告白までの流れをイメージしたあと、気合いを入れて二人の元へと戻った。
「あ、おかえりー」
優子の眩しい笑顔に迎えられて、気分は最高潮に高まる。
あとは、麻衣が居なくなるのを待つだけ……って、あれ?
異変に気付いた。
先程まで元気の良かった麻衣の様子が明らかにおかしい。
「麻衣、どうかした?」
「え、な、なんで? どうもしないよ」
取り繕うように姿勢を正し笑顔を作り、優子に向かって「ねえ?」と同意を求めた。
優子は、そんな麻衣がおかしいのか笑顔を崩さぬまま、それに返事した。
「ならいいんだけど…」
腑に落ちなかったが、それ以上の追求はしなかった。
ポケットからタバコを取り出し、それを一本咥える。
火を点けようとライターを手にしたとき、優子と目が合った。
タバコ、まずかったかなと思い、咥えてたタバコを口から離した。
「どうぞどうぞ、吸ってください。私、男の人がタバコ吸ってる姿好きなんですよ」
優子は軽く微笑むと、両肘をテーブルに乗せ、両手で自分の頬を包み込む様に顎を乗せた。
笑ったときに出来る両頬のえくぼと、少女漫画のキャラクターのような大きな瞳。
そして、その外見からはイメージ出来ないハスキーボイスが、さらなる魅力を醸し出していた。
許しを得た俺は、再度タバコを咥えると、そこに火を点け、一気に煙を肺まで吸い込んだ。
「…ゲホッゲホッゲホッ…」
タバコを吸う男の人が好きだと言った優子を意識してか、無理に格好付けようとして、噎せてしまった。
大丈夫ですか?と言う優子に対し、右手を前に差し出して、大丈夫と言う意思表示を表した。
水を一口飲んだあと、もう一度タバコを、今度はゆっくりと吸い込んでから煙を吐き出した。
なんか格好悪い気がして、その一本だけで、吸うのを辞めた。