悪役レスラー小川のデビュー、間近に迫る

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305ねぇ、名乗って
>>295の続き

自分よりはるかにキャリアが浅い後輩、しかも身長は劣るとは言え体重では圧倒している
軽量級の小春に惨敗した事で さすがの厚顔無恥な悪役レスラー小川もショックを受けた
らしい。
歌手時代に輪を掛けて怠慢な日々を送り、筋肉も技も身に付けずゼイ肉だけを増やしていた
悪役レスラー小川も、打倒小春を目指して久々に練習に励む日が続いた。

そして再戦の日。

ただでさえ人相の悪い悪役レスラー小川が殺気に満ちた目つきでガンを飛ばす。
だが、小春は対戦相手を無視して、声援を送る観客へ能天気に愛想を振りまいていた。
日ごろ罵声しか浴びた事の無い悪役レスラー小川には、それがまた無性に腹立たしかった。
「あのアマ、絶対ボコボコにしたる」 
悪役レスラー小川は、ただでさえ不細工な顔を歪ませながら、呟いた。

つづく
306ねぇ、名乗って:2008/08/21(木) 23:56:02 ID:uDyI/TiG0
試合開始のゴングが鳴ると同時に 野獣のような咆哮を挙げて肉弾突撃を敢行。
勝負を掛けた小川だが、渾身のタックルを小春にあっさりとかわされ、勢い余って
ロープの隙間からリング外に転落する間抜けな悪役レスラー小川。
307ねぇ、名乗って:2008/08/23(土) 00:42:51 ID:yS8iyU+l0
対戦相手に浴びせた時は強力な武器となる悪役レスラー小川の体重も
転落した時は 自身にダメージを与える凶器であった。
痛む足を引きずりながらリングに上がろうとした刹那、それまで静観していた
小春が跳躍。 悪役レスラーならともかく、正統派美少女レスラーの小春が
奇襲を掛けるとは予想もしなかった小川の顔面にドロップキックが炸裂した。

リング内なら、これほどの体重差があると大して効かないドロップキックも
ロープをくぐる途中の不安定な体勢で食らったら、ひとたまりもない。
再び地響きを立てて、悪役レスラー小川の巨体は リング外に転落した。

つづく
308ねぇ、名乗って:2008/08/24(日) 01:36:24 ID:duRVdiB00
小春は、リング外でブザマに転がる肉塊をロープ際で見下ろしながら
ここで更に追撃すべきかどうか考えていた。
正統派美少女レスラーというイメージを大切にするなら、相手がリングに
戻って来るまで待つべきであろう。
だが重量級レスラーとの戦いは常に怪我のリスクを伴う。

小春には野望があった。まずはUFA認定チャンピョンの藤本美貴を倒し
更には上戸彩、大塚愛といった他団体のチャンピョンも全て倒して初代
統一チャンピョンの座に付く という野望である。
体重と馬鹿力しか無い悪役レスラー小川との対戦が長引いて、巨体の
下敷きになって怪我でもしたらその野望が遠のいてしまう。
ここは非情に徹してトドメを刺し、さっさと試合を終わらせた方がいいと
思えて来た。

つづく
309ねぇ、名乗って:2008/08/24(日) 04:27:59 ID:KP9J3b570
男子プロレスではジャニーズ帝国がほぼ統一したからな。
女子プロレス界は、UFAチャンピョンになった小春が是非統一して欲しい
310ねぇ、名乗って:2008/08/24(日) 22:10:11 ID:duRVdiB00
一方、2度目のリング外転落という醜態を晒して観客の失笑を浴びながら
悪役レスラー小川は小川で、懸命に考えていた。
急いでリングに戻るべきか、今回はこのままリングアウト負けになるか。

同期や後輩のレスラーを相手に連敗を重ねてもヘラヘラ笑い続けていた
悪役レスラー小川であったが、小春にだけはどうしても勝ちたかった。

入場のたびに罵声と怒号を浴びるのが日課となっている悪役レスラー小川にも
ごく少数ながらファンは居た。大部分は、出身地が同じというだけの理由で応援
してくれる新潟県民であった。
ところが、あろうことか自分と同じ新潟出身の後輩レスラーが新たに入って来た
のである。しかもその後輩は 悪役レスラー小川とは対照的に細身の美少女。
同郷というだけの理由で応援してくれたファンが雪崩を打って小春に乗り換える
のは、普段現実逃避し続けている小川にも容易に想像が付いた。

一時は美少女レスラー小春とタッグを組む という小川得意の「寄生」も考えた。
だが正統派美少女レスラー小春と悪役レスラー小川では釣り合うはずも無く、
小春本人も小川の寄生を警戒していて寄せ付けない。

「こうなったら自分の手で小春を倒し、ファンの流出を阻止するしか無い」
悪役レスラー小川は、そう決心したのであった。
311ねぇ、名乗って:2008/08/25(月) 22:15:48 ID:ZWzh8Fqi0
2回転落したと言ってもリングに戻れないほどのダメージではない。
だが単なる勝利にあらず、小生意気な後輩を完膚なきまでに叩きのめして
格の違いというものを見せ付けてやるつもりでいた悪役プロレスラー小川は
万全の体調で戦いたかった。

「今回は一旦このままリングアウト負けに甘んじて、後からアクシデント
による無効試合として3度目の対戦で決着を付けよう」
そう思いながらリングの方を振り返った時、小川は自分の目を疑った。

あの正統派美少女レスラーの小春がトップロープに登り、自分に向かって
飛んで来るところだったのである。
往年の空中殺法の名手、ミル・マスカラスの試合をビデオで研究したという
小春のフライイング・アタックは見事であった。
ただし敵のダメージが半分は演技であり、まだ技に反応する余力が残ってる
事に気付かなかったのは小春の誤算であった。
312ねぇ、名乗って:2008/08/26(火) 00:27:24 ID:CJlZTfCI0
かわす暇は無いと見た小川は咄嗟に両腕を上げて顔面を防御した。
丸太のように太いその腕で覆ってもなお、はみ出すほどの巨顔ではあったが
ともかく小春の空中殺法は威力半減。 トドメを刺し損ねた小春は、身動きの
取りにくいリング外で 重量級レスラーの小川と対決するハメになった。

場外乱闘は悪役レスラー小川にとって得意な場所である。椅子などの凶器が
沢山あるし、広いリング内では軽量級レスラーのスピードに付いて行けない
肥満体の小川も、狭いリング外なら体重と腕力でねじ伏せる自信があった。
巨大な肉の壁に押されながらも懸命に応戦する小春。
313ねぇ、名乗って:2008/08/26(火) 23:33:26 ID:Lie9Erc70
突如、小春は頭部に衝撃を受けた。
なんと、小川の仲間で悪役レスラーの斉藤瞳が凶器の椅子を持って
乱入して来たのである。

小春の所属するUFBは細身のビジュアル系レスラーが多い。
そんな中、例外的に不細工と肥満を兼ね備える小川と斉藤は、同病相哀れむ
の心理で意気投合。極悪コンビ「越後豚シスターズ」を結成して暴れ回っていた。