仮面ライダーののクウガ

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54ナナシマン
 タイタンは振り返る。ドクターケイトをそそのかしてタックルを始末したのは
よかったが、実はあの後手柄は思いがけずシャドウの元に転がり込んでしまって
いた。シャドウの株が組織内で上昇する中、反面北海道支部壊滅の憂き目を見た
自分は冷や飯を食わされる有様。シャドウとストロンガー、この両者には何と
しても雪辱を果たさねばならない。しかし、この得体の知れない三人の策に
乗って勝ち目があるなどにわかには信じがたい事だ。タイタンの巨大な一つ目
が三神官の顔を一人ずつ見つめる。

 「・・・何をすればよい?」

タイタンの警戒心のにじむ視線が三神官に注がれる。そんな時、三神官の長たる
バラオムが口を開いた。
55ナナシマン:04/11/29 22:35:45 ID:JpPQWLHq
 「我等の言を入れるか否か、それを決めればよいだけだ・・・すべてはお前の
胸ひとつで決まる」

 しばし考え込んでいたタイタンは、その巨大な一つ目を右に左にと動かして
いたが、ついに決心がついたか三神官の言葉に答えた。

 「よかろう・・・お前たちの話に乗ろうではないか。それでストロンガーと
シャドウを葬り去ることができるならな」

タイタンの目が怪しく光る。一方の三神官も一様に彼の決心に笑みを浮かべる。
彼の言葉に雪辱にかける意気を感じ取ると、三神官の一人ビシュムが彼の
耳元に何事かを囁いた。それを聞き、タイタンは黙ってただうなずいていた。
三神官は雪辱を誓うタイタンに謎の秘策を授け終えると、ゆっくりと闇の
向こうへと消えていった。
56ナナシマン:04/11/29 22:38:07 ID:JpPQWLHq
 一人通路に残されたタイタン。交わされた密約に、彼は不思議と得体の
知れない確信を感じ始めていた。

 (・・・奴等の言葉通りならば、俺はとてつもない力を手に入れることが
できる。最初は信じられない話だと思っていたが、今は疑う余地がない)

彼らがタイタンにいかなる策を授けたかは定かではなかったが、少なくとも
タイタンはその秘策に賭けることを決心していた。

 と、その時彼は別の何かの気配を感じて振り返った。それとほとんど
同時に、彼の背後から鋭利な何かが放たれた。物体の飛来を巨大な一つ目で
捉えたタイタンは、間一髪でその飛翔物をかわす。「ガキン!!」という
鈍い金属音を残して通路の壁に突き刺さった物体を見やるタイタン。見ると
それは金属でできたハサミのようなものであった。

 「何者だ、出て来い!!」

この謎の物体をタイタン目がけて放った何者かが暗闇の向こうにいる。そして
彼が言い放ったその直後、攻撃の張本人と思われる者が口を開いた。

 「タイタンよ、三神官どもと懇意になろうとはいよいよ焼きが回ったな」

そう言うや、彼によって放たれたハサミ状の物体は再び宙を舞うと、彼の手に
帰っていく。いや、正確にはそれが彼の「手」なのだ。そして彼の目の前に
現れたのは、まったく面識のない一人の改造人間だった。