147 :
ナナシマン:
勢いを取り戻したストロンガーはそのままタイタンへと飛び掛る。
がっぷりと組み合うと、空中高く跳躍し「反転ブリーカー」の体勢へと
移ろうとする。だが、この技はタイタンに読まれたか空中で組み手を
切られ、両者は身を翻して二つに分かれた。
「タイタン、もう後が無いぞ!」
「何の、俺は30倍のパワーを手に入れたのだ。まだまだ勝負は
これからよ!」
身構えて互いに相手の出方を伺う両者。じりじりとにじり寄って間合いを
詰めていく。両者は決して相手から視線をはずすことはない。そして
両者はほぼ同時に仕掛け、一気に飛び出すと乱打戦となった。相手の
打撃が当たろうともお構いなし、打ち合いを止めることはない。しかし
今や勢いはストロンガーにある。敵の振るう拳をかいくぐると、再び
タイタンに組み付いた。
(30倍のパワーって言ってたけど、肉体が急激なパワーアップに
耐えられるはずがないべ・・・)
ストロンガーはタイタンと組み合いつつ、敵の体の弱点を探していた。
呪いの棺の儀式によって急激にパワーアップしたタイタンだが、彼の
体がその急激な変化に長くは耐えられないとストロンガーは読んだのだ。
(どこかに一撃を加えてエネルギーのバランスを崩せば、勝ち目は
あるかも)
タイタンの体内に流れるマグマエネルギーのバランスを崩すことで彼を
倒すことが出来る、そう考えたストロンガーはこの至近距離で強烈な
一撃を繰り出した。
148 :
ナナシマン:05/01/30 21:25:04 ID:rJGLawFr
「受けてみろっ!電、パァァァンチ!!」
打撃と同時に1万ボルトの高圧電流が流れる必殺の一撃。先ほどタイタン
に読まれ、拳にダメージを受けたがストロンガーはそれすら厭わず
正義の鉄拳を叩き込んだ。鈍い打撃音が荒野に響く。必殺の一撃と共に、
敵の体内を駆け巡る電気エネルギー。腹部を押さえたタイタンは痛みに
もがき後ずさる。対するストロンガーは更なる一撃を加えんと身構えた。
「うぐぐっ・・・やりおるわストロンガー」
白目をむいて痛みに耐えたタイタンは辛うじて正気づくと、反撃に転じる
べく再びストロンガーへと向かっていく。一方のストロンガーは、そんな
敵の姿にある異変を見出していた。ちょうどタイタンの肩の辺りに露出
していた一対の球状の物体に視線が走ったその時、そこから漏れ出していた
エネルギー反応をキャッチしたのだ。
(そうか、電パンチでバランスが崩れたエネルギーが両肩から放出され
はじめたのか。ようし!)
いよいよ決着の時が来た。ストロンガーはその両腕を横に広げると空に
叫ぶ。
「チャージアップ!!」
そのままくるりと身を翻してポーズを決めると頭部の角「カブトショッカー」
が銀色に輝き、プロテクター「カブタクター」に銀色のラインが走る。
超電子ダイナモが発生させる超電子を体外に放出するべく回転するSマーク。
この瞬間、ストロンガーは超電子人間へとパワーアップするのだ。
149 :
ナナシマン:05/01/30 21:26:00 ID:rJGLawFr
「タイタン、パワーアップしたのはお前だけじゃないぞ!」
「何だと!」
チャージアップを遂げたストロンガーはタイタン目がけて大きく跳躍する。
空中高く飛び上がり、放つ一撃は両肩の装置を狙う。
「ストロンガーッ!超電子ダブルキーック!!」
超電子エネルギーを帯びた両の足がタイタンの肩を捉える。衝撃は全身を
駆け抜け、そのままタイタンは大きく吹っ飛ばされた。
両肩の球状の物体は体内に流れるマグマエネルギーを定期的に放出する
装置だった。体内にエネルギーが滞り始めると、それはタイタン自身の
生命をも脅かす。そのため余剰エネルギーを放出する作業が必要となる。
電パンチによって急激に体内にエネルギーが充満した状態となった
タイタンの体には、当然のごとくエネルギー放出の必要性が生じた。しかし
いまや両肩の装置は超電子ダブルキックの衝撃によって十分な機能を
果たさなくなっていた。とめどなくエネルギーが溢れ続け、タイタンは
今やほうほうの体を晒している。
「おっ・・・おのれストロンガーッ!」
苦しげな声を挙げながらもストロンガーに近づこうとするタイタンだったが
もはやその足取りはおぼつかない。2、3歩いたところで遂に膝をつき
ひざまづいてしまった。
150 :
ナナシマン:05/01/30 21:27:22 ID:rJGLawFr
「タイタン、もう勝負はついたべ!」
チャージアップを解いたストロンガーがタイタンの方へゆっくりと歩み寄る。
と、その時ひざまづいたままのタイタンがその身を起こし、ストロンガー
へと手を伸ばしたではないか。
「ストロンガー・・・君は強い。この通り俺はもうだめだ。命がけの戦いを
した者同士、最後の握手を交わそうではないか」
「?!」
ゆっくりと右手を差し出し、ストロンガーに握手を求めるタイタン。戦いを
終え、ライバル同士の絆が生まれたか・・・いや、そんなはずは無い。木立
から二人の様子を見つめていた圭織と希美が声を挙げる。
「だめよストロンガー、それは罠よ!」
ストロンガー〜なつみはこの時はじめて二人が自分の戦いを見守っていたことを
知った。二人の方を見つめ、暫しの沈黙の後ストロンガーはタイタンの握手に
応えるべく自らの右手を差し出した。