関空、伊丹、神戸の将来 PART12

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399名無しさん@お腹いっぱい。
関西国際空港の規模及び位置について(航空審議会第一次答申)

   昭和49年8月13日
運輸大臣 徳永正利 殿


                   航空審議会委員長 植村甲午郎

          関西国際空港の規模及び位置(答申)

規模及び位置

 関西国際空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、その位置を大阪湾南東部の
泉州沖の海上とし、当面その規模を、海上の国際空港としての最小の単位となる長
さ4,000メートルの滑走路1組(少なくとも300メートルを距てた2本の平行な滑走路)
に、長さ3,200メートル以上の補助の滑走路1本を加えたものとすることが望ましい。
ただし、空港の正確な位置は、現地を詳細に調査したうえで決定されるべきである。

理由

 本答申に係る諮問は、大阪国際空港のみでは関西地区における航空輸送需要の増加
に対処することができず、新しい空港を建設する必要があるという理由に基づく。

 本審議会は、諮問を受けた昭和46年10月13日以降今日まで、新しい空港、わけても
公害のない空港の建設についてできる限りの手段を尽くし検討を加えてきた。そのため、
空域、環境の保全、建設の技術、周辺地域への影響等、基本的な事項の審議に多くの時
間を費やした。また、昭和48年末航空機の騒音に関する環境基準が制定されたので、航
空機の管制・運航方式や空港の能力を再検討した。その結果、新しい空港の位置を海上
とするならば、公害のない空港を関西地区に建設することは十分に可能であるとの結論
に達した。

 この間、内外の経済・社会情勢の急激な変化に伴い、我が国の航空をとりまく環境も
一段と厳しさを加えている。
まず、大阪国際空港では、昭和39年のジェット機乗り入れ以来、周辺地区の急速な市街
化とあいまって深刻な騒音問題を発生せしめた。このため、周辺住民の要請により運航
便数等に厳しい制限を課さねばならなくなり、わが国が対外的に負う義務さえも履行で
きず、国際信義上の問題が生じている。この騒音問題は、かねて住民が提起していた訴訟
の第一審判決ともからみ、昨今では一層深刻化し、同空港の存廃さえも問題とされるに
至ってきた。

 このことから本審議会は、まず、大阪国際空港の騒音問題の抜本的な解決を図ること
が緊急な課題であり、したがって、新しい空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、
同空港の機能を代わって受け持つ能力のあるものとしなければならないと認識した。
 次に、最近における環境保全への世論の高まりや石油等の資源・エネルギー問題など
から、航空輸送需要の予測の前提であった国の長期経済計画も、改めて見直さざるを得
ない情勢となっている。政府においては、現在その改訂のための準備も進めていると聞
くが、成案を得るにはまだかなりの時間を要するもようである。したがって、現時点では、
信頼性のある航空輸送需要の見通しをたてることも容易ではない。
400名無しさん@お腹いっぱい。:2010/06/01(火) 01:25:01 ID:eUfQBBaA0
人口の増加や国民の生活水準の向上への要請から見るならば、成長率には問題があると
しても経済成長そのものを否定することはできず、航空輸送需要の伸びも認めざるを得ない。
また、航空が経済上や文化上にこれからも果たすであろう重要かつ公共的な役割を考えるな
らば、関西地区における空港機能の存在の意義を否定することはできない。

本審議会は、
(1) 大阪国際空港の騒音問題の抜本的な解決を図る。
(2) 国の長期経済計画の見通しのいかんにかかわらず、航空輸送需要の増加は見込まれる。
  こと等の理由により、国としても地域としても、制約を受けない新しい空港が緊急に必要
   であることを確認する。

 ここに、本審議会は、大阪国際空港の廃止を前提として、関西国際空港の規模及び位置
を以下のように考える。

 位置については、関西地区の地形等にかんがみ、当初、新しい空港の候補地を泉州沖、
神戸沖、播磨灘及び淡路島の4箇所と想定した。しかしながら、淡路島は特に騒音問題の
解決が著しく困難と思われたので候補地から除き、他の3候補地について空港機能、環境保全、
地域計画等の見地から総合的に検討・評価した。いずれの候補地にもそれなりの特徴があり、
空港の候補地としては適地と考えられたが、新しい空港の位置としては泉州沖の海上が最も
望ましいと判断した。ただし、空港が建設されるべき正確な位置は、今後における現地の技
術調査等に基づいて決定されるべきである。

 この候補地に新しい空港をつくるならば、将来にわたって公害の発生は避けられよう。
また、環境の保全に留意しつつ、周辺地域を空港の建設とあわせて適切に準備するならば、
両者の調和ある発展は可能となると確信する。

 次に、規模については、航空輸送需要が再検討されている現在、海上の国際空港としての
最小の単位となる滑走路1組に、横風用の滑走路1本を加えたものとすべきであると判断した。

 なお、今後、航空輸送需要の見通しが明らかとなれば、関西地区において更に滑走路
1組を必要とする場合も考えられるが、本答申と時点を異にする問題であるので、ここで
は触れないことにする。

(参考)関西国際空港の規模及び位置
    <航空審議会答申における構想>
   イ 位置 大阪湾南東部の泉州沖の海上
   ロ 規模 面積 1,100ヘクタール
        滑走路 4,000メートル2本
            3,200メートル以上1本
   ハ 能力 航空機離着陸回数
             年間15〜16万回
   ニ 事業費 約1兆3,000億円