携帯であの男のアドレスを出してしばし眺める・・・
「ふぅ・・・」
大きくため息。そしてベットに投げ捨てた。。。
今日は何度か『おめでとう』なんてメールも届いた。
でもその中にアイツの受信はない・・・付き合い始めて3ヶ月、早くも大事な記念日をドタキャンされた。
私は疲れきっていてそのままベッドに沈み込む。
涙も出ない・・・ただ疲れたからゆっくり眠りについていく・・・
・・・・・・・・・ハズだった
ピンポーン・・・・ピンポーン・・・
「ん、誰?・・・もしかして」
私はあの男がもしかして来たのではないかと急いで扉にむかった。
そしてそっと魚眼レンズを覗き込んだ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・絵里だ・・・
こんな疲れた時に絵里は疲れる存在だ・・・れいなはそっと無視してベッドに戻ろうと、忍び足で歩き出す・・・
「れ〜な!れ〜な居るんでしょ〜居留守使ったってダメだよ〜」
「・・・・・・・」
ガチャ・・・
「あっ!やっぱ居たんだ〜」
「何しにきたと?」
「えっ?ケーキ買ってきたの!誕生日おめでとう。食べよ。あとウチにあったスジこん」
「あっ・・・・ありがと(何故誕生日にスジこん?」
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「ゴメンね〜、無理に押しかけて・・・本当は迷惑かなって来るの悩んだんだけどね」
嘘ばっかり・・・
「今日は暇やったと?」
「うへへ〜わかるぅ〜?でも彼が帰ってくる前に邪魔者はどっか行くから心配なく」
「(こ・・・殺す!ワザとなら殺す・・・多分ワザと・・・)」
少し気を落ち着かせようとトイレに洗面所に向かった・・・
鏡の中の自分が嫌い・・・
ソコには嫌な女が写ってる。やつれてた顔で笑えない・・・笑わない。
本当は絵里が訊ねてきた事も嬉しいのだけど素直になれない自分が居る。
そんな自分を見るのが嫌で笑顔を作って見た・・・苦笑い・・・
ため息を吐いて絵里の側に戻る。すると絵里が持ってきたケーキにワインを並べていた。
「絵里・・・ケーキはいいけどワインって」
「別にいいじゃん。少しくらい・・・それに今日あの人来ないんでしょ?」
「・・・・・・なんで知っとうと?」
「知りたい?」
絵里の寂しそうに見つめてきた顔を見て首をフルフルと横に振った。
絵里はソレを見ると何も言わず蝋燭に火をつけてゆく・・・
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――しばらくして
空になったワインの瓶・・・二人ではさすがに多すぎたの半分残ったケーキ・・
そしてグッタリとお酒にやられて倒れ込んだ私と絵里が居た。
「もぅ・・・頭ガンガンするたい」
「あひゃひゃひゃひゃ・・・」
「楽しそうやね・・絵里はれいなよりは強いみやいやね」
そう言いながらなんとなく絵里の髪を撫でてみた・・・絵里は違和感を感じることもなく体を寄せていく。
「・・・・なん?」
「・・・・・・・・れ〜な・・・」
唇・・・これもごく自然に近づいて、ほんの少し感覚で絡みついた・・・
「れいな・・・今日だけいいよね?」
「う〜ん・・・いいのかなぁ〜?」
「いいじゃん・・」
眼を閉じて絵里の温もりの感覚が体を滑っていく・・・
私はコレを少し嫌な夢って事にして快楽に逃げた・・・
―fin―
誕生日特別小説です
感覚だけでお読み下さい