142 :
ナナシマン:
再び舞台はストロンガーとタイタン、そして二大奇戒人が立つ地獄が原
の荒野へと移る。タイタンの合図によって姿を現した奇戒人は、倒れた
ストロンガーの両腕を各々が掴むと、強引に引き起こした。
「立て、ストロンガー!」
「さしもの仮面ライダーもこうなると無様なものだな!」
奇戒人はダメージのいえないストロンガーを罵倒しつつ足蹴にし、拳を
振るう。倒れることもままならないストロンガーはこの暴挙に甘んじる
しかないのか。と、その時タイタンが二人の狼藉を制して言った。
「待て。とどめは俺が刺す」
その言葉に打ち振るう拳を止めた二人の奇戒人が掴んだストロンガーの
腕を強く引く。血のにじむ腕となすがままの体がピンと張った瞬間、
さながらそれは磔刑の様相を呈していた。
「ストロンガー、最後に何か言い残すことがあるか?俺様が聞いて
やろう。クックック」
「タイタン・・・ストロンガーが死んでも、悪が蔓延る事はない!」
「フン、この期に及んで何を言うかと思えば・・・まぁいい」
抵抗できない宿敵の姿をあざ笑いつつ、タイタンは手にした銃をストロンガー
の頭部にあてがう。指先一つで命を奪う、圧倒的有利な状況。巨大な瞳に
愉悦の眼光が光る。
143 :
ナナシマン:05/01/27 23:53:25 ID:UH2T7Uzo
祈るような眼差しで、木立の影からその光景を見ていた圭織と希美。
友の勝利を信じていたが、万事休すの思いがよぎったか目を背ける。
(あぁ・・・なっち・・・!!)
無念の思いにかみ締められた唇。握られた拳がぎりぎりと音を立てる。
それは希美も同じだった。圭織のジャケットのすそを握り締める手に
力がこもる。そんな少女たちの思いを知る由も無いタイタンは、無情の
引き金に指をかけ、引き絞る。
「遂にやったぞ、勝利の時だ。死んでもらうぞ、ストロンガー!」
ズキューン!
乾いた銃声が荒野に響き渡る。それはタイタンによる死刑執行だった。
仮面ライダーストロンガー、地獄が原に散る・・・と、思われたその時。
「グッ・・・グガガガガ・・・」
苦悶の声を挙げたのは、ストロンガーを拘束していた奇戒人。見れば
ハゲタカンの鶏冠から白煙が上がっているではないか。そのまま奇戒人
は大の字に倒れ、爆炎とともに消滅した。そしてタイタンがその光景を
認識したのとほぼ同時に、彼の腹部に強烈な一撃が加えられた。
もんどりうって倒れた彼の体に覆いかぶさるように、コウモリ奇戒人が
倒れこむ。そして、倒れ伏した二人の目に飛び込んできたのは太陽を
背にして立つ戦士の影。白いマフラーをなびかせた影の主こそ、
誰あろうストロンガーだった。
144 :
ナナシマン:05/01/28 00:27:23 ID:pbqQjSEn
敵が勝利を確信したその瞬間、ストロンガーにとって最大のチャンスが
訪れた。仕損じるまいと奇戒人たちが掴んだ自分の腕を握りなおそうと
したその時、ストロンガーは一瞬で爆発的な力を発揮した。両腕を
力いっぱい引き寄せると、ちょうどハゲタカンがストロンガーと入れ替わる
ようにしてタイタンの銃口にさらされる形となった。銃声がとどろいた瞬間
体をかわしたストロンガーは、返す刀でタイタンの腹部を蹴り上げ、
コウモリ奇戒人に鉄拳を叩き込んで吹き飛ばしたのだ。頭部を破壊されて
もはや鉄の塊と化したハゲタカンは倒れ、残るはコウモリ奇戒人と憎き
タイタンのみだ。
「残念だったべ悪党ども。そろそろこっちの番だ!」
そう言うやストロンガーは手近のコウモリ奇戒人を強引に引き起こす。
頭部の赤い飾りを両腕で掴み、痛めた拳をものともせずパンチの乱れ打ちだ。
「ぐおっ!うおっ!!」
拳が振り下ろされるたびに奇戒人がうめき声を挙げる。ストロンガーが何度
鉄拳をぶち込んだかというほど殴られたところで、ようやくその手を振り払う
と反撃の炎を口から吐きにじり寄る。だが、ストロンガーは炎を掻い潜って
奇戒人の懐にもぐりこみ、ベルトに手をかけるとそのまま一気に担ぎ上げると
勢いよく突き上げた膝頭に叩き付ける。
145 :
ナナシマン:05/01/28 00:43:13 ID:pbqQjSEn
「ウギャアアアア!」
悶絶して身動きの取れない奇戒人に対して、ストロンガーがとどめの一撃を
放つ。両腕をこすり合わせると、みなぎる電気エネルギーが火花を伴って
迸る。拳を地面にたたきつけ、再び放つはエレクトロファイヤーか。しかし、
怒りの炎によって倍増された電気エネルギーが火花と稲妻を伴って地を駆け、
グロッキー状態の奇戒人を襲う。
「ストロンガーッ!電、ショーック!!」
ストロンガー怒りの一撃が敵を捉えた。全身を駆け巡る電気エネルギーが
奇戒人を内部から破壊する。
「グッ、グアアアアアーッ!」
断末魔の叫びを残し、コウモリ奇戒人は爆発四散した。いよいよ残るは
タイタンただ一人だ。