[小説]古畑任三郎vsAKB48

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1名無しさん@お腹いっぱい。
建てたので前スレからコピペよろ 故障中なんで前スレも貼れないので誰かお願いします
2名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:33:38.98 ID:hz3ozs830
あげ
3名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:34:34.64 ID:hz3ozs830
あげ 四谷さん?
4名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:36:19.33 ID:roBUmM6zO
さっき立てくれるって言ってた人か?
5名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:36:31.99 ID:hz3ozs830
四谷さん見たら来てください
6名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:36:59.42 ID:hz3ozs830
>>4そうです
7名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:38:56.14 ID:hz3ozs830
四谷さーん?
8名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:39:09.50 ID:roBUmM6zO
>>6
乙!
四谷さんここで〜す
9名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:39:41.47 ID:wtRo288J0
普通にアドレス貼ればいいじゃん?
10名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:41:15.60 ID:hz3ozs830
アドレスpc故障で貼れない…
11名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:41:43.63 ID:hz3ozs830
コピペお願いします!
12四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:41:54.49 ID:VXkYrr3Li
見つけました。
>>1さん、ありがとうございます!
PCからだと規制中って表示になるんで、コピペ
大変だけど、頑張ってテンプレつくりますね。
13名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:43:02.03 ID:ZGTSPYvf0
テスト
14名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:43:06.02 ID:hz3ozs830
乗り換え成功しました 皆さんありがとうございました
15名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:43:15.02 ID:roBUmM6zO
>>12
おう、もちろん続きも楽しみにしてまっせ
16名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:43:59.66 ID:ZGTSPYvf0
あ、書き込みできました。
これからコピペしてテンプレ化しますね。
しばらくお待ちを。
17名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:48:18.47 ID:ZGTSPYvf0
前スレ
http://hato.2ch.net/test/read.cgi/akb/1318391280/

第1作 「古畑任三郎vsAKB48」 作者 HRH48
前スレ >>20 - >>439

第2作 「古畑任三郎 48人の共犯者」  作者 四谷幸喜
前スレ >>480 - >>667
18名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 22:49:35.08 ID:ZGTSPYvf0
第3作 「古畑任三郎 神を殺めた女神」

スポットライトに浮かび上がる男の姿。
長身を誤魔化すような猫背のシルエットは黒いスーツに
包まれている。

え〜みなさん、またお会い出来て光栄です。古畑任三郎です。

今回の主役は、国民的アイドルと言われるグループの方々です。
もちろん、このお話はフィクションで実際の彼女たちとは
何の関係もありません。
当初は、グループ名も登場人物の名前も架空のものにしよう…
そんな意見もありました。
御徒町48…浜松町48…う〜ん、どれもしっくりしません。
やはり、彼女たちのホームタウンはここから動かす事が出来ません。
ですから、このお話では本物そのまま、AKB48として彼女たちは
登場します。

お話の中で、彼女たちはいがみ合ったり憎しみ合ったりします。
これももちろんフィクションの中の事。作り話です。

…そして、本物の彼女たちは…決して人は殺しません。

古畑任三郎でした。
19四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:50:15.36 ID:ZGTSPYvf0
シーン1 1st.Day 21:17 AKB48劇場

「ぐわぁ----------づかれたぁ〜」
島田晴香は汗だくになった顔を拭おうともせず、通路の床に座り込んだ。
「いや〜やっぱ劇場公演は楽しいねぇ。」
「ホントほんと。私たちの原点はここって感じするもんね。」
久しぶりの目撃者公演出演となった前田敦子と篠田麻里子から笑顔が
こぼれる。二人の顔には清々しさがあった。
「あ、はるぅ〜お疲れ〜。仲俣、今日の二人の炎上路線、良かったじゃん。
もうアンダーって感じじゃ全然ないよ。ね、にゃんにゃん。」
高橋みなみが声をかける。
「ホントだね〜うん。良くわかんないけど〜」小島陽菜が携帯に視線を
落としながら他人事のような相槌を返す。

「ったく、超選抜様はお気楽なものよね。こっちは、毎日毎日アンダーに
駆り出されてフラフラ。せっかく始まった自分たちのチーム公演も
ままならないって言うのに。」仲俣汐里は、島田の腰をさすりながら
苦々しく呟いた。
「でもやるしかないよ。今私たちに出来る事を必死に…ね。」
島田が力なく笑った。
「だって、昨日はRESET、その前はシアターの女神公演をだったし。
こないだの僕の太陽公演は2公演で、その前も…いくらはるぅだって
限界だって。見なよ。目の下クマできちゃって…」
「ワタシ、体力しか取り得ないからさ。よいっしょっと。」島田は手すりに
つかまりながら腰を上げた。「お疲れ様っっしたぁ!!」
小嶋が思わず携帯から視線を上げる位の大声で島田が叫んだ。
「ね?」そして仲俣の方を見て舌を出して笑った。
20四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:50:35.98 ID:ZGTSPYvf0
シーン2 2nd.Day 16:42 AKB48劇場

♪泣かないで〜僕の太陽〜♪

レッスン着に身を包んだ島田。ターンの足元がふらつく。ステージを降り
気合いを入れるように両手で自分の頬を張り、水を一口飲んでステージの
上に戻る。「ごめんね。もう一回最初からいこう!」
イントロが流れ出す。今日のレッスンもあと30分しか時間がない。

ふと観客席に目をやると、宮崎美穂、石田晴香、佐藤すみれの姿があった。
今日はシアターの女神公演。島田は加西智美のアンダーとして今日も
ステージに上がる事になっている。
もっともっと時間が欲しい。もっとやらなきゃいけない事は幾らでもある。
自分たちが力をつけなくちゃ…じゃなければ、選抜メンバーどころか、
あそこでのんびり自分たちのレッスンを眺めてるあの子達にすら追いつけない…
21四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:50:54.23 ID:ZGTSPYvf0
シーン3 2nd.Day 22:37 AKB48劇場

照明の落ちたステージの上。放心した表情でたたずむ島田の姿。
やがて、思い出したようにステップを踏み始める。
♪キャンディひとつさぁ、口に入れて、舌のその…
「これじゃダメだ。とも〜みさんみたいな甘い声出せないし。パンチのある声だと
増田さんとかぶっちゃうし…」
「そうだ、全体曲も全然バランス取れてなかった。B推しでは前に出るの遅れたし…
よし。帰ってDVD見よっと。あ、明日はK公演だから、そっちの予習が先か。」
両手を頭の上で組み、背伸びを一つ入れて島田はステージから袖に消えた。

そんな島田の姿をモニター室から覗き込むようにして見る二つの影があった。
22四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:51:09.51 ID:ZGTSPYvf0
シーン4 3rd.Day 21:21 AKB48劇場

「はるぅ、明日って夜スケジュール入ってる?」
大島優子が島田に声をかける。
「いえ、明日は公演お休みですし、なるハイのロケも夕方には終わると思います。」
「じゃ、あっちゃんち行かない?あ、なかまったーも一緒に。」
「え?私と島田…とで?ですか…?」
仲俣は突然何を言ってるんだろう?と言った表情で答えた。

「そう。今度あっちゃん引っ越したんだけど、明日ちょっとご飯食べない?って
話になってね。たかみなとか陽菜とか、麻里子様も来るし、あとともちん、
みぃちゃんそうそう、ゆきりんも来るかな。」
「あの…そんなメンバーの中に、私たち二人ってなんか恐れ多いんですけど…」
島田が遠慮がちに言う。
「いいんだって。昨日二人Aでアンダーで出てたでしょ?
たかみなが、呼ぼうよって言ったみたいで。」
「でも、島田はちょっと体調が…」仲俣の声を遮って
「行きます!ぜひ行かせてもらいます!」島田が笑顔で答えた。
「ね?こんな機会無いよ!せっかくだもん。ね?」
「そう…ですね。無いですもんね。なかなかこんな機会も…」仲俣も同意した。
23四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:51:26.64 ID:ZGTSPYvf0
シーン5 4th.Day 19:05 某駅前広場

「ごめんごめん、5分遅刻しちゃった。」島田が改札から走ってくる。
「大丈夫。前田さんちには、7時半集合だから。ここからなら歩いても5分だし。」
仲俣が笑顔を返す。「あ、まゆゆさんも来る事になったんだって?」
「あ、さっきもう着いてて…あれ?どこ行ったんだろ?」仲俣が周りを見回す。
「持ってきた?」島田が仲俣に小声で聞く。「あ、うんうん。手土産でしょ?これ。」
仲俣が小さな箱を見せる。「何これ?」「アイス。普通のハーゲンダッツだけど。」
「いいんじゃない?みんな好きだし。あんま凝っちゃうと、なんか好みとかあるじゃん?
ハーゲンダッツなら外しないかな?って思ってさ。」
「なに?わざわざクーラーBOXに入れてきたの?」「今日暑すぎだし。」
「そっかぁ。相変わらず気が利くよね。」「まぁね。」

「お待たせ〜」渡辺が現れた。「あ、こんにちは。」島田が頭を下げる。
「行こう〜!」3人はすっかり暗くなった中を歩きだした。
24四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:51:46.00 ID:ZGTSPYvf0
シーン6 4th.Day 19:45 前田敦子宅

「みんな気兼ねしないでつくろいでね〜」前田が笑う。今日は格段に機嫌が良さそうだ。
テーブルの上には乗りきれないほどのご馳走が並んでいる。前田の母親が作ってきた
ものだ。前田は多忙になるスケジュールに対応する為に、都内の高層マンションに
居を構える事にしたが、食事は母親が作りに来る事が多かった。今日も朝から
豪華なゲストの為に豪華な食事を用意し、先ほど自宅へと帰って行ったところだった。

食事が進むにつれ、島田は段々と居心地の悪さを感じるようになった。
何かを言われた訳ではない…いや、むしろ、みんなの話題に全く入っていけないのだ。
前田、篠田、柏木、高橋、小嶋、大島、板野、峯岸…自分がAKBに入る前からもう
各方面で活躍してる…雲の上のような存在だ。こんなトップアイドルと同じ
空間にいれる幸せを感じながらも、目の前で繰り広げられる華やかな
日々の事についての会話には、到底入っていけるものではない…
25四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:52:02.43 ID:ZGTSPYvf0
シーン6-2

ふと周りを見ると、渡辺と仲俣の姿が無い。
島田がきょろきょろしてると、ふと篠田が島田に話題を振った。
「島田ちゃん、今何人のアンダーやってるの?」
「え?あ、はい。えっと…公演だと5人…テレビに呼んでもらえる時入れると…
えっと…」島田は指を折りながら考えた。
「はるぅはスゴイよねぇ。いつも一生懸命だもん。はるぅみたいな子がアンダーで
いてくれるから私たちの公演が支えられてるんだよ。」高橋が褒める。
「あ、はい。そんな…もったいないっす。」
「えぇ〜、島田ってそんなキャラじゃないでしょ〜?」峯岸みなみが笑う。
…まだ、この人たちにとって、自分は研究生レベルにしかみられてないんだ…
アンダーとしては褒め称えてくれても、チーム4のメンバーとして、キャプテン代行
としては誰も何も言ってくれない…

寂しい気持ちになってると渡辺と仲俣がいつの間にか部屋に戻っていた。
「どこ行ってたの?」仲俣に小声で言う。仲俣が戻ってくれてちょっと
ほっとした気持ちになっていた。
「うん、ベランダ出てた。すっごい綺麗な夜景だったよ。」
「そうなんだ。ワタシも出てこようかな…?」
「みなさん〜、なかまった〜が持ってきたアイス、そろそろいただきませんか〜?」
渡辺の声にみんなから歓声が上がる。「あ、私と島田からのお土産です。
今日お招きいただいたのでそのお礼に…」
「アイス、食べたい食べたい〜」小嶋が手を叩いた。
「あ、自分達用意します。前田さん、冷凍庫
開けさせて頂いていいっすか?」
「うん、お願い〜。」前田の顔はワインで赤くなっていた。
26四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:52:21.14 ID:ZGTSPYvf0
シーン7 4th.Day 21:07 前田敦子宅

「あ、いっけね。」冷凍庫にから箱を取り出しながら仲俣がつぶやいた。
「ん?どうしたの?」
「アイス一個足りないや。
まゆゆさんが来るって最初聞いてなかったから。」
「あ〜どうしよ?でも、いいよ、ワタシ食べないから。
ほら、ちょっとダイエットしないと…ね?」島田は舌を出して笑った。
「え〜それはさぁ…あのぉ、すみません。アイス一個足りなかったんですよ。
下のコンビニで買ってきていいですか?」
「あ、私が急に来たからでしょ?ごめんなさい〜」
渡辺が申し訳なさそうに言った。
「じゃ、私買ってきますんで。」「あ、ワタシも一緒に行くよ。」
「島田ちゃん、いいじゃん〜。話の途中だよ〜」篠田が引き止めた。
「あ、じゃ私いっしょに行ってくる〜。自分で好きなの選びたいし。」
渡辺が席から立ち上がった。
「行ってらっしゃい〜まゆゆ〜。」柏木の顔も少し赤い。
「あ、ごめ〜ん。ついでにワインオープナー買ってきてくれるかなぁ?
さっきのワイン手で回して開けれるのだったんだけど、
これ栓がコルクなんだ。裏口のとこの酒屋さんにあると思うから。」
前田が言った。
「あ、解りました。」「これ持ってって〜」
前田が鍵の束を仲俣に投げて渡した。
戻ってくるとき裏口からだとインターフォン無いから
鍵で入んなきゃいけないからさ。」
「ありがとうございます。じゃ、行ってきます。」
仲俣はアイスの箱を冷凍庫に戻し、渡辺と二人で部屋を出て行った。
27四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:52:37.38 ID:ZGTSPYvf0
シーン8 4th.Day 21:22 前田敦子宅

話題の中心は島田の事から謹慎中の大場美奈の事に移っていた。
「みなるんって、いつ戻ってくるの?」こういう話題になると俄然峯岸が乗ってくる。
「まだその事はわからないっす。戸賀崎さんは年内は…って言いかたしてましたけど」
「実際、あれはキツイよねぇ。オトコだけならまだしも、他にも色々出てたしねぇ」
「はぁ…そうですね…」こういう話題は正直辛い。確かに大場のやった事は許される
事ではない。でも、今の彼女はそれを心底悔やみ、そして心から反省している。
毎日のように交わすメールや電話の中でそれを一番知っているのは島田自身だった。
「でもさぁ、やっぱ最近入った子ってさぁ…」大島が始める。
大島もかなり酒が入ってきているようだった。口調が強い。

やっぱり二人と一緒に行けば良かった…そう思ってる時、島田の携帯が鳴った。
「あ、すみません。仲俣からです。」島田は席を立った。ほっとした表情が浮かぶ。
「もしもし?うん?どうした?」「あのね、ちょっと来てくれるかなぁ?氷とか
色々買おうと思うんだけど、荷物すっごい多くなりそうだから。」
「あ〜行く行く。あ、でもまた止められちゃうかなぁ…」「そうだ。あのね…」
「うん。うん...うん。解った。じゃあすぐ行くね。」
「あの〜ちょっと荷物が多くなりそうって言ってるんで、私取りに行ってきますね。
先にアイス召し上がっててください。」島田は冷凍庫からアイスを出しトレイに
乗せてテーブルに運んだ。
「あと、すみません、ちょっとだけ照明落としていいですか?」
島田はテーブルの上に平皿の上に乗せキャンドルを置いた。
周りには花びらがあしらわれている。
「では、ここに…」島田は皿にそっと水を注ぐ。
皿からは煙が流れ、キャンドルを置いた小皿が水に浮かびゆらゆらし始めた。
「綺麗〜!どうなってるのぉ?」一同が声を上げた。
「しばらくコレでお楽しみください。」島田はそう言って部屋を後にした。
メンバーは美しい演出に目を奪われ、誰も島田の事を引き止めようとしなかった。
28四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:52:53.32 ID:ZGTSPYvf0
シーン9 4th.Day 21:40 マンション下コンビニ

「うまく行ったでしょ?」仲俣が笑う。
「うん、よく考えたね。あんな事。」「あはは。後でやろうかなって思ってた。
色々考えてるんだよ。私も。」「そうだよね…」
仲俣の頼もしさに島田の目からは急に涙がこぼれてきた。
「どうしたの?」渡辺が心配そうに島田の顔を覗き込む。
「すいません…すいません…なんかワタシ…」島田の返事は言葉にならなかった。
「なんかイヤな事言われたの?」渡辺がそっと島田の方に手を回す。年下だが、
渡辺はこうしていつも優しく声をかけてくれる。「いえ…そんな事では…」

「大場の事とか…でしょ?
アンタは自分の事をどんなに言われても泣くような子じゃないもん。」仲俣が言った。
「うん…ねぇ。やっぱり私たちってまだ努力が足りないの?いつになったら
あの人たちから同じ目線で認めてもらえるの?」島田の涙は大粒になっていた。
「ちょっと落ち着こう…ね?」3人はコンビニの前のベンチに腰を下ろした。
29四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:53:08.60 ID:ZGTSPYvf0
シーン10 4th.Day 22:20 マンション下コンビニ

「そろそろ戻ろうか?落ち着いた?」仲俣が島田に優しく言う。
「気にしない気にしない。ね?」渡辺の声も優しい。
「はい。もう大丈夫。ねぇ?目腫れてない?」「う〜ん、目の下にクマ出来てるけどね」
「もう、やめてよ〜」島田と仲俣は笑った。

前田から預かった合鍵で裏口のドアを開けマンションに入る。
部屋のドアを開ける。と瞬間的に島田はなにか例えようのない違和感を感じた。
静かだ。あれほど騒がしかった部屋からは何も音がしない。
リビングは真っ暗だった。電気を点けた瞬間、島田の目に異様な光景が飛び込んできた。
全員が突っ伏したように倒れている。
「ベランダ!誰かいる!」渡辺が大声で叫ぶ。島田は走った。窓を勢いよく開け
ベランダへ飛び出す。広いベランダには人の姿は無かった。見回すと階下へ伸びる
非常用の梯子が下がっている事に気がついた。迷うことなく島田は梯子を使って
階下へと降りて行く。胸騒ぎが収まらない。
下の階は空室だった。窓が一つ破られて開いている。島田は部屋の中に飛び込むが
そこには誰の姿もなかった。
30四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:53:20.96 ID:ZGTSPYvf0
シーン11 4th.Day 22:30 前田敦子宅

島田は部屋に押し入るように飛び込んだ。
玄関のロックは閉まっている。
部屋をひとつひとつ恐る恐る開けていく..
いない...誰もいない...と、その時バスルームで
何かの音が聞こえた気がした。
「誰かいるの?」島田は自らの危険も顧みずドアを開けた。

そこに人の姿はなかった。

島田が外に出て行ったあと、渡辺と仲俣は顔を見合わせ、示し合わせていたかのように
動き始めた。渡辺が倒れてるメンバーの脈を一人一人確かめていく。無言でうなずく。
仲俣はバッグから小さな瓶を取り出し、中の液体をスポイトで吸い上げテーブルの上に
あった食べかけのアイスのカップに数滴ずつ落としていく。
二人の動きには全く無駄が無かった。その間、一言の会話も二人の間では交わされなかった。

島田が慌ただしく戻ってきた。「誰もいなかった…みんなは?」

「…」渡辺が涙を浮かべて首を振った。仲俣は崩れたように座り込んでいる。
「イヤだ…イヤだ…嘘…こんなの嘘…だよね?ね?ね?」
島田の悲痛な叫びが広い部屋に響いた。
31四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:53:41.19 ID:ZGTSPYvf0
シーン12 4th.day 23:34 前田敦子宅

広いリビングを慌ただしく動き回る捜査関係者。
ダイニングテーブルの周囲にはシートが掛けられた
8つの死体があった。
鑑識員も捜査員もみな一様に緊張の為強張った表情だ。
何しろ、8人もの人間の同時死。明らかに殺人事件の
様相を示している。恐らく犯罪史上稀にみる程の大事件に
なるであろう、この現場からほんの僅かな犯罪の痕跡を
見逃すまいとしていた。

しかも、被害者はあの国民的アイドルと称されるグループの
主要メンバー。これから始まるであろう半狂乱のような
騒ぎをその場にいた誰もが確信していた。

そこへ一人の男が現れた。男の顔には軽い苛立ちの表情があった。
一人の小柄な男の姿を見つけ、声をかける。
「西園寺君。」
「あ、古畑さん。お疲れ様です。」
32四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:53:59.15 ID:ZGTSPYvf0
シーン12-2

「西園寺君、もう10月も半ばだよね?何なの、この暑さは」
「ええ。今日の最高気温は28度だったそうです。夜になっても
全然気温が下がってないみたいです。この時期としては
異常ですよね。明日からはまた涼しくなるみたいですが」
古畑はそう言いながら涼しい顔で部屋の中を見渡した。
黒いジャケットを着込み、シャツのボタンは律義に一番上まで
留められている。

「しかし、豪勢なマンションだねぇ。一体家賃は幾らくらいなの?
このご時世こんなマンションに住めるって羨ましいじゃないか。」
「古畑さん…そろそろ説明させて頂いてよろしいでしょうか?」
西園寺が遠慮がちに聞く。
「…」古畑は無言で手のひらを西園寺の方に差し出し頷いた。
「 まず被害者ですが、8名です。前田敦子さん、高橋みなみさん、
柏木由紀さん、板野友美さん、4名は20歳。篠田麻里子さん25歳
大島優子さん23歳、小嶋陽菜さん、23歳、峯岸みなみさん18歳。
いずれも人気アイドルグループAKB48の主要メンバーです。
古畑さん、AKBの事は?」

「もちろん知ってるよ。あ〜西園寺君、何?私がそういう方面
全然興味無いと思ってるでしょ?」
「ご興味あるんですか?」
「続けて。」古畑は西園寺の質問には答えず言った。
33四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:54:15.08 ID:ZGTSPYvf0
シーン12-3

「第一発見者であり、事件の通報者は島田晴香さん、仲俣汐里さん、
渡辺麻友さん。同じくAKB48のメンバーです。今日は19時30分頃から
この部屋で食事会を開いており22時30分頃買い物の為外出、
戻った際に8人が倒れているのを発見されたそうです。
3人には別の部屋に待機して頂いています。」

「ここまででわかってる事は?」
「被害者に目立った外傷はありませんでした。特に部屋を物色したような
形跡もありません。ただ、ベランダから下の階への非常非難用の
梯子が下がっており、階下の部屋の窓ガラスが割られておりました。」
「ベランダ?」古畑は立ち上がってベランダを覗き込んだ。
「ふぅん。ベランダ…ね。」

「現場の状況を説明してくれる?」
「はい。被害者はダイニンテーブルを取り囲むように倒れていました。
テーブルの上には料理とワインとジュース類の飲物、それから
アイスクリームの食べ残しがありました。」
「食べ残し?」
「ええ、普通のカップに入ったものですが、どれも溶けてしまって
いました。全てのカップに食べ残しがあった状態と思われます。」
「わかった。じゃあ、3人に話を聞こうか。」
「一人一人お呼びしますか?」
「いや、3人一緒で構わないよ。」静かに言い、眉間に指を当てた。
34四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:54:33.59 ID:ZGTSPYvf0
シーン13 5th.day 0:07 オーディオルーム

島田は3人掛けのソファの上で、仲俣の肩に頭を乗せ放心状態でいた。
この部屋で待つよう言われてから、もうどれくらいの時間が経ったの
だろうか?3人とも全く言葉を発しなかった。
時折仲俣の肩が小刻みに揺れる。泣いているのだろうか?
島田は仲俣の顔を覗き込む事すらしなかった。

部屋のドアがノックされた。二人の男が入ってくる。
「え〜みなさん。すみません、お邪魔いたします。警視庁の古畑と
申します。こちらは西園寺君。ちょっとお話を聞かせてください〜」
「は、はい。島田晴香と申します。こちらは…」
「渡辺麻友です。」「仲俣と申します。」
3人は何とか立ち上がって挨拶をした。

「え〜…ここもまた素晴らしいお部屋です。大きなスクリーンに
立派 なオーディオ。これならわざわざ映画館に行かなくても
良さそうです。ラックにある…これはDVDですか。こちらの品揃えも
素晴らしい。え〜…私が最近見た映画もあります。」
古畑は1本のDVDを手に取った。「うふふふ。みなさんのドキュメント
映画です。」
どう反応していいかわからないでいる3人に古畑が声をかける。
「え〜…どうぞお座りください。このたびは、お仲間が悲しい事件に
巻き込まれてしまいまして…さぞかしお力を落とされてる事と…」
「あの…刑事さん…?」仲俣が細い声で聞く。
「古畑…と呼んで頂いて結構です。」
「はい…古畑さん、みんなは…みんなは一体…?私たち、まだ何が
起こったか理解出来ていないんです。」
「え〜…メンバーの皆さんは残念 ながら、何者かの手によって殺害
された可能性が高いです。実に恐ろしい事件です。」
「やっぱりそうなんですか…」
35四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:54:53.75 ID:ZGTSPYvf0
シーン13-2

「あなた方が部屋に戻られた時の事をお聞きしても宜しいでしょうか?
買い物に出られていた…とお聞きしましたが?」
「ええ。私が持ってきたアイスが一つ足りなかったので、コンビニで。
あと、氷やお菓子、裏の酒屋さんでワインオープナーも買いました。」
仲俣の答えに古畑が質問を重ねていく。
「買い物に出られていた時間は?」「えっと。1時間弱…だと思います。」
「ずいぶん長いお買いものですね。」
「私がちょっと…あったんで、二人が慰めていてくれたんです。」
島田が答えた。「お食事の時、先輩からちょっと嫌な事を聞かれたり
したんで…それで。」
「え〜…やはり、皆さんのような大所帯となると、色々とおありに
なるんでしょうか?え〜 …上下関係とかいじめのような事とか…
あ、すみません〜品のない質問です〜」
「あ、違うんです。そういうんじゃないんですけど…」
島田が口を濁したが、古畑はそれ以上突っ込む事はしなかった。
36四谷幸喜:2011/10/25(火) 22:55:08.66 ID:ZGTSPYvf0
シーン13-3

「戻られた時、何かおかしい事はありませんでしたか?買い物に
行かれる前と何か違った事とか…」
「ベランダに人影のようなものが見えた気がしました。」渡辺が答える。
「人影ですか?」
「はい。それを聞いたワタシがベランダに飛び出したんですが、誰の
姿も見えませんでした。でも、避難用の梯子が下の階に下がってたので
それを伝って追いかけていきました。」
「窓ガラスが割れて窓が開いてたので、部屋に入りました。誰も住んで
ないみたいで真っ暗でしたけど、全部の部屋を見て回りました。」
「部屋の中に誰か残ってるかもしれない…と?」
「はい。最初に玄関に行ったんですが、鍵がかかってたんです。
なんで、まだ部屋の中にいるんじゃない かって思って。」

「え〜…あなたは…」古畑が質問を重ねようとしたところで部屋のドアが
ノックされた。捜査員が一人入ってきて、古畑に耳打ちする。
ハンカチに包まれた何かを手渡しながら。
「うん…うん…わかった。ありがとう。」
「え〜…すみません〜。ちょっと質問を変えさせてください。
テーブルの上にあったアイスクリーム…確か、仲俣さんがお持ちになった
ものとお聞きしました。」
「ええ。ここに来る前、私の家の近くのスーパーで買いました。」
「そのアイス、あなた方が買い物に行かれてる間に食べられたのでしょうか?」
「ええ。先に二人が買い物に出てたんですけど、荷物が多いからって
私も行く事になって…。その直前にみんなに私が出しました。
先 に食べててくださいって。」
「…そうですか。実は鑑識から連絡が入りまして…
アイスの中から毒物が発見されたそうです。」
37四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:01:08.25 ID:VXkYrr3Li
ここまで来たらまた規制中...
ひょっとしたら、連続投稿が過ぎると荒らしって判断されるとか?
初心者ですみません...
38四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:06:48.45 ID:VXkYrr3Li
とりあえず、iphoneからの投稿は大丈夫みたいです。
続きのコピペ、どなたかお願いできませんか?
また、こうすりゃ大丈夫だよって方法教えていただけませんか?

お騒がせしてすみませんです。
39代理:2011/10/25(火) 23:21:51.90 ID:BFacTf290
シーン13-4

「毒物…ですか?」島田が顔をしかめる。
「はい。毒物です。恐らくはカドミウムのような成分を含むものかと。
え〜…もう一度確認させてください。このアイスを買ってきたのは
仲俣さん、亡くなった皆さんにこのアイスを出したのは島田さん。」
「ええ…その通りです。」島田と仲俣は顔を見合わせた。渡辺も頷く。
「とすると、こうなります…。被害者が亡くなる前にこのアイスに
毒物を混入させる事が出来た人はお二人いらしゃった…と。」
古畑は両手の指を体の前で組み、ソファから身を乗り出した。

「そう、仲俣さんと島田さんです。しかし…仲俣さん。あなたがこのアイスに事前に毒物を混入したとは私には思えません。」
「…?」3人は古畑の言葉を待った。
「なぜな ら…仲俣さんが買ってきたアイスは9個。テーブルの上にあった
アイスは8個です。残りの一つは…冷凍庫の中にありました。
こちらには毒物は…混入されておりません。」
古畑は島田の方を向き、静かに言った。
「もし、仲俣さんがアイスを買った後に毒物を混入したとすると…
9個全部に入ってると見るのが自然です。なぜ1つだけ毒物が入って
なかったか…それは、毒物を混入させた人物が自分の分を除いたから。
そう考えるのがもっとも自然な考え方です。」
40代理:2011/10/25(火) 23:23:23.09 ID:BFacTf290
シーン13-5

「ちょっと待って!じゃあ、何?何が言いたいの?」
渡辺の口調が変わった。表情には激しい怒りの表情が浮かぶ。
「はい。これを入れる事が出来た可能性があるのは…島田さん。
あなた…という事になります。」
古畑がハンカチにくるまれた小瓶を島田の前に差し出した。
「この中には、アイスのカップから検出されたものと同じ成分が
含まれていました。島田さん…あなたのカバンの中から発見されました。」
島田の目が大きく見開かれた。何か言葉を発しようとするが口からは
うめき声しか出てこない。

「島田さん…お手数ですが、ご同行願えますでしょうか?」
「おい!待てよ。どういう事だよ!なぁ。刑事さん。はるぅがそんな事
するわけねえだろ うが!」渡辺が口汚くののしる。
「西園寺君…」古畑が立ち上がりながら西園寺を促す。
「おい!ふざけんなよ!おい!」「まゆゆさん、落ち着いて。まゆゆさん!」
仲俣が渡辺の腕をつかむ。今にも古畑につかみかかりそうな勢いだ。
「うるせぇよ。離せよ。離してよ!」
「まゆゆさん…まゆゆさ…麻友!」仲俣は渡辺の頬を強く張った。
渡辺は呆然とその場に立ち尽くした。目からは大粒の涙がこぼれる。

「渡辺さん…お気持ちはお察しします。さ、島田さん。」
西園寺に支えられるようにして島田が部屋を後にする。
「それでは今日のところはこれで失礼いたします。」
古畑が部屋を出ると、二人は無言で顔を見合わせソファに
もたれかかるように座り込んだ。
41代理:2011/10/25(火) 23:25:11.15 ID:BFacTf290
シーン14 5th.day 4:51 港湾埠頭
白み始めた東の空を向き、渡辺と仲俣がベンチに腰かけている。
「迫真の演技…か。」仲俣がつぶやく。
「…演技か…な。」渡辺が答える。一度は乾いた涙が再びこぼれる。
「ゆきりん…怒ってるだろうなぁ。まゆゆ〜って。」
「柏木さんだけじゃないでしょ。きっと。」
「うん…むこう行ったら謝らないと。」
「でも、多分会えないと思うな。私たちが行くところは多分地獄だからね。」
「ごめんなさい。汐里さんにはホントに…」
「何言ってるの、麻友。もう泣くなよ…ね。大切なのはこれからだよ。
さ、帰ってちょっとでも寝よう。無理にでも寝とかないと。」
「うん。わかった。」
二人は腰を上げた。
42名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/25(火) 23:25:28.63 ID:va1lRuiW0
まゆゆ口調変わりすぎワロタ
43代理:2011/10/25(火) 23:27:16.09 ID:BFacTf290
シーン15 5th.day 15:07 都内 早稲田大学キャンパス内

政治経済学部の掲示板で、自分が出席すべき講義の休講を確認
すると仲俣はほっと溜息をついた。
4月に入学してから、極力大学に来る事を優先してきた。
結局あれからほとんど寝つけずにいたが、この時間になって
疲労感と眠気を強く感じるようになっていた。
昨夜の事件は、まだ報道されていない。事の大きさからか、容疑者が
内部…しかも未成年だからなのか…仲俣には知る由がなかった。

「な、な…仲俣汐里さんですね?」
背中から声をかけられ仲俣は振り向いた。
「警視庁の今泉と申します。と…と、突然すいません。」
今泉の声が裏返った。「ちょっとお話を、宜しいでしょうか?」
「あの…」仲俣が困惑した表情を浮かべた時、古畑が現れた。
「今泉。勝手に動き回るん じゃないよ。まったく。なんでお前を
一緒に連れてきたかというとだな…」
「あ、古畑さん。昨夜はどうも…」仲俣が古畑に声をかけた。
「あ〜仲俣さん、何かこいつが失礼なことでもしませんでしたか?
まったく、勝手に飛び跳ねて回って…今泉。お前をつれてきたのは
ただの案内役なんだからな。」
「案内役…ですか?」仲俣がほほ笑みながら尋ねた。
「ええ。何しろここは僕の母校ですからね。」今泉は胸を張った。
「そうなんですか?」仲俣は意外そうな顔をした。
「はい。法学部卒業です。えっと、仲俣さんは…」
「おい今泉、軽々しく口をきくんじゃないよ。仲俣さんはAKBの活動を
しながら付属校から政経学部に進学された才媛なんだよ。お前みたいに
受験の一発ラッ キーでもぐりこんだヤツとは格が違うんだよ。」
え〜…仲俣さん、お騒がせします。もしお時間ありましたらコーヒーでも
いかがでしょうか?」古畑は腰をかがめて笑顔を見せた。

44代理:2011/10/25(火) 23:27:52.13 ID:BFacTf290
シーン16 5th.day 15:30 喫茶店

「仲俣さんはやはり政治経済にご関心をお持ちで?」
「いえ…実は特にそういうわけではないんです。政治家の思考回路って
いうか、魑魅魍魎の世界には多少興味がありますけど。」
仲俣は真面目な顔で答えた。
「うふふふ。なかなか怖い事をおっしゃいますね。じゃあ、なぜ
最難関の政経へ?」
「最難関って事に意味があったんですよ。早稲田って言っても付属から
だし、実は他にも通信だけど在学してるAKBのメンバーもいるし…
私のアピールポイントにするためには最難関の学部にってインパクトが
欲しかったんです。あれ?ちょっと本音で言い過ぎちゃいました?」
「いえいえ、なかなかしたたかな戦略家なんですね。素敵です〜」
「ホントは理数系が好きなんです。数学と か化学とか。うちの大学って
他学部の単位を取ることも出来るので結構理系学部の授業も
選択してるんですよ。教授のご厚意で研究室にも出入りさせて
もらったりしてますし。たまにしか顔出してませんけどね。
ところで…今日は…?」

「はい、昨夜の事件の件でお話をうかがいに参りました。」
「あの…本当に島田がやったんでしょうか?私にはとても
信じられないのですが…」
「え〜…仲俣さんは島田さんとはかなり親しい間柄のようでしたね?」
「ええ。同じチームですから。それだけじゃなくってプライベートでも
仲のいい友人として付き合っています。」
「最近、特に変わった様子はありませんでしたか?何か人間関係で
悩んでいるといった…」
「…夏に、私た ちのチームのキャプテンだった大場美奈って子が
スキャンダルで謹慎する事になったんです。その頃からですかね…
もともと責任感が強くてみんなを引っ張る存在だったんですけど
大場が居なくなった事でその思いが余計強くなったみたいで…
とにかくがむしゃらに頑張ってました。そう、見てて痛々しいくらい。」
「亡くなった先輩メンバーとの関係については?」
「正直、私たちって先輩からは良く思われてないところがあって。
苦労してないから甘いとか、礼儀がなってないとか…そういう声を
いつも島田が受け止めてくれてました。でも、島田は先輩たちを
心から尊敬してましたし、先輩たちも島田の事は認めていたはずです。
関係が悪かったなんて誰も思っていません。」

「なるほど、よくわかりました 。ところで、案外普通に学校内を
歩いてるんですね?今をときめくアイドルの仲俣さんが学校を歩いて
いるだけで人だかりが出来たりしてご苦労されてるのでは?と。」
「いえ…入学当時は少しありましたけど、今は全然。きっと、私の
事を知らない人が多いんでしょうね。まだ。」
仲俣の笑顔は少し寂しそうに見えた。
45代理:2011/10/25(火) 23:28:31.90 ID:BFacTf290
シーン17 5th.day 20:04 都内スタジオ

眩い照明に照らし出された中、渡辺が笑顔でポーズを作る。
次々に切られるシャッター、そのたびに表情がコロコロ変わる。
「ん〜…すごいね、今泉。見てごらん。まるで百面相だ。」
「古畑さん、ちょっと幻滅したなぁ。AKBなんかが好きだなんて。」
「何だ?お前は人の趣味にケチをつけれる程えらくなったんだ?」
「いや、だってさぁ、子供じゃないですか。子供。」
「子供…ね。」古畑は渡辺に視線を戻した。

「休憩入ります〜」
スタッフから声がかかると渡辺が小走りに駆け寄ってきた。
「えっと…昨日はすみませんでした!」ぴょこんと頭を下げる。
「すっごいナマイキな口のきき方しちゃいまして。つい興奮しちゃって。」
「あ〜いえ。お気になさらないでください。」
「あの…」渡辺は古畑をじっと見た。
「え〜…今日は一つお聞きしたい 事がありまして伺いました。」
「はい、私が知ってる事でしたらなんでも答えます。」

「先ほど、仲俣さんのところにもお邪魔して参りました。
彼女が島田さんとは非常に親交が深い事は理解出来ました。
ところで、あなたと島田さん、仲俣さんは、それほどは普段から
接する事はないようですね?どちらかと言うと、亡くなった
選抜メンバーの方とのお付き合いが多かった。特に何人かとは
かなり仲が良かったようですね。」
「そうですね…」また渡辺の表情が曇った。
「え〜…意地悪な感想をを申し上げます。。昨夜あなたが私に怒りを
ぶつけたあの時。実は私は意外だな…と感じました。
あの状況であれば、その怒りの矛先は私ではなく、むしろ島田さんに
向けられるもの だと思っていました。私なら、敏腕刑事が目の前で
自分の親友が殺された証拠を犯人につきつけたら、怒りの矛先は
間違いなく刑事ではなく、犯人に向かいます。」
46代理:2011/10/25(火) 23:30:38.34 ID:BFacTf290
シーン17-2

「何が言いたいんでしょうか?」渡辺が顔をしかめた。
「いえ、単なる感想を申し上げただけです。うふふふふ。
おや?これは渡辺さんがお書きになったものですか?」
古畑はテーブルの上にあったスケッチブックに視線を落とした。
そこにはややグロテスクな描写の絵があった。
「これはデュークですね?とてもお上手です。」
「え?古畑さん知ってるんですか?」
「もちろんです。刑事モノはドラマも漫画もよく見ます。
Lの冷静沈着で論理的な思考と勇気ある捜査は私の手本とするところです。」
「私は断然キラ派です!カッコいいじゃないですか。新世界の神なんて。」
「うふふふ。渡辺さんはそうお考えですか。
私は残念ながらそう思いません。確かに革命が起きれば彼は英雄かも
しれません。しかし、現実の世界では…彼は ただの殺人鬼です。」

「まゆゆ〜そろそろ休憩いいかな?」
カメラマンから声がかかる。
「は〜い。今行きま〜す。古畑さん、またこのお話...
できますか?」
「ええ。ぜひ。」
古畑は手を後ろに組んで立ち上がり、渡辺を見送った。
そして「必ず...出来ますよ。」独り言のようにつぶやいた。


47四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:36:32.52 ID:VXkYrr3Li
事件から2日後、8名の死亡事件が世間に公表された。
当初、運営側は不透明な事実が多い事を理由に事実を隠そうとしたが、
今最もメディアへの露出が多く、分刻みの予定がブッキングされている
8名が同時に姿を消す事への対応は事実上不可能だった。
発表は警察当局と運営サイド、それぞれから行われたが、その内容は
8名が亡くなった事、事件と事故両方の可能性を視野に捜査が進められて
いる事のみにとどまった。

文字通り日本中に衝撃が走った。テレビは一日中特集番組を放送し、
その内容は8名の足跡を追うものから事件の真相を解き明かそうとする
ものまで多岐にわたった。訳知り顔の解説員が、事件の可能性として
過熱したファンの犯行説や陰謀説、挙句の果てには 国際テロ組織の
関与までうかがわせるという有様だった。
そんな中、時を同じくして発売されたニューシングルは初動200万枚を
記録。町中のいたるところで彼女たちの歌声が流れ、誰もが彼女達の
話題を口にした。運営は、発売4日後に行われる握手会イベントを
予定通り行うと発表した。死亡したメンバーの握手券の払い戻しも
同時に発表されたが、返品を申し出る動きはほとんど見られなかった。

握手会当日、会場の幕張メッセには多くのファンが押しかけた。
警察は厳戒態勢を敷き通常の10倍の人員を割き警戒にあたった。
会場への入場は握手券を持っている者のみに制限されたが、
入口付近に設けられた献花台を訪れる人の列は海浜幕張駅を過ぎ、
そのまま稲毛方面へと続き、 その長さは時間が経つとともに
伸び続けていった。
48四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:37:30.16 ID:VXkYrr3Li
シーン18 10th.day 8:24 幕張メッセ

入場が制限されているせいか、会場内はいつもより落ち着いた人の
動きだった。雰囲気もいつもとそう変わらない。
違うのはレーンを表示する案内板に見慣れたメンバーの名前がない事くらいで。

「えぇ〜…玲奈さんに佐江ちゃん、それにすーちゃんの3枚でも
ゆきりん1枚とトレ無理ですか〜?」男が腕を組み顔をしかめる。
「おじさん、こないだまでならともかく、今回の劇場盤はそれじゃ
レート合わないよ。もう神8の生写真はこれが最後なんだからさ。
その3枚ならプラス10kは出してもらわないと。」
「う〜ん…わかりましたよ。」男が財布を取り出そうとした時声がかかった。

「古畑さん!こんなところで何をしてるんですか?」西園寺だった。
「何って、見てわからないか?ここ はトレーディングエリアじゃないか。
しかし、来るのが遅いよ西園寺君。」
「すみません。しかし、入場規制のおかげで入るのに四苦八苦したん
ですから。警察手帳見せても本局に照会されたりで時間かかって。
古畑さんはすんなり入れたんですね?」
「うふふふ。だって、ほら。」古畑はジャケットの内ポケットから
チケットのようなものを取り出した。そこには”握手券渡辺麻友第1部”
と記載があった。
「古畑さん、そんなもの持ってたんですか?」
「あたりまえじゃないか。じゃあ、そろそろ並んでくるよ。
君はそこで待っていなさい。」古畑は出来始めた列の最後尾に
向かって歩いていった。
49四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:38:16.56 ID:VXkYrr3Li
シーン19 10th.day 9:07 幕張メッセ控室

「すみません〜渡辺さん。そろそろ準備宜しいですか?
開始の時間過ぎてるんで。」スタッフから声がかかる。
すでに他のメンバーはレーンの方へ出向き、広い控室には
渡辺とスタッフだけになっていた。
渡辺はじっと鏡を見つめる。前髪はもう何度も何度もチェックした。
いつもはこれで落ち着くのだが、今日はどうしても鼓動の高まりが
おさまらない。渡辺は目を閉じた。

そこへ、仲俣が現れる。「あれ?まゆゆさん。もう1部始まってますよ?」
「あ、なかまった〜。おはよ〜。今日何時からだっけ?」
「えっと、10時半からです。今日はちょっと時間長いんですよ。」
仲俣が嬉しそうに話す。部制の渡辺と違い、仲俣には限られた時間しか
レーンが用意されない。これもAKBの厳しい競争の一つだ。

「ねぇ…汐里さん…アレやってくれませんか?どうしても今日は…」
「最近大丈夫だったのに?うん。わかったよ。」
二人は小声でささやき合った。
「すみません、スタッフさん。すぐに行きますから。誘導の方に
あと5分って伝えてきてもらえますか?」渡辺が声をかけると
スタッフは駆け足で会場の方へと向かった。

仲俣は渡辺の肩に手を置き、椅子に座らせて大きな鏡を一緒に
見つめた。
「麻友…あなたはアイドル。とっても素敵な女の子。
み〜んな、麻友の事が大好き…」仲俣の声は優しかった。
「うん。私はアイドル…み〜んな私の事が大好き…」
渡辺は鏡をじっと見つめ、そして長い時間そのまま動かない。
肩に置かれた仲俣の手を強く握りしめる。

「…さぁ、そろそろ行こうか。み〜んなの視線を…」仲俣がささやく。
「頂き…まゆゆ!」二人が声をそろえた。ようやく渡辺が笑顔になる。
「さぁ、行ってらっしゃい。」
「うん。ありがとう。行ってくるね。」仲俣は渡辺を見送り、自分の
準備を始めた。
50四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:42:51.59 ID:VXkYrr3Li
シーン20 10th.day 9:51 握手会渡辺麻友レーン

「まゆゆ頑張って〜」「今日も可愛いよ〜」
ファンは今日も優しかった。神8と呼ばれるメンバーで一人残った
渡辺を気遣うかのように事件の話題に触れる者は一人としていなかった。

暫くして、黒づくめの出で立ちの男が渡辺の前に立った。
「うふふふ。渡辺さん、こんにちは。」古畑だった。
「あ、おはよーございます!来てくれたんですか?びっくり〜」
「え〜…うふふふ、今日はまゆゆ…と呼ばせて頂きます〜。ところで…」
古畑が言いかけたところで、後方に控えた係員が乱暴に古畑の背を押した。
「時間です。」剥がしだった。
「あ〜まゆ…」「また来てくださいね〜」渡辺が手を振った。
51四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:43:23.63 ID:VXkYrr3Li
シーン21 10th.day 10:21 都内某ホテルスイートルーム

スイートのリビングに置かれたエアロバイクから降りた島田の顔は
汗で輝いていた。ここに来て6日。こうして朝から体を動かすのが
習慣になり始めていた。というよりは、体を動かしている時だけは
余計な事を考えずに済む。
汗を拭きながら島田は昨日の古畑との会話を思い出していた。

「古畑さん…なんで私はここにいるんですか?逮捕されたんじゃ
ないんですか?こんな高級ホテルにいさせてもらうなんて…
特に取り調べって事もされてませんし。
そりゃ、常に監視されてて外出もさせてもらえませんけど?
そろそろ何が目的か教えてくださいよ。」
「え〜…島田さん。今はまだすべてをお話する事ができません。
ですが、私はあなたが犯人ではない…そう考えています。」
「でも、あの時古畑さん、言ったじゃないですか。アイスの中に
毒を入れれるのは私しかいなかったって。」
「島田さん。その話、私が言ったのと少々違うようです。」
「え?どういう意味ですか?」
「私は”被害者が亡くなる前に”毒物を入れる事が出来たのは…
と言ったはずです。可能性の話だけしかしておりません。」
「…」しきりに首をひねる島田を古畑は優しい笑顔で見つめた。

52四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:48:47.18 ID:VXkYrr3Li
シーン22 10th,day 13:05 握手会仲俣汐里レーン

「俺15枚なんだけど。」「俺、20枚。」
「じゃ、やっぱ俺だな。22枚あるからさ。」「やられた〜」
古畑は盛り上がる大学生風の若者たちに声をかける。
「え〜…仲俣さんの列の最後尾はこちらで宜しいでしょうか?」
「そうだけど。おっさん、鍵閉めはダメだよ。一番枚数持ってる
ヤツが鍵閉めって暗黙のルールなんだからさ。」
「あ〜そうなんですか?ではこれでいかがでしょうか?」
古畑はジャケットの内ポケットから束になった握手券を取り出した。
「うふふふふ。100枚あります。」
「あ…どうぞどうぞ…」若者たちは顔を見合わせ古畑に最後尾を譲った。

程なく古畑の順番になった。
「古畑さんじゃないですか?どうしたんですか?」仲俣に驚きの
表情が浮かぶ。「え〜…今回の握手会。とても楽しみにしておりました。
実は仲俣さんの列に並ぶのは今回が初めてではありません。」
「…」仲俣は目を細め、遠い記憶を辿った。
「古畑さん、思い出しました。前にも10回くらいループしてくれた事
…ありますよね?そっか、だから初めて会った気がしなかったんだ。」
「ええ。お恥ずかしい話です。ところで、そろそろ握手の手を
離しませんか?今日は10分ほどお時間が頂けるようです。
さすがにこのまま手を握っていては照れてしまいます。うふふふ。」
「あら。私は構いませんけど?」仲俣は笑った。

53四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:49:38.39 ID:VXkYrr3Li
シーン22-1

「え〜仲俣さん、昨日のクイズ番組拝見しました〜」
「やだ〜恥ずかしい。私結構珍回答してましたよね?」
「ええ。古代エジプトの王の君主の称号はファラオです。”パレオは
エメラルド”ではありません。あれは狙って答えましたね?」
「いえいえ。ホントど忘れしちゃったんですよ。たしか、オレオか
ファイルか…って。そこまで計算してませんよ〜」
今日の仲俣はやはりアイドルだった。これまでの捜査で見せた印象と
明らかな違いを感じさせる。
「しかし…頭の良いあなたがああいう風にユニークな回答をすると
何というか…好感度が上がるように思えましたよ。うふふふ、実は
私はあくまでも計算…と睨んでますけどね。」
「古畑さん、意地悪ですね。」
「うふふふ。あなたの頭の良さは皆さんから聞いております。
秋元康さんからは、いつもメンバーの勉強を見てあげている、という
話を聞きましたし、大学の研究室の教授には、あなたを文系学部に
在籍させたままでいるのは、学校にとっても大きな損失だとまで
おっしゃってました。そんな方が...
「しかし、犯罪捜査では往々にしてそういう事があります。」
「え?」古畑は突然話題を変えた。

「完璧に見えるトリックでも必ずどこかに穴がある。その僅かな
綻びを逃さず突き詰めていくのが、私たち刑事の腕の見せ所です。
え〜…今回の事件ですが、私は相当に頭のいい人物が絡んでいる…
と考えております。」
「はい…」仲俣は笑顔を見せ続けるが、目に不安の表情が浮かぶ。
「ですが、同時に幾つもの穴を残していってます。いえ、穴とまでは
言いません。違和感のようなものです。まるで、何か私にメッセージを
残してるかのように…です。」

「メッセージ?」
「はい。残念ながら私はまだそのメッセージを上手く読み取れては
いません。ですが、きっと読み解いて みせます。必ずです。
あ、いけません〜。楽しい握手会の時間に相応しくない不躾な
話題をしてしまいました。そろそろお時間のようですね。どうも、後ろの
あの方に引き離されるのは寂しい思いがしますので、この辺りで…」
「はい。今日はありがとうございました。」仲俣はもう一度両手を
差し出し古畑の両手をしっかり握った。
「また、お会いしましょう。」そう言ったのは古畑のほうだった。
54四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:50:21.65 ID:VXkYrr3Li
シーン22 10th.day 21:07 渡辺麻友宅

「古畑さん、そんな事言ってたの?」渡辺が驚いた表情を浮かべた。
「そうなの。ひょっとしたら、あの人、私たちが思ってるよりも
ずっと鋭いのかもしれない…色々と私たちの周りを
嗅ぎまわってるみたいだし…」仲俣が言う。
「うん。私もそう思ってました…油断出来ないっていうか。」
「それに、事件からもう5日…6日だっけ?経つのに、いまだに
犯人とか何とかってニュースが出ないでしょ?幾ら容疑者が
未成年だからって、逮捕されたとか重要参考人として話を聞いて
ますとかって普通出るでしょ?」
「ねぇ?やっぱり…」
「そうだね。次の計画…急いだ方がいいかもしれないね。」
仲俣が言うと、渡辺の目に涙が浮かんだ。
「お願い…この前みたいにもう一人だけで行
こうってなんかしないでね。一緒だよって約束して。」
「わかってる。わかってるから。」仲俣は渡辺の肩を抱いた。

55四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:51:05.54 ID:VXkYrr3Li
シーン23 11th.day 12:45? 前田敦子宅前

古畑と西園寺がマンション前に立っている。遅れて今泉が現れる。
「古畑さん、買ってきましたよ。」
「ありがとう。じゃ、帰っていいよ。ほれ。」
「そんなぁ。僕も食べたいですよ。ひどいなぁ。買いに行かせるだけ
行かせといて。」
「わかったよ。本当にお前は…」

3人はエレベーターで高層階へと上がり事件現場へと入った。
部屋の中は片付けられていたが、死体のあった場所や遺留物の
あった所にはマーキングが残っており、その悲惨な光景を思い
出させるには十分であった。

「西園寺君、ちょっと先にアイス食べようよ。この部屋、暑いんだ。
南向きで日当たりがいいし、密閉性が高いから熱がこもるんだよ。」
「え?ここで…ですか?殺人現場で、しかも犯行に使われたものと
同じアイスを食べるのって、あまりいい気はしませんね。
今泉さんが毒入れてるかもしれないし。」
「西園寺!お前は先輩を敬う気持ちっていうのがないのか!」
「じゃ、先に好きなの選んでいいですよ。」
「あたりまえだ!古畑さん、何にしますか?」
「私はなんでもいいよ。お前が好きなのを選びなさい。」
「やったぁ。じゃ僕はクッキー&クリームね。」
「全く…」西園寺が残ったカップに手を出し蓋を開けた。
シールを口で剥がしスプーンを手にする。

「今泉さん、このアイス溶けてるじゃないですか?」
「仕方ないじゃないか。あのスーパー保冷剤一個しか入れてくれなかったんだから。
古畑さん、アイス買うなら下のコンビニで買ってくれば良かったじゃ
ないです か。」今泉が言う。
「いいんだよ。私はちょっと溶けかけたアイスが好きなんだから。」
「そうなんですか?私はどちらかというと、カチンカチンに…」
西園寺が言いかけて古畑の方を見た。
「古畑さん…」ソファから勢いよく立ち上がる。
古畑が眉間に指を当てたまま、ほほ笑んだ。
56四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:51:46.31 ID:VXkYrr3Li
シーン24

暗転。スポットライトが古畑に当たる。

え〜…みなさん。今回の事件、私は最初からずっと違和感を感じていました。
どこか、現実味がなかった…と言っていいかもしれません。
そして、一見巧妙に仕組まれたトリックに幾つもの抜け穴がある事にも
気づいていました。この事件の犯人は、すごく頭のいい人間でした。
その抜け穴は実に密やかに隠されていました。まるで、時間をかけて
見つけてくれ…と私にメッセージを送っているかのように。


え〜…冒頭にも申し上げましたが、このお話はフィクションです。
あくまでも、作り話です。再度登場人物の名誉のために申しますが
彼女達が人を殺す事はありません。
もう一度繰り返します。彼女達が実際に、こんな悲劇の登場人物に
なる事は…あり得ません。

古畑任三郎でした。

57四谷幸喜:2011/10/25(火) 23:54:05.87 ID:VXkYrr3Li
前スレからのコピペ完了です。
お騒がせしてすみませんでした。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 00:10:20.19 ID:w7xSR563O
いいぞいいぞー
59名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 00:44:49.28 ID:pCy8v1ZZO
次は続きか。
楽しみだ
60四谷幸喜:2011/10/26(水) 01:01:53.10 ID:ZGemUl3ai
前スレからお越しいただいたみなさん、
新しくご覧になってくださってるみなさん。

お話も佳境に入ったところで、新スレへの
移行となり、大変お騒がせしました。

明日(もう今日ですね)から、また宜しくお願いします。
61山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/10/26(水) 01:16:43.45 ID:JYYxhvQ5Q
おっ楽しみ〜
62十谷幸喜:2011/10/26(水) 05:16:17.28 ID:YzKCOQ3B0
暗い部屋 スポットライトを浴び振り返る古畑

古畑「えー今度の事件ほど厄介な事件は記憶にありません。
    容疑者の数、なんと200人以上。この中からたった一人の
    真犯人を探しださなければいけないわけです。しかもこの200人は
    強い絆で結ばれ、誰一人として真実を語ってはくれません。
    んふふふ・・・ですが、解決の糸口はそのあたりにありそうです。
    必ず真犯人にたどりついて見せます。努力はかならず・・・・・」

オープニングテーマ
63名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 07:19:11.88 ID:Dhq7O9Lb0
混ざるからやめ
64名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 07:42:32.99 ID:6z+bN6raO
>>63
別に混ざらんだろ黙れ
65名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 07:44:54.38 ID:pCy8v1ZZO
>>62

混乱するから、四谷さん終わるまで待ってくんない?
てか前スレでそうゆう話になったよな?
66四谷幸喜:2011/10/26(水) 07:53:33.96 ID:ZGemUl3ai
みなさん、おはようございます。
今日も宜しくお願いします。

ワタシの愚作もあと少しでエンディングを迎えます。
もうちょっとだけお付き合いいただけたら幸いです。

今日も午前中にはUPを始める予定です。
67四谷幸喜:2011/10/26(水) 09:29:10.40 ID:ZGemUl3ai
シーン25 13th.day 19:16 AKB48劇場

間引かれて点いた照明。薄暗い観客席の一番後ろの座席に
並んで腰かける仲俣と渡辺。
「何人に連絡ついた?私は4と研究生全員。多分殆どが来ると思う。」
仲俣が携帯の画面を見ながら言う。
「ソロの仕事で来れないのが…何人かいます。それでも、結構な
人数が集まると思うけど。珠理奈も来るって。」渡辺は震えている。
「秋元先生のアカウントからのメールだからね。ダミーアカウント
作るのって結構大変だったけど。」
「ね…汐里さん?やっぱりこんな風に一気に…って危ないんじゃない?」
「仕方ないよ。私たちに残された時間は…多分あまり無いと思うから。」
「そう…ね。」
「それに、今回は他の誰かの仕業なんて思わせなくていいんだし。」
「はるぅには悪い事し たけど…でも、結果的にはるぅは助かる事に
なるんだから、許してくれるよね?」
「麻友…きっと、誰も私たちの事を許してはくれないと思うよ。」
「汐里さん…」
「でも大丈夫。私だけはずっと麻友と一緒だから。」「
「うん。」
二人はしっかりと手を取り合った。

「さ、Partyが始まるよ。」
68四谷幸喜:2011/10/26(水) 09:30:52.58 ID:ZGemUl3ai
続きは後ほど。
今日は、少しずつのUPになるかもしれません。
69四谷幸喜:2011/10/26(水) 10:48:44.41 ID:ZGemUl3ai
シーン25-1

劇場のドアが開いた。
仲俣と渡辺が振り向く。薄暗い劇場からはロビーの明かりが
まぶしく見える。二人は目を凝らして入口を見た。
そこにいたのは、島田晴香だった。
「はるぅ…?」渡辺が本当にそこにいるのが島田かどうか
確かめるように聞く。
「はい。島田です。まゆゆさん、こんにちは。」
「なんで?」仲俣もさすがに驚いた表情だ。

「え〜…それでは最終ベルを鳴らしましょうか。」
ステージの上から古畑の声がした。二人は更に振り返って
ステージの上の古畑を見る。古畑は両手の指を組み、ステージの
上でほほ笑んだ。
7062:2011/10/26(水) 11:42:30.18 ID:YzKCOQ3B0
「支援保守」って入れるの忘れてました
混乱させてすまん
71名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 11:48:00.69 ID:7XU3ecLr0
きてああ
72名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 12:07:27.46 ID:pCy8v1ZZO
>>69
古畑うまいこと言うな
73四谷幸喜:2011/10/26(水) 12:50:26.16 ID:ZGemUl3ai
シーン25-2

「え〜…仲俣さん、残念ながら皆さんは来ません。なぜかって?
簡単です。あなたと同じ方法です。先回りさせて頂きました。」
「そうですか…」仲俣はわざとしてやられたという表情を作り
笑顔を見せた。
「え〜…今日は大切なお話をさせていただきます。その為に
島田さんにも来て頂きました。」
「ええ。聞きましょう。長い夜になりそうですね。」

「お話というのは、ほかでもない…先日起きたあの事件についてです。」
「…」仲俣と渡辺は無言で頷いた。島田もだ。
「おぞましい凶悪事件です。同時に8名もの命を奪った、犯罪史上
稀に見る大量殺人事件です。どんな理由があれ、犯人は許されるものでは
ありません。私は犯人への強い怒りを感じずにおれ ません。」
古畑の口調が強くなる。

「仲俣汐里さん。そして渡辺麻友さん。この事件の犯人は…
あなた方お二人です。」
渡辺は全身を震わせ仲俣にしがみついている。目は涙でいっぱいだ。
仲俣はそんな渡辺に大丈夫だから、とでもいうような笑顔を見せて
古畑に向き合う。

「古畑さん。事件の会った日、おっしゃいましたよね?あの場面で
アイスのカップに私が毒物を入れる事が出来る可能性はないって。」
「ええ。確かにそう申しました。ですが、私は”被害者が死亡する
前に”入れる事は出来ない…そう言ったはずです。ね?島田さん。」
島田が頷いた。
74四谷幸喜:2011/10/26(水) 12:52:15.57 ID:ZGemUl3ai
シーン25-3

「え〜…仲俣さん。アイスのカップから見つかった毒物ですが…
鑑識からはカドミウムを主とする化合物であるという報告が
上がっております。これはほんの僅かの量で、人を死に至らしめる
恐ろしい猛毒だそうです。これを人が服用すると、酸素を各器官に運ぶ
血液中の機能が完全にマヒします。酸欠状態になるという事です。
亡くなった皆さんを検死したところ、どなたからも酸欠のような
症状が見てとれました。そこが、この毒物を混入させるチャンスが
あった島田さんが疑われる大きな理由です。」

古畑は続けた。

「しかし、さらに詳しい調べを進めていくと、ちょっと違った見解が
出て参りました。仲俣さん、薬の投与にはいくつか種類がある…
事はご 存知ですか?」
「…経口投与、点滴等による投与、吸入投与…」仲俣が答えた。
笑顔はない。
「さすがです。よくご存知で。検証に時間がかかりますが、どういった
方法で薬物が投与されたかは今の科学では立証する事は不可能では
ありません。そして、今回の事件、被害者は…」
「何か毒の入ったものを食べて死んだんじゃない。」仲俣は言った。
古畑は笑顔で頷いた。
75四谷幸喜:2011/10/26(水) 12:54:35.86 ID:ZGemUl3ai
シーン25-4

「渡辺さん、お聞きしたい事があります。」
「はい…。」
「あなたは、3人が部屋に戻ってきたとき、ベランダに人影のような
ものを見た…とおっしゃいましたね?」
「はい…。」渡辺は仲俣の方を不安そうに見た。
「大丈夫。ね?」仲俣がほほ笑む。

「島田さん、あなたはすぐにベランダに飛び出した。そして、階下へ
梯子が下がっているのを見てあなたも下の階へ降りていった。」
「はい。誰かが逃げてるってその時は思ったので。」
「下へ降りると、ガラスが破られ窓が開いていた。あなたは部屋へ
飛び込んだ。」
「はい。中には誰もいませんでしたけど。」
「え〜…渡辺さんが人影を見て、そのあとをすぐ追った島田さん。
元テニスプレーヤーのダッシュです。さぞかし素早かったでしょう。
はたして、その人影はほんの僅かの間に非常用梯子を階下へ下ろし
非常に硬い防犯処理がされた合わせガラスを割り空室の部屋に入り、
玄関から出て鍵を閉めた…。果たしてそんな事が出来るでしょうか?
私は、そんな素早い動きを出来る人間がいるとは…思えません。」
76四谷幸喜:2011/10/26(水) 12:56:41.26 ID:ZGemUl3ai
シーン25-5

「一つの疑問が私の中で産まれました。刑事にとって疑問を持つという
感情は決して無視してはいけないものの一つです。」
「古畑さんがお持ちになった疑問というのは?」仲俣が聞く。
「え〜…犯人…仲俣さん、あなたが仕掛けたいくつかのトリックは
島田さんに罪をきせる為に仕組まれたんじゃなく、他に目的が
あったのでは?という疑問です。」
「面白い仮説ですね。」仲俣は相変わらず冷静な表情を崩さない。

「え〜…あくまでも仮説です。
話を戻しましょう。実は、私、アイスに混入された毒物が死因だとは
考えておりませんでした。」
「なぜですか?」
「え〜…仲俣さん、あなたはアイスはカチンカチンに凍ったものと
溶けかかったもの、どちらが お好きですか?」
「…私はちょっと溶けかけが好きです。」
「渡辺さんは?」
「私は固いのが…」
「え〜…恐らく皆さん食べ物の好みはバラバラです。私などドロドロに
溶けたアイスが大好きです。」
古畑の乾いた笑い声が響く。仲俣にも渡辺にも笑顔はない。
「事件当時、テーブルの上に運ばれたアイスは恐らくカチンカチンに
凍った状態だったのでしょう。カップの中にはほとんど何も残ってない
ものもあれば、溶けたアイスがカップからこぼれそうなものもありました。
となると…溶けたアイスが好きですぐには手をつけなかった方は
先に食べて苦しむ方を見て気づくはずです。この中には何か
良くないものが入っている…と。」
77四谷幸喜:2011/10/26(水) 12:57:11.02 ID:ZGemUl3ai
続きは後ほど。
78名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 13:24:19.79 ID:E7bhVtFh0
期待あげ
79四谷幸喜:2011/10/26(水) 13:53:08.98 ID:ZGemUl3ai
シーン25-6

「あの日は暑い一日でした。仲俣さん、あなたがアイスを入れて
きたのはこのクーラーボックスですね?」
古畑が小さな箱を取り出した。
「ええ。そうです。暑かったのでアイスが溶けちゃわないように…と
思いまして。」
「実に気が利いておられます〜。しかし、私はこのクーラーボックスは
アイスが溶けないようにする目的で持ってこられたんじゃないと
私は考えています。何か他に大事なものを運ぶため…だったのではないでしょうか」
「どうしてですか?アイスが溶けないようにクーラーボックスを
使う…何も不自然ではありませんよね?」
「島田さん、あなたがアイスを皆さんにお出しする時、このクーラー
ボックスはどこにありましたか?」
「え…っと。冷凍庫の中で す。」
「おや〜…おかしいです。このクーラーボックス、小さいタイプとはいえ
結構嵩張ります。前田さんのお宅の冷凍庫に入れておくにはちょっと
厳しいサイズかと思います。溶かさないように持ってくるのが目的なら
中身を取り出してアイスだけ冷凍庫に入れればいい話です。」
「それは…ドライアイスを…」仲俣が言いかけてはっと言葉をのんだ。
「ドライアイスまでお持ちになったんですね。素晴らしい気配りです〜
実は、仲俣さん、あなたのお部屋を調べさせて頂きました。今日は
冷凍庫の中にあったこちらを用意して参りました。」
80四谷幸喜:2011/10/26(水) 13:56:25.97 ID:ZGemUl3ai
シーン25-7

西園寺が大きな平皿を持って現れた。キャンドルが置かれ周りには
花があしらわれている。西園寺は島田に水差しを渡す。
「島田さん、ここに水を注いで頂けますか?あの時と同じように。」
仲俣の表情が凍りついた。額に大粒の汗が浮かぶ。
「やめて…やめて…お願い!やめて!」渡辺が叫ぶ。


「ご安心ください。このドライアイス、実は私が持ってきたものです。
仲俣さん、あなたの家の冷凍庫にはあったものとは違います。」
「古畑さん…」
「うふふふ。ごめんなさい。嘘をつきました。」古畑は笑った。
古畑は島田に向かって頷く。皿に水が注がれる。すると、皿から
煙がこぼれ水に浮いたキャンドルが幻想的に揺れ始める。
「美しいですね。思わずかぶ り付くように見入ってしまいます。
しかし、この美しい煙の中に猛毒が含まれているとしたら…」


「一酸化炭素です…ドライアイスの主成分は本来二酸化炭素ですが、
製造過程で高濃度の一酸化炭素を混合し、40℃、10mpの圧力をかけ
一気に減圧すると作る事が可能です。出来あがったドライアイスは
水に触れて気化させると、強い毒性を持った煙を出します。」
仲俣が解説した。淀みのない口調だった。
「さすがは早大理工学部教授お墨付きの仲俣さんです。理工学部の
実験室にドライアイスを製造できる装置がありました。国内の
研究室でこの装置を持つところは非常に少ないそうですね。」
仲俣は静かに頷いた。

81四谷幸喜:2011/10/26(水) 13:58:05.01 ID:ZGemUl3ai
シーン25-8

「え〜…あなたは、このトリックを成立させなくてはいけなかった。
そのためにまず…島田さんの目をベランダへ向けた。理由は…二つ。
一つはまず部屋の換気をするため。被害者を釘づけにしたため、
部屋に充満するほどのガスが必要ではなかったとはいえ、すぐに
空気を入れ替えないと自分たちもガスを吸ってしまう。
そしてもう一つは、島田さんに捜査の目を向ける為の仕掛けをする
時間を稼ぐため。その為に、二人は事前にベランダに出て、非常梯子を
下ろし下の階の窓ガラスを割ったんです。案の定、島田さんは
ベランダに飛び出し、下の階へ降りて行った。そのおかげで仕掛けを
施す時間は十分に確保できた。」

「古畑さん、最初からわかってたんです か?」仲俣が聞く。
「いえ。ですが、あなたが伝えようとしたメッセージは伝わったような
気がします。ようやくですが。」
「どんな声が聞こえましたか?」
「ん〜…”もう少しだけ待って…”でしょうか。」
「ふぅ…そっか。でも、私が思うよりちょっとだけ早いですよ。
古畑さん。」仲俣は笑った。
82四谷幸喜:2011/10/26(水) 13:58:31.90 ID:ZGemUl3ai
続きはまたまた後ほど。
83名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 15:07:50.66 ID:pCy8v1ZZO
>>82
楽しみにしてるよ
84名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 15:08:27.42 ID:FyBATJsm0
わっふるわっふる
85四谷幸喜:2011/10/26(水) 15:17:28.90 ID:ZGemUl3ai
シーン25-9

「晴香…ごめんね。」仲俣が島田に言った。
「でもね。晴香への疑いは晴れるって思ってたよ。きっと、この
優秀な刑事さんが事実をつきとめてくれるって。」
「仲俣さん、あなたは実に優秀な方…頭のいい方だ。このトリックで
一番重要なのは、自分たちが逃げうせる為のものではない。島田さんを犯人に仕立て上げる事でもない。時間を稼ぐ事…だったんです。」
「でも…なんで?なんで、こんな事をしたの?ね?こんな怖い事…」
島田が仲俣に訴えかけるように聞いた。
「なんでって…あの人たちがいたら、いつまでたっても私たちの
順番なんて回ってこないじゃない。いつまでたっても、アンダーどまり。
そんなの、つまらないじゃない。」
仲俣が苦い笑い を浮かべると、すぐに渡辺が口をはさんだ。
「違う!違う!汐里さんは、私の…私の為に…」
「まゆゆ…さん?」島田が驚いて渡辺の方を見た。
86四谷幸喜:2011/10/26(水) 15:20:46.07 ID:ZGemUl3ai
シーン25-10

「え〜…渡辺さん。実はちょっとあなたにもお見せしたいものがあります。
古畑はA4サイズの封筒を西園寺から受け取って中身を取り出した。
封筒には慶応病院の文字が見える。
「渡辺さん、あなたを蝕んでいる肺MAC症という病気…確かに若年で
発症すると深刻な予後となるケースは多いです。しかし、決して
不治の病ではありません。」
「古畑さん…そんなことまで?」
「はい。それが私の仕事です。あまり気持ちのいいものではありませんが。」
「古畑さん…本当に…本当に麻友の病気は治るんですか?」
「可能性は高くはないかもしれませんが…不可能ではありません。」
仲俣は大きく息を吸って、そして上を向きその息を吐いた。
「麻友と私が初めて会っ たのは、私がAKBに加入してすぐでした…。
仲俣が話し始めると、古畑は両手の指を組み静かに目を閉じた。
87四谷幸喜:2011/10/26(水) 15:21:57.80 ID:ZGemUl3ai
続きは夜になります。
今夜中にラストまでいけるかなぁ...?
88名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 15:26:30.25 ID:oronSQVJ0
おおー 何かすごい事にぃ
まゆゆ病気だったんか 気になる気になる
楽しみにしてます
89名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 16:57:11.78 ID:jTlcZ9Bw0
前にも言ったが古畑というより土曜ワイド劇場の感じなんだよな
90 忍法帖【Lv=19,xxxPT】 :2011/10/26(水) 17:13:25.77 ID:eLRZ/hnm0
>>89 で?それを言ってどんな反応待ちなん?
91名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 17:25:02.88 ID:ynK48aBl0
文句言うなら>>89が次書いてくれ
プロのクオリティーを求めるなら本屋行って金だして買いなさい
92名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 17:37:49.82 ID:Dhq7O9Lb0
期待
93名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 18:22:11.02 ID:PmV9oOtk0
>>89
ただ飯食えてるんだから味に文句つけるのはマナー違反
94名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 18:30:58.86 ID:WRejC1DO0
名作とは思わないが、仕事中も気になるくらい夢中にさせてくれているのでヒットだな
95名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 18:37:31.69 ID:skXEWCO70
普通に毎日続きを楽しみにしてる
96名無しさん@お腹いっぱい:2011/10/26(水) 19:12:35.89 ID:CBTvIAoO0
古畑しか知り得ない、犯人驚愕の事実

TVシリーズでも度々あったよなぁ

作者さん凄いわ
97名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 19:14:02.10 ID:oRmAmzXR0
前作よりおもしろい
推しは殺されたがw
98名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 19:34:36.99 ID:pCy8v1ZZO
続きが気になり過ぎて仕事にならなかったww
99名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 20:04:22.21 ID:WRejC1DO0
気になって見に来たWW この作者、俺の仕事邪魔しているWW
100名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 20:40:03.95 ID:L4moITkNi
読んだら様々な意見が出るのは当たり前だろ。それに>>89は通りがかっただけで唾吐いた書き込みには見えないし。
マンセーレスのみしか受け付けませんって乱暴すぎじゃない?
101名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 20:49:06.95 ID:VzW2loBm0
だな
いちいち噛み付かないでこういう意見も有るんだと思っとけばいい
作者も地下でやる以上分かってるだろう
102四谷幸喜:2011/10/26(水) 20:58:19.75 ID:UoWp+4HzI
シーン0-1 回想シーン

劇場控室。机に向かう渡辺。頭を抱えうなっている。
「う〜ん…う〜ん…やびゃぁなぁ。全然わからんないよぉ…」
「あ、これって…B(x) = A(x)D(x) + R(x)
で、B(x)が3次、A(x)が2次だから、D(x)は1次、
R(x)は2次より小さいことから1次以下の式になります。だからここで
D(x)=ax+b,R(x)=cx+dとおくと…」
「あ。そっか。わかったわかった。すごい〜。えっと、あなたは…?」
「あ、はい!10期研究生の仲俣汐里といいます!宜しくお願いします!」
「へえ〜汐里ちゃんていうんだ。私は渡辺麻友。まゆゆ…って呼んでね。」
「あ、はい!まゆゆ先輩!宜しくお願いします!」
「汐里ちゃんって頭いいんだねぇ。ねぇねぇ。これからも私に
勉強教えてくれる?トライ式だと余り身に付かなくて…
大きな声じゃいえないけど…ね?」二人の明るい笑い声が辺りに響いた。
103四谷幸喜:2011/10/26(水) 21:01:13.31 ID:UoWp+4HzI
シーン26 13th.day 20:51 AKB48劇場

「すぐに私と麻友は意気投合しました。麻友はその時、もうトップ
アイドルで私は研究生でしたが、私の事を本当のお姉さんのように
慕ってくれました。勉強の事だけでなく、仕事の事、趣味のアニメの
話…いろんな話をしました。麻友の悩みの相談に乗るのも私の
役目でした。」

「…」古畑は黙って仲俣の話に聞き入る。
「その当時、麻友が一番悩んでたのが握手会の事でした。一度麻友は
握手会でファンの悪質な悪戯を受け、それをきっかけに握手会に
トラウマを感じるようになっていたんです。私は自分で興味があった
心理学の本を読みあさって、麻友に暗示をかける事で不安感を
拭うという事に成功しました。私はどんどん心理学に傾倒していきました。
人に対し、どれだ け人は影響力を与える事が出来るのか…」

「そして、渡辺さんとの絆はどんどん深まっていった…。」
「そう。私は麻友の事を本当の妹のように思っていました。だから、決して
麻友を利用して…なんて事を考えたことなんてありません。

そんなある日、麻友から衝撃的な告白を受けたんです。」
「病気の事ですね。」古畑は言った。
104四谷幸喜:2011/10/26(水) 21:04:44.87 ID:UoWp+4HzI
シーン26-1

「麻友はその事実を受け止める事ができませんでした。医師の診断は
非常に厳しいものでしたから。そんな麻友を救うには…現実から
逃避させる事しか私には考え付きませんでした。
…妄想…そう言っていいかもしれません。私は毎日のように麻友に
語りかける時間を作りました。ようやく落ち着きを取り戻し始めた
頃、私の正規メンバーへの昇格が発表されたんです。」

渡辺はじっと目を閉じぴくりとも動かない。
まるで意識だけがここに無いかのようだった。

「私は複雑でした。昇格は確かにうれしかった。アイドルとして
この先輝けるチャンスが私にも来たんですから。でも…麻友は…
麻友も同じ思いだったんでしょう。喜んでくれてはいましたが、私が
自分から離れていっ てしまうんじゃないかって。そちらの不安の方が
強かったのは、手に取るように解りました。
私は冗談のようにあるアイディアを麻友に話しました。”革命”です。
AKBを葬る事で芸能界に大きな変革をもたらすという、他愛もない
ほんの絵空事のお話のはず…でした。
ところがその時の麻友の心理状態は酷いものになり始めていました。
まるで何かにすがりつくようにその計画に希望を見出すようになって
しまっていたんです…。」
105名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 21:08:11.91 ID:pCy8v1ZZO
おお
106四谷幸喜:2011/10/26(水) 21:08:28.63 ID:UoWp+4HzI
シーン26-2

古畑は目を閉じていた。腕を組み黙って仲俣の告白に耳を傾ける。
「私は、決意しました。麻友と一緒にいよう…計画を実行して
麻友を夢の世界の中にいさせてあげよう…と。」

「仲俣さん…あなたは…間違っています。」古畑の声は苦かった。

「はい。それもわかっています。わかってるんです。私は恐ろしい事を
しました。そう...本当に怖かったのは、私だったのかもしれません。
世間の注目を浴びて輝き続ける…そんなアイドルでいる事のプレシャーから
逃げていたのは私のほうだった…」

「事件の日、あなたは自分一人で計画を実行しようと思ったんですね?」
「ええ。だからトリックを施す為にアイスをわざと1個少ない9個
買っていったんです。途中で外に出る為に スムーズな言い訳が出来る
かなって。結局麻友が来る事になってしまったのでどっちにしても
足りなくなっちゃったんですけど。」

仲俣は全てを語り尽くしたといった表情で古畑に言った。
古畑さん…そろそろ私を連れて行って頂けますか?麻友が…
目を覚ます前に…」
いつの間にか渡辺は仲俣の腕の中で眠りに落ちていた。
「さっき飲ませた薬が効いてるみたいです…」
107四谷幸喜:2011/10/26(水) 21:13:29.07 ID:UoWp+4HzI
ラストシーン

「古畑さん…ありがとうございました。」
「ん〜…何の事でしょう?」
「古畑さんが、早く見つけてくれたおかげで、これ以上多くの人を
巻き込まずに済みました。次の計画…今日の事が終わったら、もっと
分かりやすいヒントを出そうと思ってたんですけど…。」


「ん…私はアイドル…みんなが私の事を大好き。み〜んなの視線を…」


渡辺がうなされるように言葉を発した。
「いつも、握手会の前に二人で言ってた言葉です。
麻友…麻友…ごめんね。
でも、きっと…きっと病気は良くなるよ。そしたら…そしたら…
晴香。ごめん。麻友の事をお願い…」
「大丈夫。だってホントの事だもん。みんなまゆゆさんの事が
大好きだから。だから…」

「ありがと。私は晴香の事が大好きだったよ。」
「ばかやろう…」島田の目から涙がこぼれた。

「古畑さん…私、きちんと裁きを受けます。そして、ちゃんと自分の
やった事に向き合います。それが、私の取るべき行動…ですよね?」
古畑は笑顔で頷いた。

「柏木さんだったら、地獄には行かなくても閻魔様にお説教くらいされてるかも
しれないから会って謝れるかなぁ?」仲俣は笑った。

「やはり、あなたは聡明な方です。心から残念に思います。西園寺君…。」
西園寺がエスコートするかのように仲俣の前に立つ。

「古畑さん、最後に聞かせてください。」
「なんでしょう?」
「握手券…100枚も申し込んでくれたんですか?」
「え〜…申し訳ありません。実はある方法で入手いたしました。
戸賀崎さんには、支配人部屋で転売対策を強化しては?と
アドバイスさせて頂きました。」
「なんだ。残念。私の最後の握手相手だったのに。」
古畑はそっと笑みを浮かべ、右手を劇場出口の方へ差し出した。
108四谷幸喜:2011/10/26(水) 21:14:26.39 ID:UoWp+4HzI
この小説はフィクションであり、実在する人物・団体とは
一切関係がありません。また、古畑任三郎は架空の刑事です。


脚本 四谷幸喜(基本DD 最近は気になるメンは島田晴香)

109四谷幸喜:2011/10/26(水) 21:16:14.85 ID:UoWp+4HzI
みなさん、お付き合いくださいありがとうございました。
何とか第2弾をUPし終える事が出来ました。
途中、スレ立て等でご協力頂いた方、最後までお読み頂いた
方に心からお礼申し上げます。

今回、メンバーを実行犯とする事に誰を…?と非常に悩みました。
犯人=頭のいい人物=理系も文系も…って事から仲俣さんを
選びました。ファンの方は不快になられた方もいらっしゃるかと
思いますが、お許しいただければ…と思います。

また、渡辺麻友さんは、私の中でミステリアスな存在であると
いう事から、ちょっと影のある役にさせて頂きました。
途中、「いかに悲壮感を出さずに話を終えれるかが腕の見せ所」という
コメントを頂いておりましたが、そういう意味では かなりの
力不足かな…と実感しております。

また、一か所だけ皆さんのご意見をもとに書きなおした部分があります。
どこかおわかりでしょうか?…多分、わかちゃいますよね。
すみません。

本当にありがとうございました。

次回作…実はまた考えおります。(性懲りもなく)
みなさんから「仕方ねぇなぁ。読んでやってもいいよ」とおっしゃって
頂けるようなら、そう遠くない先にまた紹介させて頂きたいと思います。

では。
110 忍法帖【Lv=19,xxxPT】 :2011/10/26(水) 21:18:03.56 ID:eLRZ/hnm0
YABEEEEEEEEE
111名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 21:19:03.52 ID:unevHiy4O
おもしろかった!
次回作もよろぴく
112名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 21:22:20.26 ID:iXm/XbGb0
面白かった
アイスの数の謎も理解できたけど古畑が数おかしいって思うところあったほうが良かったかも
113名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 21:22:47.85 ID:waFIbClF0
よかった!次も楽しみにしてますよ
114名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 21:32:32.18 ID:vfUIGoP8O
面白かったです
次もあるみたいなんで期待してますよ笑
115名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 21:34:51.62 ID:IeplD4qn0
いやぁ〜、素晴らしい!
116名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 21:35:59.49 ID:5YaiHFDZ0
乙!
8人も人気メンを殺す程の動機付けとしては弱かったけど
でも普通に楽しかった
次回も期待
117名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 21:56:31.31 ID:pCy8v1ZZO
面白かった!
俺も最近島田が気になってるよww
次回作も是非とも読みたい!
118名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 21:59:28.89 ID:oronSQVJ0
四谷さんお疲れ様
トライ式w アイスの個数のこと100枚のことわかって良かったあ
いろいろ意見はあると思いますが、自分は楽しめました 次は誰がくるのかな
119名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 22:12:26.87 ID:2MgzGy0U0
島田の「ばかやろう」で涙腺崩壊
120名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 22:25:49.74 ID:hh87a41d0
楽しく読ませて頂きました
ただ、前作でもそうでしたが、漢字の間違いは注意したほうがいいかな
今回は河西智美が加西智美になってたり
それと、まゆゆが同じシーンの中でなかまったーって呼んだり、汐里さんって呼んだりしてるのは違和感を感じたかも
次回作も期待しています
121名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 22:28:00.49 ID:BX5vIiji0
お疲れ様!楽しく読ませてもらいました。
122名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 22:29:44.18 ID:Dhq7O9Lb0
次回作期待あげ
123名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 22:34:06.31 ID:XySoZYdX0
昨日の夜前スレから一気読みした
それにも飽き足らずドラマのDVD借りてきちゃったよ…
くそぉ、くそぉぉぉっ…!!
124山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/10/26(水) 22:40:10.72 ID:JYYxhvQ5Q
ほぅ・・・ほぅ・・・
125四谷幸喜:2011/10/26(水) 22:41:07.98 ID:UoWp+4HzI
みなさん、本当にありがとうございます。
一点だけ>>120さんに説明して宜しいですか?

同じシーンでまゆゆの仲俣さんの呼び方が違うのは
みんなの前→先輩として「なかまったー」
2人だけの時→しおりさん
って感じで書きたかったんです。親しい間柄って
事を隠してる...という雰囲気を出したかったんですが...

ちょっと伝わり辛かったですね。

でめ、貴重なご意見ありがとうございます!
126名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 23:07:41.79 ID:8q2qXKZYI
面白かった
127名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 23:17:39.01 ID:8twI/CtK0
斜め読みだけど
なんで麻友ちゃん逮捕されないの?
128名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 23:22:24.77 ID:hh87a41d0
>>125
四谷さん、私が指摘したのはシーン19での呼び方の事でした。
もう一度読み返して納得しました。
読解力がなくてすみません。

せっかくなので言わせて下さい。
事件解決前の暗転時には言っていますが、オープニングの暗転の時は「古畑任三郎でした」とは言ってないと思います。
スペシャルの時だけ?
それと古畑が今泉を呼ぶ時はやはり今泉君と呼んでいます。
あまり呼び捨てはしてないと思うのですが。
細かくてすみません。
期待しているだけに指摘させて頂きました。
次回作も頑張ってください。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 23:26:41.62 ID:2yMgUdEeP
仲俣推しとしてはフィーチャーしてくれただけで嬉しかったです
面白い話をありがとう
130名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/26(水) 23:43:01.77 ID:tAtWqNDeO
四谷おつ

おもしろかったよ
131四谷幸喜:2011/10/27(木) 01:11:11.50 ID:+V3eKeA6I
>>128
こちらこそ失礼しました。
細かい部分は大事な事だと思います。
ありがとうございます。
132名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 01:11:53.97 ID:2uf+9zXP0
実際にまゆゆと仲俣って仲良いんですか?
まゆゆがチーム4のメンバーと絡んでるのあまり見たことないけど、どんな感じなんですかね?
133名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 01:12:58.87 ID:2uf+9zXP0
前作も今作も面白かったです。
四谷さんの次回作に期待です。
チーム4が好きなので、島田や仲俣を出してくれてうれしかったです。
134名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 02:15:30.08 ID:27dp26wY0
面白かった!
でも8人も殺しちゃったら死刑だよな(;ω;)
135名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 02:19:37.11 ID:7vIysuT40
すげぇ文才に嫉妬。
いつでもいいから次期待。道を踏み外さない程度でw頑張ってくださいね
136名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 02:21:51.52 ID:LD5aOofc0
まとめ来た!
137名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 02:51:40.29 ID:k40eArNWO
実際殺したのは島田だよね
故意じゃないにしろ自分が手を下したってことにもっと島田がショックを受けているシーンがあったら良かったかと思います。

でも本当に面白かった!
次回作も期待してます
138名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 02:56:41.08 ID:TyDIY1Yp0
麻友ちゃんは共犯だろ?
8人殺してるから最悪死刑あるんじゃね
139名無しさん@お腹いっぱい:2011/10/27(木) 03:19:31.33 ID:pPmsLkFo0
作者さんお疲れさまです!

凄いなと思うのは、描写はむしろ淡々としてるのに
情景や表情がが浮かぶことと、じわじわ押し寄せる
感動です
セリフにリアリティと個々の特徴が散りばめられて
るからでしょうね

次回作を楽しみに待ってます!
140名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 03:33:30.39 ID:jLT7iidc0
面白かった
次も期待してまってるよ
141名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 07:11:34.66 ID:aYz5EADA0
一同期待
142四谷幸喜:2011/10/27(木) 10:20:38.78 ID:C57CQuEOI
みなさん、おはようございます。
数多くのコメント、本当に嬉しいです。
ありがとうございます。

まだまだ「古畑っぽさ」や細部のツメに至らない
部分が多いのですが、みなさんから頂いたご感想や
ご意見を参考に次回作→まだやるのか?ってwに
活かしていきたいと思います。
143四谷幸喜:2011/10/27(木) 12:08:19.01 ID:C57CQuEOI
------------CM----------------

え〜…みなさん、こんにちは。
古畑任三郎です。

今日はちょっと愚痴を言わせて頂きます。
ご存知の通り、私はある脚本家によって世に送り出された
架空の刑事です。作り話の中に住んでおります。
ただ…え〜…架空の刑事とはいえ、私も人間です。
時には休みが欲しいし、好きな事をする時間も欲しいです。

ところが、この脚本家…私を休ませるという考えが全くないようです。

前々回はある人物の壮大な計画から生まれた悲劇を解決しましたし、
この前は8名もの犠牲者が出た大量殺人事件の謎を解き明かしました。
連日捜査で休日出勤はもちろん、深夜早朝の時間外勤務は当たり前。
過重労働による健康被害すら起こしかねない労働環境です 。
有給休暇も溜まっておりますし、ここらでのんびり羽を伸ばしても
誰も私を責める事は出来ない…そう思っております。


え〜…しかし、難しい事件が起きればそこは刑事の悲しい性。
何をおいても、現場に駆け付けずにはいられません。

どうやら、またあの方々の周りで悲しい事件が起こってしまったようです。

みなさん、またお会いできそうですね。

古畑任三郎でした。
144四谷幸喜:2011/10/27(木) 13:06:40.80 ID:C57CQuEOI
と、いう事で新作スタートしても大丈夫でしょうか?
145名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 13:08:15.61 ID:R20DSPYgO
どーぞー
146四谷幸喜:2011/10/27(木) 13:08:43.16 ID:C57CQuEOI
もうちょっと間開けた方がいいですかね?
147名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 13:14:33.74 ID:hvWdEKBJ0
かまわん!

YOUやっちゃいなよ
148名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 13:38:29.60 ID:5w8mi1Nu0
期待
149名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 15:05:16.15 ID:aNIZmQeyi
実際にテレビでやるとしたらたぶんHRHさんが作った話みたいなのになるんだろね
キャスト的にも無難だしテーマがチームワークみたいなところも一般の許容範囲内
個人的には四谷さんの一作目が好きだけど
150名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 15:36:21.37 ID:ji+A5tG/O
新作期待!
ドロドロしたやつが読みたいわw
151名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 16:52:09.19 ID:qseKbpKh0
>>109
お疲れ様でした〜
またまたBGMまで脳内再生できる良作でした

やっぱり最後のシーンであのBGMで結べるのが何より最高っす
152四谷幸喜:2011/10/27(木) 18:02:15.36 ID:C57CQuEOI
古畑任三郎vsAKB48 氷の微笑

え〜…みなさん、こんにちは。
古畑任三郎です。

皆さんは何日かのまとまったお休みが取れたら何をされますでしょうか?
旅行に出かけるというのが好きな人も多いと思います。
南の島で太陽のもとアクティブに過ごす。鄙びた温泉で英気を養う。
西洋の街並みを歩き歴史に思いをはせる…
ん〜…どれも素敵な時間の過ごし方です。
私ものんびり旅行に出かけるのが大好きです。
ところで、今流れてるCMで私が愚痴を言った事で誰かが気を遣ってくれたの
でしょうか、今回私はとある場所へ旅行に行く機会に恵まれました。

ん〜…ただ一つ困った事がありました。
この旅行…決してのんびり静養を…という訳にはいきませんでした。

しかし、私がのんびりしていたら…
みなさんを楽しませる事が出来なくなってしまうじゃないかですって?



うふふふ。その通りです。
153四谷幸喜:2011/10/27(木) 18:05:41.18 ID:C57CQuEOI
シーン1 2/9 13:07 長野県奥志賀高原

雲ひとつなく晴れあがった空。白く雪化粧した山々が美しい。
焼額山から続くリゾートホテルやペンション街から更に奥まった場所に
位置する小さなプチホテル風の建物の前に一台のマイクロバスが止まる。

「うわ〜なに?このオシャンティーなホテルは。」真っ先に
バスを降り歓声を上げたのは指原莉乃だった。
「ホント、素敵ね〜。今までで一番いい感じじゃない?」
続いてバスを降りた北原里英も眩しそうに顔を上げた。
「当たり前でしょ?誰が幹事だと思ってるの?」
宮崎美穂がどうだと言わんばかりの表情を見せる。
「みゃおが幹事やから心配しよったんやけど、ホントこりゃいい
ホテルやわ。やる時はやる子やったんね。」
大家志津香が意地悪そうに言いな がらも笑顔がこぼれる。
「もー。あんまりみゃおいじめると、おこなうですよ〜」
「小森〜、おこなうって何だよぉ。意味わかんないし。」
「えー、怒ってますって事だよぉ〜。怒なう。」
石田晴香と小森美果がはしゃぎながらバスを降りてきた。
藤江れいなと前田亜美、菊地あやかも笑顔だ。


AKB48はオーデションの合格時期により「何期生」という括りがある。
その中でも4期から7期として加入したメンバーは、期間の長短こそあれ、
「研究生」という立場での下積みを経験している事から、それぞれの
結束が実に強い。5期生を中心としたメンバーが呼びかけ、始まったこの
団体旅行も今回で6回目を数える事になった。

154四谷幸喜:2011/10/27(木) 18:07:21.83 ID:C57CQuEOI
今作はこんな感じのスタートです。
続きは後ほど。
155名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 18:10:04.57 ID:qseKbpKh0
>>154
お疲れ様です
自分のペースでいいんで
ゆっくり進めてください
毎回楽しませてもらってます
156名無しさん@お腹いっぱい:2011/10/27(木) 18:44:45.19 ID:PrIrzXFm0
おーーー奥志賀!

懐かしいなあ♪

期待あげっ
157名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 19:35:19.31 ID:mizMLdeUO
お、新作来てる!
楽しみにしてるぞ〜
158名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 20:03:15.34 ID:XUcCzYaD0
おー
なかなかいいメンツだなあ
楽しみだあ
159四谷幸喜:2011/10/27(木) 20:06:45.02 ID:2Wp9DWw70
シーン2 2/9 13:31 ホテル内ロビー

ログハウス風の造りで誂えられたロビーには暖炉に火が入れらていた。
パチパチと音を立てて薪が燃えている。本物の暖炉だ。
「えっと、じゃあ部屋割り言うね〜。くじで決めたんだから文句は
言わないようにね。鍵受け取ったらいったん荷物部屋に置きに行こう。」

宮崎が言う。幹事という事で張り切ってるのがわかる。
「えっと、さっしーと小森。しーちゃんと亜美。
はるきゃんとあやりん。きたりえとれいにゃんと私が3人部屋ね」

「萌乃は明日来れるんだっけ?」指原の問いに「そう。朝一番で来るって
言ってたよ。あとのメンバーは欠席。」宮崎が答えた。
「さすがにみんな揃って2日間続けて休みを取るのって難しくなって
きたね。前回は逆に今日来てるメ ンバーが殆ど来れなかったし。」
北原が残念そうに言う。

「でも、こうして集まる機会は少しでも多くしたいよね。そしたら
どこかで誰かが来れるって事になるんだし。」大家の声に
全員が笑顔で頷いた。
160四谷幸喜:2011/10/27(木) 20:08:22.52 ID:2Wp9DWw70
シーン3   2/9 14:03 石田・菊地部屋

「とはいっても、さすがに毎回参加って出来なくなるよね。」菊地が
荷物をベッドの上に広げながら言った。
「何をそんなに持ってきたの?一泊だけなのに?」石田が呆れた顔で言う。
「うん?だって、色々持ってこないと心配なんだもん。」
「あやりんらしいなぁ。でもさぁ、私なんて皆勤賞だよ、この旅行。」
「私、前回来れなかった。ワロタの仕事あったから。」
「基本、本体のスケジュールが無い時に旅行組むからね。ユニット入って
ない私は、そりゃ毎回来れるってか。個人の仕事もあんまないしさ。
あぁあ、なんかちょっとなぁ。」
「はるきゃん…」
「あ、ごめんね〜。なんか嫌らしい言い方しちゃった。ごめんごめん。
ユニット入ってないの私だけじゃないもんね」
「でも、私ユニット入ってるけど、立場微妙だからなぁ。小森が
入ってきてから抜けてるキャラ持って行かれちゃったし。」
「あやりんはおバカキャラでしょ?」
「もぉ〜酷いなぁ 。」
菊地は石田の肩を笑って叩いた。
161四谷幸喜:2011/10/27(木) 20:09:21.59 ID:2Wp9DWw70
シーン4  2/9 14:07 大家・前田(亜)部屋

「あーみんってさぁ…」
「はい?」鏡に向かっていた前田は大家の声に振り向いた。
「なんかホントいい子だよねぇ。」大家がため息をつきながら言った。
「え?何ですか?」
「いやね、何言われてもニコニコ笑ってるし。人の悪口言わないし。」
「え〜だって、私嫌いな人なんていませんもん。」
「いや〜それがあーみんの素直なところなんだよなぁ。いやさ、
なんか最近何考えよるかわからん子増えたしな。」
「え〜誰の事言ってるんですか?」
「まぁ、色々とな。」大家は口を濁した。
「大人には色々とあるんよ…」そして自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
162四谷幸喜:2011/10/27(木) 20:09:46.96 ID:2Wp9DWw70
続きは後ほど。
今夜はもうちょっとだけUPしますよ。
163名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 20:15:02.97 ID:ojLo+8cU0
ん?これは...

..小森逃げてぇー
164山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/10/27(木) 20:18:01.77 ID:3WVnfPaAQ
正直文才に嫉妬しちゃうぜって・・・
165四谷幸喜:2011/10/27(木) 21:01:22.55 ID:2Wp9DWw70
シーン5   2/9 14:09 北原・藤江・宮崎部屋

「部屋もいい感じ〜。ホント今回みゃお、お手柄だね。」北原が宮崎に
笑いかける。藤江もクローゼットに上着をかけながら笑顔を見せる。

「なんかね。ずっと改装中だったみたいで、予約受付が出来なかった
から穴場になってたみたい。今日も、私たちの他には1組だけしか
予約が入ってないみたいだよ。」

「ねぇねぇ。ところでさぁ…今日の部屋割りってくじで決めたんだよね?」
藤江がちょっと曇った表情で宮崎に聞いた。
「うん。そうだけど…あ〜れいにゃん、私と一緒の部屋じゃ嫌とか?
はるきゃんと一緒じゃなきゃヤダ〜とか?」宮崎が茶化して答えた。
「違う違う。そうじゃないって。」藤江は一瞬表情を崩したが、すぐに
真顔になって言った。
「さっしーと小森…一緒の部屋はヤバいんじゃないかなって。」
「あぁ…それ、私もちょっと気になった。」北原が同意した。
「え?あの二人、本当にヤバいの?てっきりいつもの痴話げんかみたいな
ものかと思ってたんだけど…」
「う〜ん…実際のとこ、どうなんだろ?小森っていまだに何考えてるか
分からないところあるし。」北原が顔をしかめる。
「ま、大丈夫でしょ?けんかするほど仲がいいって言うし。
今回の旅行がきっと仲直りのきっかけになるよ!」
「みゃおってホントに前向きだよね。」「ね〜。」
北原と藤江は顔を見合わせて小さく笑った。
166四谷幸喜:2011/10/27(木) 21:02:51.40 ID:2Wp9DWw70
シーン6 2/9 14:24  指原・小森部屋

「ふんふふ〜ん♪」鼻歌を歌いながら小森が携帯を操作している。
指原は暫くその様子を黙って見ていたが、やがて意を決したように
話しかけた。

「ねぇ。小森。…小森?小森ってば!」
「もぉ〜。ちょっと待ってくださいぃ。今まりやんぬにメール
してるんだからぁ。」
小森は頬を膨らませ、視線を携帯に落としたまま答えた。

「あのさぁ、小森ね。私はね…」
「だからぁ。さっしー、うるさいです。もぉ〜」
小森は携帯に視線をやったまま部屋を飛び出した。
「ちょっと待ちなって。小森!小森って…」

指原が小森のあとを追おうとして部屋を飛び出した時、石田と菊地が
隣の部屋から出てきた。
「どうしたの?さっしー。すごく大きな声したけど。大丈夫?」
「あ、 あやりん。ごめんね。大丈夫。」
「また喧嘩ぁ〜?」
「いやいやいや…そんなことないって、はるきゃん。いつもの事。」
指原は二人を残し、小森を追いかけていった。
167四谷幸喜:2011/10/27(木) 21:04:31.28 ID:2Wp9DWw70
今日はここまでです。

今回もなかなか事件が始まらず…w
ま、気長にお付き合いくださいませ。
168名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 21:07:50.80 ID:XUcCzYaD0
楽しみですなあ
さしことしーちゃんが何かするのか……うーんやっぱりwktk
169名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 21:50:40.55 ID:mizMLdeUO
どうなるんですかー
170名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 22:10:07.18 ID:4vIwW7Rh0
犯人は「萌乃」か、それとも不参加のウッチーだな
171名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 22:24:46.68 ID:aYz5EADA0
予想つかん
172名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 22:37:34.46 ID:dPIK0C+z0
もしかしたら誰も死なずにハッピーエンドかも知れないな…
173名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 22:58:57.27 ID:rxxWb6wv0
Scene 178

古畑「あなたは稲葉ご飯を食べさせ…河西さんを殺害したー…
   んふふふ、間違いありませんー。」
稲葉「…古畑さんにはかなわないっす。何でもお見通しなんですね」
古畑「光栄ですーうふふふ」
稲葉「でも、これはさすがに知らないと思うけど…実はあのご飯、元は残り物から生まれたんですよ」
古畑「…」
稲葉「貧乏だった時、冷蔵庫の中をかき集めて作った思い出の料理なんです…
   だけど、河西さんはそれをマズイと言って…
   河西さんがいなければ…河西さんがいなければ、僕はっ…!」
古畑「…稲葉さーん…あなたは、ひとつ重大な勘違いをしていますー…
   河西さんは、稲葉ご飯を、他ならぬあなたの為に食べていたんです」
稲葉「えっ…?」
古畑「菊地さんがー、わたしに教えてくれましたー…
   『稲葉さんが作ってくれたから、私は稲葉さんのためにあのご飯を食べないといけないんだ、
   だから絶対に残すことはできないんだ』って、日頃から河西さんは言っていたそうですー…」
稲葉「うそ…僕には全然そんなこと…」
佐田「峯岸アウトー!稲葉ご飯ー!」
稲葉「古畑さん…稲葉ご飯、食べさせに行ってもいいですか…?これが最初で最後のチャンスなんです…!」
古畑「(頷く)」
稲葉「あ、ありがとうございますっ!」
森D「稲葉ー、スタンバイ!」

そして悶絶し、倒れる峯岸…


(※動画 http://www.youtube.com/watch?v=h21OHQc9Gk0)
174名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 23:54:43.81 ID:jvdSEDqCO
>>173
峯岸逝ったwww
何気期待してるぞ
175名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/27(木) 23:57:50.42 ID:/h2MIt8HO
四谷氏おつ。

旅先ものと言えば記念すべき第1話。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 00:25:34.46 ID:kWjEcNIG0
>>175
何かと思ったら本家の方か
中森明菜だったな
177名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 00:45:28.15 ID:ziQNqdFg0
お、今回は俺得なメンツww
四谷氏楽しみにしてます!
178名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 01:17:02.54 ID:nppzAOPv0
まさか地下アイドル板で、続きが気になるスレに出会うとは…
小説版古畑まで揃えた俺にとってはたまらないぜ
179四谷幸喜:2011/10/28(金) 07:10:52.82 ID:ibh9v/CKI
おはようございます。
今日も宜しくお願いします。

今日はちゃんと事件起きますのでw
180四谷幸喜:2011/10/28(金) 09:27:14.65 ID:0bVn80Q40
シーン7   2/9 15:07 ホテルロビー

ホテルのロビーで談笑する宮崎とひげ面の大男。
男の言葉遣いがややぎこちない。流暢な日本語だが
どうやら外国人のようだ。

「みゃおさん、アナタ、ベリーベリーナイスです。アイドルなんか
やめてお笑いの世界行くべきです〜。きっとブレイクします!」
「もう、やめてくださいよ。私、これでも正統派のアイドルを
目指してるんですから。」「oh!失礼しました〜。」

「楽しそー。何話してるの?」北原が現れた。
「あ〜あのね。この方、このホテルのオーナーさん。」
「ハジメマシテ。今日はようこそお越しくだサイました。
オーナーのアニマル・レスリーと申しマス。」大男はその風貌に
似合わない柔和な笑顔であいさつした。

「アニマルさん、元日本のプロ野球 の選手なんだって!」
「えぇ〜そうなんですかぁ!明日香ちゃんなら知ってるかなぁ?」
「絶対知ってるって。だって、アニマルさん、プロレスもやってた
んだってよ。野球とプロレスって言ったら明日香ちゃん喜んじゃうよ。
来ればよかったのにね〜」

「何何?どうしたの〜?」ロビーにメンバーが集まり始めた。
「みなさん、ドウカゆっくり楽しんでくだサイ。スノボするなら
レンタルいつでもOKです。露天風呂もいつでも入れマス。
トレーニングしたいヒトは奥のジムで汗流してくだサイ。」
「え〜こんなトコまで来て身体鍛えるって、才加さんじゃないんだから」
全員から笑い声が上がった。
181四谷幸喜:2011/10/28(金) 09:29:27.88 ID:0bVn80Q40
シーン7-2

「だから、私はスキーには向かないって言ったんだよ。」
「文句言わないで下さいよ。古畑さん、せっかく僕が商店街の福引で
特等の旅行を当てたんですから。」
「解ってますよ、今泉さん。ね?古畑さん、露天風呂にでも入って
のんびりしましょうよ。」
3人の男がスキーの乾燥室からロビーに入ってきた。

「あ、お帰りナサイ。スキーはenjoyできましたカ?」
アニマルが男たちに声をかける。
「いやね、この人全然ダメなんだよ。せっかくリフト一日券セットの
パックなのに、まともに歩く事すら出来なくて結局1回しかリフト
乗れなかったんだよ。」
「今泉君。余計な事を言わなくてもいいんだ。ったくお前は…」
「あぁ。みなさん、今日はお客様はおふた組だけデス。せっかくだから
紹介しますネ。こちら、東京からいらっしゃった今泉さんご一行デス。
ソレカラこちらは…」

「さ…さっしー?え?それにみゃお…?え?こもりんに…
りりりりり…りえちゃんに…」
「西園寺君?どうしたんだね、一体?そんなに興奮して。」
「古畑さん。え、え、ええええAKB48が。」
「アラ、アナタ、ファンなのですか?」
「は…はい。あ、僕あの…こないだのTDCベスト100のライブ行きました!
握手会も毎回行ってます!いや〜感激だなぁ。」
「へぇ〜…西園寺君、君にそんな趣味があったなんて。いいじゃないか。
ただのカタブツと思っていたけどね〜。」

「宜しくお願いします〜。」
旅先の解放感からか、少ない同宿人の気楽さか、メンバーも警戒心の
ない笑顔であいさつした。
182四谷幸喜:2011/10/28(金) 09:35:24.28 ID:0bVn80Q40
シーン8  2/9 23:48 ホテルロビー

「古畑さん、面白い〜。」「ねぇねぇ、私の手相も見てくださいよぉ」
「ん〜解りました。え〜…あなたは?」
「やだぁ。まだ名前覚えてくれてないんですか?藤江れいなで〜す。」
「あ〜すみません〜覚えました。れいにゃんさん…ですね?」
「そーそーれいにゃんで〜す。」

「ねぇ、ねぇ。古畑さんってお仕事なにしてるのぉ?」
「え〜…それは秘密です。えっと…あなたはあやりんさん。」
「ずるぅ〜い。教えてくださいよ〜じゃ、私が当ててあげる。
んとねぇ。ん〜…まだ売れてない俳優さん。だってシブいもん。古畑さん」
「俳優ですか?光栄です。ただ、売れてないっていうのはちょっと余計です〜はるきゃんさん。」

藤江、宮崎、前田、石田、菊池が古畑を囲んで騒いでいる。
「ねぇ…今泉さん。なんでこういう展開になってるんですか?」
西園寺が苦々しく言う。
「知らないよ。古畑さん、全部美味しいトコ持っていってるよな。
あのスケベオヤジ。」
「ん〜今泉く〜ん?何か言ったかい?」
「言ってないですよ!」

広いロビーのラウンジのちょっと離れた場所では、大家と北原が
アニマルが入れてくれたホッとレモネードのカップを口に運びながら
柔らかな表情で話ししていた。
「なんか、ほっとするなぁ。仕事から離れて、こんな風に他愛もない
話しして時間が過ぎていきよるのって。」大家がしみじみ言う。
「なんか、最近毎日があっという間に過ぎちゃうからね。」
北原の表情もリラックスしている。

「でも、良かった。指原と小森、楽しそうに話してた。最近ちょっと
ヤバいのかな?と思っちゃってたから。昼間も揉めてたって
あやりんとはるきゃんが心配してたし。」
「うん。まぁあの二人は姉妹みたいなもんやろ。喧嘩したり仲直りしたり。」
「で、しーちゃんがお母さん。」「確かに。」
二人は手を叩いて笑った。
183四谷幸喜:2011/10/28(金) 09:36:38.98 ID:0bVn80Q40
続きは後ほど。
今日は夕方くらいになるかもしれません。

仕事は休みなんですが、ちょっと用事で外出しますので。
184名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 10:36:38.29 ID:qgOhEfct0
前作の続編じゃない点に違和感あり
185名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 10:52:51.16 ID:kWjEcNIG0
古畑さん来たな もう一組の客は古畑……いや今泉一行だったか
今度は西園寺がヲタw
アニマルもってくるとはw意外なとこきましたねえ
186四谷幸喜:2011/10/28(金) 10:58:14.10 ID:0bVn80Q40
>>184さん

すみません。一点言い訳を。
今回の作品、前回の続編って感じでは書いていません。
何しろ、あれだけの大事件の後なので…w
古畑がCMでその事に触れていたので、続編?と思わせてしまったかもですね。
冒頭のシーンで
え〜…このお話は前回と全く違うお話です…みたいな感じで古畑に
言わせておくべきでした…

力不足すみません。
お話が進んでしまう前に、ここで言い訳でした。
187名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 12:06:41.90 ID:7OjrRB3ki
3人が持ち回りでヲタしとるw
188名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 12:06:53.57 ID:q4J3n0o8O
>>186
俺は違う設定のが好きだぜ
いろんなパターンが見たい
189名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 15:08:30.30 ID:7+1WQxoH0
いいねいいね
今回は西園寺がヲタかw
小森逃げろーー
190四谷幸喜:2011/10/28(金) 16:33:46.56 ID:0bVn80Q40
シーン9 2/10 1:37 ホテルロビー

「ふぅ〜。あ〜騒いだなぁ。でもみんな、部屋に戻ったみたい。」
「そろそろウチらも寝よっか。あ、なんか飲み物…アニマルさんも
もういない…よね。」大家が辺りを見回す。
「あ、ジムの向こうに自販機あったよ。」
「じゃ、ウチなんか買ってから戻るわ。」
「じゃ、私戻るね。おやすみ〜」「おう、また明日。お休み〜」
大家は北原に手を振りポケットの小銭を探りながらジムの方に向かって
歩いて行った。

がたん…
自販機で買った水のキャップを開けようとした時、ジムの中から音が聞こえた。
人がすすり泣くような音も聞こえてくる。
「え…ちょっと、マズイって。ウチ怖い話苦手やから…」
大家はそれでも腰を引きながらジムのドアに手をかけた。
「…大丈夫大丈夫。何も見えんっちゃ。何も…せ〜の…」
自分を励ますように大きな声で独り言を言い、一気にドアを開く。


「…指原…?何しよるん?そんなところで。」
ジムの中には、床に座り込み身体を震わせる指原の姿があった。
目からは涙がこぼれ、口元は細かく震えている。
そして両手には木のバットを抱くように持っている。その先端が赤く染まっている。

「指原…?さし…」大家が言いかけてはっと息をのむ。
そこには頭から血を流し倒れている小森の姿があった。
191四谷幸喜:2011/10/28(金) 16:34:55.08 ID:0bVn80Q40
シーン10   2/10 1:50  ホテル内ジムルーム

「ちょ…小森!小森!」
大家は倒れている小森を抱きかかえた。指原は我を無くしたように
震え続けたままだ。

「小森…」
すでに小森の身体は動かなくなってしまっていた。
大家は小森の顔をそっと手で覆い見開かれたままの小森の瞼を閉じさせた。
そのまま指原の方に視線をやる。

「指原…」
「ひっ…ひっ…ち…ちが…う…わ…ざしは…らは、ひっ…ぐぅ…」
指原の口からは呻き声しか出てこない。呼吸は乱れて、目元も口元も
震えに襲われ、指原の身体は今にもバラバラになってしまう程に見えた。
大家は静かに小森の身体を床に横たわせ指原の側に近付く。

「…あ…うぅ…じ…しーじゃ…」指原が激しく首を振る。
「分かった。わかったから。落ち着け。な。指原。大丈夫やけん。
ウチに任しとき。」大家は指原の頭を抱えてささやいた。
「ぐわぁ…うっ…うっ…うぇ…」指原は大家の胸にすがりつくように
泣きじゃくった。
192四谷幸喜:2011/10/28(金) 16:36:24.53 ID:0bVn80Q40
シーン11    2/10 2:07  ホテル内ジムルーム

大家は辺りを見渡した。ジムの中には数台のウェイトマシン、エアロバイクに
トレッドミルもあった。奥の棚にはダンベルやバーベル、元野球選手のオーナー
らしく数本のバットが並んでいる。かなり本格的なジムだ。

大家はふと窓に目を向けた。カーテンを開き窓を開く。
空には満天の星が輝いていた。新月に近いせいか月明かりは無く、外は漆黒の
闇につつまれている。建物はちょうど中2階になっているような感じで、
窓のすぐ下には雪が積もっていた。今年の信越地方は記録的な豪雪で奥志賀の
積雪は3mを超えていた。

大家は小森の遺体を背負った。大柄な大家だったが、小森の身体も決して
小さなほうではない。苦労して窓のところまで運び、そのまま小森の身体を
窓下へと落とした。

ばふっ。

ほんの小さな音を立てて小森の身体は雪の中に埋まって見えなくなった。
この2日ほど雪は降っていないようだったが、雪の柔らかさは残っていたようだ。

「指原、これ飲んどき。」大家が自分のポーチから錠剤を取り出す。
「マイスリーっちゅう薬や。安心し。うちが毎日飲んどる薬やから。
気持ちが落ち着く。」大家は持っていた水で指原に薬を飲ませた。
指原はそのあとしばらく泣きじゃくっていたが、やがて静かな寝息を立て始めた。

大家は指原の腕からバットを取り上げる。
「重…なんやバットってこんなに重いんや。」先端に付着した血液をジム内の
水道で丁寧に洗い落し、ハンカチで指原の指紋を丁寧に拭き取った。
窓を締めカーテンを引き、自分を落ち着かせるように大きく息をついた。
指原を背負い、ジムを出て行く。

「軽い…指原、お前ってこんな小さかったんやな。」大家はつぶやいた。
193四谷幸喜:2011/10/28(金) 16:37:23.30 ID:0bVn80Q40
今日は夜の更新が出来そうにありませんので
ここまでとさせていただきます。

みなさん、スレ落ち防止のご協力、宜しくお願いしますね。
194名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 16:39:06.22 ID:kWjEcNIG0
ほーう
さしこなのか……それとも…
やはり犠牲者はこもりんか
195名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 17:59:00.42 ID:mwnobd8U0
wktk
196名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 18:01:10.10 ID:6IFi9tP90
ワクワク
197名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 18:25:08.11 ID:q4J3n0o8O
お〜相変わらず先が読めないねえ(笑)
198名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 18:40:36.22 ID:YMjGq4DYO
この場合殺害したのはそのまま指原なのか
もしさっしーがやったとしても衝動的犯行だから殺人じゃなく傷害致死の可能性もあるが…
それか金田一みたいに誰かが殺害して指原が第一発見者も仮定される
その場合真犯人は伏せたままかな?
199名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 19:11:12.65 ID:qgOhEfct0
この場合ミステリー的に最も意外な犯人は大家だな
200名無しさん@お腹いっぱい:2011/10/28(金) 19:12:10.57 ID:XFg0q1V50
まだ登場してないメンバーがいる・・・・

カギを握るのはひょっとして?
201名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 21:23:19.60 ID:Mm6QJfEY0
四谷さんすごい!よくこんなにアイデアが次から次へと
湧き出るね。
202名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 22:48:00.48 ID:pc3GXoUC0
面白い!

保守支援
203名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/28(金) 23:08:14.97 ID:1TlpsXFq0
ここまでの疑問
 大家が薬を常備している
 指原の体重が軽い
 菊池のバックが異常に大きい
 萌乃が遅れて参加
 旅先で小森がまりやんぬにメール
 前回参加して、今回参加していないメンバーが多い
 小森と指原の不仲を宮崎が知らない
 倉持父とアニマルは現役時代より知り合い?
 
204名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 01:09:14.19 ID:uLrRZI1Y0
さらに
 凶器が普通のバットではなくマスコットバット
 そのバットを指原が抱くように持つ
 大家が指原を庇う
 

 
保守を兼ねて整理
 
 
 
205名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 03:18:26.97 ID:IvMrZxf50
期待かつ保守あげ
206名無しさん@お腹いっぱい:2011/10/29(土) 03:22:34.31 ID:dI7GCM3Q0
非力な指原が果たして撲殺できるだろうか...

楽しみで何回も来ちゃうなこのスレwww
207名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 03:26:32.90 ID:aZsSg3SJO
208名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 04:17:19.41 ID:Q9wUYbbHO
>>206
小森のほうが体格あるから逆にやられそう
209山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/10/29(土) 04:53:37.47 ID:B2pMHXseQ
土日で完結するのかな?
210名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 05:25:29.32 ID:B398tpTr0
シーン47−4

「…そういうことなんで古畑さん、私たちそろそろリハの時間なんで失礼したいのですが」
 古畑の質問を完璧にしのいだ高橋の口調は自信に満ちていた。
「えー・・・お止する理由はありません」
 やや苦笑いの口調で古畑が答える。
「それでは失礼します」「失礼しまーす」
 8人のメンバーは古畑にお辞儀をして控え室を出ていく。
「・・・失礼します」
 最後に、どこか落ち着かない様子を隠せないまま、頭を下げて出ていく前田の背中を見送る古畑。
古畑は何かを決心したかのような表情をしている。

 暗転、スポットライトに浮かび上がる古畑のシルエット。
「えー…秋元さんを殺害したのは間違いなく前田敦子さんです。えー…ですが、
彼女が犯人であることを特定するだけの証拠が残念ながらありません。200人の鉄の
結束はなかなか・・・んふふ…ですから、ちょっとした罠を仕掛けたいと思います。
西園寺君の情報が確かなら、まず間違いなくこれで事件は解決です。
ヒントはあつみな=Bえー…前田さんを逮捕しても古畑を嫌いにならないでください…。以上、古畑任三郎でした」


保守支援
211四谷幸喜:2011/10/29(土) 08:58:05.89 ID:TGc2dCGCI
みなさん、おはようございます。
今日も宜しくお願いします。

今日は午後からの更新になると思います。
212四谷幸喜:2011/10/29(土) 09:16:53.98 ID:LeWpXtNo0
と、思ったんですが、ちょっとだけUPします。
213四谷幸喜:2011/10/29(土) 09:18:10.44 ID:LeWpXtNo0
シーン12   2/10 9:45 ホテル内レストラン

「おはよ〜。あ〜眠いよ〜」石田があくびをしながら朝食会場に入ってくる。
「あ、おはよ〜はるきゃん、遅いよ〜」宮崎と北原は食事を終え熱いコーヒーを
飲んでいた。前田、藤江、菊地もほぼ食べ終えようとしてるところだった。

「あれ?小森とさっしーは?しーちゃんもいないじゃん?」
「指原はなんか具合悪いって言いよってまだ寝とるよ。小森は朝一のリフト
乗るゆうてもう出て行ったんよ。しゃーないからウチも今から行ってくる。」
スキーウエア姿の大家が現れて言った。
「え〜頑張るねぇ。こんな天気なのに。」藤江が窓の外を見て言う。
昨日とは一転して外は横殴りの雪が降りつけていた。
「ま、とりあえず行ってくるわ〜。北原、後で指原の様子見といてくれる?」
「うん、わかった〜気をつけてね。」
大家は肩をストレッチしながら雪の中へと出て行った。
214四谷幸喜:2011/10/29(土) 09:19:25.85 ID:LeWpXtNo0
シーン13   2/10  10:05  ホテル内レストラン

「いや〜参った参った。すっごい雪だよ〜」大家と入れ替わりで仁藤萌乃が
ホテルに到着した。
「あ、萌乃〜。着いたの?」宮崎が大きな声で迎えた。
「着いたよ。予定より3時間も遅れちゃったけどね。」
「深夜バスでしょ?寝れた?」北原がタオルを差し出しながら言う。
「うん。バスって結構快適なんだね。シートは1席ずつわかれてるし。
女性専用バスだったから安心だった。」
「みんなスノボ行かないよね?この天気だもん。」
「小森としーちゃんは行ったよ。小森なんて朝一で出かけたんだって。」
「へぇ〜。私はとりあえずのんびりしようかな?ん?さっしーは?」
「なんか、具合悪くて寝てるんだって。様子みといてって言われたから、
ちょっと行って来ようかな?ちょっと心配だし。」北原が言う。
「そうなの?さっしー、なんか悪いモノでも食べちゃったんじゃないの?
う〜ん、私も行くよ。」仁藤と北原は指原の部屋に向かった。

「さっしー?起きてる?入るよ〜」
指原はぐっすり眠ってるようだった。北原が身体を揺すろうと手を伸ばすのを
仁藤が首を振って止めた。
「寝かしとこ。多分、ここんとこマトモに寝てないんだと思うよ。
忙しそうだったもん。頑張ってるんだよ。さっしーも。」
「そうだね。いいお休みになるかも…ね。」
二人はそっとドアを締めた。
215四谷幸喜:2011/10/29(土) 09:21:14.42 ID:LeWpXtNo0
シーン14   2/10  12:27  ホテル内ロビー

薪が音をたてて暖炉のなかで燃えている。トランプに興じるもの、ソファに
足を投げ出し本を読みふけるもの、窓外の雪を見ながら物思いにふけるもの。
それぞれが思い思いの時間を過ごしている。思わぬ悪天候のせいで
予定とは少々違ってしまったが、普段のタイトなスケジュールに追われる
生活から離れてリラックスした時間を楽しんでいた。

「え〜…みなさん、おはようございます〜。」古畑が姿を現した。
「おはようございます〜!でも、もうお昼だよ。古畑さん。」菊地が笑う。
「お恥ずかしい。すっかり寝過ごしてしまいました。まだ、ウチの連れは
寝ておりますが…」

「ねぇ…誰?」仁藤が菊地に聞く。「あ、この人はね、古畑さん。もうひと組のお客さんだって。
昨日知り合って一緒に盛り上がったの。」
「そうなんだ。ふぅん。あ、はじめまして仁藤といいます。」
「あ〜はじめまして。けいし…いえ古畑と申します。仁藤さんは、なんとお呼びすれば?」
「え?なんて呼ぶって?」仁藤は首をひねった。
「あ、萌乃は萌乃でいいんだよ。萌乃ってクールで油断してたらすぱっと切られちゃう
から気をつけてて〜古畑さん。」藤江が楽しそうに言った。
「ひゃ〜すげー雪。風も強いからゴンドラ止まっちゃったよ。こんな雪なのに
小森まだ滑るってさ。付き合いきれないから戻ってきた。お、萌乃来たんや?」
「来たよ〜。ごめんね遅くなっちゃった。」
「お〜し、萌乃も来た事だし。昼からはアレやるか?」
「お、やろうやろう。盛り上がろうぜ〜。」みんなが歓声を上げた。
216四谷幸喜:2011/10/29(土) 09:22:14.69 ID:LeWpXtNo0
という事で、後は後ほど。ちょっと外出してきます。
あ、今日は全握ですが、それじゃないですよ。
明日は幕張に行きますけどねw
217名無しさん@お腹いっぱい:2011/10/29(土) 10:17:14.11 ID:dI7GCM3Q0
では明日、幕張でwww
218名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 10:53:44.13 ID:6hpf1NwQ0
個別か
萌乃登場したかあ 何か事件の鍵を握っているのか……気になる
219名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 12:17:27.81 ID:JZ2fAAX+0
四谷さんのは前のもそうだったけど犯人が犯行を犯す時の

パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、

っていう音楽が流れる場面がないんだよなあ
序盤を普通の推理小説みたいな書き方してるからそうなるんだろうけどちょっと物足りないな
220四谷幸喜:2011/10/29(土) 12:50:07.70 ID:LeWpXtNo0
シーン15  2/10   14:20  ホテル内ロビー

「はい。古畑さんの負け〜」
「いやいや。これは難しいです。また負けてしまいました。」
「じゃ、罰ゲームね。これで何回目?」
「そろそろ勘弁してください。年寄りにはキツイです。」

「なぁ。なんでまたあの人がもててるんだ?」西園寺が今泉に言う。
「知らないよ。ホントいい加減にしてほしいよな。あのスケベオヤ…」
「今泉君〜何か言ったかい?」「い〜え。言ってません!」
西園寺と今泉はビールのグラスを一気に煽った。

「じゃ、古畑さんには、モノボケやってもらおう!」
「参りました〜…」
「う〜ん…アニマルさん。ホテルの中のモノ、色々お借りしていいですかぁ?」
「どうぞ〜。でも、壊さないでくだサイね。」アニマルは笑顔で答えた。
「えっと、じゃあ…あ、萌乃、手伝ってくれよ。」「いいよ。」
二人は立ち上がった。
「えっと、モップとバケツと…あ、ジムも覗いてみよう!」
大家が萌乃とジムの中に入る。
「スゴイ〜。このジム、本格的だね。」仁藤が興味深そうに見まわす。
「このダンベル持っていこう。あ、そっちのバットとかはどうかな?」
「これ?」仁藤が1本だけ壁に立てかけてあったバットを持った。
「あ、やっぱそれはいいや。その縄跳びにしよ。」
「これね。オッケイ。」
二人はロビーに戻った。楽しそうな声が館内に響いていた。
221四谷幸喜:2011/10/29(土) 12:51:08.68 ID:LeWpXtNo0
シーン16   2/10  15:15  ホテル内ロビー

「いくらなんでも遅くない?小森。もうリフト止まっちゃう時間だよ?」
前田が心配そうに外を見る。「ウチ、ちょっと探してくるわ。」大家が
スキーウエアを着て外に出ようとする。「私も行く。」北原も立ち上がった。
「あ、とりあえずコース探してみるから、待ってて。」「私も行くよ。
もうすぐ暗くなっちゃうし。」仁藤がスキーウエアのジャケットを羽織る。
「そうやなぁ。うん、じゃあ一緒行こうか。みんな、すぐ戻るから。」
「気をつけてね〜。」大家と仁藤はメンバーに手を振って出かけて行った。

「なんや?この雪と風は?」「こんな中で滑ってるの小森?ちょっと…
目を開けてられないよ。リフトも止まってるんじゃない?」
「あれ…?このボード、確か小森が使ってたのと同じヤツかも…」
「え?ホント?じゃ、戻ってきたのかな?あ、乾燥室にいるかも。乾燥室ってどこ?」
「あ、この裏手や。行ってみようか。」二人はホテルの裏手へ向かった。
乾燥室への通路の脇は雪が高く積もっていた。通路のところだけが除雪されている。
ホテルの裏手には川が流れていた。上流で幅の狭まった川は両側を切り立った
崖に挟まれるようになっていた。柵が設けてあるが、足を滑らすと
下へと落ちて行ってしまいそうだ。

「萌乃…小森はおらんのよ。」大家が立ち止まって、仁藤の背中に声をかけた。
当然たった。
「え?何?どういう事?」仁藤が振り返る。大家は泣いていた。
「小森は…小森は…」「どうしたの?しーちゃん?」仁籐が困惑した表情を浮かべる。
「萌乃…すまん。許してや。すまん。ウチはどうしても指原を…」
「ねぇ、なに?一体何言ってるの?」
「萌乃にはすまんと思う。何の恨みもないんや。でもな…
でもな…ウチらはこんなトコで立ち止まる訳にはいかんのよ。」
大家の鬼気迫る表情に仁藤はじりじりと後ずさりを続ける。背後の川沿いの
フェンスが朽ちて崩れている。

「ちょっと、なに?冗談やめてよ。いったい、何を言ってる…」
「萌乃、すまん。全部ウチが悪いんや!」大家は仁藤の身体を強く推した。
仁藤はバランスを崩し、よろめいた。とっさに大家の手首をつかむ。
大家は掴まれた方の腕を振り回した。仁籐は更に体制を崩し、そのまま
崖を滑り落ちて行った。激しい風の音の中で水飛沫の音が聞こえた。
222四谷幸喜:2011/10/29(土) 12:52:35.59 ID:LeWpXtNo0
シーン17   2/10   16:25  ホテル屋外

雪の中から小森の姿がようやく姿を見せた。大家は汗を袖で拭ってため息をついた。
午前中にあらかた掘り出していたとはいえ、その後も降り続いた雪のせいで
想像以上に遺体を雪の中から出すには骨が折れた。
そのまま小森を背負い、乾燥室の中へと運びこむ。

大家は非常階段を登り、辺りをうかがいながらホテル内へ入りジムへと
滑り込むように入った。手袋をしたままバットを持ってすぐにジムを出る。
非常階段を降り元来た道を戻った。さっき仁藤と揉み合ったフェンスの脇に
バットを起き、玄関からロビーへと足を運ぶ。

「見つからんかった。あれ?まだ萌乃戻ってない?」大きな声をロビーにかける。
「戻ってないよ。一緒じゃなかったの?」宮崎が不安そうな顔で答えた。
「外出て、すぐに別々になったから。小森も…戻ってないよね?」
「ねぇ…ちょっとヤバくない?」藤江の顔も他のメンバーの顔も曇っている。

「失礼ですが、やはりスキー場のパトロールに届けたほうが宜しいかと。
天候も天候ですし。」西園寺が真剣な表情で言う。
「そうデスね。ワタシ、すぐに連絡入れます。」アニマルが受話器を取った。
「そろそろ、お迎えが来る時間なのにね…」それぞれが顔を見合わせた。
223四谷幸喜:2011/10/29(土) 12:52:55.80 ID:LeWpXtNo0
続きは夜になります。
224四谷幸喜:2011/10/29(土) 13:44:40.49 ID:TGc2dCGCI
何カ所か誤字ありますね...
すみませんです。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 17:28:56.13 ID:6hpf1NwQ0
なんと…しーちゃん萌乃を…
226名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 18:55:42.83 ID:Q9wUYbbHO
小森に萌乃に…この先どうなるんだろう…
227名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 18:58:15.43 ID:E38Co+a80
萌乃は生きているような気がする
犯人誰だ? 指原?大家?アニマル?
228名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 19:50:37.74 ID:B/kLsSEX0
犯人はこの中にいる・・・じっちゃんの名にかけて
229名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 20:07:07.64 ID:nlPIOPGA0
アニマルさんがジョジョのトニオで再生されるw
萌乃生きててくれー
230名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 20:10:41.61 ID:UHzODjzK0
犯人は普通に指原と大家なんじゃない?
「古畑任三郎」だから、以外な奴が犯人だったってことはないでしょ。

指原が小森に手を下すシーンがないのは・・・・・
よくわからないけど、一人の人物(大家)
の目線を強調したほうが、ストーリーがスッキリする、みたいな
ことが理由だと思う。別に指原以外の真犯人の存在を暗示しているわけで
はないような気がする。

前回も最初のほうは島田目線でストーリーが展開してたしね。
231名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 20:19:12.98 ID:nlPIOPGA0
四谷さんは普通にAKBサスペンスwith古畑って感じで十分面白いから
もしこれから古畑っぽい展開にならなくても俺は全然いいわw
232名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 20:28:25.03 ID:Q9wUYbbHO
そこまで本家の脚本通りにならなくてもいいんじゃないかな
四谷さんが考える古畑も俺は好き
果たして小森を殺害したのはさっしーなのかどうなのか…
233四谷幸喜:2011/10/29(土) 20:35:06.47 ID:LeWpXtNo0
シーン18  2/10  17:00  ホテル内ロビー

ロビーには沈黙が広がっていた。小森はもちろん仁藤も戻って来ない。
外の雪は全くおさまる気配が無い。もはや吹雪と言っていいレベルだ。
そこへパトロール隊と地元の警察官が現れた。
「遅くなりました。実はこの吹雪であちこちで出動依頼がかかっておりまして。
それから、志賀草津道路は湯田中からこっち側で通行止めになってしまいました。」
「え?じゃあ、私たち今日どうなるの?帰れないとか?」
ロビーは騒然となった。
「えっと、マネージャー連絡しないと…」「明日朝から撮影入ってたよなぁ…」
各自が携帯を取り出し連絡を取り始める。
そこへ、ふらついた足取りで指原が現れた。
「はぁあぁぁあ…参ったぁ。一体どんだけ寝たんだろ?なんか、頭ぼーっとして
変な夢見てた気がするんだよね。」

「あ、さっしー。大変なの。小森がね…」宮崎が言いかけた途端大きな悲鳴が聞こえた。
「こ…こ…こここ…小森ぃ!誰か!誰か来て!」
「誰の声?」「あやりんだ。さっき自分のボード取りに行くって言ってた。」
「行こう!」全員が一斉に駆け出した。
234名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 20:35:17.45 ID:qGtWXIPoO
面白い
実に面白い
235四谷幸喜:2011/10/29(土) 20:37:30.04 ID:LeWpXtNo0
シーン19   2/10  17:11  乾燥室


乾燥室の床には小森がうつ伏せに横たわっていた。動かなくなった身体のすぐ横で
菊地が茫然と立ち尽くしている。スキーウエア姿の小森は髪から着ているものまで
びしょ濡れだった。

「やだ…小森?どうしたの?ねぇ?」宮崎が叫ぶ。他のメンバーも何が起こったのか
解らないといった表情でいる。声を上げて泣き始める者、ただただ立ち尽くす者、
反応はそれぞれだ。

「ねぇ、小森。小森。何やってるの?ねえ。目開けなよ!」宮崎が遺体に駆け寄ろうとすると
「触らないで!」大きな声がかかった。西園寺の声だ。
「みなさん、そのまま…遺体…いえ小森さんには触らないでください。」
西園寺が両手に白い手袋をはめながら歩み寄る。「古畑さん…」
「え〜…みなさん。お気持ちはお察しします。ですが、今はこの男の言うとおりにして
ください。お願いします。」

「あの…?古畑さん?」藤江が古畑の顔を見上げる。古畑は笑顔で軽くうなずく。
「申し遅れました。今日は非番で手帳の保持を許されておりませんが、私たち3名。
警視庁の刑事なんです。」西園寺が言う。
「え〜…はい。残念ながら私の職業は俳優ではありません。西園寺君の言った通り。
警視庁の古畑と申します。」古畑は一礼した。
遅れて乾燥室に現れた大家の表情が一瞬曇った。


「小森…?なに?また死んだふり?いい加減にしないと指原怒るよ?
ねぇ。小森?小森ってば!」一番最後に現れた指原が取りみだしたように喚き始める。

「うっ…ぐっ…あ…」次第に指原は何かに怯えるように震え始めた。
「さっしー?大丈夫?」北原が指原の肩に手を添えようとした瞬間、がくっと指原の
身体が崩れ落ちた。そのまま床に倒れ込む。
「さっしー!」北原と前田が指原の側に座り込み顔を覗き込む。
西園寺が駆け寄り指原の様子を伺って小さなため息をつく。
「大丈夫です。気を失っただけみたいです。ショックが強すぎたんでしょう。」
西園寺は自分と同じ位の指原を軽々と抱え上げた。
236四谷幸喜:2011/10/29(土) 20:40:04.51 ID:LeWpXtNo0
今日はここまでです。

明日は幕張に行ってきますので、更新は夜になってしまうと思います。
お待たせしてすみません。1部から4部までなのですが、そのあと
ちょっとトレーディングもしてきますので…

では。
237名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 20:51:26.07 ID:qGtWXIPoO
四谷さんがピンチケだったとは・・・!!
238名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/29(土) 20:56:14.31 ID:UHzODjzK0
>>231 >>232
それは同意。犯人がわからない、というパターンとかも見てみたい。
でも今回は犯人が誰かということに関しては、特に裏はないと思うけどなあ〜







239四谷幸喜:2011/10/29(土) 20:57:46.30 ID:LeWpXtNo0
>>237
あ、すみません。
一応劇場チケットは青ですw
240四谷幸喜:2011/10/29(土) 23:46:11.30 ID:TGc2dCGCI
急は仕事の対応で先程帰宅しました。
明日の夜まで、みなさんスレ維持のご協力、
何卒宜しくお願いします。
ご意見ご感想などもお待ちしております。
ご回答(今回のお話のネタについてはご勘弁を)
できる事なんかは明日、幕張本郷から合間見て
レスさせていただきますね。
241四谷幸喜:2011/10/29(土) 23:47:18.95 ID:TGc2dCGCI
>>240
幕張本郷じゃなくて幕張メッセでした...
242名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 00:09:38.62 ID:YbZNudaW0
保守がてら新作のシチュエーションの
要望でも書いとくわ
アンダーガールズのPV撮影現場とかみたいなあ
亜美菜とかゆっぱいとか梅ちゃんとか出て欲しい

それと古畑に結ぶつくかわからないけど
あっちゃんと仲谷の魂が入れ替わるとかも読みたい
243名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 00:25:41.50 ID:q7P9cUUm0
四谷さんは誰推しだい?
俺も明日幕張だから、よかったらトレーディングしようぜ!
244四谷幸喜:2011/10/30(日) 00:34:55.70 ID:esBeaBpOI
>>243
私は前にも書きましたが、基本DDです。
が、ある理由であるメンの写真集めてます。
う〜ん...みなさん、私のプロフィールお知りになったら
驚かれるんじゃないかと思って素性を明かす勇気が
ありません。ここで作品を読んで下さる形には
ぜひ現場でお話ししたいなとは思うのですが...
245山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/10/30(日) 01:03:53.71 ID:irOEqJx6Q
>>224
古畑「え〜、色々とあるようで・・・フフフお察しします」
246名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 01:17:15.10 ID:0Bk65Nr1O
理由は野暮だから聞かないにしても、誰の写真集めてるのか気になる
247名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 04:03:07.61 ID:SuKJQN7uO
たしかに気になる
248四谷幸喜:2011/10/30(日) 06:13:16.69 ID:esBeaBpOI
みなさん、おはようございます。

では、幕張メッセに行ってきます。
お話しの続きは夜までお待ちくださいね。

あ、写真はすーちゃん、萌乃、小森、みゆみゆを
集めています。推しなのかって?
それは、今作が完結したら理由を明かしますね。
お話し同様、こちらの予想もよろしくですw
249名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 09:45:08.97 ID:3jShs6ZO0
捕手
250名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 10:49:54.74 ID:iEC43xxl0
ヤバイ・・・良い意味でヤバイ。ありえないくらいおもしろい。
251名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 13:24:20.03 ID:6kTCb2nkO
>>244
実は岩崎夏海だった……??
252名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 14:10:57.79 ID:vDaiwNj20
>>251
おっと、そこまでだ
253山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/10/30(日) 15:14:08.78 ID:irOEqJx6Q
>>251
や、やめておけ・・・
254名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 16:56:37.94 ID:rWM1rD8k0
いやいや、え、まさかな…
255名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 17:28:07.00 ID:+4fmIq3x0
四谷=すみれ
256四谷幸喜:2011/10/30(日) 17:55:59.06 ID:esBeaBpOI
みなさん、お待たせしてすみません。
今幕張メッセを出たところです。

今夜の更新は20時以降になりそうです。
今しばらくお待ちくださいませ。
257名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 18:14:58.96 ID:OW7qON+l0
>>256
待ってます!
258名無しさん@お腹いっぱい:2011/10/30(日) 18:32:37.81 ID:EfBwT7be0
>>256

あのカオスな会場ではかなりお疲れでは…

うっくりでいいと思います!

が、待ってますww
259名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 18:44:27.72 ID:3jShs6ZO0
速く帰ってこい 萌乃が氷雪の下に埋もれて、既に36時間

 既に手遅れ状態
260名無しさん@お腹いっぱい:2011/10/30(日) 19:22:41.45 ID:EfBwT7be0
逆に萌乃は生きてるような気がする

最後にサプライズがあるのは古畑の常套だし?
261名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 20:21:32.11 ID:/3VER1ez0
おっしゃ来い
262四谷幸喜:2011/10/30(日) 20:33:42.98 ID:outwOd2C0
シーン20   2/10  19:00 ホテル内ロビー

古畑、西園寺、今泉の3人と長野県警の警察官2名が暖炉の前で話をしている。
古畑はソファに足を組んで座っている。他の者は立ったままだ。

「とにかく、現場保存して所轄の到着を待ちましょう。」西園寺が言う。
「古畑さん、いいですか?僕たちはたまたまここに居合わせただけですからね。
余計な手出しはダメですからね。」今泉が珍しく冷静な口調で古畑に釘を刺す。
「…」古畑は眉間に指を添えたまま動かない。無言だ。
「古畑さん!」今泉が言いかけた所で、古畑が立ち上がった。
「古畑さん、どこへ?」西園寺の呼びかけにも答えず、古畑は乾燥室へと向かって行った。

古畑は乾燥室を隅から隅まで探るように動き回った。
「今泉君。君はスキーは詳しいよね?」視線をシートがかけられた小森の遺体に
向けたまま聞く。
「そりゃ、もう。学生の頃から良く行ってましたからね。私スキの映画なんて
何回見た事か。そもそもこの志賀高原はですね…」今泉の熱弁を遮って古畑が言葉を発した。
「そもそも乾燥室っていうのは、何のためにあるんだい?」
「そんな事も知らないんですか、古畑さん?濡れた板やブーツをそのままにしとくと
ダメになっちゃうじゃないですか。だから暖房を強くした部屋で乾燥させるんですよ。
スキー場の宿にはどこもありますよ。」
「ん〜…ありがとう。」古畑は頷きながら外へと出るドアを開ける。

外は相変わらず吹雪だ。古畑はコートの前身頃を両手で押さえながら外へ出る。
「西園寺君。あれ…」古畑が指差した先には1本のバットが転がっていた。
「バットですね。」「拾ってきて。あ、手袋はつけたままでね。」
西園寺はバットを持ってくる。「古畑さん、このバット、相当重いです。」
古畑はシートをめくり小森の遺体を覗き込んだ。顔にかかった髪を指でかきあげる。
即頭部が割れ、血の跡が見て取れた。
「西園寺君、そのバットも保全しておいて。いいね?」古畑は西園寺に静かに命じた。
263四谷幸喜:2011/10/30(日) 20:34:54.34 ID:outwOd2C0
シーン21    2/10  19:15  宮崎・藤江・北原部屋

「ねぇ…私、すごくイヤな胸騒ぎがする…」北原が言った。
「何?胸騒ぎって?」藤江の顔が青ざめている。
「小森があんな事になって…萌乃も戻って来ないし…まさか…」
目に涙をいっぱいに溜めた北原に宮崎が声をかける。
「大丈夫だって。萌乃はきっと戻ってくるって。だって、萌乃だよ?そんな簡単に…」
宮崎の声も震え始めた。

「ねぇ…小森って何で…だと思う?」藤江が遠慮がちに言う。
「なんでって…?どういう意味?」北原が首をひねる。
「あのね…誰かに殺されたとか…じゃないのかな?だって、変じゃん。」
宮崎と北原は無言で顔を見合わせた。
その時、ドアがノックされた。

「え〜…すみません。ちょっとお話を聞かせて頂きたいのですが。」
古畑と西園寺が現れた。
「あ、どうぞ。どうぞ。」
「あの…萌乃はまだ戻って来ないんですか?」「ええ。非常に心配です。
ただ、この悪天候、しかも夜という事で捜索も出来ない状況です。」
「そうですか…」宮崎が肩を落とす。
「ところで、亡くなった小森さん…みなさん、最後に彼女の姿をご覧になったのは?」
「えっと…確か今朝一番でスキーコースに出て行った…ね?誰か見た?」
北原が宮崎と藤江に聞いた。二人は首を振る。

「あの…小森は誰かに殺されたんですか?」藤江が古畑に聞いた。
「ちょっとれいにゃん。何言ってるの?」宮崎が叱るような口調で言った。
「だって、おかしいじゃん。どう見てもあの感じは。みゃおはおかしいと思わなかったの?」
「そりゃ…でも、誰かって、誰よ?このホテルに泊ってるのは、私たちしかいないのよ?」
宮崎の口調が強くなった。
「誰って、誰かいるんじゃない?小森の事を良く思ってない子の一人や二人。
このところ選抜落ちしただけじゃなくてアンダーでも小森にポジション持ってかれてる
誰かとかさ。」
「何言うのよ!大体、れいにゃんだって小森の事めんどくさいって言ってたでしょ!
はるきゃんとの間にいっつも割り込んでくるとか。」
「ちょっと待ちなさいよ。おかしいよ、二人とも。」北原が二人を止めに入る。
「何よ。いっつも優等生ぶっちゃって。そういうトコ、実は鼻についてたんだよね。」
宮崎が興奮した様子で北原の腕を振り切った。
「え〜…みなさん、喧嘩は宜しくありません。落ち着いてください。」古畑の柔らかな
声で3人はベッドに腰を下ろした。
「まだ詳しい事は解りません。ただ、状況から判断すると、小森さんは何らかの事件に
巻き込まれた可能性が高いです。しかし、今はまだ何も分かっていません。
どうか、皆さん落ち着いてください。」古畑が諭すように言った。
264四谷幸喜:2011/10/30(日) 20:35:57.72 ID:outwOd2C0
シーン22   2/10  20:07  菊地・石田部屋

ツインルームのベッドに菊地と石田、そして前田が腰かけている。
「私はやっぱりさっしーがなんかおかしいと思うんだよね。」長い沈黙を菊地が破った。
「うん。私もそう思う。」石田も相槌をうつ。まるで誰かがその話題を始めないか
待っていたような相槌だった。
「え?おかしいって?それはそうでしょ。あんな仲良かったんだから。私だって
すごくショック。二人はそうじゃないの?」前田が言った。
「あのね。あーみん。そう意味じゃないって。ねぇ、小森の姿見たでしょ?」
石田が強い口調で前田に言う。「あれはどうみたって、普通の死に方じゃない。
古畑さんも西園寺さんも突然口調が変わったじゃない?絶対、小森は…」
石田の声を遮るようにノックの音が響いた。

「え〜…みなさん、失礼します。古畑です。ちょっと宜しいでしょうか?」
「あ、古畑さん、今話してたんですけど…小森って…」菊地の言葉を前田が遮った。
「あやりん。やめようよ。そんな誰かを疑うみたいな事。」
「あのさぁ。そりゃ亜美はさっしーと仲がいいから庇いたくなるのは分かるけどさ。」
「あの〜失礼ですが、菊地さんは何か今回の件で思い当たる事でも?」古畑が菊地に
手を差し出して尋ねた。
「思い当たるっていうか、最近指原と小森が何度も言い争ってるのを見てました。
こっちに着いてからもなんか…ね?」菊地が石田に同意を求めた。
「はい。小森が部屋から飛び出して、そのあとをさっしーがものすごい剣幕で
追いかけて行ってるのを…」
「もうやめようよ。なんか、こんなのおかしいよ。」前田の目が潤み始めた。
「じゃなに?亜美は誰が小森を殺したっていうの?」菊地が激高したように詰め寄る。
「え〜…ちょっとお待ちください。菊地さん。まだはっきりした事は何も分かって
いませんので。全てはまず天候の回復を待ってからです。」古畑が菊地に微笑み
ながら言った。

「あの…萌乃ちゃんは…?まだ戻ってないんですか?」前田が聞く。大きな瞳からは
ぽろぽろと涙がこぼれ始めている。
「そういや、萌乃と一緒に出て行ったのしーちゃんだよね?もしかして萌乃…も?」
菊地の興奮はまだおさまっていない。
「…」前田は無言で菊地を睨みつけた。
「みなさん、落ち着いてください。確かにまだ分からない事ばかりです。
ですが、ご安心ください。この事件、きっと全てが明らかになります。
ですから、今は…みなさんもどうか落ちついてください。」

「西園寺君…彼女たちって…やはりいつもあんな感じなのかい?」
「あんな感じといいますと?」
「いやね。何かいがみ合ってるというか、何というかね。やはり女性同士のグループ
だと色々とあるんだろうね。」
「古畑さん。彼女たちも混乱してるんだと思います。今回ここに来てるのは、同期や
普段から仲の良いメンバーばかりのはずです。この中で誰かが誰かをなんて…
絶対考えられません!」西園寺の口調は強かった。
「西園寺君…?」
「はい?」
「捜査に私情を挟むのは、刑事として失格だよ。」古畑が言い放った。
265四谷幸喜:2011/10/30(日) 20:36:47.98 ID:outwOd2C0
すみません。今日はここまでとさせてください。
明日からまた頑張ってUPしていきますので。

では。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 20:41:22.54 ID:Mr8QmCt9O
みゃおがあまりにみゃおらしくてワロタwww
267名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 20:47:08.09 ID:/3VER1ez0
気になってしょうがない
268名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 21:30:19.10 ID:3jShs6ZO0
仕事休んで一気に書き上げてくれ
首になるくらいの気迫でヨロシク
269名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 22:38:21.74 ID:IsBwhmBW0
>>268
面白いこと言うな
270名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/30(日) 23:46:07.50 ID:0adnIFDT0
保守
271名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 00:34:11.93 ID:gffRS1ogO
>>268
読者からしたら執筆に専念もありだが明日は普通に平日だし世間は普通に仕事だろう
いくら有休があるにしろ職場は学校じゃないんだから簡単には休めない
272名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 00:53:36.88 ID:hZFlAhba0
仕事辞めて小説家になってくれw
273名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 01:08:36.04 ID:4DgDzN1H0
>>271
>>268は本気で言ってるんじゃないと思うよ
それだけ面白いということ
274名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 01:44:23.32 ID:LRBtD9UI0
四谷さん続き楽しみにしてます。
275名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 03:50:28.51 ID:Y3ePxO3OO
個人的にはアニマル氏登場がツボだったw
四谷さんは同世代かそれ以上な気がする
276山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/10/31(月) 04:23:40.74 ID:mdIyzbdcQ
あげぽよ〜
277四谷幸喜:2011/10/31(月) 07:44:37.28 ID:Cwk67X6eI
みなさん、おはようございます。
今日も宜しくお願いします。

昨日の個別の余韻がまだ残っています。
でも、このお話しが握手の喜びでストーリー
変更になる事はありませんw

では、今日も午前中にはなんとかスタートします。
278四谷幸喜:2011/10/31(月) 09:11:29.07 ID:Cwk67X6eI
シーン23 2/11 10:45 ホテル

翌日は朝から綺麗に晴れ上がった。昨日の吹雪がまるで事件を呼ぶためだけに
おこったのかと思えるほどの見事な晴天だった。
事件の報を受けた長野県警は周辺各署に召集をかけ、200名体制の捜査部隊が
結成した。ホテル内は鑑識員や県警の捜査員で埋め尽くされ、ホテル周辺では
不明になっている仁藤の捜索が始まり物々しい雰囲気を醸し出していた。

「古畑さん。ねぇ古畑さんってば。道路も開通したみたいだし、僕らも
帰りましょうよ。ねぇ。」今泉はすでに荷物をまとめてしまっている。
「ん〜…ところで西園寺君。昨夜、大家さんとは話出来たのかい?」古畑は
今泉を無視して西園寺に問いかけた。
「ええ。ただ、指原さんの側に付き添っていたいって事でしたので、余り深くは…」
「そうか。分かった。ちょっと行こうか?」
「もう、古畑さんったらぁ…」今泉は諦めて荷物を床に下ろした。
古畑がロビーに降りると県警の刑事が話しかけてきた。

「あ、本庁の古畑さんですね。私、長野県警の田村と申します。こちらは、西村。
古畑さんの高名は長野まで届いております。お会い出来て光栄です。」
「あ〜…田村さん?うふふふ、いい名前だ。ところで、解ってる事を教えてもらえる?」
今泉が何か言いかけたが古畑は一瞥もくれずにソファーに座り足を組む。
279四谷幸喜:2011/10/31(月) 09:18:46.05 ID:Cwk67X6eI
シーン24 2/11 11:07 ホテルロビー

「では、私から説明させて頂きます。」西村が手帳を取り出し話し始めた。
「まず、被害者の小森美果さんですが、死因は即頭部を鈍器のようなもので
殴打された事によるよるもの。死亡推定時刻は2月10日12時から15時の間。
凶器ですが、やはり、古畑さんが保全のご指摘を頂いたバットと断定されました。」
「ん〜…あのバット?乾燥室の外にあった?」
「はい。そのバットです。バットの先端に血液が付着しており、鑑識から
被害者のものと一致したとの報告が上がっております。また、バットからは2名の
指紋が検出されました。」
「2名?」
「はい。ひとつは行方不明中の仁藤萌乃さんのもの。もう一つは指原莉乃さんの
ものと思われます。お二人の所持品の幾つかから採取したものと一丁しました。」
「なるほど。」
「あと、実はこのバットですが、明らかに何者かによって証拠を消そうとした形跡が
あります。先端部ですが、水で洗い流したものと思われる跡が認められました。
表面が木目の強い素材でしたので、僅かに血液が残ってしまっていたようです。」
「ちょっと待って。でも指紋は残ってた…んだよね?」
「はい。その通りです。血痕を落とす事に気を取られてしまったのかもしれません。」
「わかった。行方が分からなくなってる仁藤さんは?」
「現在、ホテル周りを中心に捜索しておりますが、まだ見つかっておりません。
二通りの可能性を考慮に入れて捜索の手を広げているところです。」
「二通り…事故か何か…と。」
「逃亡という事です。」西村が答えた。
「…」古畑が眉間に指を添えて質問を切った。
「メンバーの方には今捜査員が事情を聞いております。一名、指原さんだけはまだ
意識がはっきりしませんので、回復を待って…という事になりますが。」
古畑の視線が鋭さを増してきた。
280四谷幸喜:2011/10/31(月) 09:21:15.70 ID:Cwk67X6eI
シーン25 2/11 12:07 ホテル2階宴会場

メンバーが集まって食事をしている。誰も口を開かない。
不安、苛立ち、悲しみ、怒り、そして猜疑心。色んな感情が入り混じった沈黙だった。
古畑がその中に入っていく。隅の席に座り、テーブルに並べられたランチの皿から
カップに入ったスープを選びゆっくりとそれを口に運ぶ。

「古畑さん。私たちいつまでここに居ればいいんですか?」宮崎が苛立った声で聞く。
「そうなんです。仕事もありますし…早く戻らないと。」北原も困り顔だ。
「そーねー。選抜の方は忙しいからね〜。私はもうちょっとここでのんびりしてても
全然大丈夫なんだけどね。」石田がぶつけようのない怒りを北原にぶつける。
昨夜からの不穏な空気は広がり続けているようだ。

「え〜…すみません。操作は長野県警が行っておりますので、私からはなんとも…」
「もぉ、なんかじれったいなぁ。古畑さん、ぱっーっと解決しちゃってくださいよ。」
菊地の声に古畑は笑顔だけを返した。

捜査は思うように進展を見せなかった。新しい材料として、ホテル裏手の崖から
人が滑り落ちたような跡が見つかった事。非常階段からジムへと何者かが移動した
形跡があったのが見つかった事があった。崖の滑落後は仁藤の捜索の大きな手掛かりに
なると思われたが結局日没前の発見に至らず、捜査は翌朝まで中断された。

281四谷幸喜:2011/10/31(月) 09:21:43.19 ID:Cwk67X6eI
続きはまた後ほど。
282名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 11:28:35.70 ID:3Q5PJ0eEO
萌乃はいずこ?
這ってでも帰ってくるよな?
だって萌乃だもんな
283名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 11:41:20.36 ID:XkmOas+v0
アニマルもどこ行ったーw
楽しみにしてます
284四谷幸喜:2011/10/31(月) 12:31:46.48 ID:Cwk67X6eI
シーン26 2/11 19:07 指原・小森部屋

「指原さん、まだ眠られてますね。」古畑が大家にそっと話かける。
「ええ。ずっと。なんか、このまま起きてこんのじゃって心配になるとです。」
「大家さん、あなたも休んだほうがいい。昨夜も殆ど寝ていらっしゃらないようですね。」
「古畑さん。なんでこんな事になっちゃったんでしょうね…。」
「私には解りません。ところで大家さん。あなたと指原さん…特に親しいように
お見受けしますが…」
「そりゃそうです。ウチら地方組の絆は強いんです。ましてや、ウチと指原は…」
「そうですか…ご心配でしょう。お察しします。え〜大家さん、ひとつ指原さんの事で
お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「なんでしょう?」
「見た所、指原さんはかなり華奢なように見えますが、実際の所、腕力が強いとか
そういう事は?」
「いや、それは全然ないでしょ。力は…あ、力だけじゃなくて色んな面で弱いですけどね。」
大家は笑った。
285四谷幸喜:2011/10/31(月) 12:33:10.16 ID:Cwk67X6eI
シーン27 2/11 21:14 ホテル内ジム

「西園寺君。君、ジムとかスポーツクラブとか、そんなトコには行ってる?」
「いえ。私は全然。」
「ダメだよ〜。刑事は体力が勝負なんだ。普段から鍛えておかないと〜」
「そういう古畑さんはジム通ったりしてるんですか?」
「あたりまえじゃないか。最低でも週3はジムに行ってトレッドミルで走ったり
プールで泳いだりしてるよ。」
「そうなんですか。お見それいたしました。」西園寺が頭を下げる。
「しかし、このジム、本当に本格的だ。このトレッドミルなんて最新型の最高級品だよ。」
古畑がトレッドミルのスタートボタンを押す。ゆっくりローラー部分が動き始める。
「動きが滑らかですね。確かにその辺のルームランナーとは違いますね。」
西園寺が関心して見ていると、古畑が何か所もあるボタンをあちこちいじり始めた。

「ふぅん…そう…か。」
トレッドミルのスイッチを切り、古畑はジムの中を見回す。ダンベルやバットが並んでる
ラックやウエイトマシン。床や壁。細かく目を配らせていった。
次に窓を開く。吹雪が降った時の雪が窓枠に付着しており、窓を開くとどさっと音を
立てて下へ落ちた。古畑は窓枠をじっと見る。
「…」古畑は眉間に指を当てて窓の外を見続けた。
286四谷幸喜:2011/10/31(月) 12:33:52.61 ID:Cwk67X6eI
続きは後ほど。
夕方以降になりそうです。
287名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 12:35:19.03 ID:w0VVABK/O
おうおう、どうなるんだ
288名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 14:33:21.31 ID:XkmOas+v0
ジムの機器を利用してさしこが……ってことなのか……
うーん気になる
289四谷幸喜:2011/10/31(月) 14:40:23.45 ID:Cwk67X6eI
シーン28 2/11 22:06 ホテルロビー

指原を除く全員の姿がロビーにあった。
古畑がソファから立ち上がり口を開く。
「え〜…夜分遅くに大変申し訳ございません。どうしても気になる事が
あってお集まり頂きました。」
「構いません。古畑さん、事件の解決の為なら私たち、なんでも協力
します。ね、みんな?」北原が立ち上がって古畑にこたえる。
しかし、他のメンバーは携帯をいじったり窓の外をぼんやり見たりして
北原の言葉に反応する者はなかった。北原はため息をついて椅子に座った。
「私からお聞きしたい事ですが...え〜…2/10の夜…そうですね、
22時から深夜2時過ぎまでの間、そして翌11日のお昼中…12時から16時の間。
この時間帯に皆さんがどこで何をしていたかの確認をさせて頂きたいのです。」

「あの?アリバイって事ですか?ひょっとして私たち疑われてる?」
菊地が言った。怒っているというよりは何か興味津々といった反応だ。
「いえ。とんでもありません。一応…という事です。」
「それなら今日県警の刑事さんにお話ししましたけど?もう一度同じ事を?」
宮崎はちょっと不満げだ。

「お願いします。え〜宮崎さん。あなたから。」古畑は柔らかく微笑んだ。
「私は…10日の夜はその時間、ずっとロビーで古畑さんと一緒にいましたよ。
古畑さんもよく知ってると思いますけど?手相見てもらったりしてたでしょ?
れいにゃん、あーみん、はるきゃん、それから確かあやりんも一緒だったよね。」
「そうそう、ロビーから居なくなったのってトイレに行った時くらいだよ。
1時ころには部屋に戻って寝たし。ね?」
藤江が言う。5人は顔を見合わせて頷いた。
「昨日の昼は…みんないたよ。ロビーに。ゲームやってたじゃん。その時も
古畑さんいたよね。なんでこんな分かってる事聞くのかなぁ?」菊地は
何かを考えながら答える。探偵の助手にでもなったような顔つきだ。

「大家さんと北原さんはいかがでしょうか?」
「私はみんなと同じですよ。10日の夜はしーちゃんと最後までロビーに
残っていましたが、2時前…には部屋に戻りました。」
宮崎と藤江が古畑に頷き、その言葉を肯定した。
「ウチは…北原と別れたあと、ちょっと眠れずにロビーで暫く一人で
ぼんやりしてました。部屋に戻ったのは3時前…だったかなぁ?」
「あ、多分それくらいの時間 だと思います。なんか帰ってきた〜って
思って時計見たら確か…私、もう寝てたんで。」
「昨日は…古畑さんも知ってますよね?午後の3時過ぎから萌乃と一緒に
小森を捜しに出て4時半位に戻ってきました。」
「ありがとうございます。確認は出来ました。では…次に…」
古畑が言葉を続けた。
290四谷幸喜:2011/10/31(月) 14:45:35.00 ID:Cwk67X6eI
すみません。
>>289 こちらに差し替えお願いします。
単純なミスです。ホントすみません。


シーン28 2/11 22:06 ホテルロビー

指原を除く全員の姿がロビーにあった。
古畑がソファから立ち上がり口を開く。
「え〜…夜分遅くに大変申し訳ございません。どうしても気になる事が
あってお集まり頂きました。」
「構いません。古畑さん、事件の解決の為なら私たち、なんでも協力
します。ね、みんな?」北原が立ち上がって古畑にこたえる。
しかし、他のメンバーは携帯をいじったり窓の外をぼんやり見たりして
北原の言葉に反応する者はなかった。北原はため息をついて椅子に座った。
「私からお聞きしたい事ですが...え〜…2/9の夜…そうですね、
22時から深夜2時過ぎまでの間、そして翌10日のお昼中…12時から16時の間。
この時間帯に皆さんがどこで何をしていたかの確認をさせて頂きたいのです。」

「あの?アリバイって事ですか?ひょっとして私たち疑われてる?」
菊地が言った。怒っているというよりは何か興味津々といった反応だ。
「いえ。とんでもありません。一応…という事です。」
「それなら今日県警の刑事さんにお話ししましたけど?もう一度同じ事を?」
宮崎はちょっと不満げだ。

「お願いします。え〜宮崎さん。あなたから。」古畑は柔らかく微笑んだ。
「私は…9日の夜はその時間、ずっとロビーで古畑さんと一緒にいましたよ。
古畑さんもよく知ってると思いますけど?手相見てもらったりしてたでしょ?
れいにゃん、あーみん、はるきゃん、それから確かあやりんも一緒だったよね。」
「そうそう、ロビーから居なくなったのってトイレに行った時くらいだよ。
1時ころには部屋に戻って寝たし。ね?」
藤江が言う。5人は顔を見合わせて頷いた。
「昨日の昼は…みんないたよ。ロビーに。ゲームやってたじゃん。その時も
古畑さんいたよね。なんでこんな分かってる事聞くのかなぁ?」菊地は
何かを考えながら答える。探偵の助手にでもなったような顔つきだ。

「大家さんと北原さんはいかがでしょうか?」
「私はみんなと同じですよ。9日の夜はしーちゃんと最後までロビーに
残っていましたが、2時前…には部屋に戻りました。」
宮崎と藤江が古畑に頷き、その言葉を肯定した。
「ウチは…北原と別れたあと、ちょっと眠れずにロビーで暫く一人で
ぼんやりしてました。部屋に戻ったのは3時前…だったかなぁ?」
「あ、多分それくらいの時間 だと思います。なんか帰ってきた〜って
思って時計見たら確か…私、もう寝てたんで。」
「昨日は…古畑さんも知ってますよね?午後の3時過ぎから萌乃と一緒に
小森を捜しに出て4時半位に戻ってきました。」
「ありがとうございます。確認は出来ました。では…次に…」
古畑が言葉を続けた。
291四谷幸喜:2011/10/31(月) 14:50:21.38 ID:Cwk67X6eI
シーン28-2

「小森さんですが、皆さんが最後に姿を見たのはいつでしょうか?」
「えっと…」全員が記憶を呼び起こすように視線を宙に浮かした。
「私は…9日の夜8時くらいかなぁ?指原と一緒になんか楽しそうに
ロビーから出ていくのを見たのが最後かな?」石田が思いついたように言った。
他のメンバーも一様に頷く。
「ウチは10日のお昼前にスキー場で小森と別れたのが最後です。
確か…11時くらいだったと思います。結構雪が強くなってたのに、まだ
小森が滑るって言うので…それまでずっと一緒に滑ってたんですが…」
「そうですか。ちなみにそれはスキー場のどのあたりですか?」
「えっと、山頂付近だったと思いますけど。」
「大家さん、失礼ですがあなた、その時はボードですか ?かなりの腕前…
いや、この場合は脚前というのでしょうか…とお見受けしますが?」
「あ、いえ…ウチ九州出身なんでボードは殆ど初めてみたいなもので…」
「おや〜。それではかなり度胸がおありになると見えます。焼額山から
奥志賀側のコースはかなりの急斜面ばかりです。私など山頂まで登ったんですが
とても滑って降りるなんて出来ません。恥ずかしながら下りのゴンドラに
乗せてもらって降りてきました。」
「え…あぁ。実はウチも…」
「大家さんは、どうされたんですか?あの日は、朝から風が強くゴンドラは
終日運転を取りやめていたそうですが。」
「…あ、リフトは動いていたので。」
「ん〜大家さん…嘘はいけません。下りのリフトは基本的に安全のため
下りの 乗車は出来なくなっています。一部例外もありますが、このスキー場では
その例外が適用されるリフトは…ありません。」
大家は黙り込んだ。メンバーも意外そうな顔を見合わせる。

「あれ?でも、古畑さん。それってしーちゃんが怪しいって事には
なりませんよね?だって、しーちゃんお昼前には戻ってきてたじゃん。
死亡推定時刻は12時から3時の間でしょ?刑事さん言ってたもん。
乾燥室に11時頃いたの見たけど?ね。アニマルさん。」菊地が言った。
「ハイ。ワタシ、菊地サンのボードをメンテナンスしてほしいと頼まれて
その時間一緒に乾燥室にいました。間違いないデス。」
「え〜…菊地さん。素晴らしいです。ウチの今泉より、ずっと論理的な
推理をなさります。ぜひ、アイ ドルを卒業されたら私と一緒にお仕事を
して欲しいくらいです。」古畑が笑った。
292四谷幸喜:2011/10/31(月) 14:52:52.74 ID:Cwk67X6eI
シーン28-3
「え〜…質問を変えましょう。指原さんが、9日の夜小森さんとロビーを
出て行かれた後、どなたか指原さんを見られた方は?」
「あ、はい。それは、私が。翌日の事ですが。しーちゃんに頼まれてたのと、
私自身も気になっていたので何度も様子を見に行ってました。
10日の朝、最初に萌乃と一緒に部屋に見に行ってから、
ほぼ1時間おきくらいに行きましたけどずっとベッドで眠っていました。
間違いありません。」北原が答えた。

「実は私も…」前田がそっと手を挙げた。
「私も心配でさっしーの様子見に行ってました。あの事件が起きる少し前も
お部屋に行って…寝返り打ってたんで、あ、大丈夫かな?って安心したのに…」
「そうですか。え〜…みなさん、ありがとうございます。こんな時間 に
なってしまいました。どうぞ今日はお休みになってください。」
「はぁい…お休みなさい」メンバーはばらばらと腰を上げロビーを後にした。
293名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 16:06:59.77 ID:+BsrRPdu0
探偵気取りの菊地可愛いw
294名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 18:06:49.05 ID:3Q5PJ0eEO
ほしゆ
295名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 18:57:06.47 ID:Eid1cg4n0
最近は仕事から帰って一番最初にすることが、この小説を読むことになっている。
296四谷幸喜:2011/10/31(月) 19:19:10.16 ID:GgjJuCFS0
シーン29 2/12 1:04 宮崎・藤江・北原部屋

大家と指原を除くメンバーが集まっていた。みな、誰も興奮気味だ。
「だから、確かにしーちゃんにはアリバイが成立するけど。小森を殺す
動機っていうのはあるんだよね。」菊地が熱弁をふるう。
「え〜なんでなんで?」石田が面白そうにはやし立てる。
「ホント、いい加減にしなよ!私たち仲間でしょ!恥ずかしいと思わないの!」
北原が石田の肩に手をやり言う。強い非難の目線を向けていた。
「出た〜優等生発言。」宮崎が冷やかす。


「ちょっと待ちなよ。」部屋の入り口から声が響く。全員が一斉に声の方を向く。
「萌乃!萌乃じゃない!」宮崎が叫ぶ。
「どうしたの!どこ行ってたのよ〜。心配したんだから〜」北原の目から涙が
こぼれる。藤江も石田も前田もほっとし た表情を浮かべる。
「あはは。ちょっと裏の崖から滑っちゃって。まっすぐ登ってこれなくて
ずっと川沿い歩いてたらなんか変な方に出ちゃってさ。山小屋があって
助かったよ。」仁藤は笑った。

「そんな事よりさ、何?みんなでののしりあっちゃってさ。良くないよ。
身内で疑いあうってさ。」笑顔のままだが、仁藤の口調は厳しかった。
「そうだけど…そうだけどね。」石田がうつ向き気味に言う。先ほどの
ふざけたような表情は消えている。

「それにさ、一番怪しいのって私じゃん。あやりん、私ってアリバイある?」
「あ…」菊地が口ごもる。
「みゃおもさ、今まできたりえの優等生発言でどんだけ助かってるかって、
一番分かってるのはみゃお自身でしょ?アンタ達って、 いいコンビじゃん?
きたりえが優等生で居てくれるから、みゃおが暴走出来てるんでしょ?」

仁藤の言葉には強烈な説得力があった。誰もが言葉を失う。

「はるきゃんさ、もう楽になってもいいと思うよ。もうさ、悪ぶってちょっと
悪い子のキャラ作らんなくても。アンタが周りの事を一番気遣ってるなんて
みんな知ってるんだからさ。ね?れいにゃん?」
仁藤の言葉に藤江も頷く。
「れいにゃんだって、もっと自分の言いたい事言っていいんだよ?
れいにゃんの事、先輩達だって認めてるんだから。ね?」
「亜美。亜美は今のままでいいんだよ。変に大人になんてならなくって。
でも、大きくなったもんね。背も伸びたし。」

「菊地…アンタの苦しさは私がちゃんと見てるから。アンタは強いよ。
ホントに強い。私なんて到底及ばない位強いんだ。きっとその頑張りは
誰かが見てるから。きっと認められるから。」
全員が涙を流していた。「やっぱり萌乃だよね。いつも厳しいけど、萌乃が
いたから私たちはここまでまとまって来れたんだよ」宮崎が言う。

「あはは。大げさだよ。あ〜久しぶりに人と話したから、疲れちゃった。
ちょっと休ませてもらうね。」
「うん。わかったよ。萌乃おやすみ。」宮崎が言った。
仁藤はみんなに背を向け部屋を後にした。
297四谷幸喜:2011/10/31(月) 19:20:47.14 ID:GgjJuCFS0
シーン30   2/12 1:40 大家・前田部屋 

大家はベッドの中で古畑との会話を思い出していた。
事件以来、全くといっていいほど睡眠をとっていなかったのと30分程前に
服用したマイスリーのせいかうとうとし始めている。
大家は長い間不眠に悩まされていた。どんな困難にも立ち向かう姿勢を
見せる半面、その性格は脆く、繊細だった。

ふと、気がつくと仁藤の姿がベッド脇にあった。暗い間接照明の中
その姿がぼんやり浮かび上がる。

「萌乃…生きとったんか…」
「何よぉ、その言い方。酷いじゃない。あんな突然人の事突き落として
おいてさ。びっくりしたよ。もう。」仁藤は笑った。
大家はぽかんとした表情で仁藤の笑い顔を見つめた。
「なんでや?なんで怒らんの?なんで?って聞かんの?」
「うん。きっとしーちゃ んの事だからね。私の事気に入らなくて喧嘩を
しかけてきたかと思ってさ。まともに来たら叶わないと思って不意をついたね?
それはずるいよ〜」

「萌乃…アンタ、全部分かっとったん…やな?」
仁藤は静かに微笑んで頷いた。
「でもね。もういいかなって。でも、しーちゃん。わかってるよね?」
「みんなはウチの事を許してくれるやろか?」
「許してもらえなくても、きちんと言わなきゃいけない事はちゃんと言う。
それがホントの仲間ってものでしょ?」
「萌乃はやっぱ萌乃やな。良かった。また会えて。」
「もう何言ってんの?じゃ、私行くよ。お休み。」
「ああ。お休み。」大家は目を閉じたまま言った。
298四谷幸喜:2011/10/31(月) 19:24:08.73 ID:GgjJuCFS0
シーン31   2/13 3:51 ホテル内ロビー 

暖炉の薪は燃え尽きて炭になって燻っていた。
古畑はソファで脚を組みぼんやりと暖炉を眺めていた。
西園寺と今泉が少し離れた椅子で寝ている。

「お待ちしておりました。仁藤さん。」古畑が仁藤に声をかける。
「あれ?古畑さんは驚かないんですか?」仁藤が悪戯っぽく笑う。
「ええ。先ほどから皆さんとお話されているのを廊下で聞かせて
頂いておりました。」
「あ〜古畑さん。盗み聞きは良くないですよ?」
「うふふふふ。失礼いたしました。」
「さて。私に聞きたい事があるんでしょ?」
「はい。幾つか。」古畑はほほ笑んだ。
「どうぞ?」仁藤もほほ笑みを返した。美しい笑顔だった。

「え〜…順番が正しいかどうかわかりませんが…最初に単刀直入に
聞かせて 頂いてもよろしいでしょうか?」
「ええ。」


「あなたを殺したのは、どなたなんでしょう?」

一瞬仁藤の顔に驚きが浮かんだが、すぐにそれは笑顔に変わった。

「あははは。やっぱり古畑さんって面白い人。あ〜もっと色んな事話して
みたかったなぁ。」
「光栄です〜。」古畑は一礼した。
「それを明らかにするのが古畑さんの仕事でしょ?でもね、明日になればその答えは出ると思いますよ。
もし、証拠っていうのが… 物的証拠っていうの?が
欲しかったら私の事を早く見つけて欲しいな。寒いとこって結構苦手なんだよね。」
「わかりました。」

「それからもう一つお願い。」
「なんなりと。」
「きちんと全部を明らかにしてあげて欲しいの。悪い事もいい事も。」
「もちろんです。あと、最後に一つだけ宜しいでしょうか?あなたは、ご自分 を
殺した犯人に恨みはないのですか?」

「どうかな…?多分恨みとかあるんだと思いますよ。やっぱり。
でも、きっとこうなった事にも何か理由があるんだと思う。言うじゃないですか?
人生万事塞翁が馬って。」
空がゆっくり白み始めた。
「あ、そろそろ行かなくちゃ。古畑さん。ホントもっと早く知りあいたかったな。」
仁藤が微笑んだ。


「西園寺君…西園寺君。」
「あ…古畑さん…すみません、眠ってしまってました。」
「西園寺君…私はとても美しいものを見たよ。美しい…そう。どこまでも透き通っていて…
それでいて凛として…。そう、まるで氷のような微笑だった。」
古畑は誰もいない暖炉の前に向かって言った。

299名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 19:25:38.84 ID:2g37Mxtn0
>>298
このシーン秀逸っす
お疲れ様です
300四谷幸喜:2011/10/31(月) 19:25:47.56 ID:GgjJuCFS0
今日はここまでです。

恐らく今回の作品は賛否両論が相当強いと思います。
どうか、皆さんのご意見を遠慮なくお聞かせくださいね。

では、明日からいよいよ佳境に入っていきます。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 19:34:10.61 ID:w0VVABK/O
>>295
俺もだ
302名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 19:36:38.49 ID:s+XMpxjM0
萌乃は幽霊だったのか…もはや、古畑ではない気もするが、そんなんもういいやw
続き早く読みたい!
303名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 19:38:45.45 ID:w0VVABK/O
>>298
そうきたか
304名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 19:48:49.93 ID:XkmOas+v0
萌乃かっけー……と思ったら霊だったか
萌乃はさしこの所にはいかなかったか
さてさて真相が気になりますなあ
305四谷幸喜:2011/10/31(月) 19:55:47.85 ID:GgjJuCFS0
シーン32  2/13  9:45  指原・小森部屋

指原はゆっくりとベッドの上に起き上がった。
そして、辺りをゆっくり見回す。誰もいない…でも、指原には解っていた。
昨夜の事は夢じゃないって事を。



「さっしー。さっしー。起きて。」
仁藤の柔らかな声に指原は目をゆっくり開けた。
「あれ?萌乃?どうしたの?うん…指原寝てた…?」
「うん、寝てたよ。ぐっすり。ね、さっしーの寝顔ってやっぱ可愛くない。
「ひどい〜。でも…否定出来ない…ねぇ、そういえば…」

指原の表情にみるみる恐怖が湧き上がってくる。意識の中にあの惨状が
蘇ってきたようだ。
「も…もぇ…の?あの…ね?指原…ね?」
仁藤が指原の手を取った。じっと指原の目を見つめる。

「もう、しっかりしな。さっしー。
さっしーは、ホント、へたれなんだから。でもね、小森も心配してるよ?
さっしーがしっかりしなきゃ、安心して天国にも行けないって。」

「萌乃…?」

「たぶんね。小森は何かよく分からないうちに死んじゃったんだと思う。
ひょっとしたらまだ自分が死んだって事も分かってないのかも。
でもね、ちゃんと見送ってあげないと。さっしーがちゃんと認めてあげないと
いつまでたっても眠れないよ。ね?」

「私、萌乃みたいに強くないもん。だから…だから…」
「さっしー。さっしーは十分強くなったよ。頑張ってるじゃん。人気出て
その分アンチ増えて。それでも明るく…あ、あんまり明るくないか。
でも、一生懸命頑張ってきたじゃん。もう大丈夫。そろそろ自信持っても
いい頃だよ。私が認めてるんだから。ね。」

「萌乃…ありがとう。そうだね…私。」

「さ、もうちょっと寝ようよ?朝になったらきっと何もかもが終わるから。」
「うん…でも、萌乃の手、すっご い冷たいよ。」
「あはは。暫く寒い中にいたからね。さ、おやすみ。」
「ね、萌乃?指原、今度こそバンジー飛べるかな…?」
指原が寝言のようにつぶやいた。仁藤は暫くの間その寝顔を笑顔で見つめていた。


指原は立ち上がった。
行かなくちゃ。そして…
もうそこに涙はなかった。


306四谷幸喜:2011/10/31(月) 19:56:43.20 ID:GgjJuCFS0
すみません。肝心なシーンをUPしてませんでした…
では、続きは明日…
307名無しさん@お腹いっぱい:2011/10/31(月) 19:57:34.99 ID:BmOiB2DX0
腕力のない指原に撲殺は無理
だから小森の死は事故

萌乃は地元の人に助けられて…


なんて甘かったな


とことん萌乃らしくて泣けてきた
308名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 20:08:32.18 ID:s+XMpxjM0
読んでたら、目から汗が…
309名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 20:27:36.77 ID:fQvx7tDD0
一つのお話として感動出来る
310名無しさん@お腹いっぱい:2011/10/31(月) 20:52:28.72 ID:BmOiB2DX0
昨日、作者さんは誰のレーンにいたんですかね
σ(・_・)は才加・梅ちゃんレーンから萌乃を、有華レーンから
小森を見て

よかった…生きてる

と胸を撫で下ろしました(笑)
311名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 21:14:35.05 ID:mGTqsz+70
何かミステリー・ゾーンみたいな話になってきたぞ
312名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 22:06:29.89 ID:Eid1cg4n0
萌乃いいな
313名無しさん@お腹いっぱい。:2011/10/31(月) 23:42:03.09 ID:gWMwOu910
おいふざけんな
電車の中なのに目から汗出ちまったよ
萌乃〜
314名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 00:30:28.28 ID:t65PAzcoO
保守
315四谷幸喜:2011/11/01(火) 01:29:58.49 ID:dMtezYuyI
みなさん、いつも期待のレス、お褒めのお言葉
そして厳しいご指摘、ありがとうございます。
どれも、とても更新の励みになります。
今日は仕事がこんな時間まで長引きタクシーで
帰宅中...
でも、いよいよラストシーン直前。楽しみに
待っていて下さる方にお応えできるよう、
明日も頑張りますね。


では、また明日(あ、もう今日か...w)
316山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/01(火) 01:40:50.88 ID:G4sBGVCfQ
>>315
さよなら、さよなら、さよなら
317名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 04:54:58.38 ID:ta+zveGnO
>>315
おつかれさま
318四谷幸喜:2011/11/01(火) 07:51:43.87 ID:dMtezYuyI
みなさん、おはようございます。
今日も宜しくお願いします。

いよいよラストシーン...
今日中に完結できる...かな?

では、なんとか今日も午前中にスタート
できるように準備します。
319名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 08:28:09.43 ID:Wt8fQLBUO
>>318
楽しみにしてるよ
俺はこれから仕事だww
320四谷幸喜:2011/11/01(火) 08:56:04.52 ID:dMtezYuyI
>>319

ありがとうございます、
私もこれから仕事...

いつものように合間見てこそーり更新しますw
321名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 10:12:28.52 ID:+MLLHnMPO
仕事落ち着いたらからでいいんで解決篇楽しみに待ってます

まさか萌乃が霊になってしまったとは…自分が死んでも萌乃は変わらずか…
322四谷幸喜:2011/11/01(火) 11:03:06.50 ID:dMtezYuyI
シーン32 2/13 10:07 ホテル内ジム

「すまないね。田村君。出過ぎた真似をしてしまって。」
「いえいえ。古畑さんに捜査をお手伝い頂けるなんて実に光栄です。
なぁ、西村。勉強させて頂こう。」
「ありがとうございます。さて…みなさん。」古畑が話しかける。
ジムには指原以外のメンバーが全員姿をそろえていた。

その中で大家はまだ葛藤と戦っていた。
自分は構わない。しかし、指原が逮捕されるのはどうなのか?
自分はどうなっても…
たとえ間違っていると仁藤に言われても、やはりここは…
一晩たって大家に迷いが生まれていた。

「え〜…このたびの事件は、本当に残念なことです。お仲間を失われた
皆さんのご心情は察するに余りあります。心からお悔やみ申し上げます。」
古畑はまず一礼 し、そして続けた。

「亡くなった小森さんですが…みなさんももうご存知かと思いますが、
頭を何か固いもので殴打された跡がありました。これが直接の死因となった事は
間違いがありません。そして、こちらが凶器と思われるバットです。」
西村がバットを古畑の前に置いた傘立てに立てかけた。
「え〜…こちらのバットには亡くなった小森さんの血痕が付着しています。
そして…お二方の指紋も検出されました。指原さんと仁藤さんのものです。」
古畑は言った。何かを言おうとした大家を目で制する。

「普通に考えると、このバットを使って指原さんか仁藤さんが、小森さんを
殺害した…となるのでしょうが、それではまるで安物の刑事ドラマです。
うふふふ。それはちょっといた だけません。え〜…ちょっと今泉君?」
今泉が両手にバッティンググローブをはめて現れる。
「では、今泉がこれからこのバットでティーバッティングをいたします。
こちらのティーに置かれたボールをあちらのネットに向かって打ちますので。」
今泉が腕まくりをしてバットを持つ。構えようとするがバットの重さで上手くいかない。
「さ、今泉君。」
「だーっ!」今泉のスイングは波を打ちバットはボールを捕らえる事なく空を切った。
「え〜…今泉君は見たとおり運動神経のかけらも持ち合わせておりません。が…
恐らく普通の成人男子程度の腕力は持っているものと思われます。アニマルさん?」
古畑がアニマルに声をかける。
「このバットはいわゆるマスコットバットと言われ るものでしょうか?」
「oh!ちょっと違いマスね。普通のバットは700〜900グラム。マスコットバットは
せいぜい1500グラムでしょう。デモ、そのバットの重さは5キロを超えマス。
素振り用と言うよりは腰の回転トレーニングやストレッチ用に使うものデス。
ワタシが使うのに置いてあるものデス。」

「ありがとうございます。え〜…指紋ですが…バットのこの部分から検出されました。」
古畑が指を指す。グリップエンドのすぐ側だ。
「え〜…バットというのは遠心力が働きますので長く持てば持つほど力が
出ますが、その分振り回すのにパワーが必要になります。しかも、指紋は
どちらも片手のみしかついていません。果たして、元プロ野球選手の方も
振り回すのが難しいバットを若い女 性が片手で振り上げ誰かの頭部を
狙って振る事は出来ますでしょうか?しかも、被害者は横頭部に傷がありました。
振りおろすのではなく、平行…レベルスイングです。」
古畑が一瞬間をおいて言った。
「ありえません。」
323四谷幸喜:2011/11/01(火) 11:05:32.28 ID:dMtezYuyI
シーン32-2

「では、小森さんはどうして亡くなったのでしょうか…?」
古畑はトレッドミルのマシンに歩み寄りスイッチを入れる。
「こちらのマシン、実に多彩な機能を付属しております。その一つが
トレーニング履歴の管理です。え〜…こちらをご覧ください。」
古畑がモニターのスイッチを入れる。
「こうして、トレーニングの履歴を見る事が出来、パソコンで管理することも
可能です。こちらによると…このマシンが直近で使われたのは…
2/9の21:45です。さらに、このマシンは…」
古畑が操作すると色んなデータがモニタに映し出された。
年齢17 身長166 更に体重基礎代謝量、体脂肪率…などだ。
「え〜…こちらのデータ、ほぼ小森さんと同じと思われます。恐らく使 用前に
入力を求められるので小森さんが入れたのでしょう。さらにこのマシンの
すごいところをお見せします。」古畑が操作を続けると、今度はモニタに
グラフのようなものが映し出された。

「これは、実際のその時に行ったトレーニングの内容になります。今泉君。」
今度は今泉がトレーニングウエア姿で現れた。足元はランシューズで固めている。
「このマシンは、以前行った内容をトレースする事が出来ます。
トレーニング効果を確認し、どれだけ自分が強くなっているかを知る事が
出来るんです。いいかい?始めるよ。」古畑がトレーニングスタートボタンを押す。
ゆっくりトレッドミルの床が動き始める。1分後、徐々にスピードが上がり始めた。

時速6km/h…8km/h…今泉の息が乱 れ始める。と、突然マシンがうなり始めた。
時速25km/hが表示される。
「うわっ!」今泉が小さな声とともに後方へはじけ飛ぶ。いつの間にかマットを
構えていたアニマルが今泉の身体を受け止める。
「え〜…ご覧になった通りです。マシンの履歴によれば、時速25キロで5分間
走ってそのあとストップした事になっています。ですが、そのスピードで
5分間走る事が出来たら…1500m走の世界記録は小森さんによって塗り替えられて
いる事になります。、恐らくは今ご覧になった通りでしょう。そして、後方には…」
古畑が手を差し出した先には、バットが並べられたラックがあった。

「指原さん…。私の推理はいかがでしょうか?」
ふいに古畑が声をかけた。全員が一斉に振り向く。
ロビ ーの後ろに指原の姿があった。
「さっしー…?大丈夫?」そう言う北原に指原は頷いてみせた。
「…おっしゃる通りです。小森は…小森が死んだのは指原のせいです。」
指原が声を震わせて言った。しかし、顔はしっかり上を向き、潤んだ瞳には
何かを決意したような力強さがあった。
324四谷幸喜:2011/11/01(火) 11:07:01.46 ID:dMtezYuyI
シーン0-1 回想シーン

トレッドミルに乗り走る小森。指原は壁に寄りかかりながらそれを見ている。
「さっしー、私すっごい走るの速いんですよ。ジョギングも毎日してるし。」
「へ〜初めて聞いたよ。そんな事。」
「もうフルマラソンも走れちゃうかもしれません。さっしーも走りません?
あ、でもさっしーの場合、足より根性のほうが問題ですよね〜」
「ちょっとぉ、小森。バカにすんなよ。っていうか、もうはーはー言ってるじゃん?」
「なに言ってるんですか?まだまだ大丈夫ですよ。へたれのさっしーと違うもん。」
「なんだと?じゃスピードあげてやる。」
「いいですよ〜。…あ、ちょっと…あ…やだ、速すぎ…きゃー」
小森の体が転がるように後方へと飛ぶ。勢い よくバットやダンベルが並んだ
ラックへ突っ込む。

「小森!大丈夫?ごめん。小森…?」
うつぶせになった小森を指原が抱き起こす。

小森は目を見開いたまま息絶えていた。
325四谷幸喜:2011/11/01(火) 11:09:08.18 ID:dMtezYuyI
シーン33 2/13?? 11:28? ホテル内ジム

「ふざけてたんです。それが…あんな事になるなんて…。すみません。
古畑さん。でも、悪いのは指原です。古畑さん…お願いします…」指原は両手を
差し出しながら言った。大きな瞳から涙が零れ落ちる。

古畑は柔らかな表情で首を横に振り指原の腕をそっと下ろしてやった。
「え〜…指原さん。これは事故です。悲しい事故です。」古畑がそう言うと
大家が大きな声を出した。
「古畑さん。ホントに?指原は人殺しの罪に問われる事はないんですか?」
大家の声も震えていた。
「ええ。過失があったかどうかの判断はあるでしょうが、今回は大きな罪を
問われる事はないでしょう。恐らくは事故と考えられるものと…」
「良かった…ホントに良かった…」
「古畑さ ん…私も…みんなに話したい事が…」古畑が大家に向かって頷いた。

「あれ?でも、まだおかしくない?確か死亡推定時刻は…」
菊地が大家の言葉を遮るように大きな声で叫んだ。。どうやら、彼女なりに真剣にこの事件について考えていたようだ。
大家が古畑に微笑んだ。「ウチも聞きたいな。古畑さんの謎とき…」
「かしこまりました。」古畑が両手の指を身体の前で組み合わせた。
326四谷幸喜:2011/11/01(火) 11:09:30.66 ID:dMtezYuyI
続きは後ほど。
327名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 12:11:23.76 ID:Wt8fQLBUO
お〜なるほど
菊地は意外に考えてるんだなww
328名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 15:57:02.87 ID:t65PAzcoO
保守
329四谷幸喜:2011/11/01(火) 16:20:19.01 ID:dMtezYuyI
シーン34 2/13 11:36 ホテル内ジム

「え〜…みなさんもご存じの通り、小森さんの遺体が発見されたのは、翌10日…
夕方の5時頃です。死亡推定時刻もその辺りとされています。
そうでしたね、菊地さん?」
「え?え?あ、はい。」菊地が慌てて頷いた。
「しかし、先ほどお話した通り、小森さんが亡くなったのは9日の夜。」
「最近の鑑識ってスゴイんでしょ?死亡推定時刻がそんなにずれる事はないって。」
菊地が言う。
「菊地さん、本当に素晴らしい。よくご存知で。確かにその通りです。
遺体の腐乱具合、体内の残留物、また肌等の状況からかなり正確な時刻を
割り出す事が今の技術では可能です。ただし、当然それには限界があります。
遺体が発見された場所と実際に遺体があった場所の環境が大きく異なると
その特定には相当の誤差が生じます。」古畑の口調が段々熱を帯びてくる。

「こちらをご覧ください。」古畑は窓に歩み寄り大きく開く。
「ここ…窓枠の部分に何か擦ったような跡があります。こちらから、小森さんが
着用していた洋服の繊維が検出されております。
「え〜…ここから下に人が落ちると…」古畑は今泉の方をちらっと見た。
「古畑さん。冗談はやめてください。それは絶対無理だから。」
「うふふふ。冗談だよ。え〜…下には数メートルの積雪があります。
恐らくは体重の重みで埋まってしまうでしょう。この痕跡ですが、
実は吹雪のやんだ後、私がここを開けた際、窓枠の雪が落ち、その下から
出てきました。つまり…雪の降り出す前についていたという事になります。
9日の夜、雪はまだ降っていなかった…では、なぜ、そんな事を
する必要があったのでしょうか?それは、この事件の犯人…が指原さんと
思いこんだある人が指原さんのアリバイを作り、誰かを犯人に仕立て上げる為です。」

古畑が大家の方に目線を送りながら言った。大家が納得したように頷く。
「古畑さん。みんな。ここからはウチの口から言わせてもらうわ。
こんな小細工をした上に、犯人に仕立てようとして萌乃を殺したのは…ウチなんや。」
大家の言葉に暫くその場の空気が動かなくなった。まるで時間が止まったように。
330四谷幸喜:2011/11/01(火) 16:22:48.31 ID:dMtezYuyI
シーン34-2

「え?え?萌乃…?だって、萌乃って…ねぇ。みんな、昨日の夜、萌乃…??」
菊地がうろたえるが、他のメンバーは黙ったままだ。北原が菊地の肩をそっと
抱き寄せる。菊地はまだ事態がのみ込めていないようだった。
「え〜…大家さん、あなたは何とか小森さんの死亡時刻をごまかす事を考えた。
それが出来れば、その時間の指原さんのアリバイを作り、誰かのアリバイを
作らせなければいい。あなたの思惑通り、雪の中に埋まり更に新雪が降った
事で遺体の腐乱が遅れ死亡推定時刻は大幅にずれました。酷寒の雪中と
暖房できつく暖められた乾燥室。極端な環境の差異が生んだ大きな誤差です。」
「古畑さん…」大家が立ち上がった。
「え〜…大家さん。あなたは最初から仁藤さ んを犯人に仕立て上げよう…
そう考えていたわけではありませんね?」
「はい…萌乃には悪いけど…ホント悪い事をしたけど…」

「そして、何らかの細工をして仁藤さんの指紋をバットに着けた。そしてこの
トリックを仕上げる為に仁藤さんのアリバイを奪った。そう…仁藤さんの姿を
消す事で。これでアリバイ工作と証拠作り、指原さんを庇う事の
トリックの完成…というわけです。」
「幾つかヘマしちゃったみたいやけど…古畑さんにかかったら、そんなヘマは
見逃されんちゅう事ですね。」大家が古畑の方に歩いていく。
「嘘でしょ?いや、絶対嘘。だって…萌乃生きてるじゃん!ねぇ。みんなぁ。
萌乃死んだりしないもん。だってみんな…」菊地が泣きじゃくる。
「そうだ! 古畑さん。証拠は?しーちゃんが萌乃を殺したって証拠は
どこにあるの?ねぇ!答えてよ!古畑さん…」
「西園寺君…」古畑が西園寺を促す。西園寺が瞼を擦って言葉を絞り出す。
「今朝早く、ここから4キロ程下流で仁藤さんの遺体が発見されました。
仁藤さんの爪の間からもみ合った際についたと思われる体組織が検出されてます。」
「菊地…」大家がジャケットの袖口をまくった。そこには引っ掻いたような
傷が痛々しく残っていた。
331名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 16:43:48.83 ID:c/Flip+hO
大家がそこまでして指原を庇う理由は何かな?
果たして納得のいく理由付けが出来るだろうか
332四谷幸喜:2011/11/01(火) 17:02:31.08 ID:dMtezYuyI
シーン34-3

「指原は本当に弱い子やった。いつもいつも泣いとった。
オーデションに合格して最初のレッスンの時やったかな。いつまでも帰って
来んで、ずーっとマンションの前で待ってたのって。泣きながら帰ってきた
姿見て、大丈夫やろかって。でも、思ったんよな。この子ウチと同じやって。
すっごい繊細な子なんやなって。だから、一緒にいるウチが弱いといかん。
そう思っていつも励ましてた。でも、指原は頑張っとった。人気も出てきて
すぐに正規メンバーに昇格して、今度はウチが励まされるようになってきた。

そんな時ですわ。ウチの昇格が決まったのは。その時、AKB全体でも大きな
動きがあって、それまでのチームがシャッフルされた。指原もそれまでの
チームBからAへ 移籍になった。その時すぐに指原が泣きながら飛んできた。
またかよ〜って思ってると、しーちゃん良かったね、良かったねって。
指原も…って言うと、え?何の事って。自分の移籍の事なんか忘れてウチの
昇格を泣きながら喜んでくれた…そんときウチは、この先何があっても
この子の事は見守らないといかん…って思った…ウチ…バカかな?
こんな事で…」
大家は一気に、絞り出すように話した。

菊地は泣き崩れたまま動かない。
藤江が菊地に手を差し出し言う。
「ね。あやりん。もう泣くのやめよ。萌乃はね…きっと私たちにお別れを言いに
きたんだよ。それにね、見てられなかったんだよ。私たちが言い争いをしてるのを。
だからさ…」
「うん…わかったよ…分かってるよ。ホントは分かってたんだ。私も。
でも…」
「信じたくなかったんだよね。」堪え切れず藤江の目からも涙がこぼれる。
333四谷幸喜:2011/11/01(火) 17:06:49.50 ID:dMtezYuyI
シーン34-4

「しーちゃん、ごめんね…やっぱり悪いのは指原だよ。あの時、指原がしっかり
してたら…しーちゃんも萌乃も巻き込む事はなかったんだよ…ごめんなさい…」
指原が大家の背中に縋りつく。

「さっしー、しーちゃん…立って。」
宮崎が大家の腕を支えながら抱き起こす。大家と宮崎が向かい合う。
突然宮崎が大家の頬を思い切り張った。続いて指原の頬も。
「そうやな…許してくれんよな。すまん、みゃお。こんな真似して当たり前やな。
人殺しやもんな、ウチ。」
宮崎が首を振った。目は真っ赤に充血している。
「違うよ。私が怒ってるのはそうじゃない。なんで…なんで私たちに相談して
くれなかったかって事だよ。悔しいよ。悔しい…私…」

北原が宮崎の背中に手を添えながら言う。
「ねぇ。私達、しーちゃんの事を許さないよ。絶対絶対許さない。でも、罪を
償ったらちゃんと私たちのとこに戻ってきて。今度は私たちがきっとしーちゃんの
支えになる。きっと萌乃もそうしろって言うと思う。よく言ってたじゃん。
狎れあうだけが仲間じゃないって。小森だって同じ事言うよ。
あの子、あれでさっしーの事心配してそうだし。」

「アンタってホント優等生。すっげー鼻につく。」
宮崎が北原を見て笑った。涙がこぼれる。
北原はやはり目を潤ませて宮崎に笑顔を返した。
334四谷幸喜:2011/11/01(火) 17:08:53.55 ID:dMtezYuyI
ラストシーン

西園寺が大家と指原をエントランスへと案内する。
ふと、大家が振り返った。

「古畑さん、なんか全部お見通しやった?」
「いいえ。それは私を買被りすぎです。大家さん。でも、疑ってはいましたよ。」
「いつ位から?」
「え〜…あなたがスキー場から帰ってきたときです。大家さん、あなたスキー
ブーツのままロビーに入ってきました。でも、それはよくある事です。私も
同じ事をしましたので。でも、ウエアのズボンがブーツの中に仕舞いこまれて
いました。初心者にありがちな着こなしだそうです。うふふふ。私も今泉に
同じ着こなしを指摘されました。あの男にそんな指摘を受けるのは、実に屈辱です。
しかし、それももっともな話です。ウエアをブーツの外に出しておか ないと
初心者は転んでブーツの中がぐちゃぐちゃになってしまいます。
しかし、あの日雪があんなに降っていたのに、あなたの靴下は全然濡れて
いなかった。おかしいと思いました〜。」
古畑は得意げに言った。

「古畑さん…意外とダメダメなトコもあるんですね。だって、あの時、ウチ
靴下はき替えたんですもん。」大家は笑った。
「...うふふふふ。これは、してやられました。」
古畑は眉間に指を当てニヒルに笑い、出口に向かいそっと右手を差し出した。
335四谷幸喜:2011/11/01(火) 17:10:07.75 ID:dMtezYuyI
このお話は全てフィクションで、実在する人物・団体とは一切関係なく
古畑任三郎は架空の刑事です。






脚本 四谷幸喜(実はおっさんヲタ。握手会へは娘と一緒に行く。)
336四谷幸喜:2011/11/01(火) 17:12:04.27 ID:dMtezYuyI
四谷幸喜第3弾、これにて完結となります。
今回もお付き合い頂き、本当にありがとうございました。

昨日もちょっと触れましたが、今回のお話にご不満の方も多いと思います。
一言で言ってしまうと「古畑らしくない」という事でしょうか。
それに全てを見せておいて、古畑が謎を解いていくというセオリーも
多少逸脱しています。(私の中では小森さんの件は「事故」なので
描写をしなくてもいい…という言い訳があるのですが)

そして、亡くなった人を霊として登場させるのもルール違反ととらえる
方がいらっしゃると思います。
今回は、それでも敢えてこの形でお話を進めさせて頂きました。

仁藤萌乃さんは、私も大好きなメンバーの一人です。初めて実際に
お会いした時に受けた衝撃は今も忘れられません。透き通るように 綺麗な肌、
柔らかい微笑みと物腰。そしてテレビ等で見せる鋭い切り口。
そんな仁藤さんの魅力の半分も描けてはいませんが…
また皆さんのご感想をお待ちしております。

皆さんからのレスが、次回作に活かせていけたら…と思っております。


え?またやるのかって?wwww
337名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 17:17:08.03 ID:jrTZF2yu0
あーなるほど
写真集めの理由って娘だったのねw

今回も面白かったです
次回作も期待してまってるよー
338名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 17:19:18.73 ID:ih+gTXdH0
今度はSKEメンも登場させて欲しいです。
339名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 17:22:01.57 ID:BHtH3NUB0
>>336
お疲れ様です
>>298のシーンは個人的には秀逸だと思いましたよ
次回作が出来上がればまたお願いします
340山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/01(火) 17:26:32.75 ID:G4sBGVCfQ
良かったです写真のメンバーは娘さんの推しメンだったのか〜
お疲れ様でした 後はまとめに期待・・・
341名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 17:33:24.74 ID:NiUTw1ET0
おめでとう 乙
342名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 17:53:16.65 ID:g8p9YE8+0
お疲れ様
こ、これは泣ける……
343名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 18:54:41.22 ID:4s79IHHW0
ん〜、何とも言い難い・・
複雑・不思議な気持ちだ。
組閣祭りの動画を見直してしまった。
筆者は、この作品の為にメンバーを研究している。
この小説を読んで、萌乃を2推しにすることにした。
344名無しさん@お腹いっぱい:2011/11/01(火) 18:59:55.20 ID:W5BjviJW0
古畑任三郎vsAKB48異聞

てことでいいんじゃないかな


エンドロールの向こうに泣き笑いで手を振る大家

が自然と浮かんだ

345名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 19:08:51.66 ID:c/Flip+hO
小森の死が事故だったのなら大家が萌乃を殺した行為は全くやらずもがなの無駄な殺人だったことになる
それに新たな殺人を犯してまで指原を守ろうとする動機がよくわからない
世にも奇妙な物語みたいな涙を誘うシーンに誤魔化されて本質を見失ってはいけないと思う
346名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 19:14:43.75 ID:NySsvRNN0
今更だけどやっぱ自分で題名違うスレ立ててやって欲しかった
最初に立てて書いた人に失礼

途中で方向性を間違えてるし
347名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 19:15:10.38 ID:gr7ixwSk0
面白かった!!
ただ萌乃の爪に体組織が付いてたのは違和感
小森を探しに行くシーンだけど、雪の中手袋もせず外にでるかな?
あと、指原は実質無罪なのに、萌乃に罪を着せ殺そうとする大家と意気投合して口裏を合わせてるのがすごく不自然

しかし全体としては細かいことを抜きにして凄く楽しめた
次回も期待してるぞ
348名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 19:25:15.05 ID:ih+gTXdH0
古畑ファンだが新たな手法でも結構楽しめる作品。確かにツッコミどころは
満載だけど物語の質は高いよ。

次回めっちゃ楽しみだな。
349名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 19:28:50.78 ID:Wt8fQLBUO
>>336
お疲れ!

古畑っぽさも確かに必要だけど、それにこだわってたらいつか飽きるだろ
たまにはこんな飛び道具も必要な気がする

ところで四谷さん、握手会スレで娘と初めて握手会行くみたいなこと書いてたことないか?ww
350八十二谷幸喜:2011/11/01(火) 20:23:58.43 ID:fDFagK2/i
シーン345.008 2020年 某月某日 長野刑務所前

看守「…もう戻ってくるんじゃないぞ」
大家「ご迷惑をおかけしました。失礼します。」
振り返り、家路に着こうとした大家の目に映ったのは、酷く窶れた指原の姿だった。

大家「さっしー…!待っててくれたんだね。ちょっと痩せたかな…?」
大家「ま、うちもだけどね…今は構成作家やっとるんやって?」
指原「うん…」
指原は力無く答える。

指原「…ずっと待ってたよ、しーちゃんのこと。」
大家「さっしー…」
大家は嬉しそうな笑顔を浮かべた。

大家「さっしー…小森と萌乃、うちの事…許してくれたかな?」
指原「うん、その事なんだけどさ…」

指原「あれからずっとね、小森と萌乃が夢に出てくるの。」
大家「えっ?」



指原「冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい冷たい」
指原「苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しいって…」
指原「もう9年間!ずっと!」

指原「それでね…!それでねそれでね!!」
指原は、徐々に笑顔になる。

指原「指原が「許して」「ごめんね」て言ったら、2人はね。」
指原「大家を殺せ!殺して殺して殺してって!」

指原は笑いながら、ハンドバッグから包丁を取り出した。

大家「さっしー…」
指原「これで!これで全部!許されるんだ!あははははは!」

その場に立ち竦む大家。
笑いながら、ゆっくりと近づく指原。

暗転。
エンディングテーマが流れる。
351名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 20:39:33.06 ID:IW1My+xe0
これはひどい
352山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/01(火) 20:59:35.07 ID:G4sBGVCfQ
タクシードライバーで脳内変換して乗り切った
353名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 21:04:55.75 ID:ZSAf/Bc10
大家が終始関西弁みたいになってて福岡人としては違和感
354名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 21:07:38.89 ID:/Z5doP90O
人物描写とかキャラ付け、セリフの言い回し等が素晴らしいだけに、それに比べてストーリーの弱さ、推理小説としての意外性のなさがかえって物足りなく感じてしまう。しかし、そこも素晴らしかったら、四谷さんはベストセラー作家です。
という事で、次回作も期待してます。
355名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 21:22:52.66 ID:7u56oK5q0
四谷氏が自分と、同じ子持ちヲタだったとはw
まぁ、古畑らしさは今回あまりなかったし、色々な意見はもちろんあるんだろうけど、単純に読んでて次が待ち遠しかったし良いかなあと思う

次回作できたらまたあげてください!
356四谷幸喜:2011/11/01(火) 21:50:22.99 ID:dMtezYuyI
みなさん、ありがとうございます。
お褒めの言葉、厳しいご指摘、どちらもとても有難いです。
特に違和感や納得がいかないというご意見は何より私に
とっては為になるものです。また、私の文章力、表現力の
未熟さで伝えるたかったことを伝えきれてないんだなって
実感を得る事ができました。
実は今作、本家ファンの方にお叱りを受けるのを覚悟で
あえて路線を踏み外したところがあります。トリックの
作り込みもまだまだ陳腐だと反省しています。

それでも、こんな、私の愚作を読んでいただき、色んな
ご感想を頂けるのは嬉しい限りです。地下板という場を
お借りして作品を紹介する醍醐味は、こうしてみなさんの
声がダイレクトに頂ける事だと思います。
次回作も、ひょっとしたらまた批判の声があるかもしれません。
でも、大好きな登場人物をどんな風に動かそうか...
そんな妄想好きのヲッサンに、よろしければお付き合いくださいね。

あ、>>349さんにご回答します。
以前、確かに握手会スレで色々教えて頂いたことが
あります。その節にお世話になった方でしょうか?
他にも生写真スレでもみなさんにお世話になった事が
あります。おかげで親娘揃って楽しいヲタ活動が
出来ております(^-^)/
357名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 22:44:09.46 ID:RLZJUHzK0
>>356
毎回楽しみにしてます
これからも頑張って
358名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 22:47:35.10 ID:38cpKVSJO
五谷は現れないのかね
359名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 22:49:25.26 ID:4s79IHHW0
執筆ごくろうさん
毎日期待してこのサイトを見ていました
まあ評価はいろいろでしょうが、私には作品を通じて覗える
メンバーの個性というのを楽しむことができました

今日は大酒でも飲みながら、腕と指を休ませてください
360名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 22:54:55.05 ID:E9keRx380
>>350
これ怖すぎ笑
361名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 23:09:04.93 ID:Wt8fQLBUO
>>356
娘さんが萌乃推しじゃなかったかな?
もしその人だったら、娘のために頑張るお父さんって感じで印象に残ってたんだ
あと娘さんの萌乃好きってとこが渋いなあとw
362名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/01(火) 23:40:15.39 ID:UWVly7u80
四谷さんお疲れさまでした。
面白かったです、が、フォローがあったとはいえ、萌乃がかわいそうです…
次回作あるなら期待してます

363 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 :2011/11/02(水) 00:10:14.08 ID:/3z/+yxS0
今回のに出てきたあやりんは実際に演じてほしいと思った
次回作も期待してるけど無理はしないで
364名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 00:15:30.89 ID:s985/beD0
今回も楽しませてもらいました
途中何かが足らないと思っていたんだけど・・・

前作の>>56にあたる部分が無いよね?

あとアニマルがもっと関連してると思ったw
365名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 00:53:09.06 ID:b4Y2O5Of0
・大家「なんか最近何考えよるかわからん子増えたしな。」
・仁藤「私の事気に入らなくて喧嘩をしかけてきたかと思ってさ。まともに来たら叶わないと思って不意をついたね?それはずるいよ〜」

回収されてる?
366名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 01:01:20.58 ID:nuKcbPt80
あきも豚が殺害されて前田敦子に容疑がかけられて古畑が捜査に乗り出すが、真犯人として板野が浮上
が、2転3転した後、あきもと豚のカミサンと関与してた黒幕が大島とかそんなパターンかwww
367第?番目の作者:2011/11/02(水) 01:35:28.47 ID:+lOxNF5i0
えー、私、四谷さんには実に感服しております。
私も、いや、これを書いてる人間もまた頭の中に浮かんでしまった古畑vsAKBの物語を世に送り出そうと企んでいるのですが。
作品の性質上、みなさんにお見せするまでには着想を得たところからプロットをたて、トリックやギミックを考え出して整合性を検証し、
その仕掛けから解決までの流れをプロットに当て込み、人物の特徴に注意しながらセリフを考えて文章化する、
これはとっても骨の折れることです。
おかげでこいつはなかなか制作が進んでいませーん。
四谷さんはそれを1つはおろか、この短期間で3つもつくられている。実に腕の立つ方ですー。


つかぬことをおききしますが、四谷さん、薬品の知識などはどこで得られてるのでしょうか?
お仕事がそちらの関係とか?


こいつの作品もいずれみなさんに披露できればと思っていますが、どうも時期の目処が立てられないということで。
願わくは、それまでこのシリーズのスレッドが続いていることを祈って…

368名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 03:34:07.69 ID:EmsroXb/0
>>367
がんばれ
俺も書きたいけど文才がな…
369名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 03:41:39.27 ID:7ypnmUmp0
先日録画した金曜ロードショー『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』視たが、
大の新藤冬樹ヲタの俺としては、石原が片平殺った時点で話が解ってしまった
最後に誰と誰が生き残り、黒幕は誰かもしっかりと正解してたwww
こんなツマラン映画は・・とか思ったけど、細部について結構しっかりと脚本書き込まれていて結構面白いと思った
この映画を俺竜に考えた場合、主人公が前田敦子、真犯人は高橋みなみ
俺なら北王路さんのタイプで、ヤラレたフリして主人公を助ける
大島はPV同様黒幕キャラだな
370名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 07:25:26.57 ID:fL3vdeOk0
保守
371四谷幸喜:2011/11/02(水) 07:49:53.56 ID:F5tpz83tI
みなさん、おはようございます。
今日は、みなさんから頂いたご意見などに少しだけ
お答えする時間を作ろうと思います。
反論や言い訳を書くつもりはありません。
本の後書きみたいな感じで読んでいただければ...
いくつかご質問もいただいてますしね。


では、また後ほど。
372名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 10:19:21.76 ID:F5tpz83tI
>>345さん
動機については、やはり弱いですかね?
ストーリーとかトリック作り込みが未熟な分、確かに
違う方向で誤魔化してるかもしれませんね…

>>346さん
前スレ主さんのお話は私も大好きでした。
自分でスレ立てれなかったのでこちらに便乗してしまった
形になったんですが…
どこかにいらっしゃったら、お詫び申し上げたいと思います。

>>347さん
これはもう完全に私の文章力の無さですね…
指原さんは口裏を合わせてるのではなくて…って表現したかったの
ですが、お伝えしきれてませんでした。
もっと文章を噛み砕けるようにしたいです。

>>353さん
実は私も福岡出身です。(北九ですが)
大家さんの普段の喋りって博多弁を矯正してるのかど うか微妙な
話し方のように思えたので(博多弁が抜けずに標準語で話す人って
どこか関西?って言う風に言われる時があります。→私がそうでした)
もっとバリバリの博多弁でも良かったかもしれませんね。

>>361さん
そうそう、多分それが私だと思います。
うちの娘、私以上のヲタですのでw トレやってると「渋い!」って
言われる事が多いです。

>>364さん
あ〜…痛恨のミス…
実は私も完結して思い出しました。
ここ抜けちゃいけないですね。本家古畑らしくないって言われちゃっても
仕方ないところです…
>>367さん

367さんの作品ぜひ読みたいです。
それまでスレ続くよう、私も新作UPしていきますね。
ところで、私は全体の構成をラフスケッチにしてる以外 は、文章については
書きながらUPしています。なので、後で整合性が取れてるかとか、諸々の
チェックが甘くなっちゃってますよね。いかんいかんと思いながら、
それでもその時々に思いつくセンテンスとかをぶっこみながら書いていくのが
好きなので…お見苦しいかもしれませんが、今後もこのスタイルでいこうと
思っています。
373名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 10:20:08.14 ID:F5tpz83tI
すいません。全員の方へのレスは出来ておりませんが…
では、そろそろ次回作UPの準備に取り掛かろうと思います。
ご意見、ご批判、ご指摘…
そして応援、ご支持、励まし…
全てを楽しみにしています。これからも宜しくお願いします。
374四谷幸喜:2011/11/02(水) 10:22:11.83 ID:F5tpz83tI
すみません。コテ付け忘れました。
>>372
>>373
私です。
375名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 10:42:25.84 ID:wTXNH0440
>>372
俺もその時握手会スレROMってて渋い娘さんだなあと思ってたw
親子揃って楽しくヲタ活できてて良かったですね!
376名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 11:31:31.58 ID:SzF9b82A0
>>367
保守を頑張ってみます
それくらいしかできませんが
頑張ってください
377四谷幸喜:2011/11/02(水) 12:35:14.80 ID:F5tpz83tI
黒い背景の中に男の姿が浮かびあがる。
やや猫背で、両方の手の指が身体の前で組まれている。


え〜…みなさん、こんにちは。古畑任三郎です。
みなさんは、日ごろ適度な運動をされてますでしょうか?
ランニング、スイミング、そして最近では自転車が流行っているようです。
ロードバイクというのでしょうか?細いタイヤにドロップハンドル。
研ぎ澄まされたその機能美に魅せられる人も多いと聞いております。

ただ、健康の為の運動も量と質を間違えてしまうと、逆に身体を壊してしまう
事になりかねません。何事もほどほどという事が一番大事なように思えます。

え?私ですか?
もちろん、健康には十分気を配っております。
現場に駆け付ける時には、もっぱら自転車を使っております。
無印で買ったママチャリですが。



うふふふふ。私はこのママチャリを愛してやみません。


男がニヤリと笑う…


〜オープニングテーマ

古畑任三郎 「強さと悲しみに満ちた決意」

378名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 12:55:58.00 ID:Ckz02D0jO
>>377
新作か?
楽しみにしてます
379四谷幸喜:2011/11/02(水) 13:33:27.96 ID:F5tpz83tI
シーン1 2012年4月29日 6:51? 茨城県筑波山不動峠


2台のロードバイクが山道を登っていく。
前を行くのはピナレロのパリス。白と赤のフレームカラーに合わせた鮮やかな
ジャージに真っ赤なLASのヘルメットをかぶっている。長身で脚の長い女性だ。
シマノのDi2でまとまられたコンポ。フロントギアはインナーに落として
リアは3枚を残すだけの軽いギアで踏んでいる。急坂でも綺麗なペダリング。
フルクラムレーシングゼロで固めた足元は滑るように前へ進んでいく。

そのすぐ後ろに張り付くように走るのはクオータのKOM。黒基調のフレーム、
ウエアも黒基調、同じくLASのヘルメットは白と黒のツートン、やはり女性のようだ。
カンパのスーパーレコード、やや重めのギアをダンシングで力強く踏んでいく。
前後輪のZIPP404がうなりを上げるような音を立てる。

「さ、ラストだよ。ここで踏ん張らないと。」
ピナレロ乗りが後ろを振り向き声をかける。ギアを一段落とす音が響く。
不動峠山頂の残り200mは斜度10度を優に超える急坂だ。

「余裕ありますね〜。じゃ行きますよ!」KOMが外側から並びかける。
かしゃん。乾いた音を立てスーパーレコードのギアが切り替わる。
「お、ここでシフトアップ?やるねぇ。」一段ギアを重くしたKOMが
一気に前に出る。最後の左カーブを曲がると山頂だ。
380四谷幸喜:2011/11/02(水) 13:36:06.67 ID:F5tpz83tI
シーン1-2

「やられた〜。とうとう負けちゃったな。タイムは?」
篠田麻里子はヘルメットを脱ぎながら笑顔で言った。
「14分54秒。とうとう15分切れましたよ。麻里子さん。」
松井珠理奈も黒いヘルメットのバックルを外して笑顔を見せる。

「もう珠理奈には山岳じゃ勝てないかもね。あそこであんな重いギア
踏めるんだからさ。やっぱパワーって必要なんだよね〜」
「いやいや、まだ平地じゃ全然敵いませんもん。もっと持久力もつけないと。」
「でもさ、珠理奈、ロード乗り始めてまだ半年かそこらでしょ?やっぱ、まだ
成長期なんだよ、どんどん強くなるもん。」ボトルゲージから取り出した
ドリンクを飲みながら篠田が言った。ちょっと羨ましそうな表情だ。

「でも、普段名古屋ではミ ニヴェロしか乗ってないんですよ。ロードはずっと
麻里子さんのトコに置いてもらってるし。こっち来た時くらっす。こうして
思い切って走れるのって。」珠理奈は篠田の横に腰を下ろした。

「なんか、どっちが練習に付き合ってもらってるか分からないね。」
「どうします?もう一本行きますか?」珠理奈が挑むような笑みを篠田に向ける。
「おっし!と言いたいトコだけど、タイムオーバー。今日も撮影入ってるんだ。
下で伊藤さん待ってるから戻ろっか。」篠田がサイコンに表示されている
時計表示を見ながら言った。
381四谷幸喜:2011/11/02(水) 13:39:32.47 ID:F5tpz83tI
シーン1-3

伊藤英明の運転するミニバンの後ろで篠田は携帯に視線を落とす。
今日も分刻みのスケジュールだ。
「伊藤さん、いつもホントごめんなさい。なんかマネージャーみたいな事
させちゃって。不動行く時なんていつも朝早いのに。」篠田が運転席に声をかける。
「ははは。いいよいいよ。しかし、二人ともなに?あの速さ。もう俺なんて
絶対ついていけないよ。珠理奈がロード始めた時なんて俺の方が
全然速かったのになぁ。今日も俺1本登っただけでやめちゃったし。」
運転席の伊藤がバックミラーに笑顔を返す。


伊藤英明…
俳優として頂点を極めた彼が突然の引退を発表して半年が経とうとしていた。
その後すぐ、AKSにスタッフとして加入、すぐにメンバーをハンドリングする
立場として活躍を始めた事は世間で大きな話題となった。ちょうどAKSが
それまで別々に運営していたAKB、SKEを包括して管理し始めた時の事だった。
支配人の戸賀崎がファン対応、イベント対応に特化し、メンバー全体の管理、
各事務所との折衝等に当たるようになったのが伊藤だった。
業界での伊藤の評判は極めて高かった。トップ俳優として活躍していた事は
微塵も感じさせない謙虚な姿勢と真摯な仕事ぶりは各方面からの信頼を集め、
最初は戸惑いをみせていたメンバーも次第に伊藤に心を開き、今では兄のように
慕うようになった者も少なくない。篠田もその中の一人だった。
382四谷幸喜:2011/11/02(水) 13:40:47.89 ID:F5tpz83tI
性懲りもなく新作のスタートです。
今回はこんな感じから...
383名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 13:42:32.69 ID:jsgELnB10
すでに予想外w
384名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 14:38:11.83 ID:SzF9b82A0
>>382
発想が凄ぇ
実際本人が本人役で演じてもらいたいwww
385名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 14:48:27.72 ID:jGL3MbZ80
伊藤英明wAKSにw
麻里子珠理奈きたーーー
なかなか楽しめそうです
386 忍法帖【Lv=11,xxxPT】 :2011/11/02(水) 15:00:50.23 ID:LD81ipM/0
ついに珠理奈登場。なかなか楽しみな作品になりそう。
早く続きが読みたい。
387名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 15:11:45.71 ID:Ckz02D0jO
ずっと思ってたんだが、掴みが最高にうまいよなww
wktkが止まらんww
388四谷幸喜:2011/11/02(水) 15:27:07.71 ID:F5tpz83tI
シーン2 4/29? 14:48 AKB48劇場スタッフルーム

「なぁ?これどう思う?」戸賀崎智信は一枚の紙を取り出し伊藤に見せた。
「何ですか?これ。」伊藤がPCのモニターから目を離し戸賀崎から受け取った
紙に視線を落とす。そこには2枚の写真と1枚の地図がプリントされていた。
1枚は美しい石畳の町並み、川にかかる眼鏡橋も歴史を感じさせるものだ。
もう1枚は山あいの街に建つ古い古城の写真だった。フランス全土の地図には
LimouxとFoixの地名の上に赤字で丸がふってあった。

「フランスですか…いいですねぇ。ゆっくりヨーロッパでも旅行行きたい
とこですけどね。」伊藤が紙を戸賀崎に返しながら笑う。

戸賀崎は伊藤のスタッフへの加入を当初強固に反対していた。俳優業という
表舞台から飛び込むには運営の仕事は余りにも地味で泥臭 いものだ。
ましてや、女性に絶大な人気を博したうえに、伊藤自身AKBのファンである事を
公言していた。スタッフとして仕事に就かせるには余りにもリスクが高すぎる…
そう判断したのも当然といえば当然だった。

しかし、伊藤の仕事ぶりはそんな戸賀崎の不安を払拭するに十分なものであった。
常に節度を持ち、時に厳しく時に優しくメンバーをハンドリングする姿を見て
戸賀崎も伊藤に全幅の信頼を置くようになった。伊藤もまた2つ年上の戸賀崎の
事を敬いながら親しみを持って接していた。二人は良きパートナーとして
お互いを認め合っていた。

「で、それってどうしたんです?」伊藤が聞いた。
「いや…俺のとこに来たメールに添付されてたんだよ。なんか気になってさ。 」
「ダメですよ戸賀崎さん。そんな訳の分からないメール開いちゃ。ウイルスに
やられちゃったどうするんですか?」伊藤がちょっと真顔で言った。
「それがさ、タイトルに”わかるかな?”とか入ってたからさ。ついつい
開いちゃうんだよな。そういうメールって」戸賀崎が苦笑する。
「まったく、まさか出会い系とかやってるんじゃないんですか、戸賀崎さん?」
伊藤が大きな声で笑った。端正な顔からは想像できない程、伊藤はフランクな
性格だった。戸賀崎も笑う。

「でもな。この写真と地図、上下逆さまになってるんだよ。ほら、ここに小さく
”わかるかな?”って字がひっくり返って入ってるだろ?
なんか気になっちゃってさ。」
「そんなことより、今日はSKEの出張 公演ですよ。しかも3公演。やる事は
いっぱいありますからね。お願いしますよ〜」伊藤はファイルの束を持って立ち上がった。
389四谷幸喜:2011/11/02(水) 15:27:45.26 ID:F5tpz83tI
続きは後ほど。
夜になるかな?
390山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/02(水) 15:31:45.31 ID:udv+MdmHQ
悔しいv(>w<)vこの文章 これが年の功か・・・悔しいうますぎる
391名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 15:32:09.66 ID:SzF9b82A0
>>389
毎度ながら
楽しみすぐるwww

お疲れ様です
疲れない程度のペースで大丈夫っすよ
392名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 16:02:35.21 ID:trcpmywx0
じゅりまりは俺得な組み合わせ!夜の更新楽しみにしてます!
393名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 17:08:32.07 ID:I83T6zWW0
伊藤わろた
394名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 18:10:42.39 ID:KumJ1vRrO
やっぱり文章を書ける人は違うね
395名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 19:55:22.18 ID:HLleqXhKI
やばい楽しみ
396名無しさん@お腹いっぱい:2011/11/02(水) 20:23:30.22 ID:uUQT+vGI0
これは・・・楽しみすぎる

1時間に1回は来ちゃうなスレにww
397 忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/11/02(水) 20:38:33.68 ID:LD81ipM/0
今度の被害者、加害者は誰なんだろう。
どういう事件になるかも注目だね。
398名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 20:38:50.96 ID:uNb7K+jI0
>二人は良きパートナーとして
>お互いを認め合っていた。

これがそういう意味での伏線ですねわかります
399名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 20:59:16.92 ID:IlokirF+i
死なないバージョンかもね

未遂で終わるやつ
400四谷幸喜:2011/11/02(水) 21:10:13.18 ID:LZgV7rzG0
シーン3  4/29 20:17 青山1丁目交差点

渋谷方面から赤坂見附方面へ向かう青山通りの路上、信号前で止まる
一台のロードバイク。チェレステ・ブルーのビアンキが街並みにマッチしている。
ビアンキはカジュアルなモデルが多く女性に人気が高い。
このバイクもそんなタイプだ。
白い薄手のウインドブレーカー、ピンクのヘルメットを着けた高城亜樹に
声をかけたのは篠田だった。
ドロップハンドルのミニヴェロに乗っている。白のBRUNOだ。

「あきちゃ、速い〜。やっと追い付いたよぉ。」
「あれ?麻里子さん、どこから追いかけてたんですか?」
「はぁ…はぁ…えっとね、外苑前のちょっと手前からかな。今日はもう仕事終わり?」
「はい、今日は。これからジムに行こうかなって思って。あれ?麻里子さん
また新し いバイク買ったんですか?」高城が篠田のBRUNOを見て聞く。
「うん、そうなの。撮影とかで都内移動するのにレースバイクじゃなんでしょ?
だから。いいよ〜ミニヴェロ。」
「でも、あっという間に広がっちゃいましたね。自転車熱。とうとう指原まで
乗り始めたって。あんだけ無理です〜って言ってたのに。」
「あははは。これから季節的にも最高だしね。」
「でも、やっぱ一番ハマってるのは麻里子さんですよ。」
「かもね〜」二人は笑った。信号が青に変わる。

「あきちゃ、どっち方面?」「あ、私は有楽町に。」
「じゃ、方向一緒だね。私が前走るわ。」「お願いします〜」
二台は一列に並んで走り始めた。
豊川稲荷前の信号が赤になった。二人は立ち止まる。
「ねぇ、あ きちゃ。ちゃんとバイク手入れしてる?」
「あ〜あんまり…私苦手なんですよね〜こういうのって。」
「う〜ん、せめてオイルくらい差さなきゃ。すぐに錆びちゃうよ?
ちょとまってブレーキ見てあげる。この先下り坂だし。」篠田がバイクから降り
高城からバイクを預かる。前後のブレーキをチェックする。
「これで大丈夫。ちょっとブレーキレバー握ってみて。」篠田が前輪を持ち上げ
くるくるとホイールを空転させる。きゅっ。軽い音を立てて回転が止まった。
「後ろも。」今度は後輪を持ち上げホイールを回す。高城がレバーを引くと
やはり小さな音をたてて回転が止まった。
「今度ちゃんとメンテしてあげるよ。あきちゃも自分で手入れするように
なるともっと愛着が湧くよう になるよ。さ、いこっか。」
「ありがとうございます。今度は私が前に出ますね。」
二人は下り坂をスタートした。

青山通りは赤坂見附に向かって急な坂を下る。あっという間に2台のバイクの
スピードが上がっていく。カジュアルなタイプとはいえ高城のバイクは
ちゃんとしたロードバイクだ。直進性能は極めて高い。篠田はさすがに
運転に慣れている。ミニヴェロながらも高速走行に苦も無くついて行く。

「あ、ブレーキ!」その時篠田が後方から大きな声を出す。
何かに気付いたようだ。普段からロードバイクのチームの練習に参加している
篠田はとっさの時大きな声で合図を送る事を覚えていた。
篠田は強くブレーキレバーを引く。すぐにスピードが落ちていく。
次の瞬間、篠田の視界には高城の身体が宙を舞うのが入ってきた。
バイクから投げ出された身体はそのまま前に転がり坂を落ちていく。

「あいたたた…」ヘルメットの上から頭を押さえて高城が立ち上がる。
その時、絶叫するようなトラックのクラクションとブレーキ音が鳴り響いた。
眩いヘッドライトの中、立ち尽くす高城がトラックと重なり見えなくなった。
401 忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/11/02(水) 21:26:00.29 ID:LD81ipM/0
まさかのあきちゃ!?
402四谷幸喜:2011/11/02(水) 21:28:03.40 ID:LZgV7rzG0
シーン4  4/29 21:45 AKB48劇場

ステージの上で一人ストレッチをする珠理奈。頭の中で今日の公演を振りかえっていた。

3月から始まったチームSの4th公演。グループ内で最も激しいとされた
「制服の芽」公演を遥かに上回ると言われる新公演は秋葉原でも圧倒的な
インパクトを与えた。この公演で初めてのソロ曲を与えられた珠理奈は
ミディアムテンポの曲に合わせ激しいブレイクダンスを披露するという
新境地を開いていた。以前の何かを叩きつけるようなダンスと違い、どこかに
余裕を感じさせるパフォーマンスはSKEファンからだけでなく、アンチにも
確かな成長を認めさせるものであった。

伊藤との出会いが確実に珠理奈に変化をもたらせた。
鮮烈なデビューの印象が薄れ始め、周囲のSKEメンバーの成長もあって次第に
珠理奈の存在感は低下していた。それに苦しんでいたのは他ならぬ珠理奈本人だった。
伊藤はそんな珠理奈に大きく脱皮するアドバイスを与え続けた。伊藤が最も強く
言ったのは意識を変える事だった。「年齢の割に…」そう言われ続けた珠理奈の
呪縛を解く事に伊藤は心を配った。メンバーと一定の距離を持たせ、仲のいい
篠田との付き合い方にも変化を与えた。可愛がってもらってるという関係から
一歩進んだ関係へ。そのために伊藤は自らの持つコネクションを惜しむことなく
珠理奈に与え続けた。各方面の高いレベルの人間と接する事で珠理奈に変化が
訪れるのは早かった。
「何かを突き破った」プロデューサーの秋元康にそう言わしめたのも、まさに
伊藤の力だった。

珠理奈は鏡の前で姿勢のチェックに長い時間を費やした。篠田と一緒にロードバイクで
走り始めた事で体幹部が鍛えられ、ダンスの表現幅が広がったように感じていた。

その時、奥のスタッフルームが突然慌ただしくなった。戸賀崎と伊藤が慌てて
飛び出してくる。
「どうしたんだろ?」珠理奈は首をかしげながらストレッチを続けた。
403四谷幸喜:2011/11/02(水) 21:29:08.33 ID:LZgV7rzG0
今日はこんなところで…

明日は午後からのUPになると思います。
みなさん、またスレ維持へのご協力宜しくお願いします。
404名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 21:38:21.56 ID:d4ASYPik0
お疲れ様です!今までで一番導入部で惹かれたかもしれませんw
405 忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/11/02(水) 21:45:55.57 ID:LD81ipM/0
いやぁ出だしから本当に面白い作品です。新たなメンバーが入って
物語の完成度も一番高いと思います。

明日の続きを楽しみにしてます。
406第?番目の作者:2011/11/02(水) 21:55:18.47 ID:+lOxNF5i0
>>367 です。

四谷さん
逆に私は書くのに先の見通しが立てられないとできないのでうらやましいです。
披露できる日まで四谷さんにお任せしますw
新作も楽しく読ませていただきますね。


407名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 21:56:23.79 ID:jGL3MbZ80
あきちゃ……
麻里子がロードバイクに仕掛けを……なのかな 伊藤絡みか
それにしてもSKEまでとはw幅広いな四谷さん
408第?番目の作者:2011/11/02(水) 22:03:08.50 ID:+lOxNF5i0
>>368さん

私も文才がない故にワンシーン書くのに相当時間をくってます。
アイディアがあれば書き出してみるのもいいかもしれませんよ。
面白くなって書き進めちゃうかもw


>>376さん

ありがとうございます。
できるところまでやってみます。
待っていただけると幸いです。

409名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/02(水) 23:18:20.67 ID:AX2Syawx0
シーン110 2009年6月24日 AKB劇場楽屋

古畑「略)…え〜こういうトリックですね、北原さん。」
北原「古畑さんには適わないなあ。そうです、伊藤さんを殺したのは私です。」
峯岸「でも…どうして?」
北原「私見たんです…あの人が撮影の合間に色んなメンバーを呼び出して声を掛けている所を。
   恋愛禁止のAKBにとって、スキャンダルは致命的。伊藤さんみたいに素敵な方なら尚更です。
   だから…「何か」起こる前に殺した。ただそれだけですよ。」
峯岸「そんな理由で…!それに違うの!あれは…」
峯岸が何かを言いかけたその時、古畑が口を開いた。

古畑「え〜…北原さん、大変残念です〜…。今泉君、あれを。」
今泉が運んできたのは、大きなバースデーケーキとプレゼントであった。
北原「これは?」
古畑「え〜プレゼントは伊藤さんのご自宅から発見されました〜…
   ケーキは本日完成する様に、近くの洋菓子店に注文していたようです〜…」
北原「『Happy Birthday 北原さん』…?」
古畑「はい〜。全て貴方宛です。北原さん。
   伊藤さんはCDの発売日と重なる貴方の誕生日を、サプライズでお祝いしようとしていた様です〜…
   他のメンバーに声を掛けていたのも…そう、貴方の好きなケーキやプレゼントの情報を仕入れていただけだったんです…」

北原「うそだ!そんな…私一人で勘違いして…どうしよう!伊藤さんの事!私…!」
北原はその場に崩れ落ちる様に倒れ、泣いた。
古畑「え〜伊藤さんもそんな涙は見たくなかったでしょう〜…
   あなたの驚く顔や感動の涙を見たかったに違いありません〜…残念です。」

楽屋を出る古畑。
エンディングテーマが流れる。
重ねる様に、楽屋のテレビから聞こえるニュースの音。
「え〜先日亡くなった伊藤さんの遺作となったPVが収録されている、AKB48の12thシングル「涙サプライズ」が本日発売となり・・・」
410名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 00:51:13.66 ID:Iql4oq8p0
いやー今作かっこいいわ
古畑もチャリにこだわってるキャラクターだし、先が楽しみ
握手会は伊藤英明目当てに人がわんさか来るなw
411名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 01:52:47.92 ID:z+2lp17R0
>>409
やるじゃねえか
412名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 01:56:50.78 ID:UL6yZ49D0
>>409
幕間作品嫌いじゃないよ
いいね〜
413名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 02:53:02.01 ID:vdq6b1Au0
萌乃〜
414名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 02:56:44.07 ID:R8dOnweY0
何だかなあ〜 AKBを題材にしたミステリーに無理やり古畑を登場させてるだけじゃないの?

古畑シリーズだったら冒頭は犯人が犯行を犯して、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ、って音楽が流れるのが定番なんだけど
そういう場面どこにもないよね
415名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 03:07:20.37 ID:/xRID7Sf0
>>414
ここで誉めてる人らも、面白いから古畑らしくなくてもいいよwって言ってたりする
わざわざ別スレ立てるわけにもいかないからいいんじゃない?って俺は思うけど

四谷さん支援
416名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 03:08:03.25 ID:ddUMxnSGO
今回のは間違いなく事故だな、古畑の出番なさそう
417山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/03(木) 03:34:12.90 ID:cD/b3cPgQ
俺も書いていたから分かるけど、レスを拾いながら書いてらっしゃるんじゃないかと思うよ
418四谷幸喜:2011/11/03(木) 10:52:53.51 ID:i7DtLeI6I
みなさん、おはようございます。
今日も宜しくお願いします。

今回もご批判を覚悟しながら書き進めています。
お気に召さない方、本当に申し訳ありません。

あ、幕間作品、私も好きです。
私の話より面白い様な気がするので、少し
心配になってしまうのですがw

では、後ほど。
419名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 11:21:53.46 ID:W+cyb7fFO
>>418
頑張れ〜
420四谷幸喜:2011/11/03(木) 11:56:28.38 ID:8PfVcMKs0

シーン5  4/29 23:07 赤坂見附交差点付近

交差点では交通規制が続いていた。祭日の夜とはいえ飲み会帰りの人が野次馬と化し
多くの人だかりが出来ている。人出も交通量も多い交差点での事故だけに目撃者も多く、
その殆どが不幸な事故である事を取り調べの警察官に話していた。
ただ、目撃証言を語る多くの人が興奮していたのには理由があった。
犠牲者となった女性が今をときめくトップアイドルグループの一員である事、
その場にそのグループの中でも屈指の人気を誇る篠田が居合わせた事だった。

「おい。何しに来たんだ?今回はアンタら捜査一課の出る幕はないぞ。こんな時間まで
残業してるとまた総務課から文句言われるんじゃないのか?」
目撃者から証言を聞いていた草臥れた上着を着た初老の男が、現場に現れた
小柄な男に向かって声をかける。

「あ、これは和久さん。お久しぶりです。確か…湾岸署から赤坂署の交通課に異動
されたと聞いてたんですが。その節は大変お世話になりました。」
「まったくな。定年前にわざわざ引っ越しさせるなんて警察も手間な事をするもんだ。
ところで、西園寺君よ。まさか今日はあの男は来ないだろうな?」
西園寺は辺りを見回して答えた。
「それがですね…あれ?まだ来てないみたいですね。私より先に本庁を出たんですが。
桜田門から見附だったら近いから自転車の方が速いって言って…」
その時、シティサイクルのベルを鳴らしながら男が現れた。
「はいはい。ごめんなさいね。ちょっとすいません。よいしょっと。
おや〜…和久さんじゃありませんか?こんな時間までお疲れ様です。」
「古畑さんよ、今も西園寺君に行ってたが、これは事故だよ。アンタの仕事じゃ
なさそうだけどな。」
「はい〜。私も署を出る前に聞いてきました。恐らく事故でしょう。私もそう思います。」
「じゃ、なぜ来たんだい?」
「いや〜…亡くなったのが高城亜樹さんとお聞きしていてもたってもおられずに
やって来てしまいました。実に残念です。私、個人的にあの方の事をとても
美しい方だと思っておりました。」
「ほ〜ホトケさんは、そんなに有名なのかい?みんなそんな事を言ってたが。」
「ええ。とても。」古畑は沈痛な表情を見せた。
「ま、ともかくこれは事故だ。じゃあな。」和久は二人に背を向け去ろうとした。
と、思い出したように振り返る。
「でも、ひょっとしたら何かあるのかもな。アンタみたいな優秀なデカが来たって
事は誰にも解らない何かがあるのかもしれない。それに気づくから、アンタが
アンタであるって事なんだろう。俺には無かったデカの才覚ってヤツ……なんてな。」
和久は笑った。
古畑は再び背を向けた和久に笑顔で一礼した。


現場に駆け付けた戸賀崎は伊藤に今後の対応と篠田のケアを託し遺体とともに
警察へと向かった。伊藤が篠田と向きあう。

「事故…だな。どこから見ても。」
「怖かったですよ。さすがに。」
「気は抜けないぞ。まだ始まったばかりだ。」伊藤の言葉に篠田は無言で頷いた。
421四谷幸喜:2011/11/03(木) 11:57:12.74 ID:8PfVcMKs0
シーン6  4/30 9:58 シャングリ・ラ ホテル東京ロビーラウンジ

ラウンジの個室ブースで篠田と珠理奈が顔を突き合わせるように向き合っている。
珠理奈の目は重くはれ上がっていた。泣き明かしたのだろうか。
「麻里子さん…びっくりしたでしょ?私もショックで…」
「うん。さすがに…ね。でも、私何も出来なくて…なんで私が前走ってなかったんだろ。
その直前の信号までは前だったのに。あきちゃが後ろにいたら…」篠田が唇を噛む。
「麻里子さん、そんな風に自分責めないでくださいよ…気持ちは解りますけど…」
珠理奈の目には涙があふれてきた。

「そろそろ時間じゃない?ホームまで送るよ。」篠田が伝票を持って立ち上がる。
「すいません。朝早くから電話しちゃって。なんか一人でいるの怖くて…」
「気にしないで。お葬式には来るんでしょ?」
「はい。あ、明後日には東京に来ます。例のお仕事の話で…」
「そうだったね。伊藤さんも一緒?」
「はい。」
「ね、こんな時に私が言うのも酷い話かもしれないけどさ…私たちがいつまでも
沈んでちゃいけないと思うんだ。きっと。あきちゃもそう言ってくれるんじゃないかな?」
「そうですね。私たちに出来る事はいつまでもめそめそ泣いてる事じゃないかも
しれませんね。」

珠理奈が無理に笑顔を作った。15歳の少女の精一杯の強がりを見せるように。
422四谷幸喜:2011/11/03(木) 11:59:47.10 ID:8PfVcMKs0
シーン7  5/1  23:48 AKB48劇場スタッフルーム

事故の翌日はまさに天地がひっくり返るような騒ぎだった。
朝からテレビでは事故のニュースを繰り返し伝えていた。
伊藤は一日中関係先への対応に追われた。遺族との連絡と葬儀の手配、所属事務所や
取引先への連絡と今後の件についての協議。そしてメンバーへのケア。
多くのメンバーは劇場に集められ、その場で伊藤から経緯が伝えられた。皆、憔悴した
表情で集まっていたが報道やそれぞれの事務所から情報を得ている事もあり、それぞれに
気持ちの整理をつけようとしている者が多かった。
伊藤は劇場に集合出来なかったメンバーや特に高城と仲の良かったメンバーのところへ
直接出向ききちんと時間をかけて話をした。


「ふぅ…ただいま戻りました。あれ?戸賀崎さん、まだいたんですか?」
「ああ…ちょっとな。」デスクの椅子に深く腰掛け腕を組んでいた戸賀崎が瞼を拭った。
伊藤はコーヒーサーバーから2つのカップに煮詰まったコーヒーを注ぎ戸賀崎の方へ
差し出した。

「何見てるんですか?」PCのモニターにはライブの映像が流れていた。
「ああ…高城の…な。まったく、何でアイツが死ななきゃいかんのだ。これからって
ところだったのに。」戸賀崎の目には涙が浮かんでいる。
「戸賀崎さん。こんな時は泣いてやっていいんじゃないですか?それじゃなくても
普段から泣き虫なんですから、戸賀崎さんは。」
「馬鹿野郎。男は悲しい時は泣いちゃいかんのだ。」戸賀崎がPCをオフにしようと
した時、メールの着信を知らせる音が響いた。

戸賀崎はメーラーを画面に表示させた。なんだ、という表情になる。
「こんな時にこんなメール…か。」
「どうしたんですか?」伊藤が戸賀崎のPCの画面を覗き込む。
メールのタイトルは「わからなかったみたいだね。」
一枚の古びたモノクロの写真が添付されている。

「なんだ?これは…?」戸賀崎が首をひねる。
写真にはキャップ姿でロードバイクにまたがる男の姿があった。
「随分古いいでたちですね。戸賀崎さん、これは?」
「こないだ見せたろ?風景と地図のヤツ。あれと同じアドレスからだよ。」
「なんなんでしょうね。悪戯にしちゃあんまり悪意を感じる写真じゃないですしね。」
「しかし、何で今回も写真さかさまになってるんだ?」
「あんま気にしても仕方ないでしょう。さ、もう帰りませんか?戸賀崎さんも
昨日から全然寝てないんでしょ?」
「ああ、そうだな。」
戸賀崎はPCをシャットダウンして立ちあがった。
423四谷幸喜:2011/11/03(木) 12:00:13.28 ID:8PfVcMKs0
続きは後ほど。
たぶん夜になると思います。
424名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 12:03:17.82 ID:UL6yZ49D0
>>425
夢の共演www
本家でも「踊る」の方に古畑が出演する構想あったらしいから

四谷さんの小説で実現とはなんか嬉しい
425名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 12:21:55.81 ID:W+cyb7fFO
まさかの和久さんww
426名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 12:39:08.96 ID:8LiYpKkP0
和久さんwwwwwww
踊るから来たか。麻里子と伊藤かあ、珠理奈も絡んでくるのかねえ
後メールが気になるなあ
427名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 14:00:52.75 ID:GHm+Nd3u0
和久って誰だよ?
古畑以外の刑事物には興味ないやつのことも考えろよ
だいたい前にも言ったがストーリーが古畑シリーズになってねーよw
428名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 14:11:59.93 ID:gK1PhXk40
>>427
「踊る大捜査線」に出ていた老刑事、和久平八郎

いかりや長介が演じていた
429名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 14:18:50.98 ID:+2GH4n4eO
どうせなら山さんとか安浦刑事とか大門とかも出せよ o(^-^)o
430 忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/11/03(木) 14:37:47.79 ID:0rgeSYfe0
まさかの古畑と和久さんの共演とはね。同じ局の人気刑事ドラマの
主要人物が顔を揃えるとは四谷さんの発想は凄いです。

多分四谷作品の中でも最高傑作になるのではと期待してますよ。
431名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 14:46:17.55 ID:81IlVKNP0
わくさんキター
432名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 16:07:33.31 ID:unAnF1mLO
古畑の枠を越えて和久さん登場した〜
まさかここで和久さんとは想像してなかった

>>427
本物を丸々コピーする必要どこにもないだろう
俺はこっちの作品も好きだよ
ただ誤字脱字は宜しくはないがなんにせよ続き楽しみにしてます
433名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 16:23:12.41 ID:Gf9XlmNE0
誰かも書いてるように、AKBのミステリーに古畑を出してるだけ
古畑である必要がない
それに古畑はシティサイクルには乗らない
古畑が乗るのはセリーヌの自転車
AKB側は自由で構わないが古畑側の設定は崩しちゃダメ
434名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 16:46:18.83 ID:st3BCjRd0
じゃ読むなよw
435四谷幸喜:2011/11/03(木) 16:54:01.37 ID:8PfVcMKs0
シーン8   5/2  19:45 都内高級焼肉店

「うわ〜焼肉久しぶりや〜。篠田さん、誘ってくださってありがとうございます。」
目の前に置かれた無煙ロースターの中で煌々と燃える炭火を見ながら横山由依は
手を叩いて笑顔を見せた。

「今日はつき合わせちゃったからね。好きなだけ食べて。もち、私のオゴリだから。」
「ホンマですかぁ?私、すっごい食べちゃいますよ〜」
「どうぞ〜。しかし、A6thの公演、もう随分出てなかったからすっかりフリ忘れちゃってたよ。
やっぱ由依に頼んで良かった。この公演の私にとっての先生は由依だからね。」
「なんや、篠田さんにそう言われるの、照れますわ〜」
「ねえ、そろそろその篠田さんってのやめない?麻里子でいいよ。」
「じゃ、麻里子さま。」
「それもなぁ。今じゃたかみな位だよ。その呼び方してるの。さ、食べようか。」
テーブルには所狭しと皿が並べられた。カルビ、ロース、ハラミ、といった定番の皿の
中にレバ刺があった。
「あ、レバ刺や〜。私大好物なんです。頂きます〜」横山は真っ先にレバ刺に箸をつけた。

「珍しいよね。でも、大丈夫かなぁ?なんか怖くない?」
「大丈夫じゃないですかぁ?ちゃんと表面を熱すればいいってニュースで見ましたよ。
でも、手間とコストがかかるからそこまでやるお店がないんですって。
このお店、すっごい高い…じゃないですか?だから…」横山が笑う。
「そうだね。実は私も大好きなんだ。じゃ食べよ〜っと。」篠田もレバ刺しを口に運んだ。
「美味し〜!」二人が顔を見合わせて笑った。
「さすが高級店ですねぇ。どんどん食べてええですか?」
「遠慮なくどーぞ。」二人の賑やかな笑い声が個室の外まで響いた。
436四谷幸喜:2011/11/03(木) 16:55:15.27 ID:8PfVcMKs0
シーン9  5/2  20:11  ザ・リッツ・カールトン東京

伊藤と珠理奈はボーイに案内され53階のクラブフロアの廊下を歩いていた。
部屋番号が書かれていないドアの前で足を止める。限られたVIPしか宿泊する事の
ないスイートルームだ。ボーイがドアをノックする。
「Come in,please」中から声がした。ボーイがドアを開け、伊藤と珠理奈を中へ通す。

「It is a long time. I am glad to meet again,Mr.Tarantino」
「Oh!me too,hide」
伊藤が握手したのは、クエンティン・タランティーノだった。
「Mr,I introduce this woman to you.This is…」
「How do you do ?Mr.Tarantino.I am Jurina Matsi.I am honorable to meet you. 」
珠理奈は堂々とした英語で挨拶をした。タランティーノが驚きの表情を見せる。

「Jurina、君の事はHideから詳しく話を聞いているよ。ライブのパフォーマンスや
映画やドラマ…色んな映像も見せてもらった。実にすばらしい、君にはとても
豊かな才能を感じるね。」タランティーノの英語はややイタリア訛りがあったが、
ゆっくり丁寧に話してくれるおかげで珠理奈にも聞きとる事が出来た。

「ありがとうございます。私、タランティーノさんの映画の大ファンです。」
「Jurina、君の英語は実に綺麗な発音だ。ひょっとして英語圏に住んでた事があるのかな?」
「いえ。先生について勉強しています。」
「それは素晴らしい。きっといい先生についているのだろう。ところで、君は今日
私のファンとしてここに来たのかな?だったら、サインの一つでもして記念撮影して
お別れするとしようか?」タランティーノがウインクする。
「Mr、冗談でしょう。では、早速ビジネスの話を始めましょうか?」
伊藤がアタッシュケースから書類の束を取り出した。
「Sure」タランティーノの表情が引き締まった。
437四谷幸喜:2011/11/03(木) 16:55:50.62 ID:8PfVcMKs0
続きは後ほど…
438名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 16:59:29.74 ID:8LiYpKkP0
タランティーノまで登場とはw
今度はゆいはんの危機かな
珠理奈ハリウッドかよw
439名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 17:44:32.34 ID:gQ82Mqn40

なんか、すげぇw
もはや、古畑を出さない方が四谷氏も好きに書けるし、古畑じゃねぇっていう批判も聞かなくてすむ気がする

まあ、それじゃスレタイと変わっちゃうかw
440 忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/11/03(木) 17:51:22.96 ID:0rgeSYfe0
ゆいはん登場でwktkしてたらタランティーノって。
珠理奈を世界進出させてしまうか。うーん四谷さん冒険するなぁ。
441名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 18:52:26.44 ID:xntoeGEkO
実際、じゅりなが「レザボアドッグス最高!」とかブログに書いてたら…
ちょっと引くな…
442名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 18:58:28.10 ID:GHm+Nd3u0
米沢鑑識官の登場はまだですか?
443四谷幸喜:2011/11/03(木) 19:05:00.81 ID:8PfVcMKs0
シーン10  5/5 15:45 AKB48劇場スタッフルーム

戸賀崎はPCに向かいキーボードを叩いていた。
公式ブログの管理画面に文字が打ち込まれていく。
「出演メンバー変更のお知らせ 本日の「RESET公演を横山由依が体調不良のため
休演いたします。これに伴い…」
「戸賀崎さん、お疲れ様です。」伊藤が戸賀崎に声をかける。
「ああ、横山が病院に担ぎ込まれたらしい。昨日から下痢と嘔吐が始まって
今日も起き上がれなかったらしい。後で様子見に行ってくれないか?」
「横山が?分かりました。珍しいな。アイツが腹痛なんて。」
「そうそう。お前にお客さんだ。刑事だとさ。」
「刑事?」伊藤の表情が変わった。
「ああ。この前の高城の事故について聞きたい事があるそうだ。対応してもらっていいか?」
「わかりました。」伊藤は腰を上げて刑事を待たせている劇場へ向かった。

「お待たせいたしました。」伊藤は劇場の座席に腰掛けている古畑に声をかけた。
「あ〜…とんでもございません。お忙しいところを突然おしかけてしまって。
私、警視庁の古畑と申します。こちらは西園寺。」古畑はゆっくりと立ち上がって言った。
「すみませんね。こんなところで。何しろ応接室みたいな所が無いものですから。
少々うるさいですね。お話なら外で伺いましょうか?」
劇場では夜の公演に向け準備が始まっていた。
ステージ上でストレッチをするメンバーの姿もある。
「いえ、すぐに失礼しますので構いません。それにこんな貴重な場にお邪魔出来るのは
逆に光栄なことです。あちらにいらっしゃるのは…大島さん、板野さん、秋元さん…
今日のRESET公演は随分豪華な顔触れのようですね」
「ほう?刑事さんは、随分お詳しいんですね?」伊藤が驚きの表情を見せる。
「恥ずかしながら、私、個人的に皆さんの事を応援させて頂いております。ただ…
残念ながら公演を拝見する機会に恵まれません。毎回応募させて頂いているのですが」
古畑は笑みを浮かべる。
「それは申し訳ない。おかげ様で毎回多数のファンの方にご応募頂いていますので。
抽選は公正に行っておりますので、ぜひ諦めずにご応募ください。
で?そろそろお話を伺いましょうか?」伊藤は古畑に着席を勧めた。
444名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 19:07:21.02 ID:+2GH4n4eO
おまえら正直言って今回つまらなくね?
今まででいちばんつまらないんだけど (-o-;)
445四谷幸喜:2011/11/03(木) 19:07:33.06 ID:8PfVcMKs0
シーン10-2

「え〜…先日の高城さんの事故についてですが…」
「えっと、私はその場におりませんでしたので、詳しいお話は出来ないと思いますが…
刑事さん…古畑さんは交通課の方ではないんですか?」
「はい。私と西園寺は捜査一課に所属しております。主に、事件性の高い案件を
扱っております。」
「その捜査一課の方がなぜ?高城の件は事故ではないのでしょうか?」
伊藤が表情曇らせる。
「はい〜。実は何点か気になる事がありまして。気になる事をそのままに
しておけないのが私の悪い癖です。」
「私に聞きたい事というのは?」
「え〜…亡くなった高城さんは、随分本格的な自転車にお乗りになっていたんですね。
ご趣味だったのでしょうか?」
「ええ。最近メンバーの間でロードバイクが流行っておりまして。高城もそうでした。
私も乗っております。」
「伊藤さん、ロードバイクというのは急ブレーキをかけただけでバランスをそんなに
激しく崩すものなのでしょうか?
高城さん、決して初心者という訳ではなかったようですが…」
「ええ。急ブレーキ・急ハンドル…バイクも車もしてはならない事は同じだと思います。」
「そうですか。いえ、今回の事件目撃者が非常に多かったのですが、皆さん一様に
不思議な証言をされてるんです。」

「不思議な証言?」
「はい。高城さんは前のめりにダイブするように自転車から投げ出された…と。
私もおや?と思って自分の自転車で試してみたんです。あ、自転車といっても
皆さんがお乗りになっているような本格的なものではありません。普通のその辺で
走ってるような自転車です。ちょっとした坂で急ブレーキをかけてみました。」
「はい。それで、何が不思議なんでしょう?」
「急ブレーキなので、両方の手でブレーキをかける…ご存じのとおり、自転車の
ブレーキは右手が前、左手が後ろです。同時にブレーキをかけるとすると
後輪がちょっと滑る感じにはなるのですが、体が前に投げ出されるような感じには
何度やってもならないのです。」

「私も不思議に思いました。そうなるには、恐らく高城さんは前のブレーキしか
使わなかったのでは?と。現場の状況もその事をを裏付けるものでした。
ブレーキ痕がどこにも残っていなかったんです。なぜ、自分の身体が宙に舞う程の
勢いでブレーキをかけたのに、前のブレーキしか使わなかったのでしょう?
そして、一つの仮説を立ててみました。」

「ブレーキは使わなかったんじゃない。使えなかった?」伊藤が口を挟む。
古畑はにやりと笑った。
「そう、その通りです。私は現場に残された自転車をチェックしてもらいました。
しかし…ブレーキには全く異常がありませんでした。後輪も、前輪もです。」

その時、伊藤の携帯が鳴った。
「ちょっと失礼します。…はい。ええ、伊藤です。…はい。はい…なんだって!
すみません。古畑さん、そのお話はまた別の機会で宜しいでしょうか?
ちょっと急いで行かないといけない事情が出来てしまいまして。」
伊藤が切迫した表情で言った。
「ええ。構いません。」
「では失礼します。」伊藤は慌てて劇場を後にした。
446四谷幸喜:2011/11/03(木) 19:08:18.10 ID:8PfVcMKs0
今日はこの辺で…

明日また宜しくお願いします。
447名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 19:11:03.50 ID:wbMga5QT0
>>444
黙って最後まで読め、評価するのはそれからでいい
448名無しさん@お腹いっぱい:2011/11/03(木) 19:17:54.57 ID:I2N95QFo0
トリックが難しくなってるし、俺はいいと思う

伊藤が飛び出したのは、ひょっとして由依が逝ったか?
449名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 19:19:30.10 ID:unAnF1mLO
>>444
評価ばかりするぐらいなら自分で書けよ
話はそれから聞こうか
450名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 19:57:38.04 ID:W+cyb7fFO
ここで今日終わりかww
451 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 :2011/11/03(木) 20:29:46.70 ID:0rgeSYfe0
やはりゆいはんに何か起きた。
気になるのは篠田は何故あきちゃやゆいはんに手をだしたのか?
珠理奈や伊藤は事件にどう絡んでくるのか?
うーん。やはり今までで一番の良作ですね。明日が待ち遠しい。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 20:37:09.98 ID:GHm+Nd3u0
おまえら要はAKBを題材にした話なら古畑でなくても何でもいいんじゃねーかw

スレタイよく見ろ、ここは古畑をオマージュした話じゃなきゃダメなんだよ

冒頭で犯人が反抗を犯す場面が出てこないとか全然古畑になってねーんだよw

そういうのは「AKBミステリー」とかいうスレでも立ててやってくれや
453名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 20:39:40.21 ID:gK1PhXk40
>>452
まあまあ、あまり堅いこと言いなさんな
454名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 20:43:03.97 ID:aArrokPcO
すげー
俺こんなの考えられないわ
同じ人間と思えない
455 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 :2011/11/03(木) 21:22:42.47 ID:0rgeSYfe0
文句があるのならば自分で書いたらいい。いちゃもんをつけるのは
簡単だが実際に書くとなると大変な労力がいるんだ。それなのに四谷さんは
これほどの話をこんな短期間に書けるなんて凄いよ。
ちなみに俺も四谷さんに刺激されて書いてるけど一つのストーリーだけでも
考えるのに時間と労力がいるから大変さは実感できる。
456名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 21:31:11.35 ID:jTGztxX30
「読みに行ける小説」なんだよ。黙って読め。


作者は早くかけ。
457名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 21:44:58.29 ID:ngmYBN0Q0
アンチが生まれて スターが育つ
458名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 21:55:46.31 ID:lY5cDqOP0
定型なくす(≠壊す)くらいならスレ変えてやったほうがいいんじゃね
自分で書けって意見は的外れなの分かってる?
「主人公が古畑じゃなくてもいい」ってのは批判に値すると思うけど
書きたいものを書くのと古畑モノを書くのとは違うわけで
幕間のほうがよっぽど味でてんじゃんw
459名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 22:13:30.49 ID:WQluaghz0
じゃあ次スレから分ければいいんじゃないか
もう半分きてるが四谷さんしか書いてないし
4601:2011/11/03(木) 22:14:55.17 ID:8xxFOHaJ0
賛があったら否もあるし否があったら賛もあるから気にせず書いてくれ 四谷さん
461名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 22:25:27.02 ID:unAnF1mLO
>>452
頭固いな…何も本編の脚本そのままコピーするよりは多少オリジナルあってもいいんじゃね
462名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 22:26:45.53 ID:unAnF1mLO
>>456
本人の都合もあるからそれは察してやれ
463名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 22:38:17.49 ID:R+K6jVN5O
ブログでやって欲しい
464名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 22:38:21.91 ID:y/2JIqmz0
とりあえずじゅりたんは殺さないでくれw 頼むぞ
465名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 22:45:40.95 ID:gMewdwfV0
実は麻里ちゃんなんにもしてないパータン
466四谷幸喜:2011/11/03(木) 23:05:01.98 ID:8PfVcMKs0
えっと、皆さん
熱いレス、ありがとうございます。

古畑作品が好きで、この作品にもそれを期待してくださってる方にとっては
納得がいかない事は私も理解できます。本当に申し訳ございません。
確かに、私のスタイルは本来のパターンから大きく逸脱しておりますし、
批判されている方に返す言葉もありません。

段々とスレタイとの乖離が大きくなってきてる事も認識しております。
別スレやブログで…というご意見もあるようですね。
今後は、色んな登場人物でミステリーとして書いてみたいという
欲求もありますので、ブログなどの活用も検討したいと思います。

ただ、今作まではここで続けて書かせて頂きたいと思っております。
お気に召さない方には本当に申し訳ありませんが、もう暫くだけ
ご容赦いただけますようお願いいたします。

厳しいご指摘も、励ましやおほめのレスも、全て私にとっては有難いものです。
本当に心よりお礼申し上げます。

では、また明日。
467名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 23:08:18.91 ID:W+cyb7fFO
>>466
もしブログやることにしたら教えてくれ
多分毎日見に行くと思うww
468名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/03(木) 23:11:36.83 ID:d2ecvTt50
いきなりですまないんだけどさ、
今泉「古畑さん!古畑さん!」
古畑「煩いんだよお前はいつも」ペシッ
これ使ってくれ
469山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/04(金) 00:06:32.75 ID:cD/b3cPgQ
保守 僕も脳内プロットができました
470名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 00:19:18.19 ID:LLwXuKvx0
四谷さん支援してるけど、批判してる人の気持ちも分かる
古畑はセリーヌにこだわってるのは外せない要素だと俺も思う

けどスレ分ける必要はないよ
四谷さんだっていつまで書くのか分からないし、
他の作者がいるのかすら不明なんだから
471名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 04:02:07.29 ID:BszrIs4U0
捕手
472四谷幸喜:2011/11/04(金) 08:23:56.82 ID:xHC/eFsw0
みなさん、おはようございます。

今日も宜しくお願いします。
いつものように午前中からスタート出来るよう準備しますね。

では、後ほど…
473四谷幸喜:2011/11/04(金) 10:00:41.59 ID:xHC/eFsw0
シーン11  5/5  20:40 東京女子医大病院


病院の冷たい廊下。戸賀崎が茫然とした表情でベンチに腰をおろしている。
隣には伊藤がポケットに手を突っ込んで立っている。
「家族には?連絡取れたのか?」戸賀崎が伊藤に聞く。
「はい…先ほど。これから京都からこちらに向かわれるそうです。」
「そうか。しかし高城だけでなく横山まで…一体どうなってるんだ?」
戸賀崎は天井を見上げて呟くように言った。

「伊藤さん。戸賀崎さん、ちょっと宜しいでしょうか?」
二人が声の方を向くと、そこには古畑と西園寺の姿があった。
「なんだ…あなたですか。すみません、先ほどの話なら後にして頂けますか?」
伊藤の声は穏やかだったが、強い拒絶の意思を示していた。
「ええ。結構です。先ほどの件については。こんな所までお邪魔したのは…
西園寺君、いいかな?」
「はい。亡くなった横山由依さんについて幾つか不審な点が浮かびあがっております。
警察としても看過できない内容ですので、色々と調べさせて頂く事になりました。」
「不審な点?食中毒と聞いたが?」戸賀崎が顔を上げる。
「ええ。まず、横山さんの死因ですが、腸管出血性大腸菌によって引き起こされた
劇症型の感染症と思われます。今日の午後、容体が急変されました。
横山さんがここ数日摂られた食事内容から5/2に都内の焼肉店で召し上がった、
レバーの生肉とユッケが原因…と言いたいところなのですが…」

「違うんですか?」伊藤が聞く。
「実は焼肉店を調べたところ、同じ日に同じように同店で生肉を食べた人は30名以上
いらっしゃるのですが、症状を発症した人は誰一人としていないんです。普通、重傷者が
出るような食中毒は集団で感染するケースが殆どです。
また、衛生検査の結果、焼肉店の食品、店内、食器などから問題になるような病原菌の
検出は全くありませんでした。」
「じゃあ、一体…?」戸賀崎と伊藤は顔を見合わせた。
「え〜…その日、横山さんと一緒に食事をされていた、篠田麻里子さんからお話を
伺っておりました。」古畑が言った。
「篠田に?」伊藤が驚いた表情を見せた。
「あくまでも参考まで…という事です。何しろ同席していて、同じ物を食べていながら
篠田さんには何の症状も起きていないとお聞きしましたので。
すみません〜。警察というのは、ほんの僅かでも可能性があると疑いを持ってしまう
ものなのです。いや、自分のことながら実にいやらしい職業だと思っております。」
古畑は苦笑いを浮かべて釈明した。

「しかし、当然ですが、篠田さんが横山さんに毒を盛って殺害するなどとは到底
考えられません。確たる証拠ももちろんございません。先ほどお帰り頂いています。」
「そうですか。しかし、失礼な話じゃないですか?それでなくても、篠田は先日の
高城の事故の際も一緒にいたんだ。一番ショックを受けているのはアイツなんだ。
それ位は考えてやってもらえませんか?」伊藤の口調は怒りに満ちていた。
「え〜…大変失礼いたしました。お詫びの言葉もございません。」
古畑は深々と頭を下げた。
474四谷幸喜:2011/11/04(金) 10:02:00.93 ID:xHC/eFsw0
シーン12    5/6  2:24  AKB48劇場スタッフルーム

「まったく、刑事っていうのは本当にデリカシーっていうものを持ち合わせて
いない人種なんですね。」伊藤の怒りはまだ治まっていなかった。
「そりゃそうだろ。あいつ等は人を疑う事が仕事なんだからさ。それじゃなくても
続けて2人が死んだんだ。その場に同じ人間がいたって言うんだから、おかしいって
思っても仕方ないんじゃないか?」
「戸賀崎さんまでそんな事言うんですか?」
「まぁ、落ちつけよ。そうやってすぐ熱くなる所は嫌いじゃないけどな。」

その時戸賀崎のPCにメール着信を知らせるアラームが鳴った。
「…」二人は顔を見合わせた。
「また…だ。同じ発信元からだよ…」
「戸賀崎さん…」戸賀崎は頷いてメールを開いた。
「タイトル ”はやくしないと” 本文 ”しらないよ。しかたないからひんと。”」
「おい…このメールが来るようになってからなんだが。」
「ええ、確かに。戸賀崎さん…」

戸賀崎は添付ファイルを開いた。中には2枚の写真と地図があった。
1枚は渓谷沿いの美しく小さな街並み、もう1枚は白い雪をたたえた山々に
近いこれも美しい佇まいの風景だった。フランス全土の地図には
PauとBagneres-de-Luchonという二つの地名に赤い丸が打たれていた。

「また…ですね。また写真も地図も逆さまになってる…」伊藤がモニターを覗き込む。
「もうひとつ添付ファイルがあるぞ。」戸賀崎はファイルを開封した。
そこにはもう一枚地図があった。
「これは…?オーストラリアか?これも逆さまじゃないか」戸賀崎が言う。
「いえ…これは逆さまじゃないですよ。北と南が反対に書かれてるんです。
今までの写真や地図みたいにわざとひっくり返した訳じゃないですよ。
いったい、何が言いたいんだ?このメールは?」
「おい…伊藤。俺は恐ろしいよ。また何か恐ろしい事が起こるような気がする。」
「戸賀崎さん。僕もそんな気がします…。でも、一体何が起こるんでしょう?」
二人は立ち尽くしたままモニターを見下ろしていた。
475四谷幸喜:2011/11/04(金) 10:02:24.98 ID:xHC/eFsw0
続きは後ほど。
午後からになるかな?
476名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 10:36:17.50 ID:M1h5oh4+O
>>475
楽しみにしてるよ
477四谷幸喜:2011/11/04(金) 10:46:34.66 ID:xHC/eFsw0
ブログ開設の準備を進めております。
現在、過去作品の移行作業中ですが、一日に投稿出来る記事数の制限
(制限解除の申請中ですが)があるため、一気に移行出来ておりません。

昨日も書きましたが、今作まではここでUPさせて頂きたいと思いますが、
次回作以降はブログの方で紹介していこうかな…と考えております。

過去作品の移行等が一段落しましたら、あらためてご案内させていただきます。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 11:02:03.36 ID:2mhstBOcO
>>477
お疲れさまです
ブログ移行、楽しみに待ってます
479名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 11:32:01.97 ID:XVtkciMW0
ブログにいくのかあ
さてさてゆいはんまでか……
やっぱりメールがきになるなあ
480名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 12:56:45.13 ID:ejY6b74nO
ブログってことはアメブロ?もしくは他のブログ?
仕上がったら教えて
見に行くから
481四谷幸喜:2011/11/04(金) 13:25:33.79 ID:xHC/eFsw0
シーン13  5/7 21:07 名古屋サンシャイン栄劇場

公演を終えた劇場内、ステージの上で珠理奈がストレッチを行っている。
しきりに腰の部分を気にしているようが。
「珠理奈、お疲れさま〜」松井玲奈が声をかける。
「あ〜玲奈ちゃん、お疲れ様〜」珠理奈が笑顔を返す。
「ねぇ、大丈夫?」玲奈が珠理奈の横に腰をおろして顔を覗き込むように聞く。
「ん?大丈夫って、何が?」
珠理奈はタオルを取り顔の汗を拭いながら玲奈と並んでステージに腰掛ける。
「今日の公演、珠理奈ちょっと変だった。あ、パフォーマンスはいつも通り
キレキレだったよ。でも、なんか無理してる感じがしたよ。」
「え〜そうかなぁ?私はいつも通りだよ。無理なんかしてないし。」
珠理奈は笑って否定する。
「珠理奈。」玲奈は大きな瞳でまっすぐに珠理奈を見つめる。
「まいったなぁ…玲奈ちゃんは何でもお見通しなんだから。でも、大丈夫。
ちょっと腰に張りがあるだけだから。ちょっと疲れ溜まっちゃってるのかな。」
「そう?あんまり無理しないでね。そうでなくても、あんな事が立て続けに
おこっちゃって…」玲奈が遠くを見るような表情でつぶやく。
「横山さん…だよね。辛いよね、なんか。」
「うん…お願い。珠理奈、ホント無理だけはしないでね。」
「ありがと。玲奈ちゃんもね。あれ?そういや、今日なんか可愛くない?」
「え〜なに?いつもは可愛くないの?」玲奈が立ち上がって笑った。
「い…いや、そういう訳じゃないくって。なんか、今日よそ行きのカッコしてない?」
玲奈は珍しくパンツスーツ姿だった。普段は女の子らしい装いが多い。
「まさか、デートとかじゃないでしょうね?ヤバいよ〜見つかると。」
「そんなんじゃないって。ま、これからはおこちゃまの時間じゃないからね〜」
「もう、何言ってるんだか。」珠理奈が弾けるような笑顔を見せた。
「じゃ、お先〜。」
「うん。また明日ね。」珠理奈は玲奈の背中に手を振り、ストレッチを再開した。
482四谷幸喜:2011/11/04(金) 13:26:37.60 ID:xHC/eFsw0
シーン14   5/7 23:55  名古屋ホテルヒルトン バーカウンター

「おい…あれって松井玲奈じゃねぇか?」「松井玲奈って、SKEの松井玲奈か?」
ホテルのバーで男2人が小声で話している。カウンターにはスーツ姿の松井玲奈が
一人で座っていた。目の前には空になったカクテルグラスが置かれていた。
「もう一杯同じ物を。」
カクテルグラスをバーテンダーに差し出す玲奈の顔はすっかり赤くなっていた。
バーテンダーは無言で頷きシェーカーにドライ・ジンとチェリーブランデーを注ぐ。
ドライベルモットを合わせてシェーカを振る。

「Kiss in the darkです。」玲奈の前にカクテルグラスを差し出す。
「ありがと。美味しいのよね。このカクテル。」
「松井様、お強いのは存じ上げておりますが、今夜は少々飲まれすぎておられるようです。
いかがでしょう。それが今日のラストオーダーという事にされては…」
「いいの。いいじゃない?たまには。」
玲奈がグラスを口に運び、一気に半分ほど飲み干した時携帯の音が鳴った。
メールの着信のようだ。
「そうね…今日はこの辺にしとこうかな。お会計お願いします。」
玲奈がスツールから立ち上がった。やや足元がふらつく。
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
バーテンダーは深々と頭を下げた。
483四谷幸喜:2011/11/04(金) 13:28:54.64 ID:xHC/eFsw0
続きは後ほど…

ブログはFC2ブログで準備しています。
アメブロも考えたのですが、実は私他にもブログやっておりまして、
そちらもFC2なんです。
使い勝手の事を考えてそちらを使おうかな…と。

段取りが落ち着きましたら、ご案内させて頂きますね。


では、後ほど…
484名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 13:40:19.82 ID:XVtkciMW0
玲奈きたー
次まさか玲奈がか……伊藤が絡んできそう
485 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 :2011/11/04(金) 15:37:37.94 ID:XFUF60Ta0
やはりゆいはんも犠牲に…。玲奈も登場してさらに面白くなった。
そしてこれは篠田でなく伊藤、珠理奈あたりが事件のキーマンなのでは?
単純なようであっさり見抜けぬところはさすが四谷さんですね。
486名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 15:38:57.15 ID:utwtMf9fO
今回今まで以上の本気を感じる
期待age
487四谷幸喜:2011/11/04(金) 16:37:06.33 ID:xHC/eFsw0
シーン15  5/8 0:50  ホテル地下駐車場

白のプリウスによりかかって立つ長身の男。玲奈がリモコンキーでドアのロックを解除する。
男は黙ってそのまま運転席へと乗り込んだ。玲奈も助手席へ乗り、男にキーを渡す。
プリウスは静かに発進していった。
488四谷幸喜:2011/11/04(金) 16:39:04.68 ID:xHC/eFsw0
シーン16  5/8 2:05  名古屋港埠頭

「ねぇ…ねぇってば。」玲奈が助手席から男に言う。
埠頭に止まった車の窓を開け、男は港の夜景に視線を送っている。
「ああ〜あ。いっつも珠理奈珠理奈って。なんか、最近私の事は忘れちゃったんだね。」
玲奈が男の肩にもたれかかる。
「何言ってるんだよ。仕事だよ。仕事。まだ中学生なんだから、しっかりコントロール
しとかないとマズイだろ?」
「分かってるけどさ。でもなぁ。私の事だっていつまでたっても子供扱いじゃない?」
「だって、まだ子供じゃないか。玲奈だって。」
「違うもん。私はもう大人だもん。ねぇ。なんで分かってくれないの?」
「おいおい、酔っぱらってるのか?」
「酔ってなんかいませんよ〜。ねぇ。こんなトコじゃなくてどこか連れてって。
なんか、ゆっくり休みたいな。」
「こら。大人をからかうんじゃない。」
「えへへ。ごめんなさい〜」玲奈は悪戯っぽく笑った。徐々に瞼が重くなってくる。
「ほら。ちょっと寝なさい。起こしてあげるから。」
男の声が段々遠くで聞こえるようになった。玲奈は深い眠りについた。

男は静かに運転席から降り、助手席へ回る。ドアを開け玲奈の身体を軽々と抱え上げた。
そのまま運転席に玲奈の身体を移し、右脚をアクセルペダルの上に置き、
シートベルトを締める。
キーのロックを外し、シフトをドライブに入れる。サイドブレーキを下げると車は
ゆっくりと走りだした。男は車のドアを締め、すばやく車から離れた。
プリウスは暫くまっすぐ走っていたが、埠頭の切れ目に差し掛かり、そのまま
頭から海へと転落した。大きな水しぶきが上がる。
男はゆっくりと車の転落した場所へ歩み寄り暗い海の中へ車が沈んでいくのを
見届けた。
「だから言ったじゃないか。大人をからかうんじゃないって。」
伊藤は口元に軽い笑みを浮かべて言った。
489四谷幸喜:2011/11/04(金) 16:40:43.74 ID:xHC/eFsw0
シーン17  5/8  11:21 AKB48劇場スタッフルーム

「え〜…確かにこのメールは何かのメッセージのようにも思えます。」
古畑がPCのモニターを見ながら言う。
「私もそう思う。このメールが来るようになってからなんだ。おかしな事が
起こるようになったのは。」戸賀崎が古畑の背後から話す。横では腕を組む
伊藤の姿もある。
「戸賀崎さん、ご連絡ありがとうございます。」
「いや、どうも胸騒ぎがしてならないんだ。何かまた良からぬ事が起こるんじゃないかって。」
「つまり、この新しいメッセージが何か事件を暗示している…と?」
「本職の刑事さんを前にして、つまらん推理かもしれんがな。」
「いえいえ、とんでもございません〜。実に参考になる材料です。」

その時、戸賀崎の携帯が鳴った。
「はい。戸賀崎です。…ええ。ええ。それで?本当か…分かりました…」
戸賀崎が椅子に崩れ落ちるように腰を下ろした。
「え〜…戸賀崎さん…」古畑が声をかける。
「今度は玲奈だ…。おい、一体いつまで続くんだ?」
戸賀崎が誰に尋ねるでもなく絞りだすような声で言った。
「…」古畑がモニターに映し出された地図と写真を見つめる。
眉間に指を当て、顔には苦渋の表情が浮かんだ。
490四谷幸喜:2011/11/04(金) 16:41:29.72 ID:xHC/eFsw0
続きは後ほど。
夜遅くに更新出来るかな?
ひょっとしたら、明日になるかもしれません。
491名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 16:58:17.66 ID:kE/B2sEb0
四谷さん完全に開き直ったな
古畑という名の刑事が登場するただのAKBサスペンスになってるわ
492名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 17:04:37.44 ID:bxWHapnR0
お疲れさま!ブログ準備できたら告知してください!
493 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 :2011/11/04(金) 17:37:52.06 ID:XFUF60Ta0
あぁ玲奈までもが…。推しメンなだけに残念だけどでも面白い。
やはり伊藤が。篠田より珠理奈が怪しいな。

ブログに移るんですね。今度俺の書いたやつアップしたいと思うので
四谷さんに是非見てもらいたいです。移っても板には顔を出して欲しいです。
494四谷幸喜:2011/11/04(金) 17:53:21.25 ID:xHC/eFsw0
>>493さん

もちろん、ブログに移行してもここにはお邪魔しますよ。
ぜひ>>493さんの作品も読ませて頂きますね。

完結までもうちょっとです。今作まではここで書きたいと思うので、
もう暫くだけお付き合いくださいね。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 18:25:29.71 ID:zVsSCV4O0
四谷氏、肩の力抜いてw 素軽くいきましょう

嫌いな人は誰かの次作までのつなぎだと思えばいいじゃん
スレ落ちちゃったら元も子もないんだしw
496 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 :2011/11/04(金) 18:28:10.67 ID:XFUF60Ta0
>>494
ありがとうございます。作品は古畑じゃないので新スレ立てる予定です。
是非講評のほどよろしくお願いします。ブログに移っても見に行きます。
497四谷幸喜:2011/11/04(金) 18:31:48.62 ID:xHC/eFsw0
シーン18  5/9  10:44 シャングリ・ラ・ホテル東京 カフェラウンジ

「珠理奈…大丈夫?」篠田が声をかける。珠理奈は疲れ切った顔を上げる。
「麻里子さん…私、もう無理かも。だって玲奈ちゃん…玲奈ちゃんまでが
あんな事になっちゃうなんて。」珠理奈の目には涙は無かった。というより
もう泣くという感情すら枯渇してしまったかのようにも見えた。
「私、怖い。こんなに次から次になんて。みんな言ってます。きっと呪われてるんだって。
今までが上手く行きすぎてたんですよ。何もかもが。だから神様が…」
「珠理奈…」篠田はそれ以上かける言葉を見つけられなかった。
コーヒーの差し替えに来たウエイターを目で制し珠理奈の手を握った。

「そうかもね。上手く行きすぎてたのかもしれないね。でもね…」
「分かってます。麻里子さんだってショックですよね。だって、2人が亡くなった
現場に遭遇しちゃったんですからね。」
「珠理奈…私を気遣ってくれてるの?ごめんね。まだ15歳なのにね。辛いよね。」
「でも、やっぱり出来る事をしなくちゃ。玲奈ちゃんだって、横山さんだって、
高城さんだって、ステージに立つ姿が一番輝いてたんだから。私、みんなの分まで
歌って踊ります。絶対に負けないから。」珠理奈は窪んだ眼を見開いて言った。
その表情からは鬼気迫る程の決意が見てとれた。
498四谷幸喜:2011/11/04(金) 18:32:12.28 ID:xHC/eFsw0
シーン19

GW明けのテレビニュースはトップアドルグループを襲った不可解な連続不審死を
こぞって取り上げた。自転車事故、食中毒、そして飲酒運転による自動車事故。
不幸な事故を憐れむ報道から、やや非難めいた報道まで各局の取り扱いは微妙に
差があった。ただ、玲奈の飲酒運転による転落事故については、本人の不注意を
責める論調が主になってうるように見えた。

そんな中、AKS運営は3日後に迫った代々木第一体育館で予定されているコンサートを
予定通り行う事を発表した。記者会見に臨んだ戸賀崎は、冒頭で玲奈の飲酒運転に
ついて深く陳謝するとともに、コンサートの中止も検討したが、楽しみしている
ファンを裏切らない事が何より亡くなったメンバーの供養である事を強調した。
賛否両論が渦巻く中、コンサート当日を迎えた。
3件の事故後、運営はメンバーに過剰と思える警護体制を敷いた。研究生に至る
全メンバー個別にボディガードを配置、選抜メンバーを始めとする主要メンバーには
24時間体のガード体制を置いた。レッスン、撮影、テレビ等の収録時には
何重にも警備が整えられ、劇場公演後のハイタッチは見送られる事になった。
499四谷幸喜:2011/11/04(金) 18:32:45.93 ID:xHC/eFsw0
シーン20  5/12  16:01 警視庁PC管理センター

「古畑さん古畑さんふるは…いてっ。」
「本当にうるさいよ。お前は。ここで騒ぐんじゃないよ。みんな静かに調べ物を
してるんだから。」
「だから、おでこ叩かないでくださいよ。っていうか、何で古畑さん、こんな古い
写真見てるんですか?」
「だから、ちょっと声を押さえなさいって。」
「あれぇ〜。懐かしいなぁ。この写真ルシアン・ビュイスじゃないですか。」
「ルシアン・ビュイス?今泉君、この写真が誰だか知ってるのかい?」
今泉が得意そうな顔になる。
「知ってますよ〜。ちょっと待ってください。えっと…ルシアン・ビュイスっと…」
今泉が検索エンジンにワードを打ち込む。関連情報の一番上をクリックすると
見慣れた写真が表示された。ここ数日何度も何度も見た写真だ。
「今泉君、これは?」
「ルシアン・ビュイス。古き良き時代のツール・ド・フランスの総合チャンピオンですよ。」
ほら…ここに書いてるでしょ?第20回大会の総合チャンピオン。この時代はまだ
ヘルメットも被ってないんですよね。ロードバイクもクラシカルだしな〜
今みたいにF1っぽくなる前の時代はですね…」
「今泉君。これは?これはどう思う?」古畑は今泉に地図を見せる。
「あぁ。これ、今年のツールのコースじゃないですかね。えっと…」
古畑は検索エンジンを辿る今泉の額を手で弾くように叩く。

「いてっ。なんですか?古畑さん、いてっ。もうやめてくださいよ。」
「うふふふふ。今泉君。お前の事を今日ほど頼もしく思った事は無いよ。
褒めてるんだよ。これは、今泉君〜」
「やだなぁ、古畑さん。えへへへへ。いたっ。」
「気持ち悪いんだよ。で?」古畑は画面を覗き込んだ。
500四谷幸喜:2011/11/04(金) 18:33:20.04 ID:xHC/eFsw0
シーン21   5/14  20:15 代々木第一体育館

3日間に及ぶコンサートも最終日終盤に差し掛かっていた。
この3日間、文字通りメンバーはステージに全てを叩きつけていた。
特に珠理奈のステージ上での動きは周囲を圧倒していた。SKEの曲だけでなく
AKBで横山と高城が務めたパートにアンダーとして志願し、見事なパフォーマンスを
見せていた。高城の出世作となった「君の事が好きだから」では涙を流す指原を
支えながら、そして「偶然の十字路」では同じSKEの高柳明音、木本花音らを鼓舞する
ように堂々と真ん中で横山の代役を務めた。
「今日の珠理奈さんは凄まじいですね。気迫というか、鬼気迫るものを感じます。」
モニタールームでコンサートの模様を眺めていた古畑が伊藤に声をかける。
「ええ。亡くなった3人の分まで頑張るって言って。他のメンバーも今日はスゴイですが
珠理奈はまた一つカラを破った感じがしますね。あの子は、本当に強い子です。」
戸賀崎も隣で頷く。

「ところで、戸賀崎さん、その後例の発信主から新しいメッセージは?」
「いや。あれ以来来ていない。あれ以来メール着信があると心臓が止まりそうになるよ。」
戸賀崎がモニター越しにアンコールが終わるのを見届ける。タキシード姿だ。
「おや、戸賀崎さん、今日もサプライズの発表ですか?」古畑がたずねる。
「ああ。ビックサプライズだ。この所いいニュースが全くなかったんでな」
戸賀崎はモニタールームからゆっくりと出て行った。
501四谷幸喜:2011/11/04(金) 18:33:50.93 ID:xHC/eFsw0
続きは後ほど。
今日はもうちょっとUPできる予定です。
502名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 19:17:05.43 ID:ZbqQPl3z0
>>493
ここが地下板だからかわからんけどやっぱり玲奈ヲタはじゅりなのせいにしたいんだなw
503 忍法帖【Lv=17,xxxPT】 :2011/11/04(金) 19:34:19.85 ID:+WvAvLSa0
じゅりな
504 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 :2011/11/04(金) 19:37:59.58 ID:XFUF60Ta0
>>502
俺は別に物語の感想や推察をしただけで珠理奈のせいにしたいとは
思ってないぞ。珠理奈も好きだし。ただ物語の進行で推察しただけ。
505四谷幸喜:2011/11/04(金) 19:40:47.62 ID:xHC/eFsw0
えっと、皆さん。
推しが悪者役になるのは、お気に召さない事もあるかと思います…

ここだけのお話としてお納めくださいませ。
では、続きを…
506四谷幸喜:2011/11/04(金) 19:42:40.59 ID:xHC/eFsw0
シーン21-2

最後の曲を終えたステージにタキシード姿の戸賀崎が立った。
大歓声の中、一枚の紙を取り上げる。
「今日は二つの発表があります。まずは一つ目です。
え〜AKB48の創成期より主力メンバーとして活躍して参りました、篠田麻里子が
本日コンサート終了をもって卒業する事となりました。」
悲鳴にも似たどよめきが場内を包む。篠田がゆっくりとステージ中央に進み
深く頭を下げる。
「長い間、本当にお世話になりました。AKB48は卒業する事になりますが、これからは
モデルとして活躍の場を広げていきたいと思っています。もっともっと見識を
深めてもっともっと素敵な篠田麻里子の姿を皆さんにお見せしていきたいと思います。」
篠田の挨拶に場内、そしてメンバーからも温かい拍手が送られる。いずれ遠からず
来ると思われていた篠田の卒業は納得のいくサプライズであった。


戸賀崎が更にマイクを握る。
「もう一つ発表があります。松井珠理奈、前へ。」
「え?私?」珠理奈は自分を指差した。事実、今日何かの発表がある事は誰からも
聞かされていない。もちろん伊藤からもだ。

「このたび、松井珠理奈がNBCユニバーサルマーケティングとエージェント契約を
取り交わす事となりました。これに伴い、松井珠理奈は正式契約調印を持って
SKE48を卒業する事となります。なお、先ほど先方よりディスクローズのOKが出ましたので
合わせて発表いたします。珠理奈はあのタランティーノ監督の次回作に主役として
抜擢される事が決定いたしました。監督曰く「キル・ビル」シリーズを超える
アクション大作になるとの事です。」

戸賀崎の発表に場内は騒然となった。珠理奈もその場に崩れ落ちた。腰が抜けて
しまったようだ。

「珠理奈。おめでとう。」篠田が脇を支えるようにして珠理奈を抱き起こす。
「さ、みんな珠理奈の挨拶待ってるよ。」珠理奈にマイクを渡した。
珠理奈は長い間言葉を発する事が出来なかった。涙が溢れて止まらない。


「玲奈ちゃん…玲奈ちゃん…見てる?玲奈ちゃん…」

やっと出た言葉だった。珠理奈は空にいる玲奈に向かって語りかけるように言った。
「玲奈ちゃん。お願い。私を守って。お願い。」
珠理奈はそれ以上言葉を続ける事が出来なかった。
507四谷幸喜:2011/11/04(金) 19:43:02.33 ID:xHC/eFsw0
シーン21-3

熱狂のうちにステージは幕を下ろした。
「おめでとう!珠理奈!」「すごいじゃん!」「いつからそんな話進んでたの?」
ステージ裏ではメンバーの弾けるような笑顔が広がった。
ここ数日、暗いニュースが続いている中、ふいに湧いてきたビックニュース。
メンバーはみな自分の事のように喜んだ。
「ありがとうございます。なんか、私、興奮しちゃって…」
顔を上気させた珠理奈に伊藤が声をかける。
「珠理奈。勝負はこれからだぞ。分かってるな?」伊藤も久しぶりに晴れやかに笑った。
「はい。わかっていま…」
突然、珠理奈がその場に倒れた。腰を押さえ苦痛に顔を歪める。
「おい、大丈夫か?珠理奈?」慌てて伊藤が膝をつき珠理奈を覗き込む。
「腰が…腰が…」
「救急車だ。救急車を呼んでくれ。」
戸賀崎と古畑もステージ裏に現れた。
「伊藤…まさか。」戸賀崎が青ざめる。
「いえ、大丈夫です。ただ、腰を痛めたようです。すぐに救急車を。」
「そうか…古畑さん。大丈夫みたいだ。」戸賀崎が安堵のため息をつく。
古畑もほっとした表情になった。
508四谷幸喜:2011/11/04(金) 19:44:02.34 ID:xHC/eFsw0
シーン22  5/14 22:17 順天堂病院診察室

今井正人が難しい顔でライティングデスクに挟まれたレントゲン写真を凝視している。
夜間にも関わらず腰部整形外科の権威である今井が直接話したいと言われ、伊藤も
戸賀崎も緊張していた。キャスターベッドの上で横になったままの珠理奈も
心配そうな表情で今井の言葉を待つ。

「はっきりとした事は造影剤を投与して検査しないと何とも言えませんが…」
戸賀崎と伊藤はごくりと唾を飲み込む。
「松井さんの腰はかなりの重症です。すぐに手術する必要があると思われます。
こうなるまでには相当の自覚症状があったはずです。ではないかな?」
今井が珠理奈に聞く。珠理奈は無言で頷いた。

「この部分をご覧ください。」今井が戸賀崎と伊藤にレントゲンを指差し説明を始めた。
「腰の骨…腰椎は一つ一つがクッションのようなもので保護されています。後ろの
部分で繋がってるんですが…ここ。ここのところ。第4腰椎と第5腰椎を繋ぐ部分が
剥離してるのが分かりますね?そのため、第5腰椎がずれてしまっており、骨と骨の
間のクッションを押しつぶしています。つぶれてはみ出したクッションが脊椎神経に
接触してるのです。恐らく、姿勢を変えるだけで激痛があるでしょう。」

「あの…すいません。分かりやすく説明して頂きたいのですが、つまり…
手術すれば元の通り動けるのでしょうか?」伊藤がじれったそうに聞いた。
「ええ。普通の生活を送る分には何ら問題はないでしょう…ですが…」
「ですが…?」戸賀崎が眼を剥いた。

「激しい運動は出来ません。松井珠理奈さん…私も良く存じております。
何度か名古屋の劇場公演にも行かせて頂いた事があります。前日の秋葉原出張
公演も拝見しました。あの素晴らしいパフォーマンスをもう見る事が出来ないのは
私も残念です…」

「多少セーブしてはどうでしょう?あそこまでなくとも…」
戸賀崎が縋るように今井に質問した。
「…」今井は眼をつぶって首を振った。
診察室に珠理奈のむせび泣く声だけが響いた。
509四谷幸喜:2011/11/04(金) 19:44:54.63 ID:xHC/eFsw0
シーン23   5/15  23:18 パークハイアットホテル 客室

伊藤がベッドから起き上がり冷蔵庫から水を取り出して喉に流し込む。
シャツを着てコットンのパンツを履く。
「ねぇ。帰るの?」ベッドの中で篠田が気だるそうに身体を起こす。
「ああ。明日までにやっておきたい事がある。」
「ね。どうするの?これから。」
「どうするのって?決まってるだろ。」伊藤がアタッシュケースから紙包みを取り出す。
篠田がガウンを着てベッドから起きてきた。伊藤が差しだした紙包みを開ける。

「な…なに?これ…」
篠田の手には鈍く黒光りする拳銃があった。

「なにって、見てのとおりさ。まったく、これまでに一体どれだけの金を使ったと
思ってるんだ。ここまで来て潰れやがって。ま、また一からやり直すさ。
ただ、その前に用の無くなったヤツには消えてもらわないとな。これまで通りさ。
邪魔な者は力づくでも排除するだけだよ。」伊藤の目は暗く沈んでいた。
「でも…でも。珠理奈は…私には…」
「おいおい、今更なに善人ぶってるんだよ。もう手は真っ黒に汚れてるんだぜ?
俺も…お前もな。心配するな。また段取りは俺がしっかりやっておくからさ。」
伊藤は篠田の背後から腕を回して囁くように呟いた。
510名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 19:46:28.39 ID:M1h5oh4+O
次は北原か城?
511四谷幸喜:2011/11/04(金) 19:46:57.00 ID:xHC/eFsw0
シーン24  5/17 12:25  AKB48劇場スタッフルーム

「え〜…戸賀崎さん。ご連絡ありがとうございます。」
古畑が今泉と西園寺を連れてスタッフルームに現れた。
戸賀崎がデスクの椅子を一つ引き、古畑に勧める。
「また例のメールが来たと聞きました。ちょっと失礼します…」
モニターにはメールの中身が表示されていた。
タイトルには「いいかげんわからないの」本文に「つぎはだれかな」とある。

戸賀崎が添付ファイルを開く。2枚の写真と1枚の地図。。
一つ目は運河に沿った工業都市の写真と山間の駅の写真。地図の赤丸は
Bellegarde-sur-ValserineとMaconという地名にあった。
そして今回は添付ファイルがもう一つあった。そこにはやはり古びたモノクロの写真。
ロードバイクに乗っている。
「え〜…今泉君?」
「古畑さん。任してください。地図はすぐに分かりますよ。ただ…この選手は…う〜ん…」
今泉が持参したファイルを手繰る。

「え〜…戸賀崎さん。今日は伊藤さんは?」
「ああ、今日はオフを取っている。アイツもこの半年全く休みなしだったからな。
さすがに一日位休めって言ったんだ。」
「このメールはいつ?」
「ああ…古畑さん、アンタに連絡入れる直前だよ。11時過ぎかな。」
古畑の表情が曇る。

「分かりました!古畑さん。これです。この人。アンドレ・ルデュク。第24回の
総合チャンピオンです!あれ?でも、今回の写真、ひっくり返ってませんね?」
戸賀崎が古畑の顔を覗き込む。

「古畑さん、何か分かったのか?なぁ。もう俺は耐えられない。これ以上
誰かが逝ってしまうのなんて、俺には耐えられないんだ。頼む。古畑さん。」

「…」古畑が眉間に指を当てたまま動かない。何か記憶を辿るように目を閉じる。
「さ〜いおんじ君。珠理奈さんと篠田さんにガードはついてるね?」
古畑が突然大きな声を出した。今までになかった位の切迫した顔つきだ。

「は…はい。すぐに連絡を取りますか?」
「ああ。頼むよ。それから、戸賀崎さん。一緒に来て頂けますか?
西園寺君。急いでくれ。出来るだけ急いで。」
「分かりました。」西園寺が慌ただしく部屋を後にする。
512四谷幸喜:2011/11/04(金) 19:47:48.40 ID:xHC/eFsw0
シーン25

暗転。
スポットライトが古畑に当る。



え〜…みなさん。
今回の事件、実に謎の多いものでした。そして、犯人は実に恐ろしい人間です。
いや…悲しい人間と言った方がいいのかもしれません。
自らの目的の為には、犯罪すら厭わない冷酷な人間です。

しかし、ご安心ください。
もう、誰も死ぬ事はありません。これは約束いたします〜。

ところで、皆さん、オーストラリアに行かれた事はございますでしょうか?
土産物屋さんに行くと、なかなか面白いモノが売っています。

え〜…それは地図です。
戸賀崎さんにメールで送られてきた地図。上に南、下に北。
普通とは南北が逆になっているものです。
シャツやポスターなど、色んなものにデザインとして使われています。
実にユニークです。
もし、オーストラリアに行かれる機会がありましたら、ぜひご覧になってください。

古畑任三郎でした。

513四谷幸喜:2011/11/04(金) 19:48:18.88 ID:xHC/eFsw0
今日はここまでです。

続きは明日。
514名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 19:49:24.86 ID:M1h5oh4+O
>>510は気にしないでくれww
515名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 19:50:40.93 ID:XVtkciMW0
ここまでかあw
伊藤ひでぇ、珠理奈までやるつもりか……
メール送ってたのは麻理子かな
516名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 19:51:03.66 ID:D1Ty3tTi0
>>505
お疲れ様です

ここにはフィクションとノンフィクションの違いが分かる人しかいませんので
どうぞそのまま続けてください
517四谷幸喜:2011/11/04(金) 19:54:07.70 ID:xHC/eFsw0
告知です。

ブログを開設しました。
http://4tani.blog.fc2.com/

とりあえず旧作の移行から始めておりますが、やっと第1作の移行が
完了しましたのでご案内させて頂きます。

今現在進行しているこのお話までは、こちらでUPして参りますが、
次回作以降はそちらで展開していこうと思います。
前スレも過去ログ入りしてるようですので、もし宜しければ旧作を
ブログの方でお読みいただければ幸いです。

では。

518名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 19:56:45.16 ID:XVtkciMW0
>>517
おお、乙です。
次作は、ここへ行けばいいのか。
秋葉原ミステリー劇場なのか。
519 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 :2011/11/04(金) 20:01:54.80 ID:XFUF60Ta0
>>517
四谷さんようやくブログ開設ですね。新作楽しみです。

四谷さんに質問なんですけど物語は一作書き上げて投稿してるんですか?
それともその場の思いつきで書いているのでしょうか?
意見も取り入れてストーリーもしっかりしているのでその場で書いてるなら
凄いと思います。
520四谷幸喜:2011/11/04(金) 20:09:34.54 ID:xHC/eFsw0
>>519

基本的には大枠の筋は出来上げてから書いてます。
紙に人間関係とトリック(まだまだ稚拙ですが)を書いてるだけの
ラフスケッチ程度ですが。
文章は時間が取れる時にある程度まとめて書いて
ますが、殆どその場で書いてますね。なので、結構検証が甘々ですw

皆さんのご意見は、非常に嬉しいですし、参考になるんですが今まで
途中で話を書き換えた事はありますけど…w

その場の勢いと、テンションを大事に書いてますので、今後もこの
スタイルでいこうと思ってます。
521 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 :2011/11/04(金) 20:47:56.13 ID:XFUF60Ta0
>>520
そうだとしたら凄いですね。俺なんて一気に一作書いてますけど
それでもグダグダになったりしちゃって繋げるのが大変なのでその場で
書いてるのであればレベル高いです。パロディですし、このままのスタイルで
お願いします。作品を見る度レベルは上がってとても面白いです。
522名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 20:58:25.20 ID:R1EiAy840
お疲れ様です!ところで順大で珠理奈の診察をした医者はひょっとして山の神ですか?w
523四谷幸喜:2011/11/04(金) 21:00:33.77 ID:8jZKx6+iI
>>522
お、気付いていただけました?
ちょっとした遊び心ですw
524名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 21:06:10.81 ID:M1h5oh4+O
>>517
お〜!早速ブクマしたww
525名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/04(金) 23:24:17.80 ID:AmN+OY7Z0
>>517
早速ブックマークさせていただきました!
これからも楽しみにしてます!

526名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 00:05:09.59 ID:Nk+wKk850
伊藤は絶対に許さない
527名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 02:07:21.44 ID:vUi9bBRl0
捕手
528名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 03:06:40.23 ID:5wQh3ePV0
保守
529名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 07:08:27.13 ID:nDHiVUmT0
早朝保守
530四谷幸喜:2011/11/05(土) 07:39:40.87 ID:oJUBNUIFI
おはようございます。

今日は午後からの更新になると思います。
宜しくお願いします。
531四谷幸喜:2011/11/05(土) 11:25:47.09 ID:FmSIO5mv0
古畑任三郎でした。


シーン26  5/17  14:37  車中

篠田麻里子の運転するミニヴァンは渋滞する都内を抜け常磐道に入った。
後部座席はフラットにしてある。
「ごめんね。無理行って。」篠田が珠理奈にバックミラー越しに話しかける。
「いえ。逆にありがとうございます。なんか、病院のベッドの上にいると
気が滅入っちゃって。外に出たいなって思ってたんですよ。」
珠理奈がバックミラーに笑顔を返す。

「痛みは…?手術明後日だっけ?」
「はい。明後日の1時からです。痛いけど…でも。もういいんです…」
珠理奈が窓の外をぼんやり眺める。
高速を降りた車は筑波山へと方向を向けた。大池公園から不動峠を登っていく。

「こんな急な山道を自転車で登ってたんですよね。私。なんか嘘みたいだなぁ。
でも、もう来る事もない…んだろうな。」珠理奈が寂しそうに独り言を言う。
「さ、着いたよ。車だとあっという間だね。あんなにしんどい不動の坂も。」
篠田は峠のてっぺんの広くなっている所で車を止める。

「大丈夫?おんぶしようか?」篠田が車椅子を降ろしながら聞く。
「あ、大丈夫です。自分で乗れますから。でも、車椅子、押してもらっていいですか?」
「おっけ。分かったよ。」
篠田は珠理奈の乗った車椅子を押して展望台への緩いスロープを上がっていった。

不動峠は観光客の多い他の道路と違い極端に交通量の少ない峠だ。
山頂のロープウエイに向かう車も登山客の姿も普段から余り多くない。
ヒルクライムの練習に来るロード乗りも午後のこの時間に走ってる者は殆どいない。
聞こえてくるのは鳥たちの囀りだけだ。
532四谷幸喜:2011/11/05(土) 11:27:00.05 ID:FmSIO5mv0
シーン27  5/17  15:45 茨城県筑波山不動峠

「珠理奈…ごめんね。」
篠田の声に珠理奈が振り向く。そこには拳銃を構える篠田の姿があった。
珠理奈に向けた銃口が細かく震えている。
「でもね。仕方ないの。分かってくれとは言わない。でも…」
篠田の眼は真っ赤に充血している。
「麻里子さん…一発でお願いしますね。痛いのイヤだから。
珠理奈は笑顔だった。柔らかい表情で篠田を見つめ、そしてそっと目を閉じた。
「珠理奈…?ひょっとして、こうなる事…」
篠田の眼から涙がこぼれる。珠理奈は眼をつぶったまま頷いた。


その時、数台の車が峠をものすごい勢いで登ってきた。急ブレーキの音とともに
ドアが開き数人の男が飛び出してくる。
「篠田!珠理奈!待て。待つんだ!篠田!」戸賀崎が叫ぶ。巨体を揺らしながら
展望台のスロープをかけ上がってくる。
「来ないで!お願い。来ないでください。」篠田は銃口を珠理奈に向けたまま言った。
「え〜…篠田さん。私、警視庁の古畑と言います。ひとまず銃を降ろしてください。
そんな危なっかしいモノ、可憐なあなたの腕にはとても似合いません。」
「刑事…?なんで警察が…?そっか、跡をつけられてたって訳ね。」
「いいえ、ガードの人には先ほど戸賀崎さんから厳しいお叱りの言葉が飛びました。
幾ら、あなたに強く言われたとはいえガードを解くのははっきり言って職務怠慢です。
しかし、最近の携帯電話には便利な機能が備わっているんですね〜」
「GPS…ね?」
「うふふふ。でも、恐らくここではないか…と予想はつきましたが。」


「そっか。あなたが古畑さん…。なるほどね。」篠田は何かを思い出したように言った。
「おや、私の事をご存知でしたか?」
「ええ。でも、もうわかったでしょ?全部私の仕業。次の標的はこの子。
私がこの引き金を引けば、また悲しい事件が起きる…」
「え〜…篠田さん。あなたが関わった2つの殺人は周到にトリックが用意されていました。
しかし…今回は頂けません。これは誰が見てもすぐに殺人事件と分かってしまいます。」
「2件?3件の間違いでしょ?」
「いえ。2件です。それに篠田さん。その引き金を引いても、珠理奈さんは殺せません。
死ぬのは…篠田さん、あなたです。」

「え…?」篠田が一瞬視線を外す。拳銃をチェックするように見回す。
その瞬間戸賀崎が篠田に飛びかかった。揉みあいながら篠田から銃を奪う。
「戸賀崎さん、お見事です〜。あなたは篠田さんの命を救いました〜。」
「どういう事?私が死ぬって?そうか、そう言って私の気を逸らそうと…」
篠田は倒れたまま古畑を見上げる。
「え〜…篠田さん、私は嘘をつくのが嫌いです。この銃には恐らく仕掛けがしてあります。
引き金を引いたら…そうじゃないですか?え〜…伊藤さん?」
古畑が藪の中に声をかける。木々の間から伊藤の姿が現れた。
533四谷幸喜:2011/11/05(土) 11:27:45.66 ID:FmSIO5mv0
続きは後ほど
534名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 11:43:18.58 ID:dy8hBNKK0
犯人を追いつめるのは崖の上じゃないとダメでしょ!
535名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 12:06:21.68 ID:gqieLNud0
すげー
536名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 12:41:14.01 ID:4F8VkKwVO
やべえ伊藤英明が嫌いになりそうだww
537名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 12:46:54.51 ID:bkLQoBZb0
麻里子の方だったかやるつもりだったのは…
伊藤めw
いよいよか…
538名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 14:44:32.61 ID:g0PWmR0rO
古畑が船越英一郎とダブったw
でもそんなの関係ねぇ!楽しみすぐる
539名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 15:39:20.38 ID:z+aBw4zn0
保守あげ
540名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 16:22:20.99 ID:SkesRnBA0
まだかー
541名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 16:23:04.43 ID:SkesRnBA0
やばいidが
542名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 16:29:30.64 ID:gqieLNud0
早く更新して
543四谷幸喜:2011/11/05(土) 16:57:36.48 ID:FmSIO5mv0
シーン27-1

「何の事ですか?おっしゃってる意味がわかりませんね。」
「おや〜…そうですか。では、伊藤さん、なぜここに?」
「僕は二人が姿を消したと聞いて、すぐにこの場所だと直感したので
先回りしてたんですが…余りの展開に飛び出すのをためらってしまいましたが。
戸賀崎さんは勇敢でしたね。僕なんて足がすくんでしまって。」
伊藤が苦笑いを浮かべながら話す。

古畑が首を傾げ笑う。
「え〜…みなさんお揃いになったようですね。では、ちょっと私からお話させて
頂きましょう。順を追ってお話いたします〜。」
古畑は両手の指を身体の前で組み、一人ひとりの顔を見回した。僅かに笑顔を見せる。
「まずは、最初の事件です。高城さんが殺された…」
「あれは事故だったんじゃないのか?」戸賀崎が声を上げる。
「ええ…事故が起きるように仕組んだ…と言ったほうがいいかもしれませんが。
篠田さん、あなたは事故直前、高城さんの自転車をチェックされていましたね?
信号待ちで後ろに並んでいたメッセンジャーの方がその姿を目撃していました。」
「…ええ。」


「事故後検証された高城さんのバイク、ブレーキには何の異常もありませんでした。
きちんと正常に効く状態でした。西園寺君。」
「はい。」西園寺が一台のロードバイクを押してきた。
「え〜…これは私のロードバイクです。うふふふ。新しく買ってしまいました。
色々と調べてるうちに興味が出て参りまして。さて、ちょっとご覧ください。」
古畑は後輪を持ち上げ回転させた。ブレーキを軽く引くと音もなく回転が止まる。
「え〜…ロードバイクというのは、実にメンテナンスがしやすく作られております。
ブレーキの効きの調整はここの…この小さなダイヤルを回すだけで強くも弱くも
出来ます。ん〜…緩めるにはこれを回して…」


古畑はブレーキワイヤーの張りを緩め再び後輪を持ち上げブレーキを引く。
ホイールは先ほどと同じように止まった。
「え〜…この状態だと40km/h近い高速で走ってると殆どブレーキは効きません。
更に、ロードバイクは簡単にホイールが外せるようになっています。このクイック
レバーを回して…その時タイヤがブレーキシューに引っかからないように、このレバーを
上げると…ほら。両側からホイールを押さえて制御するブレーキの間隔が広がり
全くブレーキが効かなくなります。実に簡単です。」
544四谷幸喜:2011/11/05(土) 16:58:43.62 ID:FmSIO5mv0
シーン27-2

「スゴイですね。古畑さん。ロードバイク買ったんだ。じゃ…簡単に見破ったって訳ね。」
そう、その通り。ブレーキがちゃんと効くように見せておいて、あきちゃがバイクに
乗ったあと後ろからそっとブレーキのレバーを上げるだけでシューの間隔は広がる。
事故の後、倒れてる自転車のレバーを元の位置に直すだけで終わる、簡単なトリック
だったんだけどね。」

「え〜…恐らく40km/hで走っていても両方のブレーキが効けば何とか自転車を制御する
事は可能だったでしょう。ところが、効いたのは前輪だけだった。恐らくは篠田さん、
あなたは前輪は逆に効きを強くしていたのではないでしょうか?高城さんはバランスを
崩し前方へ投げ出された…」
「参った参った。本当にお見事ですよ。じゃ、そろそろ次の種明かしを聞きたいな。」
篠田が土を払いながら立ちあがった。
「かしこまりました。」古畑が笑顔を見せる。


「え〜…しかし、次の事件は少々雑でした。篠田さん。確かに食中毒を装うというのは比較的
簡単なトリックかもしれません。いや、そのトリック自体は上手く出来ていた。
しかし、生肉を出すには厳しい規制が作られた事をご存じなかったようですね。
今のご時世、生肉を商品として出すには厳しい管理が求められます。
そんな背景もあって価格が跳ね上がってしまったのですが…」

古畑が一枚の紙を取り出した。
「これは保健所が事件後焼肉店を徹底的に検査したデータです。当日同じ食材を食べたと
思われる他の顧客への検証データも含まれています。結論から言うと、客に提供された
時点で劇症型の感染症を発症するような物質の検出は一切されませんでした。
篠田さん、これはあなたに最初お話を伺った時にも私の部下から説明した通りです。」
「ええ。」

「となると、横山さんは何者かによって感染症を引き起こす物を食べさせられた…
それが出来たのは篠田さん…あなただけという事になります。証拠は…ありません。
あくまでも可能性のお話です。ただ、これが事故でなく殺人なのでは…と簡単に
思われてしまったのは、いささか上手くありませんでした。」

「なるほど。でも、私の自供があれば…って事ですね。これも、おっしゃる通り。
由依がトイレに行ってる間にレバ刺しやユッケに菌を培養したものを混ぜました。
自宅に簡単な培養装置があるので、それが証拠になりますよね。」
545四谷幸喜:2011/11/05(土) 17:01:45.12 ID:FmSIO5mv0
シーン27-3

「古畑さん、もう面倒だから一気に終わらせちゃいましょ。玲奈を殺したのも私です。」
篠田が言葉を投げつけるように言った。
「え〜…篠田さん。捜査へのご協力、大変に感謝いたします。私も自分の力不足を
実感しております。篠田さんの自供無しでは事件の全容をつかむ事が出来ません。
しかし…ここまで来て嘘は良くありません。」

「嘘?これ以上嘘言ってどうするんです?玲奈をやったのも私です。お酒に酔ってる
所を呼び出して事故に見せかけて港から車を転落させたんです。」
「篠田さん…。先ほどの横山さんの件では、あなたの証言が大いに役立ちました。
自供として成立したのは、あの場合、物理的に犯行を行う事が出来た可能性があったのは
あなただけだったからです。ですが、篠田さん。玲奈さんの件は無理です。
あなたは、物理的にあの犯行を犯す事が出来ません。」

「…」
篠田の視線が宙を泳ぐ。まるで何か忘れ物を捜すように。

「篠田さん。あなたのtwitterは実に楽しいです。ユニークでウエットに富んだ
呟きで、しかもかなり頻繁につぶやかれている。写真の添付も多いですね。
玲奈さんの事件があったのは5/7の深夜から翌8日の明け方にかけて。あなたは
5/8に日付が変わる頃こんな写真を添付してつぶやきを発信しておられます。」
古畑が自分の携帯を篠田に見せた。

「え〜…この写真。ご覧ください。後ろに写りこんでいるのは高橋みなみさんですね。
この写真が撮影されたのは、あなたがつぶやきを発信する直前。
それは写真のExifから確認する事が出来ます。さらに高橋さんに確認させて頂きました。
この日、あなた方は収録で深夜まで都内に一緒にいらっしゃった。
朝までに名古屋に行き、そして戻ってくるのは不可能です。」


古畑が携帯を胸ポケットに戻しながら言った。
「え〜…篠田さん。あなたが犯行をしていない証拠はこうして見つかりました。
アリバイ工作は犯罪を隠匿するのも、そしてしてもいない犯罪をした風に見せかけるのも
…大変難しいものです。」
古畑は言葉を続けた。
「では、松井玲奈さんを事故に見せかけ殺害したのは誰なんでしょうか。

…え〜…それは、伊藤さん、あなたです。」古畑が伊藤に向かって言い放った。
546四谷幸喜:2011/11/05(土) 17:02:25.02 ID:FmSIO5mv0
更新スピードが遅くてすみません。

続きは後ほど。
夜遅くになると思います。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 17:09:33.67 ID:4F8VkKwVO
>>546
ゆっくりでも1個1個解明されてくwktkがたまらんよww
自分のペースでやってくれ
548名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 17:10:27.81 ID:dy8hBNKK0
玲奈を殺したのは伊藤だってことは読者は最初から知ってるのに「え〜では誰が殺したんでしょうか」みたいにやるのはおかしくね?
フーダニットでもない倒叙物でもない幼稚っぽい作品になってるよ
549名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 17:20:25.76 ID:gqieLNud0
>>548
古畑の発言だからふつうじゃないか?
特に違和感は感じないんだが
550名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 17:23:49.59 ID:8oDoNHTrO
>>548
劇中で、登場人物に説明してるんだから問題ないと思うけど…
古畑本編でも「一体誰が殺したのか!?そうあなた以外にはありえないんです!」
みたいな台詞はよくあったよ
551名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 17:38:23.45 ID:8oDoNHTrO
ただ、生物系の研究やってるせいか
横山殺人のとこは違和感があるかも…

雑菌をただ大量に培養しても人を殺すくらいにはなかなかならないです…食品に仕込んでも匂いで気付かれます
食中毒の原因菌、しかも毒性の強いものを雑菌の中から単離してきて培養するには、専門知識と設備がいるし…
ウィルスの培養はさらに難しいですよ
ノロウィルスとか、今の技術じゃ人工的に培養できんし…
552名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 17:48:45.50 ID:a/h4m/By0
>>551
所詮フィクションですから、その辺は大目に見るしか無いでしょうね。
553名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 18:27:21.89 ID:UJPMK1wI0
批評はとりあえず終わってからにしようよ
554四谷幸喜:2011/11/05(土) 18:51:35.84 ID:FmSIO5mv0
シーン27-4

伊藤は古畑のほうに笑いながら歩み寄った。
「ははははは。何を言い出すかと思ったら。古畑さん、いけないなぁ。もっとちゃんと
論理だてて話をしてくれないと。篠田が玲奈を殺す事が出来ない事は分かった。
でも、なぜそれが僕が犯人ってことになるのかな?」
伊藤の笑い声は林の中で甲高く響いた。

「え〜…伊藤さん。あなたは大変な自信家のようです。まさか、自分に疑いが向くとは
思っていなかったようですね。そして、万が一の場合でも篠田さんがあなたを庇う
事を読んでいた。しかし、伊藤さん。警察は、いえ私はそんなに甘くありません。
得てして自信家の犯罪者ほど初歩的なミスを犯すものなのです。」

古畑は携帯電話を取り出した。先ほどとは違うものだ。

「こちらは、亡くなった松井玲奈さんの携帯電話です。水没しておりましたが
中のデータを復旧させる事は今の技術では難しくありません。伊藤さん、玲奈さんが
亡くなる直前にあなたが玲奈さんと会っていた事は残されたメールのやり取りからも
明らかです。」

「なるほど。僕が玲奈を殺す事が出来る可能性はあった…そういう事ですね。
先ほどからのあなたの言葉を引用させて頂くと。しかし、残念ですね、古畑さん。
僕は篠田と違って自供などしませんよ。これ以上、僕が犯人だという決め手は
ないのでしょう?」
伊藤の余裕はまだ消えない。古畑は分かっていると言わんばかりに笑みを浮かべる。

「え〜…しかし、伊藤さん。あなたは犯人しか知りえない事をご存じだった。
それは、この恐ろしい連続殺人があなたの手によるものだという何よりの証拠には
なりませんでしょうか?」

「…僕が何を知ってたというんだ?」
伊藤の表情が一瞬曇った。
555四谷幸喜:2011/11/05(土) 18:52:53.59 ID:FmSIO5mv0
シーン27-5

西園寺が何枚かの紙を古畑に手渡した。
「え〜…これは、戸賀崎さんに届いたメールをプリントアウトしてきたものです。
伊藤さんもご覧になった事がありますね?」

「ああ。それが?」
「実は、このメールですが、発信されたのは…伊藤さん、あなたです。」
戸賀崎が驚いて顔を上げる。
「伊藤さん、あなたは実に大胆なお方です。すぐ横にいる戸賀崎さんに、まさに
これ以上ないタイミングでメールを送られたいたんですね。伊藤さん、メールの
発信元というのは、実は非常に簡単に割り出せます。これもあなたの油断ですか。」

「…」伊藤の表情から笑みが消えた。
「ん〜…伊藤さん。なぜあなたが戸賀崎さんに犯行のヒントになるようなメールを
送った事は今はお聞きしません。しかし、あなたは犯行が起きる前に、次に誰が
ターゲットになるかを伝えてきた。これは、犯人でないと知りえない情報です。
そして、篠田さんをも狙った事も分かる。まさに、一連の事件全てに関わっていた
事を示す証拠となるものです。」

「まず、最初のメールです。写真が2枚。地図に赤く丸で囲まれているように
これはフランスのリムーという街とフォアという街の写真です。
そして、2通目に添付されていた写真。これはルシアン・ビュイスという自転車
選手の写真だそうです。だね?今泉君。?」
「そうです。ルシアンは実にユニークな選手でした。彼の強さは何よりも山岳にあって…」
「今泉君。もういいよ。そこまで。うふふふふ、失礼しました。」

伊藤の表情は動かない。戸賀崎もまだ何を言ってるんだ?という顔だ。
「では3通目のメールに添付された写真。これもフランスの街の写真です。
ポーという街とバニェール・ド・ルション。え〜これらの街は全て、今年の
ツール・ド・フランスのスタートそしてゴール地点です。

最初のメールは第14ステージ、3通目は第16ステージ。そして、ルシアン・ビュイスは
第20代のツールチャンピオン。私はこのメール、何かの共通性がある…そう直感しました。
犯罪者がメッセージを残す時、それが複数であるとき、必ず何か共通の事項がある。
伊藤さん、この場合は…数字です。」
556四谷幸喜:2011/11/05(土) 18:55:17.32 ID:FmSIO5mv0
ここまで何とかUPしました。

一気に終わりまで行きたいところですが、今夜は時間が
取れるかどうかまだ分かりません。
明日はお休みなので深夜にUPするか、明日になるか…

引っ張ってすみませんです。

あ、ブログ方。まだ1作目しかUPしてませんが、ご覧になってくださった方、
遠慮なくコメントとかしてくれたら嬉しいです。
557 忍法帖【Lv=18,xxxPT】 :2011/11/05(土) 21:31:57.03 ID:Cwdfjh7r0
時任三郎
558名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 22:03:44.29 ID:5wQh3ePV0
風呂入ったら忍者風呂でした
559名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 23:40:19.95 ID:A4Dv5BN4O
鑑識は六角精児かな?
560四谷幸喜:2011/11/05(土) 23:46:38.55 ID:FmSIO5mv0
シーン27-6

「数字?…14、20、16って事か?」戸賀崎が聞く。
古畑が頷く。話を続ける。
「あとひとつ、謎を解くためにはこの写真が必要でした。」
古畑がオーストラリアの写真を見せる。メールに添付された南北が逆さまに描かれた地図だ。
「え〜…この写真。実はオーストラリアでは比較的良く目にするものです。
ダウン・アンダーとかセントラル・アンダーとか呼ばれてます。元々、ヨーロッパでは
オーストラリアが地球の反対側に位置する事からダウン・アンダーという言い方を
しておりますが、オーストラリアの方からすればこれは失礼な話です。と言う事で
自分たちを上に表記するこの地図が多く書かれるようになったんです。さて、このメール
ですが、添付を開封した時写真や地図が均等に中央寄せされいる事が分かります。」

「ちょっと待ってくれ。すまん、意味が全然分からない。古畑さん、さっきの数字と
オーストラリアがダウン・アンダーと呼ばれてる事。俺にも解るよう説明してくれ。」
戸賀崎が厳しい顔で古畑に詰め寄る。

「分かりました。では、戸賀崎さんに質問します。AKB48、14枚目のシングルは?」
「なんだ、こんな所でクイズか?…RIVERだろう。」
「では、20枚目、16枚目は?」
「そんなもの…う〜ん…と。」戸賀崎が答えに詰まる。
「え〜…戸賀崎さん、あなたが答えられなくてどうするんですか?私は1枚目から全部
空で言えますよ。20枚目は桜の気になろう、16枚目はポニーテールとシュシュです。」
「お…俺だって、最初から数えていけば言えるさ。で?それがどうしたんだ?」

「戸賀崎さん。そろそろ気づいてください。」古畑が笑みを浮かべる。苦笑いだ。
「え〜…14、20、16枚目、それぞれのシングルのカップリング曲、アンダーガールズの
センター的ポジションで歌われたのは誰ですか?」
戸賀崎がはっと顔を上げる。
「伊藤…お前なのか?お前が…」戸賀崎が震え始める。怒りの感情が溢れてきたようだ。
561四谷幸喜:2011/11/05(土) 23:47:39.23 ID:FmSIO5mv0
シーン27-7

「そして、伊藤さん、あなたは次の犯行を企てた。メールにはまず写真と地図。
マコンとベルガルド・シュル・バルスリーヌ。ツール第10ステージのスタートと
ゴールです。そして第24代チャンピオンのアンドレ・ルデュクの写真。しかも、
今回は写真も地図も逆さまになっていなかった。戸賀崎さん…今度はアンダーでなく…」

「10枚目のシングルのセンターは珠理奈…24枚目は篠田…伊藤、そういう事なのか?」
「いかがですか?伊藤さん。このメールはすべてあなたが戸賀崎さん宛てに送った
ものです。事件の起こる前、次に誰が犠牲になるのか…
知っているのは犯人意外…ありえません。」

「くっくっくくく…あっはははっはは。」
突然伊藤が大声で笑い始めた。

「戸賀崎さん。アンタ達が見る目がないせいだぜ?俺が、どんな苦労をして海外の
エージェントを引っ張ってきたと思ってるんだ?国内の小さな市場でチマチマ
やってたっていつまでもビッグビジネスなんて出来ないんだよ。それには、誰を
売りだせばいいか。そんな事分かってるじゃないか。珠理奈だよ。
他に誰がいるってんだよ。向こうだって、アジア市場を重要視してる。あいつ等が
求めてるものをアンタらは全く分かっていない。なんで、この話に高城なんだ?
横山なんだ?玲奈なんだ?日本のファンに運営の好き好みでゴリ推しするとは
訳が違うんだよ。」
伊藤は強い口調で言った。時折笑みをこぼしながらだ。

「え〜…伊藤さん。あなたは篠田さんの事は…?」
「ああ、いずれ邪魔になる時が来るとは思っていたさ。ただ、幾ら俺がこれまで
ガマンしながらやってきたとはいえ、直接メンに深入りするには時間が足りなかったからな。
珠理奈にも近いし、一番使いやすかったしな。
幸い男に免疫が余りなかったみたいだったから、言いなりになるのに苦労無かったしな。
俺の指示通り動いてくれたさ。」

篠田の表情は伊藤の冷酷な言葉を聞いてもそれほど変わらなかった。
むしろ吹っ切れたような笑みを浮かべてるようにも見えた。
「珠理奈までか?」戸賀崎は今にも伊藤に掴みかかろうとしていた。
「ああ。そうだよ。麻里子を銃の事故で殺した後、俺が自分でな…。何しろこいつには
今まで一番手をかけてきたんだからな。誰かにやらせるには勿体ない。」
伊藤が笑った。

「伊藤さん。あなたは間違っています。」古畑の声は苦々しい。
「いや、お前は狂ってるんだ。伊藤。」戸賀崎が伊藤の胸倉を掴んで言った。

「狂ってる?ああ、そうさ。この世界まともじゃ生きていけないんだよ。
いいか。大体なんで俺が役者の道を捨てて、こんなアホみたくガキのお守りを
してきたと思う?
もううんざりなんだよ。役者なんて使い捨てさ。
上の意向で右を向かされたり左を向かされたり。
馬鹿みたいに扱われてもらう金なんてたかが知れてる。何千万?何億?
俺はその何倍も何十倍も何百倍もの金が動く事を知ってた。
俺が勝負するのはそっちの世界なんだ。だから、俺はその使える場所を探した。
それはすぐに見つかったよ。しかも、アンタら無能な運営のせいで、
全然その素材が活かされてない場所がな。」

伊藤は戸賀崎の腕をふりほどいた。
562名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 23:47:50.02 ID:trh9qKV60
古畑のBGMではなくて、聖母たちのララバイが流れてる
さあ〜眠りなさい 疲れ切った〜♪
563四谷幸喜:2011/11/05(土) 23:48:09.27 ID:FmSIO5mv0
シーン27-8

「伊藤さん…伊藤さんが私の事を目にかけてくれていた事は本当に感謝します。
あなたがいなければ、私はあのまま次の夢を見る事無く終わっていたと思います。
だから…でも、そのために他の人の命を奪うなんて…私がいなければ、こんな恐ろしい
事は起きなかった…」
珠理奈が絞りだすような声で言った。
「麻里子さんが伊藤さんと付き合ってた事も知ってました。」
「珠理奈…そうなの?」
珠理奈は頷いた。
「私、いつまでも子供じゃないもん。麻里子さん見てたら分かった。今までと
違うなって。なんか可愛かった、恋してる麻里子さんって。相手が伊藤さんって
分かったのはつい最近だけど。」

珠理奈の顔には穏やかな笑みがあった。静かに言葉を続ける。
「だから、私の事が邪魔になったなら…私がいなかったら…って思ったから。
それで麻里子さんが…ならって。だって、私もう生きててもあんまりいい事
なさそうだから。」
「え〜…珠理奈さん。あなたはまだお若い。まだあなたにはやらなくてはならない
事が山ほど残っています。」
古畑が声をかける。
「古畑さんよ。アンタに何が分かる?もうこいつの羽は折れてしまったんだよ。
もう飛べないんだ。飛べない鳥は…空に羽ばたけない鳥は、こいつの言う通りさ。
生きている意味なんてないのさ。」

「伊藤さん、見る目が無いのは…え〜…あなたの方だったようです。」
古畑が戸賀崎に目配せをする。戸賀崎が一通の封書を取り出した。
564四谷幸喜:2011/11/05(土) 23:48:32.85 ID:FmSIO5mv0
シーン27-9


「今朝届いたばかりだ。タランティーノの直筆だよ。珠理奈…お前宛てだ。
俺は英語は全くわからんかったから、ここに着くまでにそこの刑事さんに
訳してもらってた。西園寺君といったな。珠理奈にこれを渡してもらえるか?」
西園寺は手紙を珠理奈に手渡した。

「え〜…珠理奈さん。どうぞ。良かったらそこのお二人にもわかるよう、訳しながら
読んで頂いても宜しいでしょうか?」

「はい…えっと…親愛なるjurina。僕は今回の悲しい出来ごとに心から胸を痛めている。
君と君の大切な人に起きた不幸にお悔やみを言わせて頂くよ。今、君の側に
いれない事をどうか許して欲しい。
そして、君の身体の事も聞いたよ。とても驚いた。もうあの激しいパフォーマンスを
見れない事はとても残念なことだ。しかし、一番気を落としているのはきっと君だ。
しかし、今は身体を労わる事を一番に考えて欲しい。
君の執刀を行うドクターはその分野の権威だと聞いた。僕は手術の成功を信じている。
そして、早く君に会えるのを楽しみにしているよ。」

珠理奈は顔を上げた。篠田の方を見る。
「続けてください。」古畑が頷く。

「僕は君にとびきりのストーリーを用意している。とてもハッピーなラブストーリーだ。
少女が恋を知り大人への階段を登っていき、最後は世界で一番の幸せを手に入れる。
ぜひ、このストーリーを君で撮らせてほしい。jurina、君の鮮やかで美しい羽は
決してハードなアクションやパフォーマンスだけではない。僕は君のまだ誰も
見たことがない新しい翼で羽ばたく姿を全世界に見せてあげたいんだ。
一日も早く君の笑顔に会える日を楽しみにしている。」

突然篠田が泣き崩れた。
「良かった…良かった。珠理奈…良かったね。ホントに…」
565四谷幸喜:2011/11/05(土) 23:48:49.52 ID:FmSIO5mv0
ラストシーン


伊藤が項垂れてパトカーに乗り込む。
その表情からはふてぶてしい笑顔が消え、喪失感で一気に老けこんだように見えた。
「戸賀崎さんさん…ありがとうございました。いえ、本当にごめんなさい…」
「それは珠理奈に言ってくれ。」戸賀崎は篠田に背を向けて言った。
「私…正直、麻里子さんが何でこんな酷い事をしたのかわかりません。でも…
あと5年経ったら…ちょっとは理解できるのかもしれませんね。」
珠理奈は言った。
「5年もかからないかもね。珠理奈なら。」
篠田が笑って古畑に向き合った。
「古畑さん。ロードバイクって楽しいでしょ?」
「ええ〜正直、私にはちょっと難しいようです。あの、ペダルとシューズがくっついて
いるのがどうも…何度も立ちゴケしてしまいます。」
「一度この峠を登ってみる事をお勧めしますよ。古畑さんなら…20分切れたら合格かな?」
「うふふふふ。ぜひいつかチャレンジしてみます。」

古畑はそっと右腕をパトカーの方に向け差し出した。
566四谷幸喜:2011/11/05(土) 23:49:16.11 ID:FmSIO5mv0
このお話はフィクションです。実在する人物・団体とは
一切関係ありません。また古畑任三郎は架空の刑事です。










脚本  四谷幸喜(愛車はKUOTA KREDO ULTRA + ZIPP 404&808)
567四谷幸喜:2011/11/05(土) 23:49:50.70 ID:FmSIO5mv0
第4段作品、これにて完結です。

まずはお詫びを。

この作品終盤で「運営のゴリ推し」という表現がありましたが、私は決して
実際の運営に批判的な考えを持っておりませんし、高城さん、横山さん、
松井玲奈さんは、とても大好きなメンバーです。誤解なきようお願いいたしますw

それから、途中でもちょっと申しましたが、私の作品は本当に古畑好きの方に
とっては納得のいかないものかと思います。ご指摘の通り、展開が本家作品から
大きく乖離してしまっており、その事でご気分を害された方へはお詫び申し上げます。

しかし、最後までこうしてお付き合い頂けた事は何より嬉しい事です。
ご案内の通り、次回作からは新しく開設したブログの方で展開して参りますが、
このスレで皆さんから多くの励ましや応援を頂けてとても嬉しかったです。

ぜひ、どなたかが次の作品をUPして頂ける事を心待ちにしたいと思います。
もちろん、これからもここには頻繁にお邪魔させて頂きます。


最後になりましたが、こんな拙い作品に最後までお付き合いくだって
本当にありがとうございました。心からお礼申し上げます。
568名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 23:56:14.36 ID:tRkpKw2C0
>>567
最初の作者さんからのスレをひとりでdat落ちすることなく作品を
ここまでつなげてきたわけですから
謝ることなど何一つないと思います
次回作はブログの方で待ってます
とりあえずはお疲れ様でした

ただ、このスレの今後が心配www
569名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/05(土) 23:57:55.51 ID:LV2xyJvB0
前スレから拝見していましたが本当文章力ありますね!
毎日楽しみにしていました。
最後の作品はつまらなかったですが、
これからはブログも見に行きます。
おつかれさまでしたm(_ _)m
570名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 00:00:22.22 ID:dy8hBNKK0
船越英一郎とか森本レオとかのイメージしか浮かんでこない
田村正和のイメージは全くない
571名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 00:06:24.36 ID:bkFF56lL0
お疲れ様でした。
これからも頑張ってください!
572名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 00:06:28.81 ID:XaFggLnp0
じゅりなああああああああ

生きててよかった…

四谷乙
573 忍法帖【Lv=15,xxxPT】 :2011/11/06(日) 00:07:21.22 ID:/KqapWhP0
お疲れ様でした。古畑らしくないですが、新たな視点、観点で書かれた
物語はとても面白かったです。これからブログになりますが楽しみにしてます。
574名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 00:23:09.45 ID:Wj2uHHwE0
四谷氏、お疲れ様。
birdの歌詞がちりばめられとるw
次からはブログか……寂しくなるなあ  さて次の作者を気長に待ちますかね
575名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 00:30:21.87 ID:3KHdEcuO0
四谷さんお疲れ様でした。
このスレに書き込むのははじめてですが、
毎日楽しみに読んでました。
自分の推しが登場しなかったことだけがこころのこりですがw
ブログも楽しみにしています
576名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 00:35:56.94 ID:XmovMdWCO
お疲れ様でした!
いや〜面白かったっす
ちゃんとヒント出てたんだな
珠理奈が君好きと偶然の十字路踊ったって
最後になるまで気付かなかったけどなww
577名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 00:37:15.95 ID:XmovMdWCO
あともう一個、ブログ楽しみにしてます!

さて、このスレは本当どうなるんだろうなww
578名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 01:12:31.36 ID:88zo4lR40
楽しかった。麻里ちゃん逮捕は悲しいけどw個人的にはたかみなが犯人になる話が
王道っぽくて好きですね。

ブログ楽しみにしてます!
579名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 01:19:36.08 ID:Gk+SR1Zr0
今後はブログで書かれるそうですが、このようなサスペンス風なスタイルで書かれるのであれば、古畑任三郎というキャラクターはやめて、別の刑事にしたほうがいいと思います。

例えば、マジすか学園で高橋みなみが刑事をやったように、たかみな扮する刑事がAKBの中で起こった事件を解決するという物語とか。
580名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 01:44:35.48 ID:e4NKH5Kh0
>>577
まあ古畑っぽくないと批判がくる(スレタイ的には当然か)+四谷氏力作の連続の後は書きにくいよなー
これから書く人がいるならば気負わずに楽に書いてほしいわ
俺みたいに面白けりゃなんでもいいって人もいるはずw

四谷さんお疲れさま、ブログ楽しみだよ
581名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 01:51:05.75 ID:f6h5H1kz0
まー気軽に推理小説かけちゃう方がおかしいわけで、四谷氏は特殊だろw
582名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 02:31:11.94 ID:ybeSSNEw0
四谷さんお疲れ様でした
自転車やツールドフランス、タランティーノさえ興味ない自分って損してるのかなと思った
前作はかまいたちの夜っぽくてワクワク出来ましたありがとうございました
583名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 04:03:02.80 ID:B3OYelWR0
俺はあまり趣味性の強さに走った内容は興味がない者には読み辛いと感じるだろうなと感じた
事実俺がそうだったし、そういう部分はスッ飛ばし気味に読んでしまった
584名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 04:31:32.00 ID:npCBkjNI0
俺もどっちかっつーとそのタイプだが
それは普通に読者しててもあるな
585 忍法帖【Lv=15,xxxPT】 :2011/11/06(日) 04:58:34.11 ID:/KqapWhP0
古畑に縛られてしまうと四谷さんの後でなくとも書きづらい。
だがこのままdatしてしまうのももったいないよなぁ。

誰か書いてくれる勇者がいればいいんだけど。
586第?番目の作者:2011/11/06(日) 05:38:55.33 ID:hayFv3Dj0
四谷さんお疲れ様です。

こちらで書かれるのが最後というのは残念ですが。
ブログの方も読ませていただきますね。


私が四谷さん作品で好きだったシーンを勝手に語らせていただきます。

1.仲俣・渡辺編最後の握手会のくだり
それまでの真相を語る場面は悲しい話なんだけど、
最後がオチとしての味付けが効いてる。
たぶんドラマならあそこでBGMが変わるんだろうなと
スムーズに想像ができた。

2.大家・指原編解決編前の萌乃が古畑に会いに来て会話するシーン
確かに反則技ではあるんだけど、会話の内容が萌乃の生死を
微妙にはぐらかすような書き方で上手いと思った。
異色会として1話くらいあってもいいのではと思えた。

587第?番目の作者:2011/11/06(日) 05:47:42.10 ID:hayFv3Dj0
現在、書きたいプロットがだいたい出来上がって、
これから文章化していくところです。
しかし、ここからが時間のかかるところでしょう。

姑息な手段ですが、UPが可能になるまでの間
予告CM的なものを何本か載せてつないでいきたいと思います。


できればそれまでに別の方の作品が続いていくを願っています。

588第?番目の作者:2011/11/06(日) 05:53:13.79 ID:hayFv3Dj0
予告CM 古畑編


「古畑任三郎です。
えー、今回の犯人は私が今まで出会ってきた犯罪者のなかでも特に若く、
そして、やはり美しく、最も華やかな女性です。
くれぐれもあんなの美しくなんかないなんて言わないでください。主観の問題です。
お楽しみに」


古畑任三郎
vs
AKB48

現在制作中

589名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 06:05:05.02 ID:g3Yh415P0
楽しませて頂きました
ありがとうございます
590杉上左京:2011/11/06(日) 06:48:21.66 ID:/KqapWhP0
コメントで四谷さんに刺激されて書いた新作が出来上がりました。
古畑ではないので新たにスレを立ててやりたいと思います。
四谷さんの作品に比べると雑で読みづらい点も多々あるかもしれませんが
読んでもらえれば幸いです。

[小説]杉下右京vsAKB48[相棒]
http://hato.2ch.net/test/read.cgi/akb/1320529311/
591名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 08:23:49.80 ID:zBczUYJI0
寝ている間に完結していた。少し難しい内容だった。

ご苦労さん。次回作も期待している。



別のシリーズも始まったようだ、俺も金田一耕介でも登場させて企画するか。
構想10分、製作1年の超大作を。
592名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 10:57:29.89 ID:Id2GEjoA0
派生スレが大量にwww
593マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/06(日) 11:04:59.33 ID:ZWIcCzlKO
真っ暗な部屋に真っ黒な服を身に纏った男
スポットライトが当たり振り返る

「皆さん、人を欺くためにはどうしますか?
真実の中に偽りを隠す、偽りで偽りを塗り固める
他にも証拠を消す、アリバイを作る、トリック使う…

んー…答えはありませんーすみません
わたしは見破ります絶対に

ですが一つだけ最も見破られにくい方法があります、それは…」

チャ〜チャチャチャ〜チャチャチャチャチャチャ〜チャ〜チャチャチャ〜チャチャチャチャチャチャ〜…



特別篇『最後のサプライズ』


594マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/06(日) 11:32:32.31 ID:ZWIcCzlKO
某月某日
彼女たちは東京ドームにいた

東京ドームコンサート、それは彼女たちの最大の目標であり夢
そんな大事なコンサートが一週間前に迫っていた

「はい、みんな集まってー」

高橋がリハーサルのためにメンバーを呼び集める

「えー、大事なコンサートまであと一週間を切りました
まだ大まかなことしかやってないし立ち位置、移動、たくさんやることはあります
ファンの方に見に来ていただく方に最大限のパフォーマンスができるようにがんばりましょう」

高橋がその場をまとめると各々練習や打ち合わせに取りかかる
今や国民的アイドルと称されるAKB48
多忙のためにテレビ出演、歌番組は常のことソロ、ユニットでの活動まである
なかなか全員参加の難しい状況
そんな中でのコンサート予行は熾烈を窮めていた

「大変みたいだね」

中年で小太りの眼鏡をかけた男が客席に座り彼女たちの姿を見下ろしていた

「はい、忙しいですからね
メンバーは皆両立に追われていますよ」

その横に座る恐持ての風貌の男
この2人こそがAKB48の全ての作詞を努め総合プロデューサーでもある秋元康と劇場支配人戸賀崎智信である
595四谷幸喜:2011/11/06(日) 11:53:29.21 ID:Bq5V1Tnl0
みなさん、こんにちは。

いや〜、新しい作品がUPされていたり、別スレが立ちあがったり…
なんか、とても嬉しいですね。ぜひ、皆さんの作品、楽しみに読ませていただきます。


私の方は、先ほどこれまでの4作品をブログの方へ移行完了しました。
次作からはそちらの方へUPさせて頂きたいと思います。

http://4tani.blog.fc2.com/

週明けそれほど時間を置かずにスタート出来ればいいなと思っております。

また、皆さんにお聞きしたい事があります。
私のこれまでの4作で、どれが一番気に入って頂けたでしょうか?
どの辺りが良くて、どの辺りが良くなかったか…
ぜひ、次回作以降の参考にさせて頂きたいと思います。
こちらでも、ブログの方へコメント頂いても結構です。
お時間ある方は、なにとぞ宜しくお願いします。

あ、全部つまんなかったよ!って意見でも…もちろんOKですw
596名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 12:13:58.85 ID:VDdX/IPgO
マンダムまだー
597名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 12:18:58.14 ID:733ebcoTi
やっぱりメンバー全員vs古畑がいいよね
598マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/06(日) 12:32:10.82 ID:ZWIcCzlKO
「よし、じゃあそろそろ」

高橋はスタッフたちに声をかける
彼女もまた仕事が立て込んでいた

「後は頼むね」

秋元才加や柏木、同じキャプテンに声をかける
そして同期たちにも一声かけた
そして最後に前田にも

「あっちゃん、後任せたね」

「うーん」

携帯をいじりながら前田は答える
前田はいつもこの調子だ
それでもいつも本番までにはきちんと仕上げてくる
高橋は仕方なく思っていた

「じゃあ…」

高橋は姿が見えなくなるまでスタッフにメンバーに頭を下げながら消えていった



「やばいな」

裏手に回ると高橋は小走りで控え室に向かった
分刻みのスケジュール
本番一週間前ということもあって熱が入り長引いてしまっていた

「一旦汗流して着替えて急いでタクシー飛び乗ったら行けるかな」

慌てたままもう彼女は上着を脱ごうとしていた
すると突然後ろから声が飛んでくる

「高橋」

こんなときに誰?!と内心苛つきながら振り返る

「あっ…」

そこにいたのは秋元康だった
599名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 12:41:57.94 ID:8VFTNxMgO
マンダム氏がんばって!
600マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/06(日) 12:46:29.92 ID:ZWIcCzlKO
秋元がゆっくりと近づく
高橋はきっちりと向き直した

「どうだコンサートのほうは」

「なかなか厳しいですね、みんなそれぞれお仕事がありますし」

そんなに落ち着いて話している時間はない
高橋はそう思っていた

「話がある少し来てくれ」

「え…これから仕事があるのですが…」

「すぐに終わる」

半ば強引に高橋はついていかされる
仕事は押しているが秋元の頼みとあらば仕方ないと無理矢理気持ちを押さえ込んだ



秋元に連れられ個室に入る
小さなスペースに机と椅子が2つ

「座ってくれ」

促されたほうの椅子に腰かける
秋元はその対面に座る
ほんとうにすぐ終わるのかと高橋は焦りを感じていた

「話ってなんですか?」

焦らすように高橋は訊ねた
秋元は目線を机に落とし何か決心をするように一呼吸おいた
再びその視線が高橋に向き直ったとき秋元は口を開いた

「今度のコンサート…東京ドームコンサートがあるよな」

「はい」

「・・・・・」

「なんですか?」

「次の東京ドームコンサートをもってAKB48は解散する」

601マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/06(日) 12:48:36.69 ID:ZWIcCzlKO
もしもしからなのでパソコンから見たときどうなっているのかわかりませんがすみません

続きは夜に
稚拙な文と普遍な展開ですが最後までお付き合いください
602名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 12:59:46.02 ID:5WqsgOJ/0
ところで四谷さんは別スレで

>私がいつも一番力を入れて書いたのが、冒頭の導入部分。
>事件が起きるまでのところです。

と言ってるから最初から倒叙物の古畑シリーズを書くつもりはなかったんだなw
古畑の名前に寄生してたみたいでちょっと気分悪いな
603名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 13:05:59.06 ID:npCBkjNI0
なんだお前は
604四谷幸喜:2011/11/06(日) 13:31:08.54 ID:Bq5V1Tnl0
>>602
えっと、ちょっとすみません。

寄生って言われちゃうと確かにそうかもです。
私は、古畑シリーズを忠実に再現する事にそれほどこだわっていませんでした。
むしろ、人物の心情とか感情表現とか、そっちのほうが書きたかったのかもしれません。
そういう所が「古畑じゃない」とのご指摘を生んだ事は、私も十分承知しています。
それを快く思われない原作ファンの方にはお詫びするしかありません。

ただ、古畑任三郎というキャラクターを登場させたかった事もまた事実です。
今でも今シリーズにおいて、欠く事の出来ないキャラクターであったとの思いは変わりません。

「自分書きたいものを書くのはちょっと違う」というご指摘を頂いた方もいらっしゃいましたが、
やはり私は自分が好きなように好きなものを書いていきたいと思っています。
これからは、更に自由な形でお話を書いていこうと思います。

マンダムさん、お邪魔してごめんなさい。
これからも楽しみにしていますね。感想などは、コテ外してさせて頂きます。

では。

605名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 14:00:28.53 ID:Wj2uHHwE0
新しい作者来たか
あっちゃん……携帯イジリながらw
解散がらみかあ wktk
606名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 15:48:59.39 ID:zBczUYJI0
四谷氏、いちいち気にするな。ここはAKB方式で試行錯誤、数打ちゃ当たる
の精神で行こう 次回作待っている


別の作者によりAKBがかいさんしてしまうようだが・・・・
607杉上左京:2011/11/06(日) 15:52:49.57 ID:/KqapWhP0
別の作者が現れたようですね。今回は解散という大胆なところからですか。
どんな作品になるのかとても楽しみです。
608名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 17:02:01.17 ID:FHM1qQZv0
>>602
私見ですまないが冒頭の導入部分って結構重要だと思う。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 17:25:55.28 ID:TeZdU/wI0
秋元と戸賀崎の秘密の関係を皆に打ち明けるかどうか高橋は悩んでいた。
高橋「思い出すだけで寒気がするよ…」
そんな高橋に気付き峯岸が声をかける。
「どうしたよ?たかみな、元気ねーじゃん」
「みぃちゃん、実は…」
するとドアが開き体躯の良い男性が入ってくる。
男性と高橋の目が合って高橋は口を閉じる。
「おはようございます、戸賀崎さん」
峯岸が言う。
「あぁ、おはよう、高橋、ちょっと話があるから私の部屋へ来てくれ」
高橋が無言で頷く。
「呼んだのは何故だかわかるな?」
「…昨晩のことですよね?」
「ふむ」
「あれは一体どういうことなんですか!説明してください!」
「いや、秋元先生はちょっと、こっち系でな…」
高橋は頭を抱え混乱する様子を見せる。
ハタチになった女の子には刺激が強すぎただろう、戸賀崎がすぐさまフォローを入れる。
「裸の付き合いってやつだ」
高橋は首を振るだけだ。
610山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/06(日) 17:49:24.02 ID:6w6k9e2UQ
アッー
611名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 17:52:07.35 ID:XmovMdWCO
>>609
あったなそういやww
612マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/06(日) 20:03:41.44 ID:ZWIcCzlKO
解散、その言葉の意味が高橋には最初わからなかった
頭の中であらゆる憶測が飛び交う
いくら考えても答えは一つだった

「か、解散って…まさか…」

「そうだ、AKBを解散させる」

戸惑いしかなかった
否、戸惑うなというほうが難しいのではないのか

「そんな…いきなり解散だなんて…急すぎます!」

「もう決めたことだ」

「コンサートまでのみんなのモチベーションはどうすればいいんですか!?」

「だから君にだけ話した、このことはサプライズだ」

何がサプライズだ
心の中で浮かんだ言葉を必死に飲み込んだ
それでも解散ということに理解できるはずもなく高橋は机をひたすら見つめる
何も考えていない
否、考えることが多すぎてどうしていいのかわからないというほうが正しいか

「話はこれだけだ」

「・・・・・」

「すまないな、仕事が詰まっているのに」

「・・・・・」

放心している高橋
秋元の言葉などもう耳に入っていなかった
その変わりに涙が溢れた
そして殺意がわき上がった
613名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 20:56:48.96 ID:xN2MYU9q0
進んだな
614名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 21:19:01.12 ID:Wj2uHHwE0
殺意きたー
たかみなが秋Pを……か
それとも他のメンも加わるのか うーん
615名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 21:28:40.84 ID:5WqsgOJ/0
解散って言われて殺意わくかね?
それだったらSDNメンはみんな秋Pに殺意持ってることになるけど
616名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 21:48:49.71 ID:/KqapWhP0
今まで四谷さんの高度な作品が多かった分こういったシンプルなストーリーを
読むのもいいですね。
617マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/06(日) 22:15:01.34 ID:ZWIcCzlKO
解散?ちょっと待ってよ…
あ、もしかしてビックリ?ネ申?
ハハ、冗談がうまいなぁ〜秋元先生は
いつもそうだ、選抜総選挙も組閣もジャンケン選抜も…
いつもいつもわたしたちを驚かしてきた

この船に乗っていれば大丈夫
きっと行き着く先は栄光の舞台
その通りにここまできた
駆け上がって登り詰め走り続ける

ずっとずっといつまでもこんな時代が続くとは思っていない
少しでも長く、少しでも最高の笑顔を届けれたらそれでいい

ただここは通過点
みんなにとっての夢半ば

『努力は必ず報われる』



一瞬の内にあらゆる思考が脳内を駆け巡った
そして考え終えるまでに彼女の体は動いていた

それで何かが変わるのかわからない
ただそれは正しいか正しいくないかではなかった
今思えば浅はかで軽率な愚かな行為に違いない
それでも動いてしまっていた

退室しようとする秋元を後ろから襲いかかっていた
手にしていた紐状の帯で秋元の首を絞める
悶え苦しみ抵抗する秋元に必死に力をこめた
これでもかというほど強く、強く、強く

秋元の手が力なく垂れ下がると部屋には沈黙が流れた
少しの間呆然としていたが握り締めていた帯を放した
目の前には泡を吹き出し舌を出して死んでいる秋元の姿があった
618マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/06(日) 22:39:58.73 ID:ZWIcCzlKO
続きは明日で
619名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 22:44:34.21 ID:Wj2uHHwE0
お疲れ様
たかみなついに………
古畑vsたかみなかあ 展開が楽しみ
620名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 22:49:41.26 ID:fm4dk3+oi
やっぱこん位分かり易い方が個人的には好きだ。応援
621名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 22:55:44.39 ID:B1kGEp1l0
康死んだw
622名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 23:00:13.04 ID:733ebcoTi
犯行まではストレートで、偽装やらをメンバー一丸で…に期待。
623名無しさん@お腹いっぱい:2011/11/06(日) 23:53:06.83 ID:7GhIVtzt0
さてさて、どう欺くたかみな?
体格からして一人じゃ偽装もできまい
やっぱり全員かね
624名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/06(日) 23:54:34.02 ID:Id2GEjoA0
前スレに同じような…
625名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 00:08:51.22 ID:O2OJH9E0O
>>620
胴衣
626名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 00:11:47.15 ID:KAOwdUvl0
>>618
お疲れ様です
楽しみにしてます
どうぞご自分のペースで
627杉上左京:2011/11/07(月) 00:14:54.66 ID:1tqL+uuM0
お疲れ様です。
たかみなが犯人ですか。さて、ここからどういったメンバーが絡んできて
古畑とどういった対決をするか楽しみですね。
628名無しさん@お腹いっぱい:2011/11/07(月) 05:20:26.93 ID:16FU2PGr0
何か前スレの1作目と四谷さんの1作目を足したような感じ?
629名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 12:31:42.99 ID:fx4maGsKO
下がりすぎ
630名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 17:04:21.99 ID:Nr8/1jFQ0
保守
631名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 17:16:15.66 ID:0Ye0cJZ60
なんかダメだな
632名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 18:11:16.61 ID:WTxJ8mCfO
期待あげ
633名無しさん@お腹いっぱい:2011/11/07(月) 20:58:38.46 ID:WT5uHYXJ0
634名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 21:58:00.04 ID:0Ye0cJZ60
続きまだー
635マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/07(月) 22:07:10.84 ID:d/oTpu34O
パトカーのサイレンが鳴り響く
紅の光が漆黒の夜に照らされる
巨大なドームが赤く染まっていた

ざわ・・・ ざわ・・・

普段は野球の観客だけのこの場所が野次馬たちによってごった返していた
黄色いテープが貼られ封鎖されているにも関わらず今にも飛び出しそうな勢いだ

「すみません…すみません…」

人の山を掻き分け一人の男が進む
引いている自転車を野次馬たちに睨み付けられ苦笑いで返す
黒い服に身を包み長い襟足、そして若干の猫背

「古畑さん!」

野次馬を押さえていた警官の中から一人の男が呼ぶ
その声に気づいた古畑と呼ばれた男はテープをくぐり抜け中へと踏み込む

「あれぇ?西園寺くん、ここって裏口とかないの?」

「ありますよ」

「んー…ふふふ、おかしいなー見つからなかったよ」

西園寺と呼ばれた男、身の丈は小さく実に真面目な風貌である
古畑の愚痴を西園寺が聞いていると近くにいた警官が話しかけた

「自転車、運んでおきましょうか?」

「頼むよー…あ、施錠はしっかりしといてね案外物騒だからさ」

男はそう言うと再び西園寺へと向き直った

「で、今回の事件は?」
636マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/07(月) 22:44:39.31 ID:d/oTpu34O
「被害者は秋元康氏、アイドルのプロデュースを手掛ける作詞家です」

西園寺が手元の資料を読み上げる
2人は忙しなく警官たちが動くなか現場へと向かっていた

「んーっと秋元康というと…あのアイドルグループの?」

「はい、AKB48です
しかも事件はコンサート予行演習中に起きたそうです」

「で死因は?」

「何か紐のようなもので絞められた跡があるため絞殺と診られています」

「絞殺じゃないの?」

古畑が眉間にシワを寄せ訊く
西園寺は顔を曇らせながらも言葉を続けた

「遺体は被害者の自家用車から見つかりました
しかも窓は締め切りで中には炭の燃え殻が発見されています」

「自殺の線もあるってこと?」

「はい、少なからずは」

シワの寄せ集まった眉間に指を添える
厳しい表情のまま何かを考えていた
すると突然、古畑は口を開いた

「第一発見者のところに連れていって」

637マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/07(月) 23:10:08.96 ID:d/oTpu34O
「すみません、失礼します」

扉をノックし部屋の中へと入る
そこに一人項垂れて座りこんでいる男

「こちらが今回の事件の第一発見者、戸賀崎智信さんです」

西園寺が古畑を戸賀崎の元へと誘う
古畑はゆっくりと彼へ近づいた

「えー…お気持ちお察しします」

狼狽した姿を見て声をかける

「初めに秋元さんの遺体を発見されたと?」

「は…はい…いつになっても帰ってこなかったので探しているとたまたま…」

「帰ってこない、といいますと?」

「わたしと秋元さんで彼女たちの予行演習を見学していたのですよ、どれくらい進んでいるかのチェックでね」

「ということは秋元さんとはずっと一緒にいたことに?」

「はい…そうですが?」

戸賀崎が疑いの眼差しを送る
しかしそれが自分に向けられていることはすぐにわかった

「事件時アリバイを証明できる方は?」

「いません…」

「常日頃からの恨みは?」

「ありません…なんですか?!その質問は」

「んー…ふふふ、すみません形式的なものですので」

笑顔を見せ冗談まじりにごまかす

「それではまた後ほど」

古畑は頭を下げると共に西園寺を連れて部屋を後にした
638マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/07(月) 23:13:08.42 ID:d/oTpu34O
更新少なくてすみません
できるだけ少なくまとめようと思っているのですがネタがネタだけに難しいですね
明日はもっとたくさん更新できるよう頑張りますので何卒よろしくお願いします

今日はここまでです
639名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/07(月) 23:29:27.36 ID:4o7tYDHI0
自分のペースでがんばって〜
640名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 01:39:02.17 ID:HkITuYXc0
メンバーを。本編の古畑の犯人に置き換えるとどんな感じになるんだろう?
641 忍法帖【Lv=20,xxxPT】 :2011/11/08(火) 07:19:08.42 ID:nvI+MBgh0
時任三郎
642名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 08:13:11.06 ID:mrqkzaI8O
>>638
楽しみに待ってます
643マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/08(火) 08:26:03.51 ID:arHQn9yuO
「古畑さん、こちらです」

続いて西園寺に連れてこられた場所、そこは本番時に実際歌って踊るステージだった

「おぉ、これはすごい」

細く長い廊下を抜け現れたそこは壮観なものだった
古畑自身これほどまでの大規模なコンサートのステージに上がったことがないためかもしれない
しかし更に凄いのはその人数の迫力であった

広すぎるともいえる場所に所狭しと人がごった返す
スタッフや裏方の人々さらには警官も混じっているがそれにしても人が多い

「んー…なんか嫌だなー人混みにいるとすぐ酔っちゃう体質なんだよ」

「そうは言わないでください古畑さん
現在一人一人に事件当時の聞き込みをしていますが古畑さん自身が聞いたほうがいいと思いまして」

古畑は少し考えた後、諦めたように顔をあげた

「行こうか」

するとちょうどその時彼の視界に異質な者の姿が映る
周りは皆聞き取りに追われているというのにその者だけはまるで遊んでいるかのように見える
否、あろうことかサインをせがんでいる

古畑が呆れた表情で近づいていく
禿げといったほうが適切な広いおでこ
体を気持ち悪くくねらせる

「おい、今泉」

古畑は勢いよく剥き出しの頭部を叩いた
644マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/08(火) 08:30:16.23 ID:arHQn9yuO
今のところ書き終えるとすぐにあげているのですが
前任者さんたちのようにまとめてあげたほうがいいのでしょうか?
その意見が多ければ検討してみます

続きはまた後ほど
645名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 08:31:29.49 ID:LUX0FiUa0
まとめて
646名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 10:44:02.41 ID:xDGA2eyk0
長くなってもいいから、「トリック」「謎解き」の部分は丁寧なほうが良いな。
四谷氏のはその辺が唐突だったり、はしょりすぎてて残念だったから。
647マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/08(火) 18:03:31.37 ID:arHQn9yuO
「イテッ…何するんですかぁ〜古畑さん〜」

今泉は額に手を当て不機嫌そうに言った

「それはこっちの台詞だよ、君は何してるの?」

「嫌だなぁ〜今をときめくスーパーアイドルAKB48ですよ?
サイン貰わないわけないじゃないですかぁ〜ウヒヒ」

すると古畑は何も言わずに再び今泉のでこを叩いた

「いてっ…ちょっと〜…」

古畑と西園寺は今泉のリアクションを待つことなく通りすぎる
そして彼が絡んでいた少女たちに話しかけた

「えー…うちの部下が大変お見苦しいところを見せました」

彼女たちに向け一瞥する

「いやいや、構いませんよそんなこと」

「書きましょうか?サイン?」

その言葉を聞きつけ今泉が後ろから現れる

「お願いしますお願いします!いやぁ〜よかったぁ〜嬉しいなぁ〜…あ、あっちゃんは大きめで」

笑顔で溢れる今泉
面倒な頼みにも彼女たちは応えた

「やったやった!こんなにすごいメンバーからサインもらえるなんて…警官やっててよかったなぁ〜」

「ところでですね今回の事件のことなのですが…」

古畑はこれ以上待っても埒があかないと無理矢理話を切り出す
笑顔で対応していた彼女たちも当然表情が固まった
648マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/08(火) 18:04:20.75 ID:arHQn9yuO
「あ、えー…ま、ま…」

「前田です」

「あ、そうそう前田さん
いつもご活躍拝見しておりますーふふふ」

「ありがとうございます」

それなら名前くらい知っておいてくれよ、と思った気持ちは心に閉まった

「事件の時は?」

「ここにいましたけど」

「証明できる方は?」

「証明か…わかりません、でも誰か見てるんじゃないのかな?」

前田と簡単に話を終え目線が横にいた小嶋に移る
前田の名前が出てこないということは恐らく知らないだろうと小嶋が自己紹介をしようとしたときだった

「いやぁー小嶋さん、お会いできて光栄ですーふふ」

古畑が握手を求める
小嶋もそれに応じた

「写真集、拝見させていただきましたーとても素晴らしかったです…んーふふふ」

あからさまに彼の口元は綻んでいた
握手を離すと笑いながら言った

「一生手を洗いません誓いますーふふふ」

そして小嶋を含めた残り4人にも前田同様に質問をした
それぞれ答えは様々だったが確証となるアリバイを持っている者はいなかった
リハーサルということを考えれば当然のことだろう

「どうもご協力ありがとうございました、行くぞ今泉」

今泉を引きずりながら3人はその場を後にした
649マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/08(火) 18:05:20.07 ID:arHQn9yuO
立ち去る黒い男の背に向かい峯岸が呟いた

「疑われてるのかな?」

それはいつもの彼女とは違うか細い不安げな声だった

「みんなに同じこと聞いてるだけでしょ、まだ何も気づいてないよ」

板野が鋭く言い放つ

「たかみなが戻ってくるまでにあれ処理しとかないとね」

「あ、あと陽菜は…」

「オッケーオッケー、あの刑事さんわたしが推しみたいだし近づいてみる」

4人は急に黙り込んだ
峯岸が消えてしまいそうな声で聞く

「…大丈夫…だよね…」

「もう後戻りはできないでしょ」

「なんとかするしかないよね」

板野と小嶋が強く言いきる

この4人が何を隠しているのか
それはまだ誰も知らない
ただ事件に関する重大な鍵を握っているといってもかまわないだろう

「誰かが苦しんでるときはお互い様だよ」

前田が呟く

まだ弱冠の彼女たち
この数年で得たものそれは僅かな経験とどん底から頂点までの景色、そして絆

「だからわたしたちはここまでこれた」

持ち得るものは少なかれ最大限に使い対抗する
そしてその言葉通り彼女たちは古畑を苦しめ負けさせることとなる
長い長い七日間の戦いが今、始まろうとしていた

「たかみなについていくから」

前田の瞳は静かに燃えていた
650名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 18:06:33.30 ID:mJGIQN110
>>644
小出しで「いつまで待つのかな〜」みたいなのも
楽しみが先延ばしになっていいですよ

休載の多い連載小説みたいな感じで
651マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/08(火) 18:09:56.00 ID:arHQn9yuO
書くのが遅いので書けるときに書きます
小出しみたいな器用なことはできません…

きょうはまた後ほど
652名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 18:27:58.34 ID:/Gyz9mCz0
初期メンの絆を持ってきたか
7日間…戦争かwたかみなについていきますもw
楽しみです
653杉上左京:2011/11/08(火) 19:13:34.20 ID:eN+nifis0
なるほど。初期メンの絆で古畑に対抗する。どうやって古畑を欺き、
古畑はどうやって真実に迫るか楽しみですね。
654名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 20:08:57.98 ID:h0l6wAPA0
あのさあ古畑のフォーメーションに沿わないストーリーばっかり書くんだったらもう古畑の名前使わずにオリジナルで書けよ
古畑シリーズで犯人側の行動を冒頭で明かさずに隠しながら進むストーリーなんかねーんだよw
まあ唯一藤原達也のやつだけは例外で二段構えになってたけどそれ以外はそんなのねーから
古畑シリーズっていうのは(元ネタのコロンボもそうだけど)普通の謎解きミステリーとは違うんだよ
655名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 20:17:10.77 ID:PBJFPStRI
>>654

ここは地下板だからね。あくまでも。
そんなに型式にこだわるなら読まなくていいんじゃ?
AKBメンが丁寧に書かれてて古畑がキャラとして生きてて
読んでて楽しければOKでしょ。
続き楽しみにしてます。
656名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 20:49:35.90 ID:Kuoj0Y8I0
古畑ヲタは読むなよ
657名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 21:35:13.05 ID:/am6Pk3x0
>>654
お前が田村正和本人ならば文句を言うのは許すが、
赤の他人なら文句言わずに読め。
658名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/08(火) 23:54:34.97 ID:aSmVbgMP0
たかみなが秋元康を殺害したところまではいいんだよ

この次のシーンで、たかみなが前田、板野、小嶋、峯岸と5人で協力して、
秋元康が車で自殺しているように偽装工作をするシーンがないから、
だんだん古畑ではなくなってきてるんだって
659名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 00:29:50.08 ID:HasV0b1j0
確かにな、ある程度のトリック作りの描写があってそれを古畑があばいていくってのがないともうそれは古畑任三郎じゃないもんな
660名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 04:31:56.03 ID:rsgpCeiSO
また議論か
お前らはなんで本家と同じじゃないとあかんのかようわからん
別にいいじゃん設定ちょこっと変えたぐらい…
明らかに変わりすぎも問題だが誰にも迷惑かけてないってことで作者さんこいつら気にせんと頼むわ
661名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 04:39:45.11 ID:h7Tq0PW70

・・・古畑任三郎がスペシャルで放送されるとしたらAKB起用はありでしょう・・・たぶん・・・

          ,:〜'゙⌒'"`     `丶、
        ,:='゙               `ヽ、_
      ,:'゙                  ヽ,
      ノ                     `:、
     ;′                     ヽ.
     }                _.,... -ー- .._      `:、
     ノ        r''''"´         `ヽ,     }
     }           {                 i.  /^′
     ,}         ,:彡              | /
     {       ,.イ´         j: i_,,. -ーt′
     } /〜"ニフ {.   /二ニニィ  {フ=ニ、ト、
     j | {// ,i'     ,ヘツ_>'/  : ド=’イ | ヽ   古畑任三郎でした。
     '; |`<''/  {    丶 ̄ ./    |、   ルリ
      〉 \イ,.,.、冫              l.、 |
      l、  \,,ハ.          /` 丶  :},)|
        ヽ、 ,ハ ヽ      / ` ‐⌒ー ' , |‐- .._
        >'i \ ヽ.    , ‐--ー一 ''゙!丿    \
       ,/l   ヽ \ 丶、    `"二´ ,' |       ト、
       ノ |    ヽ.  丶、 `ヽ、    ___ノ  |.      | |
662名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 04:59:05.80 ID:D+0NjTSH0
つーか読むのやめるかお前が書けば?書きもせずにだされるもんに文句ばっかいってんじゃねえよ
どうせまた違う作品がきてもああだこうだと細かい相違点みつけては難癖つけるんだろ
お前のためにあるスレじゃねえから黙っとけよ
663名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 06:54:36.11 ID:KDYRAUT70
文句言うなら自分が書けとかいうバカが必ず現れるな
664名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 07:14:21.54 ID:Qd9azFT20
>>662
論点ズレすぎw
665名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 07:18:35.15 ID:E8f7t3yZ0
別に書かなくてもいいがまだ途中の作品にそこまで言うのやめてくれ
666名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 09:44:30.27 ID:gvHELz350
じゃあたかみなが殺される話でも書くか
667名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 13:42:15.29 ID:bQo2jbdA0
倒叙じゃなきゃダメとか駄々こねるなら見なければいいよ
668名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 13:43:13.57 ID:rsgpCeiSO
>>666
今の作品終わってからな
669名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 15:02:13.09 ID:WXiCd+qXI
形式ばった批判をする人に聞きたいんだけど
「これは古畑じゃないからすぐに止めろ」と言いたいのか
それとも「話は面白いがスタイルが違うから改めろ」と
言いたいのか、その辺りが全然分かりません
具体的な代替案も出さずに批判ばっかりの政治家みたいで
あまり感心しませんが...
少なくとも今後を楽しみにに待っている一つが多いんですから
個人的な好みだけで感情をぶつけるのはやめませんか?
お金を払って作者からサービスを提供してもらってる訳では
ないんですから、気に障るようなら読まなければいいわけですし
670名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 15:21:14.36 ID:pLZKTD/L0
うまく例えられないがラーメン屋に来たのにうどんを出された感じがする
おいしいならいいって人もいるだろうけど、それがいやな人もいるのは確か
個人的には面白ければいいので古畑の倒叙から外れても読むつもりだけどね
671名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 16:10:29.30 ID:WXiCd+qXI
>>670
いや、言いたい事は何となく伝わりますけど
そこまで違和感大きいかな?せいぜい濃厚豚骨を
期待してたら魚介合わせだったってくらいじゃない?
→余計わかりづらいww
まぁ、店主が好きでサービスしてて、味は美味いのに
これは王道じゃないとか言わないでおきたいなぁ...と。
せっかくだからありがたく頂きましょ。
実際、面白いんだし。
672杉上左京:2011/11/09(水) 16:46:07.59 ID:VwS3kK1z0
四谷さんのあのレベルの後ですので物足りなさなどの部分はあるでしょうが
その中で作品を出してくださっているのですからそこは尊重します。
まだ作品も出来上がってはいませんし、今はどういう作品になるのかとても
楽しみに待ちたいと思います。
673名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 20:22:46.84 ID:qk5qOZur0
次真だー
674山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/09(水) 21:00:26.80 ID:/P0DPMqYQ
まあ粗削りだけど、今までの人よりは伸びしろありますね。
675名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 21:46:52.50 ID:1z2Nt59O0
>>670
まあ金払ってラーメン頼んだのにうどん出てきたら、ありえないけどなw
676マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/09(水) 22:53:59.49 ID:ePLiTJgOO
時は少し遡り事件発生直後

「はぁ…はぁ…」

高橋は震えていた
手も足も歯も体全身が小刻みにリズムを刻んでいた

頭は真っ白
お先は真っ暗
目の前には死体

細かく揺れる彼女は力なく項垂れている
首は傾げ手はだらりと落とし目は虚ろ
彼女はもう足掻くこと考えることをやめていた





「はぁーお腹すいた」

一人廊下を歩く
目指す先は差し入れが集められた楽屋
少しくらいいなくなっても大丈夫
彼女は安易な考えで突き進む

「えーっと…どっちだったっけ?」

初めて来た場所でしかも裏は迷路のようにいりくんでいる
しかもいままでとはけた違いの広大さ
地理的感覚にさほど自信のない彼女は完全に迷い込んでしまっていた

「あ、電気ついてる」

間違っていても構わない
一度誰かに聞かなければはじまらない
前田は当たって砕ける覚悟で明かりの点いていた部屋の扉を開けた



それは偶然か運命か
戦友であり親友の2人が出会う
最悪の形で
677マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/09(水) 22:55:03.30 ID:ePLiTJgOO
前田は目を疑った
そこに広がっているのは蒼白な顔色に舌を丸出しにした秋元と呆然と座り込んでいる高橋
慌てて高橋の傍らに駆け寄る

「たかみな!どうしたの!?」

肩を揺するも彼女からは何の反応もない

「ねぇ、なんとか言ってたかみな!秋元先生どうなってるの?!」

「…ちゃった…殺しちゃった…」

聞こうとしなければ聞こえないほどのいまにも消えそうな声
しかし確かに彼女は殺したと言った

ドクン…

前田は自分の鼓動が高まっているのを感じた
状況は飲み込めた
高橋が秋元をてにかけたのだ
しかしどうすればいいのかわからない
秋元の死体を見つめ再び高橋を見る

「たかみな…」

彼女は明らかに衰弱しきっていた
放っておけば自害しないとも限らないほどに

ドクン…

息を深く吸い込み吐き出す
このとき前田の心は一つの決心に固まっていた

ドクン…

おさまることはない
胸が張り裂けそうなほど脈を打つ
頭の中もまだこんがらがっている
だが考えるより先に言葉がでた

ドクン…

「大丈夫、わたしに任せて」

678マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/09(水) 22:56:17.55 ID:ePLiTJgOO
自分が何を言っているのかわかっている
理性ではその重大さをわかっていても本能で止まらなかった

「任せてたかみな…偽装すればバレない…」

考えてもいないのに言葉が勝手にわいてくる
ただ目の前の人を安心させたい
少しでも力になりたい
それだけの思いだった

「大丈夫だから…」

前田が後ろから高橋を抱き締める

「大丈夫だから…わたしが何とかするから…」

涙が溢れた
なぜかはわからない
次から次へと頬を伝って零れた

「だからぁ…だからぁ…そんな顔しないで…笑って…たかみなぁ…」

強く力の限り抱き締める
この想いが伝わるように、この気持ちが奮わせるように

「・・・・・・うぐっ」

漏れた嗚咽と揺れる体を前田はわかった

ありがとう
ありがとう
ただそれしか見つからない
これ以上にこの気持ちを伝える言葉がでてこない
だがその想いは涙となって流れ落ちる
顔をぐちゃぐちゃにして高橋は泣いていた

「うぅ…うぅ…」

接した2人は少しの間泣き続けた
679マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/09(水) 22:57:26.22 ID:ePLiTJgOO
泣き止んだ前田は立ち上がり秋元の傍らに膝をついた

「まずここから動かさないと死体を」

「動かす…?」

「隠蔽するの、警察の目を欺くために」

前田の言葉が怖かった
それはドラマでしか聞いたことがないもの
本当に自分たちに可能なものか

「一応手は打った…あとはここまでを信じるしかない」

その意味が高橋にはわからなかった
しかし前田は何かを待っていた
大切な何かを

「あっちゃん…」

「ん?」

「どうして人殺しを庇ってくれるの?」

2人の目が合う
高橋の問いに少しの沈黙が流れる
前田は少し微笑み言った

「憶えてる?みんなの私物がなくなった事件のこと」

高橋は思い出すように表情が変わる

「あのときのまだ借りたまんまだから…それにたかみなには何をしても足りないくらいの恩がある」

その時だった
扉が開く

「なにかっこつけてんの」

それは聞き慣れた戦友の声

「みんな…」

「ありがとう、来てくれて」

「たかみなに感謝してんのはみんな同じでしょ」

そこには板野、小嶋、峯岸が立っていた
680マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/09(水) 23:03:10.92 ID:ePLiTJgOO
こんな時間にすみません
ご批判ある通りやはり古畑は古畑に沿っていかないといけないと自覚しております
ですがやはりド素人なものでアレンジを加えると原作を崩壊させているかもしれません
できるだけ原作に近いように古畑らしさをだせるように精進します

今日はここまでです
681名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 23:05:20.57 ID:lFo5hqWH0
あんまり人の意見気にして書いてても面白くないでしょ
書き手本人が楽しめてることが大切だと思う
682名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 23:31:48.74 ID:UW6B0jJjO
いやなら読まなきゃいいだけの話。作者さんは気にするな。
683名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 23:37:33.67 ID:MZnPLy2F0
あつみなで既に泣きそうや( ノД`)
ただなっちゃんだけが気になる
初期メンの絆に入れて貰えるのか
684名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/09(水) 23:39:22.89 ID:KDYRAUT70
老婆心ながら本当に古畑っぽくするなら第1章を>>676の場面から書き始めなければならない
それまでの3〜4章は必要ない
倒叙物を書くのは単純なフーダニットより難しいのよ
685杉上左京:2011/11/09(水) 23:47:53.59 ID:VwS3kK1z0
かなり複雑な物語を書いている私にとってはこういったシンプルな
ストーリーはいいですね。今後の展開がさらに気になります。
気にせずに自分のペース、スタイルで書いて頂ければと思います。
686山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/09(水) 23:54:44.96 ID:/P0DPMqYQ
あえて安価付けないけど、初めてなら、こういう場で発表することはかなり勇気のいることだし、技術的なことを求めるのは間違い。
いちいち、つまらない批判に傷付いてしまうのが素人だし、接頭語?もない。
でもそれが逆に文章にダイナミックさを与えてる。
どんなに技術が優れていようと、伝えたいことが伝わらないのは面白くない。
この作品はそういう思いは伝わる。だから、つまらないことでビギナー作家の意思をくじくのはやめよう。
687山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/09(水) 23:58:16.49 ID:/P0DPMqYQ
間違えたw接続詞だ
688名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/10(木) 00:12:42.70 ID:4otGbc/j0
作者さんが一番書きたいのは何?
伝えたい事はなに?
テクニカルな技術の巧みさ?
違うよね。

自分で面白いと思えるものを書けばいいと思います。
セオリーなんてどうでもいいです。
倒叙物とか何とか全然気にしなくてもいい。
レス見てると作者さんのストーリーを楽しみにしている人は少なからずいる。

そして、私もあなたの作品を楽しみにしている一人です。
689名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/10(木) 00:38:43.93 ID:Aqs2PVkzO
初期メンの絆いいね
マンダム氏、批判はスルーしてがんばってくだちい
690名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/10(木) 02:00:42.62 ID:QPaeFxgC0
>>680
あなたの作品を楽しみにしている人間が少なくともここに一人いますので
どうぞ御自分のペースで続けてください
続きを楽しみに待ちます
691名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/10(木) 07:35:05.85 ID:gHS0rqmxO
所詮、素人が書いてるもの
それをわかった上で読んで、面白いと思ってるから読んでる

素人が書いてるものを批判する方がおかしい
692名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/10(木) 08:35:40.62 ID:MrW115jY0
素人が書いてるものを批判する方がおかしいというやつがおかしい
693名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/10(木) 15:52:15.30 ID:9MbtPBVxO
なんなんだ
694マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/10(木) 22:25:26.36 ID:19EPNq5OO
「みんな…」

高橋が呟く
どうしてだろう
あれだけ涙を流したのにまた溢れてくる

「もぉ〜たかみな泣かないで〜」

小嶋が笑って彼女の頭を撫でる

「だってぇ…」

初めて実感した
自分がこんなにも愛されていることに
こんなにも大切な人が周りにいてくれていることに

「どうして…秋元先生を…殺したの…?」

峯岸が恐る恐る声を発する
高橋もとても悠長に話せる状態ではなかったが何とか口を開く

「秋元先生は…わたしたちを捨てようとしてたの…」

4人の視線が集まる

「このコンサートで…AKBを解散させる…って言われた
もう…何が何だかわからなかったの…
どうにかしなきゃって…気づいたら殺してた…」

涙を啜りながらありのままを話す
彼女のしたことは正しいことではない
ただ4人にその気持ちは重々わかった
青春時代をAKBで過ごした
晴れの日も雨の日もひたすらに汗を流した
彼女たちにすればAKBはホーム、心の拠り所
それが無くなることそれは何を意味するのか
初期メンバーの彼女たちだからこそより感じる

何をしても守り抜かなければいけないものだと
695マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/10(木) 22:27:07.79 ID:19EPNq5OO
高橋の話を聞き終える
5人の気持ちはもう一つのものとなっていた

「だからお願い力を貸して」

前田が言う
首を横に振る者などいるはずもなかった

「でもさどうする気なの?あっちゃん」

板野が前田に尋ねる
前田は秋元を見つめたまま言った

「大丈夫、考えがあるの」

「考え?」

「うん、でもまずは死体をここから運ばないと」

5人に現実味が増してくる
ここからはもう友情ごっこではすまない
そして前田は静かに命令を下す

「にゃんにゃんはとりあえず舞台に戻って」

「え?どうして?」

「隠蔽工作には時間が掛かる、4人ともいないとなれば誰かが怪しむかもしれない」

「アリバイ作りってことね」

無言のまま次は峯岸を見つめた

「みぃちゃんは台車と大きめの箱見つけてきて」

「死体移動させるんだね」

「うん、できるだけ誰にも見つからないで」

「わかった、探してくる」

峯岸が部屋を出ると板野が前田に話しかけた

「ともは?」

「一緒に事件がここで起きた証拠を消して
入念に一切の漏れがないように」

板野が頷き前田は最後に高橋を見た

696マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/10(木) 22:28:18.08 ID:19EPNq5OO
「わたしは何するの?」

高橋が前田に尋ねる
返って答えは意外なものだった

「たかみなは仕事に行って」

「え?」

戸惑うのは当然だ
殺人を犯した当の本人が仕事などできるわけがない
困惑する高橋を前田は察した

「行ってお願い、それが最善なの」

恐らく前田の言葉は正しいのだろう
殺人事件を目の当たりにしても冷静に事を進ませようとしている
次の手を考え出している
しかし本当にそれでいいのか
一人なら何もできなかった
呆気なく捕まり牢屋に入り罪を償うだけだったであろう
だが今は違う
信頼できる仲間が集まってくれた
もう一人ではなかった

高橋は覚束ない足取りで立ち上がる
ふらふらになりながらも扉に向かった

「ありがとう…」

高橋が背中越しに呟く

「本当にわたしはAKBにいたことを誇りに思う」

肩は小さく震えていた
また泣いているのかもしれない
しかしその涙は見せなかった

「何があってもしらを切って、無駄なことは絶対に喋らないで」

前田が念を押す
高橋は深く頷くと扉の向こう側に消えた

697マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/10(木) 22:31:27.57 ID:19EPNq5OO
前田、板野、小嶋、峯岸の隠蔽工作がはじまる

続きは明日
698杉上左京:2011/11/10(木) 22:38:16.19 ID:KVshVRJC0
お疲れ様です。続きを楽しみにしております。
699名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/10(木) 23:00:36.17 ID:BrH+7Grv0
こう言う展開待ってた!マジすか的に前田カコイイ。サドも来いっ
700名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/11(金) 00:01:28.31 ID:Pm3l8+wI0
今までの作品で1番好きかも
701名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/11(金) 04:22:38.92 ID:tldQL+Bg0
続き
702名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/11(金) 08:28:53.69 ID:Z9U0f9gN0
age
703名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/11(金) 12:16:25.50 ID:33Ca2EFd0
作者さん、お願いだからなっちゃんも仲間に入れてあげて〜
704名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/11(金) 17:41:48.12 ID:pHgfZKi3O
保守
705名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/11(金) 18:15:28.81 ID:ErGcw/3yO
こういうシンプルなやつ読みやすくてイイ
706マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/11(金) 21:36:40.27 ID:2/3aKGcxO
すみません
今日は更新できそうにありません
707杉上左京:2011/11/11(金) 21:39:55.68 ID:2QcvUBcU0
自分のペースでやって頂いて構いません。続きを楽しみに待っております。
708名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/12(土) 02:53:21.04 ID:TWWw3KUKi
ほしゅ
709山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/12(土) 03:11:26.35 ID:y4f4HAtIQ
支持
710名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/12(土) 08:28:35.61 ID:EjPulyjD0
おは
711名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/12(土) 09:10:08.69 ID:sljatkWV0
保守
712名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/12(土) 14:01:25.40 ID:T890PDi3O
保守
最近下がるの早すぎるな
そういえばおもしろいAKB小説スレ落ちてるけどもう立てないの?
713名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/12(土) 14:17:15.73 ID:TkqCiQhfO
ほしゅ
714名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/12(土) 16:53:45.96 ID:G0aMuxMhO
四谷さんがいなくなってから伸びなくなったな…
715名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/12(土) 17:39:57.21 ID:gTNr/5ND0
保守
716名無しさん@お腹いっぱい:2011/11/12(土) 20:17:48.07 ID:RbTecYC/0
717名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/12(土) 22:07:19.67 ID:gTNr/5ND0
次まだー
718マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/12(土) 22:26:17.19 ID:IGLxs8rfO
「こんなのでいいかな?」

峯岸が台車に大きなダンボールを乗せて帰ってきた

「案外見つけるのは簡単だった」

「誰かに見られた?」

「多分大丈夫だと思うけど…」

「スタッフの人には見られたと思ったほうがいいね」

前田は一瞬何か考えたがすぐに作業に移った

「こんなもんでいいんじゃない?」

板野が言った
2人は部屋に着いた指紋など秋元がこの部屋にいた形跡を消していた

「よし、じゃあ死体を運ぼう」

前田と板野で死体を持ち上げる
初めて触る生きていない人間の体
こんなにも冷たくこんなにも重いものだとは知らなかった

「うぅ…」

峯岸が顔を背ける
当たり前だ
二十歳にも満たない彼女が死体を目の前にして普通でいられるのもおかしな話だ

「これでよし、っと」

秋元をダンボールの中に入れる
板野は箱を閉めるためにガムテープを手に取る

「ちょっと待って」

前田がそれを止める
すると懐から紙を取り出し秋元の懐に入れた
それが何か板野と峯岸は知らない

「ごめん、ありがとう」

蓋を閉じる
光が閉ざされていく
そして円は綴じた

719マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/12(土) 22:27:18.30 ID:IGLxs8rfO
ブゥゥゥウウウ…ブゥゥゥウウウ…

ポケットに入れてある携帯が振動する
バイブレーションによって彼女は出番がきたことを知る

「あっちゃん」

開いた画面には前田敦子からの空メール

「よしっ行こっかな」

ステージから何気なく抜け出す
狭い廊下を抜け再びあの場所へと辿り着く
そこには台車に積まれたダンボール箱があった

取っ手を掴み押していく
ゆっくりと丁寧に運ぶ
人気の多い廊下に差し掛かる
すると彼女は近くにいたスタッフの一人に声を掛けた

「すみませーん」

「なんですか小嶋さん?」

「この台車を地下の駐車場まで持っていってもらえますか?」

「誰かに渡せばいいんですか?」

「駐車場に出たところで置いておいてください
後で取りにくるらしいので」

頷いたスタッフは台車を手に取った

「重いので気をつけてくださいね
あとぜーったい中は見ないでくださいよ」

「ハハハ、わかってますって」

スタッフがエレベーターに乗り下りていったのを確認する
彼女はその場にあったクッキーを一つ口に運ぶ
口元にお菓子の屑をつけたまま不敵に微笑む
そして彼女は何事もなかったかのようにステージへと戻っていった
720マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/12(土) 22:28:15.26 ID:IGLxs8rfO
ガララララ…ゴトンッ!

タイヤの転がる音が地下の密閉された空間に響く
その音が止んだ後も充分に人気がないかを確認した
一番確認の取りやすい位置にいた板野が空メールで前田に伝える
バイブレーションによって伝えられた前田はすぐに脇から現れ台車を引く

「こっち!」

小さな囁くような声で峯岸が呼んだ
彼女は先に秋元の車の鍵を開けて待っていた

「急ごう」

ダンボールに蓋をしたガムテープを剥がす
そしてそのまま秋元の死体を出すと運転座席に乗せた

「これでよし…後は…」

峯岸が先に用意しておいた管を前田に渡す
それは排気口に直接繋がっている
前田はそれを一つの窓ガラスに挟み込んだ

「ここガムテープで厳重に固定して」

峯岸が張りつける
それを横目に前田は指紋を拭き取る

「できたよ」

峯岸がそう言うと前田は運転座席の窓から中のエンジンを掛けた
そして手に持った糸を引く
すると空いていた窓ガラスが閉まっていく
糸で引っ張られたスイッチによって
窓が閉まりきると前田は糸を強く引き付ける
スイッチから外れ閉まっている窓ガラスからも以外に簡単にすり抜ける

ブゥゥゥウウウ…

バイブレーションが鳴ったのを合図に2人は別々に地下の闇の中へと消えていった
721マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/12(土) 22:29:23.97 ID:IGLxs8rfO
「ねぇ、この組み合わせおかしくない?」

缶コーヒーとカツ丼
目の前に出された夜食を見て黒の服に身を包んだ男は言った

「すみません、ですが提携しているらしく差し入れが全てこれでして」

「んー…じゃあいいよ、今泉ー」

手招きされ今泉が小走りに寄っていく

「へらへらしてんじゃないよ、だから夜食買ってきて」

「ちょっ叩かないでくださいよ古畑さん〜
てかそんなの無理ですよーここらへん何もないんですから」

「いいから行って」

「え〜そんな〜西園寺くんもなんとか…」

西園寺は首を大きく縦に振っていた

「わかりましたよぉー後でちゃんとお金返してくださいよ」

観念したように今泉が去っていく
その背中は実に小さかった
彼が部屋から出る瞬間、一人の少女とすれ違う

「あ、たかみな」

今泉が足を止める
しかし古畑が行けと手で追い払う

「あ、ちょっ古畑さんサインもらっといてくださいねお願いしますよ!」

今泉が少ない毛髪をかきむしりながら小走りで出ていく
彼が年々禿げていくのはこのことが原因であることは秘密である



「すみません、お待たせしました」

頭を深々と下げ古畑の前に立つ

「お忙しいところすみませんー…ふふ」

これが高橋と古畑の初対峙であった
722マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/12(土) 22:36:15.20 ID:IGLxs8rfO
みなさんお待たせして申し訳ありません
保守ありがとうございます
土日もあまり休みというものがなく少ない更新ですがなんとかがんばりたいと思います

ようやく事件篇終わりました
指摘にあった通り古畑をだすまえに詰め込むべきでした
ただ私的には携帯いじくる前田が高橋に力を貸すという構図と複数共犯という裏をかきたかったもので…

まあなにより時系列は現在に戻りました
高橋と古畑の初対面
彼女たちの犯行に古畑はどう立ち向かうのか

続きはCMの後で
723杉上左京:2011/11/12(土) 22:58:42.86 ID:KsPtEcik0
お疲れ様です。楽しみに待ってました。自分のペースでいいですよ。
続き楽しみに待っています。
724名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 00:01:35.10 ID:cZoRq4JHO
いいねー
725名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 00:21:38.78 ID:0idGeckF0
CMの後でwいいねぇ
楽しみにしています
726山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/13(日) 02:00:12.64 ID:ZJ8vTAjqQ
支持
727名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 09:03:19.41 ID:8eZveDH/0
かなり手の込んだトリックを瞬時に考えた敦子
迷わず協力するメンバー
だれをキーに古畑が崩していくか、見ものですなあ
728名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 15:51:48.32 ID:E7NlpmYw0
>>723
だからなんでお前上から目線なん?(笑)
729名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 15:58:53.05 ID:Z0SfdyDz0
>>728
お前こそ何だそのエラそうな態度は?
文句あるなら書いてみろ。書けんのなら
黙ってるか見に来るなよ。鬱陶しい。
730マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/13(日) 16:31:16.53 ID:Ka3berATO
日付は回り深夜1時
仕事を終えた高橋がようやく東京ドームに戻ってきた

「お忙しいところ申し訳ありませんー」

「いえいえ、そんな」

勿論、古畑たちは一通りのメンバーから直接話を聞き終えていた
高橋が最後の一人なのである

「こんな時間までお仕事…大変なんですね」

「働けるときに働かないといけませんから
働けてるだけありがたいと思わないと」

「いやー実に素晴らしいお考えをお持ちの方だ
聞き込みをしていてもあなたの名前は度々耳にしました」

「お恥ずかしい限りです」

笑みを浮かべていた古畑の顔が突然険しくなる

「えー…非常に申し上げにくいのですが…」

「何かあったんですよね?」

仕事で現場にいなかった高橋はまだ今回の件について知らされていない
収録が終わり至急戻ってくるようにとマネージャーに連絡がされていたのだ

「えー…秋元さんがお亡くなりになられました」

「あ、秋元先生が!?」

「はい、夕方頃に自家用車の中で発見されました」

「そんな…」

高橋は顔を俯かせる
当然死んだことは知っている
しかし前田たちの行動を知らない彼女は頭の中であらゆる考えが駆け巡っていた
731マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/13(日) 16:32:46.72 ID:Ka3berATO
恐らく何かしらの隠蔽なのであろう
高橋はそう結論付けると顔を上げた
何も知らない呈で乗り切ると

「殺されたんですか?」

「まだそこまでは」

「…もうすぐで大事なコンサートなのに…」

ぽつりと呟いた彼女の顔を古畑はまじまじと見つめた
口を真一文字に結び何か怪訝な表情を見せる

「今日はどうすれば…」

「関わっている人が多いだけに今日のところはここで…すみません」

「いえ、構いませんお互い様ですから」

そう言うと高橋は頭を下げた
古畑も頭を下げる
そして彼女はメンバーの待機している控え室へと足を運んだ
その後ろ姿を古畑はまたもまじまじと見つめる




高橋が到着し少し経つとメンバーが一旦ステージのほうへと集められた
第一発見者として隔離されている戸賀崎の代わりに高橋が前に立つ
マイクを受けとると話を始めた

「えーみなさん、知っている通り秋元先生が亡くなられました
捜査などの関係で今日はここで泊まってもらいます
翌朝には帰れるそうなので心配はしないでください
コンサートも近いので体調管理だけはしっかりと…」

はっきりと丁寧に指示をだす高橋
その姿は二十歳には決して見えない
誰もが感服するほどのリーダー性
しかし彼の瞳に映った彼女の姿は違っていた

「西園寺くん、彼女の今日のスケジュール調べておいて」

か弱い少女がか弱い捕食者に狙いを定められた
732マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/13(日) 16:33:52.97 ID:Ka3berATO
「へっくしゅんっ!」

鼻を啜りながら古畑は顔をしかめる

「風邪ですか?」

「んーふふふ…おそらくバカな部下が悪口を言ってるだけですーはい」

夜も深まりつつある丑三つ時
談笑していた古畑の周りにはいつしかメンバーが数人取り囲んでいた

「ははっ、古畑さんおもしろい」

「その呪いに信じ込んだ部下の人の話笑える」

「ふふふ、わたしは呆れ返りましたーはい
最後には松明を振りだす始末で」

古畑自身まんざらでもなさそうだ

「他にもおもしろい話聞かせてくださいよ」

「んー…おもしろい話…難しいですね〜
みなさんの話もお聞きしたいですー」

すると大島が声を発した

「わたしいい話ありますよ、前に聞いた話なんですけどね
ある日男が道を歩いていると前から赤い洗面器を頭に乗せた男が歩いてきました
洗面器の中にはたっぷり水が入りこぼれないように慎重に歩いています
男は意を決して洗面器の男に聞いたそうです
『どうして洗面器なんか頭に乗っけているのですか?』
すると洗面器の男は」

ガチャンッ!

扉が勢いよく開く
するとそこから今泉が入ってきた
733マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/13(日) 16:34:56.72 ID:Ka3berATO
「ちょっと〜古畑さんいいな〜なにやってんですか〜」

両手にビニール袋を抱えたまま今泉は古畑に近づく

「あーもう、わかったわかったからあっち行ってて…ふふふ、続けてください」
「ちょっとーそんなのあんまりですよ〜
ぼくも仲間にいれてくださいよ〜」

古畑がおいのけようとするも今泉は執拗に割って入ってくる
こういう時だけは粘り強いなと古畑は感心する反面苛立ちを覚えた

「もしかしてこの人が呪いの部下さん?」

大島が尋ねた

「はい…恥ずかしながら」

「え?なになに?もしかして僕人気者になってます?」

彼は自分のいない間に話のネタにされていたことを知らない
この笑いが嘲笑であることも
しかしそれは知らないほうがいいのかもしれない

「あー笑った、そろそろ寝よっかな」

大島があくびをすると周りのメンバーも解散しはじめた

「あの、大島さん」

古畑が止める

「先ほどの続きは…」

「あーまた話ますよ、もう眠たくなっちゃったし」

古畑の物足りない顔に大島は笑顔で返すとそのまま各々の部屋に帰っていった
古畑はなんとも悲しげな表情を浮かべ立ち尽くした

「んもうっ!おまえのせいだよ!」

今泉の額を思いきり叩く

「え、なんで?」
734マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/13(日) 16:37:12.82 ID:Ka3berATO
「なんかいい人そうだったよ古畑さん」

小嶋が帰ってくると前田に言った
彼女も大島と共に古畑を囲んでいた一人であった

「なに言ってんの、刑事だよ?」

「わかってるわかってるって」

前田が厳しく言い返す
横目で見た峯岸はぐっすりと眠りについている

「なんだかんだ図太いね」

板野が呟いた
前田は綻ぶと板野に言った

「ともも寝とかないと持たないよ」

そう彼女たちには明日からもコンサートに向けての練習がある
さらに事件の当事者として彼らと戦わなければいけない

「じゃあわたしも寝よっと」

小嶋が布団を被る
あわてて前田が釘を刺した

「刑事の人に情が移っちゃだめなんだかね
不意にぽろっと言っちゃうかもしれないんだから
にゃんにゃんの役割は本当に大事な…」

言い終える頃には小嶋が寝息を立てていた
その隣で板野も眠っていた

警戒しすぎか?
否、あんなフェイントで警察を欺けるはずがない
必ず穴がある、そこをどう補強できるか
それが命運を分ける

前田の瞳はギラギラと燃えていた
心が奮いなかなか眠りにつくことができないでいた
高い高い天井を見上げたまま呟いた

「みんなで一緒に」

そして波乱の一日目は終わった

【コンサートまで残り六日】
735名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 16:39:22.25 ID:2m8t0kVN0
三谷作品お得意の洗面器からませてきたー
736マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/13(日) 16:40:23.28 ID:Ka3berATO
非常な時間に失礼です
今日はまた夜に更新します

ようやく一日目が終わり
それぞれの想いが交錯する二日目の突入です
このペースで七日までいけるのか
焦らず気長にご期待ください
737名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 16:52:41.66 ID:0idGeckF0
赤い洗面器の男きたー
これ謎なんだよなあオチがw
あっちゃんがくずされるのかな……楽しみだあ
738名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 19:40:11.23 ID:j6BNQeiV0
あげ
739名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 20:11:37.27 ID:E7NlpmYw0
>>729
池沼か?(笑)

俺はマンダムさんのが好きだから見にきてるしマンダムさんに文句言っていない

好きだから読んでるんだよ馬鹿(笑)

740名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 20:27:26.86 ID:Z0SfdyDz0
↑じゃあ黙ってろ。
741名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 20:44:45.07 ID:E7NlpmYw0
>>740
勘違いおつでした(笑)
742名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 20:47:18.87 ID:V/kAuhT1I
今までの作品の中で一番好みだ
743名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 20:51:56.42 ID:Z0SfdyDz0
古畑人気あるなー。
744杉上左京:2011/11/13(日) 22:14:00.26 ID:idth6JUo0
順序はどうであれ何か主力メンの日常の部分も垣間見えるものですね。
二日目以降どういう展開になるのか楽しみにしております。
745名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 22:53:01.75 ID:x48JeREa0
>>744
だからお前何様なの?
お前の駄作なんかよりよっぽど面白いからw
746名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 22:58:10.00 ID:Z0SfdyDz0
↑お前こそ何様のつもり?マンダム氏
本人が言うなら話は別だが何の関係もない
お前が言う資格はない。
荒らすつもりか?
747マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/13(日) 23:16:06.90 ID:Ka3berATO
まだ日が昇ったばかりだというのに人が世話しなく動く
そんな中でも眠りなれている彼女たちでさえこの日はほとんどの者が起きていた

「おはよう」

板野が起きると前田はもう布団を畳み終え支度が完了していた

「寝てないんじゃない?あっちゃん」

「ううん、ちゃんと寝たよ」

嘘だ
前田は昨晩から一睡もしていない
寝ないというよりは眠れないというほうが正しいのか

「おはようございますーんーふふふ、よく眠れましたか?」

古畑が近づいてくる

「少しだけ」

「それはよかったですーはい
人が死んだ日にはなかなか眠れないものですから」

「何が言いたいんですか?」

睨み付けるように古畑を見つめる

「んー…嫌われてるのでしょうか、朝からすみませんでした」

古畑はそそくさと去っていった
姿がいなくなるのを確認して板野は口を開いた

「ちょっと強く当たりすぎじゃない?
もっと好感持たせといたほうが…」

「これくらいでいいよ
近づいてこられるの面倒だし」

前田は少し微笑むと帰り支度を済ませた
ほどなくして全員が再び集められる
またしても高橋がその場を仕切った

「えーみなさんお疲れさまです
捜査のほうも一段落ついたそうなので一度家に帰ってください
不規則な時間ですが今日もコンサート予行は午後過ぎから始めます
家に帰って少し休んだらもう一度ここに集合でお願いします」
748マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/13(日) 23:17:30.43 ID:Ka3berATO
彼女の指示が終わるとスタッフたちに連れられメンバーが引き上げていく
会場から出る際も警官による厳重な身体検査と荷物検査が為された

「あ、高橋さん」

古畑に呼び止められる

「西園寺くん、サインもらっといて」

「わかりました」

西園寺が駆け足で高橋に寄ると色紙とペンを渡した

「すみません、うちの部下が好きなもので」

「昨日のあの方ですね」

高橋は慣れた手つきで書き終えるとメンバーに続いて会場を後にした



「あー生き返るー」

小嶋が大きく伸びをする
なにせ一日中室内に閉じこれられていたのだ
しかも外にも出られない
久しぶりの新鮮な空気に心が踊る

「にゃんにゃん、また後でね」

前田はそう言い残し一人帰っていった
小嶋も荷物を手に持ちマネージャーの車に乗り込んだ



そしてその二時間後
前田の家のチャイムが鳴る
小嶋が訪れた
前田は彼女を中へ誘い部屋へと連れる

「陽菜ちゃんいらっしゃい」

親しげに前田の母親と挨拶を交わす
笑顔で応えるとそのまま前田の部屋に入った

「おっそ」

ぼそりと呟いたのが聞こえてきた
それは板野の声
そこには板野、峯岸、そして高橋の姿があった
749マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/13(日) 23:21:22.62 ID:Ka3berATO
すみません
もう脳が回らなくなってきたのでここまでです

前田たちの作戦会議
そして捜査のほうは新たな証拠が浮かび上がり…

ふかふかの布団と温かい毛布で寝れることに感謝して続きはまた明日です



750杉上左京:2011/11/13(日) 23:23:09.72 ID:idth6JUo0
お疲れ様でした。ゆっくり休んでください。
また明日、楽しみにしています。
751名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/13(日) 23:26:34.36 ID:Z0SfdyDz0
お疲れー(^o^)/
うるさい輩は気にせず頑張れ!!!!!

杉上氏も何を言われても気にせず応援してやってくれ!
752名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 00:10:16.79 ID:cy5hsosv0
>>751
こいつキチガイだな
753名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 00:12:38.39 ID:OcoWcQmk0
↑お前がな(笑)
754名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 02:57:47.86 ID:FbzL3Co70
もうID変わっちゃったけど (^0^)(^0^)(^0^)(^0^)(^0^)(^0^)(^0^)(^0^)(^0^)(^0^)(^0^)(^0^)(^0^)(^0^)

抽出 ID:Z0SfdyDz0 (5回)

729 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2011/11/13(日) 15:58:53.05 ID:Z0SfdyDz0 [1/5]
>>728
お前こそ何だそのエラそうな態度は?
文句あるなら書いてみろ。書けんのなら
黙ってるか見に来るなよ。鬱陶しい。

740 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2011/11/13(日) 20:27:26.86 ID:Z0SfdyDz0 [2/5]
↑じゃあ黙ってろ。

743 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2011/11/13(日) 20:51:56.42 ID:Z0SfdyDz0 [3/5]
古畑人気あるなー。

746 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2011/11/13(日) 22:58:10.00 ID:Z0SfdyDz0 [4/5]
↑お前こそ何様のつもり?マンダム氏
本人が言うなら話は別だが何の関係もない
お前が言う資格はない。
荒らすつもりか?

751 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2011/11/13(日) 23:26:34.36 ID:Z0SfdyDz0 [5/5]
お疲れー(^o^)/
うるさい輩は気にせず頑張れ!!!!!

杉上氏も何を言われても気にせず応援してやってくれ!
755名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 06:52:01.85 ID:hZqBNN4OO
四谷氏も杉上氏もマンダム氏も好きだよ
756名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 08:02:47.53 ID:Ku8aIzDo0
保守
757名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 10:07:19.52 ID:0aPwyZmvO
こっちは批判ばかりだな…四谷さんのときも多少あったがここまでひどくはなかった
758名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 10:30:59.36 ID:OcoWcQmk0
四谷さんの後だからな。
批判覚悟で書いてくれているマンダム氏への
配慮がなさすぎ。
759名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 12:27:22.77 ID:OcoWcQmk0
昼の保守
760四谷幸喜:2011/11/14(月) 15:12:21.25 ID:/307Nflc0
すみません。ROMばっかでしたが、ちゃんと毎日来て
マンダムさんの作品楽しませて頂いています。
とっても丁寧に書かれてて、すごく楽しめます〜
続きがとっても楽しみです。
でも、ご自分のペースで更新していってくださいね。
私は待つのは得意なほうでして(握手会とか色んな場面で慣れてますしねw)
761名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 15:47:29.20 ID:4FNU3H3T0
>>758
誰もマンダムを批判してないんだが
762名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 16:57:36.72 ID:cy5hsosv0
>>761
>>758は日本語が苦手らしいから仕方がないよw
763マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/14(月) 19:44:02.04 ID:kEwA4GKCO
「古畑さん!」

西園寺が大声で彼の名前を呼ぶ
虚ろな目を擦りながら応えた

「なに?寝てないんだからさ寝かせてよ」

AKB48のいなくなった東京ドーム
依然そこには警官たちが慌ただしく動いている
そんななか男は椅子に腰掛け寝ていた

「それが新しい遺留品と見られるものが」

まだ寝ていたいという睡魔に襲われるも立ち上がる
あくびを一つかき西園寺に連れられ動き出した



「こちらです」

地下の駐車場に到着する
死体は回収されているものの車の位置などは事件からそのままだ

「秋元氏の衣服からこんなものが…」

西園寺が差し出したのは一つの手紙

『秋元康、これ以上の過剰な商売はやめろ
さもなければ貴様の命がないと思え』

明らかな脅迫文
それが秋元の懐から見つかったということは日頃から脅されていたということになる
古畑は顔をしかめると車の周りを回り始めた

「これ事件からそのままなんだよね?」

「はい」

窓から中を見渡す
秋元のいた運転席
窓は全て閉まっていた
その一つには排気口から繋がった管

状況は完全に脅迫から自殺に追い込まれたそのものだった
764マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/14(月) 19:45:30.51 ID:kEwA4GKCO
しかし自殺と判断するには早すぎるものがあった

「絞殺痕がありました」

西園寺から聞かされていた情報
絞殺痕は決して自分ではつけられない
首を吊る以外には

「西園寺くん、指紋は?」

「全くありませんでした」

古畑の脳裏でロジックが形付けられる
否、初めから臭いはしていた
作り込まれた偽りの臭いが

「ねぇ西園寺くん」

「はい?」

「指紋残さずに車に乗れる?」

「手袋があれば」

「手袋は?」

「ありませんでした」

「じゃあ自殺しようとする人が手袋隠す?わざわざ小細工する?」

「いいえ」

そして古畑は少し考えこむと再び紙を広げた
じっくりと僅かな事柄も見逃さぬように

「西園寺くん、秋元さんの利き手は?」

「右です」

その瞬間、古畑の中で結びつく
自殺か他殺か?
求められた答えは実に単純なものだった




場が暗くなる
古畑にだけ当てられるスポットライト
振り返ると静かに語りだす

「えー…今回の事件、かなり手のこんだものです
二重三重に罠が張り巡らされています
容疑者は過去類をみないほどの人数です
これほど多い場合は消去法で減らしていく必要があります、はい
すでに数人に絞り込めましたー…ふふふ
なぜわたしが容疑者の数を減らすことができたのか?
ここまでのお話じっくり読み返してみてください

古畑任三郎でした」
765名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 20:03:15.70 ID:OcoWcQmk0
おぉ!楽しみだ。
766マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/14(月) 23:01:40.57 ID:kEwA4GKCO
すみません…気づいたら寝てしまっていました
また明日に更新します
767名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/14(月) 23:19:38.19 ID:xy6je6hu0
>>762
そうだな
多分チョンなんだろう
768名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 00:36:16.42 ID:PYQcQigF0
自分のペースでいいよ。
769山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/15(火) 05:14:28.81 ID:CMbPKi0TQ
支持
770名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 11:46:35.96 ID:PYQcQigF0
小説スレのいちゃもん付けは迷惑だな。
内容もみずに叩くだけ。
それで書いてみろと言う正当な文句に
気持ち悪いと言う。
どういう神経してるんだか。
771名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 12:44:52.80 ID:WmPUPrjl0
書いてみろ、は正当な文句では無いと思ってる。
例えば、野球選手が糞プレーした時に叩いたら、
じゃあお前はもっとうまくできんのかよw
て叩く奴がいるけど、これは論点がズレてると思う。

どこがダメなんだよ、とかなら分かるけど。
あくまで個人的な意見だぞ。
とにかくマンダム氏のは楽しみにしてるし。
772名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 12:49:45.29 ID:PYQcQigF0
全うな批評はいいがひどいただのいちゃもん付けが
多いのも事実。
杉上さんに偉そうとか叩くのは間違ってるよ。
こういう常識はずれはムカつくわ。
773名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 13:19:20.76 ID:EhYTUFkA0
>>772
ID変わっても馬鹿は変わらない(笑)
774名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 14:06:07.17 ID:Mm214cAQ0
なるほど…あっちゃんが秋Pの遺体にゴソゴソしてたのは脅迫文か
そして利き手…あっちゃん左利きか
さて対決が楽しみだ
775名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 18:29:25.99 ID:h1Y0aeqSO
また議論か
毎回議論やってよく飽きないな…
776名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 19:15:32.84 ID:VrHwMSrA0
小説評論スレでも立てて、全員そっちでやってくれや
777名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 20:11:13.90 ID:FbATynQ50
議論はここでどうでしょう?

http://hato.2ch.net/test/read.cgi/akb/1321252383/l50

作者さんが自分の作品についての意見を知りたいなら、そこに行けばいいわけで…
778名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 20:12:21.05 ID:PYQcQigF0
議論と言うよりいちゃもんだろ。
無視に限る。
マンダム氏の作品を今は楽しもう。
779名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/15(火) 20:14:50.83 ID:bxlhIAS30
299 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2011/11/15(火) 20:12:58.06 ID:PYQcQigF0 [13/13]
誰がメインなんだろ?
780マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/15(火) 20:42:44.03 ID:MP82sPrIO
「とりあえず揃ったことだし」

板野が前田に言う
前田は頷くと口を開いた

「なんとか一日目は越えることができたけど
これからもっと細かく捜査をすれば何か見つかるかもしれない」

緊張が一気に高まる
まだ安心してはいけないのだと

「処分しなきゃならない証拠もまだ残してあるし」

「ダンボール?」

「うん、あれはあるところに隠してあるからそんなに簡単には見つからないと思うけど
まあいつかは消さないといけないものだからね、早いほうがいい」

前田の言葉に板野が割って入る

「それは3人に任せたほうがいいんじゃない?」

そう言うと高橋、小嶋、峯岸を見た

「なるほど、ノースリーブスの企画って言えばなんとかなるか」

「しかも陽菜がスタッフに印象付けてるし」

「そうすれば怪しまれずに二重の意味でうまくいく」

3人は納得したように頷いた
前田と板野もこの3人ならばうまくできると信頼を寄せていた

「であとは?」

「アリバイ作り」

実際のところ隠蔽をしていた3人にアリバイはない
彼女たちにとって最大の壁が立ち塞がった
781マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/15(火) 20:43:31.64 ID:MP82sPrIO
「にゃんにゃん、ちゃんとやったよね?」

「うん、うまくいったかはわからないけど言われた通りにはしたよ」

前田、板野、峯岸が隠蔽工作をしている間小嶋はいなかった
それはこの為であった
小嶋をステージにいさせることでその場にいる人たちの印象を操作した
彼女から発進される嘘の情報によって

「たかみなは仕事だから何も言ってないけど
あっちゃん、ともちん、みぃちゃんはちゃんといる呈にしといた」

「さすが」

やはり小嶋をこの役に回しておいてよかった
前田は心からそう感じた

「あとはあの刑事だけだね」

「え?古畑さんのこと?」

理解できないように小嶋が尋ねた
しかし前田は厳しい表情で頷いた

「昨日もそう言ってたけどどうして?
ただの優しいおじさんにしか見えないけど…」

「だから勝手に決めつけちゃだめだって!」

前田の語気が強まる
4人が驚いたように彼女の顔を見た

「ごめん…」

前田は座り直し言葉を続けた

「それでもなぜかわかるの
あの人は只者じゃない
ただの勘だけどそう思う」

それは初めからだった
古畑の顔を見たその時から何かを感じ取っていた
地雷を踏まぬが如く

ピンポーン

その時、インターホンが鳴った
782マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/15(火) 20:44:20.36 ID:MP82sPrIO
「誰だろ?」

「もう他に呼んでないよね」

「もちろん」

4人が顔を見合わせる中、前田が立ち上がる
窓際へと寄りカーテンを開けた
玄関を見下ろす

「!?」

彼女の顔が固まる
カーテンの裾を握り締め少しの間動かなかった

「どうしたの?」

前田の異変に板野が気づく
すると部屋の扉が叩かれる
前田の母親が蒼白とした表情で顔を出した

「敦子…」

あわてふためく彼女の言葉に前田は冷静に答えた

「わかってる」

静かに扉を閉め階段を降りる
残された4人は状況が理解できずにいた



狩りとは読み合いである
獲物は生き延びるために最善の策を尽くすのである
しかし気をつけなければならない
獲物とはあくまでも獲物なのだから
一流の狩人は虎視眈々と背後まで迫っていることを



板野がカーテンを開ける

「あ…」

それは嗅ぎ付けたのか
はたまた至極当然の成り行きなのか

「古畑さん…」

玄関の前に立つ黒い服の男
ふと上を見上げる
板野は彼と目が合った
すると彼は諮ったかのようにニヤリと口元を綻ばせた
783マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/15(火) 23:33:04.15 ID:MP82sPrIO
すみません
つづきはあしたです
784山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/16(水) 00:16:36.80 ID:d1gt/NgRQ
なかなか・・・支持
785名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 00:17:45.57 ID:CZXbdkmA0
楽しみにしております(∵)
786杉上左京:2011/11/16(水) 00:26:45.60 ID:NVs7qPof0
かなりワクワクしてくる展開ですね。
楽しみに待ちたいと思います。
787名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 00:38:08.86 ID:00T3D1ts0
四谷の見てきたけどやっぱ別格だったわ
788名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 00:38:19.56 ID:V129bT2p0
マンダム氏のは分かりやすくていいよね(^-^)
789名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 03:33:24.38 ID:rHJkuHfn0
いよいよか
790名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 09:38:48.72 ID:V129bT2p0
古畑はどう真実へたどり着く?
791名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 13:05:02.69 ID:TTmQkEC+0
面白いねー
続き気になる
792名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 18:24:59.32 ID:sD1waO4zO
保守
793名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 22:17:38.17 ID:qF/Wgnt80
このスレも終盤に入ってきたな
794マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/16(水) 22:44:02.68 ID:xpwRR0PtO
すみません
今日は更新ありません、
795名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 23:35:55.74 ID:olPvrDFDO
なかなかいい感じです。
796名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 23:52:37.25 ID:cyYVUVRm0
wow
797名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/16(水) 23:53:44.25 ID:cyYVUVRm0
支持
798名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/17(木) 00:41:13.99 ID:HjLQJKBE0
保守
799名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/17(木) 01:36:07.02 ID:ZK8eo+7IO
マンダムさんは自分語りがないから好感持てるわ
800名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/17(木) 05:26:19.33 ID:EKhMa7bH0
保守
801山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/17(木) 07:21:48.37 ID:Gpz0Ldw6Q
>>799
ハゲドウ
802名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/17(木) 13:16:41.76 ID:H1xX950zO
保守
803名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/17(木) 18:08:17.93 ID:tIU1JTt1O
はげどう
804マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/17(木) 21:57:28.88 ID:SeSoP7xJO
「はい」

玄関の扉を開けた
そこには古畑がにやけ顔で立っていた

「どうしました?」

「えーお休みのところすみません…ふふふ、誰かお越しで?」

「まぁ…」

並んだ靴を古畑が見る
前田は適当にあしらって帰らそうと思っていた
しかしそう簡単にはいきそうにない

「お仲間の方が来てらっしゃるんですね」

「どうしてそれを?」

「板野さんのお顔がちらっと」

満面の笑みで微笑む古畑に前田は諦めた

「どうぞ」

「よろしいですか?すみませんー」

躊躇うことなくまるで始めからそのつもりであったかのように靴を脱いだ



足音が近づいてくる
ドアノブが回りると前田が現れその後ろから例の男が顔を出した

「ふふふ…お集まりのところ申し訳ありません」

前田の表情はあからさまに苛つきが見られ他の4人は唖然とした様子であった
前田の座っていた場所に古畑が座る
座れなくなった前田が仕方なく板野の隣に腰かける

「あー、すみません…前田さんのお席でしたかふふふ」

「いえ、構いませんよ」

一向に本題に入ろうとしない古畑に板野が痺れを切らした

「どうしてここに?」
805マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/17(木) 22:01:02.81 ID:SeSoP7xJO
「お気遣いありがとうございます」

「そろそろ本題に」

「はい、では」

すると懐から秋元の所持していた紙を取り出した

「これは?」

「脅迫文と見られるものです
おそらく犯人から送られたものだと思われます」

「犯人?…まさか秋元先生殺されたんですか?!」

前田が驚きながら古畑に問いただす。

「はい、自殺の線はほぼ無くなりました」

「…………」

前田は押し黙り項垂れた

「えー…お気持ちお察ししますが一つだけよろしいですか?」

「………なんですか?」

「前田さんは確か左利きでいらっしゃいましたね」

「はい…」

古畑の質問の意図が五人にはわからなかった
黙ったまま彼の話を聞く

「えー…こちらの脅迫文、よーく見ると滲みがあります」

確認すると確かにインクペン特有の滲みがあった

「字は定規でひかれて書かれていて筆跡判断はできません
しかしこの滲み、これは少し参考になるんです…ふふ」

どういう意味わからず何も言い返せない

「えー…こちらの滲みの方向…」

古畑が指で指し示す

「例えば右利きの人間が右端から書いたとき甲が擦れて滲みができます
それがもし左利きなら左端から書かれた場合逆に…」

古畑は不敵に微笑む
そこまで説明されてようやく彼女たちはその言葉の意味を理解した
806マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/17(木) 22:03:25.24 ID:SeSoP7xJO
「えー…この脅迫文、左端から書かれ文字が滲んでいます
先ほど説明した左利きの人間のパターンと同じです」

古畑の言葉の矢先が誰に向いているのかは明白であった
笑っている中に鋭い棘を仕込んでいる

「それでわたしが疑われているんですか?」

前田が睨み付けるように言い放つ

「いえ…一つの可能性です」

その場の空気は一気に重苦しくなった
険悪なムードが漂う

「そんな!左利きってだけであっちゃんが疑われるなんて…」

声を発したのは高橋だった
まさか前田が疑われている
そのことに高橋は堪えられなかった

「ほんとうに可能性です
決して前田さんと断定しているわけではありませんので」

そうは言うものの彼の目は敵に向けるものだった
高橋はそれ以上追及することはなく口を閉じた
するとまたも前田が古畑に尋ねた

「自殺の線はなくなったって言ったでしょ?
どうしてなの?秋元先生は自分の車の中で死んでいたのに」

「えー…それはですね、指紋です
犯人のものと思われる指紋は見つかりませんでした
しかしなくてはいけない秋元さんの指紋もありませんでした」

807マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/17(木) 22:05:05.46 ID:SeSoP7xJO
「さらに調べると運転座席の窓ガラスとボタンに擦れたような後が見られました
つまり何者かが秋元さんを殺害し自殺に見せ掛けるために細工を施した
えー…そして大事な点がもうひとつ…」

古畑は人差し指を立てた

「絞殺痕がありました、えー…今から自殺しようとする人がそんなものつけません
ついたとすれば犯人に首を絞められた…ふふふ、そんなところでしょう」

言い終えたときにはその部屋にいた者は圧倒されていた
彼の推理力に、否その迫力にといったほうが正しいか
しかしただ一人怖じけづいていない者がいた
彼女は静かにしかし力強く古畑を見据えていた

「もし…」

前田が発する

「なんでしょう?」

「もしわたしたち…AKB48そのものが敵だとしたらどうします?」

「んー…ふふふ、難しい質問ですはい」

古畑は目を瞑り眉間に指を当てた
少し考えたあと迷わず返した

「必ず捕まえます、どんなに敵が大きくとも
えー…それが刑事の役目です」

そう言った古畑の顔は自信に満ちていた
まるで前田に向かって言っているかのように思えた
すると古畑はふいに立ち上がる

「要件はこれだけです、わたしはこれで…」

808マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/17(木) 22:07:23.95 ID:SeSoP7xJO
前田は古畑を玄関まで見送りに行った

「どうもこれだけのためにわざわざ」

「いえ…仕事ですから」

古畑は皮肉めいた言葉で言う
しかし前田は顔色一つ変えることなく続けた

「さっき言いましたよね」

「あなた方全員が敵ですか?」

「もしそうなら負ける気はしませんよ」

自信満々の彼女に古畑は顔をしかめて返した

「はい、実に手強そうだ
できればお相手したくはないです…ふふふ」

そう言うと玄関の扉を開き外に出る
頭を少し下げると前田も少し下げた

家の前に停めていた自転車に跨がる
ゆっくりとこぎだすと古畑はみるみる遠ざかっていった
その背中を見つめながら前田はぽつりと呟いた

「わたしたちはAKBより強い絆を持ってますから」

静かに誰にも聞こえないほどの微かな声は扉が閉まる音に掻き消された



「帰った?」

前田が部屋に戻ると峯岸が恐る恐る尋ねた

「うん、大丈夫」

「でもさどうしてここに来たんだろうね?」

板野が純粋な疑問を投げかける
五人は固まるもそれ以上は考えないようにした

809マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/17(木) 22:08:47.28 ID:SeSoP7xJO
「でもこれでわかったでしょ、あの刑事が優秀だってこと」

古畑は一人で来ていた
それはつまり独断なのであろう
証拠の足りない状況では警察として動けない
だから単独で動くしかなかったのだ
だが逆に古畑はすでに疑いをかけているということにもなる

「でもまだ証拠は揃っていないはず
その間にわたしたちは残りのものを消去しておかないとね」

高橋が時計を見ると短い針が真上を向こうとしていた

「あっ、もうこんな時間」

高橋が立ち上がるのと同じく残りの3人も帰りの支度をする

「ごめんね、あっちゃん」

「うぅん、でもみんな気をつけてね
古畑さんはほんとに頭が切れる
すこしでもぼろを出したら負ける」

前田の言葉を聞く4人の顔は真剣そのものだった

「わたしたちなら大丈夫だよね」

峯岸がふと尋ねる

「もちろんでしょ」

板野が手拍子で返したのに高橋と前田が微笑む
そして4人は前田の家を後にした
4人の背中を見つめる前田の瞳はどこか悲しそうに見える

「わたしたちなら大丈夫…か」

自分に言い聞かすように呟くと扉を閉めた
810マンダム ◆Wrj/778Rh2 :2011/11/17(木) 22:32:51.34 ID:SeSoP7xJO
ほんと更新少なくてすみません
2日目はこれが佳境です
もう少しだけありますがそれは3日目の繋ぎということで

今日はここまでです
811名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/17(木) 22:40:31.45 ID:DgZC+D2k0
明日も期待しているよ
812名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/17(木) 22:54:43.42 ID:mkT0dBpA0
この事件さあ別に古畑じゃなくても並みの刑事でも解決できそうじゃね?
自殺に見せかけたのに絞殺痕が残ってるとか初歩中の初歩じゃん
813名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/18(金) 01:06:10.21 ID:c+a1asWV0
いちゃもんは気にせず頑張れ!!!!!
814名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/18(金) 04:55:46.05 ID:IjkWX7rj0
あげ
815名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/18(金) 12:59:30.75 ID:c+a1asWV0
マンダムさん。無理せずいこう。
816名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/18(金) 20:25:17.29 ID:FgV7a+Op0
ほしゅ
817名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/19(土) 00:22:59.57 ID:uGIxCvp/0
保守
818名無しさん@お腹いっぱい。:2011/11/19(土) 05:42:21.89 ID:1sfvuV/o0
あげ
819山ちゃん ◆NwPicZGYYA :2011/11/19(土) 08:17:59.74 ID:yDt+xOxzQ
>>812
普通にある
820名無しさん@お腹いっぱい。
あげ