悪役レスラー小川のデビュー、間近に迫る

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397ねぇ、名乗って
悪役レスラー小川にとって、人気最下位は定位置である。
そんな小川には 若くて可愛い新人レスラーがデビューして
すぐ人気を得て華々しく活躍する姿は許し難かった。

最近の小川が一番気に入らないのは、近頃台頭著しい真野
恵理奈である。
UFBでは大部分の選手が団体でデビューし、その中で人気を
競い合い、勝ち残った者がエース格として抜擢されるのが
一般的である。ところが真野はデビュー前、研修生のうちから
人気が出てしまったため、始めからソロ&レギュラー出演という
破格の扱いでデビューを飾った。
「新人のくせに生意気。アタシの巨体で押し潰してやる!」

嫉妬に狂った悪役レスラー小川は、真野と対戦する機会を
虎視眈々と伺っていた。
数年前には当時日の出の勢いだった小春に真剣勝負を挑み
返り討ちで惨敗した事など もちろん忘れている。
都合の悪い事はすぐ忘れる才能が無ければ、人気最下位のまま
レスラー稼業を続ける事は出来ないのだ。
398ねぇ、名乗って:2009/02/27(金) 18:49:42 ID:RA47jkWg0
その日、真野は同年代の有原選手との試合が組まれていた。
ところが対戦相手が急遽「外反母趾」という冗談みたいな理由で欠場となり
UFBは頭を抱えていた。観客の中には最近急上昇中の真野選手が目当てで
チケットを買った者も多い。何とか代打を立てて試合させる必要があった。
いち早くこの情報を入手した悪役レスラー小川は、待ってましたとばかり
対戦相手に立候補した。

UFB「真野ちゃんと君じゃ体重もキャリアも違い過ぎる。期待の新人を今
   壊すわけには行かないんだが・・・」
小川「こう見えても私はプロですから。悪役らしく大暴れするフリしながら
   手加減して、最後はちゃんと勝ちを譲りますよ」

厚顔無恥な小川は、全力で叩き潰す気でいるにも関わらず、カラ約束を
連発すると、強引に対戦相手に収まった。

悪役の試合など見た事さえ無い真野は、対戦相手の変更を聞いても小川とやらが
どんな選手なのかピンと来なかった。
いつもの通り、観客の声援に笑顔で手を振りながら入場した真野は、リング上で
仁王立ちになっている対戦相手を見て真っ青になった。 
相撲取りかと思うような巨漢が、殺気のこもった目付きでこっちを睨んでいるのだ。 
これまで同年代で軽量級の美少女レスラーとの対戦しか経験していなかった真野は
初めて間近に見る重量級の悪役レスラーが怖くて泣きそうになった。
「心配するな。奴は図体こそデカいが、練習しないし根性も無いから弱い。このところ
連戦連敗で勝ってるところなど見た事が無い。」セコンドがそう言うと真野は小さく頷き
リングに入った。
399ねぇ、名乗って:2009/02/27(金) 19:44:05 ID:RA47jkWg0
試合開始のゴングとともに悪役レスラー小川は 丸太のような腕を振り回し
殴りかかって来た。破壊力だけはありそうだが、スピードはのろく、新人の
真野でも比較的余裕を持ってかわす事は出来た。
「もしかすると、悪役だから手加減してくれてるのかな?」

実際には当の小川は殴り倒す気満々で振り回しているのだが、肥満体ゆえ
軽量級の真野の動きに付いて行けないのである。真野のセコンドが言う通り
生来の怠け者ゆえ練習もしておらず、一層動きは鈍かった。

軽快なフットワークで悪役レスラー小川の突進をかわしながらサイドに回り込み
繰り出す真野のパンチやキックは面白いように当たった。ブ厚いゼイ肉の鎧に
守られている重量級の小川に大きなダメージは無かったが、試合は明らかに
真野が優勢だった。一段と高まる会場の真野コールに苛立った悪役レスラー
小川は ついに決心した。「反則をしてでも絶対に潰す」 

小川のパンチをかわした真野は突如、粉が飛んで来るのが見えたかと思うと
視界が真っ暗になった。悪役レスラー小川が、隠し持っていた砂を撒いたのだ。
重量級レスラーの小川は、懸命に目をこする軽量級の真野を 難なく押し倒すと
馬乗りになった。
400ねぇ、名乗って:2009/02/27(金) 20:15:08 ID:aPDcMPYOO
>>397-399
頑張れ!
401ねぇ、名乗って:2009/02/27(金) 21:09:53 ID:RA47jkWg0
観客の声援が一転して悲鳴に変わる中、悪役レスラー小川は
苦悶の表情でもがく美少女レスラー真野を ニヤニヤしながら
見下ろしていた。人気では歯が立たない相手でも、リング上では
公然と痛めつける事が出来るのだ。 
一方、下になった真野は何とかこの不利な体勢から脱出しようと
ブリッジを試みた。だが目のダメージで力が入らない上、あまりに
圧倒的な体重差でびくともしない。上から降って来るパンチの雨を
防ぐのが精一杯で、何発かは被弾してしまった。

こんな攻防が数分間続いた後、ようやくラウンド終了のゴングが鳴った。
巨体の下敷きになっていた軽量級の真野には果てしなく長い時間だった
が、仕留め損ねた悪役レスラー小川は地団太踏んで悔しがった。
「あのアマ、次のラウンドでは絶対トドメを刺したる」

マウントを取りながら関節技もチョークも出せず、ただ上から殴るだけ
だった小川はセコンドの予想通り練習不足で、本調子の真野なら十分
勝てる相手だった。だが、反則に続く攻勢で負ったダメージは大きく
ラウンド間の休憩だけでは回復しなかった。

第2ラウンド開始のゴングと共に突進して来てパンチを振り回す小川を
かわす真野のフットワークは序盤とは打って変わって精彩を欠く。
ついにヘッドロックで捕らえられてしまった。
そのまま力任せにねじり倒されるかと観客が悲鳴を上げ始めた瞬間、
悪役レスラー小川の巨体が宙を舞い、真野のバックドロップが炸裂した。

402ねぇ、名乗って:2009/02/27(金) 22:18:31 ID:RA47jkWg0
地響きを立てて後頭部から落下する悪役レスラー小川を見て
観客は狂喜した。  バックドロップは、正統派美少女レスラー
真野にとって、最も得意な技である。 
ただし、第1ラウンドのダメージが残っていたのと圧倒的な体重
差のため、十分に体を捻り切る事が出来ず、技を繰り出した
真野自身も後頭部を打ってしまった。
よろめきながら真野が立ち上がると、ほぼ同時に小川が立ち
上がって来るのが見えた。「これでやっと五分五分か」

実際には悪役レスラー小川は、派手に落下した割りにダメージは
負っていなかった。巨顔で有名な小川の頭蓋骨は 常人の3倍の
厚みがあり、ちょっとやそっとの衝撃では脳まで伝わらないのである。

小川がフラフラしながら太い腕を振り回してパンチで接近して来た。
「馬鹿の一つ覚えか」 失笑しつつ真野がかわした と思った瞬間、
それまでフラフラしていた小川が恐ろしいスピードで体ごと突っ込んで
来た。不意を突かれた美少女レスラー真野は、小川が最も得意とする
肉弾突撃をモロに食らってしまった。
403ねぇ、名乗って:2009/02/27(金) 23:41:06 ID:rmoUL8es0
>>397-399>>401-402
恵里菜がんばれ、圏外豚をやっつけろ!
404ねぇ、名乗って:2009/02/28(土) 00:32:45 ID:10qhR6XRO
>>403
どんだけ嫌いなんだよw
405>>397-399>>401-402の続き:2009/02/28(土) 23:26:57 ID:NX1Z8qxN0
凄まじい衝撃と共に 軽量級の真野の体はロープまで吹っ飛ばされた。
ロープの反動で跳ね返って来た真野に、悪役レスラー小川のラリアートが
飛んで来る。
辛うじて両腕でブロックしたもののバランスを崩して尻餅を付く真野。
すかさず押し倒して のしかかろうと襲い掛かる悪役レスラー小川。
尻餅を付いたまま懸命に蹴り離そうとする真野のキックは、小川の顔面に
何度もヒットして、悪役レスラー小川の顔は紫色に腫れ上がっていた。
だが体重差があり過ぎて小川の巨体を蹴り離す事は出来ない。
膝立ちの体勢でジリジリ前進して真野を追い詰める悪役レスラー小川。
真野が焦って不用意に繰り出した蹴り足を掴むと、小川はその巨体を
浴びせて真野を仰向けに押し倒し、再び馬乗りになった。

「ふっふっふ、可愛い顔してるくせに随分と手こずらしてくれたじゃないの」
悪役レスラー小川はサディスティックな快感でニヤニヤ笑いながら上から
言い放った。重量級レスラー小川に乗られている軽量級の真野は苦しくて
言い返すどころではない。
「さて、この可愛い獲物をどうやっていたぶってやろうか」
紫色に腫れ上がった不細工な顔を歪めながら、悪役レスラー小川は考えた。
そして、この体勢から掛ける固め技があった事を思い出した。

悪役レスラー小川は馬乗りの体勢のまま、まず上半身から覆いかぶさった。
真野は下から必死に押し返そうとするが、彼女の細腕で重量級レスラー小川
の巨体を支え切れるわけも無い。 首を抱え込まれて彼女の上半身は完全に
小川の巨体の下敷きになってしまった。 続いて悪役レスラー小川は馬乗りに
なったまま両足を後ろに伸ばして腹這いになると、縦四方固めの体勢になった。
406>>397-399>>401-402の続き:2009/03/01(日) 00:27:33 ID:5H8PTX570
観客席からは真野の上半身は、覆いかぶさってる小川の巨体に隠れて
ほとんど見えず、腹這いに寝そべっている小川の極太の足に挟まれた
真野の細い両足がもがいてるのが見えるだけである。
ほとんどの観客は、下敷きになっている真野に心から同情していたが
中には;´Д`)ハァハァしている不届き者も居た。

軽量級レスラー真野は懸命にブリッジでひっくり返そうと試みた。だが
重量級レスラーの巨体が上から密着している縦四方固めは ただの
馬乗りより一層ひっくり返すのは困難であった。その上、足を後ろに
伸ばしているので、ブリッジで踏ん張っている足首を簡単に払われて
潰されてしまう。

「あー最悪だ」モニターでこの試合を見ていたUFBの幹部は呟いた。
UFA再興の夢を託して売り出し始めた期待の新人美少女レスラーが
嫉妬に狂う年増の不細工レスラーに潰されそうになっている。新人の
真野に花を持たせる と言った悪役レスラー小川の虚言(>>398)を
うかつに信じたのが失敗だった。

下になっている軽量級レスラー真野は既に半泣きになっていた。
「軽量級の美少女レスラー同士で華麗な技を応酬する世界に憧れて
UFBに入ったのに・・・なんで、こんな豚みたいなババアの下敷きに
ならなきゃいけないの?」

軽量級レスラー真野の抵抗が次第に弱々しくなったので、そろそろ
トドメを刺そうと悪役レスラー小川が上体を起こそうとした その瞬間・・・
407>>397-399>>401-402の続き:2009/03/01(日) 01:02:48 ID:5H8PTX570
「ぐぇっ」 ガマガエルのような声を挙げて悪役レスラー小川の巨体が
のけぞったかと思うと、軽量級レスラー真野は 延々と続いていた
馬乗り地獄からようやく脱出した。

彼女が使った技は、往年の悪役レスラー・アブドゥーラ・ザ・ブッチャー
が得意としていた地獄突き、空手で言うところの「貫き手」であった。
UFB期待の新人であるだけに、ライバル団体Abexが刺客を送り込んで
来た時に備えて、専属のコーチが密かに伝授してくれたのである。
「奥の手を、身内の悪役レスラー相手に使う事になるとは・・・」

4本の指を揃えて相手の喉を突く技だが、指先を相当鍛えていなければ
自分の指が折れてしまう。 また、丁度良い間合いに入るのも難しい。
普通の馬乗り体勢だと下から相手の喉まで指が届かないし、密着した
縦四方固めだと相手の喉は隠れている。悪役レスラー小川がトドメを
刺そうと上半身を起こした瞬間を見逃さなかった真野はさすがであった。

悲鳴に包まれてた観客席は一転して歓喜の真野コールに埋め尽くされた。
相手が鍛えていない素人なら一撃で喉が潰れる地獄突きだが、ブ厚い
ゼイ肉で守られた悪役レスラー小川は回復が早かった。
「さあ、ここからが本当の勝負よ」 軽量級レスラー真野は自分に言い
聞かせるように呟くと、身構えた。
408>>397-399>>401-402の続き:2009/03/01(日) 22:01:38 ID:5H8PTX570
丸太のような腕を振り回して殴りかかる小川の巨体をヒラリとかわしながら
軽量級レスラー真野が打撃を繰り出す、第1ラウンドの序盤と同じ展開が
再開した。 まるで闘牛のような展開に観客は大喜びである。 白豚のよう
だった小川の脇腹や足は、ミドルやローキックの跡で紫色になっていた。 

「このままでは大差の判定負け。この糞生意気な新人を〆るどころか
二度と対戦の機会が回って来ないかもしれん・・・」 悪役レスラー小川は
焦っていた。起死回生を狙ってパンチのフェイントから肉弾突撃を敢行。

「来た、来た」 劣勢の悪役レスラー小川が挽回するにはこれしか無い。
先程真野はこれを食らって窮地に立たされたが、あの巨体の下敷きになる
のはもう真っ平であった。

「バキッ」鈍い音と共に悪役レスラー小川の額が割れて鮮血が飛び散った。
肉弾突撃した小川の額に 軽量級レスラー真野の膝蹴りがカウンターで
命中したのである。 大流血しながらなお、軽量級レスラー真野の腰に
しがみついて押し倒そうと試みる悪役レスラー小川。
「ああ、また馬乗りになってしまう・・・」観客が心配したその瞬間

悪役レスラー小川の巨体が浮き上がったかと思うと、真野の頭を通り越し
放物線を描いて後方に地響きを立てて落下した。
「柔道の巴投げだ!」観客席は総立ちで歓声を上げた。
409ねぇ、名乗って:2009/03/02(月) 14:50:37 ID:+WcpHsim0
小説ならまとめサイト作ってくれ
410>>397-399>>401-402>>404-408の続き:2009/03/02(月) 20:54:48 ID:LKgceS9P0
巴投げは、前に出て来る相手の勢いを上手く利用すれば
か弱い女子供の力でも大の男を投げる事が出来、「柔よく
剛を制す」の理想に最も近い投げ技である。 
ただし、一瞬 自分から仰向けになって相手を下から足で
跳ね上げるため、少しでもタイミングを誤れば相手が自分の
上に落ちて来て潰される。 
そんな危険を省みず、ドンピシャのタイミングで巴投げを
決めた真野の運動神経は大したものだった。

観客はもはや美少女レスラー真野のKO勝利を確信して
総立ちになっていた。だが、真野はまだ安心していない。
案の定、全身を強打しながらなお、悪役レスラー小川は
しぶとく立ち上がり身構えた。
その瞬間、美少女レスラー真野が跳躍すると、全盛期の
猪木を彷彿とさせる延髄蹴りが炸裂した。
前のめりに昏倒した悪役レスラー小川は顔面を強打し
そのままピクリとも動かなくなった。

試合終了のゴングが打ち鳴らされると、悪役レスラー小川の
巨体は担架に乗せられて病院に直行し、美少女レスラー真野
の周りには新しいヒロインの誕生を祝福するファンと報道陣が
殺到した。

「災い転じて福となす とはこの事だな」「うむ。悪役レスラー小川
がブック破りやらかした時はどうなるかと思ったが、真野ちゃんは
みごと自力であの巨漢を打ち破ったね。彼女の実力は本物だ」
モニターでこの試合を見ていたUFA幹部たちは満足げに頷いた。