元営業マン 畑再生に奮闘
生坂村の耕作放棄地を、高齢者のために再生させる「いくさか大好き隊」初代隊員の伊藤俊太さん(25)は
今年1月、愛知県愛西市から村に移住した元営業マン。
農業はずぶの素人だったが、放棄地の再生にも成功し、活動は軌道に乗ってきた。
村民にも温かく迎えられ、軽トラックを走らせて畑仕事をする毎日だ。
愛知県内の飲料メーカーで営業をしていた伊藤さんは、自分で作っていないものを売ることに違和感を持ち、
「最初から最後まで自分でやってみたい」と農業に興味を持った。
「果樹栽培といえば長野」というイメージだけで、地縁も血縁もない長野県を選んで
農業のできる場所を探し、大好き隊に応募した。4年半務めた会社に未練はなかった。
村総務課によると、村内の人口に占める65歳以上の高齢者の割合は39・1%(8月1日現在)。
高齢者が半数以上を占める限界集落も多数あり、消滅した集落や数人しか住んでいない集落も5か所ある。
そんな村に飛び込んだ伊藤さんは、農業未経験。
それでも村の農業公社で受けた研修の成果が出て、これまでに村内3地区の畑7枚を再生させた。
木にツルが絡んで林のようになった畑を重機で開墾し直し、
高齢者でも収穫しやすいタラノキの苗やワラビなどの山菜を植える。
夏場は、雨の度に伸びてくる草の除去。村に来てから体重が9キロ落ち、
「昔は、不規則な生活をしていたから健康的になった」と笑う。
畑仕事をしていると、「うちの地区に住め。畑ならいくらでも貸してやる」と地元住民から声を掛けられることもある。
一緒に移り住んだ美容師の恋人も、今ではもんぺをはいて手伝ってくれる。
伊藤さんが再生させた畑は、地区の高齢者らが引き継ぐため、自分の畑はまだない。
「将来は自分の畑を耕し、永住したい」と夢を描いている。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagano/news/20100824-OYT8T01141.htm