あの正統派美少女レスラーの小春がトップロープに登り、自分に向かって
飛んで来るところだったのである。
往年の空中殺法の名手、ミル・マスカラスの試合をビデオで研究したという
小春のフライイング・アタックは見事であった。
ただし敵のダメージが半分は演技であり、まだ技に反応する余力が残ってる
事に気付かなかったのは小春の誤算であった。
かわす暇は無いと見た小川
>>1は咄嗟に両腕を上げて顔面を防御した。
丸太のように太いその腕で覆ってもなお、はみ出すほどの巨顔ではあったが
ともかく小春の空中殺法は威力半減。 トドメを刺し損ねた小春は、身動きの
取りにくいリング外で 重量級レスラーの小川
>>1と対決するハメになった。
場外乱闘は悪役レスラー小川にとって得意な場所である。椅子などの凶器が
沢山あるし、広いリング内では軽量級レスラーのスピードに付いて行けない
肥満体の小川
>>1も、狭いリング外なら体重と腕力でねじ伏せる自信があった。
巨大な肉の壁に押されながらも懸命に応戦する小春。
突如、小春は頭部に衝撃を受けた。
なんと、小川
>>1の仲間で悪役レスラーの斉藤瞳が凶器の椅子を持って
乱入して来たのである。
小春の所属するUFBは細身のビジュアル系レスラーが多い。
そんな中、例外的に不細工と肥満を兼ね備える小川と斉藤は、同病相哀れむ
の心理で意気投合。極悪コンビ「越後豚シスターズ」を結成して暴れ回っていた。
この極悪コンビは身長こそ日本人女性の平均程度であったが
横幅と厚みはレスラーを通り越して相撲取りに迫りつつあった。
二人の巨漢が細身の小春に「殴る、蹴る」の暴行を加えてるサマは
虐待としか見えず、あまりの惨状を見かねたレフリーが反則負けを
宣言しようとした、その時。