処女喪失!田中れいな一夏の初体験 二十一日目

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教室の一番後ろの校庭が見渡せる窓側の席に
今日も一人
頬杖をつき無言で校庭を見つめる
黒髪の少女
まるでデジャブを思わせる
その光景

教室では昼食を済ませた生徒達が
各自お気に入りのお菓子やデザートを頬張り
雑誌やプリクラや携帯等を眺め談笑していた。
そんな様子などには目もくれず
溜息を一つつく黒髪の少女。
26:2005/03/23(水) 11:08:19 ID:??? BE:37351627-
(はぁ〜昼休みが一番つまらんばい。
なーんもする事がなかけん
休み時間がそーとー長く感じるっちゃ。
それにしても何でやろね?
何で誰もれいなに話し掛けてこんのやろ?
れいなが恐いん?
れいな学校では鬼のTシャツ着よーらんよ?
もしかして、れいながモーニング娘。のメンバーやけん遠慮しよるん?
そーんなこつ遠慮することなかやのに
れいなは気さくなで優しい女の子ばい!
声ば掛けてくれたら、飛びっきりのれいなスマイルで応えちゃるけん!
さー恐れずにれいなの胸ば飛び込んで来んしゃい!
れいなが優しく受け止めちゃるけんね!あははははははっ♪)

妄想に浸りニヤけてる間抜けなれいなの表情は
幸いなことにれいなが校庭側に顔を向けているため
教室の生徒達には見られずにすんだ。
その時、れいなの席から5mばかり離れた場所で
机を囲み談笑していたグループの中の一人が席を立ち
れいなに歩み寄って来た。
「あ、あの・・・・田中・・・・さん」
27:2005/03/23(水) 11:08:50 ID:??? BE:48023036-
「あ、あの・・・・田中・・・・さん」
(へっ!?)ドキッ
ハッと我に返り、声がした方向へ顔を向けるれいな。
目の前には顔は憶えてはいるが
名前は覚えてはいないクラスメイトが立っていた。
その顔は青ざめ、少し震えているように見えた。
明らかにれいなに対して緊張と畏怖の念を抱いているのが分かる。
だが
このクラスメイトよりも強い緊張と畏怖の念を抱いているのが
このクラスメイトの目の前にいる黒髪の少女である。

「あ、ご、ごめんね休んでるところを・・・・・あ、あのね・・・・・」
(な、な、何ね〜〜!?れ、れいなに何か用ね〜〜!?)ドキッドキッドキッ
「しゃ、写真を一緒に撮りたいんだけど・・・・む、無理かなぁ?」
(しゃ、写真ーー!?れ、れいなと写真ー!?)ドキッドキッドキッドキッドキッドキッ
クラスメイトの右手にはカメラ付き携帯電話が握られていた。
「あ、あのね私・・・・友達と写真を撮るのが趣味なんだ・・・・だから
田中さんさえ良ければ・・・・一緒に・・・その・・・あの・・・・」
(と、友達ー!?れいながーー!?・・・ハッ!そ、そうっちゃ!
今度クラスの友達と一緒に撮った写真ば見せちゃるけんねって
高橋さんに嘘ば言うたんやった!ぜ、絶好のチャンスっばい!
しかも向こうからやって来てくれよった!
い、い、言うばい!「ええよ♪」って、飛びっきりのれいなスマイルで!
「一緒に写真ば撮ろうね♪」って爽やかに応えるばい!)
ドキッドキッドキッドキッドキッドキッドキッドキッドキッドキッドキッド
28:2005/03/23(水) 11:09:54 ID:??? BE:10672122-
「ごくり」と唾を飲み込み、クラスメイトを見つめ
真一文字に重く閉ざしていた口を開くれいな。
「ごめんね写真とかサインって事務所に禁止されてんの」
(だーーーーー!!何ば言いよっとかーーれいなーー!?)
「変な雑誌とかに送られても困るしさ」
(あぁーーーー!確かにアノ雑誌に載ったときは困ったばい!)
「ネットやオークションに出されても困るしさ」
(ち、違う!この人は絶対そんなことせん人やと思う!)
「OK?」
(うげーーーーー!!何ねーー「OK?」って!?れいな外人かっちゅーねん!!
しかも英語2のくせに!!アホのくせにーーーーー!!)
心の中で悶絶するれいな。

「・・・・・・う、うん分かった・・・・あのごめんね何か無理言っちゃって・・・・
私あんまり芸能界のこと知らないから・・・・あははっそうだよね!
うん、困るよね・・・・・・・ごめんね田中さん」

クラスメイトは努めて平静を装い、明るく笑顔を振る舞っていたが
作り笑顔なのはれいなにも分かった。

「あ、あの・・・・今出てる娘。の新曲いいねこの間カラオケで歌っちゃった!60点だったけど
あはははっ音痴なんだ私・・・・・・・あの・・・・・・・・・・・・・じ、じゃあ・・・・ごめんね」

れいなの冷淡で高慢な態度にも 笑顔で受け止めていたクラスメイトであったが
踵を返し、れいなに背を向けた瞬間に見せた寂しげな横顔を、れいなは見逃さなかった。
29:2005/03/23(水) 11:10:26 ID:??? BE:96045449-
(傷付けた・・・・泣きそうな顔しちょった・・・・れいなのせいや!
れいなが素直や無いけん!れいながアホやけん!ええ人やったのに!
せっかく、れいなに話しば掛けてくれよったのに!
一緒に写真ば撮りたかったのに!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・友達ば欲しかったのに・・・・・・・)
30:2005/03/23(水) 11:10:55 ID:??? BE:85373748-
れいなに写真を断られたクラスメイトは
肩を落としグループの輪の中に戻ってきた。
「駄目だった・・・・」
「やっぱなぁ〜〜田中さん怒ってた?」
「ん・・・んん・・・分かんない」
「やっぱ写真がマズかったんだよ!だから私言ったじゃん
普通に話し掛けた方がいいって!」
「田中さんプリクラ撮るの好きだって雑誌に書いてあったから
いいかなぁって思ったんだけど」
「やっぱ、カラオケに誘った方が良かったんだよー!」
「いや、好物の焼き肉に誘った方が良かったんじゃ?」
「そんなお金ないっつーの!」
作戦の失敗原因を究明しあう少女達。

「友達欲しくないのかなぁ田中さん?」
「私らが一般人だから?」
「そ、そんな人じゃないよ田中さんは!」
れいなに写真を断られた少女が声を荒げる。
「何であんたに田中さんの事が分かんの?」
「テレビや雑誌でしか知らないくせに!」
「そ、そうだけど・・・・でも田中さん、きっと寂しいんだと思う」
「え?」
「本当は友達が欲しいんだよ。みんなと笑いたいんだよ。
だって田中さんがこのクラスに転入してきてから
田中さんの笑った顔を見た事のある人ってこの中にいる?」
「い、いや・・・・ない」
「私も・・・・」
「私も見たことがないよ・・・・田中さんの笑顔。
いつも校庭を眺めてる寂しい横顔しか・・・・」
31:2005/03/23(水) 11:11:26 ID:??? BE:112052467-
れいなとの友好関係の構築に失敗した少女達は
まるで通夜のように暗く落ち込み誰も口を開こうとはしなかった。
その時だった
「ギガアアアッ!!」
静寂を切り裂く旋盤機のような鈍い音が
少女達の耳をつんざく。
反射的に「びくっ!」っと体を跳ねらす少女達。
驚き顔を上げ、音のした方向へ一斉に顔を向ける。
その視線の先には少女達を睨み立つ
顔面蒼白なれいなの姿があった。
32:2005/03/23(水) 11:12:00 ID:??? BE:93366375-
(やっぱ待っちょるだけやったら駄目ばい!自分から行かんと!
「一緒に写真ば撮らんね?」って、今度は自分から言うちゃるもん!
高橋さんに写真ば見せるんやけん!
クラスの友達と一緒に撮った写真ば見せるんやけん!
れいな・・・・・・・・がんばっていきまっしょい!!)
自らを奮い立たせ、勢いよく立ち上がるれいな。
押された椅子の足が床との激しい摩擦により
「ギガアアアッ!」っと、耳をつんざくような金切り音を発した。
その音に多少驚いたが、すぐさまポケットの中に手を突っ込み
ポケットの中のカメラ付き携帯電話を力強く握りしめ
踵を返し、目に力を入れ、少女達の方向を睨んだ。
「!!」
少女全員がれいなを見ていた。

(え!?何!?何でみんな、れいなのこと見ちょるん!?)
少女達は、まるで地球外生命体と遭遇した地球人のような
驚きと戸惑いと恐怖に満ちた目でれいなを見ていた。
だが、れいなの目には違って見えていた。
(み、みんな、れいなのことば睨みよる!やっぱれいなのことば怒っちょる!
れ、れいながあんな態度ばとったけん!・・・・い、いや、恐か!高橋さん!!)
圧倒され、その場にへたり込みそうになるれいな。

(た、田中さん!!も、もしかして私達の会話聞こえてたの!?)
(お、怒ってる!!ガン飛ばしてる!!な、殴られるーー!!)
(や、やばい!!ど、どーしよ!?絶対、田中さんケンカ強いよーー!!)
(た、田中さん・・・・・)
恐怖し身構える少女達。

睨み合い硬直状態になる両者。
時間にして僅か数秒しか経っていないのだが
当人達には5分以上にも感じられていた。
33:2005/03/23(水) 11:12:28 ID:??? BE:26679252-
何か突破口を見つけようと
体は動かないが目だけは動かすれいな。
(ど、どーしよー高橋さん!?れいなどーすればよかと!?)
少女達から僅かに視線を外す。
「!!」
その時、れいなの目に教室の出入り口が飛び込んできた。
すぐさま足を一歩踏み出すれいな。

(き、来たーーーー!!)
緊張が走る、心臓の鼓動が速い速度で高まる。
体を更に硬化させ、身構える少女達。
「キュッキュッキュッ」
れいなが歩を進めるたびに少女達との距離が縮まっていく。
少女達には自分達の寿命までも縮まっていくような気がしていた。

だが、れいなの視線と足取りは少女達ではなく
教室の出入り口へと向かっていた。
少女達には一瞥もくれず
少女達の脇を通り過ぎ、そのま教室を出て行くれいな。
呆気にとられる少女達。
やがて事態を把握し、大きく安堵の溜息をつく。
「はぁ〜〜〜〜っ助かった〜〜〜〜〜!!」
「あせった〜〜〜殺されるかと思ったよ〜〜!!」
「やっぱ、怒ってんじゃん田中さん!!」
「・・・・・・田中さん」

少女達が安堵感に包まれているころ
れいなは険しい顔つきで廊下を歩いていた。
(高橋さん・・・・れいな駄目やった
やっぱ駄目やったと!高橋さん助けて!会いたかよーーー!!)
34:2005/03/23(水) 11:12:50 ID:??? BE:48023429-
れいなは高等部校舎の廊下を歩いていた。
(初めてばい、高等部の校舎へ来るの)
不思議とれいなに恐怖心や緊張感はなかった。
愛と会える、その喜びと期待の大きさの方が強く
れいなの足取りを軽くさせていた。

物怖じせず堂々と廊下を歩く中等部の生徒。
しかも、それがモーニング娘。の田中れいななのだから
高等部の生徒達の反応は相当のものだった。
れいなの姿に驚き足が止まる生徒。
れいなの歩く姿を目で追う生徒。
れいなに羨望の眼差しを向ける生徒。
れいなに怪訝な顔を向ける生徒。
歓喜の声を上げる生徒。
小声で話し合う生徒。
当の本人は、そんな生徒達の反応などお構いなしに
真っ直ぐ愛のいるクラスへと向かっていた。
35:2005/03/23(水) 11:13:13 ID:??? BE:53358645-
(高橋さん昼休み何しよーるんやろね?
高橋さんはれいなと違って
優しくて明るくておもしろい人やけん
いっぱい友達もおるんやろうね。
友達の前で大好きな宝塚の話ばしよーるんやろか?
嬉しそうに話す高橋さんの顔が目に浮かぶっちゃ♪
でも高橋さん、教室におらんかったらどーしよ?
高橋さんは結構活発な人やけん外に遊びに行きよるかも)

愛のことを思い、色んな想像を巡らせてるうちに
れいなは愛のいる教室の前に到着していた。
幸いなことに教室の出入り口は開き放しだったので
中の様子を伺い知ることが出来た。
体を壁に残し、顔だけを「ひょこ」っと出入り口から突きだし
教室の中を覗き込むれいな。
教室にいる生徒から見れば、まるで顔だけが宙に浮いてる
滑稽な手品なのように見えた。
だが、教室の生徒達は話しに夢中で
誰もれいなの姿には気付いていない。
猫のように目を見開きキョロキョロと室内を見渡すれいな。
36:2005/03/23(水) 11:13:37 ID:??? BE:96044966-
(わぁ〜みんな背が高かー!何か大人っぽいし!
まぁそりゃそーやね、高校生やもんね。
高橋さんおるかいねー?れいなば見て
どんな顔するやろか?ふふふっ驚くやろうねー♪
高橋さーん、れいな会いに来たとよーー!)

自然と笑みを浮かべるれいな。
数分前に中等部の校舎で見せていた険しい顔と打って変わり
高橋と会える高揚感がれいなを無邪気な子供の顔にさせていた。

(どこにおるんやろーね高橋さん?
れいなチビやけん、前の人等が邪魔でよー見えんちゃ・・・
こんな事なら、高橋さんにどこの席に座っちょるか
聞いとけばよかった、おーーーい高橋さーーん!
どこにおるんねーーー?れいなばーーーーい!)
37:2005/03/23(水) 11:13:53 ID:??? BE:37351627-
心の中で愛に呼びかけていたその時だった。
「あんたさ〜モーニング娘。の田中れいなでしょ?」
「え!?」
突然、背後から声を掛けられる。
驚き体を「びくっ」と弾ませるれいな。
心臓が高鳴る、緊張が走る、恐る恐る背後を振り返るれいな。
そこには、れいなより遙かに背の高い生徒3人が
れいなを見下ろし立っていた。

3人ともヘアーカラーと薄いメイクを施し
制服を着ていなければ大学生や社会人のように大人びて見えた。
腰に手を当ててる者、腕を組む者、薄笑いを浮かべる者
3人とも余裕の表情でれいなを観察していた。
「うわ〜マジで田中れいなじゃ〜ん♪」
「ちっちぇ〜〜!テレビで見るより小さいね〜♪」
「携帯に撮っちゃおうかな〜?キャハハハッ♪」

(な、何ねーこの人等!?)
38:2005/03/23(水) 11:14:23 ID:??? BE:130727677-
「あんたさー、何でこんなとこにいんの?ここ高等部の校舎だよ?」
高圧的な態度で、れいなに質問をする生徒。
「あ、あの・・・・高橋さん・・・・高橋愛さんに・・・・用が」
伏し目がちにオドオドと答えるれいな。
「あ〜〜〜高橋愛ね、はいはい」
「そーいえば、あの子うちのクラスだったよね♪」
「キャハハハハッ、ひっでー♪クラスメイトなのにさ〜〜♪」
一瞬、この3人が何を言ってるのか
れいなには理解できなかった。
だが、3人の下品な笑い声を聞いているうちに
ある考えに到達した。
(もしかして高橋さんのことば馬鹿にしちょるん?)

「高橋愛なら、ほら一番後ろの窓側の席にいんじゃん」
「暗〜〜く、一人で本読んでんのいんじゃん?アレよ」
「いっつも本読んでんだよ、あの子。あれじゃー友達出来ないよね〜♪」
生徒の一人が高橋のいる方向を指指す。
その方向に視線をやるれいな。
タイミング良くれいなの前を立ち塞がっていた生徒達が散乱し
れいなの視界が広くなった。

「!!」

目に映った光景に驚き、声を失うれいな
39:2005/03/23(水) 11:14:43 ID:??? BE:53358645-
教室では昼食を済ませた生徒達が
各自お気に入りのお菓子やデザートを頬張り
雑誌やプリクラや携帯等を眺め談笑している
その輪から遠く離れ、静かに本を読んでいるポニーテールの少女。
少女の回りには誰もおらず、誰も寄りつく気配すらない。
疎外、孤独、無視、空気、虚無
自分がイメージしていた愛の姿とは遠くかけ離れた
寂しい愛の姿が、そこにはいた。

(・・・・・・・・れいなばい・・・・・・・・)

まるで自分を見ているよな錯覚感。
頭の中が混乱し、気が遠くなり、足が震え
恐怖でその場にへたり込みそうになるれいな。

そんなれいなの心情など無視するかのように
容赦なく言葉でれいなに追い打ちを掛ける3人。
「あんたってさー、あの子と一緒に住んでんでしょー?」
「あの子ってさー自分のこと「わし」って言わない?」
「キャハハハッ♪出たー「わし」!」
「やっぱ、あの子と言えば転入初日の挨拶でしょー?」
「そうそう、すっごい訛っててさー!早口でさー!キャハハハッ♪」
「何言ってんのか分かんないのー!」
「突然、宝塚の話しをし出してさ〜誰も聞いちゃいないっつーの!」
「みんな引いてたよねー?ちょー寒かったよ〜〜キャハハハハッ♪」
「いや、あれは逆にウケたよーマジで!ヤバかったもん!」
40:2005/03/23(水) 11:15:46 ID:??? BE:93376875-
れいなのことを無視しているのか、意識しているのか
口角泡を飛ばし、愛の物真似を交え、愛のことを嘲り笑う3人。
血の気が引き、体が冷たくなり、わなわなと震え出すれいな。
充血した目に涙が溜まってゆく。

(高橋さん・・・・・高橋さんもれいなと同じやったんやね・・・・・
友達がおらんかったんやね・・・・・・寂しかったんやね・・・・・・
一緒ばい・・・・・高橋さん・・・・・・れいな・・・・れいな・・・)

唇を噛み、痛さを感る。 そうしなければ今にも涙がこぼれ落ちそうだったから。

「せっかく写真撮ってあげよーとしたら逆ギレしてさー」
「そうそう!「事務所に怒られるでー止めてやー!」って!」
「こっちが親切に友達になってあげよーとしたのにさー
自分でチャンス逃しちゃって、バカだよね〜〜♪」

下を向き震えてるれいなを見てサディスティックに興奮しているのか
3人の執拗なまでの愛への悪口は緩むことなく勢いを増していった。
「訛りを隠そうとして標準語喋ろうとしてんのが痛いよねー♪」
「全然、直ってないんだもーん!しかも本人気付いてないしさー♪」
「ってゆーかー、あの子さーー」
っと、その時だった。
「・・・・・・・・・・悪かとや?」
愛への悪口を遮るように、震えながられいなが呟く。
「え!?」
一瞬、何が起きたのか理解できずお互いの顔を見合う3人。
「訛ってて悪かとやーーー!?」
れいなの突然の咆吼に驚き、れいなに注目する3人。
目の前には鬼のような形相のれいなが拳を強く握り
3人を睨み付けて立っていた。

「あんた等、絶対許さんけんね!!」
41:2005/03/23(水) 11:16:05 ID:??? BE:32015726-
「標準語がそんなに偉かとか!?訛ってちゃいけんとか!?
勝手に写真ば撮りよーとしたら怒りよるんが当たり前やろーが!!
何、きさんら勝手なことばー言いよっとか!!
高橋さんのこと何も知らんくせに!!分かろーともしちょらんくせに!!
高橋さんの悪口ば言うなーーーーーーー!!」
憎悪を剥き出し3人を一喝するれいな。
「あんた等、絶対許さんけんね!!高橋さんを・・・・
高橋さんを馬鹿にする奴はみんな許さんけん!!」
れいなの迫力と普段聞いたこと無い福岡弁に圧倒される3人。
だが、年上という面目だけが僅かな支えとなり、れいなに詰め寄る3人。

「な、何言ってのあんた!?バッカじゃなーい、熱くなってさー!」
「あ、あんた年下でしょー!?何タメ口になってんの!?」
「テレビと同じだよコイツ!ちょー生意気じゃん!!」
何とか威厳を保とうとしているが、れいなに対する恐怖心と
動揺は隠しきれていなかった。
3人のうち一番高橋の悪口を喜々として喋っていた1人が
れいなの肩を掴み揺する。
42:2005/03/23(水) 11:16:23 ID:??? BE:53358454-
3人の態度とは違い、れいなは至って冷静だった。
(コイツがリーダーばい!)
れいなは福岡時代から喧嘩慣れしているため、喧嘩に対する嗅覚が発達していた。
(コイツば倒せば後は楽勝ばい!)
どうすれば自分が優位に立てるか、形勢が逆転できるか、勝てるか
れいなは過去の経験から、それらの術を熟知していた。

「ちょっとー!何か言いなさいよ!!」
沈黙に耐えられなくなったリーダー格の女が叫んだ刹那
れいなの右フックがリーダー格の女のみぞおちを食い込む。
「うげぇ!!」
その衝撃に目と舌が飛び出し、息が止まり、体をくの字に屈ませるリーダー格の女。
目の前で起きた突然の出来事を理解できずに呆気にとられる他の2人。
攻撃の手を休めることなく、自分の身長と同じ位置に下がった
リーダー格の女の頭を左手で掴み、突き上げるように
右アッパーを女の顔に叩き込むれいな。
「ぎゃあーーーー!!」
奇声を上げ顔を押さえ、床にへばり付き悶絶するリーダー格の女。
鼻血と汗と涙にまみれた顔は、化粧が剥がれ落ち、苦痛に歪み
見るに耐えない面相になっていた。
体を丸め震え、泣きじゃくるリーダー格の女を見下ろし
すぐさま他の2人に視線を移すれいな。
43:2005/03/23(水) 11:16:55 ID:??? BE:64029964-
「ひぃぃ!!」
ようやく事の事態を把握し、たじろぎ後ずさりする2人。
れいなに対する恐怖心で顔面は蒼白になり、すっかり戦意を喪失していた。
(思った通りばい!コイツ等、口ばっかで喧嘩したことなかとや!)
口の端に笑みを浮かべ、勝利を確信し余裕の表情でジリジリと2人に歩み寄るれいな。
今にも泣き出しそうな2人、「あっあっ・・・・」許しを請いたくとも
恐怖で言葉が出ない。
いつの間にか教室内にいた生徒や、廊下を歩いていた生徒達が
れいな達の回りを取り囲み野次馬化としていた。
その時だった。

「田中ちゃん!!」

「!!」
我に返り歩みを止めるれいな。
頭の中でその声が反芻する、心臓の鼓動が高鳴る。
いつも聞き慣れた優しくて大好きな声。
その声が聞きたくてここまで来た。
優しく包み込んで欲しかった。
笑顔が見たかった。
振り返るれいな、それと同時に野次馬の群れが左右に分かれ
れいなの目に愛の姿が映し出される。
「た、高橋さん・・・・・・・・」
優しく笑顔で迎え入れてくれると思っていた愛の顔は
両手を胸に当て今にも泣き出しそうな悲哀に満ちた顔をしていた。
44名無し募集中。。。:2005/03/23(水) 12:40:52 ID:bhV04uUI
おもしろい!!
45ねぇ、名乗って:2005/03/23(水) 21:59:56 ID:iUJtzI1L
これ以外のれいな小説ないの?!そろそろ飽きた。
46:2005/03/23(水) 22:49:40 ID:??? BE:144067469-
「た、田中ちゃん・・・・・な、何でこんなとこにおるん?」
震える声でれいなに問い掛ける愛。
「れ、れいな・・・・・・・」
言葉が出てこず、愛の顔を正視するのもままならないれいな。
「そ、その子、血ィ出てるで・・・・・田中ちゃんがしたんやの?」
まるで母親がイタズラをした子供を諭すような
優しさと悲しさに満ちた愛の声。
「れ、れいな・・・・・・・」
隠したくとも右手に付着した返り血が全てを物語っていた。
自責の念がれいなを押し潰す。
「何で?何でそんなことしたん田中ちゃん?何かされたん?」
大勢の前で愛に責められてる恥ずかしさと情けなさ。
味方のいない孤独感がれいなの小さな体を襲う。

(だって、高橋さんに会いたくて・・・・・・れいな寂しかったけん
高橋さんの顔ば見たくて・・・・・・でも、この人等が高橋さんの悪口ば言うけん
何で?れいな悪くなかとよ?高橋さんのためにやったんよ?
何でそんな顔するん高橋さん?何でれいなばいじめるん高橋さん?
高橋さんはれいなの味方やろ?何で優しくしてくれんの高橋さん?
何で笑ってくれんの高橋さん?高橋さんだって寂しかったんやろ?
れいなと一緒やったんやろ?友達おらんかったんやろ!?
そうやろ?ねーーーー高橋さんーーーーーー!?)

心の中で叫び、愛に訴えるれいな、だがその声は愛には届かない。
口に出せないもどかしさ、情けなさ、悔しさ、悲しさ。
れいなの頬を涙が伝う、涙が溢れ愛の顔がぼやけてよく見えない。
ざわめく生徒達、その声が更にれいなを追いつめ孤独にさせる。
47:2005/03/23(水) 22:50:13 ID:??? BE:48023036-
(一人ばい・・・・・独りぼっちばい!嫌ばい!一人は嫌ばい!
助けてよ・・・・・・助けてよ高橋さん!れいなに優しくしてよ!
優しく抱きしめてよーーー!!高橋さんーーーーー!!ねーーーーー!!)

「田中ちゃん・・・・・今そっちに行くで・・・・大丈夫やから
あっし味方で?田中ちゃんの・・・・そやから泣かんといて・・・・」
れいなに向け足を一歩踏み出す愛。
愛の足音が近づく、心臓が高鳴る、汗が噴き出す、膝が震える。

「田中ちゃんーーーー!!」
踵を返し、その場から逃げ出すれいな。
今、愛に触れられたら壊れてしまう。
今、優しくしてもらったら崩れてしまう。
アンビバレント。
愛を求めているのに愛を拒絶してしまう。
持って生まれた天の邪鬼な性格と
僅かに残されたプライドがれいなを走らせた。

後ろで愛が叫ぶ。
だが、その叫びはれいなには届かない。
駆け抜けるれいな、すれ違う生徒達が何事かと振り返る。
どこへ向かって走っているのか、れいなには分からなかった。
どこへ辿り着けば救われるのか、れいなには分からなかった。
ただ走るしかなかった、答えが見付かるまで。
孤独とゆう名の波に飲み込まれないように。
そして

(帰ろう・・・・福岡に帰るばい・・・・)
48:2005/03/23(水) 22:51:44 ID:??? BE:80037465-
学校を飛び出し、福岡へ帰る決意をし
荷物を取りにマンションへ帰宅したれいなだったが
ある重要なことに気が付いた。

「お金が無いばい・・・・・!」
今週、愛からお小遣いを貰ったばかりだったが
漫画やCDやお菓子等を買いまくったため
れいなの財布の中には857円しか入っていなかった。
銀行のカードも愛が保管しているため貯金も引き出せない。
仮に今、れいなが万単位のお金を所持していたとしても
福岡まで帰る手段をれいなは知らない。
電車やバスの切符は福岡でも買ったことはあるが
新幹線や飛行機の切符は買ったことがなく
しかも、どこで切符を買えるのかすら知らない。
東京へ来たときも両親が切符を手配し
れいなはその両親の後ろをついて来ただけだった。
49:2005/03/23(水) 22:52:40 ID:??? BE:192089489-
「れいな、一人じゃ何もできん・・・・・子供やけん・・・・」
自分の無力さを思い知り、落ち込むれいな。
福岡へ帰れないことの悔しさと
帰らないですむとゆう安心感が、れいなを複雑な気持ちにさせていた。
少し落ち着き、平常心を取り戻したれいなは
衣類や雑貨が散らばった自分の部屋を見渡す。

「あ・・・・・」
ラックに並んだ娘。のCDが目に映る。
壁には娘のポスターや自分のうちわ等のグッズが掛けらている。
コルクボードにはハロプロメンバーと写した写真が貼ってある。
机の上には愛とのツーショット写真が写真立てに納められ飾られている。
「モーニング娘。・・・・・みんな・・・・高橋さん・・・・・」
れいなが小さく呟いた時だった。

「トゥルルルルルッ♪トゥルルルルルッ♪」
突然に鳴った電話の呼び出し音が静まりかえった部屋中に鳴り響く。
その音に驚き体を「びくっ」っと弾ませるれいな。
恐る恐る電話機の元へ歩み寄り電話機のディスプレイを覗き込む。
50:2005/03/23(水) 22:53:24 ID:??? BE:56026837-
ディスプレイには高橋の携帯電話の番号が表示されていた。
「高橋さんばい!れいなのことば捜しよる」
高橋への後ろめたさか、すぐに受話器を取れないれいな。
電話は5回目の呼び出し音の後に留守番電話に切り替わった。
出荷時にメーカーが設定していた無機質な留守電の応答メッセージが流れ
その後に「ピーーッ」っとゆう信号音が鳴った。

「あーども、高橋愛です。あ、別に挨拶せんでええんや・・・
あ、あっのーあーし田中ちゃんのこと捜しよるんやけどー
田中ちゃん、家におるんやろーか?おるのー?田中ちゃーん!
電話に出んゆーことはおらんのやろーか・・・・・
どこ行ったんやろ?・・・・あのーもしこのメッセージ聞いたらー
あーしの携帯でええんで電話して下さい・・・・高橋愛でした。」

愛のメッセージを聞いた後、れいながぽつりと呟いた。
「電話には誰も出んわ・・・・・」
言った後に赤面するれいな。
これはモーニング娘。リーダーでもあり、おとめ組のリーダーでもある
ダジャレ好きの飯田圭織の影響だ。
そのせいか最近のれいなはよくダジャレを思いつく。
だが決して口に出しては言わない。
回りから「オヤジ臭い」「オヤジギャグ」っと揶揄されそうで
若いれいなには、それが恥ずかしくて耐えられそうもないからだ。
51:2005/03/23(水) 22:54:15 ID:??? BE:64030346-
「高橋さん・・・・」
ポケットの中にしまってあった携帯電話を取り出す。
自ら電源を切っていたために気が付かなかったが
ディスプレイには留守電とメールマークが表示されていた。
「高橋さんばい・・・・・心配しよる・・・・」
っと、その時だった。

「ガチャッガチャッ」
家のドアの鍵穴を弄る音が聞こえた。
「誰ーー!?高橋さん!?」
驚き、体を硬直させるれいな。
「カチャッ」「ギィィ・・」
ドアの鍵を開け、家のドアが開く、れいなの体に緊張が走る。
本能が危機感を察知したのか、反射的に自分の部屋へ逃げ込むれいな。
「ガタンッ」「ガサッゴソッ」「ペタッペタッ」
ドアを閉め、靴を脱ぎ、廊下を歩く足音。
52:2005/03/23(水) 22:54:32 ID:??? BE:37350672-
(高橋さんやない!!高橋さんやったら家に人がおらんでも
「ただいまーー」って言うもん!誰ー!?まさか泥棒!!)
心臓の鼓動が高鳴る、恐怖で体が冷たくなる、足がすくみ動くことも出来ない
床にへたり込み、助けを呼ぶ声も出せない。
足音がれいなの部屋へと一歩一歩近づいて来る。
(嘘ーー!!何でーー!?いやーー!!高橋さーーん!!助けてーーーー!!)
心の中で愛に助けを求めるれいな。
っと、同時にれいなの部屋に向かって、その侵入者が呼びかける。
「田中ちゃーーーーん!」

「はい!!」
その聞き覚えのある声に反応し、思わず声を出し答えるれいな。
「なーんだいるんじゃん!この部屋ー?開けるよー?」
れいなの了承を待たずに部屋のドアノブを回す侵入者。
「キィィ」
ドアを開き、侵入者が部屋に入ってきた。
その聞き覚えのある声の主の顔を見て、目を丸くし驚くれいな。

「藤本さん・・・・!!」