もしも新垣と亀井がちょっとHな幼なじみだったら羊

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1ねぇ、名乗って
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亀井・新垣小説まとめサイト
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読書公園
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2ジェット ◆aJ1VZFRNi2 :2007/01/30(火) 20:06:29 ID:ZIr19zMI0
鳩池
3ねえ、名乗って:2007/01/31(水) 02:33:36 ID:/ZfFFpar0
寝る
4携帯21:2007/01/31(水) 07:03:22 ID:2n64GKV1O
狼立ってませんよね?
どうしたもんでしょう?
5ねえ、名乗って:2007/01/31(水) 21:02:25 ID:/ZfFFpar0
立ったみたいだね
6ねえ、名乗って:2007/02/01(木) 20:03:01 ID:bjVt7Aie0
前スレ
もしも新垣と亀井がちょっとHな幼なじみだったら24
http://ex19.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1169770880/
今スレ
もしも新垣と亀井がHな幼なじみだったら24
http://ex19.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1170209073/
7ねえ、名乗って:2007/02/03(土) 00:07:02 ID:PLaWS60X0
この人の続きもまってるんだが狼は規制中で書き込めない

44 名前:名無し募集中。。。[sage]投稿日:2007/01/25(木) 20:24:18.43 0
ドライブ a GoGo!

「ねえ、ドライブ行こうよ!」
そう言ったのはカメだった。
「絵里も免許取った事だしさ」
ガキさんと僕は顔を見合わせた。
こいつはこうたまに、いや毎回、素っ頓狂な事を言い出すんだ。

「え!?ちょっと待って。カメが運転すんの?」
「だって、ガキさん免許無いじゃん。絵里は持ってるモンね〜」
「ってアンタ、昨日でしょ免許もらったの」
「まぁまぁ、こういうのは練習だよ、練習」
「ドドドドライブなら俺がどこでも連れてってやる。な、悪い事は言わんから、考え直してはみないかね?」
「そうだよ、カメ!あたしたちはおとなしくコイツの車で、座ってようって!」
「…お前ら、おとなしく座ってはないだろう……」
「うるさい!アンタは黙ってなさい」
だってホントにぎゃあぎゃあうるさいんだもんな。

俺の運転で3人で出かける事はよくある。買物とか、行楽地とか。
ずっと一緒だった学校を卒業したのに、まだ一緒にいる。幼なじみの仲。クサレ縁。
カメが言うには、これは運命だよ、とかいうやつらしいけど…。
俺はそんなカメの戯言は聞き流しているが、
一方のガキさんは、なるほど運命か、と納得モード。
8ねえ、名乗って:2007/02/03(土) 00:07:44 ID:PLaWS60X0
45 名前:名無し募集中。。。[sage]投稿日:2007/01/25(木) 20:26:31.74 0
黙っていれば結構な美少女なのに、口を開くとアフォがばれるカメ、亀井絵里。
絵里のせいで突っ込み役が板に付いたしっかり者のガキさん、新垣里沙。もちろん美少女。

まあー、確かにモノゴコロ付いた時からコイツラには振り回されっぱだけども。
んだから、かけられた迷惑も含めて運命かっていうと正直気が重い。
確かに、2人とも可愛いけど。よく知り合いには羨ましがられるけど、
だからといって、命までを預けられるかと言ったら、そりゃあちょっと、ねぇ…。
するとその時名案が閃いた。
まさに!頭の上で電球が付いた感覚ゥゥゥ!

「カメ!お前な、ドライヴったってな、車を持ってないじゃあないか!なんだ!残念だなぁ」
「そ!そ〜うだよ、カメ!クルマがなかったらー、ドライブ行けないんだよ!」
ガキさんの頭上にも電球が見えた。

いやあ残念だ残念だを繰り返す俺たちに、カメは事も無げに言った。
「車なら、キミのがあるじゃん!」

…電球は静かに割れました。

9ねえ、名乗って:2007/02/03(土) 01:17:05 ID:PLaWS60X0
狼のスレにこのスレの存在を教えて
10p2159-ipad310osakakita.osaka.ocn.ne.jp/osk:2007/02/03(土) 01:21:53 ID:K+LrA4kp0
uhcustan/guest
11ねえ、名乗って:2007/02/03(土) 19:44:11 ID:PLaWS60X0
また落ちちゃったか
もしも新垣と亀井がちょっとHな幼なじみだったら25
http://ex19.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1170456844/
12ねぇ、名乗って:2007/02/04(日) 03:24:03 ID:3+Dzv1kqO
携帯21さん
そろそろ羊で書いたらどうでしょうか?
13携帯21:2007/02/04(日) 11:44:45 ID:kQvUqQU8O
最近軽く引いてしまうほどよく落ちますね

どうしたもんでしょう…
14携帯21:2007/02/04(日) 16:20:07 ID:kQvUqQU8O
(狼)パート25の>>31

自然とおっぱいが口から離れて俺の胸に当たった。
舌で味わった時にも分かったが、コリッとしたグミキャンディーのようなサユミちゃんの薄いピンクの乳首が動く度に俺の胸を刺激した。
ん?
どうやらおっぱいに関しては絵里よりサユミちゃんの方が感度良さそうだぞ。
サユミちゃんが不自然に体を伸ばして乳首の尖端を擦りつけてくる。
「サユミちゃんっておっぱいが好きなんだね」
誰憚ることなくサユミちゃんの耳元で囁く俺。
顔は見えないが確かにサユミちゃんが頷いたのが分かった。
そして俺はサユミちゃんの吸い付くようなキメの細かい肌を感じていた。
絵里のものとは全く違う疑いたくなるほどつるつるの赤ちゃんみたいな肌。
これがサユミちゃんの肌なのか…。
それだけで勃起が一段階UPした気がした。
「痛…んんぐっ…」
あぁ…分かるんだねサユミちゃん。
それにもう1つ。
サユミちゃんの黒光りした長くて美しい髪。
それが動く度にサラサラと俺の顔をくすぐる。
いい匂いだ。
いつまでもこうしていたい。
気がつけば俺は腰を動かすのをやめていた。
少しずつではあるがサユミちゃんが自分で動いて快感の糸口を探し始めたようだ。
それならば…。
15携帯21:2007/02/04(日) 16:22:29 ID:kQvUqQU8O
グイッグイッとおもいっきり腰を突き上げる。
「痛いよぉ〜!!」
もっとサユミちゃんの悲鳴を聞かせて欲しい。
長い髪を掻き分けてサユミちゃんの顔を無理矢理俺の前に持ってくる。
うるみっぱなしの真っ赤な目と涙で濡れた頬。
そして情熱的な厚い唇がなにかを求めてるように力なく開いた。
俺はその顔を見ながら尚も突きまくる。
「痛い痛い痛いよぉ〜もうイヤだよぉ〜!なんでそんな意地悪するのぉ〜!?」
またもや溢れてきたサユミちゃんの涙。
「いいじゃん別に!」
「よくないよ…サユミ…ホントに痛いんだから!」
「ふ〜ん」
俺はサユミちゃんのケツに爪を立ててガシガシと奥へ奥へと入り込もうとする。
「あぁ〜!もう痛いよぉ〜!!もっと優しくしてぇ〜!!」
知ったことじゃなかった。
それなりのリスクをおかしてまでもこんな関係になったんだから気にする方がおかしいんだと自分に言い聞かせた。
あっ、そうそう。
儀式を忘れるとこだった。
「ちょっと待ってねサユミちゃん、儀式を忘れるとこだったから」
「儀式?」
サユミちゃんには儀式って言葉がよく似合う。
俺はサユミちゃんの片足を上げさせてゆっくりとアレを抜いた。
赤くなった粘りのある糸が俺とサユミちゃんを繋いでいた。
16携帯21:2007/02/04(日) 16:24:01 ID:kQvUqQU8O
「それじゃあいくよ!!」
サユミちゃんはなにが起こるのか分からなくて不思議そうに目を白黒させて俺の動きを見ていた。
「あっ!!」
サユミちゃんの声は俺の2本の指のせい。
サユミちゃんの中をクチャクチャと掻き回す。
「うぅ〜っ、ちょっと変な感じがするぅ〜」
眉間に皺をよせたサユミちゃんを無視してまだまだ掻き回す。
「よし、いいかな」
最後は掬うようしてサユミちゃんの中から出した2本の指にはなんとも形容し難い水飴のような赤黒く濁った固体と液体の中間みたいなものがついていた。
中にはゼリー状になってプルンと震えたのもあって、熱を加えれば煮こごりみたいに溶けてしまいそうだった。
「サユミちゃんの中から出てきたんだよ」
サユミちゃんに見せつけるように持っていく。
「イヤだよS君!なに?どうするの?」
不審そうに俺を見つめるサユミちゃん。
「うん、こうするの」
俺はそれを大きく開けた口の中に持っていこうとする。
「イヤなのイヤなの…そんなのはイヤなの…」
絵里のもそうしたんだ。
そんなことサユミちゃんには言わないけれどとにかく儀式なんだから仕方ない。
17携帯21:2007/02/04(日) 16:25:29 ID:kQvUqQU8O
「あぁ〜っ!!」
サユミちゃんの大声と共に俺の口の中に吸い込まれたサユミちゃんのただならぬもの。
う〜ん。
確かに血の味なんだけれど…。
なんか絵里のよりちょっとだけ甘酸っぱくてその上苦い気がする。
これは確かにサユミちゃんの味だ。
また1つ新しい味が俺の中に刻まれた。
目を覆ってるサユミちゃんをそのままに、いよいよもって興奮した俺のを容赦なくサユミちゃんの中に突っ込む。
「あぁ〜!!」
再度サユミちゃんのケツに爪を立てて今度は一心不乱で突いて突いて突きまくってやる。
「あぁ〜!あぁ〜!あぁ〜!!」
逐一サユミちゃんの声が響いてうるさい。
あまりに耳障りだったので俺は黙ってサユミちゃんのケツをおもいっきりひっぱ叩いた。
「痛〜い!」
聞こえない振りしてどんどん叩く。
片方の手は爪を立てて片方の手は叩きに叩く。
サユミちゃんの真っ白で綺麗なおしりがどんな風になってるか楽しみでたまらない。
「痛いよS君!やめてよもう〜!!」
この口を塞いでやりたい衝動にかられる。
そうだ!
俺はサユミちゃんが脱いだままになっている可愛いパンティーを丸めて無理矢理サユミちゃんの口に押し込んだ。
18携帯21:2007/02/04(日) 16:27:52 ID:kQvUqQU8O
「あごがは…」
もがくサユミちゃんを無視してブラでサユミちゃんの手を縛る。
絵里に旅行でやってから以来久し振りだったので上手く出来るか不安だったけれど案外すんなり出来た。
サユミちゃんは体をよじってどうにかしようと抵抗するので俺は感覚がなくなるほど何度もケツを叩いてようやく黙らせた。
絵里だったらそろそろ〇〇〇も快感に変わってくる頃なのに相変わらず突いてもサユミちゃんは顔を歪ませて抵抗するばかりだ。
それになにより俺自身気持ちよくない。
う〜ん。
いろいろ考えたけれど絵里には絶対怒られそうだし別れられそうなので思い描いてただけでやったことないアレをしてみることにした。
言葉は悪いけどサユミちゃんで試させてもらおう。
バチィ〜ン!!
サユミちゃんのおしりに俺の平手が会心の一撃を喰らわす。
「ぐがぁ〜!!」
後ろ手のサユミちゃんの体が波うってガクリと倒れた。
こんなもんじゃない。
俺はサユミちゃんの後ろに回ってサユミちゃんのおしりを持って無理矢理バックの体勢にもっていく。
いろんなものでジュルジュルになった〇〇〇を乱暴に掻き回して、その手に付いたものをサユミちゃんのア〇ルに塗りたくった。

(続く)
19携帯21:2007/02/04(日) 16:40:15 ID:kQvUqQU8O
(狼)があまりにも不規則な為に勝手ながら(羊)に続きを書き込ませてもらいます

断行をお許しください

携帯21
20ねぇ、名乗って:2007/02/04(日) 16:42:44 ID:3+Dzv1kqO
携帯21さん乙です
羊だと狼みたいにすぐ落ちていくことはないので自分のペースでやって下さい
それよりさゆとのここまでの流れ見れなかったから残念です
21携帯21:2007/02/04(日) 18:13:58 ID:kQvUqQU8O
早速のレスありがとうございます!
相変わらず書き込みが済むとすぐに消して次のを書き始めるので前に投下したのは手元に残っていません

すぐ落ちてしまうと携帯21にとっていろいろと都合悪いので今更ながらですけど落ち着いたこちらに書かせてもらえたらと思ってます

本編は旅行が終わり桃子編が終わりサユとの決着が近づいています
書く場所は変わりましたがこれからもご愛顧のほどを!

あと読書公園の人へ
毎度ありがとうございます
第1章は【AFTER THE RAIN】編にしてもらえますか!
ネタを思い付いた時にまず雨があったんです
それも夕立
書き始めて幾らも経たないうちに『放課後ガキさん通り雨』というスレが立ち、世の中には自分と同じこと考えてる人がいるんだと驚いたことを憶えています
あと里沙、美貴、亀兄が喫茶Kで会う話は最後のところがないようなので改めて書き直してみようと思います
どうかよろしくお願いします!!
22ねえ、名乗って:2007/02/04(日) 19:16:08 ID:GEFigSO00
おつです
規制で保全出来ないのがもうしわけないです
23携帯21:2007/02/04(日) 20:16:26 ID:kQvUqQU8O
レスありがとうございます!
そしてお心使い感謝します!!
誰が悪いというわけでもなくここがみんなにとって落ち着けるならそれがなによりだと思います
問題は皆さんに保全してもらえるだけのものを書いているかということ
いつもながらの携帯21の寝言で申し訳なく思っています
24ねえ、名乗って:2007/02/04(日) 21:57:09 ID:GEFigSO00
読書公園の人
狼移転でログ取得出来ないって言ってたけど解決したんですかね?
25ねぇ、名乗って:2007/02/05(月) 11:21:43 ID:YRNiHQPw0
ごめん
このスレ知らなくて狼に立てちゃった
26携帯21:2007/02/05(月) 14:26:23 ID:7hASd4u4O
>>18
よし!
これで一気に!!
俺はギンギンのアレをサユミちゃんのア〇ルに当てがってここぞとばかりに腰を前に突き出した。
「ぐがあ〜!!!」
首を振りもがき苦しむサユミちゃんがたまらない。
サユミちゃんの絶叫が益々俺のボルテェージを上げていく。
強力な抵抗で中に入れない。
まだまだ!
俺はサユミちゃんのくびれを持って容赦なく突き上げる。
「むぐわあ〜!!!」
サユミちゃんが頭をシーツに擦りつけながら泣き叫ぶ様も実にいい。
あと少し!
うりゃぁ〜!!
「ぐわがぁ〜!!!」
サユミちゃんのあのつぶらな目が尋常じゃないほど見開かれてなにかを凝視している。
どうやらサユミちゃんのア〇ルが裂けたみたいでつつつぅ〜っと血が滴った。
遂にサユミちゃんのア〇ルが俺のを丸々飲み込んだ。
うう〜っ!!
気持ちいい〜!!
強烈な締めつけにめまいがしそうになる。
「気持ちいいよサユミちゃん!」
俺は優しく言ったつもりだったのにサユミちゃんの抵抗は凄いものがあった。
ならばと俺はサユミちゃんの腰を鷲掴みにしておもいっきり腰を振って応えてやる。
27携帯21:2007/02/05(月) 14:28:39 ID:7hASd4u4O
「むぐわぁが〜!!」
とてもサユミちゃんとは思えない声の連続。
それがまた俺を勢いづかせる。
「あぁ〜サユミちゃん締まってるよ…凄いよサユミちゃん!」
こんな快感絵里でも俺自身の手でも味わったことがなかったのに…凄い!
手持ち無沙汰じゃなんだから思い出したようにサユミちゃんの真っ白だったおしりを平手打ち。
ミミズ腫れを越えて幾つもの紫色のもみじがたくさん出来ていた。
いい眺めだなぁ…。
俺が動く度に声を上げていたサユミちゃんだったが、絶頂が近づいて俺の腰が加速するともうなにも言わなくなってぐったりしていた。
とにかくこの悪夢が早く終わってくれと耐えに耐えているサユミちゃんの姿はそれはまた興奮ものだった。
「あぁ〜サユミちゃん!出る!出るよ!イクよぉ〜!!」
俺の言葉に反応したのかサユミちゃんのア〇ルがこれまた凄い力でキュ〜っと締めつけてきた。
28携帯21:2007/02/05(月) 14:32:45 ID:7hASd4u4O
「あぁ〜出る出る出る出るよぉ〜サユミちゃん出るよぉ〜あぁ〜!!!」
サユミちゃんのくびれを持ってのけぞりながらも腰を振り続ける。
「うおぉ〜っ!!」
貯めに貯めてきた欲望の権化が今猛烈な勢いでサユミちゃんのア〇ルの中に注ぐぎ込まれる。
「あぁ〜おおっ!!」
これは他に例えようがない純粋な快感。
「ぐっほぉ〜っ!」
抑えようと思っても抑えられない快感の連続。
「ふっふぅ〜」
ううっ!
おうっ!
ビクンビクンとサユミちゃんの中でまだ波打つ俺のアレ。
最高だ。
すると急に体から力が失われて俺はへたりこむようにサユミちゃんの背中にもたれかかった。
「ふぅ…」
やっと一息つける。
後ろ手に縛ってあるサユミちゃんの手が邪魔だった。
面倒臭かったけれど俺はサユミちゃんを縛っているサユミちゃんのブラを解いてやった。
サユミちゃんは焦点の合わない目でゆっくりと口の中の自らのパンティーを取った。
そして尋常じゃないほど咳こんで吐きそうになるくらいえずいた。
優しい言葉1つかけることなく俺は快感の余韻に浸っていた。
そろそろいいかな。
ようやく萎えつつあるアレを俺はゆっくりとサユミちゃんのア〇ルから引き抜いた。
29携帯21:2007/02/05(月) 14:36:01 ID:7hASd4u4O
うっ!
やっぱり凄い締めつけだ。
サユミちゃんにとっては出口だろうが俺にとっては入口がヌプッという音と共に俺のアレを押し出した。
ピンクのグジュグジュっとしたものが中からはみ出してぽっかりと開いたア〇ルがサユミちゃんの荒い呼吸でヒクヒクと震えていた。
実に壮観でまるでサユミちゃんの呼吸と共にア〇ルまでがパクパクと呼吸をしているようだった。
おっ!
出てきた出てきた!
両膝を立てて四ん這いになっているサユミちゃんのはそれだけでも美し過ぎた。
にも関わらずサユミちゃんのア〇ルから俺が出した白く濁った欲望がジュプジュプと音を立てて噴き出してきた。
ため息が出るほどいっぱい出たんだと我ながら感心してしまった。
グブブフゥ〜!というオナラなのかどうかも分からない空気の抜ける音がすると勢いよくドロっと残りの精液が漏れ始めた。
「サユミちゃん汚いよ!」
俺は容赦なくおもいっきりサユミちゃんのおしりを平手打ち。
「なんで…なんでサユミがこんなことに…」
泣きじゃくっているサユミちゃんは放心状態で宙を見ていた。
30携帯21:2007/02/05(月) 14:50:40 ID:7hASd4u4O
「うるさいよサユミちゃん!」
また2度ほど平手打ちを喰らわす。
「サユミちゃんは黙ってりゃいいんだよ!!」
めそめそと読んで字の如く女々しいサユミちゃんに無性に腹が立った。
「いっつもそんな目で俺を見やがって!!俺はサユミちゃんの王子様なんかじゃないんだよ!!絵里の王子様なんだから!!」
用が済んだので俺は早々にズボンをはきながら思うままに悪態をついていた。
サユミちゃんとこんな関係になった後ろめたさとこれからの不安で今頃になってことの重大さに気付いていた。
「これからは話しかけないでくれよサユミちゃん!絵里にも絶対に言っちゃダメだからな!!」
裸で転がっているサユミちゃんのケツにおもいっきり蹴りを1発お見舞いしてその場を立ち去ろうとした。
「S君…絵里…クックックッ…」
背後で薄気味悪いサユミちゃんの笑い声がした。
もう1度サユミちゃんに言って聞かせようかとも思ったがなんとなく怖くなって俺は振り返ることなく部屋を出た。

【いつか王子様が…編】

〈完〉
31ねぇ、名乗って:2007/02/05(月) 23:07:05 ID:jpGAL8XhO
携帯21の判断は正しかったようだ
狼はまた圧縮でスレが大量に落ちたらしい
32ねえ、名乗って:2007/02/06(火) 00:25:22 ID:ZLg/nSHG0
おつー
33ねぇ、名乗って:2007/02/06(火) 01:30:05 ID:v22czpOm0
携帯21氏乙
羊の方がまったり書けていいかもね
34携帯21:2007/02/06(火) 09:33:31 ID:tDze4x33O
>>30
夏の夕暮れ。
蜩の声はなんだかもの哀しい。
絵里のお気に入りのスポーツドリンクを片手に受験生の俺と絵里は最後の夏の補習を受けた帰りだった。
今朝見た夢があまりにも強烈で今日は1日中そのことが頭から離れなかった。
当然サユミちゃんと目を合わす訳にはいかない。
見ただけで下半身が熱くなって歩くこともままならなくなってしまうからだ。
けれどつい見てしまうのも男なら仕方ないというもの。
なるべくバレないようにドキドキしながらチラッと見るのもなかなか趣きがあった。
バレないといえば絵里とのこと。
一緒に帰っているといっても学校から直って訳じゃない。
俺と絵里はわざわざ学校から少し離れたところにある公園で待ち合わせて、それから一緒に帰るっていう手の込んだことをしている。
絵里と付き合っていることは新垣と田中以外知らない。
絵里とは学校でも今まで通り接しているのでバレる心配もしていなかった。
みんなのいる中で時々絵里と目が合うと恋人同士にしか分からない嬉しくも恥ずかしい甘酸っぱい気持ちがした。
そういうのは悪くない。
むしろ意識的に目を合わせてみたくなったりするんだけど、それはやっぱり出来なかった。
35携帯21:2007/02/06(火) 09:36:00 ID:tDze4x33O
そもそもそうしなければいけなくなったのも他でもないサユミちゃんがいるからだ。
そのことを絵里に話すと絵里もその方が都合が良いと言う。
よく分からないけれど絵里もそう言うので俺達は学校では毎日何気なく過ごしていた。
考えてみればサユミちゃんはあんなことがあって以降も学校で顔を会わせてもなにくわぬ顔でいつものようにすましている。
それが不気味といえば不気味だったけれど、なるようにしかならないだろうから俺はあんまり深く考えないようにして呑気に過ごしていた。
そんな日々が続いていたのに今日に限ってあんな夢を見たから意識するなという方が無理だった。
36携帯21:2007/02/06(火) 09:40:23 ID:tDze4x33O
それでもまあなんとか今日も無事学校が済んで一安心といった絵里と2人の帰り道だった。
「また来週から学校始まるね」
「そうだなぁ、俺達受験生には夏休みなんてあってないようなもんだったなぁ」
「まあいいじゃん、一緒に旅行も行けたことだし」
「うん、そうだよな!最高の旅行だった!」
「うん!」
まだまだ残暑厳しい8月の終わり。
絵里はパタパタと少し胸元を開いて手で扇いでいた。
くっ!
今朝のサユミちゃんのこともあってか朝から抑えの利かない我が愚息をようやく解放してやる時が近づいてきたみたいだ。
今日は絵里にどんなことしてやろうか。
頭の中はいやらしいことで溢れかえっていた。
その時だった。
「あっ!!」
気まずい緊張が走る。
あれ以来なにかと避けてはいたのに、そしてバレないようにしてたのに。
こんな風にばったり会ってしまったらもうどうしようもない。
「絵里…」
「サユ…」
どんな人も入ることの出来ない2人の間。
早速目には見えない火花が散っていた。

(続く)
37ねぇ、名乗って:2007/02/06(火) 19:37:09 ID:wUho+kdkO

やはり夢オチだったか…と安心した途端にまた一難w
38ねぇ、名乗って:2007/02/06(火) 23:45:14 ID:wUho+kdkO
書き込み少ねー!
やっぱ向こうに戻らない?
39ねぇ、名乗って:2007/02/07(水) 00:32:27 ID:kgbXYjR/O
羊に移ってから書き込み少なくなったけど、あっちはよく落ちて内容がわからなくなるんで自分はこっちでいいかと
40携帯21:2007/02/07(水) 08:40:06 ID:Sz9wsEzHO
>>36
「なんで…なんで一緒に歩いてるの?」
「付き合ってるからだよ」
いきなり戦闘体勢に入った絵里が顔をサユミちゃんから反らせずにギュッと俺の手を握った。
「ウソでしょ?」
「ウソじゃない、ホントだよ!」
「ウソ!サユミは信じないもん!!」
サユミちゃんも一歩も引かない。
カタチはなんにせよ逃れられないこの宿命。
俺はなにも出来ずに見守るしかなかった。
「どうして?どうしてなの!!」
俺はビンタだろうがハイキックだろうがなんだろうが甘んじて受ける覚悟をした。
「バカバカバカ…絵里のバカ!!」
「へっ?」
「絵里…そんなにS君が好きなの!?」
「うん」
「イヤなの!イヤなの!イヤなの!絵里が好きなのはサユミに決まってるのぉ〜!!」
えっ!?
今…サユミちゃんなんて言った?
41携帯21:2007/02/07(水) 08:41:33 ID:Sz9wsEzHO
「絵里が好きなのはサユミなの!だってサユミが好きなのは絵里なんだも〜ん!!」
えええぇ〜!!!
天地を揺るがす衝撃の告白。
俺は今一度耳を疑ったがサユミちゃんは首を振りながら絵里の手を握ろうとしている。
とっさに俺は絵里の顔を見たが絵里は目を伏せて黙っていた。
「サユミは絵里と昔みたいに一緒に帰りたいのぉ〜!!」
涙ながらに絵里の肩を揺らすサユミちゃん。
「どうしてサユミじゃないの!?どうしてこんな冴えないS君なの!?」
ちょ、ちょっとサユミちゃん!
そりゃあんまりだよ!
キスをした仲じゃないの!
「なんでなんにも言ってくれないの!あの頃はあんなに優しくしてくれたのに!!」
泣きじゃくるサユミちゃんにされるがままの絵里。
そんな光景に俺はどうすることも出来ず立ったまま2人を見ていた。
「S君!サユミの絵里を取らないでよぉ〜!!」
カタチは変わったけれどようやく矛先は俺の方に向いたようだ。
42携帯21:2007/02/07(水) 08:45:01 ID:Sz9wsEzHO
「ごめんサユミちゃん!俺、絵里が好きなんだ!だからサユミちゃんには諦めて欲しい!」
急なことで日頃から考えていたサユミちゃんへの対応が上手く言えるか分からなかったけれど、我ながらすんなりと決まったと思った。
けれどなにかがおかしい…。
「S君は黙ってて欲しいの!S君なんていなければよかったのにぃ〜!!」
えぇ〜っ!!
あの日学校から1つ傘の下喫茶Kまで歩いていって一緒に1つのケーキを食べた可愛い可愛いサユミちゃんはどこへ行ったんだ?
好きって囁いてくれた時の黒くうるんだ可憐な瞳はどこへ消えてしまったんだ?
なにがそうさせてしまったんだぁ〜!!
「んんっ!!」
突如として柔らかい手が俺の首にまわされる。
そしていきなり口を塞がれた。
43携帯21:2007/02/07(水) 08:51:01 ID:Sz9wsEzHO
「あぁ〜っ!!」
驚きと嘆きの入り混じったサユミちゃん。
一体なにが起きたんだと思ったら舌がおもいっきり絡みついてきた。
「んん〜!」
絵里が唸り声を上げながらサユミちゃんのいる前でそれはそれは激しいキスをしてきた。
「ちょっとぉ〜!もう離れてよぉ〜!!」
泣き叫びながらサユミちゃんが俺と絵里の間に割って入ろうとする。
しかし絵里と俺の互いを求める手と執拗な舌使いでサユミちゃんはなす術がなかった。
「ハァハァハァ…」
興奮の度合いを増す俺達とは違って明らかに疲れからくる荒い呼吸。
体育とかで知ってたけどサユミちゃん体力ないなぁ〜。
「もう〜!絵里のバカ〜!!」
そう言うとサユミちゃんは泣きじゃくりながら俺達を振りほどくこともなく走り去った。
「うぇ〜ん」
マンガみたいな声が少しずつ遠くなっていく。
「サユミちゃん行ったし…もう大丈夫だろ?」
俺は絵里の顔を見つめた。
「もうちょっと…」
声と共に絵里の顔がまた近づいてきた。
人に見られながらするのも悪くないなぁ〜なんて悠長なこと考えてる場合じゃない。
さてどうやって切り出したらいいもんか俺は考えあぐねていた。

(続く)
44ねぇ、名乗って:2007/02/08(木) 05:14:54 ID:Qa/Ju6PCO
45携帯21:2007/02/08(木) 09:27:39 ID:Utk7mz67O
>>43
黙ったまま歩いてるのはやっぱり不自然だった。
俺は握っていた手に力を込めて絵里を見つめた。
「なぁ絵里…」
「うん、分かってる…」
絵里はもの想いに耽っているように遠くを眺めていた。
「S…あのね…」
絵里はゆっくりだけれど少しずつ話し始めた。
遡ること2年前の夏、絵里とサユミちゃんは共にチア部に入っていたらしい。
中学から一緒なのにサユミちゃんが高校に入ってチアをやっていたなんて初めて知った。
その頃チアのキャプテンだった喋りの寒さと柔軟なナイスバディーで伝説的な学校のマドンナだった石川さんがチア部一子相伝の開脚技を誰に継がせるかということが話題になっていた。
そこで普段一緒にお風呂に入るくらい仲の良かった絵里とサユミちゃんに白羽の矢が立ったのだった。
絵里は持ち前の運動神経と柔軟な体。
サユミちゃんは運動神経ゼロ、おまけに体は鋼鉄のように固かった。
けれど頑張り屋さんのサユミちゃんは人一倍努力して人並み以上に成長した。
46携帯21:2007/02/08(木) 09:29:46 ID:Utk7mz67O
サユミちゃんは絵里と仲が良かったと同時に石川さんとも姉妹のように仲が良かった。
まるでオセロのように黒い石川さんと白いサユミちゃんは表裏一体で怪しげな関係とまで囁かれていた。
例えば2人で海に行っただけならまだしも真っ黒ビキニの石川さんと岩場の陰で抱き合っていたとかなんとか…。
それ以来知らない人は知らないが知ってる人はちゃんと知っているサユミちゃんのある疑惑が浮上した。
“サユミちゃんはレズ…”
サユミちゃんほど仲が良かった訳ではないが絵里にとっても石川さんは憧れの存在でそれなりに仲良く過ごしてきたらしい。
そして伝承者発表当日、自信満々で部室入りしたサユミちゃんとは対照的に絵里はクネクネ挙動不信だったらしい。
規定と自由のダンスを終えた時点で衆目の見るところ贔屓目に見ても絵里が3サユミちゃんが7だった。
大抵の部員がサユミちゃんで決まりと思ってた中で、最終発表の時石川さんが指名したのはなんと…。
47携帯21:2007/02/08(木) 09:32:40 ID:Utk7mz67O
「伝承者は絵里!!」
石川さんの声が響き渡った時、驚きの歓声と共にサユミちゃんの放心した体がヨロヨロと崩れ落ちた。
一見サユミちゃんの動きの方が大きくてダイナミックに見えるんだけど玄人が見るとそういうもんじゃないらしい。
チアのキャプテン石川さんと石川さんの腰巾着で副キャプテンの三好さんの意見は同じだった。
「敗れし者は去れ!!」
容赦ない石川さんの怒号とチア伝統の鉄の掟。
敗者の烙印を押されたサユミちゃんはさっきみたいに「うぇ〜ん」とベソをかいて部室を出ていくと2度と部に関わることは許されなかった。
当然それからも学校では顔を会わさないわけにはいかない2人。
“誰に決まろうと文句なし”
そう言い聞かせてあったにも関わらず絵里に対するサユミちゃんの陰湿ないやがらせが始まった。
48携帯21:2007/02/08(木) 09:34:43 ID:Utk7mz67O
罵りや悪態ならまだしも時々物がなくなることもあったらしい。
問題はサユミちゃんが犯人だとはっきり分からないだけに表立って言うことも出来ず絵里としてはかなり辛かったみたいだ。
あの日プールの後で絵里がスカートの中になにも履いてなかったのはそういう理由があったということを俺は今知った。
という訳で中学から仲の良かった絵里とサユミちゃんに待っていたのはあまりにも辛く悲しい運命だった。
「へぇ〜知らなかったよ」
「うん、だって知ってるのはチアの部員だけだし外に漏れないようにみんな黙ってるから」
絵里のひどく哀しそうな目を見るとサユミちゃんへのいたわりがひしひしと感じられた。

(続く)
49ねぇ、名乗って:2007/02/08(木) 22:37:49 ID:Qa/Ju6PCO

さゆ・・・
50携帯21:2007/02/09(金) 12:44:12 ID:Rh/rXw4cO
>>48
「それにね…」
絵里がサユミちゃんから離れた理由はもう1つあったと言う。
大きな声では言えないがサユミちゃんの絵里好きというか石川さん好きというか、簡単に言うとレズっ気は幼少時からの体験が影響しているかもしれないと絵里は思ってるらしい。
聞けばサユミちゃんにはお姉さんとその上にサユミちゃんを超のつくほど溺愛するお兄さんがいて、そのお兄さんの兄妹を超えた過度の接し方がサユミちゃんを男嫌いにしたとかしないとか。
にわかには信じ難いがなにやらそうらしい。
じゃあなんで俺は大丈夫だったんだろう?
そんな疑問も残る。
それに関して絵里は2つの理由を述べた。
まず1つ目は絵里が俺を好きなことをサユミちゃんも知っていて、俺に手を出せば絵里に自分の存在をアピール出来るという子供のような発想。
俺を虜にして絵里が俺を諦めたところで改めてサユミちゃんは絵里と仲良くなろうと考えてたようだということ。
リサイクルも考えないで読んで字の如く使い捨てというかポイ捨て扱いの俺の立場って…。
そう思うともの凄く悲しくなってきたけどまぁいいとしよう。
51携帯21:2007/02/09(金) 12:46:24 ID:Rh/rXw4cO
もう1つはサユミちゃん自身も自分がおかしくなってることに気づいていて、それをなんとかノーマルに戻そうと俺に近づいてきたのではないかいうこと。
絵里が好きになった男なら大丈夫。
理由は推測の域を出ないがおそらくはそういったことだろうと絵里は淋しい目をした。
「じゃあサユミちゃんは俺のこと好きなのかなぁ?」
俺はちょっと嬉しくなって絵里にそうに聞いてみた。
「どうやらそんなことないみたいだったね」
確かにさっきのサユミちゃんの俺への対応は希望の欠片もないほど冷たいものだった。
S君なんていなけりゃよかったのにぃ〜なんて言われたし。
モテるのも辛いなぁ〜って脳天気なこと考えた俺がバカだった。
まあなんにせよいろんな理由が絡み合って屈折した今のサユミちゃんが出来ている。
それだけはよ〜く分かった。
52携帯21:2007/02/09(金) 12:48:57 ID:Rh/rXw4cO
「う〜ん、これはマズいことになったのだ」
サユミちゃんと遭遇した後、新垣の部屋で絵里と俺と3人でサユミちゃんの話をしていた。
「で、なにか名案はあるの?」
新垣は膝を抱えたまま動かない。
「やっぱり直接話さなきゃいけないと思うんだ」と絵里。
「だけどどうやって?」
「待ち伏せしかないでしょ」
そうだよなぁ…。
警戒心の強くなったサユミちゃんをどうやって引きずり出すかが一番の問題だった。
それしかないよなぁ…。
厄介な沈黙が続いた。
「あっ、良いこと思いついた!」
「ホントガキさん?」
「うん、これならサユミンをおびき出し易いかも!それはね…」
新垣の言ったことは実にシンプルだった。
普段サユミちゃんと親しくしてて、その上サユミちゃん以外にも親しくしてる人がいる人間を使おうというやり方。
言葉は悪いがそれしかないときっぱりと言い切った。
純粋でお喋り好きで永遠の妹キャラで田舎のキャプテン。
そうあの娘。
53携帯21:2007/02/09(金) 12:53:12 ID:Rh/rXw4cO
早速コンタクトを取ろうとコンビニに出かけようかと思ったけれど、いなかったらあれなんで絵里が田中に電話をした。
「れいな、じゃあお願いね!」
そしてしばらくすると今度はかかってた。
「れいな、どうだった?」
「うん、分かった!悪いねれいな…それじゃあね!ありがとう!」
絵里が携帯をしまうとピースをした。
「どうだったの?」
「れいながどう説明したか分からないけど小春ちゃんはサユに相談があると言って外に出すのは成功したみたい!」
おお〜っ!
凄い凄い!!
一安心の絵里が続けた。
「で、場所はどこだと思う?」
「どこだよ?」
勿体ぶった絵里が含み笑いで言ったのは俺達にとってあまりにも因縁めいたあの場所だった。

(続く)
54ねぇ、名乗って:2007/02/09(金) 15:42:33 ID:SP4THL5WO
乙です
55携帯21:2007/02/10(土) 09:02:19 ID:yq676NByO
>>53
その日は残暑厳しい9月の第1日曜日。
ついにその日がやって来たという訳だ。
2学期が始まって数日経ったけれど学校では絵里とサユミちゃんの間に気まずい空気が満ち満ちて恐いくらいだった。
俺なんて当事者でもないのに絵里の彼氏だしサユミちゃんとキスした仲だからサユミちゃんと目が合うと針のむしろ的な気分だった。
それも上手くいけば今日で終わる。
いや終わらせなければいけない。
絵里とサユミちゃんを昔みたいにあくまで友達として仲良くさせなければいけないんだ。
「来てるかなぁ?」
「サユミンも小春ちゃんもちゃんといるよ!田中っちも来てくれたみたい!あぁ〜田中っち随分見ない間に太ったねぇ〜!」
「いるいる!窓際のサユミちゃんをガードするように田中が座ってる!!ホントだ!確かにでっかくなったな田中…」
「それじゃあ入ろ!」
「おう!」
そして俺は毎回重い喫茶Kの扉を押した。
56携帯21:2007/02/10(土) 09:03:57 ID:yq676NByO
多分その時のサユミちゃんの顔はそこにいたみんな忘れられないと思う。
あぁ見えてサユミちゃんはもの凄くしっかり者らしい。
サユミちゃんはその瞬間自分がなんでいろんな因縁深いここに呼び出されたのか、これからなにが起きるのか全てが分かったんだろう。
サユミちゃんはキッと小春ちゃんと田中を睨んだ。
小春ちゃんは辛そうに目を反らせたが田中はさすがに反らさずにむしろ向かっていくくらいの勢いだった。
サユミちゃんは諦めたように天に溜め息をつくと目を瞑った。
窓際からサユミちゃん、田中、小春ちゃん。
その向かいに絵里、新垣、俺が座った。
「あぁ〜ら!!いらっしゃ〜い!!こりゃまたお揃いで!もう手打ちは済んだの?」
マスターKがサユミちゃんと絵里におてふきを渡した。
「アンタ!モテる男は辛いわねぇ〜!この6人の中から誰を選ぶわけぇ〜?」
マスターKにおもいっきり肩を叩かれた。
「6人…?」
絵里、新垣、サユミちゃん、田中、小春ちゃん…。
「あのぉ…5人じゃないんですか?」
どうでもよかったけれど無視するのもなんなんで聞いてみた。
57携帯21:2007/02/10(土) 09:16:03 ID:yq676NByO
「あ〜ら大本命を忘れてもらっちゃ困るわよぉ〜!!」
マスターKの持っていたお盆が俺の頭上に振り下ろされた。
「痛てぇ〜!」
「大丈夫S?」
絵里の優しい声。
「あの時カメちゃんを泣かせた罰だわさ!ブァッハッハッ…」
マスターKは笑ってカウンターの向こうへと去っていった。
「良かったね、あれくらいで済んで…」
隣の新垣が笑った。
絵里、新垣、サユミちゃん、そして俺…。
4人がちゃんと面と向かって揃うのはあの日の喫茶K以来だった。
サユミちゃんにとって因縁めいたこの場所は即ち他の3人も同じだった。
俺達はある程度のシュミレーションをしてここに臨んだけれど、下手したら集まった6人全ての関係をぶち壊しかねないと今更ながらもの凄く不安になった。
「コホン」
田中が咳をして元の緊張した空気が戻ってきた。
「サユ…今日来てもらったことでれいなと小春ちゃんを恨まないでね」
絵里がそう言うとサユミちゃんは小さく頷いた。

(続く)
58ねぇ、名乗って:2007/02/10(土) 10:22:15 ID:8jXQJcGi0
wktk
59ねえ、名乗って:2007/02/10(土) 23:03:33 ID:3jA5mnys0
おつー
60ねぇ、名乗って:2007/02/11(日) 00:03:18 ID:dRag+6JTO
狼に帰ってきませんか?スレ立ちましたよ
61携帯21:2007/02/11(日) 02:19:31 ID:osvLPyqmO
勿論出来るなら戻りたいです
でもスレ探したけど見つからないし
果たして狼は安定するんでしょうか?
問題はそれだけなんですよね
62携帯21:2007/02/11(日) 16:44:21 ID:osvLPyqmO
>>57
「それじゃあサユミン、なんでみんなが集まったか分かる?」
こういう時の新垣はなんだか凄く頼りになる。
「サユミ…なにも悪いことなんてしてないの…」
サユミちゃんがそう来るであろうと思っていた俺は最初から短刀直入にホントのことを言うつもりでいた。
「サユミちゃん、俺、絵里と付き合ってるから!!」
ハッとした顔のサユミちゃんはテーブルに伏していきなり泣き始めた。
「絵里はSと付き合ってるの…それにサユのことそんな風に考えたことなんてないから!!」
後半部分の絵里は俄然強かった。
「ねぇ、なんでそうなったと?」
何気にサユミちゃんと絵里、そして俺や新垣を見守ってきた感のある田中。
あんな風によそよそしくて見てない振りをしながらもちゃんと見ていたんだろう。
特にサユミちゃんとも絵里とも仲が良かっただけに早く2人の仲が元に戻るよう心から願っていたみたいだ。
今回のことにしても田中って絶対的な主役にはなれないけれど毎度毎度いい仕事をしてくれる。
なのに今日は少し焦ったのか、ある意味残酷な質問をぶつけた。
63携帯21:2007/02/11(日) 16:46:36 ID:osvLPyqmO
「うん、それは絵里が悪いのかもしれない…」
「どういうこと?」
「それは…」
絵里が言うには運動神経のよくなかったサユミちゃんを絵里が手取り足取りチアの動きを教えたことから始まるそうだ。
一緒にお風呂に入って洗いっこしてる時なんかに薄々気づいてたらしい。
やたらとボディータッチを繰り返したり抱きついてきたりするサユミちゃんに絵里の警戒心は高まった。
だけどそのまま放っておいたのがいけなかったみたいだ。
元々男と接するのが苦手なサユミちゃんは時間が経つほどに身も心も絵里に頼り切ってしまうことになった。
「ねぇサユミン、アンタお兄さんとお姉さんがいるんでしょ?」
新垣がそう言った途端、サユミちゃんは泣くのをやめた。
そして顔を上げて新垣を睨むと聞いたこともない激しい声で「お兄ちゃんのことは言わないで!!」とテーブルを叩いた。
「サユ…大丈夫?」
隣の田中がなだめた。
俺達は急変したサユミちゃんの恐ろしい形相に唖然としてしまった。
64携帯21:2007/02/11(日) 16:49:07 ID:osvLPyqmO
ようやく落ち着いたサユミちゃんを見届けて、ゆっくりと口を開いたのは予想もしてなかったこの人だった。
「あのぉ…それは小春が…」
サユミちゃんは驚いていた。
勿論俺達も。
よく知ってるはずの田中でさえ驚きを隠せずに隣の小春ちゃんを見ていた。
「サユミ先輩のお兄さんはサユミ先輩を愛してるのは確かです!」
力強く言い放つ小春ちゃんにサユミちゃん以外黙ったまま頷いた。
「けれど皆さんが思ってるような度を超した愛ではありません」
コンビニでヘラヘラしていた小春ちゃんはどこへやら。
小春ちゃんの目が強く訴えかけていた。
「亀井さんにもお兄さんがいらっしゃるでしょうしSさんにも梨沙子ちゃんがいるでしょう!そういう普通の兄妹愛です!」
「それじゃあなにがあったと?」
先を急ぐ田中が小春ちゃんの目を見た。
「凄く言い難いんですが…」
小春ちゃんは同意を求めるようにサユミちゃんの方を見た。
目を瞑って小春ちゃんの話を聞いていたサユミちゃんが力なく小春ちゃんに頷いた。
65携帯21:2007/02/11(日) 16:53:38 ID:osvLPyqmO
「つまりは…」
「つまりは?」
小春ちゃんの申し訳なさそうでいたたまれない大きな瞳がなにもないテーブルの一辺を見ていた。
「つまりは…イジメです」
「はぁ?」
一同揃って小春ちゃんを見た。
唯一サユミちゃんだけが視線を動かさず黙ったままテーブルの上を見ていた。
「イジメ…?」
「はい…そうです」
小春ちゃんは続けた。
「サユミ先輩と同じくお兄さんもあまり運動は得意じゃなかったみたいで…その上このルックスですから…超イケメンです」
「うんうん」
一同納得。
「こんなにカッコ良くてモテるのにケンカが滅法弱いときたら…イジメない人はいるでしょうか?」
いつもと違った小春ちゃんの目がやたらと説得力に溢れていて驚かされた。
「それに性格はどっちかっていうと引っ込み思案な方で…だから余計に…」
なんだか凄い話になってきた。
俺達が当初抱いていた予想と大きく違って俺だけでなくみんな頷いてるだけになっていた。

(続く)
66ねえ、名乗って:2007/02/11(日) 23:17:58 ID:JWHqUizR0
亀レスで申し訳ないけど
さゆってえりりんのことが好きだったんだ!!
67携帯21:2007/02/12(月) 01:59:10 ID:0+qdR2LPO
>>65
「だけど1人だけサユミ先輩のお兄さんに味方した人がいるんです!」

「誰なの小春ちゃん?」
新垣が急かすように聞いた。
「それは…」
小春ちゃんはどういう訳か対角線上の絵里を見つめた。
小春ちゃんに見つめられた絵里は慌ててなんのことだか分からずにあたふたした。
「小春ちゃん…もういいの…」
「サユミ先輩…」
「ここからはサユミが言うの…」
そう言うとサユミちゃんはゆっくりと顔を上げて絵里を見つめた。
「小春ちゃんの言ったことは全部ホントなの…それでサユミのお兄ちゃんに唯一味方になってくれたのは…」
尋常じゃないほどサユミちゃんの目には力が籠っていた。
「絵里!絵里のお兄ちゃんなの!!」
「えぇ〜っ!!」
サユミちゃんと小春ちゃん以外の4人は店中に響き渡る驚きの声を上げた。
「なんで…なんでうちの…」
「なんでカメのお兄さんが!?」
絵里を押し退けるように新垣がサユミちゃんに聞いた。
68携帯21:2007/02/12(月) 02:01:07 ID:0+qdR2LPO
「絵里のお兄ちゃんとうちのお兄ちゃんは同級生なの…だからお兄ちゃんがイジメられた時はかばってくれたり一緒に帰ったりしてくれたの…」
サユミちゃんは哀しそうな中にも温かいものを備えた目で絵里を見つめていた。
「それに絵里のお兄ちゃんも昔は弱くてよくイジメられてたらしいの…だからうちのお兄ちゃんの気持ちが分かったんじゃないかと思うの…」
あのひ弱だった絵里の兄貴が…。
「あっ!」
絵里はなにかに気づいたみたいだ。
「そういえばサユが初めてうちに来た時、お兄ちゃんにはじめましてって言わなかった…それにお兄ちゃん、サユミちゃんこんにちは!って言ったんだ!」
絵里は中学の頃を思い出して納得がいったみたいだった。
「小春もランドセル背負ってた頃何回も見たことあります!サユミ先輩のお兄さんと亀井先輩のお兄さんが肩を組んで歩かれてるところ…」
「なんで絵里のお兄さんって分かったと?」
「だってすれ違う時に名札を見たらすぐ分かりますから…忘れ難い名前ですよ“亀井”って…」
一同溜め息にも似た声を漏らした。
69携帯21:2007/02/12(月) 02:05:11 ID:0+qdR2LPO
「サユミン!じゃあなんでカメのお兄さんを好きにならなかったの?」
新垣がひどく心配したような顔をした。
考えてみたら至極正しい質問に思えた。
普通ならサユミちゃんが絵里の兄貴を好きになったってなんもおかしくない。
なのになぜ?
「サユミなんかよりもっともっと素敵な人が絵里のお兄さんにはお似合いだと思うの…」
新垣は黙りこくって難しい顔をした。
絵里と俺は新垣を見た後に目が合ってやっぱり2人共難しい顔をした。
それにしてもそういう訳で絵里と親しくしていくうちにいろんな感情が連鎖して、禁断の感情が湧いてきてあんなことに…。
「ゴメンね絵里…」
涙をいっぱい溜めたサユミちゃんが絵里に頭を下げた。
「ううん、絵里の方こそ」
「サユミが悪いの…」
おかしな話だけれどサユミちゃんには涙がよく似合う。
あの時まぁさ女将にも感じたものとは質が違うけれど、サユミちゃんの涙はとにかく美しかった。
「じゃあみんなSが悪いってことで、これからは仲良くしよう!!」
新垣がおもいっきり俺の肩を叩いた。
これでさっきのマスターKのとで両肩やられたことになる。
女性陣みんな笑ってる。
70携帯21:2007/02/12(月) 02:10:05 ID:0+qdR2LPO
くそぉ〜。
でもまあいっか。
サユミちゃんも絵里も笑ってることだし。
「じゃあサユミンは次は誰を好きになるの?」
新垣の質問にサユミちゃんは俺をじ〜っと見つめた。
「えっ!俺?」
「それだけは許さないからねぇ〜!!」
絵里がサユミちゃんの視線の先に入った。
「冗談なの」
みんな笑った。
俺は笑えなかったけど。
「じゃあ改めて亀井先輩のお兄さんはどうですか?」
小春ちゃん!!
「うん、大好きなの」
小春ちゃんと田中だけ笑った。
「ちょ、ちょっとぉ〜!!アンタァ〜!!コラァ〜!!」
新垣節炸裂で新垣は立ち上がった。
「冗談なの」
やるなぁ〜サユミちゃん!!
こういう機転はさすがだと思った。
田中と小春ちゃんが興味津々ってな目つきで新垣を見ている。
そんな空気を払い退けるかのように大きな声で絵里が言った。
「ガキさん!早くうちのお兄ちゃんに告白しちゃいなよぉ〜!」
空気を読むってホントにホント〜に難しい。
「ちょっとカメ!アンタねぇ〜!!」
顔を真っ赤にした新垣は座ることも出来ずに絵里をポカポカ叩いた。

(続く)
71ねぇ、名乗って:2007/02/12(月) 02:58:30 ID:B+zXDgNCO
乙です
もっと泥沼化するかと思ったけど解決して良かった

しかしそれにしても狼は…
72携帯21:2007/02/12(月) 13:25:06 ID:0+qdR2LPO
>>70
「ガキさんったらうちのお兄ちゃんのことが好きなんだよぉ〜!!」
絵里のヤツ言っちゃったよぉ。
「アンタァ〜メモってんじゃな〜い!」
小春ちゃんにとばっちりの新垣。
「これは面白くなってきたとぉ!」
「田中っち!楽しんでる場合じゃな〜い!」
笑えないはずの新垣が笑った。
新垣が笑えばみんなが笑う。
来る前はヒヤヒヤもんだったのに今の新垣、絵里、サユミちゃん、田中は昔みたいに笑ってる。
「そうそう…れいな学校やめたけん」
「えっ!!」
みんなの笑顔が止まった…と思いきや…。
「れいなおめでとう〜!!」
1人場違いな絵里。
「れいなのお腹の中には赤ちゃんがいるんだよぉ〜!!」
なんで絵里が先に言うかなぁ〜。
「う、うえ〜っ!!」
飛び上がる新垣とサユミちゃんと小春ちゃん。
そして絵里が新垣に耳打ちしたのが聞こえた。
「あの時、絵里をどっかのえりりんと間違えたあの人だよ」
「えっ!えっ!えぇ〜っ!!」
オーバーだなぁ新垣は。
「お、おめでとう〜!!」
みんなの祝福に恥ずかしがり屋の田中は照れた様子ではにかんだ。
ちょうどその時、テーブルの上にドン!と大きな大きな皿が置かれた。
73携帯21:2007/02/12(月) 13:30:27 ID:0+qdR2LPO
「手打ちは済んだようだね!それじゃあ特製スペシャルKのケーキセットをプレゼントだぁ〜!!」
どんなもんだい!とばかりに鼻息を荒くしたマスターKが俺達1人1人を見つめた。
「アンタ達!仲良くしないとこのマスターKが許しゃしないよぉ〜!!」
普段絵里や新垣がなんだかんだとマスターKのことを言ってるけれど、それでもやっぱりなにかとマスターKを頼ったり褒めたりしてるのはそういうことかと分かった気がした。
今頃分かったか!と言われそうな顔で見つめられてしまうとつい頭が下がってしまう。
全くマスターKって不思議な魅力を持った人だ。
美味しそうなチーズケーキの匂いがテーブルの上に広がると早くもフォークとナイフを握った絵里が我先にと狙っていた。
「飲み物は自分でやりなさいよ!分かったわねカメちゃんにガキさん!」
そう言ったマスターKはいきなりまた俺の肩を叩いて「アンタ!チーズケーキ好きなんでしょ!」と言って絵里にウインクした。
絵里がマスターKに目礼した後、俺の顔を見てウインクをした。
覚えててくれたのか…。
チーズケーキじゃないけどなんだかとっても甘酸っぱい気持ちになった。
なにはともあれ今日は嬉しい日。
74携帯21:2007/02/12(月) 13:32:35 ID:0+qdR2LPO
「父さんと鳥とコンサート」
「父さん小鳥とコンサート」
「アンタ達なに言ってるの?」
新垣が田中と小春ちゃんに茶々を入れる。
「サユ、なにがいい?」
「絵里、サユミ自分でするの…」
「いいのいいの座ってて!絵里がしたいから!」
「じゃあミルクティー!一緒に飲もうよS君!」
あの日あの時のサユミちゃんの目だった。
「S!なにニコニコしてんのぉ〜!!サユ〜!アンタ自分でやりたいんでしょう!自分でやればぁ〜!!」
「冗談なの冗談なの!絵里はホントに怒りん坊なの」
この2人、まわりをどれだけ心配させたことか。
なのにこの掛け合いときたらブランクを全然感じさせない。
エリ&ガッキーもいいけど、このさゅぇりもいい!!
田中と小春ちゃんは回文でもやっててくれ!
いやぁ〜めでたいめでたい!!
良かったな新垣!
良かったねサユミちゃん!!
ホントに良かったな絵里!!!

【チーズケーキ編】

〈完〉
75名無し募集中。。。:2007/02/13(火) 01:35:28 ID:MpQ5gOd4O
こっちで更新来てたのか!!乙です!!
76ねえ、名乗って:2007/02/13(火) 06:54:13 ID:HlEyLRw50
素敵な仲間
77携帯21:2007/02/13(火) 08:36:00 ID:57zyeckyO
>>74
サユミちゃんの一件は俺と絵里の生活に潤いと平和をもたらした。
学校でもサユミちゃんを含めあの頃の笑い声が戻ってきた。
唯一足りないといえば田中がいないことだけだった。
でもアイツの場合は祝福すべきことだからそんなに悲しくはない…と言い切れるほど俺達は出来た人間じゃなかった。
ぽっかりと空いた誰もいない机と椅子。
1学期の後半、随分と長い間学校に来てなかった時には別になにも思わなかったけれど、いざホントにアイツが学校を辞めたとなれば主人のいなくなった同じ机と椅子に対して急に思い入れが強くなった。
出席の点呼をする中澤先生もいつも田中と呼んでたところで1度つっかえる。
その度に俺達はなにかとてつもなく大切なものを失った気がした。
俺は田中とほとんど喋ったことなかったけれど、学校を辞めてから日が経つにつれて無性にアイツと話したくなった。
別に絵里ともサユミちゃんとも新垣とも問題はないんだけれど、田中ならなにか思いもよらぬことを教えてくれそうな気がした。
78携帯21:2007/02/13(火) 08:37:43 ID:57zyeckyO
それにしても10月になるっていうのになんでこんなに暑いんだろう。
今年は秋が来ないまま冬になるんじゃないかってくらいどこもかしこも暑い暑い暑〜い。
というわけで熱気ムンムンの俺の部屋ではカタカタいってる壊れかけの扇風機を固定して、俺と絵里はなにをするでもなくアイスを口に突っ込んだまま天井を眺めてた。
「なんか変わったことな〜い?」
甘えた絵里の声。
さっきまでひとしきり抱き合っていただけに今はなにも考えたくなかった。
どうやらそれは絵里も同じで言葉には全く覇気が感じられなかった。
「あっ!」
「どうしたの?」
「忘れてた!そうそう…」
けだるい体を起こして俺は机の引き出しを開けた。
「昨日届いたんだ」
「なになに?」
「ちょっと待ってよぉ〜今読むから!」
折り目正しく綺麗な字。
懐かしく思い出されるあの整ったたたずまい。
「今年はいつになく夏が長く感じます…お二人が当旅館にお越しいただいてから早いもので2ヶ月が経ちました…先日の主人と娘の命日には墓前に板長と参りまして結婚の報告をしました」
「まぁさ女将と板長結婚するんだ!」
「みたいだな」
「凄いねぇ〜!」
79携帯21:2007/02/13(火) 08:42:06 ID:57zyeckyO
「お二人がいらっしゃらなかったら私達はいつまで経ってもあのままだったかもしれません」
「………」
「今月は私達の街だけは神在月です…そこで細やかながら身内だけで結婚式を挙げるつもりでいます」
「良いなぁ女将さん!」
「もしかしたらお2人は縁結びの神様だったのかも…と今でも思います」
「そうそう!絵里は神様!」
「いつかお二人が結婚される時が来ましたらどうかまた私達の街にお越し下さい…勿論それ以外の時にも…」
「いやだぁ〜まぁさ女将ったら〜」
「それではお元気で…またお会い出来ることを楽しみにしています…S様・絵里様へ…須藤まぁさ……だってよ」
「良かったねまぁさ女将!板長もホント良かった!!いやぁ〜なんだか照れるね」
「なんで絵里が照れるんだよ?」
「だってぇ〜」
絵里の気持ちは分からないでもない。
なんてったって俺達がキューピットなんだから。
「結婚かぁ〜絵里達も出来るかなぁ?」
「出来るんじゃないの」
「ホントに?」
「いやに食い付くねぇ?イヤなの?」
「そうじゃなくって、凄いなぁ〜って思っただけ!」
「なるほど」
80携帯21:2007/02/13(火) 08:44:00 ID:57zyeckyO
絵里の言う通り縁なんて不思議だ。
その時は分からなくても後になったらまるで糸で操られてたかのようになるようになっているんだから。
凄いもんだよなぁ〜。
目を瞑ると自然とあの時のまぁさ女将達との光景が思い出された。
夢のような時間。
今思い出しても素晴らしかった。
女将の旅館じゃなかったけれどあの旅行で俺は童貞とおさらばしたんだし。
絵里との初エッチときたら…。
「ちょっとS!聞いてる?」
あんなことしてあんな風になった絵里…最高!!
「ちょっとなにぃ〜?」
「う〜ん、好きだよ絵里!」
「あぁ〜ん、ちょ、ちょっと待ってよSったらぁ〜!」
抱きついた俺の肩をおもいっきり揺らされた。
「ん?なに?なんか言った?」
「やっぱり聞いてなかったんでしょ!もう〜ちゃんと聞いてよね!」
「はい、すいません」
だいたい男は生返事するもんだし頷いてはいても心ここに在らずなんてこと日常茶飯事だ。
やりたくてたまらない時にいちいち目くじら立てられたってキリがないと思うけど女にはそれが分からないみたいだ。
「ガキさんの誕生日のことなんだけど…あぁ〜ん!ダメェ〜!」
そういえば新垣の誕生日が近づいていたんだ。
81携帯21:2007/02/13(火) 08:47:02 ID:57zyeckyO
少し前になにをプレゼントするか考えておいてと絵里に言われたのすっかり忘れてた。
「プレゼントなににするか考えてくれた?」
案の定キタ。
「う〜ん、そうだなぁ〜、もんじゃ焼セットなんてどうだ?アイツもんじゃ大好きだから!」
「今考えたでしょう!忘れてたんじゃないのホントは?」
鋭い!
さすがは絵里!
よく俺のこと分かってる!!
「そ、そんなことないよ…ホントにもんじゃ良いと思うよ!」
「もんじゃ焼セットねぇ〜」
ひとしきり考えてる絵里もやっぱりやっぱり可愛いかった。
どうしちゃったんだろう。
時間が経てば経つほど好きになってく。
「絵里はなにが良いと思うんだ?」
「う〜んとねぇ…考えてなかった…ウヘヘへ」
ペロっと舌を出した絵里の頭をこづくと絵里はまた笑った。
「もんじゃ以外になにか考えておいてくれよ、任せるからさ!」
「うん、分かった」
果たして絵里がなにをプレゼントするのか俺は期待半分、不安半分で新垣の誕生日を待つことにした。
「それじゃあ…」
「あぁ〜あぁ〜ん!」
俺は絵里の股を広げて顔をうずめ、既に肥大したクリをねぶった。

(続く)
82ねえ、名乗って:2007/02/13(火) 22:02:30 ID:P4933ymc0
びっくりくりくりくりっくり
83携帯21:2007/02/14(水) 00:49:37 ID:aGzgwWxmO
>>81
秋晴れの清々しい日。
昼寝でもしたくなるほどほかほか温かい俺の部屋。
あれほど暑かった夏もようやくそれなりに秋らしくなってきて、その分過ごし易くなっていた。
遅いなぁ絵里のヤツ。
どうしたんだろう。
元々時間にルーズなとこあるからあんまり気にしない方がいいんだろうけどそれでも30分も遅れてる。
おっ!
絵里からメールだ!

今着いたよ
ガキさんの部屋にいます

なんだと!
勢いよくカーテンを開けると窓の向こうで絵里が手を振っていた。
カチューシャした絵里が好きだ。
なんでと言われても好きなものは好きなんだ。
可愛さ倍増と言ったら絵里に怒られるかもしれないけれどつい見とれてしまう。
今日の絵里もスッゴく似合ってる。
俺は小さい頃から慣れた窓枠をまたいで新垣の部屋に侵入した。
「聞いてないよぉ〜!」
「ゴメンゴメン!」
「まあいいじゃないの!今日はわたしの為に集まってくれたんでしょ!!」
ご機嫌の新垣の顔を見たら怒る気にもなれなくなった。
「まあまあお二人共座って座って座って!今飲み物持ってくるからさぁ〜」
そう言って新垣はタンタ〜ンと階段を下りていった。
84携帯21:2007/02/14(水) 00:53:25 ID:aGzgwWxmO
「どうしたんだよ遅れて?心配したんだからな!」
「うん、ちょっと写真取りに行ってたの!ようやく夏の旅行のが出来たから」
「ウホッ!ホントか!見せて見せて!」
「ガキさんが来てから一緒に!!」
「はいぃ〜」
どんな風に出来上がってきたんだろ!!
絵里にバレないように撮ったのもあるし凄く楽しみだ。
「お待たせぇ〜!!」
新垣が大きなバースデーケーキを持ってきた。
「飲み物は今来るから」
すると階段の下の方から歯切れのいい楽しげな歌声が聞こえてきた。
「スキスキス〜♪フワフワフ〜♪」
おっ!
あの声は!!
「お待たせぇで〜す!!」
「すみれちゃん!すみれちゃんじゃないか!!」
やっぱりだった。
新垣の妹・すみれちゃん。
眉毛も濃くてあの頃の新垣そっくり。
一緒にいるだけでまわりが明るくなるような雰囲気を醸し出していてそれもまた姉にそっくりだった。
85携帯21:2007/02/14(水) 00:56:32 ID:aGzgwWxmO
「S兄ちゃん久し振りぃ〜!!」
「コラァ〜!すみれ!抱きつくんじゃな〜い!!」
「おふふ…いいじゃん里沙姉ちゃん!S兄ちゃんとすみれの仲なんだから!」
「この人にはちゃんとした恋人がいるんだからダメ!ほらぁ〜カメが怒ったでしょうがぁ〜全くぅ!!」
俺はすみれちゃんに抱きつかれたままだったので絵里を見ることは出来なかったけれども絵里の顔は大体想像出来た。
「いいじゃないの里沙姉ちゃん!だってS兄ちゃんとは昔一緒にお風呂に入って洗いっこしたんだから!!」
「ちょ、バカ!すみれ!こっち来なさい!いいから!あっ!カメ!大丈夫だから!!」
「里沙姉ちゃんだって一緒に入ったじゃん!」
「すみれ!!アンタいつの話してるの!カメ!ホントになんでもないから!ずっとず〜っと昔の話だから!!」
ようやく離れたすみれちゃん。
「だ、大丈夫だから、絵里全然気にしてないし!」
明らかに引きつっている絵里のこめかみ。
こりゃヤバいな…。
「すみれはここでじっとしてなさい!分かったね!」
「は〜い、おふふふ」
やっぱり可愛いなすみれちゃん。
うちの妹の梨沙子も可愛いと思うけどまた違った可愛さがあるんだよな。
今日は賑やかになりそうだ。

(続く)
86ねぇ、名乗って:2007/02/14(水) 02:31:09 ID:1emAAaU9O
乙です
すみれキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
伝説の ノノc・ヮ・)<おふふ まで
87名無し募集中。。。:2007/02/14(水) 07:42:33 ID:jHByX8L8O
今まで出てきたキャストは全員名前で分かったけどすみれだけは分からない
ハロプロの子?
88ねえ、名乗って:2007/02/14(水) 12:06:31 ID:hCaT1ZJb0
8期オーデで最終まで残ってた子だと思います
佐藤すみれちゃん
89携帯21:2007/02/14(水) 14:01:55 ID:aGzgwWxmO
>>85
「それじゃあ新垣、改めて誕生日おめでとう!!」
「ガキさんおめでとう!!」
「里沙姉ちゃんおめでとう!!」
パチパチパチ…。
「いやいやいやどうもありがとう〜!!」
最近の新垣は目を細めて笑うと凄く優しげな表情をする。
少しふっ切れた感じがしなくもない。
いつだったか新垣を俺の部屋に呼んで絵里と3人で話した時、新垣がさめざめと泣いた。
どうしても絵里の兄貴を諦めることが出来ない切なさ。
俺はそれを真の当たりにしてしまった時、なにも言えずに新垣を見つめることしか出来なかった。
それが夏を過ぎて今回のサユミちゃんの告白で新垣の中に新しい感情が生まれたように見える。
いじめられていたサユミちゃんのお兄さんの味方になったのが絵里の兄貴だけだったという事実。
あんなに軟弱で全てにおいてだらしないと思っていた絵里の兄貴が実は男気溢れる熱血漢だったということ。
それは確実に新垣の中に信じる力を与えたみたいだ。
実際新垣にそのことを聞いた訳ではないんだけれど、俺にはそう思えてならなかった。
90ねぇ、名乗って:2007/02/14(水) 14:02:10 ID:RuTr+W9h0
91携帯21:2007/02/14(水) 14:05:02 ID:aGzgwWxmO
「はいガキさん、プレゼント!」
「なになにぃ〜?んんっ!」
包みを開けた新垣の微妙な顔。
「どうしたんだ?もんじゃ焼セット気に入らないのか?」
「もんじゃ焼セットは嬉しいんだけど…」
「なんだなんだ?」
果たして絵里のプレゼントはなんだったんだろう?
俺は首を伸ばして新垣の手元を覗いた。
「ふ、不二Qハイランドのフリーパス券…しかもペア…う〜ん…」
俺は思わず唸ってしまった。
遊園地のフリーパス券を今の新垣にあげるってことは確かに微妙じゃないかという気もする。
絵里の真意とは…。
「ガキさん!うちのお兄ちゃんと言って来なよ!それでちゃんと好きって伝えて来なよ!!」
絵里らしいといったら絵里らしいなんの変化もない予想通りの直球だった。
「ちょ、ちょっとカメ!アンタなに言ってんのよぉ〜!!」
すみれちゃんがまじまじと新垣を見た。
「やっぱり里沙姉ちゃんにも好きな人いたんだね!」
「コラァ!すみれ!アンタ生意気言ってんじゃないのぉ〜!!」
「だってぇ〜!」
「だってじゃなぁ〜い!」
真っ赤になった新垣の顔はアイツ自身どうしようもないほど全てを物語っていた。
92携帯21:2007/02/14(水) 14:08:57 ID:aGzgwWxmO
隠そうったって隠せない正直な顔、そして目。
あたふたと落ち着かない新垣の表情が益々絵里の兄貴への想いを雄弁に語っていた。
「うちのお兄ちゃんも里沙ちゃんなにしてる?ってよく聞いてくるんだよ!やっぱりキスした相手のことは気になってるんだよ!!」
「スキスキス〜♪」
すみれちゃんにはまだ早過ぎるその言葉はすみれちゃんを妙なハイテンションにしてしまった。
そんなすみれちゃんをさしおいて歪んだ見方をしてしまう俺はもしかすると絵里のヤツ嘘ついてるんじゃないかと思った。
「ホホホントに?カメ!ホントにホントなのぉ?」
慌ただしく震える新垣の厚い唇。
「ホントにホントだよ!里沙ちゃん里沙ちゃんってうるさいんだから!!」
重ねるところが益々怪しい。
そんな俺の考えとは反対に新垣はわなわなと震えて奥底から湧き起こってくる興奮を抑えきれないでいた。
「里沙姉ちゃん!その人誘っちゃいなよぉ〜!!」
くりくりおめめのすみれちゃんが背伸びした世界を一通り飲み込んだようで、満面の笑みで新垣を見つめた。
「うううう〜ん…」
うち震える新垣。
いろんな葛藤が新垣の中で渦巻いているようだった。
93携帯21:2007/02/14(水) 14:11:26 ID:aGzgwWxmO
「ガキさん!今しかないって!!絵里はね、サユの話で初めてお兄ちゃんのこと知ったの…美貴さんとのことをガキさんから聞いてずっとダメなお兄ちゃんって思ってたのにそればっかりじゃなかったって分かったの!だからガキさんも分かったでしょう!」
絵里は絵里でやっぱり考えてたんだな。
凄く良いことを言ったと思う。
「ガキさんだってお兄ちゃんを好きって気持ち強くなったんじゃないの!?」
いつになく真剣な絵里の問いかけに新垣は黙ったまま静かに頷いた。
「新垣!俺も今しかないと思う!!絵里の兄貴だってお前のことが気になって仕方ないと思うんだ!だって美貴さんて人と別れたがってたんだろ?話を聞いた限りじゃかなりお前に傾いてると思うぜ!」
「うん…」
「ガキさん頑張って!!」
「里沙姉ちゃんファイト!!」
新垣は自分に言い聞かせるように何度か頷くと小さな声で囁くように呟いた。
「分かったよ」
「ホント?ホントなのガキさん?」
「うん、ありがとうカメ!どうなるか分かんないけどわたし頑張ってみるよ!」
「やったぁ〜ガキさん!!」
絵里は飛び上がって喜んだ。
94携帯21:2007/02/14(水) 14:13:40 ID:aGzgwWxmO
「ちょっとカメ!まだお兄さんの気持ちも聞いてないのに喜ばないでよ!!」
「大丈夫大丈夫!ガキさん絶対大丈夫だって!!」
一体どうしたらそんな自信満々で言えるのか俺にはさっぱり分からなかったけれど、絵里は実の兄妹なんだからなにかしらの確証みたいなものがあるのかもしれない。
「すみれちゃん!ガキさんが絵里のお姉ちゃんになったらすみれちゃんは私の妹になるんだよぉ〜!」
とんでもないほど飛躍した話をいきなり絵里が言い出したから新垣なんて面食らって呆気に取られている。
「そうなったら絵里お姉ちゃんって呼ぶからS兄ちゃんともホントの兄妹になるんだぁ〜!!」
「うおぉ〜!凄いこと言うねすみれちゃん!!絵里!俺達結婚することになったらしいぞ!」
「すみれちゃん!もう絵里姉ちゃんって呼んでいいんだよぉ〜!!」
全くもってまだなにもない話なのに新垣以外3人はみんなはしゃぎまくって楽天的だった。
1人うずくまるように座ってる新垣の体から発せられるみなぎる気合いに俺達はヤケドしそうになりながらも笑っていた。

(続く)
95ねえ、名乗って:2007/02/14(水) 22:08:30 ID:QNzTQpyf0
おつおつー
96ねぇ、名乗って:2007/02/15(木) 01:47:36 ID:kfrmNAgs0
携帯21氏おつおつ〜
確かすみれ編は温存してたんだよね
楽しみにしてます
97携帯21:2007/02/15(木) 12:22:11 ID:vGLEzEc0O
>>94
「おふふ…すみれからも里沙姉ちゃんにプレゼントあるんだぁ〜!ちょっと待っててぇ〜!」
そう言うとすみれちゃんはトコトコと部屋を出ていき、しばらくすると大きな包みを持って戻ってきた。
「はい!里沙姉ちゃん!」
「ありがとう!でもちょっとぉ〜どうしたのよすみれぇ〜?凄い大きいんだけど!」
それはちょうど新垣が一抱えするほどの大きさでパッと見ただけでもなかなか立派なもののように思えた。
「な、なによこれ〜っ?」
ビリビリに破られた包み紙から現れたのは…ん?なんだこれは?
「レ、レコードプレーヤー?」
「うん!」
これがレコードプレーヤー?
随分とごっついな。
最近流行りのポータブルじゃなくてかなり昔のアンティーク品。
「すみれ、なんでこんなものを?高かったでしょ?」
「そんなことないよ!だってリサイクルショップで買ったんだもん!」
「でもなんで?」
すみれちゃんはまんまるな目を輝かせながらハキハキと答えた。
98携帯21:2007/02/15(木) 12:24:52 ID:vGLEzEc0O
「だって里沙姉ちゃん、いつだったか言ってたでしょ!初めてレコードショップに行って初めてレコードを買ったって…でもどこかにレコード忘れてなくしちゃったって!」
んん!
この話は…。
「だから里沙姉ちゃんがレコードプレーヤー持ってたらまたそのレコードを買いに行く気になるかなぁ〜って!」
「すみれ…」
凄い姉妹愛を感じた。
それにしても…。
「今のすみれちゃんの話って…もしかしてうちのお兄ちゃんとの…?」
絵里の問いに新垣が頷いた。
「やっぱりそうなんだ!さっき言ってた好きな人って絵里姉ちゃんのお兄ちゃんでそのレコードを一緒に買ったんだぁ〜!」
今まですみれちゃんの目に映っていた姉・新垣が今日俺達と会って話を聞いたせいで随分と変わったと思う。
カタチは違えどそれはサユミちゃんの告白で兄貴を見る目が変わった絵里と似ている。
冷やかしとは違ったすみれちゃんのはしゃぎっぷりは見ていて愉快だった。
新垣もそれが妹の愛情表現だと分かっているんだろう。
もうすみれちゃんを怒ることもなかった。
99携帯21:2007/02/15(木) 12:28:09 ID:vGLEzEc0O
「すみれ…ありがとう…」
あの時新垣が俺の部屋で泣いた時もこんな声だった。
でも今は意味が違う。
あの時は悲しみの声。
今は希望と感謝の声。
新垣への絵里とすみれちゃんのプレゼントは新垣を新しいステージに押し出すお膳立てをしたようだ。
新垣の目から揺るぎない決意が見て取れた。
「もうすぐしたらお兄ちゃんの大学の学園祭があるから…その時にガキさん…ね?」
絵里の声はどこまでも優しかった。
「うん、分かった!その時に!!」
果たしてどういう結果が待っているのか。
上手くいくといいんだけど。
いや絶対上手くいくさ。
上手くいかなきゃ十何年振りかで絵里の兄貴を叩きのめしてやる。
それから俺達は絵里が絵里のお母さんと作ってきたケーキを食べながらワイワイ騒いだ。

(続く)
100ねえ、名乗って:2007/02/15(木) 22:20:44 ID:3IwMsV670
兄重絵里兄ガキ妹
101ねえ、名乗って:2007/02/16(金) 00:01:38 ID:87ubmAZG0
俺も兄妹が欲しいよ
102携帯21:2007/02/16(金) 09:31:19 ID:SagStn89O
>>99
「へぇ〜!すみれちゃん舞台で子役やったりしてるんだぁ〜!!」
絵里の驚きはなかなかのもんだった。
絵里自身舞台女優を目指してるらしいのですみれちゃんの話は刺激を受けるんだろう。
「今度はどんな役をするの?」
すみれちゃんはニコニコ笑いながら照れ臭そうに言った。
「葉っぱ」
「葉っぱ?」
新垣、絵里、俺…同時に3人に詰め寄られてすみれちゃんはどうにかなってしまいそうに照れていた。
「葉っぱだよ、フレディっていうの!でもセリフもいっぱいあるし凄く大事な役なんだぁ〜!」
すみれちゃんの目には力があった。
それは喜びから来る自信というものに違いなかった。
「今日もこれから稽古なの!」
張り切ってるなぁすみれちゃん!
「アンタ!前に言ってた大きなオーディション、あれどうなったのよ?」
姉が妹を見る目も優しかった。
103携帯21:2007/02/16(金) 09:33:27 ID:SagStn89O
「あれは最終選考までいったんだけど…落ちちゃった…」
「すみれ…アンタ大丈夫なの?」
「大丈夫だって!だってすみれは合格した娘に負けたとは思ってないんだもん!絶対すみれや他の娘が良かったと思うんだもん!選んだ人がおかしいんだよ!!」
すみれちゃんの言葉には恨みとか負け犬の遠吠え的なやっかみはみじんも感じられなかった。
むしろそれだけ言っても爽やかなくらいに涼しげな印象を与えてくれた。
それは何気に凄いことのように思えた。
なによりも自分を信じているからこそ言える強さ。
新垣の妹ながら年上の3人は圧倒されてしまった。
そんな訳でいつの間にか俺もすみれちゃんを選らばなかった審査員の無能さを口にはしないけれど嘲笑っていた。
104携帯21:2007/02/16(金) 09:37:20 ID:SagStn89O
「すみれちゃん!俺よく分からないんだけど、すみれちゃんならいつか大きな花を咲かせると思うよ!!だから頑張ってね!!」
「ありがとうS兄ちゃん!!」
プクプクした柔らかいほっぺたが俺の骨張った頬に触れた。
すみれちゃんにまた抱きつかれた訳で…。
「すみれぇ〜っ!!」
「すみれちゃ〜ん!!」
心配性の姉とジェラシーの混じったもしかすると将来義理の姉になるかもしれない絵里の声。
「おふふふ…それじゃあ行ってきま〜す!!」
あっという間に俺から離れたすみれちゃんは手を振って颯爽と部屋から出ていった
「里沙姉ちゃんファイト!!」
ちょこんと首だけ出したすみれちゃんがドアの向こうで笑っていた。
「すみれ…」
「スキスキス〜♪フワフワフ〜♪こんな気持ち〜♪マイメロディ〜♪」
気持ち良さそうに歌いながら勢いよく階段を下りていく足音が響いた。
「すみれ〜!遅くなったら寒いからこの前買ったコート着ていくんだよぉ〜!!」
「分かったぁ〜!」
新垣とすみれちゃん。
姉と妹。
なんとも微笑ましい日常の風景。
いいな…そういうのも。
こんな気持ち〜♪
メロメロディ〜♪

【コートにすみれを編】

〈完〉
105ねぇ、名乗って:2007/02/16(金) 11:19:23 ID:AD6jfMxs0
おつ
ほのぼの(*´∀`*)
106ねぇ、名乗って:2007/02/16(金) 21:21:21 ID:KXYClInhO

しかしすみれは光井をけなしたりする子じゃないだろ…
107携帯21:2007/02/17(土) 01:09:30 ID:ohTNtbGSO
>>104
それにしても凄いなぁ〜!!
辺り一面アイドルのポスターやグッズだらけ。
新垣が熱狂してるのが名前だけ聞いたことのあるあの娘達だったなんて隣に住んでても全く知らなかった。
時々賑やかな曲が聞こえてきたりしたけど気にも止めなかった。
普段テレビも見ないしこれといった決まった音楽も聞かないからさっぱりだった。
そんな俺だから自慢じゃないけれどポーズをとって着飾った女の子達の名前を1人として言えなかった。
「なぁ新垣、お前この中で誰が1番お気に入りなんだよ?」
ぶっきらぼうな俺の質問に新垣は水を得た魚の如くいきいきとした目で熱っぽく語った。
「ちょっとアンタねぇ〜!お気に入りなんて言っちゃ失礼だよ!」
「はぁ?なんだよそれ?」
「わたしに失礼なんじゃないよ!あのお方に失礼なんだよ!!」
「はぁ?」
「分かってないなぁ〜!あのねぇ、わたしなんて朝起きた時と夜寝る前はいっつも拝んでるんだから!!それくらい凄いお方なんだから!!」
108携帯21:2007/02/17(土) 01:11:42 ID:ohTNtbGSO
「へぇ〜」
「へぇ〜じゃないよ全く!そんな気の抜けた声のアンタには名前を言うのもおこがましいよ!!」
「そんなもんかねぇ」
「ほら!黙って頭下げる!アンタみたいな軽い人間にはこのお方の有難みなんて分かりゃしないよ!!」
なんだっていうんだろう新垣のヤツ。
まるでどこかの国みたいにポスターの前では平伏しなきゃいけないみたいだ。
「お前なにやってんの?」
「話しかけないでって!アンタの暴言を謝ってるんだから!!」
痛いなぁ〜新垣!
「あっ!!」
キョトンとしたつぶらな瞳の絵里がまっすぐに新垣の部屋の壁を見つめていた。
「どうした絵里?まさか絵里まで?」
新垣が拝んでいるポスターを見てなにか思い出したのか、バツの悪そうに絵里が苦笑いをした。
「ゴメンS…」
「お、俺?俺にか?」
「うん」
「どうしたんだよ?」
すると絵里はなんとも言い難い微妙な顔でおっきなおしりをグイっと持ち上げた。
109携帯21:2007/02/17(土) 01:12:52 ID:ohTNtbGSO
「あぁ〜!!」
絵里が謝った理由が一瞬にして分かった。
絵里がここに来る前にカメラ屋に寄ってもらってきた夏の旅行の写真の束が絵里のおしりで見事にぺったんこになっていた。
「別にいいよ折れ曲がったりしてる訳じゃないんだから!」
「ホントに?」
「うん」
改めてみてもやっぱり問題はないようだ。
「どれどれ、カメのおしりに潰された写真を見せてもらおうかな」
礼拝が終わった新垣が笑いながら紙袋を開けた。
「ちょ、ちょっと待てって!2人が見る前に俺に1度点検をさせてもらえないかなぁ?」
絵里には言えないような写真も紛れ込んでいるかもしれないし…いや確実に紛れ込んでるから。
「怪しいなぁ!!」
新垣の見事な眉毛が鋭角に曲がっていた。
110携帯21:2007/02/17(土) 01:14:29 ID:ohTNtbGSO
「怪しくないって…」
「だったらいいじゃん!」
「いや…でも…」
「はい!さっさと見るぅ〜!!」
「あぁ〜!ちょっと待てって!」
「いいじゃない!綺麗に写ってるよぉ〜!!」
最初の1枚は着いて早々食べたあの街の名物のおソバだった。
「このおばあちゃんカワイイねぇ〜!」
おソバ屋さんのだんだんおばあちゃんが満面の笑みで写っていた。
「いいなぁ〜こういうの!」
次に出てきたのはあの暑い最中結婚式を挙げていた2人。
「この2人はね、2日目に泊まった旅館で一緒だったアヤさんとシンヤさんだよ!」
絵里の説明に興味深そうに頷く新垣。
続いては浜辺で夕陽をバックに水着姿の絵里。
「イヤだぁ〜いつ撮ったのぉ〜!」
俺的にはかなり気に入って会心の1枚だと思ったのに絵里に没収されてしまった。

(続く)
111ねえ、名乗って:2007/02/17(土) 01:35:15 ID:kqfxGmD+0
あの方w
112ねぇ、名乗って:2007/02/17(土) 21:37:03 ID:VxPIaj9PO
乙です

もうこのまま羊でいいんじゃないかと思ってるのですがどうでしょう?>携帯21氏
113携帯21:2007/02/18(日) 10:12:21 ID:xAXUOD6NO
>>110
お次は…。
「あっ!!」
「どうしたのカメ?」
写真には気持ち良さそうに眠ってる絵里の顔しか写ってない。
だけどホントはその写ってない部分が重要で実は絵里は真っ裸。
「なんでもないなんでもない!」
そう言いながらもキッと絵里に睨まれる。
俺と絵里が初めて結ばれた後で俺がこっそり写した記念の1枚。
絵里は黙ってそれを俺の手が届かないところに置いた。
そういう訳で俺が現像を楽しみにしていたものはことごとく没収されてしまった。
気を取り直してカメだけ駅のプラットフォームで写した1枚。
そしていちじくアイスを頬張る絵里。
そしてそして…。
「誰この娘!?」
いきなり引きつった絵里の顔。
「んん?なんか写ってたか?」
「髪の長くなったえなり君じゃないの?」
「ガキさん冗談言ってる場合じゃないよ!誰なのよこの娘?」
写真を見ると俺の知らない間に撮られた証拠がありありと写し出されていた。
114携帯21:2007/02/18(日) 10:14:53 ID:xAXUOD6NO
「あぁ〜っ!この娘はぁ〜!!」
それは絵里がアイスを再度買いに行ってる間に俺に声をかけてきたちなみちゃんだった。
俺が気を抜いてるうちにお得意の媚た作り笑顔を自分で写したんだろう。
左手はシャッターに、右手は目の横でピースをしていた。
「違う!違うから絵里!この娘は地元の娘で絵里がいない時に声をかけてきただけだから!ほらよく見てくれよ!俺が写したんじゃないって分かるだろ!!」
自分でも情けないほど必死だった。
「うう〜っ…」
「俺は無視して追い払ったって!誘われたけど絵里がいるのに行く訳ないじゃないないか!!」
「誘われたんだ!」
「あっ!いやぁ〜そのぉ〜!」
「いいじゃんカメ!ちゃんと断ったみたいだから許してあげればぁ〜!」
「う〜ん…」
俺なんも悪いことしてないのになんでこんなに疑われてんの?
そりゃ少しはいやらしい想像もしましたよ。
実際ちなみちゃんがエッチしてるところも拝ませてもらいましたし。
でもそれだけじゃん!
たったそれだけじゃないの!!
「次!!」
語尾の強くなった絵里はまだ残っている写真を勢いよく広げた。
115携帯21:2007/02/18(日) 10:22:52 ID:xAXUOD6NO
「あぁ〜っ!!」
その写真には浴衣の帯しか写っていなかった。
しかし俺と絵里はそれをなにに使ったか分かっている。
不思議そうにその写真を眺める新垣を横目におもいっきり絵里につねられてしまった。
「なにこれ?」
「浴衣の帯ですけど…」
「分かってるよ!なんでこんなの撮った訳?」
「いやぁ〜なんでなのか憶えてないもんで…」
「ふ〜ん、変わった趣味してるね」
ドキッとした。
変わった趣味…確かに。
「ガキさん次いって!」
「はいよぉ〜!」
新垣のあっけらかんとした声が響いた。
「あっ!まぁさ女将と板長だ!!」
絵里が新垣にこの2人の経緯を話し始めた。
全くの他人事なのに感激家の新垣は逐一頷きながら目頭を押さえた。
「会ったこともないけど2人には幸せになってもらいたいよ!幸せにならなきゃいけないよぉ〜!!」
涙声の新垣がどういう訳か絵里の膝をぴしゃんと叩いた。
「次、頼むから次にいってカメ!」
「はいはい!あっ!ガキさん見て!あの人だよ!れいなの彼氏!!」
女将達の一件の後宴会となって浴衣姿でVサインの田中と〆〆氏。
そうだよな。
新垣はこの人と会ったことあるんだよな。
「田中っちがあの人とねぇ〜…」
しみじみと新垣が語った。
116携帯21:2007/02/18(日) 10:27:09 ID:xAXUOD6NO
「ところで田中ってどうやって〆〆さんと知り合ったのか知ってるか?」
俺の質問に絵里と新垣は強く頷き合うとたった一言「知らないよ」とつまらなそうに言った。
田中のことなんでそんなに深く追求しようとも思わないから放っておいたけれど絵里も新垣もなにか知ってるな。
まぁいいや。
「あとは空港で写したのや飛行機から眺めた雲とかばっかりだよ」
「いやぁ〜思い出しますなぁ〜2泊3日の楽しかった旅行を!どうですか亀井さん?」
ご機嫌取りの俺を冷たい目で見る絵里。
まだ怒ってるのかちなみちゃんと帯を。
あれ?
「絵里!お前のおしりの下に1枚ないか?そんな風に見えるんだけど?」
「えっ?」
絵里が腰を上げるとやっぱり1枚はぐれた写真が折り曲がって落ちていた。

(続く)
117携帯21:2007/02/18(日) 19:53:02 ID:xAXUOD6NO
>>112
ご意見ありがとうございます!!
そのつもりです…というかそうせざるをえないみたいですね
安定してる(羊)の方が毎日書き込むには適してるのかもしれませんし
ただ(狼)でこのスレがなくなってから携帯21のが途中で終わったと思ってる人がいたらかなり悔しいです
生意気なようですがここの存在を知らせてあげることが出来ればと思えてなりません

読んで下さってる方に感謝します
118携帯21:2007/02/18(日) 20:02:20 ID:xAXUOD6NO
>>116
「あっ!やっぱりだ!どれどれ…」
晴れ渡った窓の向こう。
バンガローで海をバックに俺と絵里…そして俺達の間に生まれもってのスマイリー安倍さんが写ってた。
「安倍さんじゃ〜ん!やっぱり安倍さん良い顔で笑ってんなぁ〜!!」
「ホントだぁ〜!安倍さん絵里も大好き!!良い人だよねぇ〜!!」
「安倍…さん…?」
「ガキさんも見る?この人はねぇ…」
「ああああ安倍さん!!」
驚天動地のような顔で新垣が安倍さんの写った写真を持って震えて出した。
「どうかしたガキさん?」
尋常じゃないほど興奮して写真に穴が開くほど新垣は凝視していた。
「おい、大丈夫かよ新垣?」
「大丈夫じゃないかも…」
いつまで経っても写真を離そうとしない新垣。
「ねぇ、ホントにどうしたの?ガキさん急に固まっちゃうから絵里怖くなっちゃったよ!」
「お〜い新垣!」
心ここに在らずってな感じで微動だにしなくなった新垣を絵里が揺らした。
119携帯21:2007/02/18(日) 20:04:03 ID:xAXUOD6NO
「この人なにか言ってなかった?」
マジの顔の新垣。
「そういやぁ〜なんて言ってたかなぁ〜…そうそう、元々ここが地元じゃないとは言ってたかな」
「他には?」
「他に?絵里!なんか言ってたか?」
「う〜ん、そういえばそう!絵里達が住んでるこの街に住んでたって言ってた!!」
「それで!?」
「それで…可愛い後輩を残して黙って引っ越したことが心残りだとかなんとか…」
「やっぱり」
「…ってまさか…まさかガキさんのことなの!?」
新垣は黙って頷いた。
「エエエッ〜!!ホントなのガキさん!?」
「マジかよ新垣!?」
「安倍さん…生きてたんだぁ…良かったぁ…」
新垣の両目がみるみるうちに涙でいっぱいになってあっという間に頬を伝わり床を濡らした。
「ガキさん…」
「ゴメンねカメ」
絵里が差し出したハンカチを目に当てた新垣は少し嬉し恥ずかしそうに笑った。
120携帯21:2007/02/18(日) 20:11:45 ID:xAXUOD6NO
「どういうことなんだ?」
俺にはなにがなんだかさっぱり分からなかった。
「うん…」
新垣はハンカチを膝の上に置くと目を真っ赤にしてゆっくりと話し始めた。
遡ること5年前のちょうど今時分、3年生が一線を退いて夏休みが終わりキャプテンを任された新垣はチームとしてのまとまりがようやく出てきたと実感していた。
そんな時近所の公園で部活の後も1人バスケに明け暮れているところにその人は現れた。
「お姉ちゃん上手だねぇ〜!」
見るからにどん臭そうな女性が3ポイントを決めた新垣の横で拍手をしていた。
「あっ、どうも」
言葉を交わすのは初めてだった。
けれど今までにこの公園に来る度に見かけていたので案外すんなり話すことが出来た。
「今日は歌わないんですか?」
その人がいつも公園の隅っこで訛り丸出しで歌の練習をしているのを新垣は近くを通る度に聞いていた。
121携帯21:2007/02/18(日) 20:13:06 ID:xAXUOD6NO
「たまにはねぇ〜」
その人は満面の笑みで優しげに笑うとドスドスと体を揺らしてリングの下に転がったボールを新垣にパスした。
「安倍さんが手伝ってあげるよぉ!」
安倍さん。
その時初めて新垣は彼女の名前が安倍さんだと知った。
安倍さんは歌手になる為に田舎を出てきたばかりで、なにがなんだか分からないうちにこの街に住んでこの公園に来てたらしい。
いつも1人でいたから思い切って新垣に話しかけたというのは後で分かった話。
それからというもの公園に行く度に安倍さんと顔を会わし、時には夜遅くなるまでお互いの夢を語り合い、時には安倍さんの歌の感想を言ったり安倍さんの路上ライヴを手伝ったりしたらしい。
うち解けた頃には新垣は安倍さんを姉のように慕っていた。

(続く)
122ねえ、名乗って:2007/02/18(日) 21:34:58 ID:Cn5+/LxU0
そんな重要なキャラをへんな男とHさせて良かったの?
123ねぇ、名乗って:2007/02/18(日) 22:15:21 ID:+2M+k4no0
やっぱりあの伏線はがきさんだったか
124カカ:2007/02/18(日) 22:41:31 ID:HVrEH80A0
新垣と亀井がちょっとHな幼なじみだったら?

困る!
125読書公園の人:2007/02/19(月) 11:30:16 ID:jQjVt3xn0
遅くなりましたが更新いたしました
いつの間にか羊に移転してたの知りませんでした・・・

>>21
第1章タイトル修正いたしました

放課後〜は結局どうなったんでしょうかね
作者さんがスレを移転すると言ってましたが移転先を見つけられなかったので
続きが気になったままになってます

>>24
結局「もしも新垣と亀井がちょっとHな幼なじみだったら21」のスレだけが
どこを探しても取得できず歯抜けのような状態が続いています・・・
126携帯21:2007/02/19(月) 20:33:37 ID:WJGXhn09O
>>121
「へぇ〜知らなかったよ、新垣がそんなことしてたなんて!」
「ガキさんそれでそれで?」
俺達が中3の時、新垣はある時期学校で1番注目されていたのかもしれない。
というのも新垣の才能と不断の努力とで新垣率いる我が校の女子バスケット部はそれまで万年予選敗退だったのに新垣の圧倒的なパフォーマンスで全国大会に出た上に優勝には届かなかったけれど準優勝の栄誉に輝いた。
それは安倍さんのお陰で精神的に強くなれたからと新垣は目を輝かせた。
それから数ヶ月、忘れもしない新垣が誕生日を迎えた日、同級生に先駆けて新垣は近所の高校に特別推薦で入学が決まった。
準優勝した時にはあれほどもてはやされた新垣も、その時はみんなから羨ましいを通り越して嫉妬された。
仲の良かった俺や絵里でさえ羨望の眼差しだったのに他のヤツ等が平気でいられる訳がなかった。
俺が言うのもおかしいがその日以来新垣は勉強もしていたがバスケだけしてればいい毎日だった。
127携帯21:2007/02/19(月) 20:35:11 ID:WJGXhn09O
年が明けて俺達に受験が近づいてくると益々新垣への風当たりは強くなっていた。
「なんでアイツ学校に来てんだ?バスケだけしてればいいんだろ!」
「いいよねぇ〜バスケだけしてれば!スッゴくムカつくんだけど!」
あしざまにそんな言葉を俺も聞いたことがある。
新垣をヒーロー視していた人間だけでなく、新垣と一緒に汗水垂らした同じバスケ部員の中にもそんなことを言うヤツがいて、正直新垣は孤立していた。
もっと俺や絵里がしっかりしてれば良かったんだろうけど、俺達も受験生だったので自分のことで精一杯だった。
俺も絵里もサユミちゃんも田中も新垣と同じ第1希望の近所の高校に合格して、晴れて卒業を目の前にしたある日それは起こった。
相変わらず後輩に慕われていた新垣はピンと緊張した肌寒い日に体育館で後輩達と練習をしていた。
多分その時のことは俺も絵里もそこにいた誰もが一生忘れられないだろう。
体育館の2階から新垣の練習模様を眺めていた俺達の目に信じられない光景が映った。
128携帯21:2007/02/19(月) 20:37:03 ID:WJGXhn09O
後輩の放ったボールがリングに当たってリバウンドを新垣が後輩と競って着地した瞬間、思い出したくないくらい奇妙な音と共に新垣の足が信じられないほど異様な方向に曲がった。
「ウアアアァ〜!!!」
叫びながら倒れる新垣。
膝を持ったままもがき苦しむアイツの姿は忘れられない。
「ガキさ〜ん!!」
泣き叫ぶ絵里の声で俺やサユミちゃんや田中もフロアに飛び出した。
すぐさま体育教官室に飛び込んだ後輩が血相を変えて数名の先生と戻ってきた。
「新垣!しっかりしろ!!」
しっかりするもなにも直視出来ないほど曲がってる足を見れば分かるだろう!!
俺は内心凄く腹が立った。
先生達に担がれて病院に運ばれた新垣。
即入院即手術。
春休みになって見舞いに行った俺達の前にはがんじ絡めにされた新垣の足が天井からの金具で吊されていた。
129携帯21:2007/02/19(月) 20:42:37 ID:WJGXhn09O
「ず〜っと感覚がなかったけどようやく痛み始めたよ」
新垣は笑っていたが俺達は目を合わせることも出来なかった。
そういえばあの時新垣のベッドの近くに今この部屋にある1枚のCDを見かけたことがあった。
「なぁ新垣、あの時このCD病室にあったよな?なんて曲なんだ?」
「あぁ、それね!わたしが初めて娘。を好きになった曲で安倍さんがいっつも公園で歌ってたんだ!『ふるさと』っていうんだぁ〜!!」
そして新垣はその曲のフレーズを口ずさんた 。
「涙〜止まらないけど〜昔のように叱ってマイマザ〜♪」
そういえばよく新垣が歌ってた気がする。
「このCDね、安倍さんがくれたの!ガキさん、泣きたい時には泣くんだよぉ〜!泣けるって幸せなことなんだよぉ〜…って!」
そう言うと新垣はいろんなことを思い出したんだろう。
また目にいっぱいに涙を溜めた後抑えきれずに泣き出した。

(続く)
130携帯21:2007/02/19(月) 20:54:16 ID:WJGXhn09O
>>125
読者公園の人
相変わらずありがとうございます!!!
確かに桃子のとこ最初の部分ないですね!
困ったな…
131ねえ、名乗って:2007/02/19(月) 22:49:20 ID:TE2b3tpj0
もしもろだに21うpしてみましたが うまくいってるのかよくわかりません
もしあれだったら 70ぐらいでdat落ちしてるスレのようなので
携帯21さんの書き込みをここに転載します
132名無し募集中。。。:2007/02/20(火) 17:21:57 ID:x7cFIoOSO
いい加減にしろようW
133携帯21:2007/02/20(火) 21:17:34 ID:JMar1EZ+O
>>129
俺達が高校に入学して3ヶ月が経った梅雨の頃、ようやく新垣は松葉杖をついて学校にやって来た。
懸命のリハビリでやっと歩行が出来るまでになったらしい。
ちょっと前までの新垣を知ってるだけにあまりにも痛々し過ぎるその姿を俺達は無理矢理作った笑顔で迎えてやるしか出来なかった。
それでも中には口の悪いヤツがいた。
「バチが当たったんだ」とか「なんであんな足で学校来れるんだ!やっぱりお偉いさんとコネでもあるんじゃねぇの!」とか。
バチの意味が分からなかったけれど、そんな風になった新垣をも悪く言う神経が俺には理解出来なかった。
そんなヤツ等に俺が文句を言うと「お前は新垣が好きなのか?」とか「幼なじみだから一緒にお風呂でも入ってやれば?」とかその度に馬鹿にされた。
頭に来た俺は随分とそんなヤツ等ともケンカしたけれど残るものは虚しさと新垣に対する同情だけだった。
いつしかそれが愛情なんだと錯覚して、プールの後で絵里の〇〇〇を見て動転した俺は思わず新垣に告白してしまったという訳だ。
134携帯21:2007/02/20(火) 21:21:33 ID:JMar1EZ+O
それにプールの時久々に見た新垣の膝の傷もやっぱり俺を混乱させたんだろう。
なんてバカなんだ俺は。
新垣は新垣でもの凄く頑張ってるっていうのに、人のこと同情するってことがどれほど傲慢だったか俺は心底思い知らされた。
さて高校に来た新垣に待ち構えていたのはそんな悪口だけじゃなかった。
多分一番こたえたのはもう二度と飛んだり跳ねたり出来ない体になってしまったということだろう。
走ることは出来ても全力はダメ、その上跳ねたり出来ないとなると必然的にバスケは諦めるしかない。
新垣は怪我をした時点で覚悟はしていたらしいけれど、それでも俺はそんな新垣とどう接していいのか分からなくなった。
体育の時間も見学の新垣。
明らかに自分より劣る運動神経の同級生がヘラヘラとボールと戯れてるのを新垣はどう思って見てたんだろう。
まあそういう訳で俺と新垣は幼なじみのくせに妙にギクシャクしてしまい話そうにも上手く相手を見ることさえ出来なくなってしまった。
135携帯21:2007/02/20(火) 21:24:30 ID:JMar1EZ+O
そういう訳で新垣が回復することを見越した上で入学を認めた学校側の特例措置はものの見事に外れた。
だからといって学校側も新垣に退学を命じる訳にもいかずそれこそ温情で新垣は普通の生徒として高校に残ることが出来た。
そうなるとまた口うるさいのが出てくる。
学校側のことはともかく新垣が入ってくることで全国を約束されたものと信じ込んでいたバスケ部の先輩や同級のヤツ等は期待していた分だけあからさまに新垣を罵ったりした。
「学校に来るな新垣!」だとか「コネガキ死ね!」とか、どうしたらそんなこと言えるのか分からないほど汚い言葉が飛び交っていた。
ちょうどその頃に“新垣バッシング”という言葉も囁き出されて、俺達まで気が滅入ったんだから新垣の心はズタズタになっていたんだろう。
家に帰る途中にある公園で安倍さんに毎日会うことで新垣の人間性はギリギリ保たれていたらしい。
136携帯21:2007/02/20(火) 21:26:24 ID:JMar1EZ+O
「そんなことでダメになるんならダメになればいいべさ!!ガキさん!アンタそんな娘なのかい!?」
悪く言うヤツ等以外誰も新垣を温かく迎えていたのに、安倍さんは事実そんな風に冷たく言ったらしい。
そしてそれが新垣を支えたことになるとは…。
むしろ突き放されることで新垣が活きた。
強くなった。
安倍さんに会えば元気になれる。
安倍さんに会えば笑うことが出来る。
安倍さんに会えば勇気が持てる。
安倍さんに会えば…。
安倍さんに会えば…。
安倍さんの存在全てが新垣の生きる力になっていった。
そしてもう1人。
新垣がずっとず〜っと想い続けていた人が新垣を支えることになる。
それはやっぱり絵里の兄貴だった。

(続く)
137名無し募集中。。。:2007/02/21(水) 01:23:07 ID:6CAgVdfnO
そろそろ亀H期待ぃ
138携帯21:2007/02/21(水) 09:29:16 ID:g4bxuztWO
>>136
いつの間にか新垣の中で絵里の兄貴は自分を伸ばす為の特別な存在になっていた。
新垣の勝手な思い込みと言えばその通りなんだが、時としてそんなことが人を飛躍的に伸ばしたりすることも間違いじゃない話。
こんなんじゃあの人はわたしを好きになってくれない…。
こんなんじゃあの人を好きになる資格なんてない…。
新垣の想いは強力だった。
以来ある時期から誰の目にも新垣が強くなったと分かるほどアイツは変わっていった。
そして夏休みが終わって2学期の始業式の日。
やって来た新垣に誰もが度肝を抜かれた。
それまでの新垣はおでこ全開で髪をウルトラの母のように2つに結び、整えることを知らないくらい太くて濃い眉毛をそのままにしていた。
それが…。
「あの時のガキさんには参ったよ!だってガキさん凄く綺麗になったんだもん!絵里目を疑っちゃったもん!」
絵里の言う通りだった。
俺も信じられなかった。
眉毛を整えて前髪を伸ばし背中までストレートにした新垣。
バスケをやめてから少しだけプニッたせいもあるかもしれないが強烈に男心をくすぐるなにかを備えていた。
139携帯21:2007/02/21(水) 09:30:36 ID:g4bxuztWO
「あの時確かにクラスの男達の見る目が変わったよな!」
「ふ〜ん、それで2年越しにガキに告白することに繋がる訳ね?」
「バカ!そんなんじゃねぇよ!」
「冗談だよ!でもホントにガキさん変わったよね!!」
絵里はその時のことを思い出したのか自分の髪を指に絡めて感触を確かめていた。
「カメなら分かるでしょ、わたしの気持ち!?」
新垣にそう言われて絵里は照れ臭そうに笑うと「うん」と言って俺を見た。
「どういうことだ?俺にはさっぱり分からないんだけど」
「バカだねぇアンタは!ホント女心が分かっちゃいないよ!」
「ホントだよねぇガキさん!Sの鈍感!!」
なんなんだ全く。
これじゃ俺だけ悪者だ。
「どういうことだよ?」
「アンタねぇ…まぁいいわ!今日は特別に教えてあげる!女の子が髪を切るんだよ!それがどういうことか分かる?」
聞いたことはある。
失恋からふっ切る為に切るとかなんとか…。
「…だろ?」
「甘いなぁ〜」
「甘いよねぇ〜ガキさん、それだけじゃないんだよ!」
もったいぶる2人についイライラしてしまう。
140携帯21:2007/02/21(水) 09:33:25 ID:g4bxuztWO
「なんだよもう〜教えてくれよ!」
「つまりはねぇ…決意表明でしょガキさん?」
「そう!」
決意表明?
「どういうこと?」
「まだ分かんないかなぁ〜?ガキさんはね、お兄ちゃんを好きだって誰にも言わないけれど髪型で宣言したって訳!!」
ほほぉ〜っ!!
なるほど!!
「なるほどなぁ!よ〜く分かったよ!でもなんで絵里も分かるんだ?」
「はぁ?アンタそれ本気で言ってんの?」
「うん、なんでなんで?」
信じられないって顔で新垣が俺を見ていた。
「カメ!今からでも全然遅くない!別れたらぁ〜!?」
「おいおい新垣!なんでそうなるんだよ?」
「だってアンタがあまりにも鈍過ぎてカメが可哀想だからさぁ〜!!」
「はぁ?俺が?」
「当たり前じゃん!!今は伸びたけどなんでカメが似合ってたロングをおもいきってショートにしてその上栗毛色に染めたのかアンタまだ分かんないの!?」
「あっ!!」
そういうことか!!
全然知らなかった。
「そうだったんだ…アハ、アハハハ…絵里、ゴメン!俺そんなこととは全然知らなかったよ!」
あの時絵里が髪を切ったのは勿論分かってはいたけれど正直全然興味なかった。
でもそんなこと絶対に今は言えない…でももう言ってしまったようなもんだけど。
141携帯21:2007/02/21(水) 09:35:56 ID:g4bxuztWO
「ゴメンな絵里!俺、これからはもっと絵里のこと分かってやれる男になるから!約束するから!!」
完全に膨れっ面の絵里。
ちょっとやそっとじゃ許してもらえそうにないぞこれは!
「なんか言ってくれよ絵里!」
怒った目だけがこっちを見ている。
「そんな顔しないで!絵里!ゴメンったらゴメン!!」
やっぱり黙ってる絵里。
「新垣!お前からもなにか言ってくれよ!」
「はぁ?なんでわたしが?」
「あぁ〜!どうしたら許してくれるんだよぉ〜!?」
その時の絵里の目は尋常じゃないほど怖かった。
「好きって言って!!」
「はい?」
「ガキさんの前で絵里のこと好きって言って!!」
「う、嘘だろ絵里?」
激しく迫ってくる絵里に女の執念というか恐ろしさのようなものを凄く感じた。
「ホント!!ガキさんの前で絵里を愛してるって言って!!」
「そんな恥ずかしいこと言える訳ないだろ!?」
「言って!!」
俺達の掛け合いを黙ったままじっと眺めている新垣。
こんな状況でそんなこと言えませんよホントに。
「後で2人の時にな…」
「言って!!いいから言って!!!」
こんな頑固な絵里初めて見た。
「マ、マジでか?」
「マジったらマジで言って!!」
「うぅ…っ」
142携帯21:2007/02/21(水) 09:38:42 ID:g4bxuztWO
「言ってったら言って!!!」
「わわ、分かった!分かりましたよ!言うよ!言いますよ!!」
「言って!」
「ぇり好き…」
「はぁ?今なんて言ったの?」
強力な突っ込みが横から入ってきた。
楽しんでるな新垣のヤツ。
「あぁ〜もう!分かった!分かりました!!絵里〜!大好きだぁ〜!!」
「そんな心の籠ってない言い方じゃイヤ!!ちゃんと言って!!」
くうぅ〜っ!!
ここぞとばかりに絵里のヤツ。
こうなったら腹をくくるしかない。
分かりました!
ホントに分かりましたよ!!
「亀井絵里さん」
「はい」
「俺はアナタのことが好きです!大好きです!!心から愛してます!!どうかこんな鈍感な俺を見捨てないでこれからも付き合って下さい!よろしくお願いします!!」
ポスターに平伏する新垣じゃないけれど俺も絵里の前にひざまずいた。
「ガキさん聞こえた?」
「うん、ちゃんと聞いたよ!わたしが証人だからね!」
「ありがとうガキさん!絵里にも聞こえたよ!S…」
「は、はい!」
その時絵里は殺し屋のような目で呟いた。
143携帯21:2007/02/21(水) 09:55:34 ID:g4bxuztWO
「浮気をしたらどうなるか…」
そう言うと手元に残っていた目を細くして笑っているちなみちゃんの写真を俺の目の前でビリビリと破り始めた。
ひひひえぇ〜!!
髪の長いえなり君がズタズタに切り裂かれていくぅ〜!
床に散らばった写真の断片。
ちなみちゃんの目が怨めしそうに天井を見ていた。
ゾクゾクっと背中に冷たいものが走った。
人生待ったなし。
これからの俺にはよそ見なんて絶対に出来ないということはこの油汗ひとつとってみてもよ〜く分かった。
「それに…」
「えっ!まだなにかあるの?」
相変わらずの絵里の視線が半端なく怖かった。
「誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントは別にしてよね…」
そうきたかぁ〜!
うやむやのうちに1つにまとめようと思ってたのに…。
そんな俺の魂胆なんて最初からお見通しと言わんばかりの顔で絵里が俺を見ていた。
「ははぁ〜っ!!」
悪代官が黄門様に平伏するように俺も改めて絵里に手をついた。
俺の将来…決まった…。

(続く)
144名無し募集中。。。:2007/02/21(水) 10:07:54 ID:aAIgPPrbO
アホ!いい加減にしろクズ
145名無し募集中。。。:2007/02/21(水) 15:31:54 ID:6CAgVdfnO
146ねえ、名乗って:2007/02/21(水) 18:35:24 ID:qFzFF7e10
おつー
147ねぇ、名乗って:2007/02/22(木) 01:37:51 ID:petYph0j0
携帯21氏相変わらずコンスタントな執筆ぶりだね乙
殺し屋のような絵里を想像したらちょっとチビったよw
148携帯21:2007/02/22(木) 11:14:15 ID:rnyw+rzwO
>>143
「凄いねカメ!初めて見たよカメのそんな顔!」
新垣の言ってることは全くもって正しい。
「だって初めて怒ったんだもん!酷いよね!全然気付かないなんて!!」
「まぁそうだけど…アンタ!見捨てられないで良かったね!」
「おっ、おう」
ぎこちない返事をした俺を絵里がまたキッと睨んだ。
勘弁して下さいよホントにさぁ〜。
「に、新垣!お前の話の途中だっただろ!安倍さんどうしたんだよ?」
「あっ!そうだったね!」
「早く続きを聞かせてくれよ!」
どうにかして話を戻そうとすると絵里もいつもの可愛らしい顔に戻って新垣の方を向いた。
「なんで安倍さんは黙って行っちゃったの?」
そう!
問題はそこだった。
「俺もそこが知りたい!」
新垣は目を細めて語り出した。
「安倍さんね、いっぱいいっぱい受けたオーディションが1つ受かってレッスンにレッスンを繰り返してようやくデビューすることが決まったの!」
「うんうん」
「そしたらね…」
新垣の言ったことをまとめてみる。
デビューした安倍さんはいきなり大ヒット…という訳には勿論いかなかった。
149携帯21:2007/02/22(木) 11:15:37 ID:rnyw+rzwO
当然といえば当然のこと。
普通はそんなに簡単じゃないだろうし売れたとしてもすぐ消えていく人がほとんど。
それならまだしも下積みを重ねていったからって売れるとは限らない世界。
ようやくポツポツと名前が知られてラジオやテレビに出始めた頃、世間の流れが不利に働いていた。
なにしろ女性のソロシンガーは腐るほどいた。
それなりに目を凝らして見ればそれぞれの個性の違いは分かるんだけれど世の中の大半はそうは見てくれなかった。
安倍さんはスタートをきった瞬間、すでに飽きられた存在になっていた。
そんな中、早速崖っぷちの安倍さんが放った新曲は起死回生のその年を代表する名曲となった。
『LOVE らしい』
なんとも殺風景というか旨味も感じないひねりのない題名のその曲が疲弊し切った世の中を明るくした。
新垣曰く、安倍さんには似合わないノリノリのダンスチューン。
それが世間を賑わせるんだから分からない。
150携帯21:2007/02/22(木) 11:16:57 ID:rnyw+rzwO
俺だって聞いたことあるんだもん。
そりゃ有名だ。
まさかあの安倍さんが歌ってたとは知らなかったけれど。
絵里なら分かったっていいはずなんだが新垣からCDを見せてもらった限り旅行の時会った安倍さんとは別人でその当時は随分と痩せていた。
それに今でも充分可愛いのだけれど、そのジャケットの安倍さんはまだ華奢だったせいか儚さと脆さが合わさったなんとも魅力的な女の子だった。
しかし新垣からしてみればやっぱりあの曲はよくないらしい。
ホントの安倍さんを活かした曲ではなくて売れてお金が入って名前が出ただけの曲という辛口評価。
事実安倍さん自身が作った曲ではなかったので益々新垣は気に入らなかったみたいだ。
俺なんて大ヒットしただけでももの凄いことだと思ってしまうんだけどそういうもんじゃないらしい。
「本当に人の心を揺さぶる曲はあんなもんじゃないよ!結局あの曲はそれだけの曲なんだよ!!」
そう断言する新垣。
そう言われると確かに時代が生んだ曲で心に響く曲という気はしない。
さっき新垣が歌ってくれた『ふるさと』の方がなにか響くものがある。
151携帯21:2007/02/22(木) 11:18:26 ID:rnyw+rzwO
そしてそうこうしてるうちに安倍さんのファーストアルバムが発売されることになる。
元々作詞もしたりしてた安倍さんにはホントに自分の作った曲が世間に出るということで気合いが入りまくっていた。
売れても時間がある時には新垣と会っていた安倍さん。
はりきっていた安倍さんの様子を新垣は懐かしんだ。
「でもね…寸前になって入れ替わっちゃったの…」
どういうことかというと制作者側がまだ安倍さんの作詞は弱いと判断し、でも安倍さんの名前は使いたいということで安倍さんの名前をクレジットしながら作詞する人を別に用意した。
安倍さんは猛烈に反発したが事務所の意向もあり逆らえなくなってしまいうやむやのうちに発売することになった。
渋々リリースしたファーストアルバム。
それは確かに売れた。
しかし…。

(続く)
152ねえ、名乗って:2007/02/22(木) 20:01:14 ID:MFPaO/bA0
なんだかすごいですな
153ねぇ、名乗って:2007/02/23(金) 01:45:02 ID:bnuOnSLK0
携帯21氏おつ〜
ガキさんのなっちヲタぶり全開が微笑ましいね
「LOVE らしい」ってネーミングにちょっとワロタ
154携帯21:2007/02/23(金) 13:07:41 ID:x7/+5O5hO
>>151
安倍さんの曲じゃない安倍さんの曲。
それが世間の話題になろうとは安倍さんも含めて誰も思ってなかっただろう。
“盗作”
安倍さんの知らないところで安倍さんは足元を掬われた。
影武者が知らずにやったことなのか。
それとも知っててやったのか。
いきなりスターダムに乗し上がった安倍さんへの単なる嫉妬からくる嫌がらせなのか。
どこか違う事務所の差し金なのか。
ともかくそうなると世の中が黙っていない。
槍玉にあげられた安倍さんに非難ごうごうの中傷の嵐。
それはそれはもう酷いもんだったらしい。
シャンプー、お茶、カラオケ機、缶コーヒー…引く手あまたのCMも全てカット。
それまでに築いたものはあっという間に崩れさり総スカンの浮き目に遭うことになる。
マスコミというのは怖いもんでそんな窮地の安倍さんに追い討ちをかけるようにスキャンダルを報じる。
俳優との交際をすっぱ抜かれた安倍さんは苦し紛れの言い訳を残してブラウン管から姿を消した。
155携帯21:2007/02/23(金) 13:10:25 ID:x7/+5O5hO
短期間の内に喜怒哀楽をいっぺんに味わった安倍さん。
全く予想だにしていなかっただけに安倍さんは苦悩と葛藤で人間不信に陥ってしまった。
「ストレスが地球をダメにする」
そう言った安倍さんは迷うことなく綺麗さっぱり所属事務所を辞めた。
つまりは表舞台から足を洗った。
「千の顔を持つ安倍さんだよ!またどっかで名前を変えてでも歌ってるよ!歌える場所があればもうどこだっていいからねぇ〜!」
渦中の人となった安倍さんは公園で新垣にそう語ったらしい。
その時の安倍さんはなぜだか晴々とした顔でとても悪い意味で時の人とは思えなかったらしい。
にも関わらずそれが安倍さんの新垣への最後の言葉になった。
新垣が公園に行っても安倍さんはいなかったし連絡も取れなくなった。
さよならも言わずに安倍さんはこの街から忽然と消えた。
話は前後するようだがそれは新垣が壮絶且つ陰湿ないじめに遭っていた高校1年の夏のことだった。
156携帯21:2007/02/23(金) 13:15:16 ID:x7/+5O5hO
「安倍さん生きてたんだ…良かったぁ…」
ひとしきり安倍さんとのことを話した新垣がまた涙を浮かべた。
一番辛かった時期に安倍さんがいなくなって絵里の兄貴とは会うことも出来ない。
新垣の拠り所はスピーカーから流れてくるあの娘。達の歌しかなかった。
「なるほどねぇ…新垣がそこまでしてこの人達を好きなのがよ〜く分かったよ…」
俺は新垣が崇拝する優しげな微笑みのキングスライムみたいな人に手を合わせた。
「アンタ安倍さんがいたとこの住所分かる?」
新垣が真剣な顔をして俺の肩を揺さぶった。
「おっ、おう…ちょっと待ってくれよ」
「まさかガキさん今から…」
「行くよ!!」
新垣は立ち上がって机の引き出しからお金をかき集めて数え出した。
「安倍さん!!今行きますから!!」
鞄を用意した新垣は早速荷物を詰め込んでいつでも行ける準備をし始めた。
「ガキさん、絵里のありったけのお金使って!」
「勿論俺のも持って行ってくれよ!!」
俺と絵里合わせても1万円にも満たなかった。
157携帯21:2007/02/23(金) 13:17:33 ID:x7/+5O5hO
「絶対返すから!凄く助かるよ!ありがとう!!」
また泣きそうになる新垣。
「おっ!あったあった!いいか新垣!S県のI市…」
「分かったよ!ありがとう!!」
「あっ!待ってガキさん!はい、これ!」
絵里が渡したのは絵里がおしりに敷いていた折れ曲がった俺達と安倍さんが写っていた写真だった。
「新垣!安倍さんにヨロシクな!!」
「ガキさん!向こうに着いたらちゃんと連絡してね!絵里待ってるから!!」
新垣の目に迷いはなかった。
強く頷く新垣。
「じゃあ行ってくるね!!」
そう言うと新垣はやっぱりタタタ〜ンと階段を駆け下りていった。
あっという間の出来事。
俺と絵里はポカ〜ンとことのなりゆきを見ていただけ。
「行っちゃったなぁ…」
「うん…」
主人のいなくなった部屋。
落ち着かないなんとも妙な空気。
「じゃあ片付けてお隣に行きましょうか?」
俺の誘いに絵里も黙って頷いた。

(続く)
158ねぇ、名乗って:2007/02/24(土) 01:17:45 ID:vtDscjkN0
携帯21氏おつ〜
ずいぶん熱い展開だな
159ねえ、名乗って:2007/02/24(土) 07:49:09 ID:TCFhiNCF0
主人のいなくなった部屋で一発
160携帯21:2007/02/24(土) 08:42:54 ID:mGyKiSQgO
>>157
「あぁ〜もぅ…もう〜っ…あぁ〜っ!」
騎乗位で下からの突き上げが最近の絵里のお気に入り。
子宮をモロに刺激して腸から胃をドスドスと突かれてる感じも大好きで文字通りめちゃくちゃになるらしい。
俺にはさっぱり分からないけれど絵里がそう言うんだからそうなんだろう。
そもそもあんなもんが体の中に入ってくるって感覚が分からない。
一生分からなくていいんだけれど、あんな風に気持ち良さそうに乱れながら身をくねらせてあえがれたら果たして男と女の快感というヤツは随分違うんじゃないかと悔しくなってしまう。
勢い余って抜けてしまっても絵里が握ってちゃんと自らの女の穴に当てがって体を沈めてくれるから、また入っていくヌルンとした感触がなんとも気持ち良い。
目を瞑ったままの絵里は体中で快感を味わっているように見える。
俺と密着させてるのは両手とお互いの大好きなところだけ。
「あんあんあん…」
絵里の可愛いあえぎ声はいつ聞いても良いもんだ。
そんな声を聞きながらのんびりと絵里の腰の動きに合わせていればいいものを、突き上げが好きだと聞いてから俺も意識的に忙しく動いてみる。
161携帯21:2007/02/24(土) 08:45:20 ID:mGyKiSQgO
さっきまで絵里がいわゆるM字開脚ってのでぐりんぐりん腰を動かしていた。
赤ん坊のおちんちんくらいある絵里のクリがピンと張って、その下のグジュグジュしたヒワイな裂目が俺のアレをヌプヌプと飲み込んでいた。
「見えてるよ絵里のいやらしいところ!」
そう言ってやると絵里は恥ずかしそうに身をよじった。
けれどまた俺が突き上げてやるとやるせない表情であえぎまくる。
「あぁ〜エロいなぁ〜絵里!」
握っていた手を離して俺は絵里のおっぱいを下から揉みしだく。
決して大きいというほどでもないのだが収まりのいいカタチの整ったおっぱいは揉んでても感触以外に視覚的に良いもんだ。
人差し指と中指で乳首を挟んでひとしきり揉んだ後、痛いほどつねるように揉みまくる。
むしろ絵里はそれくらいやってもらう方が好きらしく、苦痛で顔を歪めながらも悦びの声を上げる。
しばらくそれをした後、絵里の中に入ったままで抱き寄せておっぱいに吸い付く。
舌で転がしてレロレロするとあっという間に乳首は固くなって舌に抵抗するようになる。
当然絵里の呼吸も荒くなって俺の興奮の度合いも増すのだった。
162携帯21:2007/02/24(土) 08:46:42 ID:mGyKiSQgO
舌を這わして乳首と乳りんを舐めまくると眉を寄せて切なげな顔で絵里が俺の顔を見てきた。
「ハァハァハァ…」
段々と呼吸の間隔も狭くなってきて絵里のお〇〇〇もキュ〜っと狭くなった。
「絵里…気持ち良いよ…」
俺の言葉に絵里は薄目を開けて頷いた。
そうこうしてるうちに絵里はクリをこすりつけるように腰を前後させて泣いてるみたいな声をあげ始めた。
しっかりとくびれた絵里の腰を持って出来る限り俺も突き上げて応えてやる。
「ああぁ〜っ!!気持ち良いよS!!」
その度にキュキュッと絵里の膣と子宮口が敏感に締め付けてきた。
思わず俺は男の欲望を吐き出しそうになる。
「ねぇ…付けて…」
何度も絵里にそう言われたけれどもどうも俺はコンドームが苦手で付ける気になれない。
その都度うやむやにして流れのままに絵里の中に入れてやると、絵里も感じ始めてそのまんま付けずにというのがいつものパターン。
163携帯21:2007/02/24(土) 08:53:07 ID:mGyKiSQgO
今日も中には出さずにやっぱり最後まで付けず外出ししよう。
「イク!もう絵里イクからね!イクイク!イク〜よぉ〜っ!!」
全く絵里のヤツは貪欲なんだから…。
俺の肩を持ったまま腰を震わす絵里。
「あぁ…ああっ…」
声を殺して控えめにイこうとしてんだろう。
けれど体は正直で絵里の下半身は別の生き物のように不規則に大きく痙攣した。
「ううっ…はぁ〜」
脱力しておぼろげな瞳で覆い被さってくる絵里。
荒い呼吸が生々しくてエロいったらありゃしない。
「絵里…イッた?」
すると恥ずかしそうに黙ったまたま絵里は頷いた。
よし!
今度は俺の番だ。
まだ俺のは元気なまま絵里の中に入ってる。
なのにそんな風に覆い被さるように抱きつかれたら動けやしない。
「なぁ絵里、ちょっと…」
俺は動きたいからそう言ったのに絵里は気持ちの籠ってない返事をするといきなりびんびんの俺のを引き抜いた。

(続く)
164名無し募集中。。。:2007/02/24(土) 09:34:04 ID:v8Xt4XXAO
いい加減にしろカス
165ねぇ、名乗って:2007/02/24(土) 17:56:34 ID:16tgAUXkO
乙です
久々にキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!

>>164
狼にお帰りください
166ねえ、名乗って:2007/02/24(土) 19:23:01 ID:4h4znU7y0
景気づけの一発だな
167携帯21:2007/02/25(日) 06:50:50 ID:c1fxxXgOO
>>163
「ちょ、絵里…」
俺の驚きの声を聞いているのかどうか、絵里は凄く眠たそうな目で俺におっきなおしりを向けて俺の顔の上でまた足を広げた。
「おぉっ!」
思わず出てしまう無様な声。
絡みつく絵里の舌。
なんとも言えない生温かい感触。
容赦ないしごきと強烈な吸い付き。
俺も首を伸ばして絵里のお〇〇〇にむしゃぶりつく。
これぞまさしく69。
気持ちいい〜!!
ヤバい!
ヤバ過ぎる!!
絵里のお〇〇〇舐めてたらあっという間に俺のもキタ!!
「おっ、おっ、キタぞ絵里!!おぅっ!でででで出るぅ〜!!」
もの凄い勢いでしゃぶる絵里にあっという間に精液ごと持っていかれてしまった。
「ゴックンした方がいい?」
69の時にはいつも絵里がそう言うのに今日は言わなかった。
ってことは…。
「あはぁ〜っ!」
出たばっかりなのに絵里が舌先で尿道を刺激する。
「絵里…もういいよ」
俺の声に反応した絵里は口元を押さえながら俺を跨いで隣に転がった。
ニッコリ笑って絵里が俺の胸にしがみついてきた。
168携帯21:2007/02/25(日) 06:54:05 ID:c1fxxXgOO
飲んだんだ…。
なにも言わずに。
うわぁ〜!
なんでゴックンしてもらうと満ち足りた気分になるんだろう。
分からないけど男の特権だ。
んっ!
「絵里!メール来たみたいだぞっ!」
着信音が鳴ると「ガキさんだ!」と絵里が大きな声で携帯を開いた。
「どれどれ、俺にも見せて!」
2人で寝転がって新垣からのメールを眺める。

バンガローの受け付けでわたしの顔を見た安倍さんはいきなりわたしを抱きしめてくれました
そして「会いたかったよぉ〜」と言って泣いてくれました
わたしも思わず泣いてしまったよ
それで今わたしは安倍さんと2人で夕暮れの海を眺めながらお喋りをしています
Sとカメのことを話すと「さすが神様のいる街だねぇ〜!」って安倍さんが昔みたいに訛って言ってくれた
なぜだかそれがわたしには凄く嬉しくてまた泣いてしまったよ
もうすぐしたら須藤旅館で女将さんと板長の結婚のお披露めがあるので安倍さんと一緒に行ってきます
2人のことちゃんと女将さん伝えるからね!
今夜はたまたま空いていたバンガローの2人が泊まった部屋に泊まることになりました
最高のバースデープレゼントをありがとう!!
明日の夕方に帰ります
里沙
169携帯21:2007/02/25(日) 06:55:21 ID:c1fxxXgOO
「おっ!画像もついてるぞ!」
そこには俺達と同じように海をバックに安倍さんと新垣がスッゴくいい顔で写っていた。
「良かったねガキさん!」
「ホントにな!」
神在月。
全国で唯一10月をそう呼ぶ街。
新垣…本当に良かったな。
俺と絵里は携帯に写っている新垣と安倍さんの顔をいつまでも眺めていた。

【神の子はみな踊る編】

〈完〉
170名無し募集中。。。:2007/02/25(日) 06:57:57 ID:N3BSA854O
アホ!いい加減にしろよカス
171ねぇ、名乗って:2007/02/25(日) 11:24:52 ID:XTgFrSj20
携帯21氏おつおつ〜
次は誰を主人公に据えた展開になるのかな?
172名無し募集中。。。:2007/02/25(日) 19:59:11 ID:j/4wW9GCO
Sの浮気が見たい
S×ガキさん、S×さゆのセックスが見たい
173ねえ、名乗って:2007/02/25(日) 23:22:01 ID:jSGF5ijU0
なっちとガキさんの感動の再会がエッチしてる間に終わったのがおもしろい
174携帯21:2007/02/26(月) 07:28:55 ID:itW3pm4pO
>>169
その日は生憎の曇り空だった。
昨日は1日中雨が降っていたけれど夜のうちに止んでくれた。
11月にもなるとあれほど暑かった夏のことなんてもう何年も前の思い出のように忘れてしまう。
秋らしい雨上がりの冷たい湿った空気が俺達の足を急がせた。
「サユミちゃん気をつけてよ…あぁ〜っ!!だから言わんこっちゃない!」
なにやってんだよサユミちゃん!
思わず俺は頭を抱えてしまった。
「いやなのいやなの!うぇ〜ん!」
折角注意したのに水溜まりに足を取られたサユミちゃん。
綺麗過ぎるほど綺麗な美人さんもこれじゃあなんだか見劣りする。
「大丈夫だよサユミちゃん!すぐ拭いたから色はつかないと思うし、それでもイヤならコンビニに行って新しいの買おうよ!」
そう言って颯爽とサユミちゃんの手を引っ張ったのは俺達と同じクラスの永遠の男前A。
俺や例の変態紳士Tと同じく野球部に入ってた。
エースでしかもキャプテン、世の中にこんなマンガみたいなヤツがいていいんだろうかと思うほどかっこよくていいヤツだ。
175携帯21:2007/02/26(月) 07:34:04 ID:itW3pm4pO
ブ男のひがみ丸出しで我ながらイヤになる。
なのになんでAのヤツ今まで彼女作らなかったんだろう。
アイツが女の子に告白されてるとこ俺が見かけただけでも10人は下らない。
なのになんでだ?
呼ばれたのはサユミちゃんと小春ちゃん、それに絵里と新垣。
男は俺とAだけ。
田中がAと話してるとこなんて見たことないのになんでAを呼んだんだ?
そういう訳で疑問ありまくりだったけれどゆっくりもしていられない。
サユミちゃんの手を握ったAが俺達を置いてどんどん先を歩いていこうとするんだから。
「おい待てんぐんぐ…」
先行く2人に声をかけようとしたらいきなり絵里に口を塞がれた。
新垣はニヤニヤ笑ってる。
小春ちゃんも嬉しそうだ。
「Sってホントに鈍感だよね!」
言葉にすればトホホといった感じで絵里が苦笑いをしていた。
176携帯21:2007/02/26(月) 07:36:08 ID:itW3pm4pO
「なにがだよぉ?」
「分かんないの…あれ!」
新垣が指したのは先行くAとサユミちゃん。
「靴が汚れたからコンビニ行くんだろ?」
俺の言葉に溜め息の女3人。
「亀井先輩も苦労しますねぇ〜!」
小春ちゃんが苦笑い。
「どうしようもないんだよこの人は!」
新垣がおもいっきり嘆いた。
「ハァ〜…」
深い深い溜め息の絵里。
「ストッキングをさりげなく新しいのなんて略して言うところもなんか好感持てるよねぇ〜!」
「それにあの身のこなしですよ!かっこいいなぁ〜!サユミ先輩がいなかったら好きになってた☆カナ」
「小春ちゃんも?なんで絵里ってA君を好きにならなかったんだろ…な〜んて!」
「いやはや実に申し訳ない」
「S先輩は亀井先輩のことだけは分かってるんですもんねぇ〜!」
なんて素敵なフォロー!!
「こっ、小春ちゃん!!そう!そうなんだよ!それなのにこの人達ったら!あぁ〜やっぱり小春ちゃんは分かってくれてたんだね!!」
嬉しさがこみ上げてきてつい興奮してしまった。
177携帯21:2007/02/26(月) 07:42:08 ID:itW3pm4pO
「小春ちゃん、調子に乗るからやめた方がいいよ!すぐ図に乗るからねこの人は!!」
幼なじみだけに的を得たコメント。
それ故に新垣は厄介だった。
「そうですね!小春もそう思ってたんです!」
こ、こ、小春…ちゃん…。
ひ、ひ、ひ、酷い!!
酷過ぎる!!
あんまりったらあんまりだ!!

(続く)
178名無し募集中。。。:2007/02/26(月) 08:30:36 ID:K1O8nV+CO
いい加減にしろよアホ!カス!携帯21
179名無し募集中。。。:2007/02/26(月) 17:46:17 ID:jjPew5+50
いいよいいよ!
180携帯21:2007/02/27(火) 07:21:29 ID:7NTBPiJgO
>>177
11月11日。
なんて分かり易い日。
それが田中の誕生日だった。
そしてそのままアイツの結婚記念日に。
そこは白樺の森の中にたたずむレンガ作りの教会。
始まりのベルが鳴った後、荘厳なパイプオルガンが室内に鳴り響いた。
すると大きな扉が開かれてヴァージンロードをお父さんに付き添われた田中が純白のウェディングドレス姿で現れた。
「ヴァージンロードも純白もあったもんじゃなかろうに」
そんな皮肉屋の囁きが聞こえたりもしたけれどそのどちらも素晴らしいことだと俺には思えた。
お父さんの手から神父の前で待っていた〆〆さんに田中の手が引き継がれると、端から見てた俺にはそれがなんとも意味深いことに思えた。
田中の結婚式。
それは今までの俺達との関係を一新させると共に意識さえも変えてしまった気がした。
俺達と一緒だった田中が遠くに行ってしまった。
まさにそんな瞬間だった。
181携帯21:2007/02/27(火) 07:27:55 ID:7NTBPiJgO
誓いの詞。
指輪の交換。
口づけの儀式。
淡々と厳かに行われていく2人の門出。
〆〆さんを信じ切った目で見つめる田中の姿が凄く美しく思えた。
なんでだろう。
今いる田中が絵里で〆〆さんが俺だったら…。
ついそんなことを考えてしまった。
思わず隣の見ると絵里と目が合った。
すると絵里も顔を真っ赤にしてうつ向いてしまった。
どうやら考えてることは同じだったみたいだ。
俺は絵里の手を握った。
いつか俺達も…!
心からそう思えた。
外に出ると澄みきった空気と青い空が広がっていた。
階段の下で待ってると上の方で祝福の声がして腕を組んだ〆〆さんと田中が出てきた。
歓声とスパンコール、紙テープに紙吹雪の中、ゆっくりと2人が下りてきた。
階段の中頃に差し掛かると、三毛猫のように愛らしい顔で田中が笑った。
すると田中の手にあったブーケがゆらゆらと青空を舞い下で待っている俺達の方に飛んできた。
182携帯21:2007/02/27(火) 07:33:03 ID:7NTBPiJgO
「みんな触るなぁ〜!!」
勇ましい怒号が聞こえるとさっきまで田中の姿をうらめしそうに見ていた担任の中澤先生と国語の稲葉先生、それに美術の飯田先生が我先にと絡み合うように殺到した。
「うわあぁ〜!!」
カンダタの下で蜘蛛の糸を掴もうとする餓鬼畜生の如く押し合いへしあい揉んどり打ってもつれながら倒れたお3方。
そんな3人に巻き込まれないようにサユミちゃんをかばったA。
「ああぁ〜っ!!」
田中の放ったブーケは見事な放物線を描いて計ったように見事サユミちゃんの腕の中へすっぽりと収まった。
「ちょ、ちょっと道重さん!!それ先生に渡しなさいよぉ〜!!」
教師にあるまじき発言。
教え子の門出の為にいつになく気合いの入りまくった衣装の中澤先生が倒れながらも腕だけ伸ばしてサユミちゃんにしがみつこうとしていた。
「いやなの…」
まるで赤ん坊を抱いてるように尊い姿のサユミちゃん。
そのサユミちゃんを温かく包み込むように寄り添うA。
ふと階段の上を見ると田中が頷いていた。
田中のヤツ…やっぱり分かってたんだな。

(続く)
183名無し募集中。。。:2007/02/27(火) 17:51:05 ID:JpT1rgGBO
いい加減にしろよカス!アホ!クズ!携帯21
184ねえ、名乗って:2007/02/27(火) 21:50:21 ID:1OHkBk+00
おつー
185名無し募集中。。。:2007/02/27(火) 23:12:11 ID:XxD3krfsO
実に良いね
このピースフルな雰囲気から、ふとしたことで新垣や道重や田中と浮気してしまう展開希望
186ねぇ、名乗って:2007/02/27(火) 23:54:05 ID:jFr0VFyX0
いつの間にかれいなが結婚しとる!
187名無し募集中。。。:2007/02/28(水) 00:27:16 ID:f2Zxi75M0
携帯21氏乙
188携帯21:2007/02/28(水) 15:44:48 ID:CcRgmSvCO
>>182
「やっぱりA君とサユってお似合いだよね!!」
「決まりだねサユミン!!」
「良かったですサユミ先輩!!」
祝福される田中が新しい縁を作った。
旅先でのまぁさ女将と板長、それに新垣の誕生日の時にも感じた運命を繋ぐリレー。
目には見えないけれど俺にはそれが確かにあるんだって分かった。
「れいなおめでとう!!」
「田中っちお幸せにぃ〜!!」
「おめでとうなの…!!」
「れいな先輩おめでとうございま〜す!!」
俺達のところまで下りてきた田中は「ありがとう!」と言って笑いながら頷くと、急に改まって「これからもよろしく頼むけん!」と頭を下げた。
「ううぅ〜れいなぁ〜」
「田中っち…」
「………」
同級生。
今まで一緒に机を並べて生活してきた仲間が急に違う世界へ行ってしまった寂しさ。
ずっと分かっていたけれどなんとか堪えていたのに…遂に抑えきれなくなった絵里、新垣、サユミちゃんは田中を囲むようにして泣き始めた。
「れいな〜いつまでも一緒だよぉ〜!!」
「田中っちぃ〜!!」
「………!!」
4人は肩を組んで人目もはばからずに泣いた。
189携帯21:2007/02/28(水) 15:46:56 ID:CcRgmSvCO
中学に入りたての頃、俺の学生服を勝手に着た新垣が他の3人と新垣塾とかいう訳の分かんないものを結成した。
張り切って仲間入りした絵里。
うやむやのうちにメンバーになっていたサユミちゃん。
恥ずかしくてず〜っと遠くから眺めてたのに誘われたら照れ臭そうに頷いたホントはもの凄く寂しがり屋な田中。
よくその4人がつるんで遊んでた風景が不意に頭によぎって思わず俺も泣きそうになった。
はにかんだ顔は昔のまんま。
でも頬を伝う田中の涙は今日初めて見た。
「あんなのにはれいな絶対乗らんけん!」
そう言っていたのに〆〆さんに手を引かれた田中は空き缶が付きまくった青いスポーツカーに乗り込んで手を振りながらウェディングドレスをなびかせて白樺の森を抜けていった。
ガラガラとうるさい空き缶の音と青いスポーツカーが少しずつ小さくなっていくのを俺達は手を振りながら見送った。
「田中っち…行っちゃったね…」
新垣が笑うとみんなが笑う。
新垣が淋しそうだとみんな淋しい。
「大丈夫だよ!いつまでも田中は俺達と一緒だよ!!」
そんなセリフ、俺が言えてたらいいのに…悔しいけれどやっぱりかっこいいなAは…。
190携帯21:2007/02/28(水) 15:49:56 ID:CcRgmSvCO
おっ!
サユミちゃんがみんなの前でAの手を握った。
「A君…」
「サユミちゃん…」
俺達がどうのこうの思わなくてもよかったみたいだ。
見つめ合う2人を微笑ましげに眺める絵里、新垣、小春ちゃん。
「2人は置いてわたし達だけ行こっか!」
新垣の声に一同頷いてAとサユミちゃんを残して俺達は歩き出した。
白樺、青空、南風。
随分昔の歌じゃないけれど清々しい秋の風が葉っぱの落ち始めた枝を揺らしていた。
サユミちゃんとAが上手くいくといいけど。
いや、あの2人なら絶対に上手くいくさ。
そして…。
おめでとう田中!!
いつまでもいつまでもいつまでもお幸せに!!
俺と絵里もいつか。
いつか…。

【ブーケ編】

〈完〉
191ねえ、名乗って:2007/03/01(木) 01:01:22 ID:AFX3RLpl0
おつー
192ねぇ、名乗って:2007/03/01(木) 01:43:38 ID:wbUKomSy0
〆〆さんってもともと風俗嬢スレに出てた人?
何はともあれ携帯21氏おつ〜
193携帯21:2007/03/01(木) 03:57:09 ID:qcz9YJC9O
>>190
結婚式からの帰り道、小春ちゃんと別れた後で急に新垣がひらめいたような顔で言った。
「このまま帰るのも勿体ないからさぁ、喫茶Kにでも寄らない!?」
にでもなんて言ったらまたあのマスターになんて言われるか分かったもんじゃない。
「いいねぇ〜!ナンカレー!ナンカレー!」
絵里はえらく乗り気だ。
ナンカレーは新しいメニューなのだろうか?
「ナンカレー!ナンカレー!」
新垣もえらくご機嫌だ。
「イイヨイイヨ〜」
気の抜けた返事の俺を無視して2人はさっさと歩き出した。
「おい、コラ、待てよ!荷物持たされてる俺の身にもなって…おい!いや待って下さい…新垣さ〜ん!えりり〜ん!」
なんだってんだ。
田中の花嫁姿見て泣いてたのに。
全くこのギャップったら凄いもんだ。
引出物も重いし絵里も新垣も俺のこと無視してどんどん歩いていくし。
勘弁して下さいよ全く!
194携帯21:2007/03/01(木) 03:59:13 ID:qcz9YJC9O
う〜ん。
それにしても相変わらず重い扉だ。
なんだかこの重い扉を開ける度に中に入る覚悟を強要されてるようで怖いんだが。
「あ〜らいらっしゃい!なにそのカッコは?わざわざかしこまって来なくたっていいのよぉ〜!」
今日も始まった。
「今日は友達の結婚式があってその帰りに寄ったんです」
「それにしてもイイところに来たわねぇ〜!」
絵里の話なんて端から聞いてないんだろうなこのマスターは。
それにイイところってなんだよ。
マスターの言うイイところがホントにイイわけないだろうし。
お客は一番奥でコーヒー飲んでる女の人1人だけ。
なにがイイところだよ。
ん?
どうした?
さっきまで呑気にしてた新垣の顔が怯えるような面持ちで震えた。
「どうしたのガキさん?」
絵里もたまらず新垣の肩を揺すった。
195携帯21:2007/03/01(木) 04:04:51 ID:qcz9YJC9O
「み、美貴さん!」
えっ!
あっ、あの人が!!
後ろ姿だけで新垣はつぶさに反応したみたいだ。
「イイところに来たって言ったでしょう!アンタ達!ホラ頑張って!!里沙ちゃん!ここが勝負よ!!」
マスターKが新垣の背中を押し出した。
勝負?
修羅場だろ!
遂に来たなこの時が。
「み、美貴さん…お久し振りです」
カチャカチャと携帯をいじっていたその人が面倒臭そうに顔を上げた。
「ん?あぁ…アンタ…アンタ…名前なんだっけ?」
「里沙です!」
「そうそう里沙ちゃん…あの時の里沙ちゃんね」
怖〜っ!
面倒臭そうに顔を上げたその人の眼光は鋭く、新垣を見た…いや睨んだ後、俺と絵里を値踏みするように見つめてきた。
「アンタの友達?」
ホントに興味なさそうにまるで金魚のフンでも見てるみたいに俺と絵里は一蔑された。
「はい、この娘は…」
「いいのいいのどうだってさぁ〜!アンタの友達なんか紹介されなくたって美貴全然構わないから!!」
まさに一蹴。
人を人だと思わないその傲慢な態度。
こりゃ聞いてた以上だぞ。

(続く)
196携帯21:2007/03/01(木) 04:17:17 ID:qcz9YJC9O
>>192
れいなの旦那様になった〆〆(チョメチョメ)氏はご存知の通りあの人という設定です

久し振りに“なにわともあれ”のレスですね!

嬉しいレス、カス扱いのレス…なにはともあれレスがあるのは有難いです!!

話は佳境に入ってきました
これからもよろしくお願いします!!
197名無し募集中。。。:2007/03/01(木) 13:29:55 ID:jjrY9Y2+0
いつも期待してるよ
198携帯21:2007/03/02(金) 08:06:06 ID:Nhlxy6ncO
>>195
「なにボケっと突っ立ってんのぉ!とっとと座ったら!」
頭ごなしに飛んでくる罵声に絵里なんてすくみ上がってる。
怖いなぁ〜。
いつになく機嫌が悪いのか。
それともいつもこんな風なのか。
美貴って人も凄いけどこの人と付き合ってる絵里の兄貴ってどんなんだよ。
新垣を使って別れようとしたけど結局その後もうやむやになってるみたいだし。
どうなってんだよ全く。
「美貴さん…あれからもよく来るんですかこの店?」
「美貴がこの店に来ちゃいけないわけ?いちいちアンタに言わなきゃいけないのぉ〜!?」
なんなんだろうこの人!
座れって言っておきながらこれじゃあ話すことも出来ないよ。
普通の会話が出来ないんだからよくもまぁ新垣はこんな人とやり合ったなぁ。
そんなに大きくはないテーブルに1対3。
一騎当千なんて言葉があったけどこんなのってあんまりだ。
「そんなつもりじゃないですけど…他にもいろいろ待ち合わせに使える場所あるのになんでここなのかなぁと思って…」
どうでもよさそうな美貴さんの目とは対照的に新垣の目は挑むように向かいの人を見ていた。
ここにも俺達の知らない新垣がいた。
頑張れ新垣!
199携帯21:2007/03/02(金) 08:10:53 ID:Nhlxy6ncO
「なにそんな顔で美貴のこと見てるわけぇ〜!そうだよ!今日も先輩と待ち合わせっ!!」
隣の絵里がビクンと反応した。
自慢するように事もなげに言う美貴さんに一瞬で新垣はうなだれてしまった。
今日も?
ということはあれ以来なんだかんだ言ってやっぱり続いてんじゃねぇ〜か!!
最低だな絵里の兄貴!
「今日は先輩から誘われたんだぁ〜!」
緩急をつけてるとしたら大したもんだ。
破顔してる美貴さんを見ると少しだけ、ほんのほんの少しだけ絵里の兄貴の気持ちが分からないでもないから不思議だ。
多分このギャップにやられちゃったんだな。
「なによその目は!!」
ん?
俺を挟んで両隣の2人の目は死んでいなかった。
新垣はむしろ沸々と湧いてくる闘志をどうにか抑えようと必死の面構え。
絵里は断固拒否の徹底抗戦ありありの見たこともない尋常じゃない面持ち。
こりゃえらいことになるぞ!
「チワ〜ス!」
その時、この店の重い扉が開いた。
「いらっしゃい!アンタいつものことだけど来るのが遅いわよ!!役者は揃ってるんだから!!今か今かとみんなアンタを待ってたんだよ!ホラ!早く行きな!!」
マスター楽しんでるな…。
もの凄く意地の悪そうな声がカウンターの方から聞こえた。
200名無し募集中。。。:2007/03/02(金) 08:11:22 ID:YorovEA1O
sageてるよこのカスはいい加減にアホだよ携帯21は!!!
201携帯21:2007/03/02(金) 08:21:05 ID:Nhlxy6ncO
「なななんですか?オレは別にただ…」
「いいから行きなって!!」
ベチ〜ン!!
マスターKにおもいっきりケツを叩かれてる絵里の兄貴の姿が見えた。
「痛ってぇ〜!なんなんだよマスターは…いやいや待たせたな美貴、あっ!!」
なに今頃のこのこ来てやがんだこのバカ兄貴!!
そのバカ面は昔のまんまじゃねぇか!
アンタが来ない間にこっちはなぁ…こっちはなぁ…!
「り、里沙ちゃんじゃないか!久し振り!お久し振り!!」
だからなんなんだよ!!
訳分かんないよ!
まるで昔からの友達に会うように手を振ってやがる。
そりゃ昔から知ってるんだろうけど、あんなことがあってから会ってなかったっていうのにそんな態度、俺には理解出来ねぇ〜よ。
この軽さ、ある意味呆れるほど凄いわ。
「もう〜先輩遅いよぉ〜!美貴待ってたんだからねぇ〜っ!」
うわぁ〜!
鼻にかかった声色…ここぞとばかりにこの女。
イヤだ!
イヤだ!
イヤだねぇ〜!!

(続く)
202名無し募集中。。。:2007/03/02(金) 08:24:52 ID:YorovEA1O
(/ ^о^)/ ≡うんこ〜
203 ◆wMLeIR6Gr2 :2007/03/02(金) 20:10:50 ID:hUumidH9O
私は少女時代の記憶が全くっていうほどない。
蛇の抜け殻みたくない。
記憶喪失とかではなく医師からは、一時的なものだろうと言われ
彼の口から聞くまでは分からなかった。
そんな私に気をきかせたのか、米が入れてくれたミルクティ。
私はカップに口をつけると米を見た
ミルクティーのカップを口から離すと、飲み方が下手くそなのか薄茶色の滴がカップをつたっていった。
そのままテーブルに飲みかけのミルクティを置いた私は、薄茶色を眺め過去を遡っていた。

14歳の夏休み初日に、親戚のオバチャンから電話があり私の誕生日の1日前に
親戚のおばちゃんとこ遊びに行く途中で父親が、
運転した車の反対車線からはみ出したトラックと正面衝突してしまった。
車は弾き飛ばされ、ガードレールにぶつかり擦れながら進んでいた。
車のエンジン部分からポンと灰色の煙りが雨と風で揺れている。
里沙とその親も乗っていた車のフロントガラスをダン!ダン!ダン!と雨足の音が強く響く。
その日は天候も悪く薄く出ていた霧のせいで視界は思うように見れないでいた。
山道の事もあり時々稲光が私の近くで爆音に似た音で木霊していた。
204 ◆wMLeIR6Gr2 :2007/03/02(金) 20:13:07 ID:hUumidH9O
豪雨の中、たまたまその事故に通りかかった一台の赤い車がペチャンコになった車の横に静かに止まる。
赤い車が止まり一人の男性が降りてきた。
フロントガラスに顔を打ちつけていた彼女の私の父親が額から血を流し倒れている。
母親はもはや後ろの座席で横になっている状態で亡くなっていたらしい。
助手席に幼い少女の姿がある。まだ息があった里沙
父親は助かる状態ではなく、最後の力を振り絞って彼に掛けた言葉だった。
『里沙を頼む』と言われ一人の少女だけ助けた。
この記事が某新聞に書かれていた事はこの時知らされておらず。
赤い車と同時に新聞社の車が通りかかりこの様子を見て、記事にしたらしい。
名前までは載らなかったけど、明らかに新垣の事故だと米は私にそっと教えてくれた。
私は病院のベットで起き上がり窓を眺め照度の低い蛍光灯が思い影を落とす。
病室が真っ暗な闇に包まれ蛍光灯のあかりがパチパチと点いては消えている。
どうして彼と「結ばれたのって」親友の唯ちゃんに言われた事があった。
あれはまだ私が15歳になったばかりの誕生日。
彼に近づきたくて…
会いたくて…
身よりもいない私は頑張っていた。
205 ◆wMLeIR6Gr2 :2007/03/02(金) 20:14:43 ID:hUumidH9O
結局その時は見つけられずに2年の月日が経過し、
やっと、やっとの思いで突き止め東京まで鞄1つできた。
生きている事に『なぜ?』と聞かれる事くらい最悪なことはない。
その問い自体が、苦しみを作り続ける。
『なぜ?』
それは私を責め続け、
それはわたしを来る日も来る日も非難した。
わたしはそれを答えようとして、
そして自分をなくしてしまった。
華奢な体に陽射しが触れていた。
わたしは彼を追ってある酒場にたどり着いた。
酒場と言っても女性が数名いて店長と言うか仮にYとして、
後からEとRも私の後に入ってきたみたい。
彼を探す為にYさんの店で働きながら幼馴染みの正広を巻き込んで彼を探してもらった。
その時、米も参加して里沙が気になる男性の面を拝みたいと言って私と正広についてきた米。
米は良い人なんだけど私より背が低いうえに内股歩きだからあんまり好きじゃない。
直ぐに「馬鹿なんで」とか平気で人を傷つける人だから。
「…里沙本当にいいのか?」
「うん!」
「お台場に奴は居る。」
「何故、分かったの?」
「里沙が言った彼の名前が先輩の手帳に載っていたから…」
「ふ〜ん…」
私は気の無い返事をすると正広が調べた彼の住所に私は張り裂けそうな想いを抑え行った。
206ねえ、名乗って:2007/03/02(金) 23:33:40 ID:jOBl/kO+0
おぉ
207携帯21:2007/03/03(土) 08:43:54 ID:0dJfz1d2O
>>201
「ゴメンゴメン美貴、これからは待たせることないから!絶対約束する!!」
「いっつも同じこと言ってるよ先輩、その度に遅れてくるんだもん、美貴1人で待ってるの淋しいんだからねぇ〜っ!」
「いやいや今度はホントホント!待つ必要もないから!」
なにこの甘い会話。
胸糞悪いったらありゃしない。
「お兄ちゃんも座ったら…」
いつになく抑揚のない低い絵里の声。
こりゃキ完全にレてるな絵里。
「おっ、お兄ちゃん!?」
にわかに立ち上がった美貴さん。
へぇ〜!
こんな顔もするんだぁ〜!
やろうと思ったら出来るじゃん!
びっくりしてるびっくりしてる。
「そうだよ!オレの妹!美貴、絵里!絵里、美貴!」
なんという紹介の仕方だ。
おちょくってるとしか思えない。
「美貴…です…」
「絵里!です!」
いいぞ絵里!
今日初めて劣勢になった美貴さんを見た。
208携帯21:2007/03/03(土) 08:46:12 ID:0dJfz1d2O
「絵里」
「なによお兄ちゃん!?」
今日最初の兄妹の絡み。
「そんな怖い顔するなって!まぁ分からないでもないけどさぁ!」
「分かってるならちゃんとしたらぁ〜!!」
「分かってるよ!ちゃんとしたいから今日呼んだんだ」
「えっ?」
「だから覚える必要ないからな!」
「なにが?」
「お前の向かいに座ってる人の名前」
「えっ!」
亀兄以外の4人の目が亀兄に釘付けになる。
「ちょ、ちょっと先輩!なに言ってんのぉ〜っ?」
待ってたかのように亀兄は勿体ぶった後ゆっくりと口を開いた。
「コイツとは今日限り!ホントにホント〜におさらばだから!!」
「えぇ〜っ!!」
凄い早業!!
まさに電光石火だった。
でもホントかよ亀兄!?
「ちょ、ちょっと待ってよ先輩!!なんで美貴が先輩と別れなきゃいけないわけぇ〜!?」
当たり前の問いかけが俺の頭上で展開されていた。
209携帯21:2007/03/03(土) 08:48:54 ID:0dJfz1d2O
「前から言ってだろ!」
「そうだけどなんでまた改まって今なの!?」
必死の美貴さん。
どこからどう見たってさっきまでの余裕はない。
「オレ今までに美貴に何回も別れるって言ったよな!初めて言ったのはそれこそここで里沙ちゃんと一緒の時だった!」
みんな黙って聞いている。
「ようやくハッキリしたんだよオレの中で!やっぱりどうしようもなく美貴、お前じゃなかった!!」
そう言い切った亀兄の目は燃えるように力強く迷いが一切見られなかった。
「なに言ってんの?美貴別れないよ!」
「お前がそう思うのは勝手だけどオレは今までみたいにお前と会うつもりもなければ話すつもりも全くない!!」
「そんなぁ〜!!」
「そんなもクソもない!という訳だからとっととこの場から出てってもらおうか!!」
おっ!
いいねぇ〜亀兄!
あの頃の亀兄じゃ想像も出来ないほど激昂してる。
「なんでそんな風に言われなきゃいけないわけぇ〜っ!?」
美貴さん涙の抵抗か。
この劣勢の極みの状況で美貴さんがどう立て直してくるか見物だけれどそんな暇を与えてくれなさそうな亀兄の言葉は続いた。

(続く)
210名無し募集中。。。:2007/03/03(土) 08:57:30 ID:+Rm/884NO
(/ ^о^)/≡うんこ〜
211ねぇ、名乗って:2007/03/03(土) 13:58:03 ID:RYOe5Lza0
携帯21氏おつ〜
オールキャスト勢揃いって感じだね
あと亀兄ヌッコロス
212ねぇ、名乗って:2007/03/04(日) 18:55:06 ID:kgnZbCvi0
保全
213携帯21:2007/03/05(月) 09:23:37 ID:rbwTmSRoO
>>209
「じゃあ聞くけどな!お前オレがここに来る前にこの3人にどんな態度とってたんだよ!?」
「どんな態度って…普通だよ…優しくほがらかに接してたよ…ねぇ?」
目を合わせない新垣。
怒り心頭の絵里。
欠伸してる俺。
「ちょ、ちょっとアンタ達…」
「分かっただろ美貴!!オレはお前のそういうところが大嫌いなんだよ!だからもう会わないって決めたんだ!!分かったか!!」
グゥの音も出ない美貴さん。
この沈黙が逆に怖かったりもするんだけど。
「もういいだろ美貴!」
「イヤだよ先輩!!」
「うるさい!!」
前評判からじゃ考えられないくらいに強気も強気、超強気な亀兄が頼もしかった。
「じゃあ次は誰?やっぱりあの石川梨華なの?最近先輩と仲良いってみんな言ってたからさぁ〜っ!!」
「お前には関係ないし言う必要もない!」
「許さない!美貴絶対に許さないから!!先輩も…先輩が好きになった娘も…」
怖〜っ!!
亀兄がその石川さんって人を好きかどうかも分からないのに亀兄だけじゃなく好きになった人まで…。
恐ろしい女だなこの美貴って人は!
その時だった。
214携帯21:2007/03/05(月) 09:25:48 ID:rbwTmSRoO
「あっ!!」
バッコ〜ン!!!
「痛〜いっ!!」
頭を抑えて蹲る美貴さん。
もの凄い音だった。
なんとマスターKの手からおもいっきり振り下ろされたお盆が美貴さんの脳天を直撃した。
「なにすんのよぉ〜っ!?」
「アンタは女の風上にも置けない最低な女だよ!!同じ女として情けないよ全くぅ〜っ!!」
容赦ない叱責。
しかしどこかしら優しさが感じられるマスターKの眼差し。
「先輩!先輩は美貴のものなんだからね!!絶対誰にも渡さないから!!」
テーブルをバ〜ンと叩いてふらふらと立ち上がった美貴さんは傍らに置いていた携帯を掴むとマスターをかいくぐるように飛び出した。
「アンタ〜!コーヒー代は貸しとくからまた来なぁ〜!!」
店内に響き渡るこの店の主の声。
美貴さんは長い髪をなびかせて振り向くことなく店を出ていった。
「アンタが甘やかすからいけないのよぉ〜!」
「はぁ…」
肘でこずかれた亀兄は苦笑いをした。
新垣も絵里も一応の安堵の顔。
215携帯21:2007/03/05(月) 09:28:13 ID:rbwTmSRoO
「ねぇお兄ちゃん!さっき言ってたのってチアの先輩の石川さんじゃないの?」
いなくなった美貴さんの席に亀兄が座った。
「らしいな!この前石川さんから聞いたよ」
「やっぱりそうなんだ!石川さんなんか言ってた?」
「亀井って名前は目立つんだな、石川さんももしかしたらって思ってたんだってさ」
「ふ〜ん、他には?」
「そうそう、この前の決勝戦のチア見たってさ」
「えっ、石川さん来てたの!?」
「ああ、凄く上達したって!石川さん感動したってよ!」
「ホントにぃ?嬉しいなぁ〜!石川さん会いたいなぁ〜!」
「よかったら近々うちの大学の学祭に来いよ!そしたら石川さんに会えるだろうから」
「行く!絵里絶対行くよ!ねぇガキさんも一緒に行こう?」
「う、うん」
「それはダメだと思うな…」
亀兄は美貴さんの飲み残したコーヒーの入ったカップをずらすと真面目な顔をして新垣を見つめた。
「絵里、里沙ちゃんはダメなんだ」
新垣がもの凄く哀しそうにうつむいたのでそんな様子を見た絵里はつっかかるように兄を睨んだ。

(続く)
216名無し募集中。。。:2007/03/05(月) 11:45:24 ID:RF38tzFPO
(/ ^о^)/≡▲うんこ〜
うんこ〜うんこ〜
(/ ^о^)/≡携帯21うんこ〜













(/ ^о^)/≡うんこ〜 携帯21うんこ〜いい加減しろよ糞何だよカス!
217名無し募集中。。。:2007/03/05(月) 12:44:02 ID:AgD4p3qZ0
携帯21氏乙
叩いてるバカはほっといて頑張って下さい
218ねぇ、名乗って:2007/03/05(月) 18:52:30 ID:w6t2BscB0
(/ ^о^)/≡
219ねえ、名乗って:2007/03/05(月) 22:47:52 ID:00gp16J80
がんばって
220携帯21:2007/03/07(水) 09:05:25 ID:5fMFPAXsO
>>215
「なんで!?なんでガキさんと一緒じゃダメなの!?いいじゃん!いいじゃ〜ん!!」
絵里の猛抗議に亀兄は目を瞑って何度も頷いた。
「とにかくダメったらダメなんだ…」
泣きそうな新垣を絵里が擦った。
「絵里、お兄ちゃんがそんな人だとは思わなかったよ!お兄ちゃんなんか大っ嫌い!」
新垣の手を持って立ち上がろうとした絵里を亀兄が制した。
「里沙ちゃんが来ちゃダメとは言ってないだろ!」
勿体ぶった亀兄の言い回しがまわりをより一層いらつかせる…1人マスターKを除いては。
「絵里はSとかいうその男と行けばいいだろ!」
うっ!
か、亀兄…。
「お久し振りです!紹介が遅れてすいません!絵里さんと付き合ってるSです!」
「知ってるよ!とりあえずお前のことは後回しだ」
ぐっ!
「なんなのお兄ちゃん!!」
いい加減しびれを切らした絵里がテーブルを叩いた。
「ちょっと亀ちゃん!もういいんじゃないのそんなまわりくどい言い方しなくても…」
なんだ?
マスターKはなにか知ってんのか?
「は、はい、すいません!」
改めて亀兄は思い詰めたような表情で新垣を見つめた。
221携帯21:2007/03/07(水) 09:07:57 ID:5fMFPAXsO
「里沙ちゃん!学祭、絵里達と行かずに…オレと一緒に行ってくれ!!」
えっ!?
その時俺達は一体どんな顔をしてたんだろう。
真剣な表情の亀兄を俺達はどんな顔して見てたんだろう。
「今、一緒に行ってくれ…って言ったよね?」
「今、一緒に行ってくれ…って言った」
俺と絵里は頷き合いながらまだ耳を疑っていた。
「里沙ちゃん!オレ、里沙ちゃんのこと好きになったんだ!だから…オレと一緒に行って欲しい!!」
右の耳から左の耳へ抜けていき、また左の耳から右の耳へと通り抜けていった亀兄の声。
しばらく沈黙したまま俺達は口を開けてお互いの顔を見ていた。
「エエエエェ〜ッ!!!」
時にすると何秒経ったろう。
絵里が驚嘆の大声を上げるのも当然だった。
凄い!
凄過ぎる!
なんという展開!!
俺なんてなにかのドッキリかと思ってまわりを見回したほどだ。
222携帯21:2007/03/07(水) 09:09:17 ID:5fMFPAXsO
「うそ…」
虚ろな目の新垣。
「ホントだよ里沙ちゃん!今までのオレはふざけ過ぎてたんだ…だけど…今はホントにホントなんだ!里沙ちゃんのことが好きになったんだ!!」
「お兄ちゃん…」
絵里にとってはもしかすると初めて見る真面目な兄貴の姿なのかもしれない。
絵里は亀兄と新垣の顔を何度も伺って改めて亀兄の顔を見つめた。
「いつもの冗談だったら絵里絶対お兄ちゃんを許さないからねっ!!」
「分かってる」
尚も疑いの目を解かない絵里。
「ホントにホントにホントなの?」
絵里までが慎重に兄貴に聞いている。
黙ってゆっくりと頷く亀兄。
「あぁ〜ホントなんだぁ〜!!ガ、ガ、ガ、ガキさん、やった、やったよぉ〜!!お兄ちゃんガキさんのことが好きだってぇ〜!!」
1オクターブ上がった絵里の声。
そしてきょどってる新垣の肩を絵里がおもいっきり揺らした。

(続く)
223名無し募集中。。。:2007/03/07(水) 11:08:49 ID:dGk0XPb1O
m(..)mアホ!
(/ ^о^)/≡うんこ〜
m(..)mアホ
(/ ^о^)/≡うんこ〜







痛々しい!痛々しい!痛々しいよ携帯21どお?嬉しい?で質問答えてよ詳しく答えなくてもいいから歳いくつだよ!20代30代40代50代それとも、10代まさか…………この質問に答えたら叩かないよもしかしたら応援するかも…
224ねえ、名乗って:2007/03/07(水) 21:31:11 ID:3880urLF0
おつー
225ねえ、名乗って:2007/03/08(木) 00:35:16 ID:gZtk6RHb0
携帯21氏乙です
最初から読んでるけど、毎回やりとりが鮮明に思い浮かんで楽しませてもらってます
これからも自分のペースでいいので頑張って下さい

叩く事でしか自己表現できない社会の最底辺どもは気にしないで下さいね
重荷に感じさせてしまったら申し訳ないけど、続きを待ってる人は少なからずいると思うので
226ねぇ、名乗って:2007/03/08(木) 01:01:25 ID:hIxnZZzF0
美貴様のツンデレぶりがツボだっただけに今後の展開が心配・・・
それもひっくるめて携帯21氏おつです〜
227携帯21:2007/03/08(木) 12:14:42 ID:1mNpI0MdO
>>222
「ガキさん!お兄ちゃんが好きだって!!お兄ちゃんガキさんのこと好きなんだってぇ〜っ!!」
絵里に揺らされるだけ揺らされてる新垣はその焦点の合っていない目でお盆を抱えたまま立っているマスターKの顔を見た。
「よかったね里沙ちゃん!」
祝福を讃えた目のマスターKが珍しくヤニっ気のない顔で頷いた。
「里沙ちゃん…」
亀兄が真っ直ぐ新垣を見ている。
「一緒に行ってくれるかい?」
生まれたままのような純粋無垢な顔の新垣の頬を涙がゆっくりと伝っていった。
「はい…」
たった一言。
たった一言だけれどアイツを知っている俺達にはあまりにも重い一言だった。
俺と新垣が初めて絵里の家に行ってから約15年。
その間アイツはずっと亀兄のことを想い続けてきた。
絵里も同じだけれど絵里の場合は俺という同級生だったからまだ身近だった。
身近だったから逆に辛いことも多々あったみたいだけれど、それでも新垣と比べたら…。
親友の兄貴。
それ故に会うことも出来ないいつまで経っても憧れのままの人。
なにか悲しいことがある度に心の糧として崇めて心の中で温めてきた。
そんな永遠の存在だった亀兄が今、新垣を好きだと言った。
228携帯21:2007/03/08(木) 12:16:48 ID:1mNpI0MdO
溢れて止まらない涙。
クシャクシャになった新垣はすがるように絵里に抱きついた。
「よし!それじゃあ里沙ちゃん!学園祭で!!」
立ち上がった亀兄に新垣がそっと呟いた。
「学園祭はやっぱりカメと行きます…でもお兄さんの空いてる時間一緒にいられたら…」
心細そうに訴える新垣の目が亀兄の目を見ていた。
頷いた亀兄。
「分かった!オレには学生生活最後のライヴがあるんだ!是非見に来て欲しい!それが終わったら…里沙ちゃん一緒に!!」
自信溢れる顔で新垣が頷くのを見ると亀兄はマスターに礼をしていなせな感じで颯爽と店を出ていった。
「よかったねガキさん!!」
「おめでとう里沙ちゃん!!」
「スゲェーな亀兄!!」
それぞれがそれぞれの言葉で新垣を祝福した。
「あ、ありがとう!マスターもありがとうございます!!」
まだ実感がないんだろうな。
新垣がふらふらしながら頭を下げた。
229携帯21:2007/03/08(木) 12:20:34 ID:1mNpI0MdO
「しっかりしなさいよ里沙ちゃん!せっかく亀ちゃんが好きって言ってくれたんだからアンタがシャキっとしないとダメじゃない!!」
頷くだけの新垣にマスターは更に続けた。
「亀ちゃんが美貴っていう娘や他の女の子とどういう付き合い方をしてきたかは大体分かるよね?でも里沙ちゃんに対する気持ちはどうやら今までの娘達とはちょっと違うみたいよ…だから里沙ちゃん…」
この沈黙にマスターはなにを伝えたかったのだろう。
最後まで言わずに目だけで新垣に気持ちを分からせるマスターのある種の優しさ。
年齢だけじゃなくとてつもなくマスターが大人に思えた。
新垣は濁りきったマスターの目を見て「はい」とだけ言って頷いた。
覚悟。
漢字2文字で出来てるこの言葉。
よく考えてみたらもの凄く怖い言葉。
新垣の覚悟は今の返事に全て込められていた気がした。
田中の結婚式の時、田中が随分と違う世界にいってしまったような気持ちになったけれど、今の新垣を見てると田中とは全然意味合いが違うんだけどやっぱり遠くにいってしまった感じがした。

(続く)
230名無し募集中。。。:2007/03/08(木) 14:40:13 ID:a2/3AResO
>>299
州*・_・リ≡携帯21さん利沙子のお願い聞いて質問に答えて…歳いくつ







(/ ^о^)/≡うんこ〜
(/ ^о^)/≡うんこ〜
(/ ^о^)/≡うんこ〜
231名無し募集中。。。:2007/03/08(木) 15:22:25 ID:a2/3AResO
(/ ^о^)/≡梨沙子字が間違ってるぞ!!
州*‘ -‘リ≡お兄ちゃん(携帯21)ワザと間違えたの…
从*´ ヮ`)≡れいなの陰毛アゲルニャ〜
从*・ 。.・)≡酷いわ…携帯21…私を犯したの…
(/ ^о^)/≡誤解だよ…サユミちゃん俺は君だけだよ(嘘)
ノノ*^ー^)≡お兄ちゃん酷いな〜絵里にもしたくせにプンプン
(/ ^о^)/≡ゴメン…俺はじつはまだ幼稚園児だ!
( ・e・)≡嘘です!三十路です!
(/ ^о^)/≡酷いよ里沙(シクシク)
こうして携帯21はうんこ〜になった。PARTT
232ねぇ、名乗って:2007/03/08(木) 23:13:39 ID:eQVgf4f70
携帯21氏おつ〜
そろそろ佳境だね
ラストスパートがんばって!
233携帯21:2007/03/09(金) 00:59:05 ID:SX7afr5mO
>>229
そんな興奮醒めやらぬ空気の中、マスターが優しげに俺達に問いかけた。
「今まで1回もしたことなかったけれど、今日初めて自分の店でレコードをリクエストするわ…」
こういう音楽を聞かせる店っていうのはお客がリクエストしたレコードをかけてくれるシステムになってるらしい。
それをマスターが初めて自分の店で…。
ゆっくりとオーディオの前に立ったマスターKは慣れた手つきで大量のレコードが並ぶ棚から1枚引き抜くと真っ黒な円盤をターンテーブルの上に乗せた。
そしていつになく真剣な目のマスターKが針をレコードの上に置くとパチパチっと小さな弾けた音がしてスピーカーから大音量の音群が飛び出した。
トランペットとサックスが優しげに絡み合う素敵なメロディー。
曲に合わせて体を揺らすマスターの姿が気味悪いといえば実に気味悪かったけれど、本当に琴線に触れる良い曲だと思った。
「良いねこの曲!」
「だってマスターが選んだんだよ、さすがマスターKだよね!」
絵里も新垣も気に入ったようだ。
曲が終わるとマスターの踊りも終わった。
もし俺達が魔法でも使えたならばマジックポイントはかなり減らされただろう。
234携帯21:2007/03/09(金) 01:03:03 ID:SX7afr5mO
「どう?」
笑うマスターK。
「良いです!」
「気に入りました!」
「なんて曲ですか?」
マスターKが得意気に笑って答えてくれた。
「これはね『SWEET LOVE OF MINE』っていうの…トランペッターのウッディ・ショウが作った曲よ!」
そしてマスターは優しげに微笑んだ。
「この曲は里沙ちゃんに…!」
マスターの作ったこの店に今まで何人のお客が来たのか分からない。
それ以前になんでマスターがこの店をやろうとしたのかも分からない。
休日の店内を見ても分かる通り儲かるとは言い難い今時珍しいお聴かせ専門の喫茶店。
マスターの趣味だからか。
いや、それだけじゃないはず。
他のお客にはどうだか知らないが俺や絵里、言うまでもなく新垣や亀兄、そしてあの美貴さんにまで結局は優しく接してる。
勿論言葉や態度はなかなか激しいんだけど。
そんな訳で今頃になってマスターKって凄いと分かった。
薄々は感じてたのかもしれないもの。
この店の重い扉を開ける度に感じたなにか。
それはこの店に入った瞬間からマスターKのファミリーになるってことだった。
この店に来てくれた人はどんな人だってワタシの家族!!
そんな気概を今、マスターから強く感じた。
235携帯21:2007/03/09(金) 01:04:46 ID:SX7afr5mO
ぬくぬくとした温室ではないけれど、ここに来ればマスターKがいる。
それってなんでもないようなことかもしれないけれど実はとてつもないことに思えてきた。
いつも俺達はなにかしらマスターKの優しさにいだかれてる。
多分俺達みたいなストーリーをこの店に来る人みんなが持ってるんだろうな。
そのストーリーをマスターKはちゃんと知ってんだろう。
マスターはカウンター越しに煙草を吹かせながら濁った目でニヤニヤ笑ったり、辛口の怒声を上げたり、時にお盆を振り落としたりしてきたんだろう。
劇薬の危険な魅力。
人は持って生まれたものを磨き込んでいつか誰かの為に使うのが生まれてきた理由だとしたならばマスターはそれを全うしてる。
“毒を喰らわば皿まで”
守られてるばっかりじゃいけない。
満足に一皿食べることの出来ない俺達はいつも残したものをマスターに任せてきた。
ありがとうマスターK!!
いつか俺もアンタみたいに…。
「ありがとうございますマスター!」
涙声の新垣がマスターの前に歩み寄った。
「あの男はね、これからのことで悩んでいたのよ…音楽の道に進むのかプロを諦めるかを…」
下を向いていたマスターの目が見開かれて新垣を見た。
236携帯21:2007/03/09(金) 01:08:36 ID:SX7afr5mO
「でもようやくふっ切れたみたい!」
学生生活最後のライヴって言ってたから、つまりは…。
「あの男はね、等身大の自分ってものが分かっちゃったのよ!」
「どういうことですか?」
「今は分からなくてもいいのよ里沙ちゃん!でもね…」
「はい」
「とにかく自分が分かった人って強いのよ!!」
「強い…ですか?」
「うん、強い!だから…頑張ってね!」
見たことないくらい満面の笑みのマスターKが逆に怖かった。
「はい!」
そう言った新垣は泣きながらマスターKの懐に飛び込んだ。
レコードも止まって静かになった店内で新垣の泣き声だけが細やかに響た。
「女はね…どんなことがあっても惚れた男についていかなきゃダメよ!!分かった?」
新垣は無言のまま何度も何度も頷いた。
マスターは絵里に視線を合わすとウインクして新垣を抱きしめた。
絵里がギュッと俺の手を握った時、俺の中でマスターKは尊敬すべき人間になっていた。

(続く)
237ライカ:2007/03/09(金) 03:37:06 ID:K+PPCcbe0
携帯21さん マジで天才だと思います!
238名無し募集中。。。:2007/03/09(金) 05:00:23 ID:OAgZgRx1O
_ト ̄|○出遅れた!
ノノ*^ー^)<アルテマ!!!
ギャー!!!!!!
携帯21は黒こげになった
(/ ^о^)/<いや〜今日はいい天気だ!
ノノ*^ー^)<お兄ちゃん!(携帯21)大変よ!大変
(/ ^о^)/<絵里どうしたの?
ノノ*^ー^)<28なんだから絵里を食っとけ
(/ ^о^)/<妹には…(勿体ない)
从*・ 。.・)<妹もやるんか!お前は!
(/ ^о^)/<イヤだな〜俺は紳士だよ(嘘)
川*’ー’)<なんだお前!
川o・-・)<天才と言うよりは馬鹿です阿呆です氏になさい携帯21
(/ ^о^)/<酷いよあさ美ちゃん!俺はあさ美ちゃんだけだよ(嘘)
川o・-・)<キャー
从*´ ヮ`)<ニャ〜馬鹿兄貴いっぺん死んどく!
携帯21はこの後絵里のアルテマとれいなの爪で殺されうんこ〜になった…絵里のマジックポイントも消費して絵里は寝たノノ*^ー^)<明日はどの魔法使ってお兄ちゃん(携帯21)を殺すか楽しみ
( ・e・)<出番がなかった…携帯21ヌッコロス
239名無し募集中。。。:2007/03/09(金) 10:06:58 ID:OAgZgRx1O
携帯21劇場
ノノ*^ー^)<今日はお兄ちゃん(携帯21)殺す日和だ! ブツブツ
(/ ^о^)/<絵里何してるの呪文唱えて…
ノノ*^ー^)<お兄ちゃんコロス呪文を唱えてるの…
(/ ^о^)/<酷いよ絵里!それでも妹か!
川=´┴`)<アホ!
ノリo´ゥ`リ<酷いです光井
(/ ^о^)/<どうしたの小春ちゃん!
ノリo´ゥ`リ<愛佳がいじめるんですよ…
(/ ^о^)/<ダメだよ愛佳!小春をもっとイジメないと
川=´┴`)<携帯21キモすぎ
ノノ*^ー^)<デス!!
携帯21は絵里の魔法で死んだ!
(/ ^о^)/<可哀想に可哀想に誰にイジメられたの?
从*・ 。.・)<シクシク…
(/ ^о^)/<今日も抱いてアゲルよ…
从*・`。.´・)<キショイんだよ携帯21ーーーーーーーーーー
( ・e・)<。0(また出番がない…次は必ずや携帯21をヌッコロス)
240携帯21:2007/03/10(土) 08:36:41 ID:clGHZDvSO
人に優しく出来るようになるにはどうしたらいいんだろう?
そんな笑顔が出来るようになるにはなにを経験したらいいんだろう?
マスターKの今までの人生全てが謎のままだけれど、そんなこともうどうでもよかった。
こんな俺にはマスターの過去なんて分かる訳ないけれど、マスターの今までが尋常じゃなかったことだけは想像出来た。
新垣にそう言ったってことも過去にそんな経験があったからだろうし。
マスターの中の得体の知れない巨大ななにかに俺は只々驚くことしか出来なかった。
「さっきの曲なんですけど…なんていうレコードなんですか?」
顔を上げた新垣が笑ってるマスターの顔に聞いた。
「また亀ちゃんとレコード屋に行こうと思ってるのね!」
図星だったんだろう。
もの凄く照れ臭そうに新垣が笑った。
241携帯21:2007/03/10(土) 08:40:44 ID:clGHZDvSO
「あの曲はね『DEMON'S DANCE』っていうレコードに入ってるの!これこれ!」
マスターが差し出したレコードはとてもジャズとは思えないなんとも気味の悪い極彩色の悪魔の絵が描かれたジャケットだった。
「ほ〜ら気味悪いでしょう〜?」
マスターはそれを持ったままケタケタと笑った。
再び流れてきたさっきの曲に合わせて踊り始めたマスターの姿も今の笑い顔もそのジャケットそっくりだったので俺は思わず吹き出しそうになった。
「なに笑ってんのよアンタ!」
ギロリと鋭い眼光が俺に向けられた。
「女に惚れてもらうってことは怖いことなのよ!アンタも重々気をつけることね!!」
俺と同じようにマスターを見ていた絵里が振り向くと、まるでマスターとしめし合わせてたかのように不気味な顔で頷きながら笑った。
その隣では喰い入るように新垣がレコードのジャケットをチェックしる。
こりゃホントに亀兄と行く気だな。
目がマジの新垣をほうっておいてマスターと絵里と俺は近くの椅子に腰を下ろした。
242携帯21:2007/03/10(土) 08:42:21 ID:clGHZDvSO
「マスターは知ってたんですか…お兄ちゃんのこと?」
「一昨日にね、亀ちゃんがやって来て進路のことと里沙ちゃんのこと教えてくれたのよ!」
「そうなんだ!お兄ちゃんったら家族なのになんにも言わないんだもん!」
ほんの少しだけ寂しそうだった絵里が改めてまだ1人でいる新垣を見つめた。
「ガキさん…長かったね…」
呟いた絵里の頬を温かいものが流れ落ちた。
絵里はそれを拭こうともせずに祝福の眼差しでいつまでも新垣を見ていた。
レコードを持ったままの新垣が視線に気付いたのか不意に絵里の顔を見て「どうしのカメ!?」と不思議そうな顔をした。
その新垣の後ろの古ぼけた窓の向こうで黄金色した可憐な銀杏の葉がひらひらと揺れながら舞っていた。

【SWEET LOVE OF MINE編】

〈完〉
243名無し募集中。。。:2007/03/10(土) 09:25:58 ID:eIIa28MzO
携帯21劇場
ノノ*^ー^)<れいないつコロス…
从*´ ヮ`)<ニャ〜ギシギシギシギシ
川o・-・)<爪磨いて携帯21でもコロスの
从*´ ヮ`)<そうだニャ〜兄貴は調子こいてるからそろそろコロス(シャキーン)
(/ ^о^)/<楽しみだな
ノノ*^ー^)<ナンカレーナンカレー
(/ ^о^)/<ご機嫌だね絵里
計算外だった
ズボ!!
一瞬にして携帯21の背中突き抜けるあやしい腕が心臓をぶち抜いた
从*´ ヮ`)<研ぎすぎたかニャ〜
ノノ*^ー^)<れいなスゴイスゴイ絵里には出来ないよそんな酷いコト…呪文使ってお兄ちゃん(携帯21)コロスしか出来ないよ
(/ ^о^)/<それも十分酷いよ絵里!
携帯21は復活した
プ〜
ラッパ音が鳴る
(/ ^о^)/<えっ……
プ〜
(/ ^о^)/<ええ………
ノノ*^ー^) <亀ハメ波〜
携帯21は散となった…
( ・e・)<またしても出番が無かった次こそは…次こそは…次こそは必ず必ず携帯21ヌッコロス
244名無し募集中。。。:2007/03/10(土) 09:35:15 ID:eIIa28MzO
小説…(-_-;) プッ!!
(´Д`) アハハハハハハハ!!
(-_-) ナンジャコリャ!!
(*ノ゚Д゚*)ノ≡≡● ウンコー
携帯21劇場次回に続く…
245名無し募集中。。。:2007/03/10(土) 10:28:15 ID:eIIa28MzO
携帯21劇場
(/ ^о^)/<ケタケタ…
从*・ 。.・)<携帯21キショ!!
ノリo´ゥ`リ<何が可笑しいですか携帯21さん
(/ ^о^)/<おお……まだ心優しいお方がいた
ノノ*^ー^)<お兄ちゃん調子こいてる
从*´ ヮ`)<無視続けるからコロス!!
州*‘ -‘リ≡まだ質問の答えこないな…携帯21さん梨沙子のお願い届いてないのかな〜シクシク
(/ ^о^)/<梨沙子…答えたくても答えれないよ恥ずかしくて…
从*´ ヮ`)<ニャ〜馬鹿兄貴は幼稚園児だニャ〜
ノノ*^ー^)<ううん違う!お兄ちゃんは還暦だよ
川*’ー’)<それは…恥ずかしくて言えないな…
(/ ^о^)/<どうしたの誰の話し?
プ〜
またラッパ音が鳴る
(/ ^о^)/<えっ……
プ〜
(/ ^о^)/<ええ……
プ〜
(/ ^о^)/<えええ………
カ・メ・ハ・メ・ハーーーーーーーーー
(/ ^о^)/<ぎぇい…………
携帯21は宇宙の散りとなった…
ノノ*^ー^)<スーパー絵里の亀ハメ波
川*’ー’)<サイヤ人か?
川o・-・)<欧米か?
(/ ^о^)/<………
ギャーーー
从*・`。.´・)<次でてきたらハンマで叩くの…
( ・e・)<で…出遅れた!次こそは必ず次こそは必ず次こそは必ず携帯21ヌッコロス
246ねぇ、名乗って:2007/03/10(土) 19:52:01 ID:WXl6swHDO
>>242

AAの人はせめて半角使えよ…
247ねぇ、名乗って:2007/03/10(土) 21:31:42 ID:SryElcxM0
携帯21氏おつおつ〜
248携帯21:2007/03/11(日) 00:12:22 ID:xhG1f5g6O
>>242
新婚旅行から帰ってきた田中のおみあげはアロハシャツ。
絵里も新垣もサユミちゃんもAも小春ちゃんも俺もみんなアロハシャツ。
ただ色が違うだけ。
絵里は緑、新垣はオレンジ、サユミちゃんはピンク、Aは青、小春ちゃんは赤、俺は黄色。
〆〆さんは黒で田中は紫を買ったらしい。
「これじゃ戦隊ヒーローだからぁ〜!!」
新垣がケラケラと笑った。
「…ってことは黄色の俺ってあんなキャラ?」
イメージとしてはどん臭くて力持ち、顔は3枚目でカレーが好きそう。
「ピッタリじゃねぇか!」
青をもらった男前のAはカッカッカと笑った挙句バンバンと俺の肩を叩いた。
ハワイの上天気の下で真っ白のタキシードの〆〆さんにお姫様だっこしてもらってる純白のドレスの田中の写真を見せてもらった。
「目の前で火山の噴火見たと!」
興奮してる田中には申し訳ないけど〆〆さんも含め他のみんなは全然乗り気じゃない。
「れいなもあのバンジョーやりたかぁ〜!」
どう考えたってウクレレだと思うけど誰も苦笑いのまま突っ込まない。
「5日もあっちにいるととんこつラーメンが食べたくなったと…」
それには絵里が反応した。
249携帯21:2007/03/11(日) 00:13:47 ID:xhG1f5g6O
「あっちってどんな食事だったの?」
〆〆さんが答えた。
「やっぱり旅行者用でフライドチキンやポテトみたいな油ぎったものが多かったよ!僕もれいなちゃんと一緒で日本食が恋しくなったよ」
「へぇ〜」
みんな一様に頷いた。
とにかく田中がご機嫌ではしゃぎまくって満喫した新婚旅行を嬉しそうに語った。
「田中…」
結婚しても相変わらず俺達は前のままアイツを呼んだ。
珍しくAが田中を呼ぶとあの男らしく優しげにサユミちゃんを引き寄せた。
「田中、ありがとな!お前が結婚式にオレとサユミちゃんを呼んでくれたから…オレ、サユミちゃんに想いを伝えることが出来たんだ!」
結婚式の後、空気を読んだつもりの俺達はAとサユミちゃんだけ残して先に帰った。
その後Aはサユミちゃんに告白したということか。
そして2人が揃って今日来たということは。
「良かったやない!」
田中はこうなることを早くから願っていたんだろう。
なんせ絵里とサユミちゃんのことも一番気にしてたらしいから。
縁側で日向ぼっこしてる三毛猫みたいに愛くるしい顔でニッと目を細めた田中はAとサユミちゃんの手を取って握り合わせた。
250携帯21:2007/03/11(日) 00:16:12 ID:xhG1f5g6O
「次はサユミやけん!」
ひらひらと空中を舞ったブーケを受け取ったサユミちゃんの顔が思い出された。
「れいな…ありがとうなの…」
Aとサユミちゃんはどこからどう見ても美男美女のお似合いのカップル。
「サユミの王子様なの…」
寄り添い見つめ合うAとサユミちゃん。
まるで映画の1シーンみたいに今にもみんなの前でキスでもしそうな雰囲気。
「コホン…あとは…」
咳をした田中がそう言うと田中の目線に合わせてみんなが新垣を見つめた。
「えっ、えぇ〜っ、わたし?」
新垣はあたふたしながら真っ赤な顔を手で覆った。
「れいなの結婚式の後で喫茶Kに行ったの…そしたらうちのお兄ちゃんがね…」
新垣がパッと絵里を見た。
また顔を赤くして新垣は俺と絵里の間をすり抜けると勝手に1人で走り出した。
「お兄ちゃんもガキさんのこと好きだってぇ〜!!」
逃げるように俺達を置いてけ堀にした新垣の背中に向けて絵里が口に手を当てて叫んだ。
「えええぇ〜っ!!!」
高い高い秋の空に届きそうなほど大きな声で俺と絵里以外のみんなが驚いた。

(続く)
251名無し募集中。。。:2007/03/11(日) 04:28:39 ID:gEdkZ6irO
携帯21劇場
从*・ 。.・)<最近携帯21さんサユミを無視するの…
川*’ー’)<酷い酷いそんな携帯21なんか捨てておしまい!
从VvV)<ふっ…遂に私の出番かな?
(/ ^о^)/<ご主人様〜
从VvV)<あなたの年齢はいくつだよ!言いなさいポチ(携帯21)
ビシビシビシビシビシビシ…
(/ ^о^)/<ヒ〜ご主人様もっと…
从VvV)<……
从VvV)<靴舐めろポチ(携帯21)!!
(/ ^о^)/<はいご主人様
ビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシ……
(/ ^о^)/<ご主人様もっともっともっともっともっともっともっともっともっと
ノノ*^ー^)<アホ
从VvV)<ハアハアハアハアハアハア……
从VvV)<こっこれで携帯21死んだよ…
(/ ^о^)/<ご主人様〜もっと〜
携帯21は蘇って美貴の脚に飛び込んでいく…
ノノ*^ー^)<メテオ!!
きぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…
携帯21は灰になった
( ・e・)<またしても里沙の出番が無かった…次こそは次こそは…携帯21ヌッコロス!!!!
252名無し募集中。。。:2007/03/11(日) 04:32:19 ID:gEdkZ6irO
携帯21劇場
州*‘ -‘リ≡りー淋しいの…お兄ちゃん携帯21さん梨沙子のお願い質問答えてくれないし…グスン……
从*´ ヮ`)<ニャ〜馬鹿兄貴梨沙子を泣かした!
ノノ*^ー^)<ブツブツ
(/ ^о^)/<どうしたの…
从*・ 。.・)<今日満月…
ノノ*^ー^)<ブツブツ
(/ ^о^)/<絵里!その姿は…一体
川*’ー’)<サル!ゴリラチンパンジ
_ト ̄|○<なんてコトだ妹が絵里が巨大なサルになった
巨大なサルの平手打ちで潰され携帯21はそのまま帰らぬ人に…
通夜前日
ノノ*^ー^)<お兄ちゃんブツブツ
从*´ ヮ`)<ニャ〜ご馳走
川o・-・)<美味しいコレ
川*’ー’)<しかし人望がないなこのアホは
从*・ 。.・)<みんな忙しいだけ
(/ ^о^)/<恨めしや…
ノノ*^ー^)<キャー
从*´ ヮ`)<でた!
川=´┴`)<幽霊…ゾンビ…ノミソクレー
バキバキ…バキバキ…バキバキ…バキバキ…
(/ ^о^)/<酷いよみんなよってたかってか弱い携帯21叩くなんて…サユミちゃん何を何をしてるのそのハンマー閉まって…
从*・ 。.・)<チッ
(/ ^о^)/<サユミちゃんそのチッって何?
( ・e・)<シマッタ完全に出遅れたコロシそこねた次は携帯21ヌッコロス
253名無し募集中。。。:2007/03/11(日) 04:52:44 ID:gEdkZ6irO
携帯21劇場
縁側で日向ぼっこしてる三毛猫みたいに愛くるしい顔でニッと目を細めた从*´ ヮ`)<誰か三毛猫だ馬鹿兄貴(携帯21)!!!
(/ ^о^)/<ケラケラ
从*・ 。.・)<キショ
通夜
川o・-・)<惜しい人亡くしたとは誰も思わんけどね
ノノ*^ー^)<しかし誰一人と
从*´ ヮ`)<ご馳走食うニャ〜
川*’ー’)<淋しいな…
从VvV)<ポチ…
(/ ^о^)/<ご主人様〜
棺から携帯21は飛び出し美貴に襲いかかった
ブォォォォォォォォォォォ…と風を切る音が携帯21をぶっ叩く
从*・`。.´・)<油断も隙もあったものじゃない!
携帯21はこの世を去った
( ・e・)<引き出物…出番が出番が出番がない……携帯21携帯21携帯21携帯21携帯21携帯21いつまで無視する次は必ず必ずヌッコロス
254 ◆wMLeIR6Gr2 :2007/03/11(日) 16:03:50 ID:24I+SI0eO
>>205
部屋を出て玄関先に向かう私の足。昨日思い切って買った新しい靴を履いて外に出た。
石段を降り背伸びをして新鮮な空気が心地良い。
何よりも男臭さがない。
部屋の中で男2人と一緒で空気が汚れる気がした私は思いっきり空気を吸っている。
すると、いつ降りてきたかわからない米谷は変な事をボソボソと言った。
「…オナラ出るよ!」
オナラって仮にもレディの前でオナラはないでしょう。
「さっき里沙がつまみ食いした焼き芋とキンピラゴボウ
食べた後にそんなに空気吸うと屁っ出るよ!」
更なる暴言を吐く米谷。
余り余る米谷の暴言に私の額の汗が滲み出て青筋もピクピクと動いていた。
全くもってデリカシーの欠片も無いコメと私は思う。
やっとルーズな正広も家から出てくると三人揃う。
直ぐに正広が歩いている横を里沙が歩くと伺う様にみる。
乗ってきた車まで歩く事、2分とかからない距離。
薄汚れた木の立て札に駐車場Kと黒と赤色で書かれ無断で止めた人は罰金一万円差し上げます。
と間違っかて書かれてあるのが印象的な看板だ。
そこの駐車場Kに車を停めずに、事もあろうに道路の真ん中に堂々と置かれていた。
255 ◆wMLeIR6Gr2 :2007/03/11(日) 16:05:50 ID:24I+SI0eO
年代物だろうかなり古い黄色の車。
中古なんだろうけど私が知る限りでは、走っているところは見たことが無い。
ベンツとかフェラーリ、
ポルシェなどはよく見かけるけどこの車はワケ分からんと言う言葉がピンっとくる。
何よりも形が変。
カブトムシみたいな軽自動車よく見ると左ハンドルだし外車だと思った。
半信半疑だった私の肩に手をのっけて「行くか…新垣」
と正広が珍しく名字で呼んだ。
…何時だったかな。
正広が私の事名字で呼んだこと…。
病院のベット、額に包帯をグルグル巻いて
右腕にも包帯をグルグルと巻かれ砂漠、エジプトのミイラに似た格好になっている。
骨自体は骨折はしておらず、外傷も少なく打撲程度で済んでいた。
蛍光灯が古いのか電圧が不安定なのか
チカチカと嫌な間合いで光っている。
看護婦さんに蛍光灯切れてるんじゃ…っと言ったけど、
二、三日前に取り替えたばかりだよと言われた。
見舞いにフルーツとか花とか持ってくるのは当たり前と思っていた私は度肝をぬかれ、
米谷は目を幼児の様に輝かせ鞄からファイルを取り出し私に見せてきた。
黒色の小さなファイルをパカッと開いて私に突き出すように見せつけてくる。
256 ◆wMLeIR6Gr2 :2007/03/11(日) 16:17:00 ID:24I+SI0eO
黒色のファイルには生々しいカードが丁寧に分けてファイルに挟んでいる。
カードは今もトキメク絵里の幼児時代の写真をカードにしてファイルに閉まっていた米谷の宝に、
正広も苦笑いして外を見た。
「里沙、俺さ、高校行かないで働こうと思ってるんだ」
「えっ!」
私は驚いて見せた。
正広が話題変えて話すからドキっとする
それに理由も分かるし。
このまま高校受験し卒業して大学行っても正広には苦悩なだけだよね。
分かるんだよ。
里沙は…
幼馴染み
だから…
窓をゆっくり開ける正広。
なま暖かい風が通り抜けシャンプーの香がふわふわと鼻を擽った。
ゆくゆくは父親の後継いでなに不自由なく暮らせるのに
正広はそのエリートレール自ら踏み外していた。
正広の事考えていた私に後ろから二回ツンツンと背中突っついている米谷の顔を振り返って見た際米谷は一言を言った。
「里沙、絵里と会ったんだよ偶然に…」
「会ったんだ…」
と私は米谷に答える。
この時私は絵里と出会っていた。
あの頃の面影も雰囲気も変わっていてあれが絵里、幼馴染みの絵里と気づくまで時間かかた。
昔の子供の頃つけていた甘い匂いが私の鼻を刺激する。
(続く)
257名無し募集中。。。:2007/03/11(日) 16:33:47 ID:gEdkZ6irO
チッ携帯21じゃないのか
_ト ̄|○残念無念
从*・`。´・)<まだ来ないな〜携帯21
携帯21劇場が書けない
258携帯21:2007/03/11(日) 21:02:32 ID:xhG1f5g6O
>>250
「だからガキさん、これからお兄ちゃんの演奏聞きに行くの凄く緊張してるんだよぉ〜!」
絵里なりの優しさ。
絵里のケラケラとかん高い笑い声が新垣に届いただろう。
そして改めてみんなで新垣の後ろ姿を眺めた。
俺には新垣の小さな背中が随分と誇らしげに見えたけどみんなにはどう映っただろうか。
「いいなぁ〜皆さん…」
新垣の後ろ姿をまっすぐに見ている小春ちゃんが呟いた。
「これからこれから!」
「小春ちゃんは慌てることないけん!」
「大丈夫なの!」
3人の先輩が一様に言ってくれたので安心したのか小春ちゃんは「はい!」と言って強く頷くと赤のアロハをギュッと抱きしめた。
「それじゃあ俺達も行きましょうか!」
淡々と先を歩く新垣に遅れないように俺達も新垣を待つ絵里の兄貴のいる大学を目指して歩き出した。
259携帯21:2007/03/11(日) 21:04:56 ID:xhG1f5g6O
とりあえずお汁粉の屋台に来てくれというのが絵里の兄貴からの伝言らしい。
高校の学園祭とは比べ物にならないほど規模も大きいし出店の数も多いしなにより人が大人びている。
当たり前といえば当たり前なんだけど果たしてあと数ヶ月で俺達もあんな風になれるのか甚だ疑問だった。
いつまで経ってもこのまんまでいられるとは思ってないけれど、だからといって絵里や新垣やサユミちゃんがそこいらを歩いてるお姉さんみたいになるとは思えない。
ましてやあの美貴さんみたいになるなんて想像すら出来なかった。
まあ性格の問題とかもあるだろうから一概には言えないけれど、もう少しこのままでいさせて欲しいと思ってる。
「こっちこっち!!」
ようやく見つけたお汁粉の屋台の前でケースを持った絵里の兄貴が手を振っていた。
あのケースの中のトランペットで今日は演奏してくれるのか…。
そう思うと俄然緊張してきた。
260携帯21:2007/03/11(日) 21:07:48 ID:xhG1f5g6O
「今日は皆さん来てくれてありがとう!!」
亀兄は一瞬だけかしこまって頭を下げた後、ほがらかな笑顔で新垣を見た。
「里沙ちゃん!俺の学生生活最後のライブ見てくれよな!」
軽く嫉妬してしまうほど亀兄がかっこ良かった。
「はい」
なかなか亀兄を見つめることの出来なかった新垣がやっと顔を上げた。
「イイヨイイヨ〜!!」
田中と〆〆さんが手を叩きながら2人を冷やかした。
「ちょっと待ってて!もうすぐ来るはずだから!その間お汁粉食べていようよ!」
亀兄が人数分頼むとあっという間にテーブルにお汁粉が運ばれてきた。
白い割烹着のお姉さんがテキパキとみんなの前にお汁粉を置いた。
「あっ!!」
絵里の声と共に同じようにサユミちゃんも驚いている。
「ん?なんだなんだ?」
慌てふためく2人を不審に思ったAがサユミちゃんを守るようにその人の前に立ち塞がった。
「い、石川さん!!」
見るからに幸薄そうなその人はするするっと割烹着を脱ぐと、まるで別人のようにボディーラインのはっきりしたいかにもって感じのピンクの服を露にして颯爽と絵里とサユミちゃんの間に座った。

(続く)
261名無し募集中。。。:2007/03/11(日) 22:09:30 ID:gEdkZ6irO
携帯21劇場
从VvV)<ポチ脚お舐め!!
(/ ^о^)/<美貴様〜
ベチ!!
从VvV)<ご主人様でしょうポチお手
(/ ^о^)/<ワンワン
ノノ*^ー^)<お兄ちゃん(携帯21)不死身
川*’ー’)<ハゲタカ
从*・ 。.・)<頭の天辺が淋しい…
州*‘ -‘リ<携帯21さん梨沙子のお願い聞いてくれないの…
ノノ*^ー^)<それは…無理です
从*´ ヮ`)<携帯21は幼稚園児ニャ〜
_ト ̄|○<酷い…妹にも言われ義理妹にも言われ恋人まで言われてる携帯21って何?
从*´ ヮ`)<兄貴…
(/ ^о^)/<義理妹よ
从*´ ヮ`)<兄貴…
(/ ^о^)/<ペチャパイ…
バキバキ…バキバキギャーーーーーーーーーー
从*´ ヮ`)<やっぱりコロスニャ〜
ノノ*^ー^)<出番が…
携帯21は八つ裂きにされれいなに食われた
( ・e・)<出番がない次こそは携帯21ヌッコロス
262名無し募集中。。。:2007/03/11(日) 22:11:24 ID:gEdkZ6irO
携帯21劇場
川*’ー’)<警部
ノノ*^ー^)<お兄ちゃん(携帯21)年齢不詳の罪で火炙りの刑です!
川*’ー’)<警部火炙りですか?
ノノ*^ー^)<炙るんです!
川o・-・)<亀井警部!網を用意しました!
ノノ*^ー^)<さすが警部補佐あさ美
(/ ^о^)/<はなしてくれ…
川=´┴`)<観念するんです!携帯21の罪は黙秘したからです!
(/ ^о^)/<答えれば助かるの…
ノノ*^ー^)<知りません
川*’ー’)<裁判官そろそろ判定に…
从*・ 。.・)<判定は……有罪です!火炙りの刑です!
バンバン!!
こうして携帯21は火炙りされた!
ギャーーーーーーーーーー
从*・`。.´・)<サユミアロハロいつ発売するの!!(プンプン!!)
(/ ^о^)/<サユミちゃん俺が火炙りの本当の理由は写真集買わなかったから?
从*・`。.´・)<30000冊買わすの!!
( ・e・)<出番無い気がする携帯21ヌッコロス!!
263名無し募集中。。。:2007/03/11(日) 22:24:53 ID:gEdkZ6irO
(-_-;) プッ!!
(´Д`) アハハハハハハハ!!
(*ノ゚Д゚*)ノ≡≡● ウンコー
(*ノ゚Д゚*)ノ≡≡● ウンコー
(*ノ゚Д゚*)ノ≡≡● ウンコー
携帯21劇場
(/ ^о^)/<サユミちゃん
从*・ 。.・)<携帯21
(/ ^о^)/<サユミちゃん
从*・ 。.・)<携帯21
(/ ^о^)/<サユミちゃん
从*・ 。.・)<サユミの写真集買った?
(/ ^о^)/<義理妹の写真集と妹の写真集は買ったよ
从*・ 。.・)<サユミの写真集は…
(/ ^о^)/<金使いすぎて来月まで待って来月買うから
バコバコバコーーーーーー
从*・ 。.・)<金借りてもサユミの写真集買うの300000冊買うの
( ・e・)<出番が無い次は必ず携帯21ヌッコロス
264名無し募集中。。。:2007/03/11(日) 22:34:47 ID:gEdkZ6irO
_ト ̄|○<答えてくれん从*´ ヮ`)<だから幼稚園児だニャ〜
ノノ*^ー^)<還暦だってれいな
川*’ー’)<答えれば叩かないのに
川=´┴`)<馬鹿だよ携帯21は
州*‘ -‘リ<携帯21さん梨沙子のお願い聞いてくれないし…
( ・e・)<みんなで携帯21ヌッコロス!!
265ねえ、名乗って:2007/03/11(日) 23:01:55 ID:Wcss7T0x0
◆wMLeIR6Gr2さん携帯21さん乙です
266ねぇ、名乗って:2007/03/12(月) 00:00:29 ID:mRVRmfWJ0
梨華ちゃんキタ━━━━(゚(゚∀(゚∀゚(☆∀☆)゚∀゚)∀゚)゚)━━━━━━!!!!!
ちょっとした修羅場の予感
267携帯21:2007/03/12(月) 09:48:26 ID:DuwEhONcO
>>260
「絵里!サユ…久し振り!!」
絵里とサユミちゃんに約2年振りに再会する元チア部リーダー石川さん。
未だ噂を聞く我が高校伝説の美女が遂に俺達の前に姿を現した。
「絵里はともかくサユミちゃんが来ることを石川さんに言ったら、石川さんも是非会いたいからって忙しい中をこうやって来てくれたんだよ!」
亀兄のタネ明かしはともかく忙しいにも関わらずわざわざ割烹着姿に変装してまで2人を驚かそうとするその魂胆…聞きしに勝るほどのお寒いお方なんだなぁ。
日に焼けた赤黒い顔は見るからに健康的でその上実にナイスバディー。
俺なんて目のやり場に困っちまった。
その石川さんが胸を強調した服で絵里に詰め寄る度においしそうなまんまるい2つの胸が寄り添って立派な谷間が出来ていた。
文字通り悩殺で完全に男達を誘ってるように見えた。
「わざわざありがとうございます!石川さんもお元気そうで!」
「うん!元気元気!!VV!!」
嬉しそうな絵里に両手でVサインの石川さん。
年上の女性に対しておこがましいかもしれないけれど、この奇妙な空気はいかんともし難い。
まあそれはそれとしてホントにチャーミングな人だな石川さんって。
268携帯21:2007/03/12(月) 09:52:15 ID:DuwEhONcO
「サユも久し振り!!」
屈託のない笑顔で石川さんがサユミちゃんに手を振った。
黙ってるサユミちゃん。
サユミちゃんと石川さん、そしてチア部との関係を知っている者にとってはサユミちゃんが黙ったままなのも頷けた。
予想通りの微妙な間を素早く察した石川さんは話を絵里に振った。
「見たよ野球の決勝戦!!頑張ったね絵里!!ホントに素敵なチアだった!私感動したんだから!!もしかすると私も負けちゃうかも!!」
明らかにご謙遜といった感じで石川さんは口に手を当ててニッコリ。
「石川さんにはとてもとても!石川さんの名声を汚さないように頑張っただけです!」
絵里にしては難しい言葉をよく言ったもんだ。
でも確かに絵里は努力していた。
それはここにいる同級生みんな知ってること。
「絵里のことは高校を卒業してもちゃんと噂が聞こえてきたから安心してたよ…でもあの時なんで絵里を選んだと思う?」
絵里かサユミちゃんかどちらかを次期リーダーにという選択。
唐突な問いに絵里もサユミちゃんも緊張の眼差し。
269携帯21:2007/03/12(月) 09:56:11 ID:DuwEhONcO
「絵里はね、いっつもなよなよしてヘラヘラしてたからおもいっきり責任のあることさせてみるのもいいだろうって思ったの…そうすれば絵里が持ってる才能も花開くって分かってたから!!」
かっこいいこと言うな石川さん!
なんでもお見通しだ。
「ありがとうございます石川さん!!」
石川さんはニコッと笑って次はサユミちゃんの方を向いた。
「サユ…元気だった?」
「はい…」
早くも泣きそうなサユミちゃん。
「どうしたのサユミちゃん?」
Aがサユミちゃんを心配して聞いた。
「大丈夫なの…なんでもないの…」
そう言うとサユミちゃんは改めて石川さんに体を向けた。
Aがガッテンのいかない顔で俺を見てきたけれど俺は目を瞑って黙って頷いた。
するとAも思うことがあったんだろう。
それ以上なにも言わなかった。
「サユ…アナタに会えて嬉しいよ」
「サユミもなの…」
タイプは全く違うけれど美し過ぎる2人。
この2人が浜辺で抱き合っていたという噂はホントだったのだろうか?
もしホントにそんな関係だったなら…。
うっ!
考えただけで鼻血が!!
「あの時サユを選らばなかったのはね…サユ!アナタに強くなってもらいたかったの!!」
石川さんはサユミちゃんの手を握って真剣な眼差しでサユミちゃんを見つめた。
270携帯21:2007/03/12(月) 10:01:34 ID:DuwEhONcO
「だってサユって誰かに頼らないと絶対なにもしようとしない弱い娘だったでしょ!?それじゃダメなのよ!!」
さすが伝説のリーダーやってただけのことはある。
一瞬にしてサユミちゃんの本質を見極めてしまってたんだな。
いやはやなかなか凄いもんだ。
「あのままだったらいけないってホントに思ったの!だから1人になってみて自分を見つめて欲しかったの!!」
石川さんの熱視線がサユミちゃんの真っ黒な瞳を射抜いた。
「それにね…サユは自分の美貌に溺れてしまいがちだったから…」
聡明なAのこと。
多分この話の流れでサユミちゃんと石川さんの経緯が分かったんだろう。
石川さんとサユミちゃんを見つめると驚きを隠せない表情をした。
そんなAを片方で感じながら石川さんは尚も続けた。
「梨華には分かる…だって私がそうだったから…だからサユの気持ちは手に取るように分かるの!!」
絶妙に垂れた石川さんのやわらかそうな頬が揺れた。
「サユ!アナタなら自分で出来るから!!絶対にちゃんと出来るから!!」
力の籠った石川さんの目にはなにかとてつもない情熱が感じられた。
271携帯21:2007/03/12(月) 10:11:41 ID:DuwEhONcO
「はい…」
ホントはサユミちゃんも分かっていたんだろう。
そして多分、あの時選らばれなかったことを恨んでいるんじゃなく、それで良かったと思っているんじゃないだろうか。
納得出来てなきゃ頷くことさえも出来ない。
声は小さかったけれどサユミちゃんはしっかりと答えた。
美しく凛々しいサユミちゃんがじっと石川さんを見ていた。
そんなサユミちゃんを見てニコッと石川さんが笑った。
とても俺にはうかがい知れない経験とそれから来る自信。
考えてみればどうして石川さんが伝説のマドンナなのかも分からないし全てが謎だらけだった。
「君はサユの彼氏?」
「はい、Aです!」
唐突な振りにも動じない男A。
石川さんの優しさと強さが溢れる目を真っ直ぐ見つめ返すヤツの度量も大したもんだと思う。
「A君かぁ…サユ!私が同級生だったら私も彼を好きになったかもね!!」
ハッと驚きのサユミちゃんと少し照れたA。
「サユ!良い人を好きになったわね!!」
「ありがとうなの!」
珍しくサユミが大きな声で答えた。
「A君!サユをよろしくね!!」
唇を噛み締めて黙って頷くA。
その目には決意じみた強いものが感じられた。
272名無し募集中。。。:2007/03/12(月) 10:23:11 ID:thaby4n+O
携帯21劇場
川o・-・)<胎児ですよ携帯21は
从*´ ヮ`)<ニャ〜幼稚園児だニャ〜
ノノ*^ー^)<還暦だって
从*・ 。.・)<30000冊買わすの!!
州*‘ -‘リ≡携帯21さん梨沙子のお願い聞いて
川*’ー’)<携帯21は携帯21劇場読んでないよ
川=´┴`)<だから分からない
(/ ^о^)/<みんなー
ズボッ
落とし穴に落ちた携帯21はピラニアの餌になって死んだ
川=´┴`)<みんな葬式…
从*´ ヮ`)<金の無駄ニャ〜
(/ ^о^)/<オハヨー
携帯21は蘇った
ノノ*^ー^)<ケラケラ
川=´┴`)<無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
川o・-・)<ザッワールド
携帯21は死んだ
( ・e・)<出番が無い気がする次こそは次こそは次こそは必ず必ず必ず携帯21携帯21携帯21ヌッコロス!!
273携帯21:2007/03/12(月) 10:25:37 ID:DuwEhONcO
「それに比べると絵里の彼氏は頼りないなぁ〜!」
苦笑いでこっちを見てる石川さんに苦笑いで返す俺。
「そうなんだ…分かってたけど」
ショボンと肩を落とした絵里。
その肩をポンポンと軽く叩く石川さん。
「絵里、それがいいんじゃない!だから絵里とお似合いなのよ!」
「へっ?」
間抜けな声で絵里は石川さんを見た。
「A君は重い感じがするし、絵里の彼氏…なんていったかな?」
「Sです!」
「S君は軽い感じがする…だから良いんじゃない!!」
「軽いって…」
「バカねぇ!重いのは重い良さがあるし、軽いのも軽いなりの良さがあるの!比べることがそもそもバカらしいんだから!!」
なるほど!
重い良さ、軽い良さかぁ…面白いこと言うなぁ石川さん。
「絵里!サユ!2人共お似合いの彼氏だよ!大切にね!!じゃあね!これから環境問題についてエコ研の発表があるから行かなきゃいけないの!また会いましょ!!」
すくっと立ち上がった石川さんは可愛らしいピンクの腕時計を一度見ると長い豊かな髪をなびかせて颯爽と去っていってた。
重力に逆らったプリンとしたおしりがリズミカルに揺れながら遠ざかっていくのを俺はいつまでも見ていたい気分だった。
石川梨華さん。
実に実に素敵な人だ。
俺だって同級生だったら惚れてたかもしれない。

(続く)
274携帯21:2007/03/12(月) 11:19:05 ID:DuwEhONcO
>>272
いやはや申し訳ない!
今までホントに携帯21劇場見てなかったもんで…
毎回レスして下さる方のはそれぞれ有難く読ませてもらってますけど、長い上にAAとかいうのがあると正直キツイもんで完全にスルーしてました
これからはなるべく気をつけます
それと梨沙子のお願いってなんですか?
答えられるものなら答えます

それにしても携帯21劇場という名のアナタの創作
いいじゃないですか!
さっきの見ました
言葉使いはアレですけど展開が早いのにオチがちゃんとある
面白いですね!
残念ながら携帯21には出来ないし考えもつかなかった
これからもお互い読んで下さる方に支持されるものを作っていきましょう!!
劇場というカタチでなく普通でも意見の交換とか出来たらと思ってます
それではまた

携帯21
275名無し募集中。。。:2007/03/12(月) 16:02:12 ID:thaby4n+O
>>274
携帯21さん年齢教えて詳しくなくてもいいから例えば10代前半後半半ばとか
276携帯21:2007/03/12(月) 17:42:02 ID:DuwEhONcO
>>275
残念だ
そういう質問をしてる時点で自らの実年齢以外の年齢を晒け出していることに気付いているのか
他人のことをどうこう言ってる暇はないはずだろ
まずは自分から見つめ直せよ!
今アンタがやろうとしてることはいらんことだ!!
そんなヤツの言葉は響かない!
創作で示してくれ!!
ここに書き込むことは怖いことである。


携帯21
277名無し募集中。。。:2007/03/12(月) 19:37:01 ID:thaby4n+O
>>276
残念だ
携帯21あんたオッサンだろそれにアンタも言葉汚いな
質問をしたのか携帯21は分かるか!
年齢を聞いたのはお前を試しただけだ年齢を書き込むぐらいではタイシタコトハナイ
どれだけ上目線だ!
携帯21
小説…(-_-;) プッ!! (´Д`) アハハハハハハハ!! (-_-) ナンジャコリャ!!
(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー
お前結構イッテルだろ小説からみると若く見えるが途中からオッサンだろ!
278名無し募集中。。。:2007/03/12(月) 19:47:39 ID:thaby4n+O
携帯21劇場
川o・-・)<胎児ですよ携帯21は
从*´ ヮ`)<ニャ〜幼稚園児だニャ〜
ノノ*^ー^)<還暦だって
从*・ 。.・)<オッサンでオタク
州*‘ -‘リ<それにデブ
川*’ー’)<ケラケラ
川=´┴`)<携帯21キモ
(/ ^о^)/<みんなー
ズボッ
落とし穴に落ちた携帯21はピラニアの餌になって死んだ
川=´┴`)<みんな葬式…
从*´ ヮ`)<金の無駄ニャ〜
(/ ^о^)/<オハヨー
携帯21は蘇った
ノノ*^ー^)<ケラケラ
川=´┴`)<無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
川o・-・)<ザッワールド
携帯21は死んだ
( ・e・)<出番が無い気がする次こそは次こそは次こそは必ず必ず必ず携帯21携帯21携帯21ヌッコロス!!
279携帯21劇場:2007/03/12(月) 20:09:21 ID:thaby4n+O
「だってサユって誰かに頼らないと絶対なにもしようとしない弱い娘だったでしょ!?それじゃダメなのよ!!」
さすが伝説のリーダーやってただけのことはある。
一瞬にしてサユミちゃんの本質を見極めてしまってたんだな。
いやはやなかなか凄いもんだ。
「あのままだったらいけないってホントに思ったの!だから1人になってみて自分を見つめて欲しかったの!!」
石川さんの熱視線がサユミちゃんの真っ黒な瞳を射抜いた。
「それにね…サユは自分の美貌に溺れてしまいがちだったから…」
聡明なAのこと。
多分この話の流れでサユミちゃんと石川さんの経緯が分かったんだろう。
石川さんとサユミちゃんを見つめると驚きを隠せない表情をした。
そんなAを片方で感じながら石川さんは尚も続けた。
「梨華には分かる…だって私がそうだったから…だからサユの気持ちは手に取るように分かるの!!」
絶妙に垂れた石川さんのやわらかそうな頬が揺れた。
小説…(-_-;) プッ!! (´Д`) アハハハハハハハ!! (-_-) ナンジャコリャ!!
お前いらないストーリが多すぎる上手くまとめろ
280名無し募集中。。。:2007/03/13(火) 17:07:50 ID:xGlUSLQm0
携帯21氏乙です
いつも楽しく読ませてもらってます
劇場とかほざいてるのはどう見ても荒らし以外の何者でもないんで放置が一番かと
反応するだけ時間とキーボード打つ労力の無駄です
281名無し募集中。。。:2007/03/13(火) 19:16:50 ID:oGvQzuUbO
同意
282名無し募集中。。。:2007/03/14(水) 10:28:56 ID:f6DDviQ+O
糞カスだな携帯21
283携帯21:2007/03/14(水) 15:48:36 ID:fPikyuNWO
>>273
「よかったねサユミちゃん!」
そう言ったのは亀兄だった。
「石川さんはちゃんと分かってたんだよ…サユミちゃんのこと」
目をうるませたサユミちゃんが頷いた。
「サユミちゃんのことを一番心配してたのも石川さんだったんだね」
しみじみとした空気が俺達の席に漂っていた。
「素敵な人だね石川さんって」
新垣が目を輝かせると隣の亀兄が頷いてまた話し始めた。
「でもね里沙ちゃん…石川さんはね、ホントはもの凄くネガティブで今みたいにハツラツとした女性じゃなかったらしいよ!」
亀兄の言葉にみんな驚きを隠せなかった。
中でもやはり絵里とサユミちゃんは興味津々で亀兄の話の続きを聞きたがった。
「どういうことお兄ちゃん?」
「それはね…」
亀兄が言うには石川さんは元々ネクラで影の薄い女の子だったらしい。
いつも一人でいて誰に対しても距離をおこうとする引きこもり体質だったそうな。
なにをしてもドン臭くてすぐに泣くダメを絵に描いたような落ちこぼれ。
そんな石川さんが生まれもって気にしていたアニメ声をみんなは面白がってからかった。
284携帯21:2007/03/14(水) 15:50:27 ID:fPikyuNWO
笑い飛ばすことも出来ずにより内へ内へ籠ってしまうのが石川さんの石川さんたる由縁でその被害妄想甚だしい性格はまさに自滅の人だった。
ところが高校に上がって石川さんの人生を変える出会いがあった。
「誰?」
妹の質問に頭を掻きながら亀兄は首をかしげた。
「お前本気で言ってんの?」
呆れたように兄が妹を見た。
「なんで?だって石川さんのこと聞いたことなんてなかったんだもん!」
絵里をはじめそこにいた誰もが石川さんの過去を知る訳もなく亀兄の言うことが分からなかった。
「そうか…石川さんも言わなかったんだな」
「も?」
絵里と新垣が声を合わせて亀兄に聞いた。
「お前等の担任って…?」
「中澤先生だけど…お兄ちゃんそれがどうかしたの?」
みんなの視線を一身に受けた亀兄が逆に驚いた顔で俺達を一通り見渡した。
「中澤先生が担任なのに…嗚呼〜!!」
驚きと嘆きの入り混じった情けない顔で亀兄は続けた。
285携帯21:2007/03/14(水) 15:53:02 ID:fPikyuNWO
「石川さんはなぁ!中澤先生に会って変わったんだよ!!」
「えぇ〜っ!!中澤先生がぁ〜!!」
俺達の驚きは並じゃなかった。
だってあの中澤先生だよ!
お嫁に行けなくていっつも殺気立ってるヒステリックティーチャー中澤だよ!!
そんな中澤先生が石川さんになにをしたっていうんだ?
「中澤先生が石川さんを叩き直したんだよ!!」
うわぁ…。
言葉だけ聞いても壮絶な映像が浮かんでくるから恐ろしい。
実際はどんなだったんだろう。
ううぅ〜!
考えただけで怖い。
「生きるネガティブが中澤先生に出会ったんだ!オレも想像でしかないけれど凄まじいものがあったのは確かだろう!」
もしも中学までの石川さんが亀兄が語った通りの人格だったなら、今の光輝く石川さんは数年の間に中澤先生が磨き上げたということになる。
思春期の女性の変化は凄いものがあることは知ってはいたけど話だけではにわかには信じ難い。
「石川さんから直接聞いた話は中澤先生と初めて話した時のことだけだけど、これがけっこう…なんだよな!」
嬉しそうににやけた亀兄。
「なになに?教えてよお兄ちゃん!」
絵里の食い付きったら見ていても恥ずかしくなるくらいマジだった。
286携帯21:2007/03/14(水) 15:55:32 ID:fPikyuNWO
「良いなぁ〜その声…」
中澤先生の感情の籠ってるのか籠ってないのかよく分からない声が石川さんを刺激した。
「嫌いなんですよこの声!なんでこんな声で生まれてきたんだろう!」
またいつものように真っ逆さまにブルーになっていく石川さん。
そんな石川さんに中澤先生は一言。
「そう思うのはアンタの勝手だけどな…」
そう言うと中澤先生は背を向けてどこかへ行ってしまった。
「やっぱり石川さんは随分凹んでしまって帰宅しても眠れなくなったって」
「じゃあなんで石川さんは中澤先生と?」
「それなんだけどな…」
悶々と悩み続けた石川さんの中で中澤先生が言った“勝手”という言葉の意味がず〜っと考えても分からなかったらしい。
そんな風に突き放されたもの言いも癪にさわったしなによりなんであんなこと言われたのかが分からない。
「そんな日が続いて石川さんはいよいよ決心して中澤先生に聞きに行くんだ」
「中澤先生なんて言ったの?」
「うん、それなんだが…中澤先生、今回もたった一言」
「なに?」
「そんなこと言った?…だけ」
「だけ?」
「だけ」
それこそ中澤先生の勝手じゃないか!
どういう訳か俺の中で怒りにも似た気持ちが膨らんできた。
287携帯21:2007/03/14(水) 15:59:33 ID:fPikyuNWO
俺以外にもそこにいた者はみんな首を傾げてる。
「石川さんもそんな顔したんだろうな…」
笑ってる亀兄。
「どういうことよお兄ちゃん!」
「分かんない?」
「分からない!」
「なら分かるまで考えることだな!」
ちょっと偉そうな亀兄に腹が立ったが俺も分からないから俺自身に余計腹が立つ。
「さぁ…中澤先生はホントに忘れてたんだろうか…」
更に付け加えられた亀兄の言葉で益々混乱してしまう。
チキショ〜!
分からん!!
「今お前チキショ〜!分からん!!って思っただろ?」
「えっ?」
亀兄の人差し指が真っ直ぐ俺の顔に向かっていた。
「は、はぁ」
「石川さんは分かっちゃったんだなぁ〜そこが彼女の凄いとこなんだなぁ〜」
完全に楽しんでるな亀兄のヤツ。
く、悔しい。
それにしても俺達が高校に入った時には既に石川さんは学校で1番のマドンナで誰もが一目置いていた。
「中澤マジック!」
つい俺はそんなことを口走ってしまったが、そこにいる同級生はみんな頷いてくれた。
「お前ホントにそう思ってんの?」
「違うのお兄ちゃん?」
「じゃ、じゃあ石川マジック!?」
「はぁ…分かってないなぁ…」
いかにもガッカリした顔の亀兄。
「わたし今度直接聞いてみるよ…その時はカメもサユミンも一緒に行く?」
新垣が絵里とサユミちゃんに問うと2人共頷いた。
288携帯21:2007/03/14(水) 16:15:30 ID:fPikyuNWO
考えてみれば変な言い方かもしれないけれど、マスターKに対抗出来る人を探すとなれば中澤先生くらいしかいないだろう。
マスターによって亀兄も絵里も新垣も変わったなら石川さんが中澤先生と出会って劇的に変わったのも頷けない話ではなさそうだ。
「なぁA!どう思う?」
「うん、俺だって分かんないけどよ、ある意味俺達の千本ノックなんて軽く霞んでしまった気がする…だろ?」
「お、おう」
男共の他愛もない話。
でもホントにそうだ。
それぞれがそれぞれを目を白黒させて見合ってる様を馬鹿馬鹿しそうに眺めてた亀兄が急に真面目な顔で「オレもそろそろ行かなきゃいけないから!じゃあ里沙ちゃん!ライヴが終わった後で!!」と言ってニンマリ笑った。
いつになくかっこつけた亀兄が新垣に手を振りながら人ゴミに消えていった。
「う〜ん…」
誰かれとなくため息にも似たような声を漏らしていた。
美味しかったはずのお汁粉の味が全く印象に残っていなかった。
好きなことをしているようにしか見えなかった2人の先輩。
亀兄と石川さんは実はもの凄い過去と試練を耐え抜いた強靭な体と精神の上に成り立っている。
よく分からないけれど強くそんな印象を受けた。
289携帯21:2007/03/14(水) 16:19:50 ID:fPikyuNWO
「それじゃあライヴ始まるまで自由行動にしようよ?」
絵里が俺の腕を掴んで楽しげにブランブランさせた。
田中は〆〆氏と。
サユミちゃんはAと。
という訳で新垣は小春ちゃんと歩き出した。
「じゃあまた後で!行こうか小春ちゃん!」
ここ最近で随分と大人びた感じのする新垣が小春ちゃんの手を握って楽しそうにお喋りしてる。
その様子を絵里が「ガキさん変わったね…」と目を細めて眺めていた。
亀兄が言いたかったホントの意味とは?
無邪気に笑顔を振り撒く小春ちゃんの横顔を見ながら俺の頭の中はそのことでいっぱいだった。

【DANCER IN THE DARK編】

〈完〉
290名無し募集中。。。:2007/03/14(水) 18:51:21 ID:f6DDviQ+O
川o・-・)<終わったの
( ・e・)<終わったのだ
ノノ*^ー^)<終わったの
携帯21終わった
(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー
从*・`。.´・)<携帯21劇場淋しいの
291携帯21:2007/03/14(水) 22:04:26 ID:fPikyuNWO
>>289
俺達以外ほんの2、3人しかいなかった小さな仮設ステージ。
どう見ても亀兄と一緒に演奏する人の関係者っぽい。
となると気合い入りまくりだった亀兄のライヴはかなり冷えた空気の中始まるんじゃないかとこっちが動揺してしまった。
事実楽器を持って出てきた亀兄は会場を見渡すなり一瞬息を飲んだようだった。
けれどすぐさま納得して他のメンバーが定位置に着くのを見計らってリズムをとりながら指を鳴らした。
ベースに誘導されながらドラムが4ビートを刻む。
コロコロ転がったピアノのイントロが始まると実に面倒臭そうに亀兄がトランペットを持ち上げてマウスピースに口を当てた。
「うっほぉ〜い!!」
普段どっちかっていったら静かな田中が身を乗り出して叫んだ。
勿論言うまでもなく俺達だって同じ気持ち。
炸裂するトランペットの音は見事なまでに俺達の腹から入って脳天と爪先まで痺れさせた。
かっ、かっこいい…!!
あの亀兄がすっごくかっこいい!!
言葉もなく只々全身で亀兄を感じようとしてる絵里達を見ればこの手の音楽を知らない人間でも一気にのめり込んでしまうのも頷ける。
292携帯21:2007/03/14(水) 22:07:11 ID:fPikyuNWO
つまりはそれだけの力を有してるってこと。
亀兄の天性、努力、感性、その他諸々の人生が今この瞬間に表れている気がした。
あっという間に最初の曲が終わって備え付けのマイクを取った亀兄が恥ずかしそうに笑うと俺は冬を前にした重ね着の下にジンワリと汗をかいてるのを感じた。
閑散としたステージまわりをも瞬く間に熱気に包むパワー。
いやはや今日は凄いものが見れるかもしれない。
はてさてはにかんだ亀兄が突然「客いねぇ〜!!」と絶叫しながら大笑いした。
よく車に乗ってハンドルを握ると人格が変わるって話を聞くけれど今の亀兄はとてもあの頃の亀兄じゃないし喫茶Kで新垣に告白した時のでもないしさっきのお汁粉を食べながら真面目な顔をした亀兄でもなかった。
あえて言葉を探すならそのまんまだけれど俺達の知らなかった楽器を持った時の亀兄の人格としか言いようがなかった。
あら!
なにが起こっているのか分からない疑心暗鬼の表情の大学生さん達が何人もこのステージを囲み始めたぞ。
けれど亀兄や俺達よりはかなり間合いをとってどうなるか伺いつつ眺めてる感じ。
293携帯21:2007/03/14(水) 22:10:17 ID:fPikyuNWO
「皆さんには好きな人がいますか?次の曲は最近書いたオレが愛する人に捧げた曲です…『MORE RISA』!」
んん!
MORE RISA?
俺や絵里、そして俺達のグループみんなが新垣を見た。
新垣は俺達の視線を感じていないか一心に亀兄を見つめたまま振り向かなかった。
ニヤッと絵里が笑うとサユミちゃんと田中が頷いた。
さっきはあんなに激しく心を掻きむしる曲だったのにこの曲ときたら甘酸っぱい上に愛らしくも切ないバラード。
忙しく動きまわっていた指も今では丁寧に丁寧に3本のバルブを操っていた。
モダンジャズというのは曲があってなんだかよく分からないアドリブというのがあってまた曲を演奏するってのが一連の流れのようだ。
新垣そのものの可愛らしいテーマが終わるとドラムの人がスティックからブラシに持ち替えてシュワシュワとスネアの皮を擦り出した。
その鉄線で出来た刷毛のようなブラシが黄金色のシンバルを軽く叩いた時、すでに新垣は泣いていた。
亀兄は目を瞑ったまま世にも妙なる聞く者の感情を刺激して止まないフレーズを紡ぎ出し始めた。
294携帯21:2007/03/14(水) 22:13:19 ID:fPikyuNWO
胸を締め付けられるような誰もが経験したことあるような切ない気持ち。
1音1音に亀兄の新垣に対する想いが綴られてるようでそこにいた誰もがグッと下唇を噛んだまま演奏者からのメッセージを聞き漏らさないようにステージだけを見ていた。
亀兄の少しずつ消えていくロングトーンで会場が静かになるといつの間にか出来ていた人だかりで俺達は身動き出来ないほどになっていた。
人を納得させるのは難しい。
時として言葉より態度で示した方が分かり易いこともある。
もしかしたらホントはその方が分かり易いのにわざわざ難しく言葉で示そうとするから伝わらないのか。
とにかく亀兄の今の演奏はそんな風に人をどこか違うところへ連れていくような、聞いた後一回り人間が大きくなったと錯覚してしまいそうなほど説得力に満ちていた。
芳醇な時間を過ごすことが出来たと分かると目が覚めたようにそこにいるみんなが割れんばかりの拍手で亀兄達に応えた。
「凄い!凄いよお兄ちゃん!!ねぇ、ねぇ〜ったらガキさん!!」
絵里に揺さぶられた新垣は脱力したままずっと亀兄を見ていた。
あっ!
遠目で石川さんも拍手してるのが分かった。
295携帯21:2007/03/14(水) 22:16:37 ID:fPikyuNWO
みんなに力を与える。
それがどれほど凄いことなのか今の俺には量ることなんて出来やしない。
う〜ん!
悔しいけれどかっこいいぜ亀兄!!
「ありがとうございます!それじゃあ次は『危険な関係』って曲です!」
チーチキチーチキとスティックがシンバルを叩くとおもむろにトランペットが飛び出した。
のしかかるような勿体ぶったトランペットがこのヤクザな曲にはよく似合う。
ベースはとりつかれたように弦を掻きむしったり叩いたりして身をくねらせ、ピアノはにやけた顔でトランペットにちょっかいを出し、ドラムはドロドロしたバスドラで囃し立て金属の粉を撒き散らすようにシンバルで煽りに煽った。
それらに背中を押されたトランペットが天に届けとばかり体を反らせて高音から低音に低音から高音にドライブさせ、めくるめく熱狂のフレーズを重ねて重ねて俺達をトランス状態へと持っていく。
自然と揺れた体。
熱狂が熱狂を呼び俺達はプレーヤーと1つになった。
その時だった。

(続く)
296ねぇ、名乗って:2007/03/15(木) 08:48:36 ID:DwVDN9vK0
携帯21氏おつおつ〜
297携帯21:2007/03/15(木) 12:05:48 ID:WfI7yvj4O
>>295
亀兄に魂を叩き込まれてるトランペットが差し込んだ太陽に当たって金色に輝いた。
同時に俺達から少し離れた客席からステージに飛び出した女性の手に光る銀色の鋭利な輝き。
「ああぁぁ〜っっ!!!!」
身をくねらせて楽器と一体になっている今の亀兄にとって死角となった場所からその冷たい輝きが真っ直ぐにトランペットに向かっていった。
「許さない!!」
「誰にも渡さない!!」
そう言ったあの人が笑みを浮かべながら全く気付いていない亀兄に突進していく様を俺達は見ていた。

【危険な関係編】

〈完〉
298携帯21:2007/03/16(金) 08:01:14 ID:EBel4pjtO
木枯らしが吹いてちょっと首の辺りが冷たくって冬の到来を感じた12月の中頃。
今日も俺は絵里と新垣と一緒に歩いてる。
「亀井さん、今日も3人面会ですよ」
新米ナースの小川さんはちょっとドジであわてん坊だけど持ち前の明るさで入院患者には受けが良い。
もう俺達ともお馴染みでいつもニコニコ愛想良く接してくれる。
「はいはい」
扉の向こうで聞き慣れた声がした。
「今日も来たよぉ〜!」
絵里が元気良く扉を開けた。
「あっ、友!来てたんだぁ〜!」
横になってる絵里の兄貴の隣でほっぺたを真っ赤にした可愛い女の子がリンゴの皮を剥いていた。
「今日は学校早く終わったんだってさ…友!もっと上手に剥けよ!」
絵里の兄貴が首だけそっちに向けて悪態をついた。
「もう分かったからお兄ちゃん…でも友も上手くなったでしょ?」
膨れっ面の真っ赤なほっぺたが可愛いく揺れた。
299携帯21:2007/03/16(金) 08:04:18 ID:EBel4pjtO
納豆好きのサッカー好き、鹿島アントラーズをこよなく愛す絵里の妹の友ちゃんはまだ中学2年生。
あの元気娘小春ちゃんと同級生だ。
「友、皿に分けてちょうだい」
「は〜い」
絵里はお姉さんらしく妹に指示した。
「へぇ〜」
俺と新垣は普段見ることのない絵里の姿に思わず歓声を上げた。
「ちょっと恥ずかしいなぁ〜」
絵里が身をクネらせた。
「うん、旨いよ友ちゃん!」

俺がそう言うと友ちゃんは恥ずかしそうに「ありがとうございます」ってはにかんだ。
そのはにかんだ姿が可憐で美しくって可愛いくってたまらなくなる。
「S…お前いい加減にしろよ!」
寝てる亀兄の低い声がした。
「お前絵里だけでなく友までもと今思ったろ?」
兄貴の声と同時に絵里と新垣の冷たい目がこっちを向く。
「…んなわけないじゃないですか亀兄!!友ちゃんまだ中学生じゃないですか!」
慌てて俺は言った。
「ふん、オレには分かるんだ!ここにいる男はお前とオレだけなんだからな!!」
全く意に介さない亀兄が目を細めて俺の顔を見てきた。
「ハハハ…イヤだなぁ」
そう言った途端おもいっきり絵里に太ももをつねられてしまった。
300携帯21:2007/03/16(金) 08:06:38 ID:EBel4pjtO
「今日はどんなことがあったんですか?」
安静が一番の入院患者に聞くのもおかしな話だが新垣が心配そうに絵里の兄貴を見つめた。
「今日から簡単なもの食べていいことになったよ!だから友にリンゴを剥かせてたんだけど…」
「あっ!」
皿の上のリンゴは全部兄貴以外の4人で平らげてしまっていた。
「お〜い」
狭い病室で淋しそうな亀兄の声がこだました。
「今まで食べること出来なかっただろ…だから少しずつ慣れていく為に数日の間は点滴と併用だってよ」
亀兄が天井を見たままつまらなそうに言った。
「今日は大丈夫だったんですか?」
「今日は3回で済んだ、良かった方だよ」
「それはそれは」
新垣と亀兄のその会話はもう恒例となっている。
新米ナースの小川さんが点滴の針を刺すのに一体何回失敗したか。
これまで幾度となく失敗を繰り返したせいで亀兄の腕は穴だらけで真っ赤な点が両手のいたるところに見えた。
「あれでもナースなのかねぇ?」
亀兄の言うことはもっともだった。
301携帯21:2007/03/16(金) 08:09:13 ID:EBel4pjtO
「華奢な体で血管浮いてるのになんで間違えるんですかねぇ〜」
俺も相槌を打つ。
「あれで上達したって喜んでんだもん!こっちはたまったもんじゃねぇよ!」
苦笑いの亀兄が新しく友ちゃんがむいたリンゴを頬ばった。
「まあまあ良かったじゃないですか…アレでも上手くなったみたいだし…これからはもっと少ない回数でやってくれますよ」
新垣が優しく笑った。
「イヤだねぇ入院なんて…」
絵里の兄貴が片目瞑って俺達の方を見た。
「助かって良かったじゃん!あの時絵里どうなるかと思って泣いちゃったんだからねぇ〜!」
「それくらい良いじゃねぇか!」
今日も始まった。
今まで何度となく繰り返された兄妹問答。
「あ〜あ〜あ〜また始まったよ…」
ブーたれた俺に絵里のとばっちりが浴びせられる。
「なによSったら!Sだって泣いてたくせに!」
「泣いてねぇよ!」
「ウソ!」
「泣いてねぇったら!」
「少しは泣けよこの野郎!!」
今日は一段と強めの突っ込み。
とても入院患者とは思えない。
302携帯21:2007/03/16(金) 08:12:34 ID:EBel4pjtO
「この人ホントに刺されたのかねぇ?言葉だけ聞いてりゃ全然大丈夫みたいだけど…早く退院させたらぁ〜!」
「テメェS!許さねぇアイタタタ…」
「ほらほらまたぁ〜!大丈夫?Sもいい加減にしてよねぇ〜!!」
新垣の仲裁がなければいつまで続くか分からない俺と兄貴の憎まれ口大会。
亀兄はあの時真っ直ぐ向かってきたナイフをギリギリ身を反らせてかわした。
けれど半歩踏み込んで来た美貴さんに押されて脇腹に喰らってしまった。
不幸中の幸いで腸をかすめただけで済んで良かったけれど、あの時は尋常じゃない血が止めどなくドバドバ出てきて俺達は最悪を覚悟した。
「いや、ずっと入院させておいてくれたら俺達の日常ももっと平和だろうけど…」
「S…絶対許さねぇからな!そういえばお前との2R目はまだだったな!十何年振りかのリターンマッチといこうじゃねぇか!ええっ!?」
鼻息の荒い患者だこと。
これがホントに死を覚悟した人の言うことかねぇ…。

(続く)
303名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 10:36:51 ID:uLZesHU8O
馬鹿だな!携帯21
(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー
(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー
(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー
友までお前オタクでオッサンでデブでハゲだろ
ノノ*^ー^)<今日も叩いてあい とぅいまて〜ん!
304携帯21:2007/03/16(金) 12:49:44 ID:EBel4pjtO
>>302
「絵里、ナースコール押してくれ!この人に沈静剤打った方が良いから!麻酔でも良い!」
「絵里!やっぱしコイツとは別れろ!お兄ちゃんは認めない!」
「あぁ〜汚ねぇ〜!喫茶Kで会った時はなんにも言わなかったのに…それにあの時だって!!」
「記憶にねぇなぁ〜!」
「コラァ〜!!静かにしなさいって言ってるでしょうがぁ〜!!!」
病院中に鳴り響く新垣の声。
「ごめん里沙ちゃん」
情けない兄貴の顔。
「プッ」
思わず笑ってしまったら亀兄と新垣におもいっきり睨まれてしまった。
ドスドスドス…。
病室に近づいてくる足音。
「うるさ〜い!他の患者さんに迷惑で〜す!」
新米ナースの小川さんが血相変えて入ってきた。
みんな寝た振り。
1名だけ死んだ振り。
「お願いしますよ!」
パタンと閉じた戸を見計らって俺達は笑い出す。
トントントン!
扉をノックする音。
305携帯21:2007/03/16(金) 12:51:48 ID:EBel4pjtO
「まだなにか用ですか?」
「用がなくっちゃいけないのかしらぁ〜!?」
「あっ!マスター!!」
「お邪魔するわよ」
そう言ってマスターKはズカズカと入ってきた。
「カメちゃん、元気そうでなにより!」
「ありがとうございます」
マスターKは絵里の兄貴が入院した当初来たきりで久し振りだった。
「あの時のライヴ…録音したの聞かせてもらったわ」
「はぁ…」
なんだかとっても浮かない顔の兄貴。
「久し振りに興奮したわ…このアタシが…」
マスターKが目を輝かせた。
「ホ、ホントですかマスター?」
「えぇ!だから今日はお土産を持って来たの!」
そうは言ってもマスターは手ぶらだ。
果たしてなにがお土産なんだか?
「あの日のライヴ…CD化されることが決定したわ!」
「えぇ〜っ!」
「凄いじゃないお兄ちゃん!」
「おめでとうございますお兄さん!」
「里沙ちゃん!前にこの人と一緒に行ったレコード屋さんがあったでしょ!あそこの店長が知り合いのプロデューサーと話を詰めたんですって!さっき連絡があったの!」
「そうですか!店長が…」
「アンタをリー・モーガンの再来とでも言って売る気なんでしょう」
あくまで穏やかにマスターKは言い放った。
306携帯21:2007/03/16(金) 12:56:44 ID:EBel4pjtO
しかし一瞬だけ兄貴の顔が曇った気がした。
「マスターあのぉ〜」
「なぁにカメちゃん?」
「せっかくですけどこの話…」
「えぇ〜っ!なんでよお兄ちゃん!!」
「だってリー・モーガンはリー・モーガンですし…なにより俺自身あの演奏を気に入ってないんです!」
あの演奏を…。
素人目から見たら凄いとしか言い様のないあの演奏を兄貴はダメだと言うのか。
プロを見る目を持ったマスターKも絶賛してるのに。
「すいません、さっきからリー・モーガンって人の名前がよく出るんですけど、誰ですか?」
「生意気だなS!お前がリーのことを聞くなんて10億年早いんだよ!!」
「まあまあカメちゃん!あのねリー・モーガンは18歳でデビューした神童だったのよ…天才トランペッターのクリフォード・ブラウンが25歳で亡くなった後彗星の如くデビューするの…」
「ふむふむ」
「当時ファンキージャズの代名詞だったA・ブレーキー&J.Mの花形奏者として迎えられて、自身でも名盤と言われるレコードを幾つも発表…とにかく凄かったの!」
「へぇ〜」
307携帯21:2007/03/16(金) 13:00:35 ID:EBel4pjtO
「細いネクタイにピシッとしたジャケットを着こなしてモードと呼ばれるファッションの先駆けというか象徴的な存在だったんだ!オレなんて音楽もさることながらあの見た目のカッコよさに惚れまくったね…」
いつになく亀兄が興奮して憧れの眼差しをしている。
なんだかよく分からないけど凄い人らしい。
「でもなんでそのリーさんがお兄さんとダブるんですか?」
そうそう新垣、その通り。
「そんな訳でリーはモテモテだったのよ、おまけに大の女好きときてる!その中で当時10歳くらい年上の愛人がいたわけよ…」
なにやら雲行きが怪しくなってきたぞ。
「リーが33歳だったかな…正に演奏中、ステージの上で嫉妬に狂ったその愛人にピストルで心臓を1発!」
マスターKが指でピストルのカタチを作って亀兄に指さした。
「バ〜ン!」
ガクッとベッドの上で死んだ振りの亀兄が笑いながら起き上がった。
「まあそんな伝説のトランペッターがいたんだよ!そんな人と比べられてもなぁ〜って…」
「どうせそう言うと思ってたわよ!確かにそういう謡文句だとみんな飛び付き易いんだけど…カメちゃん!そんなこと気にせずにドンドンやりなさい!!」
308携帯21:2007/03/16(金) 13:02:15 ID:EBel4pjtO
「…ってことは?」
「デビュー盤がライヴなんて聞いたことあるぅ?」
「ないですけど…」
「これから始まるアナタの音楽人生の第1歩よ!だからこのお土産を素直に受け取りなさい!分かったわね!!」
そう言ってマスターKは有無を言わせない感じで無理矢理亀兄に承諾させた。
俺達を証人だと言って恐いくらいに笑ってる。
「それはそうと美貴って娘はどうなった?」
マスターKの質問に思わずみんな黙ってしまった。
「さすがにあの観客の前ですから…隠しようがなかったんです…」
みんなの予想に反して亀兄は美貴さんをかばってるようだった。
「それで?」
「でもアイツがそんな風になったのも元を正せばオレが悪い訳ですし…そこらへんのことはちゃんと分かってくれるよう警察にも言いました」
「美貴って娘はこれからその罪を背負って生きていかなくっちゃいけない…アンタが生きててまだ良かったけれど…」
「えぇ…」
「アンタもアンタで全部ひっくるめて背負って生きていかなきゃいけない…分かる?」
「はい…分かってます…」
「なら生きなさい!それしかないんだから!!」
そう言ってマスターKは笑うと「それじゃあね」と言い残してとっとと帰っていった。

(続く)
309名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 13:25:34 ID:uLZesHU8O
リー・モーガン
(-_-;) プッ!!
(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー
ノノ*^ー^)<40代のオッサンでハゲでデブでオタク携帯21
从*・`。.´・)<さゆみの写真集買うの
ノノ*^ー^)<ケタケタ
川o・-・)<今日も叩いてあい とぅいまて〜ん!
310携帯21:2007/03/16(金) 14:11:41 ID:EBel4pjtO
>>308
話が話だけにしばらく誰も口を開こうとはしなかった。
しかしこの重苦しい空気を変えたのは絵里だった。
「それにしてもなんだか凄いことになったわねお兄ちゃん?」
喜んでいいものか絵里の顔が正直微妙だった。
「おっ、おぉ…」
呆気に取られてる亀兄に新垣が声を震わせて喜んだ。
「リーさんは残念ながら亡くなったみたいだけど…お兄さんは生きているんだし!これが始まりなんだから喜んで!喜んでっ!!」
そう言った新垣は自ら「ハッハッハッ…」と笑った。
それに続いて絵里、友ちゃん、俺が笑った。
「そうだな…笑っとけ!笑っとけ!ハッハッハッ…!」
亀兄が大笑いをした。
「イテテッ!」
「大丈夫お兄ちゃん?」
「はしゃぎ過ぎですよ亀兄!」
「うるせぇ〜!」
「ハッハッハハッハッハ!!」
みんな笑った。
ドスドスドスドス…。
「ここをどこだと思ってるんですかもう!!」
またもや小川さんがもの凄い顔で入ってきた。
俺達は寝た振り。
そしてやっぱり1名だけ死んだ振り。
なにはともあれ亀兄が回復してる。
それだけでみんなが笑えるんだ。
311携帯21:2007/03/16(金) 14:14:19 ID:EBel4pjtO
「じゃあお兄ちゃん、そろそろ帰るね…」
立ち上がった絵里と俺をうらめしそうに亀兄が呟いた。
「そうやってお前等はすぐに帰るんだ…いいですよいいですよ…里沙ちゃんさえ残ってくれればさぁ…」
パイプ椅子からほんの少しだけ浮き上がっていた新垣のおしりがまた深々と椅子の上に。
「早く里沙ちゃんと2人っきりにさせろよ!シッシッ!」
腹立つなぁ亀兄!
けどまあいっか。
黙ってるけど新垣も嬉しそうだし、なんてったって今の2人は両想いなんだし邪魔しちゃあいけない。
「分かりました分かりましたよぉ〜!お邪魔でした!行くよ友!」
頷いて立ち上がった友ちゃんはまだ中2というのにこれはまた男心をくすぐる美味しそうな体。
「友!次来る時はもっとちゃんとリンゴ剥けるようになってろよ!」
亀兄が笑いながら冗談ぽく言った。
けれどそんな冗談が通じなかったのか友ちゃんは真っ赤な顔をして黙ったまま涙をこぼし始めた。
「お兄ちゃん!もう!」
絵里がそう言ってももう遅い。
友ちゃんはボロボロと泣き出した。
「ごめん!ごめん!友!悪かったよ!」
友ちゃんは頷きながらも目を真っ赤にしてしゃくり上げていた。
312携帯21:2007/03/16(金) 14:17:18 ID:EBel4pjtO
不謹慎ながらもその姿があまりにも美しく思えて、姉と妹と…なんてとんでもないことが脳裏をかすめてしまった。
ぐっ!
考えてること分かるのか知らないが亀兄がジッとこっちを見てニヤリと笑った。
「気をつけて帰れよ!母さん達によろしくな!」
「じゃあねお兄ちゃん!ガキさんもお兄ちゃんを甘やかしちゃいけないよ!!」
「絵里!早く行けって!」
「はいはい!」
「全くぅ〜」
扉を閉めて歩き出した俺達の背後から「…でね里沙ちゃん…」とのろけた亀兄の声が聞こえた。
「友ちゃん大丈夫?」
あくまで姉の恋人として優しく声をかけたまで。
「大丈夫です」
はにかんだ真っ赤な唇が可愛い過ぎる。
姉も良いけど妹もたまらんですわ。
「友、好きな人とかいないの?」
病院を出た時に姉が唐突に妹に聞いた。
「なぁに突然!」
「だって友も中2だしいてもおかしくないと思うからさぁ〜!」
なんとなく絵里の優しさを感じた。
「どうなの?」
「う、う〜ん…」
もごもごと口ごもった友ちゃんもやっぱり可愛い。
「いるんだけど…ダメなんだぁ…」
また涙がこみ上げてきそうなほど可憐な瞳で友ちゃんが灰色の空を見上げた。
313携帯21:2007/03/16(金) 14:20:52 ID:EBel4pjtO
「誰?誰なの?」
興味津々の絵里と俺。
「最近好きかもって気付いたんだけど…でもいいのいいの!やっぱりお姉ちゃんには言わない!」
一度黙ってしまったら絶対に口を割りそうにない頑固っぽい友ちゃん。
絵里は勿論それを分かってるみたいで「そっかぁ〜!上手くいくといいねぇ〜!」と言って遠くから聞こえた焼き芋屋さんの声につられて走り出した。
「おい!待てよ絵里!!」
絵里を追いかけようと走り出そうとした俺の手を動こうとしない友ちゃんが握った。
いけません!
いけませんよこれは〜!!

【U ARE SO BEAUTIFUL編】

〈完〉
314名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 14:36:54 ID:uLZesHU8O
从*´ ヮ`)<コラー携帯21友までお前オタクでオタクでオタクでデブでデブでデブでハゲでハゲでハゲでオッサンでオッサンでオッサンで加齢臭だニャー
(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー
( ・e・)<いい加減にしろよカス!携帯21
( ・e・)<今日も叩いてあい とぅいまて〜ん!
315携帯21:2007/03/16(金) 14:37:33 ID:EBel4pjtO
絵里の誕生日プレゼントとクリスマスプレゼント。
なんで1度に2つも…そんなこと思うのはもうやめた。
夜遅くまでお隣の部屋には灯りがついている。
新垣のヤツ…亀兄に手編みのマフラーでも渡すつもりだな。
毛糸の玉を買いこんだアイツを見かけたけど声をかけなかったのは正解だったな。
新垣のことだ。
人に知られると逆上してやめちゃうこともあるし。
アイツ変なところで意地っぱりだからそっとしておいてやるのが賢明。
新垣がそんなに頑張ってるのと比べたら絵里にプレゼントを2つあげることくらいどってことないどってことない。
あぁ、また自分に言い聞かせてる俺がいる。
だって先立つお金がないんだもん。
仕方ない。
ここは梨沙子を説得するしかないか。
という訳で我が家のお隣の部屋へ。
「お〜い梨沙子!今いいかぁ〜?」
「なぁにお兄ちゃん?」
「あのさぁ…」
いきなりはさすがに梨沙子といえどまずいよなぁ…ならば。
「たまには甘いものでも食べに行かないか?奢ってやるからさぁ〜」
「ホントォ〜!?」
「ホント!」
「やったぁ〜!今用意するね!」
可愛いなぁ梨沙子のヤツ。
こんなことでまんまと誘き出されるなんて。
316携帯21:2007/03/16(金) 14:40:23 ID:EBel4pjtO
「なに食べたい?」
「お寿司とケーキ!!」
即答の梨沙子に満面の笑みで頷いて俺達はマフラーを巻いて外へ出た。
この前の絵里の妹・友ちゃんの1件は驚いた。
正直中2の娘にあんなにまで動揺させられるとは思ってもみなかった。
その後は絵里の家に行ってもこれといってなんもなかった。
けれど新垣が絵里の兄貴を好きになって想い続けた例もあるから未来は分からない…けどないだろうなぁ。
「なあ梨沙子!お前好きな男とかいるのか?」
「いないよ!」
気持ち良いほどの即答。
そのせいか兄としてなんだか気分良くなってしまった。
「そうかそうか梨沙子!お兄ちゃんはなんだか嬉しいよ!」
「なにそれぇ〜!でもいいもん!梨沙子モテるから!!」
ほっぺたを膨らませた梨沙子。
分かってたけどやっぱりうちの妹はモテるんだろうなぁ。
「梨沙子に言い寄る男はお兄ちゃんが許さないからな!!梨沙子は絶対に守ってみせる!!」
「なんだかよく分からないけれどありがとうお兄ちゃん!!」
なんて会話してんだろう。
我ながらなにいきまいてるんだろう。
なにがそんなに俺を力ませるのかというとやっぱり血がつながってることしかないよなぁ。
317携帯21:2007/03/16(金) 14:42:20 ID:EBel4pjtO
だとすると絵里との関係に対して寛容な亀兄ってけっこう凄いな。
もし俺が亀兄ならこんなバカな男が妹の恋人ですって来たらまず許さないだろう。
自分を卑下するのもなんだけどやっぱりキツイだろうなぁ。
「あっ!」
梨沙子が嬉しそうに走り出した。
「可愛いなぁこれぇ〜!!」
早くも春もの溢れるウィンドウショッピング。
その中の1つの店に薄紅色したブラウスが飾られていた。
俺にはこの年頃の女の子が着るファッションなんて分かる訳ないけれど確かに梨沙子が着たら栄えるだろうなぁとは思った。
さりげなく値札をチェック。
安くはないがこれくらいなら借りるお金の利子代わりに買ってやってもいいかと甘い考え。
「欲しいのか?」
「うん」
「だったら着てみたら!」
「うん!」
目を輝かせた梨沙子はカーテンの開いた小さな部屋へと消えた。
「どうお兄ちゃん?」
勢いよく開いたカーテンから現れたのはファッションモデルと見間違えるほど可愛い女の子がポーズを作っていた。
「り、梨沙子…お前…」
「どう?」
「イイヨイイヨ〜!!」
その後の梨沙子の目は怖かった。
318名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 14:43:20 ID:uLZesHU8O
川*’ー’)<クリスマスプレゼント
ノリo´ゥ`リ<ハゲで加齢臭でハゲでハゲでハゲでハゲでオッサンでオッサンでオッサンでオッサンでデブでデブでデブでデブでオタクでオタクでオタクでオタクでオタクで加齢臭で携帯21
川=´┴`)<ウザイ
(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー
ノノ*^ー^)<今日も叩いてあい とぅいまて〜ん!
319携帯21:2007/03/16(金) 14:44:53 ID:EBel4pjtO
それは梨沙子自身分かって使ってるとは到底思えなかったが完全に大人の女の目で、男に媚を売ることを知っているしたたかさを備えていた。
梨沙子のヤツ…。
末恐ろしいことになりそうな大器の片鱗をうかがわせる梨沙子の魅力。
どうか幸せになってくれ我が妹よ!
心の中でそう願わずにはいられなかった。
「よし!買おう!お兄ちゃんに任せろって!!」
「ありがとうお兄ちゃん!!」
可愛い我が妹よ!
これを着て男達を膝まづかせるがいい!!
お前には世の男共を狂わせる天性の美貌がある!!
俺は嬉しそうに紙袋を抱く妹を見てそんなことを考えていた。
「あっ!Sさんにリーちゃん!!」
ふと横を見るとキラキラと目を瞬かせた小春ちゃんが立っていた。
「仲良いんですねぇ〜!クリスマス前の買い物ですかぁ〜!?」
「うん、そうだけど小春ちゃんは?」
「小春は1人で買い物です…って言ってもなかなか気になるものがないんですけど…」
小春ちゃんにしろ梨沙子にしろ実際これだけ可愛いんだから恋人がいたっておかしくないんだけどまあそれはそれでいいじゃないか。
320携帯21:2007/03/16(金) 14:47:04 ID:EBel4pjtO
「これから梨沙子とケーキ食べに行くんだけど小春ちゃんも行く?」
「ホントですかぁ〜!小春行きま〜す!!」
相変わらず元気いっぱいの小春ちゃん。
少し垂れた優しげな目が年上の男心をくすぐって止まない。
人なつっこい仕草が余計に誤解を招き易いことをこの娘は知らない。
やたら体を近づけて話したり手を触ってくるのは小春ちゃんの癖なんだろうけど、俺のこと好きなのかなぁ…なんて思わせるのも実際罪な話だった。
小春ちゃんは苺の乗ったショートケーキを。
梨沙子は今日もベリーズ尽くしのパイを。
俺はやっぱりチーズケーキ。
「亀井先輩も新垣先輩も元気ですか?」
「うん!小春ちゃんも元気そうで良かったよ!」
「はい!ありがとうございます!でも亀井先輩のお兄さん…まだ入院してるんですよね?」
そう。
小春ちゃんはあの現場に居合わせたんだ。
中2の女の子にとってはかなりキツイものを見てしまったんじゃないだろうか。

(続く)
321ねぇ、名乗って:2007/03/16(金) 14:49:04 ID:CSD7i03r0
322名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 14:56:53 ID:uLZesHU8O
( ・e・)<スルーしてるのだ
川o・-・)<意地っ張りですね
川*’ー’)<ホント叩きがいがない
州*‘ -‘リ<所詮オタクでオタクでオタクでオタクでオタクでデブでデブでデブでデブでオッサンでオッサンでオッサンでオッサンでオッサンでハゲでハゲでハゲでハゲでハゲで加齢臭で携帯21
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川*’ー’)<今日も叩いてあい とぅいまて〜ん!
323携帯21:2007/03/16(金) 16:45:34 ID:EBel4pjtO
>>320
「小春ちゃんこそ大丈夫?あんなの見てしまったら…」
「小春は大丈夫ですよ…でもあの時の新垣先輩の顔は忘れられそうにありません」
確かにあの時の新垣の顔は言葉では言い表せない。
「誰かを好きになるって素敵なことだと思うけど…ある意味残酷ですね…」
小春ちゃんはミルクティーを掻き混ぜながら中2とは思えない大人びたことを言った。
「うん…そうだね」
刃物を持って突進する明らかに狂ってるとしか思えない薄ら笑いの美貴さんの顔。
「でも好きになっちゃうんですよね…」
こ、小春ちゃん。
「うん、考えずにいこうよ!小春ちゃんも好きな人が出来たらいろんな感情が湧いてくるだろうけどホントに好きなら変なことは思わなくなるさ!」
「はい」
俺だって頭で考えて喋ってる。
愛と狂気は紙一重。
頭では分かってるんだけど誰だって美貴さんみたいにならないとは言い切れない。
「小春ちゃんも梨沙子もまずは好きな人を見つけなきゃね!そこからそこから!」
2人が頷くのを見守って俺は甘くないコーヒーをすすった。
「ご馳走様でしたぁ〜!亀井先輩によろしく〜!!」
手を振った小春ちゃんが雑踏に消えていくのを俺と梨沙子はボーッと見ていた。
324携帯21:2007/03/16(金) 16:50:36 ID:EBel4pjtO
妙な話だが小春ちゃんと俺の差は男と女、それに年の差くらいで他は大した違いはないと思った。
決定的に違うのは小春ちゃんには大切にしたい人がいないだけで俺には絵里がいること。
それだけだった。
人として生まれたからには誰かを愛したい。
その誰かを見つけられるかどうか。
それに尽きると思った。
笑ってる絵里が俺に手を振る姿が頭をよぎる。
充分過ぎるほど幸せなんだけど…。
そうそう!
今日の大事な要件を忘れるとこだった。
プレゼント!プレゼントっと!
忘れてたじゃ済まされないからな。
年末だけしか味わえないこの妙なざわめき。
そんな人ゴミ溢れる街中を歩いていると不意に梨沙子が隠れるようにして俺の腕を引っ張った。
「お兄ちゃん来て!」
引っ張られるままに梨沙子と一緒に路地の陰に潜むと、よく待ち合わせに使われる大きなオブジェの前にたむろする沢山の人だかりが見えた。
「どうしたんだよ梨沙子?」
梨沙子の目からは哀しみと怒りが感じられた。
その視線の先には1人の美少女がしきりに時計を気にしながら携帯電話をいじくりつつオブジェにもたれかかっていた。
「あの娘がどうかしたのか?」
そう聞いた途端、なんてことはない普通の中年のおじさんが手を振りつつその娘の前にやって来た。
325名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 16:51:16 ID:uLZesHU8O
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326携帯21:2007/03/16(金) 16:53:16 ID:EBel4pjtO
ちょっと拗ねた顔を作っておじさんを見つめたその娘は急にしがみつくようにしておじさんの腕に手を絡めた。
そして2人してこの冬の寒空の下自分達以外誰もいないような幸せな顔で歩き出した。
「こ、これって…」
そんな言葉を消すように淋しそうな梨沙子の目が俺になにかを訴えかけていた。
あのスレンダーでちょっぴりアゴの長い可愛い娘…梨沙子の知り合いなのか…。
打算に裏打ちされた作りものの笑顔の娘。
聞いているのかいないのか逐一相槌を打つイヤな余裕を持ったおじさん。
よく出来てるといえば出来てる典型的な援助交際。
俺にはそうとしか見えないんだがもしかすると親子なのかもしれないし。
でも梨沙子の顔は尋常じゃないほど怒りに満ちている。
「つけるか?」
黙って頷く梨沙子。
かなりの距離を保ってさっきの2人を追いかけることにした。
とても中学生じゃ買えそうにないブランドもののバックを片手になにがそんなに嬉しそうなのか笑ってるあの娘。
彼女のお気に入りなのだろう。
やっぱりそのバックと同じブランドのお店に入っていった。
しばらくして出てきた2人は相変わらず楽しそうに談笑してやっぱり腕を組んで歩き始めた。
327名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 16:55:07 ID:uLZesHU8O
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328携帯21:2007/03/16(金) 16:56:05 ID:EBel4pjtO
店に入る前と違うのはおじさんの腕の中に大切そうに抱えられたその店の大きな紙袋。
こりゃやっぱり…。
そしてしばらくして案の定それらしい建物ばかりが並ぶいかがわしげな路地に来るとその内の1軒に吸い込まれるように2人は入っていった。
あぁ!
なんてこった!!
梨沙子のいる世界にはこういうことも現実としてあるんだな!
「大丈夫か梨沙子?」
「うん」
決定的なところを見てしまった妹をかばってやる言葉が見つからない。
すると梨沙子の方から話出した。
「バスケ部のエースだったんだあの人…」
もの凄く淋しそうな顔の妹の横顔を見ながら俺達は元来た道を足早に急いでいた。
エースだった人…。
つまりは今はもうエースではないということ。
「リーと一緒に点を取る係だったのに最近戻ってきた人にレギュラー取られちゃったんだ」
梨沙子の言うところでは、梨沙子が入る前にバスケ部から離れていた娘が最近になってまた復帰したそうな。
「バスケがしたいです!」
泣きながら言ったその娘のあだ名はミッツィ〜。
梨沙子はともかくその援交少女とミッツィ〜は2人共かなりのしゃくれらしい。
しゃくれ同士のエース対決が始まった。
329名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 16:57:48 ID:uLZesHU8O
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330携帯21:2007/03/16(金) 17:00:10 ID:EBel4pjtO
崖っぷちで失うもののないミッツィ〜と「ピーマン食べれな〜い」とワガママ放題の援交少女。
気まぐれな援交少女はニヤケながらも強情なミッツィ〜に押されて徐々に自分のペースを失ってしまい遂にはレギュラーから外された。
元々プライドだけは高かった彼女は「あぁ!」という嘆きの言葉だけを残して第2のミッツィ〜となるべく放課後の練習にも顔を出さなくなった。
あとはお決まりのパターン。
「ミッツィ〜嫌いじゃないけどリーは雅ちゃんの方が好き…」
哀しげな梨沙子の顔はどうにもこうにもいたたまれなかった。
これからその雅ちゃんはどうなっていくんだろう。
転がりに転がって最悪な末路にならなければいいが。
しかし自分で気付かなきゃどうにもならないこと。
傲慢な言い方かもしれないが今の俺にしてやれることなどありはしなかった。

(続く)
331名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 17:00:57 ID:uLZesHU8O
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332携帯21:2007/03/16(金) 20:05:50 ID:EBel4pjtO
>>330
人通りの多いところに戻ってくるとトランペットを欲しがる黒人少年みたいにガラスにへばりついた少女が回転寿司屋の前にいた。
んん!
あの後ろ姿は!!
バサバサな髪に例の服!!
「桃子ちゃんじゃないか!!」
ポンポンとその小さな肩を叩くと隠れんぼで見つかった如くあたふたと焦りに焦った桃子ちゃんがしどろもどろで手を振った。
「桃は盗んでません!」
「はぁ?なにを?」
そりゃそうだろう。
店の中に入ってもないのに盗むもなにもない。
さっきの件もあっていささか暗くなってしまった妹の雰囲気を払拭させるにはちょうどいい人と出会った。
ここはひとつこの娘に一肌脱いでもらおう。
「桃子ちゃんお腹すいてる?」
「桃さっきケーキいっぱい食べたばかりだから減ってませんよぉ〜!」
「そっかぁ…俺は減ってるからこれからここでお寿司でもと思ってたんだけど…いいだろ梨沙子!よかったら桃子ちゃんも一緒に!!」
「えっ!?」
驚きの桃子ちゃん。
「桃子ちゃんがよかったらでいいんだけど」
「えぇ〜っ!!」
明らかに食べたそうな桃子ちゃん。
だけど支払いが気になってるご様子。
333携帯21:2007/03/16(金) 20:07:52 ID:EBel4pjtO
「勿論誘った俺がお金払うからさぁ〜!どう?」
俺はサンタクロースじゃない。
なのに桃子ちゃんの目はまるで神様に出会ったかのような尊く気品に満ちたものを見る目になっていた。
「桃子ちゃんお腹いっぱいだろうけどお寿司なら摘めるから好きなだけ食べたらいいからさ!行こっ!!」
俺は桃子ちゃんの肩をス〜ッと押した。
「カンパチ!!」
連呼する桃子ちゃん。
余程カンパチが好きなのかそればっかり頼む姿はちょっと異様だった。
「カンパチ好きなんだねぇ!」
なんということはない会話だと思ったのに桃子ちゃんの目は哀しげに皿の上を見つめていた。
桃子ちゃんとカンパチ。
なにかとてつもない因縁でもあったのか。
まるでトラウマのように執拗にカンパチを頼む桃子ちゃんに理由を聞いてみたくなったけれどやめておいた。
「桃子ちゃんって良い女だよなぁ〜!!」
お世辞抜きにそう思ったからそう言ったまで。
驚きで目を見開いている梨沙子を無視して俺は尚も続けた。
334携帯21:2007/03/16(金) 20:10:03 ID:EBel4pjtO
「桃子ちゃんには絶対絶対良い男が見つかるよ!!もし桃子ちゃんが25を過ぎて独身で俺も独り身だったら…」
俺はなんてこと言ってんだろう。
絵里という彼女がいるし桃子ちゃんは絵里のすぐ近所に住んでる可愛いがられてる後輩なのに。
「イャ〜ですよ…ウフフ…」
そんな返しが出来るのも桃子ちゃんの魅力。
でもいつだって痩せ我慢してるのが分かるから桃子ちゃんを温めてあげたくなるんだ。
「絵里先輩には内緒にしときますよ」
唇を噛んだ桃子ちゃんがジッと俺の目を見ていた。
ちらちらと粉雪が舞い始めたプラットフォームに俺と梨沙子は降りた。
桃子ちゃんは駅をもう2つ乗ってなきゃいけない。
曇ったガラスを拭き拭き桃子ちゃんは窓に顔をくっつけて手を振ってくれた。
発車のアナウンスが流れる中、一度拭いた窓にまた息を吹きかけて曇らせた桃子ちゃんは確かめるように指でなぞりながら字を書いた。
こっちにいる俺にとっては反対に見えるんだけど確かに書いてることは分かった。
335携帯21:2007/03/16(金) 20:12:45 ID:EBel4pjtO

“NICE IDOL MUST PURE ”

書き終えるとまた窓に顔をつけてピースをする桃子ちゃん。
最早俺の中で伝説に近いその言葉は元気がない時も無理から元気が湧き出てきそうなくらい強力な威力を持っていた。
動き出した電車。
手を振ってる小さな桃子ちゃんが益々小さくなっていく。
未来の俺と桃子ちゃんはどんな風になってるんだろう。
考えるだけバカだな。
幸せになってね桃子ちゃん!!
あぁ〜あ…結局梨沙子に言い出せないままなにも買えなかった。
まあいいや。
なんとかなるだろう。
甘酸っぱい感傷のようなものが俺を掻きむしりそうになる前に早くおうちに帰るとしよう。
足早に急ぐ俺達の頭上でそれなりに星が輝いてる。
こんな明々とした街中の冬の空でもちゃんと星が見えることを誰かに伝えたくなった。

【LOVE FOR SALE編】

〈完〉
336名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 20:14:45 ID:uLZesHU8O
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337携帯21:2007/03/16(金) 20:24:40 ID:EBel4pjtO
>>335
分からないもんだ。
バーゲンの2000円均一で買った指輪とネックレスが絵里の会心の笑みを生むなんて。
はっきり言って機嫌を損うだけだと思ってたのに。
いやはや棚ボタ。
先日の援助交際少女しかりこのお金中心の世の中でこだわらない生活を送ってる人がどれだけいるだろう。
気に入ったならなんでもいい。
でも気に入らなかったら冷たい目。
絵里の場合は「Sがくれたものだから嬉しい!!」と純粋そのものの笑顔で俺に抱きついてくれた。
やっぱ恋人なんだからそうじゃないと。
俺なんてこだわらないようにと思うことにこだわってしまうんだから頭打ち。
絵里みたいに正直が一番。
という訳で今日は絵里の好きな騎上位から。
突き上げ大好きな亀井さん。
よがりまくってアソコを濡らす18歳。
見事にくびれた腰まわりを持って俺はガンガン攻めたてる。
「ど、どうしたの今日ははぁ〜ん?」
あやふやになりそうなエロ声で聞かれると勢い余ってつい出そうになるから気をつけなきゃいけない。
「別に…」
ホントはプレゼントを気に入ってくれたのが凄く嬉しかっただけ。
絵里が好き!!
たったそれだけのクリスマスと誕生日。

【BLUE IN GREEN編】

〈完〉
338名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 20:25:44 ID:uLZesHU8O
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339名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 20:31:56 ID:uLZesHU8O
( ・e・)<書くのヤメタノカ携帯21
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340携帯21:2007/03/16(金) 22:31:05 ID:EBel4pjtO
>>337
年が明けて正月気分がようやく抜けてきた冬休みのある日、外は珍しく雪が降っていた。
昨日から昼夜問わず降り続く雪に、この分じゃ交通麻痺するかもなぁなんて考えていたらコタツの上の携帯が鳴った。

会いたいよぉ〜

絵里

なんだかなぁ〜こういうメールって!
嬉しくなってすぐさま返信する。

俺も!



そしたらまたすぐ返ってきた。

会いたいよぉ〜!
でも今サユとA君が来てるから…
よかったらSも来る?
な〜んてね…

絵里

行きましょう!
行きましょう!!
俺は返信もせずに家を出た。
341携帯21:2007/03/16(金) 22:32:46 ID:EBel4pjtO
「おっ、新垣!」
そうか新垣のヤツ。
「アンタ、こんな雪の日にどこ行くのぉ?」
白い毛糸の帽子を深々と被って黄色のダッフルコートを着た新垣が赤くなった手に息を吹きかけ吹きかけこっちにやってきた。
「今から絵里の家に行くんだけど…お前もだろ?」
新垣は黙って頷いた。
俺は絵里に会いに行く。
新垣は絵里の家に行く。
その違いはというと言うまでもなく新垣は絵里の兄貴に会いに行くということ。
亀兄はあの事件があってからようやく年末に退院が許されて、それ以降は自宅で安静が義務付けられている。
兄貴が自宅に戻ってきてからずっと新垣の亀井家詣が始まった。
俺と絵里が誘ったにも関わらず、その上兄貴までもが「行ってきたら!」と言ったにも関わらず新垣は初詣にも行かずに正月も付きっきりで亀兄の看病をした。
「兄貴良くなってるみたいでなにより!」
「うん」
たったそれだけの会話なのに新垣はもの凄く嬉しそうに笑った。
ギュッギュッと雪を踏みしめる音。
どんよりとした空から淡々と降る雪を見ていたら小学校に入りたての頃、絵里と新垣と3人で近くの空き地で雪合戦したのを思い出した。
342携帯21:2007/03/16(金) 22:35:11 ID:EBel4pjtO
3人で雪合戦。
だから闇雲に2人に雪の玉を投げたんだろう。
俺の投げた1コが新垣の顔にまともに当たった。
鼻を真っ赤にした新垣が今日みたいな空を眺めながら珍しく泣きじゃくったっけ。
そんな新垣を俺も絵里もどうしていいか分からずにただ眺めているだけでなにも出来なかったんだ。
結局新垣が泣きながら帰ったから俺も絵里もなし崩し的に家に帰ることになったんだけど。
母親に買ってもらったよく伸びる手袋が雪を握ってたせいか冷たい上にびしょびしょになった。
家に着いた後手袋を脱いでストーブに手をかざすと痒くてたまらなかったな。
ふ〜ん。
あんなこともあったよなぁ…。
「今日はサユミちゃんとAも来てるみたいだぜ」
「そうなんだ」
「あのサユミちゃんが絵里と遊んでんだよなぁ…あの頃じゃ考えられないよな?」
「うん、ホントだね」
本当は仲の良い2人がいつしかあんな風になって、そんでもってまた仲良くなるんだから分かんないもんだ。
343携帯21:2007/03/16(金) 22:36:35 ID:EBel4pjtO
「なぁ新垣…」
「ん?」
「お前絵里の兄貴のこと好きなんだろ?」
「なによ急に」
「いいから、好きなんだろって?」
「うん、まぁ」
「まぁってなんだよ」
「いや、好き!好きだよ!」
「だろ?」
「うん」
「俺は絵里のことが好きなんだ」
「なによ今更、知ってるわよそんなこと」
すました顔の新垣がまた笑った。
「そう、そうなんだよな、なに言ってんだかなぁ俺…」
「のろけないでよ!なにが言いたいのか分かんないよ!アンタ正月気分がまだ抜けてないんじゃないの!」
苦笑いしてる新垣が足下の雪を掬った。
「そんなアンタは雪でも食べてなさい!」
パスっと新垣が投げた雪の玉が俺の鼻っ面に当たった。
痛くも痒くもない。
俺はなにも言わずにこの鉛色の空を見上げた。
しんしんと降り続く雪を見ながら俺は一体なにを言おうとしていたのか思い出せないでいた。
「はぁ〜はぁ〜」
新垣が真っ赤になってる手に息を吹きかけてコートのポケットに突っ込んだ。
「行くよ!」
何事もなかったようにまた新垣は歩き出した。
「おう」
2歩3歩と歩き出したところで俺は立ち止まった。
「新垣!」
「ん?」
「ありがとな」
「ん?なにが?」
振り向いた新垣は不思議そうな顔をしてる。
344名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 22:38:19 ID:uLZesHU8O
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345携帯21:2007/03/16(金) 22:39:44 ID:EBel4pjtO
「お前がいなかったら絵里を好きになることもなかったと思う」
絵里がいなかったら…。
絵里がいなかったら俺は誰を好きになってたんだろう。
雪が降ってる以外時が止まったような真っ白な道の上で俺と新垣は立ち尽くしていた。
なんで黙ってんだよ?
なにか言ってくれよ新垣!
「うん!フフッ」
新垣は少しだけ笑ってまた歩き出した。
フフッ…か。
そうなんだよな。
それが答えなんだよな。
俺は雪を握って新垣の小さなおしりに投げつけた。
それはそれは見事に狙い通りに命中した。
「コラァ〜!やったなぁ〜!!」
俺と新垣は何年振りかにあの雪合戦の続きをした。
夏まで野球部だった俺と肘を変な具合にして投げる新垣の女の子投げじゃ端から問題にならなかった。
「ごめん!参った参った!降参降参!」
新垣が大きく手を振った。
いつだったか絵里がガキさんは初夏の匂いがするなんて訳の分からないことを言っていたけど…。
夏が終わって秋になって今は冬の真っ只中。
今になってみてやっと絵里の言っていたことが分かった気がする。
まるで花札の絵柄にあってもおかしくないくらいにマッチしていた新垣の夏服。
まあコート姿の新垣も悪くはないけど絵里の言う方が正しい気がした。

(続く)
346名無し募集中。。。:2007/03/16(金) 22:41:30 ID:uLZesHU8O
川o・-・)<携帯21キモ!
ノノ*^ー^)<ハゲでハゲでハゲで
ハゲでハゲでハゲでハゲでハゲでハゲでハゲでオッサンでオッサンで
オッサンでオッサンでオッサンでオッサンでオッサンでオッサンでオッサンでオッサンでデブでデブでデブでデブでデブでデブで
デブでデブでオタクでオタクでオタクでオタクでオタクでオタクでオタクでオタクでオタクで加齢臭で携帯21
从*・ 。.・)<すごいの携帯21に写真集買わすの
从 v )<ポチ(携帯21)お舐め
( ・e・)<携帯21ヌッコロス
ノリo´ゥ`リ<キモ!携帯21
(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー(*ノ゜Д゜*)ノ≡≡● ウンコー
川*’ー’)<死ね
川=´┴`)<ケタケタ
州*‘ -‘リ<喜んで携帯21ヌッコロス
从*´ ヮ`)<今日も叩いてあい とぅいまて〜ん!
347携帯21:2007/03/17(土) 00:57:28 ID:Fxgv4TmYO
>>345
「やっぱり小学生の頃みたいにはいかないねぇ〜!」
新垣が笑いながら近づいてきた。
「憶えてたのか?」
キョトンとした新垣の顔。
「じゃあアンタも?」
俺と新垣は降り続ける空に向かって大きな声で笑った。
だからさっき俺の鼻狙ったのか…。
「お前あの時も今もどっちも負けたんだからコーヒーおごれ!」
「はいはい分かりました分かりましたよぉ!」
新垣は渋々自販機の前に行くと急かすように「どれ?」って聞いてきた。
「微糖のホットならなんでもいい」
そう言うと新垣は驚いた顔で俺を見てきた。
「アンタ苦いの飲めるの!?」
「当たり前だろ!」
「へぇ〜!あの頃はわたし等と一緒に甘〜い甘〜いのしか飲めなかったのに…」
新垣はそう言いながら午後ティーのミルクを自販機の中から拾い上げた。
「はい」
手渡された小さな缶は他のどの缶よりも大人な気がした。
「熱い熱い熱〜い!」
新垣は自分の缶をヒョコヒョコと持ち替えながら頃合を見計らって握った。
そして自分のほっぺたに引っ付けて「あったかぁ〜い」と笑った。
幸せそうに目を細める新垣。
つい俺はその光景に見とれてしまった。
348携帯21:2007/03/17(土) 01:02:01 ID:Fxgv4TmYO
パカッと景気のいい音がして新垣が缶を傾けた。
「アンタも飲んだらぁ〜」
「お、おぅ」
当たり前のことだけど微糖は微糖の味がした。
やっぱり新垣の言う通り今の俺にはまだちょっとだけ苦い。
でも俺は背伸びしてそいつを一気に流し込んだ。
「早いねぇ〜わたしより後で飲んだのにぃ〜」
当たり前だ。
大きさが違う。
「先に行くぞ」
まだ飲んでる新垣を放っておいて俺は歩き出した。
「ちょ、ちょっとぉ〜!」
一気に飲んだであろう新垣。
コ〜ンと空き缶入れに投げ込んだ音がした。
その音は雪だけの他になんにもない空に響いてすぐ消えた。
ず〜っと昔初めて絵里の家に行った帰り、新垣はなにも喋ってはくれなかった。
今、十何年振りかに新垣と一緒に絵里の家に行こうとしてる。
俺は絵里に会いに。
新垣はあの時俺が投げ飛ばした亀兄に会いに。
まぁ俺だって邪魔しない程度に兄貴に顔を出すつもり。
新年早々そんな汚い顔なんて見たくねぇ〜!とでも言われるのがどうせオチなんだろうけど。
でも会いに行く。
そう思った時、遠くの方で小学生にも満たない男の子や女の子の賑やかな声がした。

【BITTER SWEET SAMBA編】

〈完〉
349携帯21:2007/03/17(土) 01:12:52 ID:Fxgv4TmYO
玄関で迎えてくれたのはサユミちゃんとAだった。
「絵里は今あっつい紅茶を入れてるの…」
サユミちゃんの白い息が消えると奥から絵里の声がした。
「運ぶの手伝ってぇ〜!!」
バタバタと慌ただしく靴を脱いで声のした部屋へと駆け込む。
「ケーキ焼いたんだ!お兄ちゃんの部屋で食べよっ!!」
紅茶と人数分に切り揃えられたお得意のチーズケーキが綺麗に皿の上に乗っていた。
伝えてなかったのにちゃんと俺と新垣の分もカウントされてる。
そこらへんはさすが絵里だ。
新垣にとっては亀兄と2人っきりになれる貴重な時間かもしれないけどそれは後にとっておいてまずはみんなでワイワイやろう。
「入りますよ亀兄〜!」
ノックもせずに部屋に入ると退院した頃より散らばっていたレコードが綺麗に片付いていた。
勿論新垣がやったんだろうけど。
「寝てるねぇ…」
窓の外ではさっきより雪が降っていていよいよ本格的に積もりそうだった。
「まあ寝かせておきましょうよ!起きる時には勝手に起きてくるでしょう!それよりケーキちょうだい!」
「ちょっとアンタねぇ〜!!」
かじかんだ手に息を吹きかけていた新垣がその真っ赤な手でペチンと俺の肩を叩いた。
350携帯21:2007/03/17(土) 01:15:32 ID:Fxgv4TmYO
「まぁまぁガキさん!お兄ちゃんだってお腹がすいたら起きてくるよ!」
「カメェ〜ッ!そういうこと言ってるんじゃないでしょうがぁ〜!!」
狭い部屋に寿司詰めになってるから段々とあったまってきた。
新垣のボルテージも上がってきたところでベッドの上に視線をやる。
「もうそろそろ起きたらどうですか亀兄!!」
亀兄の膝の辺りをゆすると温まってきた手にひんやりとした感触。
「んんっ?」
「どうしたのよS?」
自作のチーズケーキを頬張りながらキョトンとした目で絵里が見ていた。
「なんだか…」
ハッとした顔で新垣が立ち上がると布団にくるまってる亀兄を抱き起こそうと手を伸ばした。
「ちょ、ちょっとぉ〜!!」
しんしんと降り続く雪。
反応のないベッド。
「イ、イ、イヤァ〜!!!」
冷たい空気を切り裂く声と共に新垣の手が俺の腕を握っていた。

【THE BEGINING & THE END編】

『KIND OF BLUE』

《完》
351携帯21:2007/03/17(土) 01:25:54 ID:Fxgv4TmYO
長い間ありがとうございました!!

《狼》《羊》共にレスや保全して下さった方々に感謝します!!

散々でしたけど最後まで書き込むことが出来てよかったです

読書公園の人
またよろしくお願いします!!
歯抜けになってるところは近いうちに書きますね

それでは皆さんとりあえずごきげんよう!!!
352ねぇ、名乗って:2007/03/17(土) 02:31:22 ID:70WKGljEO
ちょwwバッドエンドwww
かなり面白かったんで是非パラレルワールド書いて下さい!!
彼女が絵里じゃなくガキさん編だったり、さゆ編も見てみたいです
あと今回のエンドが唐突過ぎたのは荒らしのせいですか?
もしそうなら荒らしとか気にせずに書いて頂けませんか?
みんな楽しみに毎日読んでます
353ねえ、名乗って:2007/03/17(土) 03:23:50 ID:g2uDqPnK0
うそービックリ
えぇ〜


マイルスデイビス
354携帯21:2007/03/17(土) 06:41:50 ID:Fxgv4TmYO
早速レスありがとうございます!

ご存知の方も多いとは思いますがそれぞれの編の題名はジャズの曲名、もしくはそれをひねったものです
題名決めて書くのもあれば書いてる途中に決めたり書き終わってから決めることもありました
その時々が楽しく今となっては懐かしい思い出です

今回の終わり方は予定していた通りです
復帰してから書き込みを早めたのはどうやら時間が待ってくれなくなったからでしょう
なのでここ最近やたらと出てくる人のせいでは勿論ありません

《狼》の最初の頃に携帯21の成長が見たい!と励ましのレスを下さったのは忘れられません!!
先輩の作家さんに憧れて書き始めて随分経ちましたが果たして期待に応えることが出来たかどうか…
でも毎回読んでる!ってレスをもらったりするとこの空の下で会ったこともない人にご縁を感じ力をもらいました

しかし残念ながらパラレルは書けそうにありません
書ければいいのですが亀兄ではありませんが携帯21にも残された時間がないようです
外に出たくても出れない我が身を嘆くのはプール辺りを書いてる時にやめました
生きてるってことは素晴らしい
なのでこの話はバッドエンドではありません
携帯21の拙い話を最後まで読んで下さった方々に心から感謝します
どうか皆さんも素敵な毎日をお過ごし下さい

携帯21
355ねぇ、名乗って:2007/03/18(日) 08:18:51 ID:Dg4iz6zP0
携帯21様

いつも楽しく拝見させていただきました
新しい文面をみるたびに
キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!
と、PCの前でガッツポーズしたり・・・

また、書く機会があったら書いてください
このスレで待ってます
356ねぇ、名乗って:2007/03/18(日) 13:54:04 ID:ExW/48jh0
携帯21氏長い間おつかれさまでした
書き出したのは去年の夏ごろですよね?ひたすら書き続けたのはすごいと思います
いつの間にか作品を読むのが日課みたいになっていたので寂しいですが・・・
また気が向いたらどこかで筆を振るって下さいませ
何はともあれありがとう〜!
357携帯21:2007/03/20(火) 23:46:45 ID:LnL8YsjUO
>>第7章ラスト

美貴さんのいなくなったテーブル。
向かい合っているならともかく同じ側にお兄さんと2人で座っているのも妙な気がしてわたしは落ち着かない。
なにか話して欲しい。
けれどお兄さんは黙ったまま。
カウンターで深々と椅子に腰をうずめていたマスターが立ち上がって何気なく棚からレコードを引っ張り出し慣れた手つきでターンテーブルの上に乗せた。
静まりかえっていた店内にプツプツッとレコード針の落ちる音。
太く厚いテナーサックスの大きな音がスピーカーから転がり出てきた。
その音で腕を組んだまま下を向いていたお兄さんが顔を上げた。
ヤニっ気たっぷりのマスターがニヤリとお兄さんに微笑んだ。
「チッ…」
かすかに聞こえたお兄さんの舌打ち。
2人だけに通じるなにかがこのレコードの中にあったんだろうか。
「里沙ちゃん…」
むさ苦しく頭を掻きながら拗ねたような声でわたしを呼んだお兄さんに思わず噛んでしまった自分が恥ずかしい。
「は、はい」
なんでもない会話であって欲しかった。
なのに…。
358携帯21:2007/03/20(火) 23:49:02 ID:LnL8YsjUO
「ごめんね里沙ちゃん…」
謝って欲しかったんじゃない。
謝ってもらう為に恋したんじゃない。
そんな為にキスしたんじゃない。
そう思う前にわたしの体は勢いよく立ち上がっていた。
「すいません…先に失礼します…」
「り、里沙ちゃん…」
なにも言わない!
言うもんか!!
女心をもてあそぶならそれもいい。
美貴さんにしたみたいに意識的にそんな関係になるんだったらまだマシだ。
今、お兄さんがわたしに言ったのは明らかに善意。
つまりは同情。
本気でそうなんだから…純粋にそう思ってるんだから余計に質が悪い。
酷いよ!
黙ってるお兄さん。
一体今どんな顔してんだろ。
振り向くなわたし!
もうここにはなにもありゃしない!!
カウンターの前に来た途端マスターが満面の笑みでわたしにピースをしてくれた。
「里沙ちゃんイイヨイイヨ〜!!」
良かない!
良かないよ全く!!
わたしにはマスターの言ってることがなにがなんだかさっぱり分からない。
359携帯21:2007/03/20(火) 23:50:46 ID:LnL8YsjUO
重い扉を押して店を出た時、さっき買ったばかりのレコードをあのテーブルの足元に忘れてきたことを思い出す。
「なにやってんだろ…わたし…」
レコード…。
それとも…。
カメ…アンタもう家に帰ったの?
わたしは…。
わたしは終わった…。
終わったよ!
こんなんじゃなかったはずなのに…。
ふと見上げた空には飛行機雲が一筋、わたしの家の方へと伸びていた。
昨日はプールに入ったけれど…。
始まってもいない夏がもう既に終わってしまったような…そんな寂しい気がした。

【あなたは恋を知らない編】

〈完〉
360携帯21:2007/03/20(火) 23:56:00 ID:LnL8YsjUO
>>355
>>356

泣きそうになりました!!
こちらこそ有難うございました!!
361ねぇ、名乗って:2007/03/23(金) 05:59:57 ID:9Q3CnHzU0
ついに終わっちゃったか
362ねぇ、名乗って:2007/03/24(土) 19:31:34 ID:wEqsXrsr0
ロングランだったな
363ねぇ、名乗って:2007/03/27(火) 19:39:16 ID:QIcqL+NrO
一応保全
364ねぇ、名乗って:2007/03/28(水) 23:14:25 ID:URzuVcsl0
うm
365ねえ、名乗って:2007/03/30(金) 19:18:11 ID:48FVLQBM0
余韻に浸る
366ねぇ、名乗って:2007/04/03(火) 01:19:19 ID:+V92lrp40
思い出のスレにつき保全
367名無し募集中。。。:2007/04/03(火) 02:28:33 ID:fDVFBnka0
なんだよ羊に移行してたんか
しかも完結してるしw
じっくり読み返すよ携帯21乙

スレタイをちょっぴりからちょっとに代えた(字数の問題で)初期スレ立て人より
368名無し募集中。。。:2007/04/03(火) 02:30:39 ID:fDVFBnka0
ついでに俺も21スレ目の66レスまで持ってるや
読書公園の人いらんのかな
369ねぇ、名乗って:2007/04/07(土) 12:59:07 ID:L/FbASf70
>>367
おまいが立ててくれてたのか〜おかげで随分楽しめたよ
あとはこのスレを引き継ぐ作者さんが出現するかどうかだな
370ねぇ、名乗って:2007/04/11(水) 22:05:24 ID:0rLPXptZO
371ねぇ、名乗って:2007/04/12(木) 20:17:40 ID:Eodq8O3bO
ほとか保全とかしか書けないノータリンの集まりはここですか?
372ねぇ、名乗って:2007/04/12(木) 20:47:27 ID:o6107Pe60
>>371
空気嫁
じゃてめえが小説書けやヴォケ

携帯21氏、遅くなりましたが長い間乙でした
毎日家帰ってPCつけてまずするのがこのスレの更新確認でした
また暇な時にでも書いてもらえると嬉しいです
読書公園の方も乙でした
373キャラメル:2007/04/12(木) 23:38:11 ID:6ukgfNBlO
このスレタイ面白そうだから、書き込みます。

別に垣さん、亀ちゃんが『ちょっぴりH』でも、気にしないけどね(^_-)

むしろ、Hな方が話し安いかな(*^_^*)
374ねぇ、名乗って:2007/04/20(金) 02:22:18 ID:rHXUBAVl0
新たな職人はまだ現れないのか
375ねぇ、名乗って:2007/04/25(水) 09:39:27 ID:wmWjErxN0
保全した方がいいんかね
376ねぇ、名乗って:2007/04/28(土) 02:22:51 ID:fmK9rn7nO
名スレage職人降臨期待
377ねぇ、名乗って:2007/05/05(土) 00:06:58 ID:L1l7PsRQ0
そろそろ携帯21が書き始めてから1年か懐かしいな
378ねぇ、名乗って:2007/05/13(日) 02:07:17 ID:TYEYxcic0
落とすには忍びない
379ねぇ、名乗って:2007/05/18(金) 00:56:45 ID:MBND4wyi0
職人降臨期待
380ねぇ、名乗って:2007/05/27(日) 01:14:20 ID:2oh+gHRA0
思い出深いスレ
381ねぇ、名乗って:2007/06/04(月) 12:26:48 ID:z4MGSPZUO
落ちちゃいやん age
382ねぇ、名乗って:2007/06/13(水) 03:55:31 ID:CeT2GGuEO
頼む来てくれ
383ねぇ、名乗って:2007/07/05(木) 02:44:14 ID:x+vHm3+/O
保全
384ねぇ、名乗って:2007/07/28(土) 22:45:42 ID:yXXVmkIpO
落ちる 落ちる―!
385名無し募集中。。。:2007/08/16(木) 06:24:59 ID:hxvRDO+aO
ふん
386名無し募集中。。。:2007/08/20(月) 06:14:27 ID:EEBGlKBbO
携帯21は死んだのか?
387ねぇ、名乗って:2007/08/26(日) 12:48:53 ID:VGdjY/liO
今朝方、ガキさんの夢みたよ
カワイかったなぁ
388名無し募集中。。。:2007/09/15(土) 11:57:22 ID:DiIb9U6KO
携帯なんちゃらはどこだ
389ねぇ、名乗って:2007/09/18(火) 20:53:56 ID:YF3z/o6y0
390ねぇ、名乗って:2007/10/09(火) 22:39:44 ID:8qEf9t/kO
小説スレは軒並み人稲状態だし 規制はきつくなるし
2chもつまらなくなったな
391ねぇ、名乗って:2007/10/12(金) 18:15:25 ID:4pIcRtAZO
毎日一緒に風呂に入って体の洗いっこをする
392ねぇ、名乗って:2007/10/24(水) 23:36:26 ID:YX4BcqG2O
( ・e・)<コラァー! どうして誰も誕生日お祝いしてくれないのよー!!
393ねぇ、名乗って:2007/11/02(金) 04:27:01 ID:8+uEgho6O
読書公園見たんですが携帯21氏はもう続き書かないんでしょうか。
凄く見たいです。是非お願いします。
394ねぇ、名乗って:2007/11/03(土) 22:31:54 ID:PUPIYqw+O
この二人が姉妹なら絶対亀がパシリだな
395ねぇ、名乗って:2007/11/22(木) 19:04:47 ID:pGiwhDG90
誰が相手でも亀はパシリになりそうな
396なぇ、名乗って:2007/11/25(日) 22:18:25 ID:8KPY1+/50
>>393
>>354から察しろ
397名無し募集中。。。:2007/12/13(木) 21:44:24 ID:22UMj4zG0
そろそろ亀の誕生日か
398ねぇ、名乗って:2007/12/24(月) 09:57:37 ID:3g9vWULa0
ノノ*´ー`)<・・・
399名無し募集中。。。:2007/12/30(日) 02:59:10 ID:w/i2N3q00
ガキえりスレまだあったか
400名無し募集中。。。:2008/01/07(月) 00:52:37 ID:pAZXRyHN0
念のためほ
401ねぇ、名乗って:2008/01/22(火) 00:34:55 ID:zuiAtGklO
(*・e・)< 落としちゃダメー!!
402ねぇ、名乗って:2008/01/29(火) 22:14:00 ID:leKCtfWy0
懐かしいスレだ
403ねぇ、名乗って:2008/02/05(火) 01:18:08 ID:SCRPfR8N0
ノノ*^ー^)・e・)
404ねぇ、名乗って:2008/03/19(水) 21:07:57 ID:A0DMWBdKO
〃*^ー^)A(・e・*)<ア〜ト!
405ねぇ、名乗って:2008/04/24(木) 12:54:24 ID:XVu2j02MO
もう誰もいないのか…
406ねぇ、名乗って:2008/05/04(日) 04:11:57 ID:RGuPe4RXO
たまに覗く俺がいるよ
407ねぇ、名乗って:2008/05/04(日) 18:10:28 ID:fytJO/flO
生中出しの亀井
408ねぇ、名乗って:2008/05/11(日) 17:35:42 ID:8YLdvjZxO
ほしゅ
409ねぇ、名乗って:2008/05/18(日) 00:13:36 ID:V0XVTUeMO
千葉の中心で「里沙ぁー!」と叫ぶ


そんな気分
410ねぇ、名乗って:2008/06/11(水) 01:35:29 ID:OLEdFMz7O
ノノ*^‐^)
411ねぇ、名乗って:2008/06/26(木) 12:41:05 ID:QU1XHSJ7O
誰かいる?

コンのDVDでお薦めってあるかなー?
ガキさんの出番が多いやつが欲しいんだけど
412ねぇ、名乗って:2008/07/06(日) 12:34:30 ID:0Ul41ANeO
どこを見ても更新のない寂しさ・・・
413名無し募集中。。。:2008/07/21(月) 11:22:42 ID:rDDxP5rd0
ここは?
414ねぇ、名乗って:2008/10/05(日) 23:00:12 ID:QpgomnQtO
TVで長沢まさみが
「にぃに――――ぃぃ!!」と叫んでいた

ハロモニ@でしか逢えなかった俺もそう叫びたい!


〃*^ー^)<ニィニィ!


 ガキサンテヨベ!<(・e・*)
415名無し募集中。。。:2008/11/10(月) 01:57:54 ID:wj1supdTO
懐かしいスレ発見
416ねぇ、名乗って:2008/11/17(月) 08:47:22 ID:zAYHSTih0
417ねぇ、名乗って:2008/12/16(火) 10:05:19 ID:rRpQdVbyO
↑これなに?
418Re:携帯21:2008/12/17(水) 22:37:21 ID:TUpkh1IEO
>>350

クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントを別々に…。
どちらか1つでさえ面倒だってのに…。
付き合い始めてから3度目のクリスマス。
我ながらよくやってるよなぁって思う。
そりゃあ好きな人の為ですもの…やる時はやるしかないでしょ。
けど毎年のことながらこの時期はいっつも金欠。
サークルの飲み会も集中するし幾らバイトしたっておっつかないし。
やっぱり頼むしかないかぁ。
これで3年連続。
情けない兄貴でゴメンよ。
エラい兄貴になりたくて…って寅さんみたいだ。
というわけで隣りの部屋をノックするのでありました。
419携帯21:2008/12/17(水) 22:47:23 ID:TUpkh1IEO
「梨・沙・子!起きてるか?」
こんな時だけこんな声出して妹にご機嫌伺ってみたりして。
はぁ…ホントに寅さんみたいに旅にでも出た方がいいかも。
「あっ、お兄ちゃん!そろそろ来る頃だと思ってたんだ!」
「そっ、そう?」
「そう!だって毎年のことだもん!!」
5つも離れた妹にこっちの下心なんて簡単に見透かされて、気持ちが良いくらいにあっけらかんとした声で返されてる。
有り難いんだけどなんだかとっても複雑な気持ち。

〈続く〉
420携帯21:2008/12/18(木) 18:41:41 ID:zNKLniQDO
「どうせ今年も絵里さんのプレゼント買うお金がないんでしょ!全くお兄ちゃんは成長しないんだから…」
ぐうの音も出ない完璧なお答え。
成長といえば梨沙子はここ数年でぐっと大人びてきた。
出るところは出てきたし引っ込むところは引っ込んで、パジャマの上から見ても分かる程立派に成長してきた。
それにこの性格。
あんなにも甘えん坊だった妹は誰に似たのかいつの間にかしっかり者になって、だらしない兄貴にもビシビシ手厳しい。
421携帯21:2008/12/18(木) 18:44:59 ID:zNKLniQDO
頼り甲斐のある妹を持って嬉しい反面、兄としての威厳が保てなくて申し訳ない限り。
「まあなにはともあれ絵里さんとは続いてるみたいで、なによりなにより!」
こましゃくれた妹の言葉に素っ気なく「あぁ、まぁな」とつまらなそうに言いたいところだけど、いつものバカ兄貴を知られてるだけにカッコつけても意味がない。
こういう時に思い出してしまう。
そんな言い方が似合うのはあの人しかいなかったんだなぁ〜って。
422携帯21:2008/12/18(木) 18:48:09 ID:zNKLniQDO
「まあそういうことだよ梨沙子、しかしなんで絵里の誕生日ってクリスマスと被るんだろうなぁ…ホント参っちまうよ」
「そんなこと言ったって仕方がないでしょう!はいお金!」
話の分かる妹を持つとことは順調に進んでいく。
梨沙子に絵里くらいの歳の女の人が欲しいものを聞いてみる。
「毎年アクセサリーだったから今年は鞄とか靴なんてどうかなぁ?」
「あいつブランドものとか興味ないみたいだけど」
「だったらその方がいいんじゃない?お兄ちゃん的に安くつくから!それにブランドものじゃなくても安くていいもの沢山あると思うよ」
そういうもんかねぇ〜と思いながら逐一相槌を打ちながら妹の意見に耳を傾ける。
423携帯21:2008/12/18(木) 18:50:24 ID:zNKLniQDO
いっそデートついでに一緒に見ながらああでもないこうでもない言いって選ぶのも悪くない。
その方が失敗もしないし自分の好みも言える。
うん、それがいい、そうしよう。
「そうだな、梨沙子の言う通り今年はそうしてみるよ!絵里と一緒に買いに行くことにする!」
「良かったねお兄ちゃん!」
優しく頷いた妹に今度は兄貴らしい質問をしてみる。
「お前、付き合ってる男とかいるのか?」
きょとんとしたつぶらな瞳で梨沙子は首を横に振った。
「好きな人は?」
「いない」
「なんで?」
「なんでって言われても困るけど同級生とかあんまり魅力感じないんだ」
梨沙子が嘘ついてるようには見えないし疑っても意味ない。
「兄貴の俺が言うのもなんだけど、お前相変わらずモテるんだろ?」
「まあね!」
えっへんと言わんばかりに得意気な梨沙子。
424携帯21:2008/12/18(木) 18:52:44 ID:zNKLniQDO
我が妹ながら安売りしないその姿勢に敬意を表したくなる。
どうかそのままでいってくれ。
男にとって都合の良い女にだけはならないで欲しい。
そしてこれまた恒例のなんか奢る約束をして部屋を出た。
う〜ん、ということは久々にあの娘にも会えるのだ。
楽しみ楽しみ。

〈続く〉
425ねぇ、名乗って:2008/12/20(土) 17:08:48 ID:ikA/HOKZO
携帯21氏 おかえりなさい!

今から楽しみに読ませてもらいますよ。
426携帯21:2008/12/21(日) 21:17:32 ID:IPuaVCmJO
>>425

ありがとうございます!
約1年半振りですが頑張ります
読んでくれる人は随時少なくなったと思いますがどうぞ宜しくお願いします!
427携帯21:2008/12/21(日) 21:27:31 ID:IPuaVCmJO
>>424

クリスマスを前にした土曜日の午後、梨沙子と2人して出掛けた。
絵里と付き合い始めた年、クリスマスプレゼントの為に梨沙子からお金を借りた利子として服とご飯を奢った。
たまたまその時に回転寿司屋の前を通るとトランペット欲しがる黒人少年よろしく店内を凝視している髪の毛バサバサの少女を見掛けた。
“NICE IDOL MUST PURE” と書かれたトレーナーを着て鉛色の寒空の下、家族連れで食べてる人達を羨ましそうに眺めていたいたいけな少女。
いつだったか我が家にも来たことあるし(あの時は散々だったなぁ)絵里が可愛がってる後輩ということもあって是非にと誘って一緒に回転寿司屋に入ったんだったけ。
それ以来どうしてなのか分からないけれど去年もあの娘を呼ぼうということになり一緒に回転寿司屋に行った。
そして今年も…。
428携帯21:2008/12/21(日) 21:32:11 ID:IPuaVCmJO
「あっ!来たよお兄ちゃん!」
実際のところ俺は楽しみにしてた。
最初に会った時のちんちくりんな印象から少しずつ大人の女性に変身していく過程を垣間見れる悦び。
妹の梨沙子に対する気持ちと似てるようでちょっと違う。
なんというか愛でる感じ。
どうしてなのか皆目分からないけれど、とにかく成長を見守りたいって思わせる不思議な娘。
あの娘には恋とは違う淡い感情を密かに抱いちまってる。
「Sさんにリーちゃん、お待たせぇ〜!!今年も呼ばれて来ちゃいましたぁ〜!」
キタキタ!!
「いやぁ〜桃子ちゃん久し振り!また可愛くなったんじゃないの?」
「いやぁ〜ですよぉ〜もぉ〜!でもホント〜ですかぁ〜?ホント〜なら桃スッゴく嬉しいですぅ〜!!」
ちょっと女性らしく丸みのある体になってきたかな。
おしりなんてプリっとして。
イイヨイイヨ〜!

〈続く〉
429携帯21:2008/12/24(水) 09:12:17 ID:iYLwPCbVO
とても濃いとは言えないのっぺりとした顔。
目も二重なんだかよく分からないけど愛嬌があって可愛い。
そして強く印象に残るのは桃子節とでも言いたくなる独特のイントネェーションで男心をくすぐる鼻にかかった甘えた声色。
ダメな人はダメなんだろうけど俺は大丈夫…というかご承知の通りけっこう好き。
考えてみれば絵里だって桃子ちゃん程ではないにしろ普段から甘えた声の部類に入ると思うし。
その上、絵里と桃子ちゃんはスタイルだって似ているような気もする。
いかにも古式ゆかしい日本人体型っていうか、ずんぐりむっくりで胸はさほどではないにしろ下半身が充実してる。
簡単に言うとあんこ型ってやつだ。
ぽっちゃりとはまた微妙に違うんだけどそこんとこ言い出したらキリがないから止めておく。
430携帯21:2008/12/24(水) 09:14:40 ID:iYLwPCbVO
世の大半の女性は雑誌を広げたら載ってるような細くて足が長いモデル体型に憧れるようだが、男からしたらそういうのを良いと言うのはどっちかって言ったら少数派なんじゃないだろうか。
グラビアアイドルのような胸とおしりが大きくてバランスがとれてる人はマジで良いなぁと思うけど稀にしか存在しないし。
体はそうでも顔が全然違ったり、またその逆だったり。
むしろ桃子ちゃんや絵里、またはぽっちゃり系がほとんどだ。
俺は絵里しか知らないけど実はこっちの方が抱き心地が良いような気がするし、大学の男友達もそう言ってる。
というわけで世の女性に声を大にして言いたい。
そのままで良いんだよ!って。
まあとにかく高校生になった桃子ちゃんはいろんな要素が加わって好きな人にはたまらなく好きな逸材になっていた。

〈続く〉
431ねぇ、名乗って:2008/12/27(土) 04:06:04 ID:fLGQHBW5O
         /\__,ヘ,
         ☆ノハヾ
          ル*’ー’リ○ 復活おめでとニャンニャンニャン♪
         ○   ノ 
        ⊂(_)_)
432携帯21:2008/12/27(土) 23:07:12 ID:UHIST2qnO
>>430

絵里ともよく来るお気に入りの回転寿司屋。
1皿100円なのにネタも新鮮で旨い。
店内はさほど広くもなく1人の職人さんともう1人のアルバイトでなんとかなる程度。
むしろ回転してるベルトコンベアは必要ないように思えなくもない。
そしてなによりここに来る楽しみの1つはネタを握ってくれる職人さん。
捻り鉢巻で威勢がよくて歳は20代後半位か。
桃子ちゃんを最初に連れて来た時はそんなことなかったのに絵里や大学の友達と何度も来るようになって以来ちょくちょく話したりして、いつの間にかお互いの身の上話までする程仲良くなった。
大体は恋愛話。
こちらから絵里のことを言うよりもあちらの話を聞くことがほとんどだった。

433携帯21:2008/12/27(土) 23:13:20 ID:UHIST2qnO
「好きな人がいるんだけれどよぉ、その人はあっしと職場の同僚と天秤にかけててよぉ〜」
「その同僚の男とは今までに何回となくやり合ったけれどよぉ、いっつも最終的には邪魔が入って勝負がつかないだよなぁ〜」
「いつかアイツをギャフンと言わせて先生をあっしのものに!!」
今まで来た時はこんな具合にいつも穏やかじゃない話になる。
ここんとこ顔見せてなかったから果して今日はどんな話になるのやらと不安に思いながら敷居を跨いだ。
「いらっしゃいませぇ〜!!」
んんっ?
予想外の優しげな女の人の声。
なんだか拍子抜けして店内を見渡すと場違いな程綺麗な店員さんがニコニコ立って愛想振りまいてる。
そして他のお客さんと話してたいつもの職人さんがなかなか入ってこない俺達をチラリと横目で認めたのが分かった。
ペコリと頭を下げるとあちらさんは気まずそうというか照れ臭そうに頷いてまたお客さんと話し始めた。

〈続く〉
434ねぇ、名乗って:2008/12/28(日) 12:44:13 ID:YYdbz15TO
いい!(・∀・)ノ

そっかぁ、あれからもう1年半も経つんですね。

くだらないこと書きながらでもスレを守ってた甲斐がありますよ。

続き期待!
435携帯21:2008/12/29(月) 07:36:24 ID:ZtwEDmoHO
>>433

目鼻立ちの整った上にスタイルも抜群でなんともエキゾチックな雰囲気を漂わせている女の店員さんに言われるままに席につく。
「ウニにぃ〜カンパチにぃ〜」
プラスチックの湯呑に熱湯が注がれるのを待つことなく早速桃子ちゃんは大好物を注文し始める。
俺も梨沙子も負けじと注文すると新しく入ったらしい女の店員さんが逐一頷きながら隣りでお喋りに夢中だった職人さんにそれを伝えた。
「あいよ!ウニにカンパチにそれからそれからぁ!!」
いつもの威勢の良い声が響くと瞬く間にネタとシャリが上手い具合に握られて女の店員さんが置いた皿の上にあっという間に並べられていった。
いやぁ〜お見事!
分かっていてもその妙技を見る度に唸ってしまう。

436携帯21:2008/12/29(月) 07:38:55 ID:ZtwEDmoHO
「美味しい〜!!」
桃子ちゃんの細い目がもっと細くなってやわらかそうなほっぺがゆっくりと上下している。
女の子なら誰だってそうだろうけど美味しいもの食べた時の満面の笑みはみんな可愛い。
特に桃子ちゃんは大袈裟な程の良いリアクションっぷりでほっぺに両手を合わせて潤んだ瞳でこちらを見てくる。
毎年この顔を見る為に桃子ちゃんをここに連れて来てるようなものだ。
嗚呼〜心が洗われていく。
「お〜S!久し振りだなぁ〜!」
更に注文を追加した桃子ちゃんの為に小気味よく腕を動かしながらこちらをチラ見する職人さんと目が合う。
さっき見せた微妙な顔はなんだったのか、何事もなかったように話してくる。
437携帯21:2008/12/29(月) 07:48:41 ID:ZtwEDmoHO
「梅さんご無沙汰してます!半年振り位ですね」
「おっ、おぅ、そうだな!」
いつものようにも思えるしどこかぎこちない気もする梅さん。
「S、おめぇ〜ビントロ好きだったなぁ、どうでぇ?」
「あぁ、いただきます!あとエンガワも」
「あいよ!」
久々に来たのに好きなもの覚えてくれてるのが嬉しい。
「美味しいですぅ〜!またウニ頼んでいいですかぁ〜?」
「イイヨ〜!」
桃子ちゃんにアホ面で頷いている俺を怪訝な顔で見てた梅さんが唐突に「絵里ちゃんはどうした?いいのかこんなに可愛い女の子連れて?それに2人もよぉ!」なんてことを言った。
「なに言ってるんですか梅さん!妹の梨沙子と絵里の後輩で3年前からこの時期毎年来てる桃子ちゃんじゃないですか」
「おっ、そうだったそうだった!1回来たお客さんのことは大抵覚えてるんだけど…2人共見ないうちに綺麗になったねぇ〜!」
冗談なのか本気なのかは分からないが調子の良いこと言った梅さんはいつも以上に見事な包丁さばきでビントロとウニを捌いていった。

〈続く〉
438携帯21:2008/12/30(火) 10:05:48 ID:qBDCR5p7O
「梅さんさんこそ変わったじゃないですか!女は手が温いから寿司は握れねぇからカウンターの中には入れねぇんだよ!!とか言ってたのにどうしちゃったんですか?しかもこんなに綺麗な人?」
カァ〜っと一気に顔が真っ赤になってく梅さん。
どうしたんだ?
「う〜ん…つまり…なんだぁ…」
しどろもどろで珍しく煮え切らない梅さんにこともあろうかなんと隣りに立っていた綺麗な店員さんがいきなり包丁を持っていた梅さんの右腕に体を寄せた。
「私達結婚したんだよぉ〜!」
嬉しそうにはしゃぐその人の横で鉢巻のゆるんだ梅さんの顔が崩れてく。
「よっ!梅さん日本一!」
常連さんなんだろうか、さっきまで梅さんと賑やかに話してたお客さんが大きな声で冷やかしてる。
「でも恋愛じゃないんだよ!お見合いなんだよ〜!」
笑いながら梅さんの奥さんはぶっちゃけた。
「この幸せ者!えりかちゃんホントにこんな男で良かったのかい?」
またもや常連さんが口を挟んだ。
439携帯21:2008/12/30(火) 10:07:15 ID:qBDCR5p7O
「てやんでぃ〜静かに寿司でも食ってろってんだぁ〜!」
梅さんは怒鳴りながらも目は笑っていて頼んでもいないトロを2皿、常連さんの前に置いた。
場の空気を読んでないのは分かっているけどどうしても聞きたいことがあった。
それは梅さんがあれほど恋い焦がれていた先生のこと。
「じゃあ…マチコ先生は…?」
ツンとワサビが効いたわけでもあるまいに梅さんは遠くを見るような目で軽く鼻をすすった。
「そんなこたぁ〜もうとっくの昔に忘れちまったぁ〜」
そこらへんの事情はえりかさんも知ってたみたいで今はどうなんだい?と言わんばかりの顔で梅さんの顔を覗き込んだ。
「ふん!」
顔を背けた梅さんにえりかさんは「でもこの人アタシのこと好きだって毎晩言うんだよぉ〜!」と無邪気な顔で平然と言ってのけた。
440携帯21:2008/12/30(火) 10:30:33 ID:qBDCR5p7O
「ば、ばかぁ〜おめぇ〜!」
慌てふためいた梅さんがえりかさんの口を塞ごうとするがえりかさんはスルスルっとそれをかわしながら逆に梅さんに抱きついた。
「いよぉ〜熱いねぇ〜お2人さん!!そういうのは2人だけの夜にしてくれよぉ〜!ごちそうさまぁ〜!」
そう言って席を立った常連さんはレジの方へと歩いていった。
しかしえりかさんは梅さんから離れようとしない。
さっきから毎晩とか夜とか桃子ちゃんや梨沙子には色々連想させられるちょっと刺激が強いような言葉が連続したが、2人は興味深そうに梅さん達の成り行きを見ていた。
「おい!えりか!レジ!レジ!」
首に巻きついた長い手を振りほどきながら梅さんが叫んだ。
「ハ〜イ」
えりかさんはそう言うとチュっと軽く梅さんの頬にキスをしてレジに向かった。
桃子ちゃんと梨沙子は目をパチクリさせて見合っていた。
ほんのりと口紅の色が梅さんの頬に浮かんでいる。
桃子ちゃんも梨沙子もあっけにとらえてるようでさっきまで忙しく動いていた箸も止まったまんま。
それにしてもえりかさんは大人っぽい外見とは裏腹に内面はとても幼いというか可愛らしいというか…。

〈続く〉
441携帯21:2009/01/01(木) 08:08:06 ID:piQKJe3iO
「ゴホッ、ゴホン…さぁさぁ…次はなに握りやしょ?」
気を取り直して寿司をいただく。
「それじゃ〜あ〜ハマチ!!」
元気のいい桃子ちゃんの声が高らかに響いた。
「んっ?あっ!あ〜っ!!」
突然梅さんの眉間がピクピクと動いた。
すると梅さんは手にしてる包丁を真っ直ぐ桃子ちゃんに向けてあんぐり口を開いた。
「あ〜っ!思い出した!!そういやぁ〜アンタ!桃子ちゃんだっけな?アンタうちの店よく覗いてたガキだろ!?」
不意に暴かれた桃子ちゃんの過去。
ハッと息を飲んだ桃子ちゃんが食べかけだったウニを置いてみるみるうちに萎んでいく〜。
つまり俺が見かけた時以外にも桃子ちゃんはここによく来てたってことかぁ。
ちょっとブルーになる話だ。

442携帯21:2009/01/01(木) 08:09:07 ID:piQKJe3iO
「あの頃よく店ん中覗いてるちんちくりんのガキ…最初男の子かと思ってたら常連さんが女の子だって言うからよぉ〜驚いたのなんのって!」
口の中で醤油の味が残っている。
ちょっとガリでも摘みたい気持ちだがこの微妙な空気がそれを許さなかった。
目を細めて懐しんでる梅さんといっぺんでほっぺが削げてげっそりした目も虚ろな桃子ちゃん。
そうだ。
俺も思い出した。
高3の時、桃子ちゃんが初めてうちに来た時のことを。
言っちゃなんだが美味くも不味くもない微妙としか言い様のないボタ餅作ってきてくれたんだ。
いつの間にか桃子ちゃんちがビ〇ボーって空気になっていてみんながナイーブに桃子ちゃんと接した…にも関わらず友人Tによってめちゃくちゃに…。
またあの時みたいに桃子ちゃんを悲しませちゃいけないよなぁ。
なんとかこの空気を変えなければ!
「…あの娘がこんなに可愛くなってお客として戻ってくるんだもんな!世の中分からないことだらけだよなぁ〜そうだろS?」
腕を組んだまましみじみと梅さんは続けた。

443携帯21:2009/01/01(木) 08:14:44 ID:piQKJe3iO
「桃子ちゃんよぉ、アンタがこの店を覗くようになってから幾らか経ったある日、隠居してたうちの先代が言ったんだよ…」
急に厳しい顔になった梅さんは真剣な眼差しで桃子ちゃんを見つめた。
「なんてですか?」
さっきまでが嘘のようにテンション下がりまくりの桃子ちゃん。
「おい梅!絶対あの娘を甘やかすんじゃねぇぞ!ってね」

熱気を帯び始めた梅さんは身振りも交えつつ更に続けた。
「その頃あっしはアンタが顔を見せる度に心を掻き毟られる想いだった」
テーブルを見つめたままの桃子ちゃんが口だけを動かした。。
「なんでですか?」
「あっしがなんで寿司職人になったかっていうと…そりゃあ人一倍寿司が好きで好きでたまらなかったからさぁ〜!!」
寿司に惚れ込んで惚れ込んで寿司職人になった梅さん。
美味い寿司をみんなに食べてもらいたい一心で修業して一人前になったばかり。
そんな時に寿司が好きで好きでたまらないのに食べることが出来ない桃子ちゃんが度々やって来る。
444携帯21:2009/01/01(木) 08:16:40 ID:piQKJe3iO
「梅!お前がここで情けをかけちゃぁ〜あの娘はこれからずっと人に乗っかって生きていくことになるんだぜぇ…って先代が言ったのよ…あれはワサビ1000人前鼻に突っ込むより効いたなぁ〜!!」
それからというもの梅さんは晴れた日だろうが雨の日だろうが桃子ちゃんを見かけても心を鬼にして無視し続けたらしい。
「優しさってなんだろな?」
梅さんが問いかける。
「優しいと思っていたことが易しいだけで人の為にはならないこともあるんじゃねぇのかい?」
少しだけ声を詰まらせながら梅さんは鼻をすすり上げた。
「それを桃子ちゃん…アンタから教えてもらったんだなぁ…ありがとよ」
俯いたままだった桃子ちゃんがゆっくりと顔を上げた。
ぷっくりとした可愛いほっぺに一筋の涙が伝い醤油の入った小皿にゆっくりと落ちていった。

〈続く〉
445携帯21:2009/01/02(金) 12:11:42 ID:PTwyrFwiO
「湿っぽくなっちまったなぁ〜!おっし!ここからぁ〜梅さんの奢りだぁ〜!たんと喰っていっておくんなせぇ〜!!」
捻り鉢巻をキュキュッと締め直し梅さんは包丁を握りしめた。
「そうそう!テンション上げていきましょう〜!!」
どこから聞いてたのか分からないがえりかさんが無理からなのか本性なのか妙なテンションで梅さんの横に戻ってきた。
「これじゃいつまで経っても儲からないけどねぇ〜」
ボヤくえりかさん。
「気にすんな!気にすんな!はい!なんにしやしょ!?」
梅さんは江戸っ子だった。
「梅さんは腕が良いんだから回転寿司じゃない方が儲かるんじゃないですか?」
こんなこと口を挟むべきじゃないだろうが乗りかかった船だし無遠慮に聞いてみた。
「いいんだよぉ〜そんなこたぁ〜よぉ!あっしは寿司さえ握ってみんなに食べてもらえたらぁよぉ〜!!」
鼻歌混じりの梅さん。
さすがは梅さん!!
かっこいい!!
「さすがは梅さん!!かっこいい!!」
俺が思ってたことをそのまんまえりかさんが口にした。
見た目とのギャップが面白い。
無邪気だなぁえりかさんって。
「だけど儲からないんだよぉ〜!」
上げたり下げたり忙しい梅さんの嫁・えりかさん。
2人はとってもお似合いだ。
446携帯21:2009/01/02(金) 12:13:36 ID:PTwyrFwiO
そして俺は置いていた箸を持って改めてカンパチを食べ始めた桃子ちゃんに高2になった今を無性に聞いてみたくなった。
「ところで桃子ちゃんは将来のこととか考えてるの?」
口をモグモグさせながら桃子ちゃんは手で待ってをして箸を置いた。
目は潤んだままほっぺにごはん粒をつけた桃子ちゃんが愛おしい。
「桃はですねぇ〜Sさんのお宅にお邪魔してからですねぇ〜本当にアイドル目指してるんですぅ〜」
そういゃあそんなこと言ってたなぁ…っていうか考えてみたら俺がそうけしかけたんだった。
話の流れ上そうなったとはいえホントに桃子ちゃんがそっちに行くとは…。
我ながら無責任だとは思うがホントに面白いなぁ桃子ちゃんは。
「Sさんに言われた通り高校に入ってアイドル研究会、略してアイ研に入ったんですぅ…それでそれでぇ〜」

447携帯21:2009/01/02(金) 12:15:17 ID:PTwyrFwiO
桃子ちゃんは本当に俺の言った通りアイ研でアイドルを観賞するよりもアイドルになる研究を始めたらしい。
戦後の歴代アイドルの特色を研究し、歌と歌い方、髪型、ファッション、あと驚いたことに処世術も調べ尽くしたみたいだ。
「だけど分かったんですぅ…」
神妙な面もちで桃子ちゃんは俺を見てきた。
「みんなの良いとこマネしたって結局わたしじゃないんですぅ〜だからぁ〜桃は桃って分かったんですぅ〜!」
「へぇ〜桃子ちゃん大人だねぇ!自分が分かるんなら本物だよ!俺なんてなにやっていいのか分かんないからあっちへフラフラこっちへフラフラ…」
これは本音だった。
大学に入ったはいいが将来のことなんて考えてない。
いや考えてないわけじゃないんだけどなにしていいのか自分が分からない。
それに比べて桃子ちゃん、そして絵里に新垣は…。

〈続く〉
448携帯21:2009/01/03(土) 00:26:48 ID:Y2s7mzmpO
「だからぁ〜今年に入ってからレッスンに通っててぇ…それでそれでぇ…」
「どうしたの?」
凄く恥ずかしそうだけれど言いたくて言いたくてたまらなそうな桃子ちゃんは俺がお願いするのをじらしにじらしてようやく口を開いた。
「実はですねぇ〜まだ誰にも言っちゃいけないんですけどぉ〜」
「うんうん」
「…もうすぐ桃の出てるCMが流れるんですぅ〜!」
「エェ〜ッ!!」
そこにいるみんなが驚いた。
興味なさそうだった梅さんも驚いた。
聞けば全国チェーンのピザ屋のCMに抜擢されたらしい。
「桃子ちゃん…ホ、ホントにアイドルになっちゃったんだね!」
驚天動地のこの世界。
果してなにが起こるか分からない。

なにが売れるか分かんない。
全国区でこの顔が流れる。
瞬く間にちやほやされて次に顔を合わすのはブラウン管の向こう側かもしれない。
そう思うとちょっと寂しい。
449携帯21:2009/01/03(土) 00:29:57 ID:Y2s7mzmpO
「あの時来ていたキャプテンのこと覚えてますぅ〜?」
あの日はTに紹介する為に桃子ちゃんに来てもらったんだ。
だけど桃子ちゃんの同級生で梨沙子のバスケ部のキャプテンの佐紀ちゃんがたまたま来ててロ〇のTは桃子ちゃんを無視してこともあろうか佐紀ちゃんと付き合うことになったんだ。
「キャプテンはバスケもやってるんですけどぉ〜ダンスのレッスンにも通ってるんですよぉ〜」
梨沙子も知ってるようで首を縦に振っていた。
「将来的にはダンスがしたいって言ってましたよぉ〜」
笑いながら桃子ちゃんはそれぞれの近況報告をしてくれた。
だが俺は苦笑いするだけで途中から寿司の味も分からなくなっていた。

450携帯21:2009/01/03(土) 00:31:06 ID:Y2s7mzmpO
みんな好きな道を歩み始めている。
1人だけおいてけぼりをくったようで焦るよりも淋しかった。
梅さんとえりかさんのなんだかんだ言っても幸せそうな様子も漠然とさえしていない自分の将来を不安にさせた。
結婚かぁ…。
考えるだけ馬鹿だけどこのまま絵里と上手くいくのだろうか。
ついネガティブな方にばかり考えがいってしまう。
このままじゃいけないんだろうけれど、なにをしたいのか分からない。
箸先にウニを乗せて美味しいそうに口に運ぶ桃子ちゃんの姿がとても眩しく、また羨ましく思えのだった。

【夢見る頃を過ぎても編】

〈完〉
451携帯21:2009/01/05(月) 20:45:54 ID:nd0YvIvdO
夕暮れ時の寂しさは年の瀬が迫る程に増すばかりだった。
今日23日は絵里の二十歳の誕生日。
だけど今年は会えない。
絵里が所属する劇団『水蟷螂(カマキリ)』はニューイヤー公演を前にして稽古も大詰めを迎えていた。
毎日遅くヘトヘトになって帰ってることを電話やメールで知ってたから無理強いは出来ない。
それに今日会えないからって別にどってことない。
2年半も付き合ってたらまあそんなもんだろう。
明日はクリスマスイブだからって浮かれてる世の中を余所にベッドで普段読まない本なんか開いてたりして。
コツコツ!
窓を叩く音。
珍しいなぁ…。
ガラッと窓を開けるとイジワルそうな笑みで新垣がこっちを向いていた。
452携帯21:2009/01/05(月) 20:48:59 ID:nd0YvIvdO
「カメ忙しいから構ってもらえないんでしょう〜」
そう言いながらニヤけた顔で俺の部屋に入ってくる。
風呂から上がったばかりなのか少し濡れた髪から良い匂いがした。
お前ほど淋しかないよ…。
ホントはそう言ってやりたかった。
「はっはっは」
俺のムッとした顔を見て勝ち誇ったように笑ってる新垣にいちいちリアクションするのも面倒臭くなって再びベッドで天井を見上げた。
「カメの誕生日だってのに電気点いてんだもん、おかしいと思ったんだぁ〜」
あれ以来新垣にどう接してやればいいのか分からないでいる。
こうして2人でいる時も絵里や他の誰かがいる時も俺は新垣にどうしてやるのが本当なのか自問しながらまだその答えが出せていなかった。

〈続く〉
453携帯21:2009/01/06(火) 18:10:19 ID:zqFzRePYO
「いいんだよどうせ明日会うんだから、誕生日じゃなきゃダメってことないだろう、俺達もう2年半も付き合ってんだし」
「あぁ〜そういうこと言うんだ!そんなの聞いたらカメ悲しむよぉ〜!」
「好きには変わりないんだからいいだろ、しかもあいつが忙しいから会えないんだしどうしろっていうんだよ?」
「分かってるって〜またまたムキになっちゃってさ〜ホント大人気ないからぁ〜」
確かに我ながら大人気ない気もしたけれど図星なだけに悔しかった。
お前こそ本当は…。
「なによ?」
「いや」
「なんか言ってよ?」
「はぁ?」
「……」
「逆ギレですか新垣さん?」
ストーブの前に小さなおしりでどっかりと座ってこっちを見てる新垣を無視してそそくさとコーヒーを注いで自分で飲む。
454携帯21:2009/01/06(火) 18:12:16 ID:zqFzRePYO
「私もちょうだいよ」
「勝手にやれば」
「ハイハイそうしま〜す」
俺はやたらとデカい白のマグカップ。
勿論絵里のもある。
絵里のは以前一緒に行った雑貨屋で買ったピンクの花柄の。
新垣のはファイヤーキング。
梨沙子の趣味でもあるまいし一体どこから新垣のカップが来たのか分からないがいつの間にかそこにあるし、それが当たり前になっていた。
「今年はカメになにあげるの?」
新垣は絵里と喫茶Kでバイトするようになってコーヒーが飲めるようになったらしい。
新垣がこのカップを使う度にコーヒーを飲めることがさも凄いかのように言っていた。
全くバカバカしい。
「考えてないっていうか好きなもの買ってもらうつもり」
455携帯21:2009/01/06(火) 18:13:48 ID:zqFzRePYO
「へぇ〜そりゃ良いねぇ!絶対アンタのアイデアじゃないでしょ?」
そういうとこはさすがだった。
なんでもお見通し。
「あぁ…梨沙子」
「だと思った」
不思議と悪い気はしない。
それがごく自然に思えて。
なんていうか当たり前過ぎていることに逆に驚いてしまう程に。
「じゃあこのカップもカメが選んだの?」
「正解」
もしかしたらその質問は以前にも新垣から聞いた気もするが新垣が忘れてるならそれでいっこうに構わなかった。
「カメやっぱ忙しいんだよねぇ〜」
分かってるくせに確かめようとしてるのか俺は別になにも言わなかった。
「どう大学は?」
他愛もない会話。
「うん、まあね」
予想通りの返事。
お互い馴れ合う為のご挨拶。
新垣は高校を卒業して近くの女子大に入った。
他にも色々と受かってたみたいだけれど近いからっていう理由でそこに決めたらしい。
俺なんてようやく1つ受かったってのに。
お互い自宅から通えるけれど滅多に顔を会わすことなんてない。
当たり前だ。
いつまでも高校気分ではいられないんだから。

〈続く〉
456携帯21:2009/01/07(水) 22:53:03 ID:AIoB7J/LO
分かっていてもあまりにも楽しかったし嬉しかったし…悲しかったから、いつまでも終わらない気がしてただけ。
それぞれの人生が交わったり離れたり、思い出したり忘れたりして過ぎていった。
「ところでアンタさぁ〜」
半分飲み終わったコーヒーを置いた新垣が思い出したかのように言葉をつなげた。
「将来のこととか考えてる?」
別に興味もなさそうに例の調子で新垣は俺を見ていた。
「う〜ん…これといってなんもないかなぁ」
それに対してやっぱり新垣はなにも言わなかった。
だと思った…アンタのことは分かってるって!
なにも言わないってことはつまりそう言ってるようなもんだった。
「じゃあお前はさぁ、なんで先生なんかになりたいわけ?」
それこそ耳にタコが出来るくらい何回も聞いてるんだけれどなぜか聞いてしまう。
457携帯21:2009/01/07(水) 22:53:59 ID:AIoB7J/LO
いや分かってる。
理由なんて分かってて聞いているんだから。
「あのねぇ〜何回言えば気が済むのよ!アンタと違ってねぇ私はちゃんと考えてんの!」
始まった始まった。
いつもの新垣の口調が始まった。
これが聞きたいが為に何度だって…。
「安倍さん!アンタだって知ってるでしょう!あの安倍さんみたいになりたいの!!」
最初はなんで安倍さんなのか意味が分からなかったけれど新垣が言うには…。
「安倍さんにはねぇ〜誰かになにかを伝えるパワーがあるの!持って生まれた明るさの上になにかが備わってるの!私なんてそれで救われたんだから!」
相変わらず安倍さんの話になるとボルテージが急上昇する新垣。
458携帯21:2009/01/07(水) 22:55:58 ID:AIoB7J/LO
言わんとすることは分からないでもないが安倍さんのこととなると途端にまわりが見えなくなる新垣。
一瞬にして狂信的になるのが凄い。
その一途なところが新垣の新垣たる由縁かもしれないがいやはや凄まじい。
そんでもって俺にはそれがない。
熱くなるものが全然ない。
ただなんとなくなんとなく。
そうやって生きている。
でもなんにも思わないわけない。
生きてるんだから。
俺は生きてるんだから。
だから新垣やこの前の桃子ちゃん、それに絵里が正直羨ましい。
新垣や桃子ちゃんの話を聞いたり絵里の姿を見てたら俺もなんかしなきゃって気になる。
その気にさせてくれるから新垣から安倍さんの話が聞きたくなるんだ。

〈続く〉
459携帯21:2009/01/08(木) 16:46:51 ID:m4OZcSUVO
「安倍さんがあんな風になったのはいろんなことを乗り越えてきたから…だから…だから私だって安倍さんみたいになりたいの!」
憧れが自分を強くしていった新垣。
安倍さんへの想い。
そして新垣の口からは出ないけど…カメ兄への想い。
「私はねぇ〜安倍さんみたいに音楽で伝えることなんて出来ないしあんな笑顔だって出来ないの!」
完全にスイッチの入った新垣は止められない。
「だからなんとか先生になって…出来ればバスケ部の顧問になって生徒達に生きてるってことを実感して欲しいんだ…ダメ?」
強引なこじつけとも思えなくないが信じきってる人間は強い。
その強さを俺は疑ってるわけじゃないんだが…いつもなにかが引っかかる。
自分でもよく分からないけれど、多分それはカメ兄の死についてだろう。
以来新垣はカメ兄のことを口にしなくなった。
460携帯21:2009/01/08(木) 16:47:51 ID:m4OZcSUVO
だからみんな当たり障りのない言葉しかかけれない。
それが残された者への普通の対応なら俺は普通じゃなかったのかもしれない。
小さな頃から憧れていた友達の兄貴。
友達の兄貴だから家に遊びに行けば会えそうなものを行かなかった。
それに言えなかった。
気付いて欲しかった。
鈍感な友達のせいでやきもきすることばっかり。
だけどそんな友達だったからこそずっと一緒にいられた。
そしてようやく再会したにも関わらずすんなり告白も出来やしない。
あっちにはちゃんと恋人もいたし。
じれったいくらいに伝わらない想いと進まない関係。
それが喫茶Kでバイトすることになって動き出す。
遂に告白出来た。
それだけで充分だった。
なのにむこうはそれに応えてくれた。
思ってもみなかった両想い。
それなのに…それなのに…。
461携帯21:2009/01/08(木) 16:50:09 ID:m4OZcSUVO
始まりが終わりだなんて…。
新垣のカメ兄への想いとそれまでの時間を考えてしまうとやっぱり言葉に詰まってしまう。
カメ兄が死んでからというもの俺はカメ兄のことやそれ以降のことを新垣には一切聞いていない。
兄貴を失った絵里でさえ相当ショックは大きいはずなのに絵里も新垣に遠慮して俺と同じようになにも言えないでいた。
新垣のことだから俺達にどう思われてるかなんて知ってるに決まってるだろう。
でも俺達もそれを新垣が知ってること分かるから余計に辛くなってしまうんだ。

〈続く〉
462携帯21:2009/01/09(金) 11:33:09 ID:vBnEVQv3O
アンタならどうするか…って。
アンタが生きてたら…って。
分かってる?
アンタのせいで…。
アンタがいないからみんな自分でなんとか答え見つけようと生きてんだよ。
不安だけどどっかで信じてんだよ。
ちゃんとアンタが俺達の中で生きてるってことを。
なあ、そうだよなぁ新垣?
だからお前の本音が聞きたい。
今のお前が知りたい。
お前が言わないから俺はお前のその笑顔を疑ってしまうんだ。
それとも俺が聞かないから新垣だっていつまでも言えないのか?
逃げてるつもりはないけれど…やっぱどっかで俺は逃げてるのか?
カメ兄の死から俺は…俺達は…本気で向き合うのを諦めたかのように。
諦める…。
誰と?
新垣と?
絵里と?
カメ兄と?
自分と?
分かってる。
分かってるんだけど…怖いんだ。
463携帯21:2009/01/09(金) 11:34:38 ID:vBnEVQv3O
「ねぇ〜ダメ?」
じれったそうな新垣声で俺は我に返った。
「んんっ…いいんじゃない」
気持ちとは裏腹に抑揚のない声で返す。
「気持ち籠もってな〜い」
俺、まだお前みたいに本気になれないから。
それに本気になるのってなんかちょっとはずかしいじゃん。
マジになんなよ。
もうちょっと今のままでいさせてくれ。
「ねぇ…楽しい?」
「なにが?」
「なんだろうねぇ〜」
ふざけてるわけじゃないんだろうけど取り留めのない話で掴み切れない。
なんなんだよ。
今の俺見透かされたようで腹立つなぁ。
そんなに今の俺ってダメか?
お前の知らない俺だってあるんだから…あるに決まってる…あるはず…あってくれぇ…。
464携帯21:2009/01/09(金) 11:35:11 ID:vBnEVQv3O
「アンタもさぁ〜そろそろ考えた方がいいよ!いつまでもこのままでいられるわけないんだからさぁ〜」
分かってるよそんなこと。
分かってるけど分かんねぇんだよ。
じゃあお前はどうなんだよ。
いつまでも思い出にしがみついてるだけじゃねぇか。
「カメは凄いねぇ〜本当に劇団入っちゃたんだもん」
どういうわけか分からないが新垣が絵里を引き合いに出したことで俺の中の今まで保ってたものが音を立てて崩れていくのが分かった。

【ALONE TOGETHER編】

〈完〉
465携帯21:2009/01/10(土) 21:17:51 ID:T2DVJx0iO
「じゃあ聞くけどさぁ!お前はどうなんだよ!?」
守るべきもの?
そんなもん元々なかったはずだ!
ないものになんで俺が固執しなきゃいけないんだ!
黙ってるまんまが優しさかよ!!
「えっ、なにが?」
「お前はどうなんだって!!」
「だから言ってるでしょ、先生やるって」
「そうじゃなくて」
「はぁ?」
「そうじゃなくて…お前はカメ兄のこと…」
「……」
「…カメ兄のことから離れられないままじゃねぇか!!」
勢い。
ただそれだけ。
それだけがなかなか難しい。
今で良かったのか?
言った後に気付く。
本当に言ってよかったのか?
今まで抑えて抑えて聞けなかったこと。
一度出た言葉はもう取り戻せない。
分かってる。
分かってるから後悔はしてない。
だけど後悔とは違うなにかが俺の中にあって。
小骨のように引っかかってるんだけれどそれ以上に溜めに溜めてたものが今になって溢れてきた。
466携帯21:2009/01/10(土) 21:22:52 ID:T2DVJx0iO
「アンタに分かるわけないでしょ!」
いつだったか前にも同じことあったような気がする。
「分からないよ」
「……」
「分かんないから…黙ってた」
「……」
「分かるわけない」
「……」
「分からないから今までず〜っと黙ってた」
「……?」
「だけど…もうダメだ」
「えっ?」
「前にも同じようなことあったな」
それは新垣が初めて俺と絵里にカメ兄が好きだと告白した時のこと。
高3の暑い夏だった。
467携帯21:2009/01/10(土) 21:26:49 ID:T2DVJx0iO
ストーブの火がゆらゆらと揺れてた。
今時石油ストーブなんてとも思うけど俺は嫌いじゃない。
なぜならって火が見えるから。
エアコンやファンヒーターじゃ見えやしない。
鉄の網が真っ赤に焼けてその隙間から橙や青の火が揺れているのを眺めているのが心地良い。
ストーブの上に置いていたヤカンから沸いた湯をマグカップに注いで啜るだけ。
普通のインスタントだけれどそれが俺には至福の時間。
高校で野球やってた頃に比べて大学のサークルは生温い。
お遊びの野球。
その生温さが大学生って思ってる。
ピーピー言い出したヤカンを取って新垣のカップと自分のに注ぐ。
そういえば…。
絵里と付き合い始めた頃、新垣が初めて俺達にカメ兄を好きだって言ったのもこの部屋だった。
あの時も新垣は俺達が散々執拗に聞いた挙げ句ようやく口を割ったんだった。
468携帯21:2009/01/10(土) 21:29:02 ID:T2DVJx0iO
扇風機とストーブ。
確かに時間だけは過ぎていった。
「今のお前だよ…今…お前は…あの人のことどう思ってんだよ?」
今まで言えなかった言葉が自分でも驚くくらい溢れてくる。
「どんな時も聞けなかったんだよ」
「……」
「どんな顔して聞けばいい?」
「はぁ?」
「だってさぁ…カメ兄のこと触れないことが優しさだと思ってたからさぁ…」
「……」
「触れないことで…今まで通りの俺達でいられると思ってた」
「……」
「でも…それじゃ嫌なんだよ」
馬鹿みたいに独りで喋ってる。
だけど止まらないんだ。
「それじゃあもうダメなんだ…俺たまんないんだ」
新垣は今なにを見ているのだろう。
「どうなんだよ新垣?」
変な話だけどこれだけ言えただけでも俺は随分気持ちが楽になっていた。
今までが今までだったから胸の内を吐き出すことで俺だけは助かりたかったというか。
多分そういうことなんだろう。
ずっと俯いて黙ったままだった新垣がいつからか真っ直ぐ俺を見ていることに気付いたのは、自分らしくないことをして我を忘れてしまったせいだろう。

〈続く〉
469携帯21:2009/01/12(月) 16:07:00 ID:eHVPKTj7O
「どした?」
沈黙以上の沈黙。
一瞬俺を見たと思ったんだが湯気の出たコーヒーカップを見つたまままた新垣は動かなくなった。
熱いコーヒーを啜ると時計は10時を過ぎたところだった。
大学に入ってゆるい生活に馴染んでる俺。
その一方で高3のままの俺がくすぶりながらも心のどっかで時々顔を出しては大学生の俺を笑ってた。
このままじゃいけない。
分かってる。
分かってるんだけれど…。
そんでもって凄く傲慢だけれど新垣が変わったら俺も変われるような気がして…。
だから…。
「うん」
微かに聞こえてきた新垣の声。
俺が新垣の目を見ると新垣は自分に納得させるみたいに改めて「うん」と言った。
もうすぐ3回忌。
絵里の誕生日に不意に訪れた新垣との時間。
「年が明けたら…また命日が来るね」
「あぁ」
次の言葉を待つのがもどかしい。
470携帯21:2009/01/12(月) 16:08:23 ID:eHVPKTj7O
「やっぱりあの時のこと…忘れたり出来ないよ」
「うん」
「いつも握ってた手が冷たくって…逃げてくみたいに私の手から離れていった…」
「……」
「何回も名前呼んだんだよ」
「うん」
「何回も呼んだん…だ…けど…」
段々と新垣の声が湿っていく。
「応えて…応えてくれ…なかっ…た」
「……」
「応えてくれなかったんだよ」
「……」
「だって…だって…動かないんだもん」
分かってはいたけれど俺は新垣になんか言いたいのになんにも言えないでいた。
「なんで…なんで…」
俺だって覚えてる。
忘れられるわけがない。
目の前で泣き叫ぶ新垣…そして動くことを止めてしまったカメ兄。
「なんで…なんで私だけ…私だけいっつもそうなんだろう…」
いつからか新垣の目は溢れてくる涙をこらえきれないで流れるままになっていた。
471携帯21:2009/01/12(月) 16:15:40 ID:eHVPKTj7O
新垣にとって大切な人。
安倍さんとカメ兄。
安倍さんが生きてることは俺と絵里の旅行で奇跡的に分かったけれど…カメ兄はもう戻ってはこない。
「分かってる」
「ん?」
「分かってるんだよ…もう帰ってこないって…」
「……」
「だけど…忘れることなんて出来ないの」
そう言うと新垣はうずくまるように床に顔をつけて泣いた。
静まり返っていた俺と新垣しかいないこの家に新垣の声だけが響いては消えていった。
外は随時寒いんだろうな。
そういえば妹と勝手に出掛けた両親が遅い。
どうせどっかで旨いものでも食べてんだろうけど。
よく見るとストーブで温かいこの部屋との温度差のせいで新垣が入ってきた窓には水滴が出来ていた。
俺はそのひとしずくが他の水滴を取り込んでゆっくりと落ちていくのを眺めていた。
すすり上げては止めることの出来ない嗚咽が今まで誰にも胸の内を見せなかった新垣の心の欠片みたいに思えて痛かった。

〈続く〉
472携帯21:2009/01/16(金) 22:30:53 ID:M83r07XmO
「馬鹿みたいだよね」
無理に笑おうとしてるのが分かるだけに痛々しかった。
「散々振り回されて…散々みんなに迷惑かけて…沢山みんなから応援してもらったのに…」
新垣が止まった。
「…死んじゃうんだもん」
新垣はそう言うと笑いながら視点の合わない目で俺を見つめた。
「私が悪いのかなぁ…」
「私がいるから…みんなどっか行っちゃうのかなぁ…」
意味が分からなかった。
「分かったから!もういいって新垣!」
「分かったって…なにを…」
感情のないきょとんとした目が異様に怖かった。
「アンタに分かるの?」
俺を見ているのか見ていないのか分からない新垣は首だけ伸ばして不気味に笑った。
「なにが分かるの…」
「大好きだった」
「ねぇ…大好きだったのよ」
473携帯21:2009/01/16(金) 22:32:14 ID:M83r07XmO
俺の肩に手をかけて顔を覗き込んでくる新垣。
「本当に…本当に好きだったの」
軽いはずの新垣の体が少しずつ重くのしかかる。
「ねぇ…」
「どうしようもないじゃない」
「死んじゃうなんて…どうしたらいい?」
「進めないし…後戻りも出来ないのよ」
「止まったまんま…私だけ止まったまんま」
俺の顔の前で新垣がケタケタと笑う…と思ったら徐々に顔が崩れていき食いしばって耐えようとするけどどうにも出来ないで遂には天を仰いで号泣し始めた。
そしてその細い腕を俺の首に回して…俺の胸に顔をうずめて泣きじゃくった。
さっきまでの髪の匂いが感じられなかった。
首に回していた手を背中に回した新垣は俺にしがみついてるような格好で泣き続けた。
どうしたらいいのか分からない俺の両腕が空しかった。
474携帯21:2009/01/16(金) 22:34:22 ID:M83r07XmO
俺の肩に手をかけて顔を覗き込んでくる新垣。
「本当に…本当に好きだったの」
軽いはずの新垣の体が少しずつ重くのしかかる。
「ねぇ…」
「どうしようもないじゃない」
「死んじゃうなんて…どうしたらいい?」
「進めないし…後戻りも出来ないのよ」
「止まったまんま…私だけ止まったまんま」
俺の顔の前で新垣がケタケタと笑う…と思ったら徐々に顔が崩れていき食いしばって耐えようとするけどどうにも出来ないで遂には天を仰いで号泣し始めた。
そしてその細い腕を俺の首に回して…俺の胸に顔をうずめて泣きじゃくった。
さっきまでの髪の匂いが感じられなかった。
首に回していた手を背中に回した新垣は俺にしがみついてるような格好で泣き続けた。
どうしたらいいのか分からない俺の両腕が空しかった。
「ごめん…」
目と鼻の頭を真っ赤にした新垣の顔が浮かんだ。
「…でも…もう少し…もう少しこのままでいさせて…」
かすれそうな声が聞こえた。
俺はなにも言わずやり場のなかった両腕でしっかりと新垣を抱きしめた。

〈続く〉
475ねぇ、名乗って:2009/01/16(金) 23:30:19 ID:6mITzrUzO
いつも真っすぐなガキさんがせつない・・・

乙です
476携帯21:2009/01/17(土) 18:47:54 ID:p2r481b2O
>>474

多分新垣は「ありがとう」と言ったと思う。
声にならない声が胸の辺りでした。
「忘れられない」
随分してからため息のような声で新垣が再び顔を上げた。
「当たり前だろ…」
俺は平然と言いのけた。
「えっ?」
驚いてる様子の新垣。
「なに言ってんだよ」
「……」
「誰も忘れることなんて出来ないよ」
新垣が俺を見てるのは分かってたけれど俺はあいつの目を見ては話せなかった。
「忘れちゃいけないんだ…だって俺達生きてるんだから」
なんでもない当たり前のこと。
そう自分に言い聞かせながら確かめるように言葉を重ねる。
「カメ兄が俺達の中にいる」
聞いてるだけの新垣。
「それ…認めた上で…前向いて生きてかないと…カメ兄に申し訳なくないか?」
「……」
477携帯21:2009/01/17(土) 18:50:15 ID:p2r481b2O
「俺達生きてるんだもんな…カメ兄からのメッセージ…それが生きてんだもん」
「うん」
「生きていこうぜ」
「うん」
新垣の目が少しずつ熱くなってきた。
顔もそれに伴って表情が出てきた。
どういうわけだろう。
それを認めると不意に俺の手にあの時の新垣の手の感覚が蘇ってきた。
“いやぁ〜!!”
冷たくなったカメ兄と泣き叫ぶ新垣。
あの時、新垣の手が俺の手をがっちりと捕まえていた。
冷たくもない。
熱くもない。
ただ握り返さないではいられない手。
新垣の背中に回していた俺の手が自然と新垣の手を探す。
守らなきゃいけない手。
細くて小さな新垣の手。
それを俺のぶっきらぼうな手が包んだ。

〈続く〉
478携帯21:2009/01/18(日) 23:15:23 ID:eDwxDEcYO
不思議そうな顔の新垣。
俺はどんな顔して新垣を見ているのだろう。
そしてその手がゆっくりと腕を伝って新垣の頬を包む。
ただじっと新垣は俺の目を見ていた。
頬を流れていった涙の跡を拭ってやると新垣は少しだけ笑った。
目の前にあるヤカンなのに遠くの方でピーピー鳴ってる気がした。
改めて目が合うと新垣はもう笑ってはいなかった。
いつの間にか俺から距離を縮めていた。
鼻先に新垣の顔がある。
ゆっくりとゆっくりと隙間を埋めるように近づいていく唇と唇。
「ダメ…」と一瞬新垣の口が動いたような気がしたが…その少しだけ開いたままの唇に引き寄せられるように俺の唇が重なる。
唇と唇が合っただけ。
それ以外のなにものでもないキス。
ただそれだけのキス。
お互い呼吸してないかのような静かなキス。
そこだけ時間が止まったかのような長いキス。
479携帯21:2009/01/18(日) 23:19:52 ID:eDwxDEcYO
そしてヤカンがピープー叫ぶように鳴り始めた。
唇を離したのは新垣だった。
近すぎて分からなかった新垣の顔がはっきりと見える。
自然と体を離そうとした俺。
新垣もそうするもんかと思ってたらガバッと俺の首に手を回してきた。
さっきみたいに抱きしめられるかたちになってやっぱり所在なさげな俺の腕。
内心驚いたけれど声には出せない。
どういう気持ちなのか分からないが俺の頬に新垣のほつれた髪が微かに触れた。
新垣の腕に力が籠もる。
「ありがとね…」
ギュッと新垣を感じた。
ぴったりと触れ合った新垣の頬は温かかった。
「おっ…おぅ」
そう声に出すのが精一杯。
大きく深呼吸する。
落ち着け。
急なことで体がバクバクいってる。
体を寄せてきたのは新垣。
首に手を回したのも新垣。
だけど新垣の顔を包み込んでキスしたのは…俺…多分。
その後予想外なことにまた体を預けてきたのは新垣。
そんな風に段階を追っていると新垣の重みに逆らうように俺のアレが反応し始めた。
ヤバい!
新垣に反応してる!

〈続く〉
480携帯21:2009/01/21(水) 10:36:15 ID:Kmx8EcPDO
「知ってたよ」
不意に耳元で聞こえた新垣のそれこそ泣き笑いの声。
「アンタがお兄さんのこと言わないようにしてたこと」
妙な下半身の反応がゆっくりと萎んでいく。
「だから…」
「ん?」
「だから私も言えなかった」
「……」
「時間って怖いね」
「なにが?」
「時間が経てば経つ程ね…言えなくなっちゃうんだもん」
体中の力が抜けていく。
「なんだ…お前もか…」
「うん」
「そうだったのか」
「うん…だって私から言っちゃったら…なにかが溶けてなくなりそうで…」
それに対して俺はあえてなにも言わなかった。
言えなかったんじゃない。
「でも…もう大丈夫みたい」
「なにが?」
「こうやって言えたってこと」
「どういうことだ?」
「口に出して言えたってことは今だったってこと…だよね?」
立て続けに新垣は言った。
481携帯21:2009/01/21(水) 10:37:32 ID:Kmx8EcPDO
「昨日でも明日でもない!今日だったってこと…だよね?」
新垣らしいハキハキした明るい声が返ってきた。
俺達は今を生きている。
新垣が言いたかったのは多分そういうことなんだろう。
「私生きてるんだからだから私を生きなくっちゃね!」
それってもしかしたら…。
急にあることを思い出した。
「なぁ〜カメ兄が大学でライブしたよな?」
「うん」
なにを今更と言わんばかりに新垣が不思議そうな顔で首をかしげた。
「あの時さぁ〜石川さんと会ったよなぁ〜?」
「それがどうかしたの?」
「確かカメ兄、石川さんが分かっちゃったとかなんとか言っよな」
「そうだけど」
「うん、もしかしたらそういうことなんじゃないかなぁ〜」
「えっ?」
「いや、今のお前だよ!自分の身の丈っていうかさぁ…生きてること分かったから自分が分かったみたいな…」
482携帯21:2009/01/21(水) 10:39:46 ID:Kmx8EcPDO
益々不思議そうな顔の新垣。
だから俺は力強く言ってのけた。
「おぉ!そうだ!そうに決まってる!」
なにをどう繋げて伝えていいのか分からなかったから「とにかくそういうことだ!」と強引にまとめてしまった。
俺は言葉ではなんとなく分かってはいるけれど新垣みたいに体で分かっていない。
新垣は頭では分かっていないけれど体でちゃんと分かってる。
その差はどうしようもないほど決定的だった。
「アンタなに言ってんの?」
バカバカしそうに新垣が俺を眺めてる。
うん。
これでいいのかもしれない。
すると新垣は急に改まって落ち着いた目で「今日はありがとね」と言った。
「いや…ずっとだね」
「えっ?」
「なんでもない」
すました新垣の横顔。
「アンタのそういう後先考えないとこカメも好きに…」
483携帯21:2009/01/21(水) 10:43:20 ID:Kmx8EcPDO
そう言った途端新垣は真っ赤になって俺から離れると急に背を向けた。
「カメには内…」
「分かってる」
新垣が続けるのを掻き消した俺。
お互い焦ってるのバレバレなのが分かるから2人して思わず笑ってしまった。
こうやってバカ笑いが出来る新垣と俺。
カメ兄が生きてた時には絵里も交えて出来たのに…。
果して気兼ねなく心の底から笑える時がまた来るのだろうか。
静かに…でも確かにストーブは燃えていた。
先端の青白い炎の揺らめきをしばらく眺めていた。
ふと片隅を見ると使われていないマグカップが1つだけ置いてあるのが目に入った。
確かに1つだけ…。

【KISS OF FIRE編】

〈完〉
484携帯21:2009/01/26(月) 22:29:49 ID:5eodWuJQO
年が明けた。
びっくりするほど晴れ渡った感動の空。
恋をするならこういう空の下でしたい。
結局クリスマスも休み返上の絵里は年内ずっと稽古らしく電話で話したものの会うことはなかった。
というわけで元旦の今日ようやく会えるのだ。
ジーンズとダウンジャケットでのらりくらりと出かけた俺は待ち合わせの時間を少しだけオーバーして最寄りの駅に着いた。
絵里はまだ来ていなかった。
ちょっと肩透かしをくった感じで待っていると赤と黒のチェックのコートにスカート、それに膝が隠れるくらいのブーツを履いて横断歩道を渡ろうと立っている絵里を見つけた。
携帯を気にしながら健気に青になるのを待っている絵里を眺めているのは良い気分だった。
485携帯21:2009/01/26(月) 22:32:30 ID:5eodWuJQO
青になると同時に走り出す絵里。
似合ってはいるんだけれど慣れないブーツがぎこちなさそうでなんとも可愛かった。
「ごめ〜ん待ったぁ〜?」
「いや俺も今来たとこ」
「なら良かった、行こっ!」
絵里の右手と俺の左手が当たり前のように一緒になって歩いてく。
なんだか絵里は上機嫌ではしゃいでる。
なかなか会えなかったのもこの笑顔を見ているとどうでもよくなってくる。
けれどあのことだけは言えない。
「…さんがね」
演技について…経営について…人間関係について…そして夢について。
絵里は劇団のことを話し続けた。
その度に俺は相槌を打つ。
高校を卒業する2ヶ月前に絵里は兄貴を失った。
多分そのせいだろう。
前から演劇に興味があった絵里は短大や専門学校を勧める回りの言葉には一切耳を貸さず意中の劇団に入ること以外退路を断った。
486携帯21:2009/01/26(月) 22:34:42 ID:5eodWuJQO
とはいえその為にはなにをしたらいいのか分からなかった絵里は喫茶Kでバイトをしながら春を待った。
桜前線がこの街にも近づいてきたある日、俺の部屋に新垣も呼んだ絵里は顔をほころばせながらずっと気になっていた劇団に入ることが決まった報告をした。
俺達は諸手を上げて喜んだ。
カメ兄の死で喪失感しかない俺達だっただけにその朗報は俺達に関わる人全てになにか希望めいたものを与えた。
俺や新垣も大学に合格していたが海のものとも山のものとも分からない世界に足を踏み入れる絵里への関心は俺達の比ではなかった。
それだけまわりはカメ兄の死を悼んでいた。
死んだカメ兄の妹が演劇の世界へ。
そりゃあみんな有名になっていつかテレビに映る絵里の姿を描いていたのかもしれない。
それぞれ勝手に物語を仕立てて絵里の未来に期待していた。

〈続く〉
487携帯21:2009/02/12(木) 15:17:15 ID:SWejZU+aO
夏が来て秋が来た頃、ほんの端役ではあるが絵里も出させてもらえるようになった。
端から聞いてたら泣きたくなるような役でも絵里はもの凄く喜んで俺に教えてくれた。
それから少しずつではあるが絵里の出番が増えていった。
しかし相変わらずのエキストラ的な役には変わりないが。
「今度の楽しみにしてて!前よりは絵里目立っちゃうから!」
行列の出来た神社の階段。
絵里の声は弾んでいた。
新春早々店を開けているのはマスターKがこの店と一心同体だからだろう。
元旦ほとんど開いてはいない世の中のお店だから行くところのない人達がたむろしていて見たことないほど盛況の店内。
「あ〜ら、いらっしゃ〜い」
例の濁った声が俺達を迎えてくれた。
空いていたテーブルに腰をかけると見たことない女の子が水を運んできた。
488携帯21:2009/02/12(木) 15:17:35 ID:SWejZU+aO
「亀井さん明けましておめでとうございます!」
ちょこまかとした動きと愛嬌のある笑顔がなんとも可愛い。
「千聖ちゃんおめでとう〜」
絵里がここを辞める際、引き継ぎのかたちで入ったのが千聖ちゃんらしい。
高校卒業してから何度もこの店には来ているのだがこの娘は初めて会った。
まるで値踏みをされてるみたいに千聖ちゃんは俺を見ていた。
「これが噂の亀井さんの彼氏ですかぁ…」
なんだよ唐突に。
「うん、まあね」
絵里も遠慮気味に笑ってる。
考えてみれば俺のことはマスターKからいろいろ言われてても仕方ない。
むしろ言われてない方がおかしいくらい。
「なんにされます?」
笑ってないのに笑ってるような千聖ちゃんは相変わらず俺を興味深そうに眺めていた。
「ミルクティーとコーヒーですね!ハイ〜」
489携帯21:2009/02/12(木) 15:17:56 ID:SWejZU+aO
キンキンとした声でマスターKに注文を伝える千聖ちゃんの姿を見ているとなんだかとても懐かしい。
絵里も新垣とこの格好で「よろこんでぇ〜」とか言ってたな。
相変わらず飽きもせず話す絵里の劇団話に懐かしさも手伝って俺は上の空だった。
聞いてはいる。
だけど入ってはこない。
いや入ってはいるんだけど…。
聞き流せばいいものをと分かってはいるんだけどなかなか難しい。
正直言って絵里の話…いや絵里そのものが俺にとってちょっと重荷になっている。
絵里のことは好き。
好きなんだけど絵里が劇団頑張れば頑張るほど俺には辛い。
頑張ってる絵里。
頑張ってない俺。
あからさまな輝きを目の当たりにすると眩しくて背けたくもなる。

〈続〉
490携帯21:2009/02/23(月) 09:38:18 ID:0Z2eDHYUO
恋人なら応援しなくっちゃいけない。
勿論してる。
してる反面最近ちょっと辛いんだ。
折角2人で会ってるんだから他の話題とも思うんだけれどこれといって俺から話すこともないし。
ないこともないがそれは絶対言えない。
言えないことをしたのに俺は相槌打って適当に笑ってる。
そんでもって俺が笑ってるから絵里も笑ってる。
ハァ…。
「お待たせしました」
危なっかしさを隠すように丁寧に丁寧にソーサーをテーブルの上に置く女の子。
また新しい娘だ。
「亀井さん…今度新しく入ったカンナです…宜しくお願いします」
どうしたんだろ。
色の濃い娘が続く。
まあそれはそれとしてこの娘も可愛い。
千聖ちゃんみたいな愛嬌はないがだからこそ時々はにかんで笑ってるとことか凄く良い。
多分根が真面目なんだろうな。
491携帯21:2009/02/23(月) 09:40:12 ID:0Z2eDHYUO
ちょっと人を寄せ付けない感じで全部自分で頑張っちゃうオーラ出ちゃってるけれどそれが健気に映るから良い。
「カンナちゃん、ここって大変だと思うけど頑張ってね」
絵里のお姉さんなところが出てきた。
「ありがとうございます…頑張ります」
そそくさとお盆を持ってお客さんが席を立ったテーブルに片付けにいくカンナちゃん。
それを手伝う笑顔の千聖ちゃん。
表情は対極だけれど様になってる。
千聖ちゃんにカンナちゃんかぁ。
これから喫茶Kに行くのが楽しみになった。
「アンタ相変わらず冴えないねぇ〜」
濁った声が降りかかる。
「カメちゃんみたいになんか生きがいとかないわけぇ〜?」
ここでもだ。
どこに行ってもそればっかり。
「いやぁ〜別に」
判で押したような答え。
呆れ顔のマスターKがヤレヤレといった感じで絵里の顔を見た。

〈続〉
492携帯21:2009/03/02(月) 23:59:56 ID:aCQO2rnKO
「マスター、絵里の入ってる劇団が来週やるんです!良かったら来て下さい!」
そう言うと絵里は鞄からチケットを出して渡した。
「あら買うわよ!幾ら?」
「いいですいいです!マスターは特別ですから!」
「アンタねぇ〜チケット売るのって大変でしょ!いいから言いなさい!」
いつまで経っても怖い言い方で優しいことを言うマスターK。
迷った挙げ句絵里は「じゃあ2000円」と申し訳なさそうに言った。
「はい、それじゃあ…おつりはいいわよ」
差し出されたマスターKの手には1万円札が…。
「えっ!困りますよマスター!」
手を振る絵里にマスターKは「なに言ってんの!アンタは売ることだけ考えてなさい!それにねぇ〜」
493携帯21:2009/03/03(火) 00:00:56 ID:RvfMf4nxO
マスターは千聖ちゃんとカンナちゃんの方に向かって顎をしゃくると「あの娘達なかなかキュートでしょ!あの娘達見てるとアナタ達がいた頃が懐かしいわ…たまには先輩の姿見せてあげてもいいでしょう〜」と言って1万円札を絵里の手に握らせた。
「あと2枚はお客さんにね」
鼻歌まじりでマスターはカウンターに帰っていった。
こういうかっこよさを自然と出来るところがマスターKの素敵なところ。
嬉しそうな絵里が俺の袖を引っ張って喜んだ。
「絵里のノルマ達成しちゃったよ〜こんなに早く終わるとはねぇ〜」
1人はしゃぐ絵里。
「ガキさんとSの…ハイ!これ!」
俺達のは別にキープしてたのか。
「いやホントに受け取れない!」と拒む絵里に5千円札を渡す。
494携帯21:2009/03/03(火) 00:02:35 ID:RvfMf4nxO
渋々受け取った絵里が不意に「ねぇねぇガキさん元気?」と言って5千円札を鞄にしまった。
「うん…ちょっと前に会ったけど元気してたよ」
「ふ〜ん、大学忙しいのかなぁ〜?」
「よく知らないけどアイツのことだから頑張ってんじゃないの」
「だよねぇ〜」
他愛もない会話だけれど今の俺にはどんな顔していいか分からなかった。
「はい、これ」
絵里と一緒に…と思ってたけど時間もないし結局俺は既製の鞄と靴を買ってそれを誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントにした。
「ありがとう!」
前に絵里と行った雑貨屋さんに1人で行って店員さんにいろんなアドバイスしてもらって決めた。
劇団に入ってからの絵里はどっちかっていったらラフなカッコになった気がする。
パーカーにジーンズみたいな簡単な感じ。
同じ歳の女性ならそれこそファッションに目がないだろうけど絵里の場合あんまり気にしないというか大らかというか。

〈続〉
495ねえ、名乗って:2009/03/07(土) 19:05:00 ID:OMDmmhWk0
二年ぶりぐらいに羊を覗いたら
このスレが継続されていたなんてちょっと感動
496携帯21:2009/03/11(水) 12:52:19 ID:zOEXzEx0O
絵里のそういうところが俺は好きで気楽でいられる。
赤い皮の鞄に茶色の皮の靴。
「いいんじゃない?」
俺の声に絵里も頷いた。
「今まで見た絵里の服とか考えて前に一緒に行ったろ?あの雑貨屋さんで買ったんだ」
「へぇ〜Sが1人で行ったんだぁ〜」
「それくらい行くよ、店員さんに聞いて散々迷った挙げ句決まったのがこれです」
奇をてらったのはやめにしてあくまで無難に。
相手を想像して買うプレゼントの鉄則だった。
「大事にするね」
この一言で救われた。
ありがとう店員さん!
席を立ってレジに行こうとすると絵里がそそくさと先に行ってさっき渡した5千円札をカンナちゃんに渡した。
「もうすぐ3回忌だわねぇ〜」
そっとカンナちゃんの背後に立ったマスターは遠い目をして絵里を見つめた。
「早いわねぇ〜」
「はい」
497携帯21:2009/03/11(水) 12:54:40 ID:zOEXzEx0O
カメ兄の死後、マスターとカメ兄が交わした約束通りあの大学祭でのライブCDが発売され、識者の間で高い評価を得てその年最高の1枚と大々的に雑誌で取り上げられた。
残念なことにカメ兄はその賞賛を聞くことはなかったがそのCDでカメ兄を知った人の喫茶K詣が以降断続的に続いているらしい。
1周忌の頃、CDのジャケットにもなったカメ兄の鬼気迫るトランペットを吹いてる白黒の写真がでっかく引き伸ばされて喫茶Kの壁に貼られた。
俺は絵里の家に行き法事に参列したが喫茶Kでは追悼ライブと称してカメ兄のCDをみんなで聞いた後、白熱のジャムセッションが延々と続いたらしい。
「今年もライブするからね」
了解を得るようにマスターは絵里を見ると絵里は黙ってただ頷いた。
「アタシが出来ることってこんなことしかないから…」
もしかしたらカメ兄の死はこのマスターKが一番辛かったのではないだろうか。
498携帯21:2009/03/11(水) 12:58:11 ID:zOEXzEx0O
カメ兄という逸材を発見し音楽のことで最大の助言を与えたのは他でもないこの人だし、将来的にプロでいくことを決めたのもマスターと相談してのことだった。
それにカメ兄と美貴さんのことを最初から最後まで知っていたのもマスター1人。
カメ兄の夢はマスターKの夢だった。
悔やんでも悔やみ切れない闇がこのマスターKの中にはあるのかもしれない。
「カメちゃん喜んでると思うよ〜アンタが好きな道進んだから」
カメ兄を通じて輪が広がった。
カメ兄が死んでもその輪は切れちゃいない。
どんなカタチになろうとも俺達はつながっている。
重い扉を開いて振り返るとマスターKがやんわりと手を振っていた。
その向こうで千聖ちゃんとカンナちゃんが深々と頭を下げていた。
扉を閉めると急に冷たい風が吹いてきて俺達はどちらからということもなく手をつないだ。

【SAY A LITTLE PRAYER 編】

〈完〉
499携帯21:2009/04/05(日) 22:01:37 ID:ffITY1EJO
2月の風は確かに冷たい。
よっぽど着込んでいないとキツいのになんで女の人はそんな薄着でいられるのか。
男の俺には理解し難いが女って小さな頃からスカート履き慣れてるから冬だからってどうってことないのだろうか。
そんな頑張ってる女の人を横目に電車に乗っていた。
大学近くの居酒屋に夜7時集合。
今日はもうすぐ卒業するサークルの先輩の歓送コンパ。
そんなわけで俺は最寄りの駅に着いた。
「あっ先輩!」
改札口を出たところ振り向けばよく見た顔がそれこそ痛いくらい寒そうなかっこで俺に手を振っていた。
500携帯21:2009/04/05(日) 22:03:33 ID:ffITY1EJO
「なんだ矢島か」
「なんだはないんじゃないですか…もう…あっそうそう…あけましておめでとうございます」
膨れっ面でも優しさ溢れた目が笑っていた。
去年の4月、俺達野球サークルの新入生歓迎コンパにコイツがいた。
先輩に聞いてみると「勧誘…声かけてみるもんだな」と笑ってた。
俺なんて呼び込み駆り出されたのにノーヒットだったってのに。
はてさて。
男20人くらいのむさくるしい歓迎コンパに場違いなほど新鮮な紅2点。
「熊井さんは?」
「ゆりなはもうちょっとしてから来るそうです…それはそうと」
不満そうな矢島が俺の袖を引っ張る。
「なんでゆりなが熊井さんで私が矢島なんですか?」
「なにが?」
501携帯21:2009/04/05(日) 22:04:50 ID:ffITY1EJO
「私だけ呼び捨てっておかしいじゃないですか」
年が明けて初めて会ったというのに矢島はいっつも同じことを言う。
「そうかなぁ?」
「私も矢島さんって…」
「呼んで欲しい?」
「はい」
真顔の矢島は面白い。
いつものようにほっぺたのホクロをツンツンしながらからかいたくなる。
「ホントに?」
「本当です」
なんでコイツは分からないのだろう。
熊井さんは熊井さん。
矢島は矢島だってことを。
初めて会った時からそうだったけど俺には熊井さんは身長だけじゃなく敷居も高く感じた。
普段からあまり多くを語らない熊井さんは育ちのせいかすました顔が凄く美しく冗談の通じない怒らせたらホント怖そうな人柄に思えた。
それなのになぜこんな暑苦しいサークルに彼女が入ったのか俺には皆目分からなかった。
一方矢島はなんていうかとにかく話し易い。
簡単に言うと適当にバカだからかもしれない。

〈続〉
502ねぇ、名乗って:2009/04/10(金) 21:54:02 ID:tMHQ87ehO
続ききてたー!!(°∀°)
作者さん おつー!
503携帯21:2009/04/25(土) 21:48:06 ID:gldw92zFO
誤解を招かないように付け加えるならばハキハキした受け答えに愛想がそれなりにある上、自らは否定してるけど実は公認の天然キャラだからだろう。
非の打ち所のない美人よりも体育会系の面白いおバカさん。
俺にとっては呼び捨てはむしろ親愛の敬称なんだけど本人はどうしても分かってくれない。
まあそれも天然のなすところなのかなんて思ってたら今日はやけに食いついてくる。
「だって先輩だけですよ私にこんな感じで接するの」
そうらしい。
みんな矢島をどっかのお姫様みたいにもてはやす。
熊井さんなんてそれ以上だ。
いくら女の子のいないサークルに2人も同時に入ってきたからって甘やかし過ぎだと俺は思ってる。
504携帯21:2009/04/25(土) 21:49:19 ID:gldw92zFO
ましてやこの矢島は育ちのせいか少々荒っぽくてもビクともしない芯の強さを持ってる。
「年度末だなぁ矢島」
「はい」
「やっぱお前んとこ忙しいんだろ?」
矢島の実家は工務店。
正月明けあたりからいろいろ注文が来て忙しくなるって前に言ってた。
「不況で大変か?」
「あんまりうちは関係ないみたいです…今まで選ばずに仕事やってきたのが良かったみたいでなにかと声かけられてるそうで」
律儀な仕事っぷりはコイツを見てたら分かるような気がする。
矢島の憎めないのは天然のくせにけっこうまわりを見渡してるというか気が利くというか。
「なら就職させてもらおうかな矢島のとこに」
この不況下では就職も困難だ。
あと2年とはいえ今より良くなることなんて保証出来ない。
「いやですよ先輩なんて」
505携帯21:2009/04/25(土) 21:50:23 ID:gldw92zFO
「なんでだよ?」
「だって気抜いたらすぐさぼりそうですもん」
「そ、そうかなぁ」
「そうですよ!サークルだって気が向いた時しか来ないじゃないですか」
そんなところは妙にしっかりしている矢島。
というわけでコイツがサークルに入ってからというもの妙に気が合って時々つるんだりしている。
「しかしなんで熊井さんはこんなサークルに入ったんだろうな?」
「あ、知らないんですか…実はですね」
聞けば中学に入った頃あたりからグングンと身長の伸びた熊井さんはそれがコンプレックスになって人の勧めるバスケやバレーには絶対入らなかったらしい。

〈続〉
506携帯21:2009/05/12(火) 15:19:17 ID:u0BDaYQnO
とはいえいかにも女の子のスポーツというよりはむしろ男の子のスポーツに憧れがあったそうでサッカーならどうせゴールキーパーしかさせてもらえそうにないってことで野球に。
それならば文化系の方が合うと思うけど本人は気軽にワイワイ出来る体育会系サークルを選んだそうな。
「お前はなんでなんだよ?」
これも誰かから聞いた話だが矢島はこう見えて運動神経抜群でちょっとやそっとじゃかなわないほど凄いらしい。
にも関わらずさえない野球サークルってなんでだよ。
「だってお前いろんな部からもスカウトされてたんだろ?」
「えぇ…まぁ…」
「じゃあなぜ?」
そう言うと矢島は一瞬真顔になって俺を見た。
507携帯21:2009/05/12(火) 15:20:31 ID:u0BDaYQnO
「まぁいいじゃないですか私のことは…」
考えてみれば俺も去年に引き続き同じ質問を矢島にしている。
その度になんとなくかわされてるけど。
…ということは俺もけっこう天然か…まさか。
宴もたけなわ、ほどよく酔った俺は「どこ行くんですか先輩〜?」と粘っこく追いすがる矢島を振り払い外の空気に当たりに行く。
「せんぷゎ〜い」という完全に酔った矢島の声を襖でピシャリと遮って店の外に出た。
冷たい空気が今は心地良い。
のほほんと良い気分でいると大きな女性がこちらに歩いてくるのが見えた。
「熊井さん」
「あっ、Sさん」
すらりとした体からさらりとした声で名前を呼ばれるとみんなが言うように悪い気はしない。
「もう始まっちゃってるよ」
「はい」
「さあさあ早く入って」
508携帯21:2009/05/12(火) 15:22:42 ID:u0BDaYQnO
ちょうど俺も頃合いと思って一緒に襖を開ける。
「熊井さん到着〜!」
俺の声と同時に歓声が上がる。
「座って座って!」と言う男共に勧められるままに熊井さんも席につく。
どういうわけか矢島がまわりの男達に慰められながら泣いていた。
「どうした矢島?」
「うぅっ…なんでもないです」
「なんでもないってことないだろう」
「なんでもないんです!」
なにをそんなにコイツは怒ってるんだろうとあたりを見渡すとみんな同情的な目で矢島を見ている。
「な、なんすか?」
「いやいや」
みんな知っているみたいなのに教えてくれない。
熊井さんはまわりの男共にいいように酒を勧められては小さく見えるコップを口に運んでいた。
もうすぐ卒業する先輩達の挨拶が終わってとりあえず1次会終了。
場を変えるということで歩いて違う居酒屋へ行くことになった。

〈続〉
509携帯21:2009/06/02(火) 18:33:17 ID:JJ46gYiKO
「舞美大丈夫ですか?」
グダグダになった矢島をおんぶして歩いている俺の横に熊井さんがいた。
「熊井さん強いんだね〜酒?」
「いやぁそれほどでも…」
顔色1つ変わることなくすました顔で熊井さんは歩いていた。
熊井さんは大抵の場合ズボンを履いている。
多分サイズの問題だろうけど本人は気にしてることかもしれないので勿論聞く気はない。
しかし今日は珍しくスカート。
熊井さんが履くロングスカートはとてつもなく長く感じる。
「熊井さん恋人いないの?」
「な、なんですか突然!」
大袈裟なほど手をバタつかせピリリとした眉毛が険しく曲がった。
「な、なに言ってるんですか!」
まるで怒られてるかのように熊井さんの眼差しは真剣だった。
510携帯21:2009/06/02(火) 18:34:24 ID:JJ46gYiKO
「別にいいじゃない熊井さんだって大学生なんだし」
「でも…」
「いるんでしょ好きな人くらいは?」
まだ誰にも言ってない自分だけの秘密。
もしかしたら矢島あたりは知ってるかもしれないけど少なくとも男共は知らされてないみたいだ。
純情を絵に描いたような熊井さんのリアクションは見ていて気持ちいい。
誰だってそういうとこあるんだけど本当に男に免疫ないんだろうな。
その真面目な性格が分かるだけに俺の悪いところが熊井さんをからかいたくなる。
「なんで?好きな人いるくらいいいじゃん!むしろ熊井さんにもそういう人がいるってことが俺としては目出だい」
ポカンとした熊井さんに更に続ける。
我ながら熊井さんの兄貴でもないのに呑気なこと言ってる。
511携帯21:2009/06/02(火) 18:38:17 ID:JJ46gYiKO
「別にいいじゃない熊井さんだって大学生なんだし」
「でも…」
「いるんでしょ好きな人くらいは?」
まだ誰にも言ってない自分だけの秘密。
もしかしたら矢島あたりは知ってるかもしれないけど少なくとも男共は知らされてないみたいだ。
純情を絵に描いたような熊井さんのリアクションは見ていて気持ちいい。
誰だってそういうとこあるんだけど本当に男に免疫ないんだろうな。
その真面目な性格が分かるだけに俺の悪いところが熊井さんをからかいたくなる。
「なんで?好きな人いるくらいいいじゃん!むしろ熊井さんにもそういう人がいるってことが俺としては目出だい」
ポカンと呆気にとられたような熊井さん。
我ながら熊井さんの兄貴でもないのに呑気なこと言ってるもんだ。
「…はい」
「だけど…」
「話が…」
「続か…」
「…ない」
「うん」
「はぁ…」
真面目故の悩みというか苦手な人にとってはなかなかなんだよな。
「熊井さんの好きな人ってどんな人?」
暗闇でも分かるほど真っ赤になってはにかんでる熊井さん。
大きな体でもじもじしてるのがなんともいじましい。

〈続〉
512携帯21:2009/07/17(金) 13:53:36 ID:IYllaiXFO
誰だ?
よりによって熊井さんをこんな風にさせたのは!
「俺の知ってる人?」
「はぁ…」
ため息混じりで余計身をくねらせて恥ずかしがってる熊井さん。
俺に出来ることがあればしてやりたいんだけど。
「誰だ…?」
熊井さんは喉元まで出かかってるんだろうけど言えないみたいだ。
もう一押ししたら口を割りそうな時に耳元で「先輩のアホ〜!」と矢島が叫んだ。
キンキンしてる耳に再度矢島が「なんで分かんないかなぁ〜!」と再度叫んだ。
「完全に酔ってるな矢島のヤツ」
「はい」
「…にしてもなんだってんだよ…なにが分かんないんだ?」
そう言うと熊井さんは打って変わってニコニコしながら「ホントにSさんってアホなんですね」と上機嫌に笑った。
513携帯21:2009/07/17(金) 13:59:07 ID:IYllaiXFO
「なんだよ熊井さん!言うねぇ〜!まぁ確かに俺はアホだけどさぁ…矢島には言われたくないなぁ〜」
益々上機嫌に熊井さんも笑った。
「舞美ちゃんと先輩って似た者同士かもしれませんね」
「俺と矢島が?」
「ふふふ」
自然と上品に笑ってしまう熊井さん。
なにが「ふふふ」だよ。
さすがに俺は矢島ほどじゃないだろう。
「お前等遅いよ」
不意に背後で声がして振り返ると近々卒業するY先輩だった。
会計を済ませて店を最後に出たY先輩に追いつかれたわけで息を弾ませたY先輩が横目で矢島の様子を伺った。
「もうすぐ卒業ですね」
「まあな」
Y先輩には時々しか顔を会わさなかったにも関わらず随分よくしてもらった気がする。
高校の時の部活が野球だったのも同じでサークルでのスタンスも気ままな感じで気軽に話せた。
なにより俺的に先輩を尊敬出来たのはどっちかっていうと仲間とつるんでワイワイやるよりも1人で好きなことやってて身軽な印象を与えてくれるところだった。
514携帯21:2009/07/17(金) 14:06:28 ID:IYllaiXFO
普段の先輩は大抵の場合1人でいてプライベートなにやってるか分からないんだが、だからといってみんなといるのが嫌いってわけじゃなかった。
謎めいてるけどオープンなY先輩にみんなの信頼は厚かった気がする。
その中でもどういうわけだか俺は特に気に入ってもらえたみたいでいろんな話もしてくれた。
「彼女さんとは上手くいってるんですか?」
前に少しだけ話してくれた恋人の存在。
ずっと伏せ目がちに歩いていた熊井さんも俺の質問でY先輩の顔を見た。
「うっ、うぅん…まぁな…そのぉ…別れたわ」
「はははは」と乾いた笑い声のY先輩は頭をポリポリと掻きながら「いやぁ卒業だろ…そしたらさぁあちらさん…地元に帰るからここいらで別れましょう…ってさ」と笑ってみせた。
悲しそうな熊井さん。
「あぁそうなんですかぁ…でも先輩の実家ってそんなに遠くなかったですよね?」
「まぁな、でもあっちが遠いから」
「遠距離じゃダメだったんですかねぇ?」
「みたいだなぁ」
笑うしかないY先輩はそんなに悲しそうにも見えなかった。

〈続〉
515携帯21:2009/08/13(木) 19:22:21 ID:IjqrdJ9PO
「なんか冷たいですね」
突如として伏し目がちな熊井さんが呟いた。
「気にしたってしょうがないだろ?」
「本当に好きだったら…そんな風に出来ないんじゃないですか!」
「ど、どうしたの熊井さん?」
普段は感情を露わにしない熊井さんが珍しく顔を赤くしている。
酔ったのとは違う真剣な表情がY先輩を真っ直ぐ見てた。
「だ…だって頭に来るんです…女として!」
「なに言ってんの熊井さん…ふられたのは俺の方なんだけど」
「そっ…そうだけど…そっ…そんなY先輩…きっ…嫌い…です」
「なに?」
急に語気が弱くなった熊井さんは綺麗な顔を俯かせた。
「はっ!?どうしたんだよ熊井?」
Y先輩が驚くのも無理はない。
なんと熊井さんの頬に大粒の涙がこぼれ落ちているではないか。
ホントにどうしたっていうんだよ熊井さん!
516携帯21:2009/08/13(木) 19:23:27 ID:IjqrdJ9PO
「もしも…」
ゆっくりと流れる涙を拭きもせずに熊井さんはしゃくりあげてるせいか時々肩を震わせて絞り出すように続けた。
「もしも…もしも私が先輩の彼女だったら…」
「えっ?」
「もしもです…だから気にしないで下さい」
真っ赤な目がただY先輩を見ていた。
「もしも…わたしがY先輩の彼女だったら…ホントは…もっと追いかけてきて…欲しい…ん…じゃないか…って…」
途切れ途切れの熊井さん。
なにも泣かなくたっていいのに…その上そんなにマジにならなくたっていいじゃないか。
「そうそうその通り!ホント男って鈍感なんだから!!」
酔いつぶれたはずの矢島がどこから聞いてたのかいきなり天井に向かって吠え始めた。
「本当に男ってバカばっかり!ゆりながなんでこんなに苦しい想いしてまでY先輩のこと好きなのか私には全然分かんな〜い!!」
517携帯21:2009/08/13(木) 19:24:31 ID:IjqrdJ9PO
えっ!?
えぇっ!?
今なんと!?
「おい矢島!今なんて?」
いつの間にかそれぞれ好きにしゃべってたサークルのヤツらも固唾を飲んで聞き入っている。
「へっ?なにが?」
わなわなと体を震わせている熊井さんの横できょとんとした顔で矢島があたりを見回した。
「なにがじゃない!ホントなのか?」
「へっ?私なにか言いましたっけ?」
焦点の合わない目でしらばっくれやがって矢島のヤツ。
「くっ…熊井さんが…Y先輩のこと好きだとか!!ホントか矢島!?」
血相を変えて矢島に詰め寄るサークルの男共。
熊井さんの隠れ信者達がこぞって矢島を囲んだ。
「どうしようゆりな?」
心細いのかただ単にふざけてるのか分かんないくしゃくしゃな顔で矢島が熊井さんにすがろうとしたが熊井さんは微動だにしない。
「熊井…」
ようやくY先輩が口を開いた。

〈続〉
518a:2009/08/15(土) 03:32:26 ID:GavoYb0V0
a
519携帯21:2009/10/08(木) 18:06:39 ID:vtFf3gnCO
「熊井…ホント…なのか?」
当の本人から問いただされている。
「言っちゃいなよゆりなぁ〜!」
「いいから矢島は黙ってろ!」
俺が矢島を抑え込む。
沈黙。
重い空気。
まさかの矢島のぶっちゃけに風雲急を告げる事態になってしまった。
んっ!
泣いてたはずの熊井さんの目がいつの間にかキリリとして一点を見ていた。
「はい…ホントです」
「えぇ〜っ!」
熊井さんの口から漏れたたった一言に打ちのめされて崩れ落ちるサークル部員数名。
「熊井…」
ただ事では済まされなさそうな気配に圧されてY先輩が確かめるように名前を呼んだ。
「はい…本当に好きです」
おお〜っ!
真剣以外のなにものでもない熊井さんが挑むようにY先輩を睨んだ。
520携帯21:2009/10/08(木) 18:07:39 ID:vtFf3gnCO
「舞美ちゃんに勝手に言われたのは悔しいけど…多分…私からは絶対言えなかったし…うん…ありがとね舞美ちゃん!」
自分に言い聞かすかのように噛み締めながら言葉を重ねる熊井さん。
「だって…Y先輩には恋人いたし…どうしたって私じゃ負けちゃうし」
「なんでもない時でも緊張しちゃってなに喋っていいのか分かんなくなるし」
「先輩が時々話し掛けてくれるのスッゴく嬉しかったのに…面白いこと言えないから不自然に先輩のこと避けてたり…」
「そんでもってそんな自分が…大嫌いだったり」
「だって先輩…普通に彼女の話…平気でしてくるし…私って女って見られてないんだなぁ〜って…本気で辛かったし」
「私…今までもそうだったけれど…恋とか…とてもじゃないけど全然自分に自信持てないし」
「とにかく憧れのままでいいなぁ…って思うようにしたし」
521携帯21:2009/10/08(木) 18:08:55 ID:vtFf3gnCO
「でも…出来なかったし」
止めどなく出てくる熊井さんのネガティブ発言。
傍目に見てても無理して笑ってるようにしか見えないのが悲しかった。
「ウソばっかり!ホントは大好きで大好きでどうしようもなかったくせに!」
いつも大事なところでカミカミの矢島が酔いが冷めたのか…いや酔ってるせいなのか…珍しくはっきりとした口調で熊井さんの肩を揺らした。
「私だけは知ってるよ!ゆりながずーっとY先輩のこと好きだったこと!」
頷く熊井さん。
「ありがと」
そっと大事なものを置くように熊井さんは矢島に頷いた。
そうなってくるとみんなの視線はY先輩に注がれる。
突発的な告白に果たしてY先輩はどのような答えを返すのだろうか。

〈続〉
522名無し募集中。。。:2009/11/07(土) 23:01:23 ID:O3SWPxeB0
携帯21さん戻ってきたんですね!
久し振りに作品をお見受けしました
523ねぇ、名乗って:2009/11/22(日) 01:43:21 ID:Xm0YzMWH0
懐かしいスレ発見
524ねぇ、名乗って:2010/01/13(水) 19:25:11 ID:Y0pjMdzB0
ふむふむ
525ねぇ、名乗って
ショートカットのガキさんもメチャかわいい!