いつもなら試合開始のゴングと同時に突撃する小川
>>1の巨体が ジリジリと後退して行く。
観客席からは「逃げるな、白豚!」といった野次が飛ぶが、その日の悪役レスラー小川は
蛇に睨まれた蛙、いや蛇に睨まれた豚であった。
何の攻防も無いままコーナーまで追い詰められた悪役レスラー小川が、意を決して突撃
すると強烈なカウンターのビンタが小川
>>1の顔面に炸裂。 脳震盪を起こして前のめりに
ふらついた所へ、顔面膝蹴りが命中。
あとはリングに転がる肉塊
>>1を、美貴帝がサッカーボールのように蹴りまくってるうちに
試合終了のゴング。観客の嘲笑の中、担架に乗せられて退場した
という苦い記憶である。
天敵である美貴帝の前から一刻も早く逃げ出したかった悪役レスラー小川
>>1は、「おい
小春、リングの中で続きをやろうぜ」と言うと、さっさとリングへ上がって行った。
一方、小春にとってはもう、目の前の豚
>>1との試合など どうでも良かった。
「この世界に入る前から憧れの対象であった美貴帝と もうすぐ試合が出来る!」
小春は美貴帝の手を取ると「試合の相手に指名して頂いて有難うございます。
タイトルマッチに恥じぬよう、全力で戦いますから!」 と眼を輝かせながら言った。
美貴帝は「この小娘じゃ、まだまだ私と勝負にならんな」と思ったが、図体と馬鹿力
だけの重量級レスラーとの対戦は飽き飽きしていたので、相手してやる事にした。
「うむ」鷹揚に頷いて、美貴帝が小春に何か声を掛けようとした、その時・・・