75 :
ナナシマン:
ちょっと急に飲み会が入ってしまいまして、更新のほうを明日に順延させて
いただきます。申し訳ありません。
>>73 ご好意感謝いたします。これだけそろうと作者としてもストーリーのチェック
などに便利ですね。ありがとうございます。
>>74 ご無沙汰してました。無事に中東から帰還しました。読者の方に同じ業界の
人がいるとは思いもよりませんでしたが、今後ともよろしくお願いしますね。
なっちの件は・・・正直書き手としては悪いタイミングだなって感じで。
76 :
ナナシマン:04/12/10 00:23:54 ID:g+kYCI43
同じ頃、夕闇の迫る岬に立つ、一人の少女の姿があった。彼女の瞳に
映し出されていたもの、それは戦いに命を散らせた友の墓標だった。
しかし何故か墓の周りの草花はことごとく立ち枯れ、あたかも死の土地
であるかのようにさえ見えた。しかしそんな中にあっても、少女は
今日も戦友の墓に一輪の花を手向け、冥福を祈る。
(あさみ、戦いはまだ当分終わりそうにない。けど、なっち絶対に
負けないよ・・・)
少女〜安倍なつみは亡き友木村麻美への思いを胸に瞳を閉じる。頭を
垂れてしばし友の姿に思いを馳せていたそのとき、何者かの気配を感じ
振り返る。
「誰?!」
誰もいない岬になつみの声が響き渡る。と、一陣の風が吹くと同時に
突然巨大なトランプが目の前に出現したかと思うと、彼女の目の前から
掻き消える。そして次の瞬間、一人の男が目の前に立っていた。白い
全身スーツに身を包んだ邪悪な仮面。ゼネラルシャドウの姿がそこに
あった。サーベルを構えたその姿は、いわば臨戦態勢とでも言うべき
構えだ。
「あんた、ゼティマ?!」
突如現れた敵に対しすぐさま身構えるなつみ。しかし、一方のシャドウ
は構えていたサーベルで空を切ってみせると、そのまま鞘に収めて彼女に
話しかける。
「初めてお目にかかるな。俺の名はゼネラルシャドウ。ドクターケイト
と相打ちになった、木村麻美の墓だな?」
77 :
ナナシマン:04/12/10 00:24:31 ID:g+kYCI43
「そんな事あんたが知る必要ない!」
怒りのにじむ視線がシャドウを捉える。しかしそんななつみの言葉に
構わず彼はゆっくりと麻美の墓に近づくと、花びらの一枚までも
立ち枯れた一輪の花を摘み取ってつぶやく。
「死してなお、地に病なす猛毒か・・・」
墓標の周りで立ち枯れた草花、それはドクターケイトの放った毒に
よるものだった。それはケイトが相打ちに倒れた後も、麻美が葬られた
土地に残留し、影響を及ぼし続けていた。目の前に立つ仇であるゼティマ
の一味に、友の眠るこの地で何を語る必要があろうか。だがシャドウは
更に言葉を続けた。
「電波人間タックル。よくぞ改造魔人と相打って果てたものよ・・・
敵ながら天晴と言うべきか」
電波人間タックルとして、強敵ドクターケイトに対して命がけの大技
ウルトラサイクロンを放ち、自らの命と引き換えにこれを倒した彼女
の戦いを、シャドウはなつみの前で称えたのである。
「あの子はもう、一人の女の子なの。その名前で呼ばれることも、
戦士である必要もない・・・!」
「なるほどな」
拳を握り締めてつぶやくなつみに、一言だけ答えるシャドウ。二人の
間に奇妙な静寂の時が流れる。
78 :
ナナシマン:04/12/10 00:25:53 ID:g+kYCI43
しかしその直後、何かを察知したシャドウは指に挟み込んだ数枚の
カードを藪に向かって投げつけた。風を切って飛んでいくその先に、
タイタン配下の戦闘員の姿があった。額と喉元に突き刺さったカード
は、断末魔の声を上げることすら許さず彼の命をたちまちのうちに
奪い去ってしまっていた。なつみの後をつけていたのか、この場所に
紛れ込んでいたのだ。
「フン、無粋な奴め」
敵の思いがけない行動に、しばし言葉を失うなつみ。そんな彼女と
シャドウの視線が交錯する。が、シャドウは何かを思い直したかの
ようになつみに言う。
「勘違いするな・・・お前を助けたつもりはない。タイタンの
やり口が気に入らん、それだけの話だ」
そう言うと、シャドウはきびすを返す。そして去り際に、彼女を
狙う敵のたくらみを告げた。
「タイタンがお前の命を狙っている。三日後地獄ヶ原で決闘などと
ほざいているが、あの男がお前とまともに果し合いをするとは
思えん・・・せいぜい気をつけるんだな」
「待て!」
シャドウを呼び止めようと叫ぶなつみ。しかし、彼はその言葉だけを
残して、彼女の前から姿を消した。