礼します……」
「しゃわこは順位上がるよ､絶対」
「そ､そそんな……！滅相もござ､ございません……」

　相変わらずだけどどもり過ぎだなー｡こういうところが可愛いというか｡
日ごろは凛としていて綺麗で､でも小動物みたいに怯えていて｡こんな人だとファンの方も投票したくなるよね｡

色んなメンバーが出た方が読んでて面白いけどスレチ感がある

このスレは消化するとしてあとはブログでやった方がいいんじゃない？

163は気にせずね

あげ

久しぶりあげ♪
SKEとか全然詳しくないけど…(°°;)
no3bとnot yetと絡むのかなﾄﾞｷﾄﾞｷ

あげ

>>163の言いたい事も良く分かる
が、最終的にブスさんとノイエさんの良い話に繋がっていくのであった
きっと・・・

「鳥さんだって……」
「私は……無理だよ｡絶対に下がる｡賭けても良い｡私は盛大に……やらかしたからさ」
「でも……」
「リーダーなのにね｡馬鹿だよね､私」

　こんなこと､しゃわこに愚痴ってもしょうがないのは私もわかってる｡でもこうでもしてないと､何だか押しつぶされそうだった｡
私ってこんなにネガティブだったかな｡負けず嫌いだけど､最初から負けるつもりでいるような､そんな奴だったかな｡
去年の総選挙も随分と緊張はしてたけど､それでもずっと前向きだったと思う｡K�Uを背負っていたから｡

「馬鹿なんて……自分で言うもんじゃ､ないよ……」

　俯いて､どこ見てるのかもわからないしゃわこが､隣でそう言った｡

「自信を持って……好きなことには堂々と､胸を張らないと……」
「しゃわこに自信とか言われたくないな」
「ご､ごめんなさい……！」

　急に立ち上がって頭を下げられた｡少し震えてる｡

「あー､いや､そういうつもりで言ったんじゃないの！ただ……やっぱり怖いよ」
「鳥さんらしくない……｡いつもはもっと熱くて……カッコいい」

　カッコいいって､私が？そんなにカッコいいとか思われることしたかな｡
いや､それともファンの皆さんを裏切るような､そんなのがカッコいいとか？あてつけか？うーん､でもそんなことをしゃわこが言う訳ないし｡

「去年の総選挙､鳥さんはとってもカッコよかった……｡皆の代表として……｡リーダーとして……輝いてた」
「あれは､私も公演やりたかったしさ､勢いってものもあるじゃん？」
「人生には……色んなことがある｡だから……負けないで」

　別に負けたつもりはない｡だって私は根っからの負けず嫌いだもん｡このままで終わりたくない｡
でも総選挙はそうはいかない｡決めるのは私じゃない｡決めるのはファンの皆さんだ｡私の裏切りを評価するのは､……私自身じゃない｡

「K�Uのこと……嫌いですか？」
「何言ってんの！好きに決まってんじゃん！」
「なら……もっとリーダーらしく胸を張って欲しい……かな」

　しゃわこの目が､私を真っ直ぐに見つめていた｡潤んだ瞳｡震える身体｡
私の心情を察して､シャイなしゃわこなりに励ましてくれてるんだ｡好きなことには堂々と……か｡

「すみません……失礼ながらここで物真似なんですけど……」
「いやっ､このタイミングでかよっ！」
「それ以上凹んでるようなら……」

　すーっと思い切り息を吸うしゃわこ｡何をするつもりなんだろうか｡
でもしゃわこがやることなんて限られてるよね｡多分って言うか100%宝塚の物真似だろうし｡
目がカッと開いて､そして声を張って､胸を張って､控え室に響くくらいの声｡

「死ねばいいっ!!」

安定しておもしろい。

>>163という意見もあるのでスレ消費までにどうにかしたいと思います(´□｀)

　まさか控え室であんなに思い切り叫ぶとは思わなかった｡
しゃわこは本当に訳がわからないな｡たまにどれが本当のキャラクターなのかわからなくなる｡
でもお陰で少し笑った｡今日武道館に来て初めて笑えたな｡やっぱり凄いインパクトだよ､しゃわこ｡
気を取り直してまた控え室を出て､AKB48さんの控え室の方へと向かう｡一旦呼吸を整えて扉をノック｡
……しようかと言う所で背後から話しかけられた｡

「あ､SKEのちゅりちゃんだ」
「え」

　振り向くと､そこにいたのはAKB48チームAの指原さんだった｡
AKB48の選抜メンバーで､バラエティー番組にも引っ張りだこの人気メンの1人｡
私達みたいな支店のメンバーにも気さくに話しかけてくれて､とても優しい｡

「お､おはようございます」
「おはよー｡どうしたの？こんなところに1人で｡チームAに御用？」
「あ､あの……えーっと､たかみなさんいますか？」

　私が会いにきたのは､たかみなさん｡高橋みなみさん｡
尊敬するたかみなさんに会って､話して､少しでも緊張と不安を和らげて欲しい｡忙しいのは承知の上｡
共同生活のことは､もちろんSKE48のメンバーも知ってる｡っていうか発表の時に一緒にいたし知ってて当然か｡
たかみなさんと横山由依ちゃんの卒業､そしてユニットの解散を賭けた一大企画｡
たかみなさんはグループ全体のリーダー的存在として｡横山由依ちゃんは地方出身の星として｡
珠理奈と玲奈を筆頭にSKE48メンバーもこの企画は全力で応援するつもりだ｡出来ることは無いかもだけど｡

「今はステージの方に行ってるよ｡何か伝言？伝えておくけど」
「自分で行きます！ありがとうございました」
「いいよ〜」

　指原さんは笑顔で手をヒラヒラと振ってくれた｡指原さんも共同生活に参加しているはずなんだけど｡案外呑気だな｡
メンバーの卒業とユニットの解散が掛かってるはずなんだけど､ちょっと心配｡指原さんと別れて､私は武道館の廊下を進む｡開場まで時間はまだまだある｡
リハまでもまだある｡こんな時間から､たかみなさんはステージで何をやっているんだろう｡いつの間にか早足になってて､駆け足になってて､ステージに向かっていた｡
　ステージはとても広かった｡並べられた椅子と豪華な司会席｡ステージの前に広がる候補者席と､そして観客席｡
私達はいつも､こんなに凄い所でイベントをやらせてもらってるんだ｡観客が入っていても凄いけど､いなくても圧倒される｡

「た､たかみなさん……」

　たかみなさんは､ステージの真ん中にいた｡
ステージの真ん中で武道館全体を見渡しながら､ストレッチをしている｡
誰よりも先にそこにいる｡それがたかみなさん｡その横顔はとても真剣だ｡

「んー？おぉ､ちゅりじゃん｡おはよー」
「おはようございます」

　ポニーテールをフワリと振って､たかみなさんが振り返った｡
さっきまでの真剣な顔は既に無く､いつも通りの優しい顔｡凄いな｡皆が皆､緊張で表情を強張らせてるのに､こんな顔できるなんて｡
玲奈も珠理奈はもちろん､前田さんや大島さんだってこんなこと出来ない｡私には……到底無理かな｡

あげ

ほしゅー

おはあげ

ねむあげ

保守

まきあげ〜

「久しぶりじゃん｡元気してたー？」
「はい､たかみなさんもお元気そうで何よりです」
「私はいつでも元気だよー！っていうか隣､座れば？」
「あ､失礼します」

　たかみなさんっていつ見ても小さいな｡私も別にそこまで身長が高い訳じゃないんだけど｡
座ってもやっぱり小さい｡こんな小さい身体で､AKB48グループを引っ張ってるのかと思うと､マジでカッコいい｡
歌もダンスも上手だし､自分の順位や立ち位置を鼻に掛けることなんてしないし､凄いなー……｡

「いやー､緊張してきたねー」
「え､緊張してるんですか？」
「おーいっ､私だって緊張するわ！」

　まぁそりゃそうか｡いくらたかみなさんだって､総選挙は緊張はする｡

「そうですよね｡総選挙は皆緊張しますよね」
「SKEの方はどう？皆大丈夫そう？」
「珠理奈が大分きてますね｡それはもう緊張してます」

　SKE48の控え室｡珠理奈はいつものダジャレを控え目に､椅子に座って真剣な顔をしてた｡
まるで戦国武将かってぐらいの真剣な顔｡いくら何でもあれは15才がするような顔じゃない｡
15歳って言えば､もっと無邪気で馬鹿やってさ……恋とかするようなお年頃じゃん｡

「負けず嫌いな珠理奈らしいなー」
「ですね……」
「んー？ちゅりも緊張してんのかー」

　たかみなさんが私の顔をジーッと見つめていた｡
もろバレ｡ニヤリと笑うその笑みに､心を読まれてるみたいだ｡

「あの､たかみなさん……私」
「うん」
「私､順位が下がるんじゃないかって……不安で」
「うーん､はっきり言った方が良いかな」
「え……？」

　たかみなさんの顔から､スッと笑顔が消えた｡さっきと同じ真剣な表情｡
お仕事してるときのたかみなさんの顔だ｡円陣の中心にいる時のような､ステージの中心に立っている時のような｡
急に心臓を鷲掴みにされたように､ドキッとした｡2人だけのステージ上に､緊張感が走る｡

「君がしてしまったことはとても不注意なことだ｡君自身の自覚が足りてなかった｡けど､それで不安に思うのは違うだろ」
「……はい」
「もう取り返しは付かない｡そんな時に自分の順位のこと考えてどうすんのさ」

　何も言えない｡言い返す言葉なんて見つかるわけない｡
たかみなさんの言うことは正しい｡本当だ｡何で私､順位のことなんて考えてるんだろ｡
ファンの皆さんを裏切ったのに｡気にしてるのは､自分のプライド……｡

「私は……どうすれば良いんでしょうか」
「それは私は答えられないな｡ちゅりが､ちゅり自身がどうしたいのかってことだよ」

　私はどうしたいんだろう｡どうなりたいんだろう｡どうありたいんだろう｡
順位が上がって欲しいなんて､ただの我がままだ｡ファンの方たちに認められたいなんていうのも無理｡
一つ言えるなら､これもただの我がままなんだけど……｡

「……リーダーとして､皆を引っ張っていきたいです｡たかみなさんみたいに」
「えっ､私!?私は別に引っ張ってるつもりはないんだけどな」

　照れたように笑うたかみなさん｡本人はキャプテンという立場をあまり意識して無いらしい｡
チームの､そしてグループの先頭に立っているのに｡SKE48だって､たかみなさんに励まされたことは何度もある｡

「私はただ､潤滑油になれれば良いかなって……」

　じゅ､じゅんかつゆ……？じゅんかつゆって何だろう｡
たかみなさんの好きなカツ丼の一種か何かかな……｡いや､自分には難しい言葉だ｡

「あー……理解出来なかったか｡まぁあれだよ､AKB48を良い雰囲気にするために頑張りたいなって｡共同生活やっててもさ､皆性格がバラバラで､話し合いとかなかなかまとまらないんだよ｡でもそんな時に1人1人を尊重していけるようになりたいんだ」
「それが､じゅんかつゆ……」
「うん｡あぁでもさ､ちゅりがこうありたいって言うリーダー像があるならそれはそれでいいと思うよ｡引っ張るリーダーも良いじゃん｡Sのメアリーが支えるリーダーで､ちゅりが引っ張るリーダー｡そういうとこからチームに色が出るんだし､良いと思うよ」
「否定しないんですか……？」
「しないよ｡人の目標を､私は否定しない」

　……嬉しい｡素直に､本当に嬉しい｡雑誌でたかみなさんが言っていたことにショックを受けたことがある｡
自分で「キャプテン」という奴にはついていきたくないと｡私が仕出かしてしまった直後のことだから､私自身に言われてるみたいで｡
　確実に､私がしてしまったことは忘れられない｡たかみなさんの言う通り､私の自覚が足りなかった｡
ずっと背負っていかなければならないものだ｡アイドルとして､SKE48のメンバーとして､認められるわけが無い｡
だからこそ､ちゃんと自覚しなくちゃ｡大切なのは順位じゃない｡プライドじゃない｡ファンの皆さんの期待と､SKE48だ｡

「……私､頑張ります｡頑張ってじゅんかつゆになって､皆を引っ張っていつかドームでコンサートやります！」
「おぉ､東京ドーム？」
「いえ､ナゴヤドームで！SKE単独コンサート！」
「うおっ､対抗心むき出しじゃん！」

　総選挙の発表が始まるまでまだ時間はある｡
それまでに私が出来ることをしなくちゃ｡覚悟をしなくちゃ｡覚悟を決めなくちゃ｡
順位が下がることへのじゃなくて､リーダーであることを｡辞任を迫られるかもしれないことを｡
私はSKE48として､夢をかなえたいから｡私の夢を叶えたいから｡また認めてもらうために､誰よりも頑張らなくちゃ｡

「たかみなさん､ありがとうございます」
「んー？別に何もしてないけど」
「いえ｡やっぱりたかみなさんは凄いです！作詞､頑張ってください」
「あはは､頑張るよー」

面白い

いいですねー！
ほんとに上手いわー

保守

（・o・）ノ夜あげ

ボジョレーあげ♪♪

一番最初にこのスレ立てたときは
こんなにすばらしい作者さんに
巡り会えると思わなかった

たかみな、いいそうだもんなー。

>>186
言いそうw
他のメンも発言の特徴とらえてるよな
この前話題になったきたりえと優子さんのエピソードで
きたりえの相談に対する優子さんの返答がこのスレの優子さんぽかった
あれ? 逆かw

協力あげ（・o・）ノ

あげぽよ

あげ

おはぽよ

（・o・）ノ昼休みあげ！

あげ

ボジョレーあげ♪

あげげ

そろそろあげ

今日もあげ

２３-1

　莉乃ちゃんと私の違いって何だろう｡5期メンでNot yetのメンバーで､地方組とチームホルモン｡
2人ともネガティ部だし､涙もろいし､そこまで歌も上手くなくて､とりあえず自分に自信がある方じゃない｡
言っても共通点ってそれぐらいなのかな｡性格はまるっきり違う｡私は少し人見知りで､莉乃ちゃんは社交的｡
私と違って先輩からは特に気に入られ､後輩からも慕われてる｡太鼓持ちで人付き合いの得意な莉乃ちゃんらしい｡

「おーい､りっちゃん」
「えっ？」
「いや､えっ？じゃないよ｡何かボーっとしてるけど､どうした」

　第4回総選挙から1週間ぐらいが経った｡毎年のことながら､総選挙の時期は雨が多い｡
6月で､梅雨時だもんね｡今も外ではシトシトと雨が
広いリビングに莉乃ちゃんと2人きり｡ブスの3人も優子ちゃんも由依もまだお仕事から帰ってない｡
2人で特に何をするでもなく､アイスを食べながらノートと向き合ってる｡莉乃ちゃんにいたってはノートパソコンで色々やってる｡
莉乃ちゃん曰く「ネットの情報は武器！」とのこと｡確かには情報化社会だからね｡世界の全てがそこに詰まってる｡

「っていうか総選挙終わったばかりなのに暇だね」
「いやいや､言っても今日は色々お仕事してきたじゃん」
「うん｡りっちゃんと一緒で楽しかったー」

　え､総選挙の結果が気になる？うーん､そこは知らない方がいいと思いますけどね｡
いや､単純に知らない方が面白いじゃないですか｡ネタバレほど面白みが薄れるものはないですからね｡
たまーにネタバレオッケーな人もいますけど､りえこ自身が駄目な人間なので､順位のことはこれ以上聞かないでください｡
ただ1つだけ言えることは､今年の総選挙も色んなドラマがありましたよ｡もうね､涙が流れすぎてシパシパしたー｡
思い出すだけでも涙腺が緩むわー……｡涙脆くてごめんなさいね｡
　あぁ､もう1つ言えることがある｡と言うよりは言っておくことかな｡
今年も､順位は莉乃ちゃんの方が上だった｡一昨年とその前は､私の方が上だったのにな｡
ヘタレキャラとして｡いじられキャラとして｡いつの間にか人気が出て､気付けば冠番組だって持ってたもんな｡
確かに莉乃ちゃんには私には無い妙な魅力がある｡目が離せないというか､これが秋元先生の言う"さしこ力"なんだろうな｡

「だからなんだよ､さっきから指原のことジッと見つめて」
「いやー､莉乃ちゃん可愛いなぁって」
「ぶふっ！馬鹿野郎！自分の方が美形な顔してるのに何言ってんだ！」
「本当の美形って言うのはこじはるさんのことを言うんだよ」

　私もこじはるさんも､唇が特徴的ってよく言われる｡
けどねー､私の唇はこじはるさんほど血色良くないんだよね｡私も血色良い唇で生まれたら､少しは違ったのかな｡
別に自分が美形だとは思ってない｡っていうか自分のことを美形だなんて､可愛いだなんて普通言えないでしょ｡
　あー､何だろう｡総選挙終わってから妙にネガティブなりえこがいるな｡
最近は前向きでいるつもりだったのに｡どこかショックだったのかもしれない｡作詞もなかなか進まないし｡

「りっちゃん､もしかして具合悪い……？」
「うーん､普通」
「でも唇青いよ」
「アイスで冷えちゃったかも」

　それは嘘｡だって季節は夏に向かってるんだからさ､そんなに冷えない｡
むしろ蒸し暑くてエアコン付けたいぐらいだよ｡っていうかどこかに扇風機無かったかな……｡

「何かあったらすぐに言ってね､指原はいつでもりっちゃんの味方だから！」
「さすが莉乃ちゃんだね｡ありがと」

　でも駄目だよ｡相談できない｡莉乃ちゃんには……相談できない｡
だって今の私はちょっと嫌な奴だもん｡莉乃ちゃんに､嫉妬してるんだもん｡

りのりえ好きとしては胸が苦しい展開だ…
保守

毎回wktkな展開

りのりええええええ

　AKB48に伸び悩み枠があったら､秋元先生に頼んで私も入れてもらいたい｡
お仕事は増えた｡映画やドラマのお仕事も貰えるようになって､テレビにも出させていただいて｡
だけどAKB48内での立ち位置は何も変わらない｡次期エースとか､優等生とか､変わり映えしない｡
次期エースって言われてもう……何年目だっけ｡もうすぐ21歳だし｡っていうか絶対的エースと同じ年齢だし｡
私もそれなりに頑張ってるつもりなんだけどさ｡AKB48としても､Not yetとしても､1人の女優としても｡
でも頑張ってるのは私だけじゃなくて､皆が頑張ってる｡由依やチーム4､研究生の皆もグングンと実力付けてるし｡

「次期エースって呼ばれるのは､もう嫌だ……」
「指原達はずっと言われてるもんね」

　ソファにゴロンと寝転がって､天井を見上げる｡作詞を考えるのに少し疲れた｡
集中力を回復させるために一旦休憩｡ごめんね､由依｡またすぐに頑張るからさ｡許して｡
莉乃ちゃんはまだパソコンに向き合ってる｡まぁ同様に集中力は切れて､ブログチェックしてるみたいだけど｡

「次期エースってのは由依とかぱるるちゃんとかさ､9期10期のことを言わないと」
「11期12期も凄いよね｡川栄のりっちゃんとか､メッシちゃんとか」
「メ､メッシ……？」
「あー､一般には伝わらないのか」

　莉乃ちゃんはこうやってたまに専門用語みたいな言葉使い始める｡
いや､使うのは良いんだけどさ､専門用語っぽく使うのにメンバー伝わらないのは何故なのさ｡
どこで使われてる専門用語なんだよ､いったい｡

「まぁでも､莉乃ちゃんは色んなとこで活躍してるじゃん」
「いやいやいや､それほどでもねぇだろ」
「それほどでもあるだろ」

　もう終わったけどAKB48メンバー初の冠番組｡国民的帯番組のレギュラー｡バラエティ番組にも引っ張りだこ｡
握手会はソロレーンも増えて､総選挙も得票数が大分増えた｡去年のクリスマスにはあっちゃんや優子ちゃん達､超選抜メンバーと肩を並べてCM出てたし｡
私の憧れの麻里子様とも普通に肩を並べててさ｡第1回じゃんけん選抜で､うっちーが優勝してさ､5期生の星って言われてた｡
でもそれ以上にその1年は莉乃ちゃんがグングンと伸びてさ､総選挙じゃ一気にメディア選抜だもんね｡
　正直言って､羨ましいことばかりなのだ｡これがメディア選抜とそれ以外の差なのかなって思う｡

「謙遜するなよー｡レギュラーまで持ってんのに」
「謙遜じゃねぇよー｡前に出るのも一苦労なんだから……」

　とは言った所で､やっぱり莉乃ちゃんの知名度はグングン伸びてる｡
レギュラーになった才加ちゃんがそうであったように､莉乃ちゃんは勢いに乗ってると思う｡
羨ましい｡アイドルとして､女優として､皆が皆､知名度を上げたくてしょうがないのに､そんな勢いが私には無い｡
莉乃ちゃんとどこから違ってきたのかな｡いっつも一緒にいてさ､仲良くてさ､コンビみたいだったのにさ｡

「そんなこと言ってグイグイいってるじゃん」
「指原なりに目立ちたいからね｡でもりっちゃんだってスクリーンに映ってて凄かったじゃん」

　それでも､私はやっぱり"AKB48のメンバー"なんだ｡
莉乃ちゃんはメディアに単体で出ても"AKB48の指原莉乃"なのに､私は"AKB48のメンバー"と思われることが多い｡
私だって頑張ってるのにさ､なかなか伸びれなくて､それなのに次期エースだなんて力不足過ぎるよ｡

「凄いかもだけど､あっちゃんや優子ちゃんに比べたらまだまだ……」
「りっちゃん……？」
「ずるいよ……」
「えっ？」

　ずるい｡私だって､名前で呼ばれたいのに｡アイドルとして､女優としてもっと名前を知ってもらいたいのに｡
頑張ってるのに｡優等生とか､次期エースじゃなくて､私も名前で呼んでもらいたいのに｡莉乃ちゃんが伸びたのだって……運営の推しってやつが少しはある｡
推されるだけの魅力があったから｡私にはない魅力を持ってたから｡由依もそうだ｡ずるいよ｡羨ましいよ｡

「りっちゃん､大丈夫？」
「……ごめん､もう寝るや」

　ソファから降りて､ノートや筆記用具をまとめる｡
ネガティブ全開の自分が嫌だ｡これ以上喋ってたら､莉乃ちゃんに当っちゃいそうだ｡
それだけはしたくない｡こんな自分が嫌だから､もう部屋に戻ろう｡

「指原で良かったら相談乗るよ……」
「いいよ｡別になんでもないし」
「何でも無くないって｡片付け手伝うよ！」
「大丈夫だってば……！」

　思わず声を荒げてしまった｡何言ってんの､私｡
何でちょっとイラついてるんだよ｡莉乃ちゃんに当るのは違うでしょ｡
ただの八つ当たりのくせしてさ｡ただのネガティブのくせしてさ｡嫉妬なんかしてるなよ｡
でもこれ以上は駄目だ｡莉乃ちゃんの顔を見れなくて､そのまま早足でリビングをでてしまった｡

りのりえぇえ…

胸が苦しいけどわくてか

りのりえはガチだから乗り越えてくれると信じてる

※この北原さんはあくまでフィクションです

そのフィクションをこうやって公開する書き手の勇気ねｗｗ
嫌味でも何でもなくすげーと思うわ
でもりのりえに限らず誰しもこういう葛藤はあるだろうなー
頑張れAKB

おはようあげ

りのりえ……(´；ω；)

あげ

（・o・）ノ休みの昼あげ♪

3時あげ

２３-2

　りっちゃん､どうしたんだろ｡具合が悪そうだったな｡顔が青かったし｡
でも唇はそんなに青くなかったから､うーん……｡何かに悩んでるのかな｡でも何に？
嫌だな､りっちゃんが悩んでると指原までモヤモヤしてきちゃうんだよ｡大好きなお友達だからさ｡
重大な悩みとかだったらどうしようっ｡指原に相談乗り切れるかな｡誰かに相談するべきかな｡
優子ちゃんか？みなみちゃんか？みぃちゃんか？こじはるさんは……､いや由依か？
　りっちゃんが部屋に戻ってしまって､広いリビングには指原1人だけになった｡
うさみみさん達もにゃーちゃんも､それぞれの飼い主の部屋にいて､本当に1人っきり｡
窓の外｡バルコニーの床に落ちる雨粒の音と､パソコンの吐く起動音だけがリビングに響いてる｡
　ぬおー！どうすれば良いんだよ､この状況！機嫌悪そうだったし､部屋に行く訳にもいかねぇだろー！
モヤモヤと淋しさを少しでも解消しようと､床の上をゴロゴロゴロゴロと転がってみる｡

「ただいまー｡って指原さん､何やってはるんですかー？」

　しばらく床にうつ伏せになってると､玄関のほうで物音が聞こえて由依が帰ってきた｡
今日の服装はともちんさんやこじはるさんにコーディネートして貰った服装だから､結構オシャレ｡
良いなぁ｡見違えるなぁ｡総選挙の時に泣いてた由依とは思えないや｡あ､今年の話ね｡
去年の過呼吸気味のあれは無かったけど､でもやっぱり嬉しかったんだろうね｡ぼろ泣きだった｡
指原も泣いちゃったなぁ｡Aの公演で麻里子様のアンダーを踊ってたあの研究生が､まさかここまで来るとはね｡
由依ってば､シンデレラガールってたまに呼ばれてるけどさ､まだまだ上り詰める気がするんだよね｡それこそ次期エースだよ｡

「横山ー！」
「うおー､何や何や｡どうしたんですか､いったい」　

　リビングに入ってきた由依に､半ば強引に抱きつく｡
私よりもしっかり筋肉ついてて､倒れることなんて無い｡さすがだよ､努力っ子｡安定感があるね｡

「りっちゃんがー……」
「えー？北原さん､どうかしたんですか？」
「何かおかしいんだよー……｡機嫌悪いって言うかさ」
「まぁまぁ､一旦落ち着いてくださいよ｡お茶煎れますから」

　そう言って､由依は笑顔でキッチンへ向かう｡うー……帰ってきたばかりなのに悪いなぁ｡
荷物もまだ持ったままなのに｡指原の周りの人は皆優しすぎてたまに甘えちゃう｡みぃちゃんの気持ちすっごいわかるもんね｡
特に初期メンの方達なんてね､麻里子様も含めて本当に優しいんだよ｡少し気難しかったり思われがちだけど｡
それぞれマイペースで性格にも癖があるけど､でも指原に本当に優しくしてくれるから大好き！どーん！

　由依が煎れてくれた緑茶は､めちゃくちゃ良い匂い｡うーん､さすが本場の宇治茶｡
夏が近くてちょっと気温高いんだけどさ､でも指原こういうのも嫌いじゃないから大丈夫！
　由依はお茶を煎れるなり､「荷物置いてきますね」って上階へ行った｡で､しばらくして戻ってくる｡うさみみさん達を抱えて｡

「ちょっと遊んであげてって､こじはるさんからメール貰ったんです」
「えー､良いなぁ｡指原も遊びたい」
「莉乃ちゃん､いつも遊んでるじゃないですか｡それより､里英ちゃん｡もう寝てるみたいやけど」

　荷物を置きに行くついでに､りっちゃんに声を掛けてくれたらしい｡部屋をノックして呼んでみて､しかし返事はなかったそうだ｡
もちろん指原が心配してると言った訳ではなく､「お土産買ってきたんですけど､一緒に食べません？」って言ったらしい｡
由依は出来る子だな｡でも寝るにしちゃ早くないかな｡さっき部屋に戻ったばっかりなのに｡うーん､やっぱり何かに悩んでるのかな｡

「眠たくて機嫌悪かっただけじゃないやろか」
「でもそんな風じゃなかったんだけどな……」
「お腹空いてるとか」
「りっちゃんなら我慢せずに何か食べるはず」

　りっちゃんは素直な子だから､今回も何かあったんだと思う｡
お腹空いたら機嫌悪くなるし､歌や振り付けが上手くいかなかったら悔しがるし｡
楽しいときはずっと笑顔で､たまに嬉し泣きして､好きなことには熱意を持ってる｡

「心配だーっ!!」
「うーん､里英ちゃんの様子を見ないと私には何とも」
「そうだよね……」
「とりあえず明日の朝まで保留ってことで」
「それしかないか……」

　こんな時に指原に特殊能力があったらなー｡超能力的なさ｡
心を読むとか､サイコメトリーとか､そんなことが出来たらりっちゃんの悩みなんて万事解決なのに｡
うおー､こんなこと考えてるとかあれか!?中二病ってやつか!?あーっ､もうどうすりゃ良いんだよー！

ノイエさんの絆クルーー!?

期待

ここは落としたくない

　りっちゃんは次の日の朝もやっぱり元気が無かった｡
機嫌はよく分からなかったけど､いつもより口数が少なくて､静かな朝でしたよ｡
ブスの3人と優子ちゃんは昨日の夜は指原達が眠った頃に帰ってきたみたい｡まぁ総選挙終わったばかりだからですかね｡
この時期は毎年のことながら特にお仕事忙しいし､しょうがないです｡前田さんや麻里子様も引っ切り無しに働いてるみたいだし｡

「りっちゃん､今日のお仕事は？」
「撮影と公演……」
「そっか｡指原もね､今日は撮影なんだ｡雑誌とCMの2つ」
「ふーん……」

　何だか気が抜けたように､ダイニングチェアで携帯電話を弄ってる｡ただ眠たそうなだけにも見えます｡
朝御飯食べる前だからお腹空いてるだけなのかも｡でもそんな時でも､いつものりっちゃんなら元気なんだよね｡
朝御飯まだかまだかってソワソワしてたり､朝のニュースを見ながら色々喋ってたり｡

「んー､御飯だよー」
「わー､やったー！優子ちゃん､わざわざありがとうございます！」
「本当だよ､私だってこれから仕事だってのに」
「だって『作ってあげようか？』って聞くから」
「作らないとまた菓子パンとかで済ますんだろ｡ちゃんとした飯食わねぇと働けねぇぞ」
「ぐぬぬ……！」

　確かに指原は料理がそんなに得意じゃないし､作る時間あったら眠りたいし｡
そういう時に作ってくれるんならお言葉に甘えちゃうでしょ｡優子ちゃんの御飯美味しいし｡
ちなみにブスの3人は御飯を食べる前にすでにお仕事に行っちゃった｡ほんと忙しそうだな｡
　
「じゃあ私ももう行くからな｡ちゃんと食べてしっかり働けよ」

　そう言って､優子ちゃんは笑顔でりっちゃんの肩に手を置く｡
今年の優子ちゃんも生き生きしてるなぁ｡あ､今年って言うのは総選挙からの今年ですね｡
舞台上では感極まって泣いてたけど､やっぱり優子ちゃんカッコよかったなぁ｡

「っていうか由依の奴､まだ寝てんのかよ！気になるから起こしてくる！起こしてそのまま行くね｡じゃ！」

　そのままソファの上のバッグを手にとって､優子ちゃんは部屋を出て行きました｡
りっちゃんと2人になって､またリビングの中は静かになる｡りっちゃんが静かだと､こっちも調子狂うなー……｡

「……何のCM撮るの？」
「前田さん達と一緒に夏に向けて水着で色々と」
「そっか……｡良いね､お仕事増えて」
「でも先輩ばっかりで指原足引っ張りまくりだよ」
「おはよーございます……」

　寝ぼけ眼に寝巻き姿の由依が現れました｡
最近ともちんさんに貰ったと言うパジャマが可愛らしい｡思わず写メに撮ってしまいました｡
しかし､薄いピンクに白いドットのパジャマ｡由依も似合うけど､これをともちんさんが着ていたと思うと……！」

「うわっ､ちょ！何すんの､莉乃ちゃん！」
「いやー､可愛いなぁって思って｡あとそれ以上はにゃーちゃん近づけないでね」

　いやー､起き抜けの由依がにゃーちゃん抱えてる姿が超可愛いんだよ｡
由依の腕の中で丸くなってるにゃーちゃん｡あー､これは良い写メだ｡誰かに見せたい｡ブログに載せたい｡

「写真消すのやったら近づけません」
「おいっ､先輩を脅すつもりか！」
「ふっふっふ､プライベートでは関係ないですよ」
「ごちそうさま｡由依､先準備してるから」
「あ､はい」

　指原と由依が遊んでる横で､りっちゃんが唇を尖らせながら静かに立ち上がりました｡
やっぱり元気無さそうな表情で､でもしっかりと朝御飯は完食してる｡指原､まだほとんど食べてないのに｡
見る限りじゃ食欲のほうは異常無さそうだけど……｡由依も何か感づいて､部屋を出るりっちゃんを目で追っていた｡

「ねっ！何かおかしいでしょ？いつもなら食後ももっと喋るじゃん」
「確かに｡何や様子元気ないっぽいですね」
「でしょでしょっ!?絶対何かあったんだって！指原､何かやっちゃったのかなー……」

あげ(・o・)ﾉ

>>220
いやさげてるｗｗ

フィクションだと分かってるがもやもやする(´;ω;`)
りのりえぇぇえ

やばい、りっちゃんの気持ちが伝わりすぎて泣いてしまった…
作者さん文才ありすぎ！

作者さんいつもご苦労様です！

優子はなんか感づいてる気がするな･･･

りのりえが仲直りできますように。
保守

そうか、ここから絆につながるのか？

りのりええええ

あげ

りのりえだから大丈夫だろうけども決着の付け方が楽しみだｗ

あいかわらずうまいとしかいいようがない！

本当に上手いよなぁ
あげ↑

あげ

（（（・o・）））ノ地震多発あげ

このメンの中で最も自分より他人の順位の為に感動出来るのがりっちゃん

そのりっちゃんが…

ノイエの新曲の「味方」が沁みるぜアゲ

２３-3

　確かに里英ちゃんの様子がおかしいなぁ｡
一緒にお仕事やったんやけど､莉乃ちゃんの言う通り元気が無いような｡
でもお仕事中はいつも通りに笑顔を浮かべとったし､私への対応もいつもと変わらんって言うか｡
言うなれば､莉乃ちゃんの前でだけ様子がおかしいんやと思う｡

「指原さん､ちゃんとお仕事できてますかねぇ」
「……大丈夫じゃない？あっちゃん達とも上手くやってるんだし」

　莉乃ちゃんは前田さんやともちんさん､ゆきりんさん､まゆゆさんと一緒にお仕事みたいや｡
何や､凄いメンバーに囲まれとって莉乃ちゃんのことながらドッキリちゃうんかと思ってしまうわ｡
地方組でラップとかやってずっと馬鹿笑いしてた頃からは､想像付かんなー｡ほんまにすごいわ｡
　莉乃ちゃんの話を出してみると､見るからにその表情が曇った｡ふむふむ､何かしら後ろめたいことがあるようやな｡
横山さんの目はごまかせへんよ〜｡ちょっとだけ唇尖らせて不機嫌そうやもんね｡なかなかこんな顔せぇへんわ｡

「里英ちゃん､何かあったんですか？」
「え？」
「莉乃ちゃんと何かあったんなら､話聞きますけど」

　言うても相手は先輩やのに､ちょっと偉そうやったかな……｡
でもここはめげちゃあかん｡里英ちゃんも莉乃ちゃんも大好きな先輩でお友達やもん｡
研究生の頃から優しくしてくれた人達やもん｡何があったかは知らんけど､気まずい関係にはさせへん！

「横山は……､由依はさ､仕事増えた時､嬉しかった？」
「うーん､まぁ何もすることが無いよりは､働いてるほうがえぇですよね」
「そうじゃなくて……｡いいや､ごめん｡何でもない」
「え､ちょっと」
「トイレ行ってくる」

　里英ちゃんは勢い良く立ち上がって､そのまま控え室を出て行く｡
何や何や｡煮え切らんなー｡お仕事がどうしたんやろ｡お仕事と莉乃ちゃんが関係あるんか？
そういえば最近はなかなかお仕事で莉乃ちゃんと一緒になることがないな｡まぁそれはしゃあない｡今や人気メンの1人やもん｡
お仕事にも差が出るのは必然や｡私もいつかはそんな風に人気もんになって､歌手としてソロデビューしてみせるわ｡
まぁその前に作詞を頑張らんとあかんな！あかん……んー？はっはーん！そういうことやな｡
里英ちゃんは淋しいんや｡莉乃ちゃんとなかなか一緒にお仕事出来へんから淋しくて､でも素直になれんからちょっと当ってしまった｡
ふーん､大体そんなところとちゃうやろか｡名探偵横山さんの名推理や！……って､何や普段の里英ちゃんと莉乃ちゃんっぽいわ｡
私は別に､そこまで妄想好きとちゃうんやけど､2人と一緒におることが多いから影響受けちゃったかな｡

使えそうで使えないゆいはん萌え

日曜なのに仕事あげ

ぷ、プロだ。この3人を交互に回して、話を進めるなんて、3人を一度に好きにならざるをえない。。。

ホークス♪あげ

さっしーの誕生日にりのりえの絆の展開期待

「うーん？きたりえの様子がおかしい？」
「そうなんですよー｡指原さんの前じゃ何か機嫌が悪いんですよねー」

　2人のことで相談するなら､やっぱり優子さんが適任やと思うわ｡
いつもは年上とは思えないくらい元気でお茶目やけど､でも周りのことはちゃんと見てくれてはる｡もちろん里英ちゃんや莉乃ちゃん､私のことも｡
振り付けの練習してる時やって1人で集中してるかと思いきや､「ここはこうした方がいい」「由依ならもっといける」ってアドバイスしてくれる｡
たかみなさんや秋元さんはもちろんのことながら､優子さんもそういうカリスマ性はあるんやってほんまに思う｡

「ここ2､3日ずっとギクシャクしてるんですよ」
「きたりえがねー｡確かにこの前の朝は妙に静かだったな」
「北原さんがおかしいから､指原さんも萎縮しちゃってて」

　莉乃ちゃんに相談されてからちょうど3日｡今は7人がそれぞれ忙しいから､なかなか家の中でも顔を合わせる機会がない｡
けど､少しでも家におる時間が重なってると､里英ちゃんと莉乃ちゃんは互いに少し気まずそう｡もう見てられへんわ｡
せやけど私1人じゃどうにもできんから､やっと時間が合った優子さんに相談してる｡
　K公演が終わっての帰り道｡優子さんは総選挙が終わって以来､初めての参加やった｡
やっぱり優子さんの人気は凄いわ｡劇場に立つだけで空気を変えてしまう｡ファンの皆さんの声援も増しとった｡
　それにしてもほんまによく降る雨やなぁ｡梅雨言うても降りすぎとちゃうか？
とは言え､恵みの雨とも言うし､雨が降るから美味しい御飯を食べれるんもあるからな｡
感謝はするべきか｡でも優子さんを雨の中歩かすんは許されへんぞー！帰り道ぐらい雨降るの止めぇや！

「何やってんだよ､あいつらは｡絆の歌詞を書くっつうのに､まったく」
「んー､確かに｡喧嘩してはったらあきませんよね」
「由依は原因とか心当たり無いの？」
「そこなんですよ､優子さん！いやね､私なりに推理してみたんですよ！」
「いや､推理って……」

　調子に乗っとる私に､若干優子さんが引き気味やけど､そこは気にしませんよ｡
里英ちゃんや絶対に淋しいんや｡ロマンチストの里英ちゃんやもんね､もっと莉乃ちゃんに構って欲しくてしゃあない｡
まぁ世に言う気持ちの擦れ違いってやつや｡いや､恋人か！ってね､珍しく突っ込んでみたりもするんですけど｡

「いや､違ぇだろ」
「えっ！そんなバッサリ！」
「今のリアクション､さっしーにそっくりだな」
「えー､そうですかー？」

　そんなにそっくりやったかな｡確かに自分にしてはリアクション大きかったけども｡うーん､でもまぁ嫌やないなぁ｡

「お互いに忙しいことなんてしょっちゅうだろ｡淋しいとか今更じゃん」
「うーん､そうですねぇ……」
「でもそっか｡総選挙の後だしな｡そういうこともあるか｡きたりえもそういうのに悩むんだなー」
「えっ？優子さん､何かわかったんですか？」
「まぁねー｡でも内緒」
「えー！何でですか！」

　ようわからんけど､優子さんがニヤニヤ笑ってる｡傘差しながら､楽しそう｡
この顔は絶対に何があったかわかったって顔や｡私なんかの予想と違うて､確信に迫ってるんやろな｡
総選挙の後やからって何があるんや？喧嘩の理由になることなんて思いつかんけど｡

「放っとけ放っとけ｡その内何とかなるから大丈夫」
「いや､あきませんでしょ！もしほんまに喧嘩とかになったら」
「そん時は私がどうにかする｡まぁとりあえずは由依も見てるだけで良いよ」

　見てるだけなんて､そんなこと出来ん｡2人が気まずいのなんて嫌や｡
でもそれなのに､優子さんの笑顔は本当に頼もしく見えた｡優子さんが大丈夫って言うなら､大丈夫なのかもしれん｡
ファンの皆さんも､こんな頼もしい笑顔が好きになったんやろうな｡心配やけど､優子さんの言う通りにしてみよう｡

優子△

いい流れだな
莉乃ちゃんの誕生日あげ

莉乃ちゃん、お誕生日おめ！
そして優子さんに一生ついてくage

おはようあげ

莉乃ちゃんおめあげ

さっしーおめ。

(´□｀)ノさしおめあげ♪

あげw(ﾟoﾟ)w

さっしーおめぇぇぇ♪あげ

２３-4

　由依の言う通り､きたりえとさっしーがギクシャクしてるみたい｡
飯ぐらいいつも通りに騒ぎながら食えば良いのに､何をそんなに気にすることがあるんだか｡
まぁ由依に言った通り､心当たりはある｡総選挙の後だし､結果が具体的に出た訳だからな｡
　梅雨の合間｡珍しく雨の降っていない空が広がっていた｡でも決して晴れてはいない｡
空一面が雲に覆われてる｡既に太陽は沈んでて､日光ほどじゃないけど街の灯りが少し眩しい｡
マンションの周りは静か｡たまに聞こえる自動車の走行音みらいな街の音が聞こえてくるぐらい｡
最近買ったバルコニー用のビーチチェアに転がって､梅雨の夜空を眺める｡梅雨の夜空って結構綺麗なんだけどな｡

「優子､お茶ー」
「おぉー､わかってるねぇ｡たかみなは」

　リビングの窓を開けて､たかみなが顔を出した｡
リビングではにゃんにゃんと由依が作詞のことで色々話してるみたい｡みぃちゃんはイヤホンを付けて振りの確認｡
きたりえとさっしーはまだ帰ってきてない｡きたりえはあきちゃと遊んでるらしくて､さっしーはお仕事みたい｡

「アイスティー！良いじゃーん！」
「やろー｡言ってももう夏だもんな」
「で､たかみなはいつも通りコーラか」
「別にえぇやろ！好きなんだもん！」
「子供舌ー」

　アイスティーとコーラ､ガムシロップとミルクの乗ったお盆をテーブルに置くたかみな｡
氷の入った2つのグラスは､空気中の水分を集めて既に結露していた｡湿気､確かに凄いもんね｡
でもマンションのフロアが高いから虫もいないし､湿気を無視すればいい気分だ｡

「星見えるー？」
「まったく見えん！」
「まぁ梅雨だしねー」
「おいおい､むしろ梅雨の方が空気中の埃が少なくて綺麗なんだぞ｡それに節電の影響もあるから､都内でも明かりが減ってるし｡七夕の夜空が綺麗なのも梅雨だからだし｡まぁやっぱり梅雨のせいでなかなか織姫と彦星が出会えないんだけどさ」
「……」
「何見てんだよ」
「いや､優子って結構頭良いよね」
「何でそうなるんだよ」

　涙の雨｡催涙雨｡雨が降るせいで出会えないって言うのも嫌なもんだ｡雨でも良いことはあるんだけどな｡
って､私ってば何をロマンチックに語ってんだ｡らしくねぇな｡こういうロマンチックなことはきたりえの専門だっつーの｡

「働きっぱなしで疲れたー！」

　大声を出して､木製の椅子に腰を下ろすたかみな｡この時期は本当に忙しいからな｡
総選挙関連でメディアに御呼ばれして､雑誌の撮影､シングル曲のMV撮影やレコーディング､公演にレッスンにその他色々｡
今回も恥ずかしながらあっちゃんとともに上位を頂いてしまって､こうしてゆっくり出来るのも久しぶりだ｡明日からはまた忙しいんだけどね｡

「仕事貰えるのは良いことじゃん」
「でもやっぱり疲れたよー……」
「たかみなは働きすぎなんだよ､やらなくていいことまでやりすぎ」
「だって落ち着かないんやもん｡自分でやらんと」
「いつか身体壊すぞ」

　たかみなはいつもは元気だけど､少しでも体調を崩すと一気に崩壊するからな｡
寝る間も惜しんで作詞を頑張ったり､振りの練習をしたり､控え室の掃除なんかもして､たまに心配になる｡
いつかどうにかなってしまうんじゃないかと､気が気じゃないのが本音の大島優子さんですよ｡

「私のことはどうでも良いんだよー｡優子､どうするつもりなの？」
「何が？」
「きたりえとさっしー｡何かあったみたいだけど」

　やっぱり勘付いてたか｡まぁあんなにわかりやすいもんも無いよな｡
今まであんなに騒いでたのに､一緒にいるときに口数減れば､どんな馬鹿でも気付くよ｡気付かないのなんてにゃんにゃんぐらいだって｡
いや､にゃんにゃんを馬鹿っていってるわけじゃなくてね｡っていうか私がにゃんにゃんを馬鹿にするわけないだろ｡あの人は特殊だからさ｡

「何かお互い気まずい関係みたいよ｡喧嘩とまではいかないけど」
「あの2人が？優子､なんか心当たりは？」
「まぁ総選挙の後だし､順位とかでギクシャクしてんじゃねーの？」

　さっしーが着々と知名度を上げるのをよそに､きたりえは少し伸び悩んでるみたいだ｡
ドラマや映画にも出演したのにな｡きたりえらしい良い演技してたし､面白かったんだけどな｡
仲良くて､いっつも一緒にいたさっしーとの差に思うところがあるんだろう｡仕事や人気の差｡わかるなー､その気持ち｡
　私もさ､いつからかあっちゃんと一緒にツートップなんて呼ばれて､評価をされるときはいっつもあっちゃんと比べられたもんだ｡
あっちゃんがドラマの主演なのに女優志望の優子は何をしてるんだとか､あっちゃんに人気で抜かれたとかさ｡
自分なりにちゃんと努力して頑張ってるのに､評価されないことがどれだけ悔しいことか｡納得がいかなくて､泣きたくなる｡
負けたくない｡このままでいたくないって気持ちが強くなって､あっちゃんに対抗心を燃やしたこともあった｡
嫉妬って言ったらそれまでだけど､でも誰だって頑張りは認めてもらいたいもんだろ｡

「たかみなはそういうこと無い？」
「うーん……､そりゃまぁ無くは無いよ｡敦子ばっかりセンターに立ってるとか」
「言うねーっ！」
「いやっ､けどセンターはセンターでやっぱりそれだけの苦労があるから……｡敦子だって頑張ってるし」
「まぁな」

　そういう葛藤は誰にでもあるよ｡ゆきりんだって､7位と8位の間にある壁にずっと悩んでた｡
SKE48の2人のエース､珠理奈と玲奈だって互いに比べられて､そういう気持ちはあったろう｡
　でも誰かを妬んでばかりはいられない｡悔しがってばかりはいられない｡そこから自分が変わらなくちゃ｡
向上心と協調性と自尊心を持って､決めなくちゃ｡その場で立ち止まるか｡上を目指すのか｡

「何か説教臭いな」
「きたりえに言ってあげれば良いじゃん｡言えば何か変わるかもよ」
「駄目だよ｡私はあいつらにはそういうこと言わないって決めてるんだ」
「え､そういうのあんの？」
「まぁね｡Not yetでの私のルールだ」

　私はあいつら3人に借りがある｡Not yetを拒んでいた私を､笑顔で迎えてくれたあいつらに｡
一番先輩で､自分で言うのも難だけど実力も人気もトップの私がしちゃいけないことだった｡
なのにあいつらは私を慕ってくれてる｡自分勝手な私に付いてきてくれてる｡一緒に馬鹿やって笑ってくれる｡
世間じゃ､Not yetは大島優子が引っ張ってるみたいになってるけどさ､でも違う｡私があいつらに支えられてるんだ｡
　必ずしも助言があいつらの為になるとも限らない｡成長の妨げになるんなら､しないほうが良い｡
時には自分で気付かなくちゃいけない｡助言してくれるような先輩が､この先いなくなった時のためにも｡
私は借りを返すつもりで､あいつらを成長させてやると決めた｡私達がいなくなった時､AKB48を引っ張っていけるように……｡

「まぁ由依に限っては､まだ経験が少ないからたまに助言はしてあげるんだけどさ」
「優子も色々考えてるんだね」
「あぁ｡で､たかみな｡ものは相談なんだけどさ」
「んー？何？」

さしこ誕生日おめでとあげ(´□｀)！

姐さん目線のノイエの話うるっときたわ…
本当にいい話だし、知ってからはますますノイエも個々４人も好きになったしなー

ドラマ化してほしいわ。

２３-5

　すっかり帰りが遅くなっちゃった｡お仕事で疲れて､あきちゃの家でゆっくりし過ぎた｡
あきちゃの家のワンちゃん､ウィンちゃんとフーちゃんが可愛すぎて可愛すぎて｡癒されたー！
何だか久しぶりに心が休まったな｡お仕事多いし､覚えなくちゃいけない振りもあるし｡家じゃ莉乃ちゃんと何だか気まずくなっちゃって､なんか居づらい……｡
私のせいなんだけどさ｡莉乃ちゃんも今日はお仕事のはず｡私が遊んでる間も働いてて､多分疲れてるんだろうな｡大丈夫かな……｡

「きたりえ､どうかした？」
「え？別にどうも……」

　あきちゃの家にいる時に､とぼけた顔のあきちゃにそう聞かれた｡
ちょっと莉乃ちゃんのこと考えてボーッとしてて､あきちゃの話を聞いてなかったんだと思う｡
誤魔化しては見たものの､普通にバレバレだったろうな｡あきちゃにまで気付かれるって相当だよね｡

「最近ボーッとしてること多いよっ」
「うん､ちょっとお仕事で疲れちゃっただけだから､大丈夫だよ」

　お仕事の疲れは､まぁ慣れてきた｡寝るか食べれば何とかなるし､私が好きでやってることだからね｡
でもやっぱり莉乃ちゃんのことが気になっちゃってるんだよね｡気まずい関係で､心が磨り減ってるのかも｡
あんなに嫉妬してたのに､何を今更心配なんかしちゃってるんだろう｡私ってば調子良いよ､まったく……｡
　あきちゃの家から帰ってきてマンションの最寄り駅｡早く帰ればいいんだけど､そうもいかなかった｡
朝からずっと空を覆っていた厚い雲が､ついに耐え切れず雨を降らし始めた｡強いと言うほど強くは無いが､決して弱くない雨｡
天気予報じゃ明け方まで降らないって言ったはずなんだけどな｡傘持ってきてないし､こんなときに限って折りたたみも持ってない｡
由依に電話して傘持ってきてもらおうかな｡今日は皆お仕事が早めに終わって家にいるはずだし､持ってきてくれるはず｡

『ただいま､電話に出ることが出来ません｡ピーッと言う発信音の後に……』

　出ることを期待して3回も電話したのに､全く持って出る気配が無い｡
お風呂にでも入ってるのか？うーん､時間が時間だしありえないこともないな｡困ったな｡
まさか優子ちゃん達先輩方にこの雨の中迎えにきてもらうわけにもいかないし｡タクシーを拾おうにも､あんまり持ち合わせが無いし､困ったな……｡
罰が当ったのかもしれない｡莉乃ちゃんを妬んだから｡お互いにお仕事忙しいのに｡妬む必要なんて無いのに｡頭を冷やせってことかな｡
いいや､雨に濡れて帰れば｡濡れて困るものも無いし､別に構わない｡バッグにノートが入ってるけど､今の私に絆を語る資格なんて

「りっちゃん！」

　降りしきる雨の中に出ようとした瞬間､後ろから腕をグッと引かれた｡
いつもはヘタレで間が悪かったりするのにさ､こういう時ばっかりタイミングよく現れるんだもんな｡
たまにそういうところがあってさ､ファンの皆さんにもスタッフさんにも受けちゃうんだよね｡

「風邪……引いちゃうよ」
「別にいいよ｡頭冷やすと思えば」
「駄目だよ！りっちゃんが風邪引いたら､心配で心配で」

　また引っ張られて､屋根の下に戻る｡物凄く泣きそうだ｡
恥ずかしい｡嬉しい｡悔しい｡色んな感情が頭の中で混ざり合って､どうしていいんだかわからない｡
でも今の私がすることは､振り返って莉乃ちゃんの顔を見ること｡逃げ出したいけど……｡

「ごめんね……気まずくしちゃって」
「りっちゃん､何があったのか……話してくれない？」
「話したら､莉乃ちゃんに嫌われる……｡喧嘩になっちゃうかもしれない……」

　私の嫌なところ､莉乃ちゃんには見せたくない｡莉乃ちゃんに嫉妬なんて馬鹿じゃん｡
ずっとずっとずっと仲良くて一緒に頑張ってきてさ｡今になって関係が崩れるなんて嫌だよ｡ガチの関係を崩したくない｡

「気まずくて喋れないままより遥かにいいよ！」

　見ると､莉乃ちゃんは私よりも先にもう泣いてた｡
いや､もしかしたら吹き込んだ雨が顔に付いただけかもしれないけど｡
でもこっちは確実｡莉乃ちゃんのそんな顔を見て､私の涙腺は崩壊してしまった｡

うなあげ∈(°◎°)∋

明日はもしかしたら更新できないかもです！

なんか目から汗でてきた

青春やねえ……

今日ほど続きが読みたい日はない。
りのりえぇぇええ

ああ良いわ〜
作者さん乙

たかみなとゆいはんが卒業の
崖っぷちにいるのを忘れてしまう

さっしーの誕生日にこれはズルい…泣いてまうわ…

りえヲタとしてはりのヲタに見せ場を与えて逆にひとつ貸しを作ってやった気分だｗ支援

作者すげぇな

すごーい！感動！

じらさないでーw

感動(*´>д<)

ジャニガキめ派手なドーピングで１位とっても未来はねえぞ、あげ！

おもろすぎるで！しかし！

（・o・）ノ上海行ってらっしゃいあげ♪

あげw(ﾟoﾟ)w

あげ

あげ

神あげ

あげげ

あげまる

おやぷみ前あげぃ

絶対に落とせないスレがここにある

みんな同じように脳内再生できてるんだろうな。

２３-6

「莉乃ちゃんのことずるいなって思った｡思っちゃった……」

　指原が傘を持ってて良かったです｡朝ふと思ったんですよね｡明け方までは大丈夫って予報じゃ言ってた｡
でも折りたたみは持ってった方が良いかなって｡少しばかりそういうのには疑り深い指原なんです｡でも本当に持ってて良かったです｡
　お仕事が終わって､電車で帰ってきて､改札を出たらりっちゃんが立ってた｡今にも泣き出すんじゃないかってぐらい暗い顔して｡
突然降り出した雨も､りっちゃんが悩んでるからなんだなって思った｡優子ちゃんに聞いた､涙の雨の話みたいだって思った｡
雨が降ると､織姫と彦星は出会えない｡出会えないことに哀しむ涙の雨は､まるで今のりっちゃんと指原みたいです｡
りっちゃんは雨の中に出て行こうとしたけど､あそこで腕を掴んでなかったら､指原は後悔してたんじゃないでしょうか｡
夜の雨にりっちゃんが飲み込まれていくみたいな｡勇気出して掴んで良かったと､心から思います｡

「指原が､ずるい……？」
「私だって頑張ってるのに､莉乃ちゃんばっかり先に行くんだもん……」

　雨の音がよく聞こえてくる｡マンションに程近い公園の休憩所にあるのはベンチと屋根だけ｡
閑静な住宅街だし､それ以外の物は必要が無いのでしょう｡座って､雨を凌げればそれで良いんでしょう｡
認知度は超選抜に比べればまだまだとは言え､今をときめくAKB48のメンバーが2人､泣き顔でお店には入れません｡
りっちゃんも指原も､涙だったり雨だったりでメイクが大変なことになってるし､公園のベンチが良いんです｡

「一緒にいても気付かれるのは莉乃ちゃんばっかりだし､差が付いて行くみたいで……｡でも私はこれ以上どうしたらいいんだか」

　りっちゃんは悩んでたんだ｡ずっと一緒にいる指原との差を｡
確かに一緒に町に出たときに､ファンの方に気付いてもらえるのは指原が多い｡
りっちゃんも気付かれることがあるけど､でも最近は指原ばかりだと思う｡
正直言って､指原は気付いてもらえることが嬉しいし､名前を知ってもらえてることが嬉しい｡

「そんなことで悩んでたんだ……」
「そんなことって……！私は本当に悩んでるのに」
「そんなことだよ｡指原がずるなら､りっちゃんは我がままだ」

　言ってしまえば､指原だってりっちゃんのことずるいなって思ったことがあるんですよ｡
だってそうじゃないですか｡ずっと一緒にいて､一緒に頑張ってきて､でもりっちゃんは安定した人気でずっと選抜に入ってるんですもん｡
指原が入りたくて入りたくて堪らなくて､それでも入れなかった選抜にずっと入り続けてるんですもん｡じゃんけんだって､この前は勝ち残ったし｡
選抜に入れなくて､どうしていいのかわからなくて､本当に辛くて仕方が無かったんだ｡AKB48を辞めようかって思ったこともあるんですよ｡

「りっちゃんもみゃおも､ジャケット写真に載っててさ､それをお店で見る指原の気持ちがりっちゃんにはわかる？」
「……」

　これが人気メンと指原の差なのかって､ずっと悩んで､でもどうしていいのかわからなかった｡
今のりっちゃんと一緒｡どうしても埋まらない差に悩んで悩んで､苦しかった｡泣いてばかりの日々だった｡

「だから指原は頑張ったんだよ｡どんなことでも良いから目立とうって思ったんだ｡ヘタレって呼ばれても良い｡どんなにいじられたって構わない」

　少しでも多くテレビに映るために｡他のメンバーよりも目立つために｡
みぃちゃん風に言うなれば､尺が欲しかったんだよ｡とにかく目立ちたかったんだ｡
指原はアイドルらしくない｡超選抜の皆さんに比べたら足元にも及ばないし､何が出来る訳でもない｡
前田さんみたいにカリスマ性があるわけじゃない｡優子ちゃんみたいなカッコいいダンスは到底踊れない｡
こじはるさんや麻里子様のようなスタイルも持ってなければ､オシャレのセンスが無くてジャージばっかり｡
みなみちゃんみたいに皆をまとめられない｡ともちんさんやまゆゆみたいに可愛くないし､ゆきりんみたいに歌が上手い訳じゃない｡
指原はヘタレだもん｡泣き虫だもん｡何も出来ないもん｡でも､どんなに泥に塗れたって､目立てるなら綺麗なままより全然マシだ｡

「これは､指原が掴んだチャンスの順番なんだもん！」

複雑だなあ

あげ

ここのスレはみんな温かくて好きだわ。あげ。

イイハナシダナー

期待あげ。

おやすみあげ

これ自体はフィクションだけど実際これに似たような出来事はAKB内色々なとこで起こってるんだろうな

今日はいい天気だあげ

あはあげ

お腹減って機嫌が悪いからあげとく

>>289
うなおつ

あげ

>>289

お前北原だろw

>>280
(ΘωΘ)…

>>292



おまえらが勝手に決めろォ!!

町で気づかれるやつはナルハイを絡めてるんだね
指原気づかれるの早かったから

>>295
というよりも…こっちじゃね？
http://ameblo.jp/kitahara-rie/entry-11083061240.html

>>296
たしかうなブロの方が後だよ

後も先もどっちでもいいだろｗ
どっちも加味してじゃ駄目なのかｗ

２３-7

「莉乃ちゃん……」

　さっきまで泣いてた私に変わって､唇を噛み締める莉乃ちゃん｡
その目からはボロボロと大粒の涙が流れている｡見慣れた莉乃ちゃんの泣き顔だった｡
　そっか……｡私の悩みはただの我がままだったんだ｡莉乃ちゃんはもっと悩んでたんだ｡
いや､莉乃ちゃんだけじゃない｡皆悩んできたことなんだ｡私ばっかりなんて､馬鹿みたいだな｡

「だから､その……りっちゃん｡何て言っていいのかよく分からないんだけどさ」
「ごめんね､莉乃ちゃん……」
「えっ！いや､ちょっと！謝らないでよ､りっちゃん！」

　頭を下げる私に､莉乃ちゃんは慌てて手を伸ばしてくれた｡相変わらず細くて薄い両腕｡
私に向かい合うようにして､両肩を支えてくれる｡でもこんな手で今まで精一杯頑張ってきたんだ｡チャンスを掴んできてたんだ｡なのに私ってば……｡
　確かに私は､莉乃ちゃんに比べれば恵まれていたのかもしれない｡選抜回数は同期でも1番｡
次期エースなんて呼ばれて､アルバムのジャケットにも載せてもらって､天狗になっていたのかもしれない｡
だから､莉乃ちゃんの人気に嫉妬してしまったんだ｡やっぱり私はわがままだった｡

「ううん､謝らなくちゃ……｡ごめんね」
「やだっ！なら指原も謝る！ごめんね､りっちゃん！」

　勢い良く抱き寄せられた｡莉乃ちゃんの細い両腕に強く抱きしめられる｡私が勝手に妬んだだけで､莉乃ちゃんが謝る必要なんて無いのにな｡

「何で莉乃ちゃんが……」
「だって指原も調子乗ってたんだもん｡順位に相応しい人間になるって言ってさ､お仕事のことしか考えてなかったや……」

　人気が上がるって言うことはてことは､ただ知名度が上がるだけじゃない｡総選挙で順位が上がったり､お仕事が増えたりする｡
色々な人に見てもらうことになる｡そして誰かの上に立つってことなんだ｡AKB48は皆仲良しだけど､ただの仲良しグループじゃない｡
総選挙やジャンケン選抜があって､グループ内で競争がある｡皆が向上心を持って､選抜を目指してる｡
順位を貰うってことは､順位を貰えなかったメンバーの悔しさと期待を背負わなくちゃいけない｡

「あっちゃんも優子ちゃんも､それを背負ってるんだ……」
「指原は､そんなこともわからず調子乗ってた｡もっと自覚しなくちゃ」
「北原だって……｡あっちゃんやみなみちゃんと同じ歳なのにね｡恥ずかしいよ」

　考え方が子供だった｡自分のことばかり気にしてた｡もっと自分の立ち位置を理解しなくちゃ｡
もっと大人にならなくちゃ｡支えることと支えられること｡AKB48のさらなる発展のためにも､成長しよう｡

「ごめんね､莉乃ちゃん」
「やめてよ､もう終わり！言いたいことは言ったんだからそれで満足だよ」
「うん」
「うん｡りっちゃん､手出して」

　身体を離して､莉乃ちゃんが言った｡涙を流しながら､それでも笑顔を浮かべて｡何だろう｡何をするんだろうと､右手を出す｡手のひらを天に向けるように｡そっと｡
パンッと乾いた音が響いて､私の手の上に莉乃ちゃんの手が乗る｡グッと持ち上げられ､腕相撲みたいな形でお互いの手を握り合った｡

「りっちゃんとは喧嘩したくない｡もっとずっと一緒にいたい｡だから､これからは不満があったらちゃんと言い合おう｡一緒に頑張ろう」
「莉乃ちゃん……｡うん｡頑張る｡頑張ろう」

　泣き笑いする莉乃ちゃんの顔が可笑しかったのかも｡私は莉乃ちゃんと手を握り合いながら笑えていた｡可笑しくて､嬉しくて｡
ちゃんと言えてよかった｡仲直り出来てよかった｡すっごい嬉しい｡約束しよう｡これからのAKB48のために､そしてNot yetのために頑張るんだ｡

「あと､莉乃ちゃんに追いつく！」
「受けて立つよ､りっちゃん！」
「そんでいつか2人でトップに立つんだ」
「いやいやいや､それはさすがに恐れ多いだろっ!!」

>>296
確かにそっちの方がシチュエーション的に合ってるね
うなブロ見てないから知らなかったわ

良かった良かった！

（・o・）ノ夕飯時あげ♪

この２グループってジャニーズで言うTOKIOとV6のような相性のよさがあると思う

雨降って地固まるとはまさにこのこと
りのりえ可愛いよりのりえ

上位メンと下位メン
本体メンと支店メン


いろんな潤滑油になってるのが北原さんですアゲ

>>286、そうでしょうね。それでも心折れずに頑張るから強くなって、そして輝くんでしょうね。

作者さんおつです！

This is very interesting.

まとめとかブログとか見ながらやっと追いついた！
面白いし、メンバーの関係性も現実と変わんなくってめっちゃリアルで、感動できる話も多くって、
本当に作者さんやばいっす！いつもお疲れ様です。

では、フィクションでもりのりえの絆に感動し過ぎて泣きながらアゲです(´∀｀∩)↑age↑

りのりえの絆をちょっと羨ましそうにみるゆいちゃんとその横でこうなる事がわかってたかのように微笑む優子さんが見えるようだ。

２３-8

「遅いなぁ……」
「んー？何がー？」
「何がって里英ちゃんと莉乃ちゃんですよ」
「その内帰ってくるから大丈夫でしょー」

　こじはるさんは心配してへんのか､呑気にそう言う｡確かにお仕事とかでもっと遅くなることもあるにはあるけど｡
さっき里英ちゃんから掛かってきた電話が気になる｡ちょうどお風呂に入ってたから出ることが出来なかった｡
朝まで持つはずやった雨も､さっき振り出した見たいやし､もしかしたら何かあったのかもしれん｡
バルコニーに出てた優子さんとたかみなさんは2人揃って部屋に行ってしまった｡何か話してたけど何やろ｡

「もしかして傘忘れたんじゃね？」
「そう思って掛けなおしたんやけど､出ないんですよね」

　振りの確認をしてたみぃちゃんが､隣に座った｡頬に汗を流しながらリンゴジュースを啜ってる｡
嫌な感じがするなぁ｡どこかで事故にでもあったとかやったら洒落にならん｡それともほんまに傘忘れたんかな｡
でもそれやったら電話に出るはずやしなぁ｡心配で作詞のほうに頭が回らんわ｡

「電池切れただけかもよ」
「うーん……､いや､心配なんでちょっとその辺見てきます！」

　作詞ノートをたたんで､勢い良く椅子から立ち上がる｡
作詞が進まんし､何もせぇへんよりえぇわ｡作詞も重要やけど､それよりも先に2人が心配やもん｡
莉乃ちゃんもさっきお仕事終わりのメールくれたし､いくら何でも遅すぎる｡

「由依も気をつけろよー」
「あ､どこかで紅茶買って来てくれたら嬉しいなー」
「いや､陽菜｡それは自分で行けよ」

　こじはるさんとみぃちゃんの会話を背にして､玄関に向かう｡
そんな私に付いてくるうさみみさん達｡あかんよ､外に出ちゃ｡こんな雨の日はゆっくりしてな｡
なんて言っても2匹には伝わらんよな｡へッへッと舌を出して､潤んだ目で見つめてくる｡
傘は1本でえぇかな｡もしかして莉乃ちゃんも一緒におるってこともあるけど､でも可能性は引くそうやな｡
里英ちゃんと相合傘か｡ふむふむ｡こんな機会もなかなかあらへんし､悪くは無いなー｡へっへっへ｡
あと何を履いていこうかな｡スニーカーとかあまり濡らしたくないしなぁ｡うーむ……｡そろそろ夏やしサンダルってのもありやな｡
　さてどうしようかとシューズボックスを前に悩んでいると､ガチャッと音を立てて玄関扉が開いた｡

「ただいまー」
「ただいま｡おぉ､由依」

　里英ちゃんと莉乃ちゃんが普通に揃って入ってきた｡まるで何も無かったかのように｡
気まずい空気はまったくない風に｡しかしただ1つ気になるのは､2人ともずぶ濡れやった｡服から水が滴ってる｡
雨に濡れたことは明白で､化粧も落ちとる｡雨に濡れないようにと2人とも鞄を抱きしめてる｡

2人とも全力で泣いてたのを隠すために濡れてきたんですね、分かります
青春だなあ

青春あげ

「お､おかえりなさい｡ちょっと､2人ともずぶ濡れやないですか」
「莉乃ちゃんのせいだよ！どうしてあんな何も無いとこでこけるんだよー」
「そういうりっちゃんだって､折りたたみぐらい持ってろよ！」

　莉乃ちゃんが傘を持ってる｡まぁ傘と言うよりは､傘だったもの｡
確か莉乃ちゃんがいつも使ってる折り畳み傘のはずや｡何があったらこんな､見るも無残なことになるんやろ……｡

「何があったんや？」
「いやさ､指原が傘差そうと思ったら転んじゃってね､転んだ拍子に風で転がってっちゃって」
「そのまま道路でグシャッと……」
「ついでにトラックに水溜りの水かけられてこれだよ……｡うぅっ､指原のお気に入りの傘だったのに……」
「もっとしっかり持ってないと駄目だって」
「だから指原に文句言う前にりっちゃんも傘持ってろっての」

　言い合いながらも､2人の間に気まずさのかけらも無い｡
日ごろでもあまり言い合うような姿は見ないけれど､少なくとも喧嘩しとるようには見えん｡帰り道でなんかあったんやろか｡
すっかり仲直りしてるようや｡仲直りしたんはいいことやけど､結局何が原因だったのかもどうやって仲直りしたんかもわからんまま｡
うー､何でや！何で複雑な気分なんや！置いていかれてる気分で不愉快やー！誰か何か教えてー！

「おいおい､騒がしいけどどうしたー？」

　優子さんが階段を下りてきて､玄関までやってきていた｡
その後ろをたかみなさんが素通りでリビングに向かっていった｡んー？たかみなさんが素通りって言うのも可笑しいな｡
どんなことでもたかみなさんなら駆けつけてくるイメージやのに｡「おいおい､風邪引くぞ！」とか言ってきそうやけどなぁ｡
まぁ何か考え事でもしてるんやろうな｡優子さんと何か話とったようやしな｡

「優子ちゃーん､ただいまー」
「ただいま帰りましたー」
「おかえりー｡ってずぶ濡れじゃねぇかっ！馬鹿､風邪引くぞ！」

　怒りながらも､ずぶ濡れの2人を見てケラケラ笑う優子さん｡確かにこんなずぶ濡れで帰ってきたら面白いは面白いわ｡
多分､優子さんも2人が仲直りしたのを感じ取ったんやろな｡何も言わずに笑ってみてるだけって言うのが､優子さんらしい｡

「寒いー……」
「横山ー､ティッシュー」
「とりあえずお風呂沸いてますから入ってきたらどうですか？」
「りっちゃん､先入っていいよ」
「いいよ､莉乃ちゃん先で｡私長いし」
「いいから一緒に入れっつの！風邪引いたらお前ら､爬虫類持ってくるぞ！」
「そ､それだけは勘弁してください！」
「莉乃ちゃん､行こっ！」
「うん」
「あー､そのまま上がらんでくださいよ！廊下濡れちゃうやないですか！」

　何はともあれ､解決したのはえぇことや｡
里英ちゃんも莉乃ちゃんも､口悪かったりするときもあるけど､喧嘩は似合わんからね｡
皆で仲良くしとった方が全然えぇ｡一緒にずぶ濡れになって笑うくらいが､2人にはお似合いやわ｡
雨の日もえぇことはある｡梅雨の時期やからこその､雨降って地固まるってやつや｡

まじドラマ化希望

たかみなはノイエの四人だけにしようと気を使ったかな？

たかみなの真意を自分の中で探りつつ、
仲直り記念アゲ＆ドラマ化or映画化希望アゲ

ラジオドラマもいいですね

現実でも良いと思うアゲ

映画化あげぽ

りのりえ推しが号泣しながらあげ

俺もきたりえとビシャビシャになりながらエッチしたいアゲ

あげ

>>322を全力で阻止しつつ、おはアゲ

優子さんの頼みとは？あげ

２３-9

　6月ももうすぐ終わるっつーのに､梅雨は終わる気配を見せない｡
りのりえの2人が仲直りして､しばらくが経った｡あの2人が喧嘩するなんて､これも共同生活効果かな｡
雨は降り続く｡七夕までにはいなくなって欲しいんだけどな､雨雲には｡梅雨が終われば季節は本格的な夏｡
いまから夏が楽しみだねぇ｡大島さんはにゃんにゃんの水着が楽しみで涎が出ちゃうよ､じゅるり｡
　劇場の舞台の上で､1人でにゃんにゃんの水着の想像を膨らます｡今日はこれからK公演｡
とは言え夕方からの公演まではかなり時間がある｡リハーサルが始まるにもまだ全然早い｡
何で優子さんがこんなに早く､たかみなみたいに馬鹿早く1番乗りしてるのかと言えば､ちょっとした待ち合わせだ｡
こんなところに呼び出す相手は誰かって？まぁ劇場が似合う人だよね｡ちなみにメンバーじゃないよ｡

「優子､こんな時間に何の用だ？」
「あ､戸賀崎さーん｡どもー」

　舞台袖から､ラフな格好した戸賀崎さんが現れる｡
私が呼び出したのは戸賀崎さん｡まぁでもね､戸賀崎さんだけではないんだな｡
戸賀崎さんは劇場支配人で､偉い人で､立ち会ってもらおうかと思ってさ｡戸賀崎さんにも話を聞いてもらいたいし｡

「話っていうのは？」
「気が早いですってば｡揃うまで待ってくださいよ」

　と､噂をすれば影とはこのことだ｡ギッと､劇場後方の扉が開く｡
相変わらずのスーツ姿｡クールビズってやつなのか､ノーネクタイでシャツのボタンを開けている｡
日頃からかなり忙しいみたいだけれど､今日は来てくれて本当に良かった｡

「私を呼び出すとは偉くなったものだな」
「いえいえ｡時間通り来てくださってありがとうございます､秋元先生」

　春のコンサートで詰め寄って以来だろうか｡
ここまで近くで会うのは久しぶりだ｡お互いなかなか忙しくて､会う時間はなかなか無い｡
別に会いたいわけじゃないけどさ｡ビジネス的な会話ならメールでも電話でも､今どき会わなくたって済むんだ｡

「それで､話ってのは何だね？」

　秋元さんは無表情のまま劇場の最前列に腰掛けた｡
相変わらずのふてぶてしい態度だなー､なんて口が裂けても言えないんだけどねー｡
まぁ総合プロデューサーだし､芸能界でも本当に偉い人だし､私なんかが何か言えるような人じゃない｡

「戸賀崎さんも座ってください」
「いや､俺はここでいい｡話を」
「ではでは､僭越ながらお話させていただきます」

　舞台の上に立ち上がる｡見えるのは観客席と2本の柱｡それに秋元さん｡
いつもの劇場だけど､全く違う雰囲気だな｡公演の時ともリハの時とも違う劇場だ｡
お昼に来ることも滅多にないしなー｡っていうか最近忙しくて本当に来れてないもんね｡
　私の始まりの場所｡いや､再始動の場所｡夢を諦めかけた私が､もう1度立つと決めた場所｡

「企画のことなんですけど」
「あぁ､どうだね｡共同生活の方は｡上手くいっているかい？」
「きたりえとさっしーが喧嘩しました」
「ほぉ､あの2人が……」

　これには秋元さんも戸賀崎さんも揃って驚いているようだった｡
それぐらいの出来事だからね｡あの2人の喧嘩って言うのは｡けど結局仲直りして､絆を深めたようだ｡
共同生活のお陰かな｡何か秋元さんの手のひらの上で踊らされてるみたいで､癪な気もする｡
負けず嫌いの優子さんだからね､誰かの思い通りになるっていうのは耐えられないんだよ｡

「それで？」
「えぇ｡作詞もそれなりに進んでます｡30万はわかりませんけど､聞けるものにはするつもりです」
「ふむ」
「で､由依の卒業なんですけど」

　由依も共同生活が始まってから､今まで見ない顔ばかり見るようになった｡
悩む由依なんてなかなか見れるもんじゃないし､りのりえといる時の地方組の顔も今までならなかなか見れなかった｡
元気でよく笑って､はんなりの要素はそんなに無くて､でもやっぱり真面目で努力家だから作詞を頑張ってる｡
そんな由依を見てきて､りのりえを見てきて､Not yetを見てきて､私は決めた｡いや､ずっと前から決めてたんだ｡

「由依の卒業を取り消して､私の卒業に変えてください」
「……」

　秋元さんは表情を変えない｡表情を変えないままに口を開く｡

「ダメだ｡例外は認めない」
「……ですよね｡そういうと思ってました」

　秋元さんの企画に例外なんて無い｡組閣を無視することも､ジャンケンの八百長も､何も認められない｡
そんなことはわかってる｡総合プロデューサーですからね｡AKB48の創始者で､神様みたいなもんですもんね｡
でも私は言い負かされるつもりは無い｡さっきも言ったけど､私は負けず嫌いだ｡例え相手が神様だって､負けるのは嫌だ｡

「なら､由依が卒業する時に私も卒業しますよ､AKB」
「お､おいっ！」

　秋元さんではなく戸賀崎さんが表情を変えた｡とても驚いたらしい｡

「何を言ってるのかわかってるのか､お前はっ!!」
「わかってますよ｡っていうかここまで言わないと､秋元さんは考えを変えてはくれないと思いまして」
「……それは本気かい？」

　本気も本気だ｡私は､いつだってAKB48を離れる覚悟は出来てるんだ｡
卒業のことはいつでも考えてる｡もちろんしたいわけじゃないが､由依の卒業の代わりにするならこれしかない｡
由依がAKB48に残れるなら､代償にしたっていい｡それだけの価値はある｡私なんかが何時までもお局みたいにいてもしょうがねぇもん｡
それに､きたりえと､さっしーと､由依｡あいつらを離れ離れにすんのは勿体無い気がするしな｡

「秋元さんも､手放すんなら1人のほうが良いと思いません？」
「ふっ､私を脅すと言う訳か……」
「ご理解いただけて助かります」

　秋元さんは､そのまま何も言わずに観客席の背もたれに背中を預けた｡
腕を組み､顔を天井の方に向ける｡眼鏡に照明が反射して何処を見てるのかはわからない｡
そのまま誰も喋らないまま､時間だけが過ぎていく｡秋元さん､長考に入られたご様子｡考えてくれるだけありがたい｡

　無茶なことを言ってるのは自分でもよくわかってる｡いきなり辞めるってなったら､ファンの人達はどう思うだろう｡
メンバーの皆はどんな反応するかな｡才加や佐江なんて､絶対に止めてくるだろうな｡っていうか止めてくれると信じてる｡
にゃんにゃんは止めてくれるかな｡どうだろう｡きっと「えーどしてー」とかいつもの調子で言うくらいなんじゃないかな｡
あっちゃんは張り合い無くしてくれるかなー｡一緒にAKB48を支えるメンバーとして､友達として､ライバルとして｡
あいつらは……必死に止めてくれたら嬉しい｡3人とも泣き虫だから､顔ボロボロにしちゃったりしてね｡
私はあいつらの前で言ったんだ｡「由依を絶対に守るぞ」って｡これが私なりの守り方だ｡
他に何も思いつかない｡正直言って､30万という壁はそれだけ大きいと思ってるんだよね､心の奥で｡
……って､何で辞める前提で考えてんだか｡別にまだそうときまった訳じゃないんだからなー｡

「この話は他に誰か話したかね」
「たかみなに」

　催涙雨の話をしたあのバルコニーで､たかみなに卒業のことを相談した｡
止めるでもなく同意するでもなく､ただ話を聞いてくれた｡途中で雨が降ってきて､部屋に移動してからも話して､ずっと聞いてくれてた｡
たかみなの立場だからな｡どっちにしても私か由依が卒業って言う話だから､何も言えなかったっていうのもあるだろう｡
たかみなにとって残酷な相談だと思う｡それだけ､卒業に敏感なあいつだから｡でも相談するならたかみなしかいない｡

「たかみなだけには話しました」
「そうか｡ならそれ以上は誰にも話さないことだ｡スタッフにもな」
「えっ､それって」
「戸賀崎君も良いかい？」
「……はい」

　戸賀崎さんは､一つ頷く｡

「発表は優子､君のタイミングに任せる」
「ありがとうございます！」
「まったく……出来ることなら公演後にでもゆっくり話したいところだ」

　秋元さんはそう言いながら､深く息を吐いた｡
そんな姿は滅多に見れない｡いつも堂々としてる秋元さんが溜息吐くなんてね｡
そこで優子さん､思ったわけですよ｡言い負かしたと｡秋元さんに勝てたとね……！

「それは出来ないんですよ」
「何か予定があるのかい？」
「えぇ､だって今日はきたりえの誕生パーティーですからね」

　全力で祝ってやらなくちゃ｡年に1度の誕生日だしな｡
共同生活の間の誕生日は1回しかないから､皆でパーティーをやるんだ｡
にゃんにゃんの時は皆仕事で忙しかったりしてちゃんとできなかったし､その分も含めて思いっきし騒ぐぞー！
皆で思い出を1つでも多く作って､いい企画だったなって思えるぐらい楽しもう｡楽しみながら雨降りの6月を締めくくる｡
そして皆との絆を深めていこう｡絆を歌うために｡

うーん　面白い

乙です！

優子△
でも、辞めるなんて言わないで(/ _ ; )

優子さんすごい！！！

いや作者さんがすごいのか！
泉のようにストーリーが湧いてでるようです。

今後の展開が楽しみ・・・というより怖い！！！！



現実はガキタレのためになりふり構わない某事務所にうんざりしていたところ。

一服の清涼剤に心が洗われます。

話の作り方うまいな〜
マジ面白いです！

>>332
そういうことはあんまりやめようぜ
気持ちはめっちゃわかるけど(笑)

コメントありがとうございます(ΘωΘ*)

>>295-298
お答えしますとうなブロの方ですｗ

優子さん、勝負するなー。作者さん、できればもう少しスローな展開を。先も読みたいが終わってほしくないので。

>>334
ありがとう！！
こっちが大人気なかったね(笑)

スロウな感じでアゲ

コリス卆業かえ　ばんざーい！
坊主の時みたいに反故にされませんように。

回収されてない伏線はどうなっているんだぁぁ
ゆきりんが全力で拒否ったのとか諸々種明かししてくれないと気になって眠れない！

なんかすごい事になってる！
でも優子ならいいかねない。

冷静に、誰が作曲するのか気になる

あげ

あげ

あげー

ありよしーあげ

良い展開ですね、素晴らしい
いつまで経っても>>339みたいな莫迦がいるのは噴飯ものですが

夜中にあげ

２４-1

　さっしーもきたりえも､この歳になって喧嘩なんてまだまだ子供だね｡
まぁ順位とかそういうのは気にしちゃうのもわかるけど､私みたいにちゃんと自分を理解して無くちゃダメだって｡
なんてまだ二十歳にもなってないのに達観しちゃった峯岸みなみさんでございますよ｡
　ついに共同生活も3ヶ月を過ぎて7月になった｡ニュースで梅雨も終わったと言っていて､夏本番｡
日中はギラギラと太陽が輝き続けて､暑いにも程があるぐらい暑すぎて暑いんだよ馬鹿やろーっ!!
暑さのせいで寝苦しくて､ベッドの上で何度も寝返りを打つ｡部屋にはエアコンもあるんだけど､点けっぱなしってわけにもいかない｡
バラエティー班と言われてるけど､これでも私はアイドルだからね｡そしてAKB48の初期メンだから､プロ意識はあるんだよ｡
特に喋るのは私の十八番だからさ､エアコン点けっぱなしで喉を壊しでもしたら､そりゃーもう大問題な訳よ！

「でも暑いっ!!」

　この暑さには耐えられない｡いくら7月だからって､夜まで暑くなること無いじゃんかよ！こんな時間に目覚めさせやがって夏の奴！
3時だぞ､3時！明日も朝早いって言うのに全く！とまぁ､イライラしたってしょうがない｡寝汗を掻いたせいで喉が渇いたし､何か飲もう｡
　廊下に出ると､階段の手前あたりににゃーちゃんを見つけた｡やっぱり猫でも暑いのか身体を伸ばして寝苦しそう｡
両手で口元を覆って､にゃーちゃんの傍を駆け抜ける｡猫アレルギーだけが共同生活唯一の弱点｡
まぁまぁ､これはね､たかみなのためだから我慢しないと……､ってにゃーちゃんがここにいるってことはたかみなは部屋に戻ってない｡
あー､また戻ってないのか｡何度言わせれば気が済むんだか｡もう3時だっつーのにたかみなは……！

「たかみなっ！」
「うおっ､ビックリしたー……」

　ダイニングの電気がこんな時間なのに点いていた｡
たまにこれぐらいの時間に起きるとあるんだよね｡リビングは真っ暗なのに､ダイニングは明るい｡
ダイニングテーブルに向かってたかみなが座って1人作詞を進めている｡寝巻き姿なのに､寝る気があるんだか｡
いつものポニーテールは下ろして､シュシュで1つにまとめてる｡ピンク色の甚平を着て､夏先取りって感じ｡
こんな時間なのに全く眠そうじゃなくて､むしろ目をパッチリさせて､さっき起きたんじゃないかと思ってしまう｡
でもたかみなのことだ｡絶対に昨日の夜から起きたままだ｡断言できる｡だってたかみなだもん｡

「またこんな時間まで起きてる！身体壊すよ！」
「あー､ごめんごめん」
「ごめんは1回！」
「はい……」

　作詞を進めたい気持ちはわかる｡ちゃんとやらなくちゃたかみなが卒業しちゃうんだもんね｡
でも寝る間を惜しむのはさすがにどうかと思う｡総選挙終わってから働き詰めなんだからさ｡
最近は移動の車の中でも寝てる姿を見ない｡控え室なんかではさすがに転寝してるんだけどね｡
たかみなのことだから､いつか体調崩しちゃうんじゃないかって､私は心から心配してるんだよ｡

「だからちゃんと寝ておくれ」
「ごめん､でもやりはじめたら止まんなくてさ」
「どれ､見せてちょ」

　たかみな's作詞ノート2。手の込んだポップみたいにしっかりと表紙に描かれたタイトル｡
やらなくてもいいところまで気合を入れて張り切る｡実にたかみならしいなぁ｡1の方は目を通したけど､2はまだだっけ｡
っていうか作詞ってノート何冊も使うほど書くのかな……｡一応私もまとめてるけどさ､1冊の半分にもいかないんだけど｡

今回も面白いです

深夜なのにありがとうございます！寝る前に読めてよかったです♪

あげ

ノイエの曲流しながら出張で見られなかった部分みてたら
りのりえパート読んでる時に「味方」が流れてて、怖いくらい歌詞とシンクロしすぎて泣いちゃったよage

あげ

あげw(ﾟoﾟ)w

おもしろいです。
あげ！

たかみなは優子に相談されたこと誰にも言わずにだまっておくのかな
優子の卒業たかみながどう考えてるのかも知りたいあげ

あげあげ

(´∀｀∩)↑age↑

（・o・）ノ夕飯前あげ♪

"未知の未来へ続く道 道標を探せ 必ず見つかるよ"
"色褪せぬ夢を心の種に いつか綺麗な花が咲くように"
"諦めちゃいけない くじけるにはまだ早い"

「努力は必ず報われるっと！」
「うおぉい！急になんだよ！」

　いや､たかみなの歌詞読んでたら言いたくなった｡
第3回総選挙以来のたかみなの代名詞｡名台詞｡いやー､今でも脳内再生余裕ですよ｡
世間でもなかなかの評判だよね､うん｡私も良いと思う｡カッコいいし､インパクトは大だもん｡
有吉さんじゃなくても話題にしちゃう｡ラジオでも散々ネタになってるし､すげーや､たかみな｡

「たかみならしい歌詞だね」
「何かありきたりじゃない？」
「そうかな､良いとおもうけど」
「どれも納得いかんのよねー｡聴いたことのある曲の真似っ子っていうか」

　そう言いながら､たかみなは頬杖をつきながらペン回しを始めた｡器用にくるくる回す｡
たかみなってこんなこと出来たっけな｡でも､3ヶ月もペン持ってれば出来ても可笑しくないかもな｡
ペンがピタリと止まった瞬間にその指を見ると､大きなペンだこが出来ていた｡中指の一部が大きく膨れてる｡自分の指を見ても､そんなのは無い｡
せいぜい逆向けぐらいだ｡自分ながらに､綺麗な手してるなぁ……｡私ももっと頑張らないといけない｡たかみな自身がこんなに頑張ってるのに､私は何やってんだか｡
　でも､自分の夢も定かじゃない｡たかみなは歌手｡陽菜は芸能界｡
優子ときたりえは女優だし､さっしーはタレントさんで､由依もやっぱり歌手｡私は……はっきりしてない｡やりたいことは沢山ある｡
AKB48でも､芸能界でも､プライベートでも､ノースリーブスでも｡けれど､改めて考えても漠然としすぎててどうして良いものやら｡

「良いじゃん､こんなに書けるんなら……」
「んー？でもみぃちゃんも書いてるんやろ」
「私なんて､いくら書いても中身が無いんだからさ」

　夢のわからない私に､夢の詞なんて書けるわけがない｡どうしたって嘘しか書けない｡書くことが出来ない｡

「みぃちゃん､何か悩んでるの？話聞くよ？」
「え……」

　あー､またやっちゃった！ネガティ部は出さないように気をつけてたんだけどな｡
いちいちこうやってネガティブになって､りのりえのことを子供呼ばわりしてられないんじゃ……｡
いやいや､私は大人だ！何と言ってもこの世界での経験はあいつらより全然多いんだから！
そりゃ芸能界の経験が全てじゃないけどさ､人付き合いだって芸暦だって勝ってるんだぜ！
っていうかたかみなに早く寝るように注意しようと思ったのに､いつまでもこんなことしてる場合じゃないんだよ！

「私のことは良いから早く寝るよ！はい､ペン片付けて！」
「いや､ちょっ！何かあるんじゃないの!?」
「私のことは良いんだよ｡早く寝るぞっ!!」
「もうちょっとだけ……」
「だめ！夏風邪引くぞ!!」

　結局､たかみなはちゃんと寝たみたい｡まぁ3時間程度だけど｡
でも全然寝ないよりはずっとマシだよね｡今日1日､たかみなはいつも通りの元気さだった｡
いつも働いてばかりいるけど､そこまで身体強いわけでもないんだからさ､あんまり無理して欲しくないわけよ｡
たかみなの代わりはAKB48にはいないんだもんね｡もしたかみなが倒れたりしたら……一体どうなることやら｡

「だから大丈夫だってばー｡ちゃんと身体のことも考えてるし
「キャプテンがそんなこと言っていいのか!?」
「そ､それは……」

　ノースリーブスでのお仕事終わり｡雑誌の撮影は久しぶりだからちょっと緊張した｡
朝からずっと撮影で､まぁ言ってもほとんど移動時間だったんだけどさ､やっぱり疲れる｡移動の時間って寝れるって言っても座りっぱなしだもん｡
身体が硬くなっちまうわ｡だからこそストレッチは欠かせないね｡今日は海に来たんだけどさ､浜辺でのストレッチもなかなか良いじゃない｡
　総選挙前のシングルは毎年恒例の水着での撮影だったけど､撮影は3月だったからね｡久々の海だった｡

「泳げれば良かったんだけどねー」
「撮影じゃしょうがないっしょ｡それにたかみなはいつも通りの子供水着だろ」
「うっさいわー！私だってなぁ」
「はいはい｡っていうか陽菜は？」

　日が沈み出して､綺麗なオレンジ色の光が海辺に広がっている｡東側の空は濃く暗くなりだしていて､一番星を見つけたくなるな｡
スタッフさんが機材を片付ている間､たかみなと一緒に夕暮れの砂浜を堪能してたんだけど､そう言えば陽菜がいない｡
さっきまで一緒に撮影してたんだけどな｡ちょっと目を離した好きに姿を消してしまった｡いつもなら一緒に騒いでるはずなんだけど｡
ノースリーブスの長女は何をやってるんだか｡3人でブログ用の写真撮ろうと思ったのになー｡

「んー……」
「どしたー､たかみな」
「にゃんにゃんを探そう」
「おー！っ言ってもさ､探すとこなんてロケバスぐらいだよ」

　2人して､ロケバスの方に振り返る｡
更衣室に使わせてもらった近くのホテルからはもう引き払ってるし､近くに海の家とかあるわけでも無し｡
っていうかこんなに暑いって言うのに海水浴客が全くいないな｡穴場って奴？沖の方じゃサーフィンやってる人もいるけど｡
まさか陽菜がサーフィンやってるわけないし､思いつくのはロケバスだけだよね｡

「くちゅんっ」

　ロケバスに向かう途中､たかみながくしゃみをした｡

「あー､ほらほらほらー！遅くまで起きてるから風邪引いたー！」
「違うよー……､ちょっと海風が」
「いいからちゃんと夜は寝ろっ！」
「むーっ……」

　たかみなに説教しながら､ロケバスに乗り込む｡
スタッフさんが何人か打ち合わせをしている横を通り抜けて､私達が座っている後部座席へと向かうと､陽菜をそこに見つけた｡
後ろから2列目に､背の高い陽菜の頭が見えていた｡窓際に寄りかかるように､赤い顔して……｡

「ちょっ､陽菜!!」
「うぅー……たかみなー､みぃちゃーん……」
「にゃんにゃんっ､大丈夫!?」
「……ダメー」
「お前が風邪引くんかーいっ!!」

>>362
そうきたかw

さっしーが寝ずに看病だなｗ

>>364
このスレ的にはさっしーだなwそんで優子とたかみながヤキモキすると
てかこのスレでは優子とにゃんはあんま仲良くない設定？身体目当てみたいな

まさかの小嶋さんが風邪w
たかみなもあんま無理すんなよーあげ

>>365
確かにあんま絡みないけど身体目当ててw

(;бвб)＜……ダメー

('A`;)＜にゃんにゃん！
(ΘωΘ;)<＜はるな〜！

陽菜ダウンかー
だけどあげ

２４-2

　夏風邪を引いた｡何かねー､朝からフラフラするとは思ってたんだけどさ｡
頭もちょっと痛かったし､食欲もなかったし｡けどまさか自分が風邪を引いてるだなんて思いもしなかった｡
身体の丈夫さは結構自信があったのになー｡そりゃ､麻里ちゃんほどとまでは言わないよ｡麻里ちゃんは鉄人だもん｡
さすがに麻里ちゃんぐらいの忙しさだったら､風邪よりも先に疲れて倒れちゃう｡まぁ夏風邪の原因も､お医者さんは疲れじゃないかって言ってた｡

「あぁー……」

　唸ってみても､見えるのは自分の部屋の天井だけ｡部屋には私以外誰もいない｡
っていうか家の中には誰もいない｡私以外にいると言ったら､うさぎちゃんとみみちゃんとにゃーちゃんだけ｡
こんな真昼間に､オフでもないのに家にいるわけないよね｡皆忙しいんだもん｡看病がなくてもしょうがない｡
重い身体を起こして､枕元のペットボトルを手に取る｡清涼飲料水が半分ぐらい中で凍ってる｡蓋を開けて､溶けた水分を口にする｡

「ちめたい……」

　たかみな達が昨日の夜中に用意してくれた冷凍ペットボトル｡
他にも冷却用のジェルシート､氷枕､お薬､お腹が空いたとき用にとフルーツゼリーとかヨーグルト｡
帰りが遅かったのに､助かっちゃうなー……｡でもやっぱり身体がダルすぎて飲み物飲むのも一苦労｡
　昨日のお仕事中も､何か身体が熱いなーとは思ってたんだけど､日差しのせいだと思ってたんだ｡
あれだけ暑かったし､夏だったし､海辺だったしさー｡そのせいだと思ってたんだけど､ロケバスに戻ってビックリしちゃった｡
冷房が効いてるはずなのに無茶苦茶暑いんだもん｡最初はバスのエアコン壊れちゃったのかと思ったけど､そうじゃなかったみたい｡
席に座った瞬間に､もうビックリするぐらいの頭痛と目眩に襲われちゃって､そのまま2人に見つけてもらうまで､死ぬかと思ってた｡
見つけてもらえてよかったー……｡風邪なんか滅多に引かないから､自分でも気付くの遅かったー……｡
　モーローとする意識の中で､ガチャッっていうドアが開く音を聞いた｡あれー､こんな時間に誰だろー……｡
まだ皆お仕事中のはずなんだけど､おかしいなー｡壁掛け時計を見ると､午後1時前｡変だなー｡
ノイエの4人は遠征中だし､たかみなもみぃちゃんも私の穴を埋めるために忙しく仕事中のはず……｡

「泥棒……？」

　けどセキュリティはばっちしの筈なんだけど｡おかしいなー｡それとも空耳ー？
見知らぬ人ならうさぎちゃんもみみちゃんも威嚇して吠える……のかなぁ｡そういうところ見たことないし｡
にゃーちゃん相手でも吠えることなんてないもんね｡警備犬には向いてないな｡誰に似たんだかー｡
そう言えば由依ちゃんが「さすがペットは飼い主に似ますねー」なんて言ってたけど､そんなに似てるかな｡
さすがの私でも､何か怪しいなーって思えば吠えるぐらいするよ｡

「にゃんにゃーん？」
「えー……？」

　階段を上って､廊下を進む｡そんな足音が聞こえてくる｡
誰の声だっけな｡よく思い出せないけど､よく聞く声なのはわかる｡うーんと……｡
何て考えてる間に､部屋のドアが開いた｡首を動かすと､身体中の間接が軋むように痛んだ｡

「やっほー､生きてるかーい？」
「あ､あっちゃん……？」

　いつも見るボブカットを1つにまとめて､サングラスを頭に乗せたチームのエース｡
お見舞いに来てくれたのか何かビニール袋も提げている｡寝込む私と目が合って､にやりと笑う｡
嬉しそうな楽しそうな､無邪気なバージョンのあっちゃんの顔だ｡基本私をディスる時もこの顔｡
あ､そうそう｡ディスるのディスって､ディスティニーのディスじゃなかったんだね｡この前きたりえに教えてもらった｡

「うわー､本当にダウンしてるー！」

まさかのあっちゃんｷﾀ━(ﾟ∀ﾟ)━!

　いや､そりゃ本気だよ……｡仮病なんか使ってないやい｡
身体中熱いし頭重いし関節痛いしダルいしさ､もう耐えられないよ……｡死む……｡
それにしてもダウンしてる私を見るあっちゃんってば､本当に楽しそうだなー｡なんて笑顔だろう｡
満面の笑みってこういう顔なんだろうなー｡写真に撮ってつぶやきたいぐらいだよ｡

「大丈夫ー？辛くない？」
「汗が気持ち悪い……」
「っていうか部屋あっつ！ちょっと待ってて」

　あっちゃんは荷物を部屋の隅に置きながら､キョロキョロと周りを見回す｡
エアコンのリモコンを見つけて､すぐに手に取った｡エアコンは点けたままだけど､設定温度高めだったかな……｡
そのまま一旦部屋を出て行った｡何かいつもよりテキパキしてる｡あっちゃんって思ってるより家庭的だよね｡
何処に言ったのかと思えば､隣の部屋で物音が聞こえる｡そっちの部屋は……たかみなの部屋だ｡

「部屋暑いといつになっても熱下がらないよ」

　戻ってきたあっちゃんは手に卓上扇風機とタオルを持っていた｡
扇風機をベッドの横のテーブルに乗せて､コンセントに差して電源を点けた｡
エアコンの吐き出す涼風をかき回すように､冷たい風がやってくる｡あー……気持ちいい｡

「身体起こせる？苦しくない？」

　自分のバッグからマスクを取り出し､口元を覆いながらあっちゃんが聞いてくる｡苦しいかどうかで言えば､もちろん苦しい｡

「苦しいです……」
「はいはい､ちょっと辛いかもしれないけど」

　あっちゃんに支えられながら､上半身だけ起こしてもらう｡昨日の夜からずっと寝てて､汗びっしょり｡
いや､夜からずっと同じもの着てる訳じゃないよ｡朝一回､たかみなに着替えさせてもらった｡
けど午前中でまたこんな｡布団のシーツも湿ってて何か嫌な感じ｡何て思ってると着ていたシャツをあっちゃんに剥がされた｡
うおー……びっくりー……｡こんなに大胆な人だっけ｡……結構大胆か｡たかみなの部屋から持ってきたタオルで身体を拭いてくれる｡

「何であっちゃん……？」
「たかみなに頼まれたんだよ｡私､今日はオフだからさ」
「鍵は？」
「たかみなが仕事の昼休憩に持ってきたよ｡もう､午後から出かけようと思ってたのにさ」
「ごめんね……」
「まぁ良いってことよ」

(*бвб)＜あっちゃん……

初期メンの絆ナイスすぎる！
いつも素晴らしい小説をありがとうございます。
では、おやすみなさっしー(´□｀)

いい意味で期待を裏切ってくれる作者さんNice!

ほんと毎度楽しみだわー

リアルのあっちゃんとこじはるの関係性って面白いよね
それがこれにもうまくあらわれてると思う！

作者さんありがとうあげ！

にゃんにゃんが、今、本当に倒れているんじゃないかと錯覚ｗ

あげw(ﾟoﾟ)w

　そのまま汗を拭いてくれて､着替えさせてくれて､ついでに湿ったシーツの上にはタオルケットを敷いてくれた｡
思いの外丁寧にやってくれて､本当に助かっちゃう｡あっちゃんにもたかみなにも本当に感謝だよ｡
身体拭いてもらってる間に携帯電話の確認したら､メールが結構来てた｡

fromゆいちゃん
　具合はどうですか？早く元気になってくださいね(・o・)ﾉ
fromまりちゃん
　にゃろーーーーーーーーーーーーー!!
fromじゅりなちゃん
　にゃんにゃんが倒れたって聞いてすぐメールしました！
　治ったらまたお出かけしましょう(^з^)-☆Chu!!
fromともちん
　がんばれー(･ω･*
fromまりちゃん
　心配だよーーーーーーーーーーー!!!!
fromみぃちゃん
　今日は早く帰るからそれまで耐えてくれぃ！！
fromきたりえ
　出来ることなら1日看病したいです(>_<)
　夜には帰るので頑張ってください！お大事に∈(°◎°)∋
fromたかみな
　敦子が家行く
fromさっしー
　こじはるさん、お仕事先で面白い看板見つけました。
　添付しておくので見て笑ってください！ｱｲﾗﾋﾞｭｯｯ!!!
fromすーめろ
　こじまさん、はやくよくなってください(((бвб)))
fromゆうこ
　今宵寝込み襲わせていただきます　k-20
fromなっちゃん
　にゃんにゃん大丈夫??とっても心配してるよ！
　ちゃんと眠って風邪なんて吹っ飛ばせー(｀・ω・´)
fromまりちゃん
　篠田印の特性蜂蜜レモン持っていくね(*｀ω´)!!!!
fromまゆゆ
　はやくよくなってちょ(^ω^)

　結構皆メールくれてるんだなー｡スマートフォンってこういうとき確認しやすくて便利｡
さすがにツイッターの方の確認は出来ないけど､皆からのメールが嬉しいな｡麻里ちゃん､勢いでやってきそう｡
こういう皆からのメッセージ見ると､ホッとしちゃう｡苦しくてボーっとするけど､安心しちゃうよ｡
　あっちゃんにヨーグルトをあーんって食べさせてもらって､また横になる｡
何だろう｡気持ち的に随分楽になった｡誰かがこうして傍にいてくれるっていいな……｡
１人だと､不安で寝るに寝れないもんね｡んー……､1人の時って不安なのか｡今まではそんなこと意識しなかったな｡
あぁいう気持ちが淋しいってものなんだろうな｡いつもは騒がしい広い家の中に１人だったもんね｡そっか｡
熱くて暑くて､でも風は涼しいし嫌な気分も無くなった｡そばにはあっちゃんがいてくれる｡何だか､瞼が重いな……｡

たかみなのあっさんへの信頼感が凄いね

たかみなのメールおかんみたい（笑）

傑作。ニヤニヤが止めらない。

詳しい人にちょっと聞きたいんだが、
じゅりなって、こじはるのことををにゃんにゃんて呼ぶの？
ske詳しくないんで、教えてくださえ

ぐぐったが、じゅりなのにゃんにゃん写真しかみつからん。さしこの影響すげえ

今はにゃんにゃんだよ
ブログとかもそう書いてる

優子のｋ-20ってどういう意味？

>>384
ありがトン
あげ

たかみな調子悪いんだから調子のってんじゃねえぞ
が再現されるかとおもいきや
にゃんさんが調子崩すとわ

　パッと目を開けると､いつの間にか何時間かが過ぎていた｡
安心して眠っちゃってた……｡また少し汗を掻いてる｡でもさっきほどじゃない｡
あっちゃんはまだ部屋にいた｡ベッドの横に腰掛けて､クッションを抱きしめながら本を読んでる｡

「あっちゃんって本読むんだ……」
「ん､やっと起きたぁ」

　マスクをしたままの顔で振り返る｡まさかこれで風邪うつしちゃったら悪いなー｡
私も忙しいけどさ､それ以上にあっちゃんの方が忙しいんだから｡あっちゃんが倒れたらそれこそ一大事だ｡
私よりも3つも年下｡私と同じくらいマイペース｡まぁマイペースの部類が違うんだけどさ｡
この6年半余り､ずっと一緒にいても知らないことはある｡見たことの無い1面もある｡

「私だって読むよー｡にゃんにゃんと違うんだから」
「むー､それどういう意味ー」
「そのままの意味だよ｡気分はどう？」

　ちょっと落ち着いた｡頭痛はあるけど､でも意識ははっきりしてるって言うか｡
幾分さっきよりも楽｡枕もとの体温計を手にとって､シャツの下に入れて脇に挟む｡
　あっちゃんの様子を見るに､ずっと傍にいてくれたみたい｡いつもは色々言ってくるのにな｡
っていうか折角の休日に本当に悪いことしちゃった｡たまの休みで､お出かけ大好きなあっちゃん｡
私が風邪なんて引いちゃったから､お出かけも出来なくて､しっかり休むことも出来なくて､迷惑かけちゃった｡

「迷惑ではないよ」
「でもお出かけはしたかったでしょ……？」
「そりゃね｡でもまぁ､にゃんにゃんが1人で辛いなら来て上げなくちゃ｡たかみなにも頼まれたし」

　そういうあっちゃんの目が笑顔の目になった｡マスクで口元が隠れてるから､表情はよく分からないけど､でも笑ってる｡
嬉しいなぁ｡辛いことも沢山あるだろうにな｡こうやって楽しそうに笑うあっちゃんをみると､やっぱり安心する｡
小さな肩に細い腕｡ずっとAKB48を引っ張ってきてくれた｡本当は私ももっとしっかりしなくちゃいけないのに｡
リーダーシップを発揮するとか､本気出すとか､いつも口から出任せ｡行き当たりばったりなことばかり｡
麻里ちゃんに継いで､AKB48の中じゃ上から2番目なのに､あっちゃんやたかみなにばっかり責任を負わせてる気がする｡

「共同生活が始まってからもさ､しっかりしようって決めたんだ｡お母さんっぽく皆を見守るって決めたはずなんだけどなー」
「にゃんにゃん､悩んでんの？」
「え？」
「だってそれって悩んでるってことじゃないの？」

　えー？これって悩んでるってことかなー｡ちょっと気にはなるけど､うーん……｡
私が悩むって言うのも変な話だな｡でも……悩む必要はあるのかな｡考えなくちゃ｡

　作詞のこと｡ノースリーブスのこと｡たかみなのこと｡それにAKB48のこと｡もしたかみながいなくなったら､AKB48はどうなっちゃうんだろ｡
コンサートは誰がまとめるのかな｡あっちゃんは支えをなくしちゃうし､チームAなんて皆我が強いから､まとまるにまとまれなさそう｡
もしも､もしも仮にたかみながいなくなった時のことも､私なりに考えなくちゃ｡そんなことは万が一にも無いんだけどさ｡
そういうビジョンが見えない｡夢にも見ない｡たかみなは､AKB48にいなくちゃいけない｡だけど､そうなってしまったら……私はしっかり出来るのかな｡
年上なのに､ずっとみぃちゃんと一緒になってたかみなに甘えてきた｡たかみなはまだ21歳だっていうのに､年上の私よりずっとしっかりしてるもん｡
……その内私もAKB48を卒業する時がやってくる｡そうなってしまった時には1人で頑張らなくちゃいけない｡甘えることは出来ないんだ｡

「たかみなの前じゃ､なかなか卒業の話なんて出来ないもんね」
「そういうの一番嫌うもんなー｡麻里子のことも､結構気にしてるみたいだし」
「麻里ちゃんも本当の気持ちは教えてくれないもんね」

　まるでいつ爆発するかわからない時限爆弾みたい｡
麻里ちゃんはいつも周りに無茶振りして､ヒヤヒヤさせてる｡そんな麻里ちゃんもいつ卒業するかわからない｡
今日いきなりってこともあるかもしれない｡共同生活でだって､たかみなと由依ちゃんの卒業は出来る限り話題に出さないようにしてる｡
皆話題にはしたくないんだよね｡もしも本当にそうなってしまった時の想像なんてしたくないから｡皆一緒にいる夢を見てるから｡

「にゃんにゃんも悩むんだねー｡病は気からって言うし｡あ､逆か」
「あっちゃーん､喉渇いたー……」
「はいはい｡晩御飯何がいい？おかゆ？おじや？それともうどん？」
「えんがわー……」
「鍋焼きうどんね､わかった」
「うにゃー……」
「じゃあ御飯作ってるから､ゆっくり寝てな」
「冷蔵庫の中､何かあったかなー」
「にゃんにゃん寝てる間に買ってきてあるよ｡何かあったら呼んで」

　さすがあっちゃん｡隙が無いなー｡こんなに可愛くて家事も出来るなんて､お嫁さんになってくれないかなー｡
そのまま下に行って､30分弱ぐらいですぐに戻ってきた｡作るの早いなー｡お鍋を乗せたお盆を持ってる｡
重い身体に力を入れて､何とか起き上がる｡ベッドを降りて､テーブルに向かうと､あっちゃんがお鍋の蓋を開けてくれた｡

「おー､美味しそー」

　グツグツいってる鍋焼きうどんには具材が一杯｡茸､鶏肉､ホウレン草に白菜､真ん中には半熟の卵がプカッと浮いている｡
カツオのお出汁かな｡香りを嗅いだ瞬間に､お腹がグーッと鳴いてしまった｡うぅっ､恥ずかしい｡
でもねー､本当に美味しそうなんだよ｡あっちゃんの手作りうどんが食べれるなんて､風邪引いてよかったのかもしれないなー｡

「お店で出てきそー」
「だろー､自信作だぜ！しっかり食えよー！」

えっ！
優子？

ホント面白い

あっちゃん優し過ぎてニヤけてしまったｗ

篠田さんの勢いのあるメール×3にわろたアゲ

それにしで鍋美味しそうでお腹がなったわ

たかみなの簡潔メールは男やろw

上手くメンバーの特長とらえているな〜
書き手さんすごいです！

メンバーのメールもリアリティーあるし。クォリティたかいから、大きな事件とかなくても、ほんとおもしろい。

JCあげ

保守

まちがえた
あげ

みんなからのメールわろたあげ

ほしゅ

麻里子様のメール転送してほしいあげ

（・o・）ノ昼飯あげ♪

age

あげ

２４-3

「ごめんな､敦子｡恩に着るよー」
「別にー｡どうせ暇だったし」

　敦子はアイスコーヒーを飲みながらプイッとそっぽを向く｡
私の前ではいつだってツン状態｡でもデレ状態も何度か見たことあるし､最低でも私のことは嫌いじゃないんだろう｡
にゃんにゃんの様子を見に行くと､熱は幾分か下がって調子を取り戻したみたい｡顔色も良くなってた｡
敦子が色々とお世話してくれたらしい｡いいなぁー､私も敦子の作ったうどん食べたかったー｡

「正直夏に鍋焼きうどんは熱いけどね」
「じゃー何で食べさせたんだよ！」

　嫌がらせか何かか！不敵な笑みを浮かべる敦子｡敦子もこれでいたずら好きだからな｡
はっ！まさか敦子､日頃からにゃんにゃんをディスってるのは何か理由があるからか!?いやいや､もともと仲は良いはず｡
そんなことをするわけない｡ただの気まぐれ｡ただのいたずら｡っていうか優しくしてくれて本当に良かった｡

「その優しさ､私にも分けて……」
「たかみなが倒れたらな」
「敦子のうどん……」
「たかみなも食べたいなら作るよ」
「食べる！」
「しょうがねぇなぁ」

　敦子はご機嫌な風にキッチンに向かっていった｡しっかりとマスクで防備してたみたいだけど､風邪うつってないだろうな｡
もしも敦子まで倒れたらどうしよう｡そんなに強い方じゃないし､何かあったら困るな｡この後のお世話は私が引き受けよう｡
　それにしたって今日も1日疲れたな……｡ノースリーブスのお仕事で､でもにゃんにゃんが倒れたからみぃちゃんと2人だった｡
にゃんにゃんの穴も埋めるように､色々と身体を張る部分もありましたよ､えぇ｡まぁでもにゃんにゃんが早く治るなら構わないか｡
みぃちゃんはそのままK公演の方に向かって､私は取材｡で取材を早めに終わらせて貰って､帰ってきた｡
みぃちゃんも早く帰りたそうにしてたし､公演が終わり次第すぐ帰ってくるだろうな｡もう終わる頃だし

「あ､そうだ｡麻里子様からにゃんにゃんにって預かってきたんだ」
「えー､麻里子も一緒だったの？」
「いや､昼の休憩に乗り込んできた」

　仕事の移動中だったのか､ちょうど私達の昼休憩を見計らってやってきた｡
汗だくに凄い形相で乗り込んできたから､私もみぃちゃんもそりゃ驚いたね｡怖かったもん｡
いつも通りのオシャレな服装に､メイクもばっちりなのに､走ってきたのか息が凄い切れてて､
「これ､にゃろに渡して！急ぐからっ､それじゃ!!」と風呂敷包みのタッパーを置いてすぐに去っていった｡
仕事が忙しいのに､わざわざ渡すためだけに来るなんて､本当にいい人やな｡素晴らしい大人や｡

「あー､蜂蜜レモンじゃん｡美味しそー」
「麻里子様､すげーな｡これは真似できん……」

　麻里子様の元気の源｡お得意の蜂蜜レモン｡たまにお仕事に持ってきてくれて､これがたまらなく美味しいんだよね｡
多分昨日の夜に､にゃんにゃんが倒れたって聞いてすぐ作ってくれたんだろうな｡忙しいのに､寝る間も惜しんで｡
私にもこういう得意なものがあればにゃんにゃんに作って上げられるんだけど､なかなかそういうわけにもいかんねー｡
優子も今朝､仕事に行く前に凄い悔しそうな顔してたな｡余程看病したかったんだろう｡気持ちはわかる｡
きたりえ指原由依の3人に､半ば強引に連れて行かれる優子ってば､子供みたいだったなー｡

「卒業するって言ったら､驚くよな」

　曇り空のバルコニーで優子がそういった時､私は何も言えなかった｡何もリアクションを取れなかった｡
ノーコメント｡ノーリアクション｡優子には驚いたように見えなかったかもしれない｡でも逆だ｡驚きすぎて､何も出来なかったんだ｡
恐れていたことが現実になったのだと､本当に怖くなった｡優子がいなくなるなんて､想像ができない｡

「どういうこと……？」
「私さ､あいつら3人の前で言ったんだよ｡絶対に由依を守るってさ」
「3人って」
「ノイエの3人な」

　ビーチチェアに座って､呑気に笑ってる優子｡卒業を考えてるようには見えない｡
むしろ開き直ったような､達観した笑顔｡諦観の笑み｡優子のそんな顔はあまり見たくない｡

「だから､秋元さんに交渉して由依の卒業を取り下げてもらう」

　そういうことか｡由依を守るために､優子が代わりになろうとそういうわけか｡でも何で優子が代わるんだよ｡
由依にも卒業して欲しくないけど､優子にも卒業して欲しくないのに｡誰に代わっても､私は嫌だ｡
誰の卒業も私は認めたくない｡もちろん自分も……｡それから雨が降ってきて､でも話の続きをしたくて､優子の部屋に移動した｡

「由依を守るためには代わりにぐらいしか出来ないからさ､私」
「でも……秋元先生を説得できるの？」
「するさ｡どうやってもする」

　優子がそう言えば､意地でもそうするんだろうな｡どんな時でも負けず嫌い｡
かつてチームKが発足した頃も､優子を筆頭にしてチームAに対抗心を燃やしてきた｡
今思えばあの競り合いが無かったらAKB48はここまでこれなかったようにも思える｡
私と同じくらい背が低くて､何故か「お前には負けない！」的なことも言われてさ｡そんな頃が懐かしいな｡
いつだってパフォーマンスのことを考えてきた優子は私にとって大きな刺激の1つだった｡すげーなって感心した｡
背が小さければ小さいなりに､こんな見せ方があるんだって､優子を見て学んだ｡私も負けてられないって思った｡

「遅かれ早かれ､いつかはそういう時が来るんだろ」
「優子……」
「いつか来るってわかってるんなら､今だって構わねぇよ」
「でも､由依のためにもっと頑張れば良いんじゃ」
「それでも由依が卒業したら意味ねぇよ｡あいつはまだ世間に名が通ってねぇもん｡それに比べて､AKBじゃあっちゃんと並ぶ人気者で､ドラマにも出演する大女優｡バラエティのレギュラーも持ってて何でも出来る私｡卒業させるならどっちがいいと思う？」

　ケラケラと笑いながら自画自賛する優子｡まぁ良くもここまで自分のことをよく言えるな……｡
呆れつつも感心しちゃう｡こんな時でもエンターティナーの顔を捨てないなんてね｡

「そりゃもちろん私だろ｡由依にはまだ何も無い｡何も無いのにAKBっていう盾まで奪ったら､何も出来なくなる」
「何も無くは無いやろ……」
「ねぇよ｡由依には､もっとAKBで学んで欲しい｡私達が学んできたことをさ｡そのためにも､由依には残ってもらわなきゃ困る」

　優子の言う､優子のNot yetでの決めごとってやつか｡あの3人を成長させること｡
成長させるためなら､自分の卒業を賭けても良い思ってるんだ｡凄いな｡やっぱり真似できそうに無い｡
私はどうしたってAKBに残りたいから､誰かの身代わりってなったら､どう考えるんだろ……｡

「あ､でもこのことは黙っててくれ｡誰にも言わない方向でよろしく」
「え､言わないの？」
「いやー､私としてはさ､もっと満を持してから発表したいって言うかね｡影響力が大きいから何が起きるかわかったもんじゃねぇのよー」

　きっとそんな理由じゃないんだろうな｡こうして軽く笑ってるけど､皆に心配させたくないのだろう｡
きたりえ達3人に心配をかけたくないんだろう｡もし優子が卒業したら､3人ともワンワン泣くんだろうな｡
世間にも波紋を呼ぶだろう｡それだけ優子は影響力を持ってるからね｡ファンの皆さんにも､いわゆるアンチと呼ばれる人達にも｡
けどそんなことは関係ない｡世間にどんな影響が出たって構いやしない｡優子には……卒業して欲しくないよ｡

「たかみなー」
「んー」
「ボーッとしてるとうどんの汁飛ぶよ」
「敦子ー」
「何だよー」
「うどん､美味い」
「当たり前じゃん｡っていうか素直に褒めてくるなんてキモい」
「き､キモいって何だよー」

　優子が卒業の覚悟を決めたように､いつか敦子も卒業を決めるんだろうな｡
敦子も私に卒業の相談を持ちかけてくるかもしれない｡その時､私はどうすれば良いのかな｡
けど私は決めているんだ｡歌手と同じく､1つの夢として｡AKB48のことを見守る｡AKB48の行く末を｡メンバーの行く末を｡
　とは言っても､決意と理想は違う｡同じ夢だけど､現実と思いは違うものなんだ｡誰にも卒業して欲しくない｡
今のままずっと､皆一緒にAKB48の活動を続けていきたい｡皆で一緒に成長して､皆で一緒にAKB48を大きくしていきたい｡
けどそんな世界は理想郷なんだ｡決して叶うことのない夢の世界のユートピア｡

「ねぇ､敦子」
「んー？」
「私とずっと一緒にいてくれ」
「ぶっ!!」

　ちょうどお茶を飲んでたところだったらしく､敦子が思いっきりお茶を吹き出した｡
何だよ､急にどうしたって言うんだ｡そんな面白いギャグなんか言ってないぞ｡

「ば､ばかやろー！何なんだよ､急に！」
「えー？何か変なこといった？」
「変に決まってるだろうが！あー､もう良い！黙って食えよー！」

　何をそんなに慌てる必要があるんだってばよ｡顔真っ赤にしてまでさ｡うーん､女心って奴はよく分からんな｡
私も生物学的には女の子だけどさ､でもこういう反応はわからねぇよ｡それが男っぽいって呼ばれる由縁なのかね｡もっとそういうのも勉強しなくちゃいけないのかな｡
　もっと大人にならないと｡皆に頼られてるって言っても､私は自分を大人だと思えない｡我がままで貪欲で､そんなに頭も良くないし､女心だって理解できないしさ｡
どんどん成長するみぃちゃんやさっしーや由依に負けないようにしないと｡まぁ別に成長に勝ち負けとかは無いんだけどね､それなりに年上として胸張ってたいし｡
個人的にもっと心広くなりたいもん｡理想を追い求めず､もっと現実を見る心を､現実にいる覚悟を持たなくちゃいけないもん｡

あっちゃん｡･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡

プロポーズｗ

あげ

逆に貧乏臭いのをほぼテンプレで書くとこうなる

峯岸「ってか狭くね？」
大島「いいじゃんくっつけて！」
小嶋「優ちゃん変なとこ触んないでー」
高橋「こっちはブスの部屋なのになんで優子がいるんや…」
峯岸「ってかもっといい部屋借りれるだろ、国民的アイドルの人気メンバー達だろ？」
高橋「地方組の３人がルームシェアするなら恵比寿にオススメ物件がありまス☆って言うからや…」
大島「みぃちゃんとにゃんにゃんに挟まれて毎日寝れるなんて幸せだぜー！」
小嶋「えーん、陽菜寝不足になっちゃう〜」

北原「莉乃ちゃんまだー？」.
指原「あと少し！」
横山「もうなんでコントローラー1つしか買わないんですか〜」
指原「…お金なかった！どん」
北原「よし横山バイトしてこーい！」
横山「もうほんま冗談やめてくださいよ〜」

優子の台詞が全部マジすかの優子先輩で再生されるｗ

>>413
面白いが優子姉さん…

あげ

>>４14 そうなんですよ。それがまったく違和感なしに。

ブェナおめ、あげ。

２４-4

「よっしゃー！公演終わったー！素晴らしきかな､K公演！」
「みぃちゃんのMCは今日も切れ切れだったね」
「萌乃のダンスも切れっ切れだったよー！むちゅちゅー！」
「嫌だ､止めてよー」

　AKB48のジャックナイフ｡たまに暴走してしまうチームKの中でもいつも冷静沈着な我らの良心｡
私と同じ歳とは思えないぐらいに考えが大人で､皆からの信頼も厚くて､頼れる後輩だよ｡
今日もチューしたくなる頬っぺたしやがってこのやろー！あー､もう本当に可愛いなぁ､萌ぴー！

「チャラみぃちゃんは止めて」
「本当は嬉しいんだろ､このこのー」
「そんなことは決して無い」

　まぁ無いだろうな｡萌乃ってば､好きな人にはとことんデレデレだから｡
心開いてくれないと攻略は難しいぜ｡しかし未だにあの麻友を何故攻略できたのかがわからねぇ｡
麻友は心開いてくれないよー｡だってこの峯さんや優子にだってチューは許してくれないからね｡
それなのに萌乃ってば､唯一麻友にチューできるからって！自慢はしやがってないけども！

「それよりこじはるさん大丈夫なの？」
「ぬあっ！そうだ､早く帰らないと！」

　K公演が終わって､控え室で私服に着替えながら萌乃に絡む｡
今日も1日お仕事疲れたなー｡ノースリーブスのお仕事で横浜に行って､そこからK公演｡
陽菜1人いないだけで結構段取りは変わるしやることは増えるし､まぁ久しぶりにたかみなと2人だったから楽しいは楽しかったけど｡
陽菜､夏風邪みたいだけど大丈夫かな｡たかみなが頼んであっちゃんが看病に行ってるみたいだし､多分大丈夫なはずなんだけど｡
いやー､まさか陽菜が倒れるなんてね｡神懸った運でいつも体調だけは抜群だと思ってたけど､何か不吉なことの前触れだったりして｡
そんな訳は無い｡ある訳ない｡まぁAKB48も大きくなって､総選挙の後だし､忙しすぎたんだろうな｡

「大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば大丈夫そうじゃないけど､陽菜のことだしもう1日寝れば大丈夫だと思う」
「んー､それって結局大丈夫なの？」
「うん､大丈夫」
「そっか｡さっしー達､どうせ騒いでるんじゃない？」
「どっちかって言えば騒いでたのは優子とたかみなかな」

　あの2人は本当に陽菜のこととなるとてんやわんやだからな｡
昨日も陽菜を連れ帰って早々にあたふたしちゃってさ､もう少し落ち着けないのかよってね｡

「結局由依ときたりえが近くのコンビニに色々買いに行ってくれて､さっしーも色々準備してくれたしね」
「そっかそっか｡あいつらも成長したな」

　あぁ言う時って3人とも案外冷静なのな｡
さっしーとかもっと騒ぐかと思ってたけど､基本的に物事を客観的に見れてる｡
ヘタレだったりネガティブだったり短気だったりするけど､素直に尊敬できる時もあるんだよね｡

　萌乃はきたりえとさっしーと仲が良い｡5期メンで､チームホルモンだったり仁原莉穂だったり｡
最近はなかなか一緒に仕事も出来でないようだけど､一緒の仕事だと楽しそうにしてる｡

「昔っから騒ぐの大好きだったのにな」
「まぁ本質は変わってねぇよ｡日頃は由依と一緒にドタバタしてるもん」
「えー､どうせみぃちゃんも一緒になってるんでしょ？」
「……」
「図星かい」

　いやー､言ってもさっしーと由依と同じ年齢だもん｡
AKB48に入ったのがちょっと早いってだけでさ､同じ時代を生きてきたんだからね｡
楽しいことは楽しいし､騒ぎたい時は騒ぎたいんだよ｡っていうか萌乃が人一倍大人なだけ｡

「いつかまた仁原莉穂でラジオやりたいなー」
「それは萌乃の夢？」
「うーん､夢ってほどのものかなー……｡でも､うん｡夢かも」

　仁原莉穂｡萌乃ときたりえとさっしーとみゃおから一文字ずつとって仁原莉穂｡
AKB48のラジオ､全じゃんの2期パーソナリティーの4人組｡スタッフやリスナーさんからは学級崩壊と呼ばれるほどの滅茶苦茶さ｡
しかし未だに評判が良く､ファンの皆さんにも復活を望まれている……との噂もある｡学級崩壊とは言い得て妙｡
先輩が居らず､4人とも同期で仲が良ければ､まぁ馬鹿騒ぎにもなるだろうな｡今もう一度集まったら､どう変わってるのかは興味あるかも｡

「ラジオじゃなくても､週刊AKBとかの企画で良いから4人で何かしたい」
「ふーん｡また学級崩壊って言われるんじゃね？」
「学級崩壊も､仁原莉穂の魅力だから」

　そう言う萌乃の表情は､やっぱり私よりも大人びてた｡
集まること｡もう1度何かをすること｡夢って､そういう夢でも良いのか｡けどそういうの､私には無いしな……｡
私って､今の現状に結構満足してるのかもしれない｡AKB48も楽しくて､ノースリーブスも楽しくて､共同生活も楽しくて｡
正直に言えばもっと刺激が欲しいっていうのはあるよね｡総選挙やじゃんけん選抜みたいな､そんなすっごい企画｡
そんな理想は持ってるものの現状に満足してる私は､打破する力が無いって自覚してるんだよ｡
総選挙1位でもないし､じゃんけん選抜1位でもないし､神7だか8だかでもないし､センターに立った訳でもない｡
現状の打破が出来るなら､やってみたいかな｡それも1つの夢かも｡でもまぁいいや｡それを考えるのはまた今度で｡

「今度ホルモンパーティーやろうって言ってたよ」
「あー良いな｡やりたいかも｡楽しみにしてるって､伝えといて」
「オッケー｡よし､それじゃ私帰るわ」
「うん､またね」

もえにょおおおおおお

もえの出演あげ

もえにょ出演＆仁原莉穂の復活希望アゲ

>>419
あー、優子は麻友に優子チューしてるよ

確かにほっぺとかにはしてるよね
でもまゆゆが自分から、しかも口にするのって萌乃とらぶたんくらいじゃない？

>>425
なんかのメイキングで口にチューしてたよ
まゆゆからするのはラブたん萌乃しか見たことないね

>>426

いつもはこんな感じだけど
http://ameblo.jp/5io3io/image-11017263278-11481768703.html
http://livedoor.blogimg.jp/akb48_matome/imgs/0/9/09907ae6.jpg

テンション高いときは意外と大胆なまゆゆ
http://mariko-shinoda.up.seesaa.net/image/3-b9563.jpg
http://www.youtube.com/watch?v=dmrg5WborQU

>>427
一番上のまゆいつ見ても笑えるｗ

作者さんに感謝しながらあげ

あげ

仁藤と萌乃て褒めるときには
使えるのかな？
あげぽよサマータイム

あげ

（・o・）ノおやつあげ♪

>>427
マリ風呂のさしこにチューしようとしてるのはらぶたんな

２４-5

「にゃんにゃんにゃーん!!」
「うわぁっ！びっくりしたーっ」

　寝てたら､急に爆音のような音を立てて優子が部屋に飛び込んできた｡ビックリしちゃった｡
あっちゃんのうどん食べてポカポカで､何だかいい感じにウトウトしてたところだったんだけどな｡
飛び込んできた優子は､いつもの冷静さはどこ行く風｡今にも泣き出しそうな顔をしてる｡

「どしたの､優子ー」
「にゃんにゃんにゃんにゃん！にゃんにゃ！にゃにゃにゃにゃーん！」
「いや､優子ちゃん！迷惑だからちょっと下がりましょうか」

　優子についてくるように､きたりえが部屋に入ってきた｡
ベッドの横まで来て､何か猫みたいになっちゃってる優子を抑えてくれた｡
優子はもうね､涙こそ流してはいないものの､流れてれば号泣なんじゃないかってぐらいの凄い顔してる｡
きっとかなり心配してくれてたんだろうな｡朝もずっと「大丈夫かー!?」って心配してくれてたし｡
いつもは皆を引っ張るお姉さんで､私なんかも頼りにしちゃうんだけどさ､でもこういう時は子供なんだよね｡
抱きついてくるし､胸とかお尻とか触ってくるし､変な顔するし､騒ぐし､それに元気だし｡

「私は大丈夫だよ｡ありがとね､優子」
「にゃんにゃん……！にゃんにゃーん！って熱っ！」

　いつも通りに､ベッドに飛び込んでくるように抱きついてきたかと思えば､すぐに離れた｡
あぁそうだった｡私って今風邪引いてるんだっけ｡お腹一杯で眠くて幸せな気持ちだから忘れてた｡
こんなにゆっくり出来るのも久しぶりだからなー｡皆優しくて本当に幸せだし｡

「全然熱いじゃん！大丈夫かー？」
「うん､朝よりはずっと楽だよ｡きたりえもメールありがとね」
「いえ､ご無事で何よりです」

　優子の横に立って､ビシッと敬礼するきたりえは何だか軍人さんっぽい｡
去年､広告キャラクターに起用してもらったゲームみたいだなー｡あのゲーム､私には難しいんだけど結構面白いんだよね｡
記念に貰ったやつをね､この前たかみなときたりえがやってるのを後ろで見てたんだけどさ､見てるだけでも本当に面白かったよー｡
やっぱりゲームって良いよね｡あまりゲームに興味が無いように思われがちだけど､やるの好きなんだ｡

「こじはるさん､お腹は空いてませんか？」
「ううん､大丈夫ー｡さっきあっちゃんがね､うどん作ってくれたんだ」
「いいなー､あっちゃんうどん！っていうかお腹空いたー」
「いや､お前｡仕事中も結構食べてたろ！」
「帰ってくるまでに全て消化しました！こじはるさん､また元気になったら美味しい御飯作ってくださいね」
「うん､頑張って治すねー｡そういえばさっしーと由依ちゃんは？」

　こんな時こそ､優子と一緒になって飛び込んできそうなんだけどな｡
2人なりに気を使ってるとか？優子ときたりえが普通にやってきたのに？ありえない｡

「こじはるさん､今指原のことを呼びましたか」
「横山のことを覚えててくれてありがとうございます」

　ドアがゆっくりと開いて､さっしーと由依ちゃんが現れた｡2人揃って変なポーズしてる｡
さっしーはともかく､由依ちゃんってこういうキャラだったっけ｡確かに楽しいことも好きだし､ノリもいいけど｡
まぁ見てて面白いからいいや｡気にしない気にしない｡っていうか笑顔の由依ちゃんって可愛いなぁ｡

「え､指原も褒めてくださいよ」
「んー､頭痛が……」
「にゃんにゃん具合悪いんだからふざけんじゃねーぞ！」
「あ､どこかで聞いたことある｡優子ちゃんのテンプレ」
「指原さんのことはともかく､こじはるさん､これ作ったんで良かったら飲んでください」

　由依ちゃんが差し出してくれたのはプラスチック製の透明の水差し｡
中に入ってるのは緑茶かな？緑っぽくもあり黄色っぽくもある､そんな液体と氷がゴロゴロと詰まってる｡
うーん､何か喉渇いてきたし一杯飲んでみようかな｡一緒にくれたコップに注いで口に持っていく｡
すっぱいようなそんな香り｡柑橘系のいい香りと､緑茶の独特の匂い｡口に入れると､これがまた……｡

「どうですか？」
「おいしー｡何これー」
「やった！指原と言えば大分｡大分と言えばカボスです」
「それと宇治茶を混ぜて作ったカボスティーです｡美味しいって言ってくれたよかったですよー」

　パンッとハイタッチするさっしーと由依ちゃん｡私の為に2人が作ってくれたんだ｡
嬉しいなー｡本当に美味しい｡カボスって風邪にも効きそうだし､緑茶も何だか落ち着くな｡
でもあまり飲み過ぎないようにしなくちゃね｡眠れなくなっちゃうのもあれだから｡

「にゃんにゃーん､私にも飲ませてー｡間接キッスー！」
「だめですよ､優子ちゃん｡風邪うつったらどうすんですか」
「そうだよー､優子ー｡優子まで倒れたら大変だよー？Not yetのお仕事も出来なくなっちゃうんだから」
「あははー､それもそうだな」

　んー？何だろう｡優子の笑い方に違和感があったような｡
いつもと別に変わらないんだけど､何か変っていうか､何か思うことがありそうな｡他の3人は何も感じなかったのかもしれない｡
ただの私の直感っていうか｡まぁでも､ただの私の勘違いかなー｡マジすかでトリゴヤみたいな役やったけど､あんなこと現実じゃできないもんね｡
出来たとしても､便利かって言ったらそうでもないと思う｡人の気持ちとかわかっても面白くないし､私にはよくわかんないこともあると思うし｡

「あまり長居しても迷惑ですし､北原は下に戻りますね」
「うん､ありがとね｡きたりえ」
「ほら､皆も行くよ」
「えー､戻るんならりっちゃんだけ戻りなよー」
「そうやって莉乃ちゃんは風邪引くんだからっ｡ほら由依も」
「はーい……」

　きたりえに連れて行かれるようにして､さっしーも由依ちゃんも立ち上がって部屋を出て行く｡
気を使ってくれたのか､はたまた単にお腹が空いていただけなのか｡多分お腹空いてたんだろうな｡
まだあっちゃんは下にいるみたいだし､あっちゃんうどんを堪能してもらいたいな｡

「んじゃ､私も行くか｡にゃんにゃん､邪魔したな！」
「ううん｡あのさー､優子ー」
「んー？」

　ドアノブに手をかけながら優子が振り返る｡

「何かあった？」
「何かって？」
「いや､別に何も無いんなら良いんだけどさ｡何か違和感」

　そう言うと優子は一息吐いてからはははと笑った｡
ノブにかけた手を戻し､ドアに寄りかかる優子｡やっぱり何かあったのかな｡

「にゃんにゃんは相変わらずだな」
「何かあるんなら､話聞くよ」

　直感で何かあったことがわかっても､何があったかまではわからない｡そういうのはちゃんと本人が話してくれないと｡
いくら何でもわからないもんね｡ただそれでも､気丈に振舞う優子の表情に少しだけ淋しさも混じってるのがわかる｡
いつも元気な優子だから､気になるって言うか､心配って言うか｡

「ごめん､話したいのは山々なんだけどさ……話せないんだよね｡ちょっと､口止めされてて」
「……相談できる相手はいる？」
「え？」

　たかみなのそばにいると､たまに思う｡たかみなは一人で抱え込むことが多くてとても辛そう｡
私やみぃちゃんが傍にいるのに､何でも一人でやろうとしてさ､クタクタになって､たまに泣いちゃって､馬鹿だなって思う｡
でも本当に辛くなった時はちゃんと話してくれて､私達が聞いてあげると､ちょっと笑うんだ｡子供みたいに｡
優子には笑顔でいて欲しいから､抱え込まずに誰かに話して欲しいな｡そういう相手がいると私は嬉しいな｡
私じゃなくてもいい｡っていうか私が相談に乗れるかって言ったら､そうでもないしね｡

「にゃんにゃんが大人でよかった」
「えー､大人じゃないよー」
「ううん､そう言ってくれるだけで救われるよ｡でも安心してくれ｡ちゃんと相談相手はいるからさ」
「そっか｡それなら良いんだ」

　一人じゃないんなら､それで良い｡苦しい時に一人なのは本当に辛いから｡
うーん､まぁ私はあんまりわからないんだけどさ｡出来るなら皆悩まずに､私みたいに生きれたら良いよね｡

「優子が話す気になったら､いつでもちゃんと話聞くからね」
「あはは､ありがと｡じゃあ､しっかり寝ろよ！」
「うん｡ありがと」

　部屋を出て行く前に､優子は電灯を消してくれた｡ゆっくりとドアが閉まって､廊下からの光も遮られる｡
暗くなって､聞こえるのは下から響く由依ちゃんの笑い声｡楽しそうに笑ってるなー｡私も行きたいけど､風邪をうつしちゃったら大変だ｡
少しでも早く風邪を治そう｡何だか暗くなって､一気に眠くなってきたし……この辺でお休み｡

天然に見えてそうじゃないこじはるさんの本領発揮だな
姐さんといい、お前らカッコ良すぎるぜ

にゃんにゃんさすが！
ほんと大人の対応だね

にゃんにゃん素晴らしすぎる

誤字修正すれば、ちゃんとした読み物として出ても買っちゃうレベルだよなぁ
本当に読み応えあるし展開の起伏もあるから楽しめるね

たかみなと麻里子様が、
こじはるを看病しながら取り合いするところに
優子の、「にゃんにゃん具合悪いんだからふざけんじゃねーぞ」
来ると予想してたが、まさかの下からさしことは。
あげあげ

おー！萌乃キテたーーー！！
最高です作者さんありがとー

あげ

癒されるー

ドラマに出来ると思うんだ、

おーい秋Pー(´Д` )

書籍化されたら買うし、ドラマ化されたら見るし、DVD化されたらそれも買うってくらいのレベル。

ワロタとフレキスもちょっと出てほしいなあ。特にもちくらさんに耳をもてあそばれてる描写をこの作者さんで読んでみたい。

連投すまん。
そういうば、序盤にもちくらさんと一緒に住めるかどうか秋Ｐに聞かれてメンバー困惑した章があったね。
…まあその伏線回収てことになればいいなと妄想してよう。

作者さん無視していいんで、これからも感動させてください。

いつもコメントありがとうございます(*｀ω´)
なかなか更新が進まぬ中とても励みになってます！

>>448
ゆきりんさんについては考えてます(´□｀)
他のメンはまだ未定ですがｗ

>>450さん
いつもお疲れ様です！この小説を読むのが本当に日課になっています(^^♪
更新は今のペースくらいで全然いいと思いますよ！
それに、無理に急いで作って中身がないものになるよりは、
時間がかかっても面白い物のほうがこちらとしても嬉しいですから♪

これからも作者さんのペースで頑張ってください！
楽しみに待ってますね

まゆゆ楽しみにしてますお
がんばてー

小嶋さんの姉御っぷりにあげ！

>>450

コメントありがとうございます。
ついにゆきりんがマンションに入るのか？
誰と絡むのか？
また妄想してます（笑）

ゆきりんが共同生活していたら
苦手な家事を振られて、一言、
「ふざけんなですわ」

危うく保存してたプロローグのテキストファイル消すとこだったｗ
それにしても、ちょくちょく旬のネタ入れてくるあたりうまいなぁ〜

これからもマイペースで投稿がんばってくださいあげ

ほんと作者さんお疲れー！いつも楽しく読ませてもらってます

>>454
いろんなスレで見かけるけどこの「ふざけんなですわ！」って元ネタなんなの？ｗ

>>456
ゆきりんの初レギュラードラマの役のセリフ
ググれば出てくるよん

しえん

あげ

昼さがりあげ

学校帰りあげ

２４-6

「じゃ､また明日ね」
「折角だから泊まっていけばいいのに……」
「着替え持ってきてないし､わんこ達に餌あげないといかないから」
「そっかー……」
「一緒にお風呂入るなら､考えてもいいよ」

　玄関先で､不敵な笑みを浮かべる敦子｡
い､一回誘ったからって調子に乗るなよ！いや､調子に乗せてしまったのは私なんだけどさ｡
しかしやっぱり､私なんかよりも全然ナイスバディーで羨ましいわ｡私もこんな風に生まれたかったな｡
　時刻はもう22時過ぎ｡明日は選抜メンバーでの撮影で確かに朝が早いし､帰るならそろそろ帰ったほうが良い時間｡
でも仕事現場行くならここからの方が近いんだし､着替えなら私が貸しても良いんだけどな｡

「っていうかたまにはうちに来いよ」
「そう言えば最近行ってなかったな」
「うん｡あと､忘れんなよ」
「え？あー､もうそんな時期か」

　7月と言えばの敦子の誕生日がもうすぐだっけ｡今年は特に忙しいし､時間に余裕があるうちにプレゼント買っておかないとな｡
それにしてももう私達も21歳か｡初めて会った頃はまだ10代半ばだったのに､本当にあっという間だな｡
　最近時間が経つのが本当に早いように思える｡SDN48の皆が卒業して､企画が始まったかと思えばもう7月だ｡総選挙も終わった｡
このまま夏のコンサートをやってじゃんけん大会をやったら､年末もすぐにやってくる｡1週間もすぐに過ぎていく｡とは言え､こういう仕事してると曜日感覚なくなってくるんだけどね｡
テレビもあまり見れないし｡唯一曜日感覚感じるのって､ANNに呼んでもらった時ぐらいかな｡それでも何ヶ月に1回とかだしなー｡

「プレゼント､楽しみにしてんぞ」
「えー､何にしよう……」
「良い物選んだら､約束守ってやるよ」
「んー？約束？」
「たかみなとずっと一緒にいてやるつってんだよー」

　ななな､何やー！この男前な感じはー！さっきまで女の子っぽく顔紅くしてたくせに！まさか逆に顔を紅くさせられるなんて思いもしなかったわ！
これがあれか！噂に聞く女心ってやつか！何か恥ずかしいわー！何なんやこれー！今､私､敦子にものすっごいドキッとしちまったじゃねぇかー！
はっ！もしかしてにゃんにゃんもプレゼントしてあげるときいつもこんな感じなのか？顔こそ紅くしてないけどドキッとしてるのか？
それやったら私､ものすっごい男前ってことかー!?いやー！恥ずかしいーっ!!

「……いつまで玄関先でイチャイチャしてんだよ､おい」
「えっ!?うおっ！みぃちゃん……!!」

　エレベーターホールの陰から､みぃちゃんが現れた｡
いつの間に帰っていたのか知らないが､ずっとそこにいたのか？っていうかしかめっ面しすぎ……｡

「やっほー､みぃちゃんおかえりー」
「ただいまー｡あっちゃん､看病ご苦労だったね」
「ううん､楽しかったよー｡弱ってるにゃんにゃんの写メ撮りまくったし」
「えっ!?敦子そんなことしてたんか！」
「へっへっへ！」

　再び不敵に笑う敦子｡なんて女だよ､まったく｡
弱み握った悪いやつみたいな顔して笑ってるけど､まぁ悪戯好きなだけだもんな｡言ってもやっぱりまだまだ子供っぽいところは多い｡
欲しいものはすぐ欲しがるし､嫌なことは嫌がるし｡とりあえずあとで交渉して写メ送ってもらおうかな……｡送ってくれるかなー……敦子｡

「ま､そんなとこで帰るね」
「うん､じゃねー､あっちゃーん」
「送らなくて大丈夫か？」
「いいよ､タクシー呼んじゃったし｡それじゃ」

あげ

　再び不敵に笑う敦子｡なんて女だよ､まったく｡
弱み握った悪いやつみたいな顔して笑ってるけど､まぁ悪戯好きなだけだもんな｡言ってもやっぱりまだまだ子供っぽいところは多い｡
欲しいものはすぐ欲しがるし､嫌なことは嫌がるし｡とりあえずあとで交渉して写メ送ってもらおうかな……｡送ってくれるかなー……敦子｡

「ま､そんなとこで帰るね」
「うん､じゃねー､あっちゃーん」
「送らなくて大丈夫か？」
「いいよ､タクシー呼んじゃったし｡それじゃ」

　敦子は手をヒラヒラ振りながら､そのままエレベーターホールに消えていった｡
今度ちゃんと御礼しないとな｡それこそ､誕生日プレゼントとは別に何か用意しよう｡
　敦子を見送って､みぃちゃんと一緒に中に戻る｡と､入りながらみぃちゃんに思いっきり抱きつかれた｡

「うおいっ､どうしたんだよ､急にー」
「疲れたから充電｡それより陽菜の様子どう？」
「随分楽になったっぽい｡今はもうぐっすり」
「そっか｡それなら良かった」

　あの様子ならもう1日休めば全快するだろうな｡
にゃんにゃんのことだから明日の朝には「もう大丈夫だよ〜」なんて言ってるかもしれないけど､明日もちゃんと休ませよう｡
夏のコンサートが近づいてるし､総選挙のシングルに向けて体力も付けておかなくちゃいけないもんね｡
ここで無理して悪化でもしたら､それこそ周りに迷惑かけちゃう｡

「ノイエも帰ってるんだ」
「うん､今は風呂入ったりしてるよ｡みぃちゃんは？公演どうだった？」
「K公演が悪いわけないだろう？もう皆一致団結よ！あやりんやれいなの成長っぷりを見せてやりたいね！」

　そう言えば久しく会えてないメンバーもたくさんいるなー｡AKB48の仕事は皆バラバラだから｡
まぁそれもAKB48のいいところだ｡人数が多くてなかなか顔を覚えてもらえないとか､デメリットも沢山あるけれど､でも一人一人にちゃんと活躍の場がある｡
テレビやラジオ､イベント､舞台や雑誌の撮影､そして劇場公演｡メンバーそれぞれが､それぞれの夢に向かって力をつけている｡
久しぶりに会うメンバーの成長を見るのも､AKB48にいて楽しみなことだ｡チーム4や研究生なんて､それこそメキメキと実力を上げてる｡
一人は皆のために｡皆は一人のために｡その言葉がこれほど似合うグループ､そうそう無いと思うよ？

「オールフォアワン､ワンフォアオールってやつだね」
「そうそう｡私の好きな言葉だよ」

　ダイニングチェアに腰掛けて､みぃちゃんと2人で向かい合う｡
みぃちゃんはテーブルに両手で頬杖を付いて､なんだか楽しそう｡

「そして誰かのために」
「っていうか良いじゃん､たかみな｡それ歌詞に入れようよ」
「え？」
「一人は皆の夢のために､皆は一人の夢のために｡そんでAKBはファンの人達の夢にもなれる｡誰かのためにだよ」

　誰かのため｡誰かの夢｡そうかもしれない｡今の研究生の子達って､私達とは違って「AKB48になりたい」っていう子が多い｡
私達とは違う｡何かの通過点ではなく､AKB48が夢｡私達とは違うけど､それでもれっきとした夢なんだよね｡
私達自身が､誰かの夢になれる｡私達だけじゃない｡誰でもなれる｡誰かが誰かの夢になれる｡

「たかみなだって､歌手になりたいのは歌手を見て思ったんでしょ？んで､いつか誰かがたかみなを見て歌手になりたいって思うかもよ？」
「自分の夢は誰かの道標か……」
「そして誰かの夢は､自分の道標になるってね」

　バッと立ち上がって周りを見る｡作詞ノートは……部屋かっ！
部屋のバッグの中｡すぐに書かなくちゃ｡思いついてること｡考えてること｡考え付くこと｡

　それから2日して､にゃんにゃんは全快した｡
とても元気｡元気にいつものマイペースだ｡むしろ2日も休んで回復し過ぎたようだ｡
完全に肌つやを取り戻して､控え室で鼻歌を歌ってる｡ノースリーブスのAnswer｡

「本当に大丈夫かよー､にゃんにゃーん」
「大丈夫だってばー｡しつこいよ」
「そうだぞ､しつこい男はモテないんだぞ！」
「そっかー……って男ちゃうわー!!」

　AKB48皆での撮影なのに､ノースリーブスで固まってたりして｡
それだけにゃんにゃんの体調が気になってんだよ｡私もみぃちゃんも｡
それと､この2日で書いた詞をにゃんにゃんにも見てもらいたくてさ｡

「どうか読んでおくれ､にゃんにゃん」
「んー､良いよー」

　ノートを渡すと､いつものおっとりした表情で受け取るにゃんにゃん｡
良かった｡この顔は本当に回復したんだな｡熱も低くなくて､顔を真っ赤にしてたから一時はどうなるかと思ってたほどだ｡
でもこの様子なら全然大丈夫そう｡やっぱりにゃんにゃんはこうしてマイペースにしてる方が心配なくていいな｡
それより､皆にも風邪がうつらないように気をつけてもらわなくちゃ｡帰ったら手洗いうがいを心がけなくちゃね｡
もうすぐ夏のコンサートなんだからさ｡それに握手会だってあるし､新曲のお披露目もあるし､倒れられちゃ困る｡

「ゲホッゴホッ！」
「うわぁ､みぃちゃん唾飛ばさないでよー」
「ごべ､ごめん……陽菜っ｡ゲホッ」
「お､おいっ！まさか風邪がうつったんじゃないだろうなー！」
「いや､お茶飲んで咽ただけ」

　あー､ビックリした……｡こんなんでバタバタ倒れられたら本当に困っちゃうもんね｡
ちなみにみぃちゃんが飲んでるのはさっしーと由依の特製カボスティー｡これが本当に美味しくてね､共同生活の中でブームになってる｡
カボスのさっぱり感と､宇治茶の風味が最高やね！熱くしても美味しいんだろうけど､まぁそれは冬まで楽しみにしておこう｡

「うん､良いと思うよ」
「本当に!?」
「うん｡誰かのための夢って素敵だね」

　そう言って､にゃんにゃんはニッコリと笑ってくれた｡

「よっしゃ､じゃあ基本方針はこういう歌詞でね！」
「えー､良いけど歌いたいのとはちょっと違うなー」
「えっ!?にゃんにゃん!?」
「わかるかも｡何かこの歌詞ってさ､物凄くたかみなっぽい」
「そうだよねー」
「私っぽいってどういうことだよー」

　んー､とにゃんにゃんとにゃんにゃんが2人揃って首を傾げる｡
考え付いてもいないのにケチ付けてくるとは！さすがはマイペースクイーンと年中無休の反抗期！
まぁこの2人と一緒にユニット組んでる私が凄いってことでね！どーん！……ってこれじゃ指原じゃんか！

「汗っぽい？」
「努力の歌」
「な､何だよ､その感想はぁ!!」

　控え室に､2人の笑い声が響いた｡
うーん､何だか納得いかないけど､にゃんにゃんの全快を祝して大目に見よう……！
ノースリーブスの基本スタイルは､いつも通りのこの感じだもんね｡

（・o・）ノ夕飯あげ♪

今日の晩ご飯は肉じゃがあげ

訂正以来あげ

464 最後が、尻切れ。

465 にゃんにゃんとにゃんにゃんが2人で首傾げるところ。

お疲れ様でした。続き期待してます。

おもろいあげ！

２５

　AKB48の皆さんはカッコいいな｡
私とは違って皆大人｡そりゃさ､私はまだまだ15歳だからねー｡まだまだ子供だからねー｡
いつになっても深夜のお仕事できないし､年齢に気を使われちゃってさ｡もっとお仕事したいなー｡
マジすかだってさ､シーズン2は主役級の扱いだったのに撮影は夜まで出来なかったしね｡
MVやテレビの撮影も真夜中まで残れないから､途中でAKB48の皆さんや玲奈ちゃんに見送られることもしばしば｡
真夜中まで撮影をしてるのに､クオリティを保ち続けるなんて凄いや｡

「ねー､玲奈ちゃん」
「なーに､珠理奈」
「ほっぺにチューして良い？」
「ダメッ」

　控え室の椅子に腰掛けながら､玲奈ちゃんは振り向くことなく上半身を素早く動かした｡
むー､さすがに私のチューを避けることに関しては上達してやがるな､玲奈ちゃんめ｡
しかーしっ！しかしだよ､玲奈君！拒否されてこそ燃え上がるものもあるんだよ！

「いつかチューするからね！」
「いっつもしてるじゃーん……」

　今日はAKB48さんとのMVの撮影です｡玲奈ちゃんと一緒に今回も何とか選抜してもらいました｡
SKE48の松井J！1､2､3､4､ご一緒に！6､7､8､9､じゅりなー！どうも､高校生になりました｡松井珠理奈ですよ｡
今年の総選挙シングルも､素晴らしくカッコいいなぁ｡いや､何と言っても画面に映える衣装を着れるのは良いよね｡
それにダンスも踊れて歌も歌えて､今回も私を選んでくれたファンの皆ー､ありがとう！センキョー！

「どう!?選挙とサンキューをかけてみたんだ！」
「あー､そこでかかってたんだ｡うん､それはちょっと面白いかも」
「本当に？本当に？本当に？」
「くどいー……」

　ふっふっふっふ！玲奈ちゃんに珍しく褒められたよやったよー！
いつもは物静かって言うか､いや､物静かではないけども私と比べたら遥かに冷静な玲奈ちゃん｡
一緒のお仕事が多くて､W松井のJR｡何かと気を使ってくれるお姉ちゃんで､私の一番のライバル！
自信があるんだか無いんだか､基本ビビりの変わり者｡だけどお仕事ではプロ意識も高くて凄いんだよね｡
そして頬っぺたがツルツルモチモチしてて､チューしたくなっちゃうんだよー｡玲奈ちゃーん｡

「珠理奈､今日何だかテンション高いね」
「上げ上げの油揚げだよ！玲奈ちゃん」
「う､うん｡そっか……」
「何だよー､理由を聞いてよー」
「……どうしてテンション高いの？」
「だって久しぶりに玲奈ちゃんとお仕事なんだもーん」
「な､何言ってんの！」

　真っ白な頬っぺたを急激に紅くする玲奈ちゃん｡まったくもう､可愛いなー！
最近は玲奈ちゃんも随分と知名度を上げてお仕事増えてさ､私も高校生になったから少しお仕事の幅が広がった訳だ｡
そんな中でなかなか忙しくてね｡前はコンビみたいに一緒のお仕事が多かったんだけど､それも減ってきてさ｡
劇場公演も一緒になることがめっきり少なくなったし､何か物足りない気がしてたんだよなー｡

「いやー､何だかんだライバルって言っても会うと嬉しいもんだね！ねっ！」
「そうだねー｡珠理奈のダジャレも､あるのと無いのじゃ結構違うよね」
「それは本当かい!?運動会!?運動電動大感動！」
「連発は困るけどねー」
「ワオンッ！」

　と､そんな時に控え室の扉が開く｡
入ってきたのは今年も総選挙で上位にランクインしたAKB48チームKの大島優子さん｡
言わずと知れたエンターテイナー｡表現力豊かな憧れのメンバーの1人｡

「おっつー！昼休みだよー」
「そ､それをわざわざ私達に伝えに!?あざっす！」
「ありがとうございますー」
「いやいや､そんな謙遜することでもねぇよー｡珠理奈も玲奈も存分に休みたまえ！」

　ケラケラ笑う優子さん｡うーん､さすがの楽しさだ｡楽しさって言うか一気に明るくなるって言うかね｡
うん｡こういうの私も欲しいな｡どうやったら出来るんだろう｡やっぱり芸を磨くべきか!?

「ってかさ､機材トラブルでちょっと時間かかるみたいよ」
「え､そうなんですか？」
「うん｡ちょっと長くなるかもって言ってたから､休むなら今のうちだぜ」
「マジっすか！では昼休みに行ってきます！」

　優子さんに敬礼して､控え室を一目散に飛び出す｡
やることは1つ！いつも優しくしてくれる一回り上のお姉さん､篠田麻里子様と御飯に行くのだ！
時間があればショッピングにも！やっほー！久しぶりだから本当にテンション上がるー！
　スタジオに飛び込むと､すでにメンバーの皆さんはそれぞれの昼休みに入っているらしかった｡
スタッフさんのガヤガヤとした雰囲気の中に､メンバーさんは誰もいない｡一足出遅れたか！個別撮影だからって油断したぜ！

「麻里子様とデートなんて光栄ですよ！」
「あははー､まぁ約束だったからねぇ｡こんな時ぐらいじゃないと機会もないし」

　開け放したスタジオの扉の向こうから､声が聞こえた｡この声は麻里子様！と､もう1人は誰だろう｡先約が入ってしまったか！マジで出遅れた！
ドアの陰に隠れて声の聞こえた方を見ると､麻里子様とその隣にいるのは指原さん！デ､デートだってー!?この私を差し置いて､何てことを！
とまぁ､ここでただでは終わらぬのがこの私ですよ｡好奇心がワクワクと､ウキウキと湧き上がる｡デートを尾行してみるとか､ちょっと楽しそうじゃないですか？

あげ(*｀ω´)

２、３日の間、少し更新少なくなるかもしれないです！

まさかのJR！Σ（・o・）
>>472
いつも乙です
どうぞ作者様のペース・構想で続けてください！！

あげ＼(^o^)／

さしこのくせに麻里子様とデートだと？！？
今回も面白いです！作者さんのペースでこれからもよろしくお願いします

よふかしあげ

あさあげ

仕事いってきますあげ

早弁中にあげ

今からお昼御飯だよあげ

（・o・）ノおやつあげ♪

あげ

　指原さんって麻里子様とそんなに仲良かったっけな｡
確かに社交的で私達SKE48のメンバーにも優しい指原さんだけど､イメージはいつも控え室の隅にいるイメージ｡
ゆきりんさんやみぃちゃんと一緒に漫画の話したりアイドルグループの話したり､外に出歩くようなことはしないような｡
そんな指原さんが麻里子様と一緒にデートをするなんて､これは何か事件の予感！なんてね！

「これなんか良くないですか？」
「ちょっと地味すぎない？さっしー､こういうの趣味なの？」
「えっ､麻里子様っぽいなと思ったんですけど」

　2人を追ってやって来たのはスタジオからそんなに離れていない雑貨屋さん｡
雑貨屋さんって言ってもビル1つまるまるだから結構大手なんだろうな｡フロアごとに扱ってるジャンル違うし｡
こんなところで一体何をしてるんだろう｡っていうかデートで来るところなのだろうか｡高校生になったばかりの私にはちょっとまだ良さがわからない｡
控え室にあったサングラスをかけ､帽子をかぶり､商品棚の陰に隠れて､尾行はばっちり！控え室出る時に玲奈ちゃんに変な目で見られたけど｡
ちなみに玲奈ちゃんはゆきりんさん達に御飯誘われてた｡たまに1人で御飯食べてた玲奈ちゃんだけど､これも成長だな！よかったね！

「こっちの額縁が良いかなー」
「そんな派手なやつですか!?」
「えー､オシャレで良いじゃーん｡可愛いし」
「やっぱり麻里子様のセンスは真似できないっす……」

　麻里子様と指原さんが選んでるのは､額縁……？
んー､と周りにあるものを見てみるとジグソーパズル｡はっはーん､なるほどなるほど｡パズルの額を買いに来たわけだ！
ふむふむ｡そう言えば麻里子様から聞いたっけな｡今年の誕生日に指原さんからピース数の多いパズルを貰ったとか｡
4ヶ月も前のことだけど､やっと完成したんだ｡結構長かったけど､忙しい麻里子様だからな｡まぁしょうがないよね｡
それにしても､なーんだ｡デートって言ってもこれだけのことかー｡期待して損しちゃったな｡普通に御飯食べてれば良かった｡
　と､尾行に飽きて周りの商品棚に目をやった途端にポケットに入れてた携帯電話が震えた｡
そして着信音にしていた曲がフロアに鳴り響く｡周りにいたお客さんが一斉に振り向いた｡やっばっ！マナーモードにするの忘れてた！
焦りに焦っててんやわんや｡携帯電話のディスプレイを見ると､着信｡しかも相手は麻里子様！急いで棚の陰に隠れる｡

「は､ははいっ！もしもち！」

　テンパって声が裏返っただけじゃなく､噛んでしまった！恥ずかしい！

『やっほー､じゅり坊｡今何やってるー？』
「え､えーっと休んでますよ！休憩中ですから!!」
『お昼食べたー？まだなら一緒に食べよー』
「あー､い､良いですよ！麻里子様は何処にいますか？」
『今……あなたの後ろにいるよ』

　電話越しに､急に冷たくなる麻里子様の声｡
ひーっ！私強がってはいるけどこういうの結構ダメなんだよー！ホラーとかドッキリは怖いんだよー！て､っていうか後ろにいるって……｡
肩にポンと､手が置かれた｡長くて細くて白くて綺麗な手｡あー､特徴的な親指には見覚えがあるなー｡

「じゅ・り・な」
「うわぁっ！」

　いや､飛び上がるよね！飛び上がっちゃうよね！
だって振り向いたら満面の笑みの麻里子様がいたんだもん｡めっちゃ驚いたっ！

「完璧な尾行だと思ってたのに……」
「いや､麻里子様は結構早い段階で気付いてたからね」
「あんな目立つ格好なんだもーん｡面白くてさー」

　やっぱりスタジオからそんなに離れてない定食屋さん｡
ア､アイドルが定食屋さん!?とお思いの方もいると思いますが､たまにこういうとこに来たくなっちゃうんだよねー｡
焼き魚とか煮物とかって美味しくてしょうがないもんね｡高校生だってね､こういうもの好きなんですよー｡
　しかし､まさか尾行がばれているなんて思いもしなかった｡2人の話によるとスタジオを出たぐらいから麻里子様に気付かれていたみたい｡
まさかそんなに早い段階で……！うーむ､もう少し尾行の仕方を考えなくちゃな｡確かにサングラスは目立つかもしれない｡

「いや､何で尾行極めるつもりだし！」
「何でもかんでも極めて損は無いもん｡ね､麻里子様」
「んー､まぁねー」

　煮魚を美味しそうに食べながら応える麻里子様｡煮魚も美味しそうだなー｡
でも私は焼き魚定食！ほっけだよ､ほっけ｡御飯によくあうよねー｡美味しいものはテンション上がるなー｡
指原さんが頼んだのは親子丼｡ふわふわ卵がまた食欲をそそるねー｡

「珠理奈ー､いい加減さっしーって呼んでおくれよ」
「莉乃ちゃんって呼ばせてほしいな！」
「だから莉乃ちゃんは止めてってば！」
「良いじゃないですか､莉乃ちゃん！莉乃ちゃん可愛い！」
「どぅあーっ！」

　下の名前で呼ばれるのが恥ずかしいのか､顔を真っ赤にして身悶える莉乃ちゃん｡
可愛くて良い名前だと思うんだけどなー｡っていうか北原さんや横山由依ちゃんはたまに名前で呼んでるけどなー｡
ちょっと壁を感じちゃうけど､でももっと莉乃ちゃんと仲良くなれって言うことだ！頑張ろう！
麻里子様は煮魚を堪能しながら､身悶える莉乃ちゃんを面白そうに見つめてる｡

「っていうかエースって言うのは何故こうも尾行が好きなんだよ」
「どういうことですか？」
「いやさー､今共同生活してるでしょ？企画の発表前に引越しとか秘密裏に進めてたんだけどさ､前田さんが尾行してきて企画がばれちゃったんだよね」

　ノースリーブスさんとNot yetさんの共同生活か｡
話を聞くたびに楽しそうだなーって思う｡ゴールデンウィークに皆で旅行に行ったり､鍋パーティーしたり｡
作詞とかは頭使うだろうし大変みたいだけれど､でもSKE48でもそういうのやってみたいなー｡
帰ってもメンバーがいるって良いじゃん！楽しいこと一杯だろうし､お家でもフォーメーションの練習できる！
尚且つ帰ってからも皆にチューが出来る！ここ大事！ハグも出来るし添い寝や膝枕だって！

「広いお家だし色々お掃除とか大変だけど､楽しいよ」
「へー！麻里子様は行ったことあるんですか？」
「うん､あるよー｡めっちゃいい所｡ツイッターで場所ばらしちゃいそうなぐらいに」
「いやいやいや､止めてくださいよ！ちょっと！」

　ふふーん､なるほどなるほどー｡そんなに良いところなんだ｡麻里子様が羨ましがるって言うぐらいだから余程のところ｡
しかも今をときめくAKB48の人気メン達が揃ってるって言うんだから､運営さんだっていい所用意するはずだよね｡
明日もMVの撮影で､今日は名古屋に帰らずにホテルに泊まる予定……｡

「はい！私も行きたい！」
「えっ!?」

ふむふむ

あげ

愛されじゅりなかわえーなぁ

じゅりなあげ

前スレも含めて全部読めた。
最初は流し読みで、今回２回目。
すごく上手ですね。文章の組み立て方とかも含めて。
だいぶ前に終わってほしくないからゆっくりとっていうコメありましたが
右に同じです。
これからもよろしくです。

よるあげ

「ってことで玲奈ちゃんも行こう！」
「ってことでっていきなり過ぎでしょ！」

　スタジオに戻って､衣装に着替えて､本番直前の玲奈ちゃんに直撃であります！
指原さん､もとい莉乃ちゃんに交渉の結果､別に来てもいいんじゃん？とのこと！やったね！言ってみるもんだ｡
他に住んでるメンバーさん達も､いきなりとか気にする人達じゃないし｡むしろ楽しいからいいんじゃね？みたいな｡
麻里子様にも交渉してみたけど､お家に帰ってパズルを額に飾りたいからって断られちゃった｡というわけで玲奈ちゃんに交渉中！

「いやいや､どういう訳だよ……」
「玲奈ちゃん､今日の衣装も可愛いね！」
「褒めてもダメだよ」

　いやー､本当に可愛いんだけどなー｡48グループの衣装さん達って本当に良いお仕事なさるんだよね！
その日その日に一番映える良い衣装｡曲に合い､そしてメンバーに合うっていうね｡踊りやすいし可愛いし｡
あー､もう！衣装さんに特注で私服を作ってもらいたいわい！オシャレなお洋服欲しい！
っていうかさー､オートクチュールって特注っていう意味だと思ってたんだけど違うんだね！
カタカナなのに特注っていうからそうなのかと思ってた！おーっ､特注！みたいな？

「みたいな､ってルがどっかいっちゃってるし」
「玲奈ちゃんも行こうよー」
「ダメだよー､私まで行ったら彩ちゃんがホテルに1人になっちゃうじゃん」

　彩ちゃんことさや姉さんこと山本彩さん｡SKE48に続く姉妹グループ､NMB48の実質的リーダー｡
NMB48をまとめるだけ合って､いつも真面目で真っ直ぐ｡そんでカッコいい｡第4回総選挙では順位が急上昇｡
とは言え選抜にはあとちょっとのところで届かずだったんだけど｡でも今日は近くで撮影してるらしくて､一緒のホテルに部屋を借りてる｡
いいねいいね｡NMB48の主力メンってだけあって東京でソロ撮影なんて羨ましい！しかも何だ､あのけしからんナイスバディーは！

「ならさや姉さんも誘っちゃおう！」
「お仕事違うんだから､そういう訳にもいかないでしょうが」
「ぶーぶーっ､玲奈ちゃんのケチー」
「何て言われてもダーメ！あとでお土産話聞かせてね」

　まぁ玲奈ちゃんは大人だからな｡大人なりに気を使ってるんだろうな｡確かに大人数で押しかけるのはダメだもんね｡
しょうがないから､1人で行こう｡ホテルの方はマネージャーさんに連絡してもうキャンセルしてもらった｡
悪いかなとは思ったけど､「いい経験だし行って来れば？」って背中を押してくれたよ｡いやー､私のことをよくわかってらっしゃる！ありがたい！

「いつかSKEでもこういうのやりたいね！ねっ､玲奈ちゃん！」
「いやー､1年は長いし普通にお泊りが良いかなー」
「うわー､乗り気じゃない､この人はー」
「それよりはさー､短くても良いからSKE皆で楽しくお泊りが良いかなって」

　うーん､そうは言ってるけど玲奈ちゃんってばなかなか皆と打ち解けられてないんだけどねー｡
最近はメンバーと話してるのも見るようになったけど､それでもなかなか輪に入れずにワタワタしてる玲奈ちゃんは特別可愛い｡
さすがかすみ草のもやしっ子だな｡でもそんな玲奈ちゃんがこういうこと言うようになったのも成長か｡
高校生に成長どうの言われたくは無いけどさ､2人でいること多いからそういう変化にも敏感なのだ｡

「1人になっちゃったときは､私を頼れよ！」
「一言多いわ！それより話は終わり｡もう本番だからね」
「あいあいさー！」
「明日､話聞かせてね」
「もちのろん！」

あげ

夜更かしからのおやすみあげ

「夜景すごっ……！」
「私もなー､初めてこの景色見た時はほんまに感動してん」

　共同生活をしていると言うマンションは本当に高級っぽい｡
だって普通､マンションの廊下に絨毯なんて敷かないでしょ！すぐ汚れちゃうじゃん！泥だらけになっちゃうよ！
しかもお部屋がマジで広いし､周りは静かだし､海は見えるし､夜景は見えるし！もう凄いとしかいえない！
　MVの撮影が終わって､お泊りグッズを持って共同生活のマンションにやってきた｡
莉乃ちゃんは撮影のあとに公演があるからってたかみなさんとにゃんにゃんと一緒にAKB48劇場に行っちゃった｡
と言う訳で莉乃ちゃんに代わってマンションに連れて来てくれたのが横山由依ちゃん｡おたべさんだよ､おたべさん｡
ほんわかはんなりで､結構マイペース｡いつも笑顔で､私のダジャレに笑ってくれる数少ないメンバー｡

「いいないいなー､こんなところに住めて」
「んー､でもえぇやん｡珠理奈ちゃんは実家から通ってんねやろ？」
「まぁね｡一応行き来できる距離だし」
「それは羨ましいわ｡私はなかなか帰れんから」

　夜景を見ながら､んふふと笑う由依ちゃん｡
京都かー｡確かに関西は距離あるし､今はお仕事も忙しいからなかなか実家には帰れないんだろうな｡
麻里子様や莉乃ちゃんだってそうだ｡九州はさすがに遠いもんね｡でも会いたいだろうな､家族には｡
　由依ちゃんのすごいところは研究生候補の時に京都からレッスンに通ってたってのね｡
学校とアルバイトをしながら深夜バスで東京に来るなんて､私には想像付かないな｡アルバイトしたことないし｡
深夜バスの中で振りを覚えてたっていうのも凄いと思う｡皆が努力家って言うのも､なかなかに頷ける｡
SKE48のオーディションも受けてたらしくて､もしかしたらSKE48の由依ちゃんがいたのかもしれないんだなー｡
それはそれで面白そう｡SKE48の控え室に､由依ちゃんの笑い声が響くとか胸が熱くなるな！ドキがムネムネ！

「まぁ名古屋やったら比較的通いやすかったやろな」
「今からでも､SKE48に来ないかいっ!?」
「いやいや､あかんやろ」
「SKE48劇場で僕と握手っ！」
「ふはははっ」

　蒸し暑いバルコニーに由依ちゃんの笑い声が響く｡
静かな街並みに､本当によく通る笑い声だな｡山があったら確実にこだまが聞こえてるね｡
いやー､普段はたかみなさんのすべらない話並にすべる私のギャグだけど､この笑い声には自信がもてるね！
マジすか2の撮影じゃ､結構一緒のシーンが多くて､たくさん笑ってくれたっけな｡MVなんかの撮影でもずっと笑ってる｡
そんな由依ちゃんが､もしかしたら卒業しちゃうのか｡いくら秋元先生が決めたことって言っても､それは嫌だな｡

「ねぇ､もし卒業になったらどうすんの？」
「えー？それ直接聞くー？」

　多分､あまり触れたくないことだから皆話題に出さないんだろうな｡でも私は知りたい｡
私はいつだって直球勝負さ！回りくどいこととか､隠しごととか嫌いだし､直接聞いちゃうもんね！

「直接聞かれんのなんて久しぶりやな」
「で､どうすんの？」
「うーん……わからんなぁ｡私は歌手になりたいし､またどこかでオーディション受けるかもしれんなー」
「へー……」

　もし｡もしも私がSKE48を卒業ってなったらどうするだろう｡想像も付かない｡
小学生の時からSKE48にいて､AKB48さんにもたまにいて､ずっと48グループですごして来た｡私にとってのお家みたいなもの｡
私の夢は女優さんで､いつかは主演もはれる様なそんな存在になりたいけど､お家から放り出されたら､どうすればいいのかわからない｡
多分路頭に迷っちゃうんだろうな｡家に戻ることを考えちゃうかもしれない｡SKE48はそれだけ､私にとって大切な居場所だ｡
　由依ちゃんとたかみなさんは､今まさにお家から放り出されるかもという寸前だ｡
もしかしたら路頭に迷っちゃうかもしれない｡捨てられてしまったワンコみたいに｡そんなワンコを見たら､私はどうするか｡
そんなの決まってるよ｡私はそんなワンコを拾ってあげないね｡見過ごすことなんてできないもん｡

「ならさ､最初にSKEのオーディション受けてよ」
「え」
「大型新人加入！次世代の歌姫！多分即座にセンターだね」
「もー､何言うてんの｡さすがに無理やって」
「まぁちょっとオーバーだったかな｡でも会えなくなるのは嫌だもん｡由依ちゃんにも､たかみなさんにも」

　由依ちゃんの目を真っ直ぐ見つめて言う｡
企画なんかで離れ離れなんて嫌だね｡そんなのを認められるほど､私は大人じゃないもん｡
それを認めるぐらいなら大人になんかならなくていい｡我がままな子供のままで十分だ｡

「ふふっ｡珠理奈ちゃんは真剣やなぁ」
「私はいつだって､マジだよっ！」
「それ前田さんの台詞やん」
「マジっすか？」

　今度こそセンターの台詞｡でも気持ちは前田さんの台詞通り｡いつだってマジなのだ｡
由依ちゃんもたかみなさんも､AKB48を卒業したらSKE48に来ちゃえばいい｡

「まぁうん､えぇよ｡約束」
「ほんとに!?やったね！」
「でも､AKBに残ったるわ」
「まぁそれならそれで良いんだけどね」
「由依ー､珠理奈ー､めし出来たぞー」

　リビングの方から呼ばれた｡優子さんが御飯を作ってくれたみたい｡やった！優子さんの手料理が食べれる！これも楽しみだったんだよ！
と､グーッとお腹が鳴った｡今日も一日沢山働いて､すんごいお腹が空いてたからしょうがないよね｡お腹の音を聞いた由依ちゃんの笑い声が､また夜空に響いた｡

早朝あげ(・o・)ﾉ

お昼前あげ

お昼あげ

セブンイレブンでAKBのやついろいろ買ってきたよあげ

玲奈ちゃんは大人だし一人が好きだから・・を思い出した

（（・o・））ノ今日は寒いあげ

寒すぎあげ

>>496
作者さんいつもお疲れ様です
最初からずっと楽しく読んでて日課になってます！
珠里奈も玲奈も実はノイエと交友関係あるんだよね
いいとこ突きますね
珠里奈は優子姐さんを尊敬メンに挙げてるしTV発言によれば何度か焼肉に連れて行って貰ってるし
さしことゆいはんとはこの前食事行ってたし
玲奈はかなり昔から優子姐さんへの思いをブログに綴り続けているし
さしことは君好き頃から仲良いし
極め付けはa-nation名古屋でノイエと卓球していたというエピソード
是非玲奈視点も見てみたいです
これからも更新何より楽しみにしています！

　優子さんが作ってくれたのは私の大好きなミートスパゲッティー！
美味いー！しかも挽肉たっぷりにチーズまで乗せて､もう美味い以外に言うことなし！
お母さんが作ってくれるミートスパゲッティも美味しいけど､優子さんのも美味しいな｡

「味噌入れると美味くなんだよ」
「それがミソ!?」
「あー､さすが珠理奈だなー」

　呆れた顔の優子さん｡いつもお仕事忙しそうな優子さんだけど､そんな人がこんなに美味しい料理を作れるなんて｡
お嫁さんに欲しいなー｡ただでさえカッコいいのに料理も出来るなんてやっぱり尊敬しちゃう｡私も頑張って練習してバリエーション増やそう！
今度優子さんやにゃんにゃんにお料理のレシピ色々教えてもらっちゃお！これでさらにグレードアップするんだ！
　それからみぃちゃんと一緒にお風呂入って､今は2匹のワンコと一緒に遊んでる｡にゃんにゃんのペットのうさぎちゃんとみみちゃん｡
2匹とも可愛いなー！ワンッと私が鳴くと､2匹は尻尾を振る｡私が追いかけると逃げるし､逃げると追いかけてくる｡

「珠理奈ちゃん､何かうさみみさん達と気が合ってるね」

　ソファに座って､アイスキャンディーを手にしながら北原さんがそう言った｡

「犬大好きですからっ！」
「あはは､っていうか珠理奈ちゃん自身犬っぽいしねー」
「ワオンッ！」

　何故だろう､よく言われる｡
この前､くーみんに聞いたら「いつも元気だし､誰かにまとわり付いてるイメージ」って大笑いしながら言われた｡
うーん､なるほどね｡誰かにまとわり付くの大好き！セクハラって言われたり嫌がられたって構わない！
いや､さすがに嫌がられたらダメか｡この前しゃわこちゃんにチューしようとしたら､あとちょっとのとこで逃げられちゃったしな｡
まぁ一度逃げたからって諦めるような私じゃないけどね！絶対にチューしてやるんだからっ！
　と､玄関の方でガチャッと音が聞こえた｡うさぎちゃんもみみちゃんもその音に反応して顔を上げる｡

「ただいまー」

　あの声はにゃんにゃん！うさみみちゃんが走り出すよりも先にリビングの床を蹴った｡
走り出すのは私のほうが早い！うさみみちゃんより先ににゃんにゃんにたどり着いてやるー！
と意気込みはしたものの､さすがに相手は四足歩行｡早いのなんのってね｡

「おかえりなさいっ！」

　うさみみちゃんからワンテンポ遅れて玄関に辿り着いた｡

「うぉいっ！何だよ､いきなり！」
「あー､珠理奈ー｡うさみみちゃんと遊んでくれてるんだー」

　私の勢いある登場に驚くたかみなさんと､好対照に笑顔を浮かべるにゃんにゃん｡
公演が終わってチームAのメンバーが帰って来ました｡やっほい､これで全員ご帰宅！

「何か珠理奈､犬みたいだね」
「ありがとうございます､莉乃ちゃん！同じことを北原さんにも言われました！」
「いや､だから莉乃ちゃんって呼ぶの止めてってばー！」
「いいじゃん､莉乃ちゃんで」
「莉乃ちゃーん」

　たかみなさんもにゃんにゃんもノリ良く2人で莉乃ちゃん呼び｡
先輩2人､しかも初期メンの方達に言われて焦りまくりの莉乃ちゃん！うろたえる姿が可愛い！

「お仕事お疲れ様です！荷物持ちます！」
「いや､いいよ｡珠理奈も疲れてるやろー？」
「御飯食べて回復したので大丈夫ですよ！」

　3人から荷物を無理やり引っ手繰って両手に持つ｡
そんなに重くは無いけど､でも後輩として持つのは礼儀だよね！尊敬するメンバーさん達だし！
あー､何だろ｡撮影とかテレビとかでメンバーとホテルに泊まるのとは違うワクワク感！これがお泊りってやつか！
ホテルは修学旅行みたいなワクワク感だけど､こっちはお友達のお家に来たも同然だからね！楽しい！

「あー､お腹空いたー」
「ん､おかえりー｡ご飯食べるー？」

　ダイニングでノートに色々と書き込んでる優子さんが､3人を見て振り返った｡
リビングのソファでも北原さんが振り返って「おつかれさまー」と一言｡ちなみに由依ちゃんはお風呂､みぃちゃんは部屋に戻ったみたい｡

「指原は食べたいです！」
「うちも食べるー」
「私もー」
「優子さん､私も食べたいです！」
「珠理奈はあかんっ！明日も撮影なんだから」

　やっぱりダメか｡あれだけ美味しいスパゲッティだからあわよくばもう一度食べちゃおうと思ったけど｡
まぁ今回の衣装は腹見せバージョンだからね｡お腹出てたらカッコつかないし､ここで我慢はしょうがないか｡
プロ意識は高く持たなくちゃ｡子供だからって､周りの大人の人達に負けたくないもんね｡

>>505
乙です

>>503
卓球エピ好きだな

あれってノイエ4人でダブルスやってる時に指原が疲れて抜けるって言ったらきたりえ優子はOKだったのに
ゆいちゃんが抜けるなら代わり連れて来てくださいって言って
そこに玲奈ちゃんが遊びに来たら指原にまんまと捕まって交代させられたんだよな
で、SKEの優子になついてるあんにゃとかって言う子が来るまで解放されなかったっていう

それってただ横山の穴埋めになってただけであんにゃが来たら用済みになったってこと？

>>507
ごめん説明下手で
玲奈ちゃんは指原の穴埋めで（指原は抜けるなら穴埋めを探せとゆいちゃんに言われたから）
あんにゃは優子のところに遊びに来た兼、出番が近かったので玲奈ちゃんを呼びに来た

寝る前保守

>>506
そのエピソードなんか色々キャラ見えて微笑ましくて俺も好きだ

さや姉目線も来たら歓喜
この前も公演でみるきーと大島さんとどっちが親しいかで張り合ってたし
さしことも飯行ったしね

>>505
今日も面白いです！さや姉登場個人的に嬉しいー
>>510
さや姉みるきーの2人は優子姐さんに完全に心酔しきってるよな
あのさや姉に「人として目標」って言わせるって相当凄いよ
みるきーが感動した心に残る一言ってのも気になる いったい姐さん何言ったんだろう
まぁきっと2人とも巨乳ちゃんだからセクハラもしまくってるんだろうけどw

というわけでNMB登場記念あげ

>>505
スレ主さん よかったらこんなのあったのでどうぞ


松井珠里奈インタビューより

感謝してる本店メン → 篠田
世話になってる本店メン → (挙げたらキリないという前置きあって)篠田、増田、大島優
尊敬してる本店メン → 大島優、増田 、高橋
憧れてる本店メン → 増田、前田、秋元
本店での推しメン → 増田

SKEやNMBが登場すると反響大きいね
ノースリ推しとしてはSKEやNMBのヲタもこの小説読んでくれてるのがなんか嬉しい

「うまっ！優子ちゃん､美味いですよ！」
「だろだろーっ､珠理奈が来るってんで手によりをかけて作ったんだよ」
「確かに美味しいなー｡ソースにこくがあるって言うか」
「優子ー､隠し味に何か入ってるでしょー」
「おぉー､さすがにゃんにゃんっ！それはね」
「味噌がミソなんですよ！」

　きょとんとした顔で莉乃ちゃんが振り向く｡たかみなさんはスパゲッティを頬張って｡
にゃんにゃんは「あー､なるほどねー」と納得したようにソースを見つめてる｡あー､すべったー｡

「珠理奈ー､奪うんならウケてくれよ！」
「あははー､こんなにキョトンとされるとは思いもしなかった」

　と､その時テーブルの上の携帯電話が震えた｡私のやつね｡
またマナーモードにするのを忘れてて､ダイニングにもリビングにも着信音が鳴り響いた｡
いっけね！先輩達に囲まれてるのに､これはちょっと失礼かもしれない｡

「す､すみません！」
「いいよー､気にすんなー」

　と､たかみなさん｡携帯電話をすぐに手にとって､画面を見ると玲奈ちゃんからの着信だった｡
んー？何だろう､こんな時間に｡はっはーん､玲奈ちゃんってばもしかして淋しくなっちゃったか？
まぁね｡いつもは騒いでるような私だけど､いなくなったらいなくなったで静かな環境に耐えられなくなっちゃったのか！
しょうがないなぁ､玲奈ちゃんは｡そういうところが可愛いんだからー｡

「もしもしー？」
『珠理奈？どう？楽しんでる？』
「うん､楽しいよ！玲奈ちゃんはどうした？淋しくなった？淋しくなっちゃった!?」
『あー元気みたいだね｡それなら良いんだ｡あのさ､良かったら優子さんかたかみなさんに代わってもらえない？』
「えー､どうして？」
『ちゃんと御礼言っておかなくちゃダメでしょ』
「いいよー､私が言っておくから｡っていうか玲奈ちゃんが言う必要ないし」
『ダメだよっ！代わって』
「むー……､わかったよぉ｡あ､優子さんかたかみなさんに代わって欲しいそうです？」

　ん？とスパゲッティを口に入れた状態で自身を指差すたかみなさん｡
あぁ､この状態で代わるのはさすがにダメだな｡ってことでキョトンとした顔の優子さんに携帯電話を差し出す｡

「玲奈ちゃんからです」
「んー？玲奈から？もしもーっし」

　優子さんは携帯電話をそのまま受け取って､電話の向こうの玲奈ちゃんと話し出した｡
玲奈ちゃんめ､もしかして推しメンが優子さんだからって代わって欲しかっただけじゃないだろうなー｡
普段は謙虚キャラの癖に､たまにお節介なところあるんだもんなー､玲奈ちゃんは｡
　電話越しに会話しながら､優子さんは色々と笑ってる｡いったい何話してるんだろ｡
気になっちゃうなー｡私の話じゃないだろうなー｡まぁ御礼言うって言ってたから私の話なんだろうけどさー｡
と､気付くと思いっきりにゃんにゃんが私のことを見つめていた｡急に気付いたからちょっとビックリした｡

「な､なんですか？」
「珠理奈の着メロって､大声ダイヤモンドなんだねー」

　たまたまなんだけどね｡たまたま東京に来る新幹線の中で設定してたんだ｡
携帯電話をいじってて､着メロを見つけて､懐かしいなって思って設定してた｡
雑貨屋さんやこのお部屋に響く､私にとってのとても大事な曲｡

>>506-513
コメントなどありがとうございます（感・ω・謝）
エピソードなど参考にさせていただきます！

>>515
毎日乙です
面白い！
他メン推しさんやSKE推しNMB推しさん達まで情報提供してくれたり有難いな
作者さんの人徳だね

謙虚「キャラ」ってのがいいねｗ

このスレ2chとは思えない温かさだな
作者さんの小説がそうさせてるのかな？
スレの雰囲気もいい感じだからここは落とせない！
ということであげ！！

あげ

今日も冷たい雨だね

あげ

もうすぐ仕事の時間です

今日も良い話を期待あげ

あげぽよ唐揚げおいしいよあげ

昼前、
取引先　兼　お客様からの１時間３０分以上の遅刻の連絡
暇つぶしあげ

あげ

あげ

あげ

５番セカンドあげ

珠理奈の本店の話に増田の名前がいっぱいあって高まった。

保守

超絶まじぽよー

からあげ

２５-r

「また明日､よろしくお願いします」
『うん！明日も頑張ろうねー｡おやすみー！』
「おやすみなさい」

　電話の向こうで､尊敬する大島優子さんが明るくおやすみと言ってくれた｡
都内のホテル｡珠理奈がいなくてなんだか静かだけど､優子さんの声が聞けただけで良かった｡
プツッとそのまま電話は切れた｡あれま､珠理奈にもおやすみ言っておこうと思ったんだけどな｡
うーん､まぁ良いか｡あとでメールしておこう｡とりあえず､珠理奈が楽しんでるみたいだし､安心した｡
　あ､どうもこんばんは｡松井玲奈です｡
SKE48のチームSに所属してます｡珠理奈は自己紹介なかったみたいで､何か申し訳ないです｡はい｡
まぁ私達は共同生活に参加してる訳ではないので､軽く挨拶程度にさせていただきますね｡あしからず｡
　珠理奈と一緒に総選挙の選抜に選んでいただいて､東京で撮影中｡
2日間に渡る撮影だから今日はホテルに泊まる予定だったんだけど､珠理奈は共同生活のお家にお邪魔してる｡
珠理奈とはAKB48さんの撮影では大概一緒で､ホテルにいる時もいっつも一緒なんだけど､珠理奈がいないだけで大分静か｡
2人部屋だと大体私のベッドに潜り込んでくるし､1人部屋なのにわざわざ乗り込んできたりする珠理奈｡静か過ぎる｡

"コンコン"

　思った以上に暇で､ブログでも書こうかと思っていた矢先に部屋のドアが鳴った｡
乾いた音｡誰かがノックしたようだ｡誰だろう､こんな時間に｡マネージャーさんかな｡
ベッドから降りて「はーい」とドアを開けると､そこにいたのは

「こんばんは､玲奈さん」
「おぉ〜､彩ちゃん」
「なんか1人じゃ淋しくてですね……､あの」
「あ､どうぞどうぞ」

　NMB48チームNのリーダー､山本彩ちゃん｡ひとつのチームを引っ張るだけあって､とてもしっかりしてるなー｡
私や珠理奈とは違う｡学級委員と例えられるだけあって､いつでも真面目で冷静｡だけど喋るの好きみたいだし､持ちギャグまである｡
凛としていてカッコよく､ダンスにも切れがあって､グラビアじゃ……私に無いものを強調できるし｡羨ましいな……｡

「私も､珠理奈がいなくてちょっと淋しかったんだ」
「じゃあちょうど良かったです」

　グループは違うけど､でも最近は撮影で一緒になることが多い｡
彩ちゃんとは御飯に行ったこともあるし､悪い仲ではない｡と思う｡良いほうかと言われればまだよくわかんない｡
最初は互いに人見知りだったから､なかなか話すことが出来なかったけど､優子さんやたかみなさん､さっしーのお陰で随分と仲良くなった｡
　向かい合うように､窓際の椅子に2人して腰掛ける｡

「1人で撮影なんて大変だね」
「いえいえ､もう慣れました｡なかなか1人には……慣れませんけど」
「うん､それは私もだな」

玲奈はさしこの誕生日にさしこが泣くようなメール打つしね
その日、玲奈は倒れてたはずなのに

　名古屋を離れ､SKE48を離れ､東京や各地でお仕事をして､ほとんど珠理奈と一緒にいる｡
珠理奈は篠田さんや宮澤さんと仲良くしてて､私はそんな珠理奈を遠くから見てることが多いけど｡
でも行き帰りの新幹線や飛行機の中､ホテルではほとんど一緒にいて､どのメンバーよりも一緒にいる時間は長い｡

「共同生活やってるんですよね｡何か珠理奈さんが行くだけで騒がしそうやな」
「ほんとに｡っていうか珠理奈にさん付けしなくても良いのに」
「さすがにそれは！珠理奈さんも玲奈さんも私にとっては先輩ですから」
「やっぱりしっかりしてるねー……」

　これはなかなか真似できない｡私なんて､今じゃさっしーのことを普通にさっしーって呼んでるもん｡
珠理奈なんて､ほとんど初対面の頃だって玲奈ちゃん玲奈ちゃんって普通に呼んできた｡人見知りでビビりの私がどれだけ驚いたことか｡
まぁ同じチームに松井が2人だもんね｡AKB48まで広げると松井咲子さんも合わせて3人だし｡そういう配慮も考えて､下の名前で呼んでくれたんだろう｡

「しっかりって､玲奈さんだってしっかりしてるじゃないですか｡SKEの中心ですし」
「いやいやー､私はダメだよ｡1人でホテルとか､今でも怖いもん」

　そりゃ､私や珠理奈だけじゃなくてマネージャーさんやスタッフさんもホテルに宿泊してる｡
でもスタッフさん達にはあまり迷惑かけられないし､自分でどうにかしなくちゃなってことは多々ある｡
この前なんかさ､遅い時間にホテルに戻ってきて､シャワー浴びようと思ったら水しか出なくててんやわんやだったんだ｡
夜遅くてスタッフさんに頼るのもどうかと思うし､フロントに電話するのも気が引けちゃって……｡

「まったくー､玲奈ちゃんはビビりだなー」

　ちょうど部屋に来てた珠理奈は､そんな風に気楽に笑ってた｡
私に代わってフロントに電話してくれて､グッと親指立てる珠理奈がどれだけしっかりして見えたことか｡
芸能界に入ったのは若干11歳｡それからの4年間をSKE48を支えてきたんだもん｡しっかりしてて当然か｡
普通の小学生､中学生なら部活とか頑張ってる頃だろうに､働きっぱなしだし｡

「玲奈さんって珠理奈さんの話ばっかりですね」
「えっ､そうかな」
「そうですよ｡よっぽど仲良いんですね」

　仲良いと言われたら､そりゃ仲良い｡妹みたいだもん｡
でも私と珠理奈の関係は何か違うんだな｡ただの仲良しじゃなくて､同じSKE48のエースとしてのライバル｡
　W松井｡JR｡SKE48の2人のエース｡絶対的に好対照な私と珠理奈｡いつからか比べられて､並べられて､私達はやってきた｡
デビュー当時からいきなりAKB48のセンターに立った珠理奈と､アンダーガールズをを経て選抜に入れさせてもらった私｡
秋元先生はいつか言ってた｡SKE48のエースは私だと｡けれど私自身はそうは思ってない｡

「でも総選挙じゃ玲奈さんの方が」
「得票数じゃないよ｡そりゃね､支持してもらえるのは嬉しいよ｡でも違う｡そうじゃなくて､私は珠理奈には勝てない」

作者さん乙！！

最後の1文を玲奈が本当に言ったのなら
俺は一生玲奈を応援する

玲奈の謙虚さにあげ

　大声ダイヤモンド｡シングルのジャケットを初めて見た時は衝撃を受けた｡
11歳の小学生がソロでジャケットを飾ってる｡しかもMVを見れば､前田さんと並ぶダブルセンター｡

「本当に驚いたな｡まさか同じチームの子がいきなりあの立場だもん」
「私も驚いた覚えあるなー､珠理奈さんには」

　AKB48の皆さんも珠理奈の登場には驚いたって言ってたもんな｡
驚きって言うか､それも通り越した疑問と唖然｡絶対エースと並ぶもう1人のセンターが､名も知らぬ小学生｡
今のSKE48でそんなことが起きたら､ビックリなんてもんじゃないよ｡下手したら反対意見ばっかりになりそう｡
　小学生の時から､何事にも一生懸命で負けず嫌い｡何でも一番にならなくちゃ納得いかない｡
それが若き大黒柱である珠理奈｡今のSKE48があるのは､珠理奈のお陰だって思ってる｡

「もちろんメンバーの皆も頑張ってるけどさ､でも珠理奈のインパクトが一気に知名度広げたよね」

　ダイヤモンドの原石が､新グループの知名度を上げる｡大声センセーション｡
それが秋元先生の考えだったのかもしれない｡珠理奈は期待に答えるべくして答えたし､SKE48の名は広まった｡
それからも負けん気と根性で､AKB48の選抜､そしてSKE48でも歌い､踊る珠理奈は私と同じ人間とは思えなかった｡
私には無い持ち前の根性と真っ直ぐさ｡歌もダンスも下手で､根性無しの私からしたら､ただただ羨ましかった｡

「同じ松井として負けてられなくて､それで頑張ってさ｡最初の総選挙でアンダーガールズに入れさせて貰った」

　SKE48で唯一､私と珠理奈がランクインした第1回総選挙｡このチャンスは逃せない｡
ビビりで根性無しだけど､私だって負けず嫌いだ｡このお仕事をやってる以上､上を目指していたかった｡
辛いダンスレッスンも､夢の女優業も､ただひたすらに頑張って､向き合って｡

「2回目の総選挙､玲奈さんの舞台での姿はカッコよかったですよ」
「思い返すとちょっと恥ずかしいけどね」
「誰でも､上は目指したいですよ｡私だってAKB48のセンターに立ってみたいなって､思いますもん」

　彩ちゃんはそう言って笑った｡彩ちゃんならいつか立てる気がするけどな｡
とにかく第2回総選挙で順位が並んで､私でも珠理奈に並べるんだってわかった｡ならもっと頑張ろう｡珠理奈に出来ないことを､私はやろう｡
珠理奈が表現出来ないことを｡年上だからこそ出来ることを｡自分がやりたいことを｡そうやって頑張ってきた｡
　けど､珠理奈は成長する｡人間としても､アイドルとしても｡年々､歳を重ねていく｡珠理奈のその若さが一番の武器だ｡
背もドンドン高くなるし､ダンスの表現力も上がる｡性格が性格だから､負けん気になって色々と吸収する｡
ただでさえ吸収力があるのに､さらに吸収していく｡さすが秋元先生が原石と例えるだけのことはある｡

「それでさ､どんな時でも私に笑顔を見せてくれるんだ｡「頑張ろうね！」って」

　あんな無邪気な笑顔､私には出来ない｡
誰にでもあんな風に無邪気に笑ってさ､社交的で､どんどん交友関係を広げていく｡信頼関係を結んでいく｡
誰からも愛されて､誰よりも成長して､誰にも負けないという気持ちを持ってる｡そんな珠理奈には､勝てないや｡

「えぇやないですか､そういう関係」
「……そうかなー」
「はい｡だって､玲奈さんかて珠理奈さんに負ける気は無いんでしょ？」

　負ける気は……もちろん無い｡
負けたくないって言うただの意地かもしれないけど｡ここまで来たからには､私だって頑張りたい｡
SKE48のエースと言われるのはやっぱり嬉しいし､エースとして相応しい人間になりたいから｡

「ライバルって､一緒に成長していくもんですやん｡たまに協力もして､お互いを伸ばしていくんです｡えぇ関係ですよ！」
「でも珠理奈には勝てない」
「それでもえぇんですやん｡負けなきゃね！」

　私には出来ない前向きな考え方｡
彩ちゃんもやっぱり､エースと呼ばれるだけのことはあるな｡珠理奈に何処と無く似てる｡
前田さんも､いつもはクールだけど誰にも負けたくないと言う気持ちを持ってるようだし｡
こういう風に私もなりたいな｡胸張って強く言えるようになりたい｡

「っていうかもう言ってますしね｡玲奈さん」
「え？」
「珠理奈さんに勝ちたいって」
「いやいやいや､負けたくは無いけどさ……」
「負けたくないと勝ちたいは同義ですよ！」
「屁理屈じゃない……？」
「同じですって！争って並ぶのかて､勝ちたいから並ぶんでしょ？ならあとは胸を張るだけですって」

　無理やり言いくるめられてるような……｡この雰囲気って関西の人の独特の奴なのかな｡
でもまぁ､納得はしてしまった｡勝てないけど､それでも負けたくはない｡珠理奈に勝ちたい｡
……思えばそうやって伸びてきたんだよ｡珠理奈が出来ないことで勝ちたいって思ってきたんだよ｡
あとは胸を張る強い度胸だけがあれば､それで良いのかもしれない｡

「応援してますよ､2人のエース！」

作者さんいつもありがとうあげ＼(^o^)／

なんか48グループに興味無い人達にも読ませたくなってきたあげ

もう勉強疲れた…でも今日は14時まで頑張るってきめんたんだい！あげ

玲奈はこんな謙虚じゃないでしょ
今年の総選挙でじゅりなの名前が呼ばれた瞬間の顔見なかったの？すごい

去年の選挙はじゅりながコメントしてる時腕組んで睨みつけてたし

>>543 誰も玲奈と仲良くないしわかんね（笑）

（・o・）ノ雨上がりあげ♪

あげ！
ただ、さや姉の関西弁がコテコテすぎる感じが…（笑）

２５-j

　4年前｡AKB48のセンターに立った時に私は思った｡
センターに立って､大声で歌って､大きく踊って思ったんだ｡センターに立ちたいと｡
SKE48では何度もセンターに立ってる｡SKE48とセンターとして｡玲奈ちゃんと一緒に｡
でも未だに､大声ダイヤモンドを超えるほどの衝撃､高揚､快感､重圧感はない｡

「そういえば指原も大声ダイヤモンドが初めての選抜だったな」
「じゃあ一緒に選抜デビューだったんですね！莉乃ちゃん！」
「莉乃ちゃん言うな〜……」

　夜が更けて､すでにお家の中は静まり返っていた｡時計を見上げると､短針は0と1の間辺り｡
玲奈ちゃんの電話の後も､色々皆さんと喋って､お家の中をちょっとだけ探検してから莉乃ちゃんの部屋にやってきた｡
明日も撮影で朝は早いからって､皆さんそれぞれ部屋に引っ込んでいる｡眠ってたり作詞したり､色々してると思う｡
私はと言えば､莉乃ちゃんと一緒にベッドの上で横になってる｡夏だし､床に寝転んでも良かったんだけどな｡

「隣おいでよ｡首痛くしちゃうよ」

　莉乃ちゃんはそう言ってお布団に入れてくれた｡
先輩後輩支店に関係のない､莉乃ちゃんのこの優しさは見習いたいな｡
っていうか布団に入れてくれるって！何て光栄なことだ！嬉しくて仕方ないね！温かいし､良い匂いする！
どことなく莉乃ちゃんって貧相なイメージがあったから､この良い匂いは意外だな｡

「貧相って失礼じゃないかい……」
「ごめんちゃい！」
「可愛いから許す！でもやっぱりセンターって凄いよね｡指原もさ､A公演でセンター立つことあるけど凄い緊張するもん」

　Aさんの公演で､莉乃ちゃんがヘビーローテーションのセンターに立ってるのを見たことある｡
センターは勿論の優子さんポジション｡優子さんのような人の代わりは､それは緊張するだろうな｡
私だって優子さんポジを踊れって言われたら､どうしようかと思っちゃうな｡

「でも珠理奈はセンターには慣れてるんじゃないの？」
「慣れは無いですよ｡いつだって緊張してます」
「えー､でもその割にはいつも堂々してるじゃん」

「だってセンターってそういうもんじゃないですか」

　前田さんや優子さんから習ったこと｡どんな時でも､センターに立つ以上は胸を張れっていうこと｡
どんな逆境にいたって､どんなに緊張してたって､センターはその曲の顔だから､胸を張ってなくちゃ｡
直接2人に聞いたわけじゃないけれど､でも2人を見ていればわかる｡この4年､近くで見させてもらったんだから｡

「なんか本当にセンターみたいだね､珠理奈」
「え？」
「マジすかのセンター｡いつかAKBのセンター奪っちゃいそう」
「いやぁ､さすがにそれは……」

　それは無理だ｡AKB48さんのセンターに立つなんて､今となっては恐れ多い｡
AKB48さんはどんどん世間に名が広まっていって､今や国民的アイドルと言っても過言じゃない｡
そんなAKB48さんのセンターは､もう私じゃ務まらない｡人気じゃ玲奈ちゃんがどんどん伸びてるし､立つとすれば玲奈ちゃんだ｡

「でも立ちたいでしょ？」
「まぁ､我がままを言わせて貰えば……立ちたいかな」
「良いじゃん｡そういう気持ちは必要だよ」
「でもその前に､SKE48をもっと全国的にしなくちゃ」

　総選挙が終わってから､玲奈ちゃんやちゅり､他のメンバーも皆気合が入ってる｡
選抜に入ったメンバーも､アンダーガールズに入ったメンバーも､皆がみんな､もっと頑張ろうと気持ちを合わせた｡
姉妹グループの中では､私達は2番目に出来たグループだ｡だけど勢いはNMB48にあり､話題はHKT48にあり｡
私達だって頑張ってる｡どんどん名前も広まってるし､メディアで活躍できるチャンスも増えてる｡
だからこそ､長女に次ぐ次女らしく､もっと頑張らないと｡夢はミリオン達成と､単独での歌謡祭への出演｡

「そんな場面で､センターに立ちたいです！」
「すげーな｡そりゃAKBも気合入れなくちゃ」
「油断してちゃダメですからね」
「たかみなさん達に言っておくよ」

　そしてもう1つの私の我がまま｡
もう一度､大きな舞台で大声ダイヤモンドのセンターに立つこと｡
今はたかみなさんが立つあそこに､もう一度｡あの忘れられない感覚を味わいたい｡

好きって言葉は最高さ！あげ！

珠理奈の気合

あげ

なるほどなるほど

珠理玲奈彩に
あげ

おやすみあげ

　けどあの曲は､AKB48さんの曲だから｡いくらセンターだったって言っても､コンサートでは歌わせてもらえない｡
私の始まりの曲なんだけどな｡思い出の曲で､とても大切な曲なんだけど｡今となっては､カラオケで歌うぐらいしか出来ないんだな｡これが｡

「へー､珠理奈ってカラオケで大声ダイヤモンド歌うんだ」
「たまにですよ｡たまに｡私自身好きな曲だから」
「いいよね､ダイヤモンド｡好きって言葉は最高さー！」

　ベッドの上で､両腕を天井に向かって突き上げる莉乃ちゃん｡
大声出すもんだから少しビックリした｡静かなお家の中に声が響いて､誰か起きるんじゃないかと耳を澄ます｡
やっぱりシーンとしてる｡良かったー｡まぁこんな時間だし､皆さんグッスリ眠ってるんだろうな｡

「ダメですよ､莉乃ちゃん｡大声出しちゃ」
「でも大声ダイヤモンドだし」
「ダメです！皆さんに迷惑かけちゃ！」
「……珠理奈ってたまに大人だよね」

　本当は私も騒ぐの大好きなんだけどさ､言ってももう高校生だから｡
いつまでも我がままは言ってられないもんね｡もっと自分と向き合って､今の自分を大切にしなくちゃ｡
周りは皆年上で､今までは小学生中学生だったから､甘やかされながら生きてきた｡
でも15歳を超えたら､将来のことも考えて生きていかなくちゃ｡それもSKE48にいて学んだこと｡

「えー､大人だって結構我がままだと思うよ｡麻里子様もこじはるさんも大人だけどさ､でも我がままだもん」
「そうですかー？」
「だってさー､こじはるさんなんてさー､お掃除してくださいって言ってもいつまでもしないしさ､麻里子様もにゃんにゃんにゃんにゃんうるさいし」
「あ､今の言いつけちゃいますよ！」
「ダメダメ！止めてっ！いや､でもさ､大人だから我がまま言わないって言うのも可笑しいよ｡歌いたければ､歌いたいって言ったほうがいいよ」
「でも秋元先生が……」
「今すぐ僕にできるのは､この思い言葉にすること！」

　莉乃ちゃんが言ったのは､大声ダイヤモンドの一節｡この思いを言葉にすることか｡
歌いたければ､歌いたいって言わなくちゃ｡センターに立ちたかったら､立ちたいって言わなくちゃ｡
そう簡単に出来ることじゃないかもしれない｡秋元先生の指示が絶対だから｡でもチャンスが来たら大声で言わなくちゃ｡

「ってことですか？」
「うん｡私も見たいな､珠理奈の大声ダイヤモンド」
「まぁいつチャンスが来るかなんて､わかりませんけどね」

　ん……っていうか瞼が重くなってきた｡時間が時間だし､疲れたし｡眠いのも当然｡
チャンスが来るのは待ち遠しいけど､いつくるかもわからない｡でも夢の中だけでも､センターに立ちたいな｡

「おやすみなさい」

グッナイあげ

２５-r

「やりたいことっ､やってるかー!!」

　朝､控え室に飛び込んできた珠理奈のテンションの高さって言ったら､もう｡
朝から元気だねー､珠理奈は｡高校生になって大人になったかと思えば､たまにこれだもんな｡
　さっしーに話し聞いたら､お泊りをかなり楽しんでたみたい｡
小嶋さんのペットのワンちゃん達と遊んだり､大島さんの手料理食べたり､さっしーと一緒に寝たり｡
随分と満喫しちゃってるな｡それだけ楽しいことがあったなら､このテンションも頷ける｡

「もう､玲奈ちゃんはノリが悪いな！」
「いやー､朝は……」
「やりたいことやってるかー!!」
「イエッサー……」

　答えると､満足そうに笑う珠理奈｡

「そうです､昨日私が泊まってたのは､皆さんの家さー！」
「……」

　手足を伸ばして､ポーズまで決めて､思いっきりのドヤ顔｡
あー､ここに来るまでに考えたのかなー｡渾身のダジャレだったんだろうなー｡
でも､いつも通り滑っちゃうんだよね｡しょうがないんだけどもさ｡面白くはないし｡
　昨日の夜に彩ちゃんが見せてくれたお城シリーズの新ネタの方が､まだ面白かった｡

「あ､わかんなかった？イエッサーと家さーをかけたんだけど」
「そうじゃなくてさー……本番前なんだからもうちょっと集中しようよ」
「いやさー､お泊りが楽しくて楽しくて｡玲奈ちゃんも今度一緒に行こう！」

　無邪気に笑う珠理奈は､いつも通り､今まで通りの子供っぽい顔｡
成長してると思ったんだけどな｡実際そうでもないのかな｡背は高くなってるのにね｡
でもそんな珠理奈に安心してしまう｡成長とか関係なく､珠理奈の騒がしさと笑顔に安心する｡
この無邪気さがあるから､私も負けたくなくて､今まで頑張って来れたんだな｡

「んー？どしたの､玲奈ちゃん｡私のことジッと見つめて｡何か付いてる？」
「うん､付いてる｡調子付いてる」
「え!?何それ､どういうこと!?」
「教えなーい」
「ぶーぶーっ！」

　まぁ普通なら､勢いづいてるとかそういう意味だけど､もう1つの意味の方ね｡
超選抜さんのお家にお泊りしたからって､図に乗りすぎだよ｡珠理奈ってばさ｡
正直のところ､私も泊まりに行きたいなって思ってる｡楽しそうだし､手料理とか食べてみたいな｡
でも超選抜さんのお家だし､気使っちゃいそうで､思いっきり楽しめるかどうか……｡

「今度は玲奈ちゃんも連れてくからね！」
「でもー……」
「ダメッ！行くって言ったら行くんだから！首に紐付けてでも連れてく！」
「我がままだなー」
「ふふん､それが昨日学んだことだからね！」

　そ､そんなこと学んだんだ｡一体何があったんだろ｡
でも学んだことって言ったら私もあるのか｡彩ちゃんにも応援されてるし､もうちょっと胸を張らなきゃ｡
自信は､ないわけじゃない｡珠理奈に出来ないことをやってきたけど､お泊りなら私にも出来る｡
もうちょっと胸を張って言えば､自信持って見えるかな｡

「ま､まぁ行ってもいいよ」
「ほんと!?じゃあ行こう！」
「珠理奈の飼い主としてね」
「えっ！何それー！」

　あとで改めて､優子さんたちに御礼を言わなくちゃ｡それと､今度泊まらせてくださいって頼もう｡
珠理奈みたいに､胸張って「泊まりたいです！」って言えたら良いな｡珠理奈が言えたんだから､言えるはず｡
珠理奈が何かを学んだなら､私も学びに行きたい｡珠理奈に負けたくないから｡勝ちたいから｡

「ねぇ珠理奈」
「なーに？」
「頑張ろうね」
「え､何さ､急に！そりゃ頑張るけども！」

　珠理奈がいなくても胸を張れるぐらいに頑張ろう｡そして､珠理奈と一緒にSKE48のエースとして､頑張ろう｡
好対照で､性格も正反対だけど､2人で互いを補って､2人で互いを磨き合って､そんな風にこれからもいたい｡
2人だからこそ､出来ることだってあるから｡SKE48のために､今日も1日頑張ろう｡

あげ

大声ダイヤモンドいい曲だよね。
サビで小嶋さんの「あああ〜」がたまらん。

おはあげ

>>559
完全同意！！

泣いた
リクアワとかではじゅりな大声歌わせてもらえないもんな
もとは公演曲だからしょうがないのかもしれないけど

ノイエの握手会帰りだが泣けた

（ToT）ノ　ノイエ握手会裏山あげ

休日出勤あげ

>>559
そこかっ！(^◇^)
でもたしかにあれは重要。

今日の夜も楽しみ
あげ

あげ

>>563
ノイエ推しの俺は裏山すぎて泣きそうあげ

寝る前あげ

また明日から平日。。
げれども、あげ

２６

　夏の日差しが差し込む朝｡ギラギラと眩しいし､馬鹿みたいに暑い｡
"今年一番の暑さ"なんてテレビのキャスターさんが言ってた｡通りで暑いわけだ｡
うさみみさんもにゃーちゃんも､床にへばり付いてる｡動物だってこんなのは耐えられない｡
朝からのこの暑さに､私自身もソファにグダッと寄りかかってる｡

「みぃちゃんも手伝ってくださいよー」
「けどよー､この暑さじゃん……｡動くのもダルいよー」

　ソファに寝転んで､背もたれに足を乗せて､ファンの人には見せられない姿｡
まぁどうせ見てるのなんか由依ぐらいのもんだし､別にいいよね！アイドルだってこんなことするよね！
んで､由依はバルコニーに布団を運んでる｡折角の晴れの日だし､布団を干しちゃおうと言う訳だ｡
　今日はチームKのオフ日｡だって言うのに､特に何も予定がないんだよなー｡
美容室行くにも別に髪切ろうとか思ってないし､服買いに行くにも一緒にいるのが由依だしなー｡
最近はともちんや陽菜が矯正してくれたから､少しオシャレになったものの､やっぱり自分で買うものはセンスが偏ってる｡
いつまでも垢抜けないのが由依らしいといえば由依らしいけどさ｡
　え？優子はどうしたかって？優子なら､

「佐江と遊び行ってくるー！」

　とご機嫌に出かけていったよ｡2人は仲良いからなー｡今日も2人で遠出してくるらしい｡
鎌倉観光だってさ｡オフ日に旅行かー｡それも良いよな｡何で早く思い付かなかったんだろ｡
優子やあっちゃんや麻里子様の行動力､羨ましいよねー｡私も欲しいなー｡
ちなみにちなみに､たかみなはテレビの収録､陽菜はCM撮影で､りのりえは取材だったかな｡

「なら私達も出かけましょうよー」
「どこにー？」
「うーん､そうですねー｡今からならどこかにショッピングとか」
「ショッピングねー……」
「私買いたいものあるんですよ」
「えー？何買うんだよー」
「前田さんの誕生日プレゼント買わなくちゃ」

　まだ買ってなかったのか｡もう誕生日は明日だって言うのに遅いなー｡
私はいつだって準備は早めにするからね､撮影の休憩中に既に買ってあるのさ｡
何と言っても初期メンだからね！時間の使い方は熟知しちゃってるんですよ！
たかみなと一緒に､この前の総選挙選抜の撮影の時に買いに行ったんだ｡
だけどさ､私はすぐに決めたのに､たかみながいつまでも悩んでて困った困った｡
お昼ごはん食べる時間はほとんど無かったし､もうちょっとで撮影に遅れるとこだったし､悩みすぎなんだよなー｡
んで､たかみなに直接聞いてみたんだ｡そしたら

「だって敦子のためだから」

　って超真剣な目で選んでたのをよく覚えてる｡本当にもうねー､たかみなはあっちゃんのためにマジ過ぎるんだよなー｡
そりゃたかみなが男らしいって言うか､紳士なのはわかるけどさ｡ジュースとか何も言わずに買って来てくれるし｡
あんな真剣な目で私のプレゼントも選んでくれたらいいのに｡たかみなの愛が私も欲しいぞー！もっと構ってくれよー､たかみなー！

「ソファの上でじたばたせんといて下さいよ｡埃立つから」
「ごめん」

　後輩に怒られた｡たまに怖いんだよなー､由依って｡
短気なのは知ってたけどさ｡さっしーが調子乗った時とか､本当にグチグチ言うんだもん｡
あー､怒らせちゃいけないなーって思った｡でも怒らせるのがさっしーなんだよな｡

「しょうがねぇ､手伝ってやるか｡プレゼント買いに行くんだろ」
「どうせ私らだけじゃ､お昼御飯もまともに作れないですしね」
「うわー､それは一番否定できないなー」

　優子も陽菜もいないんじゃ御飯は期待できないもんな
由依の料理もそれなりに美味しいけど､レシピが偏るみたいだし､私はそんなに美味しいの作れないし！
早めに布団干して､出かける準備でもするか｡さてと､どこへ行こうかなー｡ソファから立ち上がって､並んでる布団を手に取る｡
この匂いは､多分陽菜だな｡何か陽菜っぽい匂いがする｡どんな感じか？ほんわかセクシーって感じだよ｡

「何買うとか決めてんの？」
「うーん､そこなんですよね｡前田さんが何欲しいとか私､ようわからんくて」
「っていうか由依とあっちゃんってそんなに付き合いあったか？」

　まぁたまに一緒にいるのは見るけどな｡由依が選抜に入るようになってからは一緒に御飯行くこともあるし｡
あっちゃんが陽菜やさっしー､たかみなに無茶ぶりだったりサディスティックなこと言うと､由依が爆笑してる｡
ツボの浅い由依だから､あっちゃんとしては笑ってくれるだけでご満悦なようだ｡

「まぁそこそこって感じですかねー｡でも去年の誕生日にプレゼント貰ったんで」
「え!?あっちゃんに貰ったってお前､スゲーじゃん！」
「はい､眼鏡似合うねーって伊達眼鏡貰いました」
「へー良いじゃん｡そういやたまに眼鏡掛けてるな､最近」
「前田さんに色々貰ったんでー」

　そういや去年､あっちゃんってレーシックやって視力がよくなったんじゃなかったっけ｡
まさかそれで用済みになった眼鏡の数々を､レンズだけ変えて由依に上げたんじゃ……！
あっちゃんのことだからありえなくはない！……けど､まぁ由依自身は喜んでるみたいだし､良いか｡

「何あげるかは行って悩めば良いか」
「そうですねー｡今はどこに行くかを悩まんと」

まぁどうでもいい事だけど、俺がそろそろ更新くるかなって見ると大抵その三分くらい前にちょうど更新されてるのが嬉しい（笑）

>>574
オレはまだまだその境地にはいない。
今回の更新も、じつは夜の９時くらいから
今か今かと待っていた。

作者さん。ありがとう。今回も日常がかわいい。

メガネ写真集発売からのネタ？

コメントありがとうございます(ΘωΘ)

>>576
マジレスするとペラオMVですｗ

作者さんありがとう(бвб)

　そんな感じで由依と一緒にフラフラやってきたのはギロッポン！いやいやいや､イメージと違うとか言うなし｡
私らだって六本木くらいくるっての｡そりゃ夜に来るとなるとイメージ的にチャラオさんって感じだけどもね｡
お昼ならヒルズとかミッドタウンとかあるし､ショッピングだってできんだぜ！家からもそんなに時間かからないし｡
　渋谷原宿でも良かったんだけどさ､たまには違うところもいいなってことだよ｡下北も行きたかったけど､あっちゃんってイメージではないし｡
と言ったのが由依なんだよね｡別に私は何処でも良かったんだけどさ､由依がちゃんとした場所行きたいって言うから｡

「渋谷も原宿もちゃんとしてると思うけどなー」
「いや､何て言うんですか？もっとピシッとした感じがえぇなって思て」
「それなら丸ノ内とか」
「丸ノ内は､私のレベルじゃまだ行けませんよ！」

　由依のレベルが一体いくつなのかは知らんよ｡
っていうか街にレベル付けんな｡聞く人が聞いたら批判食らうぞ｡
まぁ私としても丸ノ内はレベル高いなって思う｡住宅地で言う自由が丘的な｡
　ヒルズの中を歩き回りながら､目に付いたお店に入ってみる｡

「うわっ！シャツだけでこんなにするんかぁ……､桁違いやな」
「確かに高いけど､こんなもんじゃねーの？本格的なブランドってさ」
「やっぱり場違いやったかな､私……」

　うん､場違いですよ！ゆいはん！決してノーブランドのお財布で来るなとは言わないけどさ！
でも由依は由依なりに､あっちゃんに何をあげたらいいかちゃんと考えてるんだろう｡
あっちゃんや麻里子は着飾ることに余念がないからね｡そういう感覚は私達とはレベルが違う｡
麻里子はいつもあっけらかんとしてるから､自分が気に入ればどんなものでも良いってタイプ｡
あっちゃんは身に付けるからには半端なものは許さないってタイプ｡そしてただのイメージ！どん！
って､だからこれじゃあ指原じゃねーか！たまにキャラ被るんだよ！こんなとこまで被せたくねぇよ！

「別にそこまで高いもの選ばなくてもいいじゃん」
「ダメです！あんなに沢山眼鏡貰ったんですもん｡それなりの物で返さな」

　真面目だなー｡まぁ真面目が撮り得の由依だもんな｡
そこは大人しく見守ってやるかー｡同い年って言っても､先輩だし｡

「ってかさ､服にこだわる必要もないし色々見て回ろうよ」
「うーん､まぁそうですねぇー」

　あー､そうそう私はフォークとスプーンのセットを買ったんだ｡持ち歩けるやつ｡
あっちゃんはよく食べるからね｡本当によく食べるし､何でも食べる｡あれであのスタイルを貫くところが凄いね｡
プロ意識とプライドはとても高い｡けどとてもマイペース｡それがうちの絶対エース｡あっちゃん｡

「由依はさ､普段はどういう風に選ぶの？プレゼント」

　とりあえず､何か良さ気なお店はないかと､2人で歩いてみる｡

「そうやなー……｡たかみなさんの時は案外好きそうやなって思て猫のぬいぐるみ｡こじはるさんは使ってる姿を想像して抱き枕」

　干してる布団の中に抱き枕があったっけ｡低反発で抱き心地良さそうなやつ｡
たまにリビングで陽菜が抱いてるやつ｡あれは由依からのプレゼントだったっけか｡結構嬉しそうに使ってるんだよな､これが｡

「そんで､里英ちゃんには莉乃ちゃんとこじはるさんを真似てペアウォッチ」

　そう言えば話して無かったかも｡きたりえの誕生日のこと｡
陽菜が風邪引いたり､珠理奈が泊まりに来てたりしてたからすっかり忘れてた｡

なるほど。
レスありがとう。

MV 改めてみなおした。
今まで胸と脚しか注目しとらんかったw

寝る前あげ

あげ

あげ

age

落ち込んだ気持ちをあげるためにこっちもあげ！

昼ごはんはカップ焼きそばと白飯あげ

あげw(ﾟoﾟ)w

あげ

　6月24日｡りのりえの喧嘩の数日後｡たかみなの誕生日同様にちょうど皆夜にお仕事が無く､お祝いしたんだ｡
まぁK公演があったから､公演が終わってからね､もちろん｡公演は何てったって､私達の命だもんでね｡
特別ゲストは大家のしーちゃんと高城あきちゃ｡2人とも､きたりえの誕生パーティーやるって言ったら喜んで来てくれた｡

「っていうか何や！この部屋！しーちゃんも住みたい!!」

　しーちゃんは大声上げながら興奮してたな｡初めてだと皆同じこと言うから慣れたもんだ｡
あきちゃも驚きはしてたけど､基本的にはうさみみちゃん達と追いかけっこしてた｡

「やっぱり可愛いですねー､うさみみちゃん」
「でしょー｡今度はあきちゃのお家のワンちゃんも連れてきてね」
「勿論ですよー」

　天然まったりマイペース｡はるなとあきちゃの会話は聞いてて何か眠くなるんだよねー｡
折角だから小森も呼ぼうと思ったんだけど､渡り廊下のお仕事があるからごめんないだってさ｡
　たかみなの二番煎じだけど､パーティーはサプライズ｡ミッションネーム「Choose me!」｡
別に毎回毎回ミッションネーム付けてるわけじゃないからね｡たかみなの時に麻里子に褒められたからってさっしーが調子乗ったんだよ｡
そんな今回の作戦は皆お仕事だったり予定があるから家には帰れないと言って､お家には仕事から帰ってきた､きたりえが一人ぼっち｡
ロマンチストで記念日にこだわりのあるきたりえは､一人ぼっちが淋しくなっちゃうわけだ｡
淋しくて淋しくてしょうがなくなったところで､どこからともなく､お家の中に隠れてた私達登場！
　実際は淋しくなっちゃったのはさっしーと由依なんだけども｡

「も､もう耐えられん！あんな顔のりっちゃんを一人ぼっちなんて！」
「うー！私も胸のこの辺がキューってなります……」
「お前ら､もうちょっと耐えろよ……」
「ぐぬぬっ､あー!!もう我慢出来ん!!」

　バルコニーで十分に隠れられてたのになー｡まぁタイミングなんて正直いつでも良かったんだけどさ｡
さっしーと由依が部屋に飛び込むのと同時に､ケータイで各部屋やシアタールームに隠れたほかの皆に連絡｡
皆が続々と現れた時のきたりえの顔ったら､本当に面白かったなー｡

「えっ？えっ!?何でっ!?」
「りっちゃん､ごめんね！」
「ごめんなさい､里英ちゃん！」

　ってさっしーと由依に抱きしめられながら､きたりえはボロ泣きだった｡
サプライズは大成功で､たかみなも優子も満足そうだった｡もちろんあきちゃもしーちゃんも｡
用意してた料理もたいらげて､ケーキも食べて､プレゼントを渡して本当に良いパーティー｡

「最高のパーティーだった！でも淋しいから1人は勘弁してください！」

　きたりえの占めの言葉に皆で爆笑して､夜は更けていったのでした｡

「使ってる姿を思い浮かべて選びますかねー」
「じゃああっちゃんのもそれで良いじゃん」
「とは言っても……何も思い浮かばないんですよ」

　わからなくはない｡
あっちゃんが普段皆の前でやってることと言えば「食べる･寝る･ケータイいじる」の3つだから｡
あとはたまに歯磨いてるぐらい｡私達が家でやるようなことを控え室でやってるんだよねー｡
マイペース過ぎるのがあっちゃんの良いところであり悪いところ｡円陣の時ぐらいは控えてほしいかな｡

「生活感あるんだかないんだかわからないもんなー」
「そうなんですよー」

　あっちゃんの趣味って言ったらなんだろうな｡
映画見ること？でもDVDとかあげるのってさ､持ってるかもなー､見ちゃったかもなーって思うと選びづらいんだよな｡
食べ物食べること？それは私がプレゼントに選んじゃったし､作るのも好きみたいだけどなかなか時間ないだろう｡
ペットってのもあるか｡動物好きだもんなー｡でもペットを贈るのはさすがに無理だよなー｡

「ペットの首輪とか？」
「でも前田さん家のペットの数が……」

　んー､そう言えば今は何匹になったんだっけ……｡最近もう1頭増えたような……｡
しかも数多いから首輪1つじゃ足りないし､そうなると結構値段もかさんじゃうからな｡
これは結構悩むなー｡まぁ正直自分は買ってあるから悩まなくてもいいんだけどね｡
しかし隣で由依がこんな思案顔だと､一緒に悩んでやらなくちゃなーって思う｡

「こうなったら八橋でもあげちゃえ」
「いや､それはあかんでしょ！」
「高級なやつを取り寄せて､宇治茶とセットでなんと4980円！」
「何処の通販番組ですか､ふははは！」

　お綺麗なマダムや楽しそうなカップルが集まるヒルズの中に､由依の笑い声が響く｡
こっちまで笑っちゃいそうなぐらいに響く｡いや､響きすぎだろ！そして周り振り向き過ぎ！
私達みたいなパンピーに名が知れてるんだか知れてないんだかわからないメンでも､これは注目されるぞ！おい！
目立ちたがりの私でも､さすがに恥ずかしくなって由依の手を取って駆け出した｡

「馬鹿っ､笑いすぎなんだよ！」
「だ､だってみぃちゃんが」

　ほんと､ツボ浅過ぎるんだよ､こいつは｡まだ腹抱えてるし｡
しかし本当に通る声をしてるなー｡発声練習もしてないのにあんなに響くんだから｡
羨ましいぐらいなのに､普段はあんまり喋らないから勿体無い｡もっと前に出ればいいのにな｡
周りが前に出過ぎってのもあるかもしんないけど､この控え目な性格直せば目立つだろうに｡
　由依の手を引いて立ち止まったのは本屋さんの前｡

「さすがにここは静かにしろよ……」
「あ」
「え？」
「前田さんってたまに本読んでませんか？」
「んー？まぁまぁ､ごくたまに……」

　お泊りの時とか読んでた気がしないでもないな｡
基本的にDVDプレイヤーで映画見てるけど､見る映画が無くなった時とか本読んでるかも｡
布団に寝転がりながら読んで､そのまま寝ちゃってる時があった気が……｡私もうとうとしてるからよく覚えてないけど｡

「よし､決めましたよ！」
「えっ､いきなりだなっ！」

ゆきりそ→たかみな、あっさん、ともちん
って話すとき敬語？

すみません。わかりませんが、
基本、ゆきりそは乱暴な言葉を使うことはない気がします。
イメージとしては、先輩には敬語なのではないでしょうかねぇ。
詳しい人、お願いします。

作者さん、がんばってください！

あげ

>>591
その質問だけでワクワクです

答えます。
ゆきりんはその3人には敬語です
ただしたかみなとあと優子さんにはツッコミではタメ口な時を何度か見ましたよ

作者さんいつもありがとう 頑張って下さい

>>591
前スレの
しーちゃん
ゆきりん
絡みの情報提供貼り直しておきますね



514 : 名無しさん＠お腹いっぱい。 : 2011/10/15(土) 23:33:09.74 ID:8UnOHtYs0 [1/1回発言]
>>510
乙です
>>511
古くは研究生時代のしーちゃんが優子ちゃんの優しさを
「あれは出来るオトコのやり口ですよ」
って言ってたね

旧Kメンがサプライズでしかもかなり粋な方法で誕生日祝ってくれて
それが実はその日不在だった優子ちゃんの発案だったってことを
だいぶ経ってから分かったという 本人一切そんな素振り見せないで
しーちゃんが入る前から憧れてたKKを主役にしたって話

長文失礼しました


894 : 名無しさん＠お腹いっぱい。 : 2011/11/04(金) 03:12:50.84 ID:9TkuE4Et0 [1/1回発言]
ゆきりんきたああああ〜
なんて俺得な展開

>>189
更新乙です いつも読んでます！

作者さんへ参考情報です
よかったらご参考に

ゆきりんと7人の関係
ゆきりんの呼び方で

・たかみなさん → ラジオで急接近 キャプテンとしてのアドバイスもくれたし、
アイドルとしても高く評価してくれている

・みぃちゃん → 昨日キスしてた 多分オリメンでゆきりんが一番気を使わない相手

・小嶋さん → 同じアイドル好き 秋祭りでカラオケ2曲共演

・優子ちゃん →ゆきりん曰く「 優しさが素直じゃないからお姉ちゃんじゃなくお兄ちゃん」
ちなみにゆきりんの相談相手はママと優子さん ちなみにゆきりんが入って間もなくそのプロ意識を高く評価してくれたのも優子さん

・指原、さしこ → 同じドルヲタ 同じ夢を追って九州から出て来た盟友 ゆきりん弄りの第一人者
ちなみにさしこの命名はゆきりん

・きたりえ → 実は大の仲良し ゆきりんが珍しく仲良しアピールをする相手でありB公演MCでは罵り合える仲

・ゆいはん、ゆい、京都 → ショッピング仲間 気を使わず行ける間柄 ゆいはんから誘うらしい


以上スレ汚してすいません お邪魔しました

>>591
いつも乙です
最高です

>>594>>595
GJです

「今でも不思議なんですよねぇ」
「何が？」

　ヒルズでリッチなランチ｡……といけたらどれだけいいことか｡特別な日でもないのにさすがにそんなことは出来ない｡
そりゃ少しぐらいはリッチなランチもしたいけどさ､私達だってそんなに稼いでる訳じゃない｡国民的アイドル？
うーん､まぁそうなのかもしれない｡けどまだまだ未成年だからねー｡何か生意気な感じするし､マナーとかに気使うの苦手なんだよ｡
　由依が選んだプレゼントを買って､ギロッポンから離れ秋葉原へ｡
劇場の近くのお店だと､店員さんとも顔見知りだし､あまり気を使わなくて済むんだよ｡ゆっくり伸び伸びできちゃうぜ！
ランチタイム過ぎれば人も少ないし､公演まではまだ時間あるからファンの人達の目も無い｡御飯ぐらいはゆっくりしたいもん｡
海老の冷製パスタ｡やっぱり夏は冷製に限るね！そして1年中海老に限るね！美味いっ！シュリンプ！

「皆さんと暮らしてるの」
「そうか？確かに皆で暮らすってのはなかなか無いけどさ」
「そうやなくて､AKBの人気メンと暮らしてるって凄いなって､思て」
「まぁ他の皆はともかく､私はそうでもないだろ」

　メディア選抜には入りたかったけど､今年の総選挙も無理だった｡
ファンの人達にはもちろん感謝してる｡私なんかのために､時間とお金を使ってくれるんだから｡
生々しい話だけど､そういうことだもんね｡申し訳なくもあり､もちろん嬉しくもある｡
でも､それでもメディア選抜には入れなくて､自分の力がないんだなって､つくづく思った｡

「みぃちゃんかて､選抜の常連さんやし､人気メンですよ」

　恵まれてるってことは認めよう｡
いくら頑張っても認められないことだってあるんだ｡贅沢は言わない｡
とは言え､メディア選抜目指すって言ってる時点で贅沢か｡

「2年前まで研究生で､その前は京都に住んでて｡憧れてた選抜の皆さんと､今こうして話してるんやもん」
「憧れってお前……」
「だって､ずっとテレビの前で見てた皆さんが目の前に居るんやもん｡一緒に暮らしてるんやもん｡不思議でしゃあないわ」

　確かに､今では当然のようにテレビに出させてもらったり､メディアに出演させてもらってるけど､思えば不思議だな｡
子供の時に夢見てた芸能人､テレビに出る人に､自分自身がなってるんだから｡自分がテレビに映ってるんだからさ｡
実家に帰ると弟が「みなみねぇね､この前のあれはないわ」とか笑って言うんだぜ？私､見られてんのか！って感じ｡
　テレビって不思議な世界だよね｡現実が映し出されてんのに､現実とはかけ離れてるんだから｡

「まさか前田さんの誕生日プレゼント選ぶようになるなんてなぁ」
「由依も立派な芸能人ってことだろうな｡不思議の国の住人だよ」

　2年前とか､何年前とか関係はない｡
昔は昔で､今は今｡由依も今となっては立派な仲間で､友達なんだから｡

「そういや最近､ダンス上手くなったよな」
「えっ！ほんまですか!?やった！」
「何？練習でもしてんの？」
「はい､梅田さんに色々教わってるんですよ！」

　得意気に､ドヤ顔の由依｡そう言えばゴールデンウィークの後に梅ちゃんと御飯に行ったとか言ってたな｡
それ以来､K公演やレッスンの時に梅ちゃんと話してるのを見るようになった｡あれは色々教わってたのか｡通りで動けるようになったわけだ｡
由依の夢は歌手だから､やっぱり好きこそ物の上手なれってやつで歌唱力を鍛えていたけど､ダンスまで上手くなってやがる｡

「歌もダンスも表現力ですからね｡学べるものは学びたいですし｡それにもし卒業になってもならなくても……これからの自分のタメにはなるし」
「へぇー……」

　正直に感心してしまった｡同い年なのに､結構なこと考えてんだな｡
そりゃ､卒業を言い渡されたら無我夢中にもなるだろう｡壁があってこそ､超えるために成長するんだから｡
それに比べて私はどうだ｡壁を越えるというよりは､上り坂を登ってるって感じだ｡決して平坦な道じゃない｡
けど､何も考えなくても上ろうと思えば上れる｡歩は進められる｡成長してるのかわからない｡

「すげーな､本当に同い年かよ……」
「そうやよ｡でもまだまだみぃちゃんや莉乃ちゃんには追いつけませんねぇ」
「そうかぁ？ぐいぐい来てるだろ」
「だって芸暦は全然違うんですから｡みぃちゃんとは4年で､莉乃ちゃんとは2年かな？その差は､どうあっても埋められんもんですから」

　しっかりした19歳ですこと｡私も19歳だけど､こんな大人になれないな｡
いつも隣にはたかみなや陽菜がいて､あっちゃんや麻里子やともちんがいて､その中でも私は年下だから甘えてばかり｡
私も大人にならなきゃって思うけど､周りに大人がいるとどうも上手くいかない｡さらに年下のなっちゃんだって､懸命に頑張ってるのに｡
　1人での仕事の時は､バラエティ番組も雑誌の撮影も､AKB48にいる時のことを思い出してやってる｡結局上り坂｡
ただ､AKB48にいる時ほど切り込んではいけないんだ｡ホームじゃないから｡ホームにいるべき仲間がいないから｡
壁は越えなくちゃとは思うんだけれど､心のどこかで期待してる｡たかみなや陽菜が壁を越えてくれて､上から引っ張ってくれるって｡
いつか私も､1人で超えなきゃならない壁にぶち当たる｡それまでに､超えるための力をつけなくちゃ｡

　バルコニーに綺麗な西日が差し込む午後4時半｡夏だから十分に日は高く､沈むまでにまだ結構な時間がある｡
干してあった布団や枕を日が沈む前に取り込まなくちゃってことで､お昼を食べてちょっとぶらついてから帰ってきた｡
最初はどうなるかと思ったけど､由依とのショッピングも結構面白かったな｡

「フッカフカやー」
「お日様の匂いってこんな感じかー」

　取り込んだ布団に､ボフッと思い切り飛び込む｡低反発なわけじゃないのに､ゆっくりと身体が綿に沈み込む｡
やべぇー｡結構歩き回って疲れたからか､このまま眠っちゃいそうだ｡まぁそれも悪くないんだけど､夕飯の準備もしなくちゃ｡

「皆さん､お仕事で忙しいんですから私達で晩御飯作りましょ！」

　って由依が言い出して､しょうがねぇな､やってやるかってことで材料も買ってきた｡
いつまでも優子や陽菜に頼るのもあれだもんな｡小さいけど､これも越えるべき壁かもしれないし｡
私も今年で二十歳なんだから､料理の練習もちゃんとやらなくちゃ！エビフライ作るぜ！あとエビチリ！
また海老かよっ､とか言わないでね｡それぐらい私は海老ちゃんが好きなんだよー｡最後の晩餐に選ぶなら海老！
　横では陽菜の布団を嗅いでるうさぎちゃんとみみちゃんがいた｡
クンクンと鳴らすように鼻先を動かして､ご主人様の布団とわかるや否やその上に乗って横になる｡

「うおぉっ！可愛いー！写メ撮って陽菜に見せよっ！」
「そうですねぇ……」

　ん､と振り向くと由依が布団に身体を預けたまま目を瞑っていた｡由依も疲れてたのか､寝る気満々｡

「寝るな！寝たら晩飯抜きだぞ！」
「うぅっ……それは嫌やー」
「起きろーっ!!起きるんだーっ!!」

　と言いつつ目を瞑ってみると､あら不思議｡ガチで眠くなってきた｡
このまま寝ちゃったりしてねー｡晩御飯が本当に抜きになっちゃったりしてねー｡もう皆にもメール送っちゃったのにねー｡
優子だけは「佐江と食べるから作らなくていいよー！ありがとう！」とのことだけど､他の皆の分がー……｡

「ここで作らなかったら､きたりえ怒るなー」
「そ､それはあかん！早く作らないと！」

　由依がバッと飛び起きた｡そりゃぁもう､ネックスプリング並みにバッと｡
おー､やるなー｡特技が器械体操なだけある｡って言うかきたりえに対して本気かよー｡
私も起きなくちゃー……｡この睡眠欲も一つの壁だぞ｡起きろー､私ー！

「あ､にゃーちゃん」
「え゛っ!?」

　尋常じゃないぐらい早く反応した身体｡反射神経ってやつだろうか､身体の不思議｡
起き上がると､にゃーちゃんがリビングに現れていた｡うさみみちゃん達同様に飼い主の布団に寄ってくる｡
こっち来んなーっ！口と鼻を両手で押さえながら､駆け寄ってくるにゃーちゃんの脇をすり抜ける｡
あー､勢いでキッチンまで来てしまった｡何て野郎だ､あの眠気から私を起こすなんて……！よくも封印を解いてくれたな!!

「可愛えぇなー」

　布団の上で転がるにゃーちゃんとそれを撫でる由依｡くっ！見てるだけで鼻がムズムズするー！
ふん､まぁ起きてしまったからにはしょうがない｡夕飯作ってやるか｡大して作ったことの無い私だけども｡
挑戦するからには絶対に美味いって言わせてやる！よっしゃ､壁越えるぞー！

>>592-596
ありがとうございます(*｀ω´)
参考にさせていただきます！

みぃ推し歓喜！
みなみねぇねまで出るとは！

ゆきりんってイケパラであっちゃんと仲良くなってからは
前田さんじゃなくてあっちゃんって呼んだりしてるよね？（ブログとかには前田さんってよく書くけど）

ゆきりんはみんなに丁寧なタメ口でしゃべってるイメージかな〜？

いろんなメンバーを書いてると
いろいろ難しいと思いますが頑張ってください！

相変わらず面白い！
個々のメンバーの想いとか決意が今後の伏線になると思うと楽しみ
けどなっちゃんとみいちゃんは同い年だった気が…

ほしゆ

朝あげあげ〜

(ρω-)。°

　　ｵﾊﾖｰ!!
　　　　∧∧ ∩
　　　 (`･ω･)/
　　　⊂　　ノ
　　　　(つノ
　　　　 (ﾉ
　＿＿_／(＿＿_
／　　(＿＿＿／
￣￣￣￣￣￣

あげ

あげ

夜あげ

２７

　避暑地でも夏は暑いな｡日差しのせいだろう｡
そりゃ涼しい時もあるし､都内よりはいくらか涼しいけどさ｡でもやっぱり夏は夏｡
四季を感じれるのは日本のいい所｡暑さも寒さも､桜や海や紅葉､雪だって｡
嫌いじゃないなー｡特に夏はいい｡だって誕生日があるもん｡皆がお祝いしてくれる｡

「まぁ､そんな皆はいないんだけどね｡ね､ゆきりそ」
「はぁ……､まぁしょうがないんじゃないですか？お仕事じゃ」

　折角の誕生日にお仕事か……なんて文句を言ったら切りが無い｡AKB48に入ってからは毎年のことだし､もう慣れた｡
っていうか誕生日にお仕事の人なんて五万といるよね｡祝ってくれる仲間がいるだけで､十分すぎるし満足だ｡
さっきも撮影の後にスタッフさん､メンバー共に皆が祝ってくれた｡嬉しかったなー｡ケーキも美味しかったし､スタッフさんからプレゼント貰っちゃったし｡
　山梨県の某避暑地｡日本一の山､富士山の見えるいい所に誕生日当日はいるわけですよ｡
メンバーは去年の総選挙から神8って呼ばれるようになった8人｡私､ゆきりそ､優子､麻里子､ともちん､にゃんにゃん､まゆ､そしてたかみな｡
いわゆる超選抜って言われてるメンバーだよね｡超って呼ばれるのも神って呼ばれるのも､個人的には何だかなーって感じする｡
神様だったらとっくに世界征服しちゃってるっての｡この世を思い通りにしちゃうよ｡うぇっへっへっへ｡

「っていうか来る前に由依ちゃん達に貰ったって言ってませんでした？プレゼント」
「まねー｡貰っちゃったー｡そう言えば何だろ」

　すでに布団の敷かれた和室｡布団に飛び込むようにして､自分の鞄に飛びつく｡
今日のお部屋はゆきりそと一緒｡あとたかみなとまゆ｡もう1つの部屋に優子とともちんと麻里子とにゃんにゃん｡
で､今はゆきりそと2人っきりー｡たかみなはこそこそとお風呂に行っちゃった｡まゆはー､どこかで優子とじゃれてんじゃないかな｡
　今朝､出発の前に見送りに来てくれた由依とみぃちゃんからプレゼント貰っちゃった｡
朝早かったのにわざわざ来てくれて嬉しかったなー｡みぃちゃんはさすがだ｡由依は出来た子だね｡

「さっしーときたりえはー？」
「あー､2人なら家でぐっすり寝てますよー」
「あいつら……」
「あ､前田さん｡誕生日おめでとうございます」

　そう言って由依がくれたのは水色の包み紙とリボンに包まれたプレゼント｡
わーい､やっぱりプレゼント貰うと嬉しいなー｡でもやけに軽い｡軽いしそんなに大きくない｡
その時は出発まで時間がなかったから開けられなかった｡中身が気になるし開けてみよー｡

「結構小さいんですね」
「掌サイズ？文庫本ぐらいかなー」

　私の掌よりは大きいかなってぐらいの包み紙｡
端のテープをちょっとずつ剥がして､包み紙を開けてみる｡

「前田さんって､そんなに几帳面でしたっけ」
「えー､何かさー､包み紙とか途中でビリッて破れんの好きじゃないんだよねぇ｡折角貰ったものだし」
「さすがA型」

　ゆきりそと仲良くなったのは､ここ1年で急激にかなー｡
去年の夏｡ちょうど今頃か｡一緒にドラマに出てさ､撮影現場でも一緒にいることが多かったんだよね｡
それまではあんまり話さなかったな｡チームも違うし､あんまり共通点もないし､そんなに興味もなかったし｡
でも色々話すようになって､ゆきりそのことを知って､もっと話したいなーって思うようになったんだー｡
　ゆきりそってねー､凄いんだよー｡アイドルっていうものの考え方が私なんかと比べ物にならないんだー｡
プライドが高いのとは違って､"アイドルとしての自分"っていうのを持ってる｡持論って言うの？それともちょっと違うなー｡でもとにかくすごい｡
歌も上手いし､ナイスバディーだし､リアクションも上手だし､しっかりしてるけどたまに変だし｡キャプテン任されるだけあるね｡

「……たまに変って？」
「うーん､何か変」
「いやいやいやっ！わかりませんって！」
「もっちぃとあきちゃとユニットやってるのも凄いよ」

　同じチームと言えど､あの2人との会話は難しいからねー｡
あきちゃはさっしーの通訳ないと難しいし､もっちぃは……うん｡もっちぃは強い子だね｡
　と､ゆっきり剥がしてたテープが全部剥がれた｡包み紙を丁寧に剥がすと､中から現れたのは

「ブックカバー？」
「しかも本皮ですかね……｡結構高いやつなんじゃないですか？」
「へぇー｡いいな､これ」

　真紅のブックカバー｡なかなか素敵｡私が読書好きなの知ってたっけ｡
映画鑑賞に比べるとあまりしてないけど､でも本読んでると集中できるしいいよねー｡
ともちんなんかは「えー､なんか無理」とか言って私の本を2,3ページ捲るとこでやめてたっけ｡
　ちょうど今日も本持ってきてたんだ｡恋愛物の小説｡文庫本｡

「あー､ほんとに嬉しいー｡あとでメールしよー」
「あはは､すっごい嬉しそうですね」
「うん､嬉しい｡ゆきりんもくれたら良かったんだけどなー」
「……忘れてすみません」

フィクションだけど、、ゆいはんセンスいいな
ブックカバーときたか

「たっだいまー！」

　部屋の入り口の襖を開いて､ハイテンションにまゆが転がり込んできた｡
文字通り転がり込んできた｡布団の上で前転を2回3回と繰り返す｡18歳になっても､変わらないなー｡
超選抜メンでも一番の末っ子｡それにお母さんのゆきりそもいるから､テンション上がってるんだろうね｡
普段は落ち着いててお人形さんみたいだけど､弾けた時は本当にテンション高くて面白い｡

「こーらっ､まゆ！布団の上で暴れんなっ」
「ゆっきりーん！」

　転がったままの勢いで､携帯電話を見ていたゆきりそに突っ込む｡目がキラキラしてる｡
優子と一緒にまたおしりで遊んでたんだろうな｡おしりシスターズでいつも楽しそうで､たまに羨ましい｡
　障子戸のはまった窓際に寄りかかり､由依に貰ったばかりのブックカバーを本に付けて､早速読み進める｡

「お母さんお母さん！」
「お母さんじゃありませんっ」
「マミー！」
「英語にしろって意味じゃないっ！」
「ダ､ダディー？」
「何でやねんっ!!」
「ナイスバディー!!」

　まゆがゆきりその胸元に思い切り顔を埋めた｡おぉっ､大胆だねー｡
こうして見ると､本当に2人は親子みたいだな｡バランス取れてるし､気が合ってるし､掛け合いも面白い｡
　ちなみにまゆはここに来るまでのバスの中でプレゼントをくれた｡キャスケット帽｡
まゆのセレクトにしては随分と大人びた雰囲気で､早く家に帰って似合う服を探したいな｡

「それでどうしたの？」
「優子ちゃんが､星綺麗だから皆で見に行かないかって｡あっちゃんも行こ」
「んー？星？」

　開いた障子戸の隙間から夜空を見上げる｡しかし室内の灯りの反射でよく見えない｡
でもそうか｡避暑地って結構山の上だもんね｡都内よりはよく見えるんだろうな｡
何かもう少し部屋で本読みながらぼんやりしてたい気分と､気晴らしに見に行きたい気分が心の中でマーブル状態｡

「うーん……､もう少ししたら行くよ｡今小説が良いところなんだ」
「そっか､それじゃ後で来てちょ｡じゃあ行くか､母上様！」
「いや､昔かっ!!」

まゆゆきりん最強だな(￣▽￣;)

まゆゆきりんの掛け合い面白すぎです
作者様流石です

あげます

あげるしかない！

あけ

あーまた今日も１日が始まっていく…あげ

あげ

あ
げ

（・o・）ノ昼休みあげ♪

ひるねあけ

FNS歌謡祭あげ

ほし

　1人になると､部屋の中は静かで広い｡
都会の喧騒を離れた自然の中｡露天風呂のある温泉と､美味しい御飯｡
仕事が終わった後には最高だ｡それに畳敷きの部屋に布団を敷いて､すぐに横にもなれる｡
ゆきりそもまゆもいなくなった部屋の中に1人になって､布団の上に大の字に寝転がった｡
　総選挙から1ヶ月｡この1ヶ月は働きに働いた｡働き続けた｡よくやったね､私｡
唯一のオフの日も､風邪引いた陽菜の看病してたし､自分の時間がなかなか取れなかったな｡

「よく頑張ったね……」

　誰も褒めてくれる人なんていない｡働くことは当然のことだから｡
当然のことは誰も褒めてくれない｡いくら頑張ったって､誰も褒めてくれないし､慰めてくれない｡本当にクタクタだ｡
疲労も過労も忘れて､ただただ身体が重くて､目を動かすのもだるい｡別に体調が悪い訳ではないから心配御無用｡
1ヶ月間の疲れが､ドッと来ただけですから｡基本的に働き続けだから横になるとたまに来るんだ｡
　眠いなー……｡でもこのまま寝ちゃったら､星見にいけないなー｡麻友に行くって言ったのに……｡

「ただいまー」

　部屋の襖が開く｡ゆきりそや麻友が帰ってくるには､些か早すぎる｡
じゃあ誰かって言えば､もう1人｡たかみなだろう｡ようやく風呂から戻ってきたか｡

「おかえりー……」
「敦子だけ？ゆきりんと麻友は？」

　濡れた髪を1つにまとめて､顔はスッピン｡なかなか見ることの出来ないたかみなのスッピンだ｡
私でもなかなか見れないレアなたかみなだ｡メイクの代わりに黒縁の伊達眼鏡をかけてる｡
メイク落とすと印象変わるのは当然だけど､たかみなはより少年っぽくなる気がする｡可愛い｡
　たかみながこんなにゆっくりお風呂に入っていられたのも､この旅館に個室用のお風呂があったから｡
普通は家族とか､カップルさんしか使えないんだけど､たかみながどうしてもって言うから特別に貸してもらえた｡
この旅館は各部屋にお風呂が無いからね｡特別な日でもないのにたかみなが皆と一緒になんて無理だもんね｡

「優子達と星見に行ったー」
「え､星見えんの!?マジで!?どこどこ!?うわっ！マジだ！敦子も見てみろよー」

　大の字になってる私を跨ぐように､たかみなは窓に駆け寄ってバッと勢い良く開けた｡
窓から乗り出すように空を見上げ､子供っぽく顔を輝かせるたかみな｡ヒラヒラと手を振ってる｡

「動きたくない……｡っていうか暑いから窓閉めて」
「えー､そんなに暑いか？」
「虫も入るから」

　そう言うと､たかみなは渋々と窓を閉めた｡本当に素直だねー､たかみなは｡
まぁこれだけ素直だからこそ､いつも頼りに出来るんだ｡馬鹿みたいに素直だからこそ信頼をおける｡

なんか初期の絆あげ

もうすぐ明日だ
あげ

ＡＫＢ
6周年おめでとう
あげ

「敦子､大丈夫？」
「うん｡疲れが押し寄せただけ」
「そっか｡総選挙から1ヶ月だもんな」

　寝転がる私の横に腰を下ろすたかみな｡自分の鞄を引き寄せて髪留めで髪をまとめてる｡
私はクタクタなのに､たかみなは平気そうだなー｡キャプテンも結構仕事多くて頑張ってたと思うんだけど｡
メイクを落としても､目の下に隈はないし､肌が荒れてるような様子も無い｡

「たかみなは疲れてないのー？」
「敦子や優子ほどの仕事量じゃないもん｡平気平気」

　そう言って笑うたかみなの表情で､嘘じゃないことがわかる｡ただただ嬉しそう｡ただただ楽しそう｡
たかみながこうして笑ってるだけで､私は十分だ｡麻里子もともちんもみぃちゃんもそう言うと思う｡
にゃんにゃんもなっちゃんも同じ｡私達AKB48の初期メンにとっての心の支えだからね｡
いくら疲れてたって､ダメかもって思う時だって､たかみなの笑顔を見れば不思議と勇気が湧いてくる｡

「よしよし」

　たかみなが､私の頭を撫でてきた｡ちっちゃい手で優しく撫でてくる｡
こうして貰うのが心地良い｡身体はやっぱり重いけど､でも心は回復してくる｡
頑張ろう｡頑張らなくちゃ､ってそう思えてくる｡まぁ今日はあと寝るだけだから頑張らなくても良いか｡
このまま寝ちゃいたいけど､麻友との約束は守らないとな｡私だってそれくらいの責任感はあるってば｡
でもその前に､たかみなに一つ言っておかなくちゃ｡

「たかみなー」
「んー？」
「プレゼントまだ貰ってないよ」

　頭を撫でるたかみなの手がピタッと止まった｡あー､何だよー､気持ちよかったのにー｡
まだ貰ってないんだよねー､プレゼント｡たかみなのことだから早めに渡してくれると思ったんだけどさー｡
まぁ忘れたなら忘れたで良いんだけどさ､それならそうと言って欲しかったかな｡楽しみにしてたんだけどねー｡

「ほら､敦子」
「え」

　胸の上に小箱が落ちてきた｡由依に貰ったブックカバーよりも遥かに小さい｡
片手に収まる程度の大きさ｡握れるぐらい小さい｡上体を何とか起こしながら､箱を手に取る｡
たかみなの顔を見ると､頬っぺたを真っ赤にして､無表情｡たかみなが緊張してる時の無表情だ｡

「開けていいの？」
「……うん」

　何を緊張してんだか｡まぁ何となくわかるけどね｡にゃんにゃんが風邪引いた時に私が言ったんだっけ｡
プレゼントに良い物選んだら､一緒にいてやるって｡ずっと一緒にいてやるって｡もちろん私自身は冗談のつもりは無い｡
たかみなが本気で選んでくれたら､それでいい｡本気で選んでくれただけで､嬉しいもん｡
　まぁたかみなとしては､私にとっての"良い物"であるかどうか緊張してるんだろう｡可愛いやつめ｡
包み紙を丁寧に､焦らすようにゆっくりと開けると､ドラマとかで見そうなちょっと高そうな箱が出てきた｡
いや､あれだよ｡男の人がさ､ポケットから出して「結婚しよう!!」っていうときに出しそうな箱｡あれ｡
おいおい､まさかな｡一緒にいてやるとは言ったけども､そういう意味じゃねぇぞ､たかみなぁっ！
馬鹿野郎､馬鹿野郎､馬鹿野郎､馬鹿野郎､馬鹿野郎､馬鹿野郎､馬鹿野郎､馬鹿野郎､馬鹿野郎｡
私を動揺させやがって｡上等だ｡開けてやるよ｡なるような流れになってしまえー!!で､パカッと開けてみた｡

AKB48６周年､そしてらぶたんらんらんゆいはんおめでとうございます(*｀ω´)

なにわなでしこみながらあげ

かーらーのー？
あげ

「少しは裏切れよっ!!」

　開けて最初の第一声｡そりゃ声も上げたくなるさ｡ガチで指輪入ってんだもん｡
何だよこれ｡ネタで"たかみな＝男"っていうけどさ､本気でそう思ったことはさすがにないし｡
そういう趣味もないし､っていうかおぉぉぉぉいっ!!

「前田さーん？」

　んでタイミングが良いんだか悪いんだか､そのタイミングでゆきりそ入ってきたし｡
襖を開けて入ってきたゆきりそとバッチリ目が合う｡私､指輪､たかみな｡その心は？
ゆきりその目が大きく見開いて､そして何か答えが出たのかすぐに目を反らした｡

「失礼しました」
「待って､そうじゃないからっ!!」
「いえ､私は何も見てませんよ｡ちょっとケータイ取らせてもらえればすぐに行きますんで」
「だから違うっ!!たかみなも何か言えよっ!!」
「えっ!?何!?」
「何じゃねーよ!!とにかく､ゆきりそ!!誕生日プレゼント貰っただけだから!!ゆきりそがくれなかったものを貰っただけだから!!」
「……ごめんなさい」

　ゆきりそめ｡本当に厄介なタイミングだぜ｡いや､まぁ衝撃は収まってないんだけどね｡
指輪なんて一体どういうつもりだよ､たかみな｡いつまでも頬っぺた紅くして､緊張してる場合じゃないからな｡
この調子で麻友まで戻ってきたら本当に厄介なことになる気がしてならない｡

「で､何故指輪だよ」
「だって､指輪は約束の印って感じするじゃん」
「約束？」

　私の隣に正座してるゆきりそ｡別に座り方なんて気にしなくていいのに｡
まぁゆきりそは言っても気にする人だからね｡他人への気づかいはお仕事では大事なことだ｡
ゆきりその人気が安定してるのも､そういう気遣いが出来るからなんだろうって､私は思ってる｡

「ちょっとたかみなと約束したんだよ」
「……ゆきりん」

　たかみなの顔がちょっとだけ曇る｡
あんまり話題に出すべきじゃなかったかもだけど､ゆきりそにだっていつかは関わることだ｡
選抜にいるメンバーとして､AKB48を引っ張っているメンバーとして､話しておいて良いと思う｡
それに結構しっかりしてるゆきりそだから､たかみなを支えてくれるかもしれないな｡
　たかみなが思ってることを何で知ってるのかって？それぐらいわかるって｡運命共同体だから｡

「ゆきりんもAKBをさ､ずっと一緒に支えてよ」
「えっ」

　たかみなはずっとメンバーの卒業のことを考えてて､そして自分の卒業という壁が出てきた｡
でもそれで悩むことを表に出すことは今まで無かったのに､最近になって顕著に現れ出した｡何か別の理由で､原因で悩んでるんだと思う｡
それが何なのかまではわからない｡何なのかは知りたいけど､でも知ることは出来ない｡一度聞いたら「……話せない」と言われてしまったから｡
私自身､今までたかみなの支えになれていたと思っていたのにな｡それほどの悩みなのか､それとも口止めされてるのか｡
　ゆきりその右手に､自身の手を伸ばしてギュッと握り締めるたかみな｡ちっちゃい手が､ちょっとだけ震えてる｡

「ずっと一緒にいて欲しいんだよ……皆｡AKBに」
「ずっとって……」
「私とたかみなの約束だよ｡プレゼントをね､ちゃんと選んでくれたらずっと一緒にいるって」

　指輪｡ちょっと子供っぽい指輪｡決して大人っぽいとまでは言えず､可愛らしい｡
ピンク色のクリスタルがシルバーのリングを飾る｡たかみならしいな｡男っぽいのに､けど乙女｡
がさつだったり紳士だったりして､でも部屋は姫っぽかったりさ｡ほんとうにたかみなって感じの指輪｡

「たかみなさん､私はいますってば｡ずっと」
「ゆきりん……」
「アイドルでいることが私の夢ですから｡AKBでいることが私の目標ですから｡たかみなさんとずっと一緒にいますよ」

　そう言ってにっこりと笑うゆきりそ｡そうだよね､ずっとアイドルを目指して頑張ってきたんだもんね｡
私とたかみなとは違う｡ゆきりそはアイドルになりたくてAKB48にいるんだ｡その夢を叶えた｡そして叶え続けている｡

「キャプテンとして､一緒に頑張りましょうね｡あ､その前にたかみなさんが卒業はしないでくださいよ！」
「ゆ､ゆきりーん！」
「おぉー､どうしたんですかっ！」

　さっきも見たような光景だな｡たかみながゆきりそに思い切り飛びついた｡
今度は背の高さ的に親子っぽいな｡たかみなパパのお母さんだから､ゆきりそお祖母ちゃん？
　ゆきりそもやっぱり一人のキャプテンだな｡チームBを引っ張ってるだけのことはある｡
私達Aよりももっと笑顔の多いチームだから､キャプテンとして笑顔が増えた｡
私だったら真剣な表情で答えそうなところでも､安心の出来る笑顔を浮かべて｡
凄いじゃないか､ゆきりそ｡やっぱり皆､ただAKB48を過ごしてるだけじゃないんだな｡成長してるんだ｡

「っていうか前に同じ話したじゃないですか｡一緒にお局やりましょうよ｡ね」
「ゆきりーんっ､本当にもう……」
「はい」
「羨ましい胸してんなー……！」
「ちょいちょーいっ!!」

AKB6周年＆ゆいはん、らぶたんおめでとうあげ

>>637
らんらん忘れてたorz
マジごめんあげ( TДT)ｺﾞﾒﾝﾖｰ

たかみなとあっちゃんの絆あげ

おめでとうあげ

鈴蘭も誕生日なんだけどあげ

もうすぐ新戦略発表会あげ

　たかみなとゆきりんの漫才みたいな会話見て笑ったら､元気出てきた｡
立ち上がって思い切り伸びをして､3人で部屋を出る｡眠気もいつの間にか吹っ飛んだ｡
貰った指輪は折角だからと思って､薬指に付けてる｡右手のね｡左手じゃ問題だからさ｡
可愛いな｡やっぱりピンク色がたかみなっぽいなー｡宝石じゃないのがちょっと残念｡
　旅館から出ると､目の前に広がる駐車場に優子と麻友がいた｡

「おっ､やっと来たかー｡遅いぞー！」

　ケラケラと笑いながら､ブンブンと手を振る優子｡優子は何も変わらないなー｡
元気だけは人一倍｡最近は悩みがあるんだかないんだか､振りの切れがどんどん増している｡
これはウカウカしてられないな｡来年もまた総選挙があるなら､優子に差を付けたいな｡

「うわっ！敦子､上！」
「えーっ？」

　山に囲まれた旅館の駐車場から上空を見上げると､夜空が凄いことになっていた｡
一面の星々｡視界を埋めるほどに綺麗な星空が広がっている｡10個や20個どころじゃない｡
100個､200個､いやそれ以上｡まるで宇宙にでもいるような､そんな錯覚にまで陥る｡

「すごーいっ」
「日本でこんなの見れるんだなー」

　撮影でグァムやハワイに行ったときに見た星空は凄かった｡
急なスコールや曇り空でなかなか見れなかったこともあるけど､本当に凄かった｡
何が凄いってね､こんなに星があるんだって､自分はちっぽけだなって､感じさせられる｡綺麗にも程がある｡
　AKB48もこれぐらい人を感動させられるようになれたらな｡
国民的って言われたってまだまだ否定的な人もいる｡星空のように､全ての人を感動させてみたい｡
私はAKB48に人生を捧げることを決めている｡現役としていつまでやっていけるかはわからない｡
けど､私の目標だ｡そしてたかみなと約束したからには､ずっとAKB48にいたい｡AKB48のそばにいたい｡

「大自然には勝てないなー……」
「たかみなは本当にちっぽけだもんねー」
「うるさいやい」

　明日からもまた頑張ろう｡

ほ

あつみなかわいい。
これからこの小説の先が楽しみ。

もう小説と言ってしまいます。
いいでしょ。

作家さん上手いなあ。
登場人物たちが、いかにもそれぞれのメンバーが言いそう・やりそうなことをするから、
音声つきで映像が思い浮かぶよ。(^-^)

２８

　夏のコンサートが1ヶ月先に迫っていた｡7月はあっという間に終わりが近づいている｡
夏が本格的に始まり､気温がどんどんと上がる｡太陽は今年の最高気温をどんどん塗り替えていく｡
もちろん夜になっても気温が下がりきることは無く､暑くて暑くてしょうがない｡

「ふーん､きたりえ随分上達したじゃん」

　フローリングに飛び散る汗と､動かしまわる両手足｡全身を力の限りに動かす｡
リビングの窓を鏡代わりに､振りの練習｡今度のコンサートまでに振りを完璧に覚えなくちゃ｡
　ソファやテーブルを壁際に寄せて､優子ちゃんに指導してもらってる｡
莉乃ちゃんには負けてられない｡由依も梅ちゃんにレッスンしてもらって最近はメキメキと上達してる｡
一応1つ年上として｡そして選抜常連と言われる身として､ファンの皆さんに納得してもらえる技術を身に付けたい｡

「私が教えることなんかそんなにねぇんじゃね？」
「えーっ！何かアドバイス下さいよー！」
「まぁ強いて言うならぁ……本番で緊張しなきゃ大丈夫だろ」

　むー､折角頑張って覚えたんだけどなぁ｡莉乃ちゃんや由依に負けないように｡
この1ヶ月近く､仕事の休憩中もオフの日も､必死になって振り入れをした｡自分の手足に｡全身に｡
選抜曲だって､公演曲だって､Not yetの曲だって､今なら全部踊りきれる自信がある｡
作詞と並行するように､とにかく頑張った｡私は莉乃ちゃんみたいな度胸はないから､これぐらいやらなくちゃ｡

「もっと教えてくれると思ったのにー」
「私にそこまで期待すんなっての！私は振付師じゃねーから」

　ソファに寝転がる優子ちゃん｡今日も1日お仕事忙しかったのに､こんなこと頼んでちょっと悪かったかな｡
でもお互いにお仕事忙しいから､教えてもらう時間がなかなか取れないし､こんな時ぐらいじゃないと｡
　お仕事から帰ってきて夜の9時｡先に帰っていた優子ちゃんがリビングで1人､ゆっくりしていた｡他の皆は誰も帰ってきてない｡それぞれ仕事中｡

「撮影が思ったより早く終わってさー､でも何か疲れて出かけるほどでもないんだよなー」

　そう言ってリビングに寝転がってた｡駆け寄ってくるうさみみさんに手だけ伸ばして｡
ここ1ヶ月､総選挙の上位メンバー､特に優子ちゃんとあっちゃんはお仕事の量が凄かったもんな｡
莉乃ちゃんと事務所に行って､2人の仕事のスケジュールを聞いてビックリしてしまった｡
私達だってそれなりにお仕事増えたんだけどな｡まぁそんな2人と同じ事務所ってのは誇っていいよね！

「そりゃ完璧っていったら言い過ぎだけど､でもすげー踊れてるじゃん」

　こんな体勢だけど､優子ちゃんはいつも真面目に見てくれてる｡
それだけプロ意識は高いし､私達後輩の面倒見もいい｡本当に素敵な先輩｡

「ありがとうございます」
「きたりえー､頑張るのも良いけどもうちょっと余裕は持てよ」

　優子ちゃんはソファから立ち上がると､笑顔を浮かべて私の頭を撫でてくれた｡
私より全然小さくて､ちょっと手を伸ばしてて､先輩ながらに可愛らしいな｡
私もいつかはこれぐらい素敵な人になりたいや｡後輩に慕われるようなさ｡

「さーてと､飯でも作るかー」
「あれ､優子ちゃん御飯まだだったんですか？」
「なーんかだるくてさ」
「え､大丈夫ですか？」
「まぁな｡疲れただけ疲れただけ」

　そう言ってケラケラ笑う優子ちゃん｡そう言えばあっちゃんも最近疲れた感じだ｡
上位メンの皆はやっぱりお仕事忙しいんだろうな｡この調子でコンサートやって大丈夫かな……｡
って言うか､こんな調子の優子ちゃんに御飯作らせるなんていくらなんでも悪いな｡

「優子ちゃん休んでてください｡北原が作るんで」
「えーっ､大丈夫かよ」
「まぁ任せてくださいよ！これでも一人暮らししてたんですから！」

　自炊する時はちゃんとしてたし､それなりには出来るつもり｡
共同生活始めて以来､ほとんどキッチンには立ってないけど､でも大丈夫でしょ｡
食べる専門だと思ってた？まぁその通りですけど､先輩が疲れてるのに働かせる訳にはいかない｡
　冷蔵庫の中に食材は結構入ってる｡つい先日にこじはるさんが

「散歩がてら沢山買ったから好きに使って良いよー」

　とニコニコした笑顔で買ってきたものが沢山｡
うさみみさんの散歩ついでにスーパーまで行って買ってきたらしい｡
使いきれるのかもわからないのに買ってくるのが凄いけど､まぁそれがこじはるさん｡

「うん､美味しっ」
「おぉ､よかったー」

　作ったのは焼きそば｡お手軽にパッと作れて､野菜も多いから栄養も取れる！
美味しいし量もあるから好きなのさ｡ソース味も塩味もいいけど､醤油で味付け｡
隠し味はちょっとだけ入れたオイスターソースね｡これで味が深まる！

「焼きそばって言うから､焼きそばかよ……って思ったけど美味いじゃん」
「北原だって食べるのは好きだから､味にはこだわっちゃうんですよ」

　と､優子ちゃんは麺を飲み込むと大きく欠伸をした｡よっぽど疲れてるんだなー｡
本当に忙しくてしょうがない毎日だもん｡共同生活なのに家の中で顔を合わせる時間が少なくなってる｡
たまに誰かしら家にいないことやいることに気付かなかったりするからね｡みぃちゃんがいきなり現れてビックリしたこともある｡
夜中にリビングに来たら､帰ってきてないと思ってたみなみちゃんがソファで泥のように眠ってることもあった｡

「皆忙しくて何か心配だなー」
「んー？そうかー？」
「莉乃ちゃんも由依も寝不足みたいだし､優子ちゃんも隈まで作って」
「まぁちょっと忙しすぎるかもな……」

　そんな優子ちゃんにはいつもの覇気が無い｡食べ進める手もゆっくりだし､若干いつもより笑顔が少ない｡
実際メンバーは皆疲れてるはず｡麻里子様とこじはるさんはCMや雑誌で活躍中｡みぃちゃんと莉乃ちゃんはバラエティ｡
去年のじゃんけん選抜で一気に有名になったれいにゃんはテレビや雑誌にもよく出演するようになった｡
AKB48初の演歌歌手としてソロデビューしたわさみんは事務所の地方巡業で各地に出向いてる｡
他にもメンバーがAKB48として､SKE48､NMB48､HKT48としてそれぞれがそれぞの場でお仕事に奮闘している｡
人数が多くて誰がどんな仕事をしてるのかまでは把握しきれない｡けど48グループのいい所は人数が多いことにある｡
ラジオや声優や､皆がそれぞれの仕事に専念できる｡その間に他のメンバーが劇場を守ることが出来る｡
外の仕事を頑張るメンバーは､AKB48の名前をどんどん広めることが出来る｡
人数が多すぎて､誰が誰だかわからなくなるってこともごくたまにあるけれど､でも私達はそういうグループだ｡
1人は皆のために｡皆は1人のために｡そうやって､1人1人､皆が絆で繋がっている｡

「個人の仕事も誰かがカバーしてくれたらなーっ」
「いや､さすがにそれは無理ですって」
「だよなー｡頑張るっきゃないかー」

　優子ちゃんは女優業を頑張ってるもんね｡
そっちの方も今度教えてもらおう｡表現力も学びたいし｡

「ごちそうさま」
「お粗末さまでした」
「さてと､風呂入って寝なくちゃなー……」

　ゆ､優子ちゃんがお風呂!?うーむ､久しぶりに確認しておこうかな｡
目の保養したいし､そっちの方も参考にさせていただきたい！

りえこゆうこも素敵な絆があるんだよね

ＤＤきたはらさん
いいねぇ

相変わらずこの小説はリアルすぎて脳内再生余裕あげ

　脂肪分が水に浮くって本当なんだなーって一緒にお風呂入ると思う｡
亜美菜ちゃんが有華ちゃんのそれの上で眠ったって言うのも､頷けちゃうなー｡
莉乃ちゃんも由依も私も､これは持ってないもの｡いつ見ても羨ましくなる｡

「もう､見過ぎだぞ｡キャハッ」

　ぶりっ子っぽく笑う優子ちゃんだけどさ､これは見ちゃうって｡
これを生で見られる私｡っていうか一緒にお風呂に入れる私って凄い｡
優子ちゃん自身､中身は中年男性だから見られることをあんまり気にしてない｡
　って､胸の話ばかりしてどうすんだ｡もうちょっとちゃんとした話しなきゃ｡
広い浴槽に2人で並ぶ｡夏で暑いけれど､温度は低くない｡その代わりに窓を開けて､風が吹き込むようにする｡
マンションの16階だから結構風が吹き込んでくるんだよね｡温度低すぎると冷えて風邪引いちゃうしね｡

「あー､生き返るー……」

　温泉の素を入れた湯船は真っ白に濁ってる｡温泉の素って良いよね｡
実際入ってみると大分スッキリするしさ｡匂いも好きだから､心から落ち着く｡

「リフレッシュできますねー」
「実際､思いっきり遊びたいけどなー」
「海行きたいですねー」
「私達じゃその辺の海も満足にいけないしなー」
「騒ぎになりますもんねー」
「ゴールデンウィークみたいに遊びに行きたいなー」
「そうですねー」
「なー」

　うーん､お風呂って本当に気持ち良いな｡何か眠くなってきた｡
このまま寝たらそれこそ風邪引いちゃうから気をつけないと｡何か話題ないかなー｡
そういえばこの前､長野で撮影してたのって何の撮影だろ｡神8のメンバーだし､いいところの雑誌なのかなー｡

「なぁきたりえー」
「はい」
「もしもだけどさー､私が卒業したらさー､ってうおっ！びっくりしたぁ！」

　優子ちゃんが言い終わる前に､湯船に波が立つぐらいの勢いで振り向く｡
いきなりそういう話は止めて欲しい｡正直､優子ちゃんが卒業の話するとリアルすぎる｡
嫌だ｡優子ちゃんがいなくなるなんて絶対嫌だ｡チームは違うけど､でも……｡

「ゆ､優子ちゃんが卒業なんて絶対嫌だ！」
「落ち着けっての｡もしもの話だってば｡気が早ぇなぁ」
「うー……でも」
「もし私がいなくなったらさ､きたりえはどうする？」

　私の拒否をさらに拒否して､優子ちゃんは話を続ける｡そんな話したくないよ｡
それは……いつかは向き合うであろう話なんだろうけどさ｡でも今はしたくないのに｡
みなみちゃんと由依がいなくなるかもっていうだけで､耐えられない｡私はずっと強がってきた｡

　共同生活は楽しすぎるけど､でも共同生活を過ごしていくってことは終わりが近づくっていうことだ｡
皆の前ではもちろん笑っているけれど､夜は怖くて泣きそうになるんだ｡っていうか泣いたこともある｡
みなみちゃんと由依が卒業してしまうかもしれない｡Not yetが解散してしまうかもしれない｡
本当にそんなことになったら私は耐えられないよ……｡どうにかなってしまいそうだ……｡

「考えてくれ､きたりえ」
「嫌だ……」
「頼むよ｡なっ？」
「優子ちゃん……」

　ポンと､優子ちゃんの手がまた頭に乗った｡何でこういうとき､笑顔で頭を撫でるのかな｡
本当にずるいよ｡こんなことされたら､断れないじゃん｡優子ちゃんにこうしてもらうの､好きだから｡
　もし……もしも優子ちゃんが卒業したら私はどうするんだろう｡優子ちゃんがいなくなったらか｡
頼りになる先輩が一人いなくなってしまう｡まず優子ちゃんのファンの人達が離れてしまうから､AKB48も大きく傾くだろうな｡
そんな時は絶対に来る｡優子ちゃんだけじゃない｡あっちゃん､麻里子様､こじはるさん､たかみなさん､ともちん｡
誰が卒業したってAKB48は傾く｡終わりが少し近づく｡そんな時にどうするんだろう｡どうしたら良いんだろう｡
　……簡単だよ｡誰かが卒業するからって､AKB48が傾くからって､逃げる訳ない｡
優子ちゃんが卒業したとしても､後追いなんてしない｡自分が出来ることをしなくちゃ｡
私はAKB48のメンバーだから､AKB48を支えるために全力を尽くす｡それで､莉乃ちゃんと一緒に2トップ目指そうかな｡
傾いた軸をまた元に戻せるように頑張って､それで

「優子ちゃんを継ぐ」
「私を……継ぐ？」
「うん｡優子ちゃんの代わりになれるなんて毛頭思ってないけど､でも優子ちゃんが出来ることを出来るようになって､優子ちゃんと同じくらいに活躍する」

　また大きいこと言っちゃったかもしれないな｡大きすぎる｡
私が優子ちゃんに敵うなんて､思っちゃいない｡足元にも及ばない｡
でも優子ちゃんと同じくらい大きな目標を持つことはできる｡
　あぁ､それともう一つ｡頑張る前にやることがあるよ｡

「優子ちゃんがいなくなったら､まず泣かないと｡思いっきり」
「ははは､それは一番嬉しいな｡でも､それならさ」

　優子ちゃんの両手が私の両頬を包んで､目元を拭う｡
崩壊してしまった涙腺から流れ出る涙を､拭われてしまった｡

「今泣くんじゃねぇよ」

　ケラケラ笑う優子ちゃん｡あー､もう､こういうところが大好き過ぎる！
もう我慢ならない｡優子ちゃんの背中に両腕を回して､思い切り抱きしめた｡今は優子ちゃんを離したくない｡
物凄く胸の辺りに圧迫感を感じるけれど､気にしない！こんな質問してくる優子ちゃんが悪いんだから！
もっともっとずっといて欲しい｡我がままって言われてもいいから､ずっと一緒にAKB48､そしてNot yetを続けて行きたい｡

「優子ちゃん大好きだー！」
「はっはっは！触っちゃうぞー！」
「きゃーっ!!」

ゆうこりえこあげぜ(´-∀-)ノ∈(°◎°)∋

まさか地下板で泣かされるとは・゜・(つД｀)・゜・

ノイエあげ

自分の今の精神不安定さも相まって泣いてしまったぜ…

ネバーエンディングストーリー(*^_^*)
この物語は終わってはいけない・・・・・と、私は思う。

作者さん、しんどいと思うけどできるだけ続けてね。
お願いします<m(__)m>

ジーン…

りのりえの話に続いてまた涙でちゃったあげ

もしも話を４人が揃ってる時ではなく、ゆうこりえこ２人だけの時なのが又良い
きたりえは目に見えて堪えそうだしと心に免疫作っておく姐さんの優しさに見える…

電車の中で読まなくてよかった°･(ノД`)･°･

おまいら涙腺緩すぎ

ん？目から汗が

今気が付いた。
これ、フィクションや！

りえちゃん…あげ！

あげ

あげ

今夜はＭステ研究生がﾄﾞｼﾞらないか心配だ

あげ

金曜日
週刊ノースリーブも
ＡＮＮもあるでよ

あげ

あげ

２９

　AKB48一の夏女が劇場の舞台を優雅に､華麗に､そしてダイナミックに踊る｡
公演やコンサートを華やかに飾るダンスは誰をも魅了していく｡笑顔がさらに劇場を輝かせる｡
ダンスのレッスンはみなみちゃんと同じくらい早く来て､遅く帰る｡レッスン場に誰もいなくなっても踊ってることがある｡
私と同じ人間なのかもわからないぐらいの動き｡凄すぎて､私自身踊るのを忘れて魅了されそうだ｡
チームAで､いや､AKB48グループトップクラスのダンサー､なっつみぃさんこと松原夏海ちゃんのダンスは凄い｡

「なっつみぃさん!!」
「のわっ！」

　公演後の控え室に戻ろうとするなっつみぃさん､に指原は思いっきりアタックしました｡
文字通りのアタック｡体当たり｡ドンと思いっきり背後からね｡なっつみぃさんならこれぐらいでも大丈夫！
指原とは違って足腰がしっかりしてるからね｡さすがに踊りまくってるだけのことはある｡
　今日は久しぶりのA公演｡7月末で､誰の生誕際というわけでもないけどとにかく久しぶり｡
ただでさえ忙しい毎日で劇場の舞台にはなかなか立てないのに､A公演は数が少ないから……｡
でもやっぱり劇場の舞台に立つと､本当に戻ってきたーって感じで嬉しいな｡

「おぉー､どうしたの､さっしー」

　急に体当たりした指原にも､なっつみぃさんはニッコリと笑ってくれるんですよねー｡
こんなことしてるけど､なっつみぃさんは大先輩だから､普通はやっちゃいけないんだけど｡
優子ちゃんと一緒にいることが多いせいか､自然となっつみぃさんとも話するんだ｡

「なっつみぃさん､カッコよすぎる！あぁ､どうしよー！もう指原震えちゃったー！」
「あははー､ありがとう！さっしーもMC良かったよー」

　優子ちゃんとは違って､なっつみぃさんは笑い声を上げるって言うよりはずっとニコニコしてる｡
でもその笑顔が何か安心するって言うか､落ち着くんですよね｡頼りになる笑顔｡麻里子様みたいな｡
　控え室に入るや否や､鞄からガムを取り出して口に入れるなっつみぃさん｡
ガム中毒なんじゃないかって思うぐらいにいつもガムを噛んでるんですよ､なっつみぃさんは｡

「なっつみぃさん､お願いごとがあるんですけど聞いてください！」
「嫌です､ごめんなさい！」

　ニコニコとした笑顔で思いっきり断られた！断られてしまった！
指原超ショック！なっつみぃさんってば断るのに超笑顔って超どういうこと!!

「あっははー､嘘だよー｡どうしたんだい､さっしー」
「ぐぬぬっ……､なっつみぃさん酷い」
「いつものことだろー､あはは」

　なっつみぃさんの得意技｡っていうか口癖｡いたずらっぽくはにかみながら言うこの嘘｡
本人は悪戯のつもりなんでしょうけど､結構騙されてばっかり｡言い方がリアルなんだもん……｡
それこそ麻里子様の無茶振りっぽい｡麻里子様と優子ちゃんを足して2で割った感じ｡

ふむふむ

まさかのなっつみぃ！

超俺得♪

ちなみに指原はなっつみぃのことさんづけで呼んでないよ

「それでー？松原大明神に何のお願いかな？」
「いつから神様になったんですか！」
「さっしーに頼られたその時から」

　何でAKB48ってこう､お茶目な先輩が多いんですかね｡
基本的にしっかりしてるんですけど､子供っぽい一面が多いって言うか｡
麻里子様､優子ちゃん､梅ちゃん､才加ちゃん､チユウちゃん､香菜ちゃん､他にも皆｡
　あー､いやいや､今はそういう話じゃなかった｡指原のお願い事の話でした｡

「なっつみぃ､是非とも指原にダンスを教えてください！」

　土下座でもする勢いで､なっつみぃに頭を下げる指原です｡
それぐらい本気の本気です｡だって指原､ダンス下手なんですもん｡上手くなりたいんです｡
りっちゃんは優子ちゃんに､由依は梅ちゃんにそれぞれダンスを教えてもらってて､最近ダンス上手くなってるんです｡
総選挙でメディア選抜に入れてもらったのに､沢山の愛を頂いたのに､期待に応えられないまま終わりたくはないです｡
指原なりに考えました｡指原ももっとダンス上手くなりたいって思いました｡だからなっつみぃに頼んでるんです｡

「えー嫌だー」

　またニコニコとしたまま断るなっつみぃなのでした｡

「またまたー！そうやって何度も騙そうとしても騙されませんよ！」
「ううん､教えるのは本当に嫌だー」
「えっ!?」
「さっしーがどうして私からダンス学びたいのかは知らないけどさー､面倒くさいし」

　それ､ニコニコしながら言うことですかね｡正直､冗談なのか本気なのかわからない｡
指原混乱中｡予想外な出来事だー｡もっとすんなりオッケーを貰う予定だったんだけど……｡
　なっつみぃにダンスを教えてもらって､それなりに上達した指原が活躍！
優子ちゃんやみなみちゃん､前田さんにも褒めてもらってエヘヘヘって予定だったのに！

「教えてくださいよー！」
「さっしー､ダンス覚えなくても十分じゃん｡それ以上頑張って何するつもりさー」
「もっと上を目指します！」
「上って？順位でともちん抜かすの？さっしーが神入り？」
「そのつもりです」
「あはは､それ以上どうしようってのさ｡さっしーは今のままで十分だよ｡まぁ頑張って〜」

　ニコニコ笑いながら､なっつみぃは指原の肩をポンポンと叩いて､更衣室へ行ってしまった｡
え……､ガチ？なっつみぃのことだから結局「嘘だよ〜っ」とか言って教えてくれると思ったのに……！