29 :
L.O.D:
11時過ぎ、収録が終わって、家に帰ってきてお風呂に入り
寝る準備が整った頃にはそんな時間だ。
「はぁ〜・・・・」
今日は二本録りだったから、なおさら疲れたのか
辻は早々にベッドに横になる。
ゴッ!!
「痛っ!」
とは言っても、まだ寝る気はないが
出かけぎわにベッドの上へ放り投げた
漫画の角に頭をぶつけて悶絶していると
携帯から聞こえてきたのは
小川自らが歌うオガワえもんのテーマ・・・・・・・
『のんちゃぁ〜ん!』
「キモい、キモいっ!まこと!近付き過ぎだから、マジで!!」
『キモいっていうなよぉー』
「アップはいいけど、鼻の穴とかダメだって」
『びょーん』
「いやぁー、バカでしょ、お前!」
『のんちゃんに言われたくないねー』
「あんたはバカだ、間違いない」
30 :
L.O.D:04/11/16 00:27:05 ID:mwgB49Ha
『そいやさー、昼間のメール、超ウケたんだけど!』
「面白かったしょっ!あの後、ずっとやってたんだよ、二人で」
『二人で?見る人もいないのに?』
「うん、ずーっと、楽屋で」
『そりゃバカだわー』
「いやいやいや、まことには負けますから、ほんと」
『ぬーん』
「だーからぁ、そういうわけのわかんないことするしょやー!」
小さな携帯の画面に映る小川の笑顔。
難しいことはよく分からないけど、いい時代になったものだ。
離れてても、友達の顔が見える。
小川はしょーもないが、それがまたいい。
辻にとって、この時間が嬉しかった。
『そいやさー、今度のオフは?』
「しばらくないなぁ」
『そっかぁ、うちもだなぁ』
「もー、年末じゃん!」
『そうだよ、年末だよ!』
「リハーサル始まるから会えるじゃんかよ〜」
『え〜・・・・・』
「なにその声〜、のんと会うの嫌なのかよ〜」
『うそ、うそ。すんまそん』
「すんまそん、ってなんだよ、もー、ほんとまことはバカだ」
31 :
L.O.D:04/11/16 00:29:16 ID:mwgB49Ha
『バカ、バカ言うけど、あたしはバカじゃないから
どっちかっていうと、バカなのはつじ』
「つじ呼ばわりかよっ」
『そう、もう今日からお前はつじだ!』
「いや、今日からもなにものんはつじだから」
『いや、つじ、じゃなくて、つでぃにしてやるっ』
「つでぃってなんだよー、しょうもないなー」
『ワハハハハハ!』
「あははははっ!」
くだらない会話でいい。
お互いに罵りあいながらも
その距離感を感じ取っている。
仕事で疲れてても、こうして電話をして
悩みを相談することもあるけど
いつも大概はこんな調子だった。
今思えば、なんてつまらぬこと、と思うし
自分の性格に飽き飽きする。
大事なものは無くしてようやく気付くっていうのも分かってるはずなのに
本当に、本当につまらぬことをしてしまった。
そんな時、素直に謝れたらいいのに
バツが悪くて、声もかけれずにいる間に
さらにタイミングを失っていき、泥沼になる。
もし出来るなら、この瞬間の自分にこう言いたい。
差し出された手を握り返して。