横浜の中心でぁゃゃを叫ぶ!!

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20L.O.D
『君と僕はO、彼女はAB、そしてあのコは・・・・』

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

会話のない楽屋。

しゃべる相手は一人しかいない以上

どちらかが話しかけない限り

会話は始まらない。
21L.O.D:04/11/15 09:59:30 ID:SapHOYXr
「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

だが、今はどちらも話しかける雰囲気ではなく

特に話しかける用事もない。

いや、そのように装ってるというのが正確か。

一足早く支度を終えた加護が扉を開けて出ていこうとした瞬間

辻が口を開く、タイミングを逃さぬよう・・・・・

「あいぼ・・・・・」

「うっさい、ボケ。もうしばらく黙っとけ、この能無しが」

こうなってしまった原因はもう一週間前のことだ・・・・・・
22L.O.D:04/11/15 10:01:53 ID:SapHOYXr
第一話 ツマラヌコト

「あいぼん、あいぼん!」
「まーたまこっちゃんからメールかぁ?」
「それがさぁ・・・・」

辻は笑うのを堪えながら、加護に自分の携帯を渡す。
小川がくだらない動画を撮って送ってきたのだろうとは思ったが
携帯の小さな液晶にはぬいぐるみだらけの小川の部屋が映ってる。

『・・・・・・ヌーン』

「!?」

突如、左からアゴを突き出した変顔の小川が現れて
『ヌーン』などというわけの分からぬ声を発して
右へと去っていった、まったくくだらない。

「ブハハハハハハハッ!!」
「意味なーっ!」
「面白くない!?のの、すっごい笑ったんだけど!!」
「そんなんばっか送ってるんだろー、しょーもないわぁ」
23L.O.D:04/11/15 10:02:51 ID:SapHOYXr
「あいぼんさぁ、こんこんとしないの?」
「するって・・・動画?」
「そう、新ネタとか。てかさ、こんこんって電話とかどうなの!?」

加護が自分の携帯を取り出し、辻へ渡す。
どこかの店のようで、こんこんは一人でいるようだ。
目の前にはおいしそうなスパゲティ。

『はい、というわけで、こないだ言ってたお店に来ましたぁ。
 見てくださいっ!ほらっ!これ、おいしそうでしょー!
 食べてみますねー・・・・んぅう〜〜〜』

その後は無言で食べている。
しかも、オチもなく終わった。

「・・・・終わり?」
「終わり」
「美味しそうでした。」
「美味しかったです」
「あ、行ったんだ」
「うん、こないだのオフに向こうも時間空いてて、ご飯だけ」
「へぇ・・・・・いいなぁ」
24L.O.D:04/11/15 10:04:15 ID:SapHOYXr
「そういや、まこっちゃんとご飯食べにいくのはいいけどさー
 必ず焼き肉屋なのはどうなのよっ?」
「なんかさぁ・・・・やっぱ食べたいったら肉じゃん!
 で、結構、時間遅かったりしたらあれだし
 ファミレスとかもあれだしさぁ・・・・・・・」
「分かる!」
「分かるべ!」

何気ない会話。
尽きぬ会話。
いつもの楽屋
いつもの辻と加護。
二人になったから変わったことなんてあまり無かった。
強いていえば、歌うパートと責任が増えたくらいだ。
ちゃんと仕事をするのは、もう言われなくたって当たり前。
それぐらい分かってる。
楽屋は・・・・二人しかいないから狭くなった。
だけど、寂しさはない。
娘。で一番にぎやかな二人がそのままだし
メンバーとは常に連絡を取ってる。
特に小川は毎日欠かさずどころか日に何度も
しょーもない動画を撮っては辻に送りつけてくるし
紺野は加護にその時のお仕事やメンバーの様子を送ってくれる。
ミニモニで本体とは別行動を取ることもあっただけに
そういう状況は別段、変化がなかったといえばなかった。
25L.O.D:04/11/15 10:05:39 ID:SapHOYXr
「よーしっ、まことにメール返そうかなぁ!!」
「二人でなんかやろか!?」
「いいねっ!なにやるっ、なにやるっ!?」
「斬ってみっか!」
「じゃ、じゃ、ののがギター弾くからっ!」
「よーしっ、って、これじゃテツ&トモじゃねーかっ」
「そうだよ、コンビじゃないよ、あのネタ!」
「うはははははっ!」


「お」
「ん?」

小川の携帯から流れ出したのは辻が一人で歌うロボキッス。
カラオケに行った時に録音したのをそのまま指定着信にしてるらしい。
隣に座ってた紺野がそれに気付き、携帯を覗く。

「おもしろいの来た?」
「来た来た、動画」

辻と加護が交代に出てきては、バッタバッタとハロプロ関係者を斬っていく。

『どんなにかわいくても東南アジア人と間違えますから!残念っ!涙の美白斬りっ!』
『もはやどうやったって本性バレてますからっ!残念っ!独身貴族斬りぃっ!!』

「・・・・・・プッ」
「すごいなぁ・・・・うちもなんか考えっかなぁ」
「誰にするのっ?」
「誰がいいかなぁ・・・・・」
26L.O.D:04/11/15 10:11:14 ID:SapHOYXr
楽屋を見渡す。
それぞれがそれぞれの事をしてる。
収録の合間。

「誰・・・うーん・・・・」
「・・・・ざんねーん・・・・・」
「ざんねーん・・・・・ざんねーん・・・・・」
「ざんねー・・・・・」
「拙者、まだまだやせそうもありませんからっ!切腹!!」
「まこっちゃん・・・・自虐?」
「あはははっ」
「ははは」
「やせないとマズいって・・・・・マジで」
「がんばろーね・・・・」

『痩せた途端にスカートは違和感ありますから!残念っ!お前は女なのか斬りぃっ!!』
27ねぇ、名乗って:04/11/15 13:15:53 ID:C8atMOtO
あややのまんこなめほうだい
28ねぇ、名乗って:04/11/16 00:05:01 ID:ZKkfGS3y
29L.O.D:04/11/16 00:26:12 ID:mwgB49Ha
11時過ぎ、収録が終わって、家に帰ってきてお風呂に入り
寝る準備が整った頃にはそんな時間だ。

「はぁ〜・・・・」

今日は二本録りだったから、なおさら疲れたのか
辻は早々にベッドに横になる。

  ゴッ!!

「痛っ!」

とは言っても、まだ寝る気はないが
出かけぎわにベッドの上へ放り投げた
漫画の角に頭をぶつけて悶絶していると
携帯から聞こえてきたのは
小川自らが歌うオガワえもんのテーマ・・・・・・・

『のんちゃぁ〜ん!』
「キモい、キモいっ!まこと!近付き過ぎだから、マジで!!」
『キモいっていうなよぉー』
「アップはいいけど、鼻の穴とかダメだって」
『びょーん』
「いやぁー、バカでしょ、お前!」
『のんちゃんに言われたくないねー』
「あんたはバカだ、間違いない」
30L.O.D:04/11/16 00:27:05 ID:mwgB49Ha
『そいやさー、昼間のメール、超ウケたんだけど!』
「面白かったしょっ!あの後、ずっとやってたんだよ、二人で」
『二人で?見る人もいないのに?』
「うん、ずーっと、楽屋で」
『そりゃバカだわー』
「いやいやいや、まことには負けますから、ほんと」
『ぬーん』
「だーからぁ、そういうわけのわかんないことするしょやー!」

小さな携帯の画面に映る小川の笑顔。
難しいことはよく分からないけど、いい時代になったものだ。
離れてても、友達の顔が見える。
小川はしょーもないが、それがまたいい。
辻にとって、この時間が嬉しかった。

『そいやさー、今度のオフは?』
「しばらくないなぁ」
『そっかぁ、うちもだなぁ』
「もー、年末じゃん!」
『そうだよ、年末だよ!』
「リハーサル始まるから会えるじゃんかよ〜」
『え〜・・・・・』
「なにその声〜、のんと会うの嫌なのかよ〜」
『うそ、うそ。すんまそん』
「すんまそん、ってなんだよ、もー、ほんとまことはバカだ」
31L.O.D:04/11/16 00:29:16 ID:mwgB49Ha
『バカ、バカ言うけど、あたしはバカじゃないから
 どっちかっていうと、バカなのはつじ』
「つじ呼ばわりかよっ」
『そう、もう今日からお前はつじだ!』
「いや、今日からもなにものんはつじだから」
『いや、つじ、じゃなくて、つでぃにしてやるっ』
「つでぃってなんだよー、しょうもないなー」
『ワハハハハハ!』
「あははははっ!」

くだらない会話でいい。
お互いに罵りあいながらも
その距離感を感じ取っている。
仕事で疲れてても、こうして電話をして
悩みを相談することもあるけど
いつも大概はこんな調子だった。

今思えば、なんてつまらぬこと、と思うし
自分の性格に飽き飽きする。
大事なものは無くしてようやく気付くっていうのも分かってるはずなのに
本当に、本当につまらぬことをしてしまった。
そんな時、素直に謝れたらいいのに
バツが悪くて、声もかけれずにいる間に
さらにタイミングを失っていき、泥沼になる。
もし出来るなら、この瞬間の自分にこう言いたい。

差し出された手を握り返して。
32名無し募集中。。。:04/11/16 00:43:45 ID:NqU13m0h
更新乙です。
いやァ、久しぶりにLODさんを見ましたよ。
懐かしさのあまり書き込んでしまいましたが。
俺のマイクさんの様に奇抜な展開待ってます。
33名無し募集中。。。:04/11/16 01:04:04 ID:HfdEUxsX
ho
34L.O.D:04/11/16 11:52:57 ID:mwgB49Ha
その日は昼から事務所で取材で、加護が街で買い物をして向かうと
30分近く早く着いてしまった・・・・・・
すれ違うスタッフに挨拶しながら、マネージャーを探すと
自分を見つけたマネージャーがすまなそうに手を合わせた。

「ごめんっ!急にキャンセルになった!」
「えぇ〜、ほんとですかぁ」
「その後の3時からのはやるんだけど」
「そかぁ、うちお昼食べてないんだよなー」
「なんか取る?」
「てんやものはいいわー・・・・」
「っと、ごめん。電話だっ、三時から取材だからねっ」
「あーい」

突然、用事がなくなったものの
買い物も済ませてしまって
また外へ出る理由もなく
廊下をブラブラしてると
目の前に石川を見つけた。

「梨華ちゃ〜ん!」
「あ、あいぼんだっ!元気〜?」
「なにしてんの、取材?」
「うん、私はこれから」
「あさ美ちゃんいる?」
「もう終わったかな?」
35L.O.D:04/11/16 12:19:03 ID:mwgB49Ha
控え室を覗くと、ちょうど終わったらしく
少し疲れた顔の紺野が座っていたが
加護を見つけると立ち上がって
笑顔でぎゅぅっと抱きしめてきた。

「あいぼ〜ん」
「あさ美ちゃぁ〜ん」
「あいぼんはお仕事?」
「それがなー、キャンセルになって3時まで空いてんの」
「お昼は?食べた?」
「まだだけど」
「美味しい店見つけたの!」
「取材は?」
「私はもう終わったよ〜、この後はー・・・6時からリハ」
「じゃ、行っちゃおか!」
「行こう、行こう!」

そこへ別々に取材を受けてたメンバーも帰ってくる。
その中の小川を見て、紺野がなにかを思い出したようだ。

「あっ、ね、まこっちゃん!」
「ほぇぁ?」
「今からあいぼんとご飯行くんだけどね
 そこのかぼちゃケーキがすっごいおいっしいの!
 まこっちゃんに食べさせてあげたいと思ってたんだよー!!」
36L.O.D:04/11/16 12:44:37 ID:mwgB49Ha
「いいな、いいなぁ!」
「まこっちゃんも行こうぜぃ!」
「いやっほー!!」
「キャァ〜〜〜〜!」

なにやらハイテンションになった3人が小躍りしながら
楽屋を出ていった後、吉澤がフッとテーブルを見ると
小川の携帯が置かれたまんまになっていた。

「あっちゃー、あいつら、もう行っちゃったよ・・・・」
「紺野がいるから大丈夫でしょ」
「そだねー・・・・」

と、そのまま携帯を戻した・・・・・
37L.O.D:04/11/16 12:56:13 ID:mwgB49Ha
「えぇぇえ〜!キャンセルですかぁっ」
『ごめんなー』
「もうタクシー乗っちゃいましたよー」
『3時からの取材はそのままやるから』
「はい、分かりましたぁ・・・事務所行きますー」
『よろしく』

マネージャーからの電話を切った辻は深くため息をつく。
まったくついてない。
家を出る前に言ってくれれば
読みかけだった漫画を全部読めたのかもしれないのに。
携帯を見る、正午を少し回っている。
出かける前に食べてきたから、お腹は空いてない。
事務所に行ったら誰かいるかもしれないから
遊んでもらえばいい。

「そういや・・・娘。も取材だったような・・・・」

確認のために小川の携帯にメールをしてみる。
返信はない、取材中なのだろう。
行けば会えるだろうから
そのまま鞄に携帯を放り込んで
辻は外の風景を眺めていた。
38L.O.D:04/11/17 22:22:04 ID:K0ScqbLx
午後2時を少し過ぎたくらいだったろうか。
加護は二人と食事を終えて、事務所に戻ってきた。
紺野が見つけたお店は本当に美味しくて
値段はそこそこだけど、ランチセットなら十分だ。
加護と紺野は美味しいものには目がない。
なにか見つけたら、お互いに情報交換し
時間が合う時にはこうやって一緒に食べにいく。
紺野が本人を目の前にして話す小川の最新列伝は
どれもこれも作られたように馬鹿馬鹿しく
面白い話ばかりで、すごく楽しかった。
これから取材用のメイクをしなければならず
まだまだ二人と一緒にいたかったけど
廊下の曲り角で別れようとした時だった。

「まことっ!」
「?」

廊下の向こうから一際大きく響いた辻の声。
加護も紺野も小川も何事かと振り向いた。
辻は走ってくると、小川の携帯を投げ付けてくる。

「なんで携帯持ってないのさっ!」
「そうそう、忘れちゃってさぁ・・・・」
「のの、取材キャンセルになってヒマだったのに!!」
「ごめんよぉ、3人でご飯食べに行ってたから・・・・」
39L.O.D:04/11/17 22:23:48 ID:K0ScqbLx
その言葉に、今にも泣きそうに顔を歪めると
辻はバタバタッ!と走り去ってしまう・・・・
事の重大さに気付いた小川の顔は青ざめ
それよりも、紺野が気まずさを通り越してオロオロし
加護は自分のしたことを後悔してた。
だけど、いつものことだ。
数時間もしたら、機嫌は直る。
分かってる、あの子とは長い付き合いだ。
辻はああ見えて嫉妬深い。
負けず嫌いという以上に、そっちの方が強い気がする。
自分が吉澤や石川とかと話してると、近付いてくる。
最初はその理由も分からなかったが
それに気付いてからは、辻にゆずってあげたりもした。
いつものこと。
小川がいなかったこと、三人でご飯を食べにいったこと・・・・・
彼女にとって他の誰かじゃダメなのだ。

「あ、あ、あいぼん、どーしよ・・・・・」
「のんちゃん怒ってたよー・・・・」
「あー、もう、しゃーないなー・・・・・
 放っておけば、どうせ直るけどなぁ・・・・・」
「わ、わたし、みんなにどんな風だったか聞いてくるっ!」
「あいぼん、ごめん!ほんとごめん!!」
「謝るなよー、勝手に怒ってるのはののなんだからさー」
「だって、この後、取材もあるしょやぁ・・・・」
「ちょっとそれが心配・・・・」
「うち・・・・行かない方がいいよね」
「そだね・・・機嫌直ったら連絡するよー」
「ほんとごめんっ!お願いするよぉ・・・・」

別れる時、小川まで泣きそうな顔していた。
40L.O.D:04/11/17 22:34:59 ID:K0ScqbLx
「困った奴・・・・」

慣れてしまった。
自分がなにかしたがると、真似したがり
自分がほめられると、対抗しようとする。
そういう風に出来ているのだ。
Wの控え室に入ってみると
すっかり怒ってる辻がいた。

「なんで、のの置いてったの・・・・・」
「だって、来てなかったし・・・・」
「誘ってくれればよかったじゃん・・・・
 仕事なくなったのは同じじゃん・・・・」
「そうだけど、急だったから・・・・」
「こんこんと二人で行けばいいのに・・・・・」
「いや、そこな、かぼちゃケーキが・・・・」
「いいもん!のの、仲間はずれにして・・・・」
「・・・・・はぁー」

あまりのいじけっぷりに腹が立ってきた。
さっきはあたかも自分が辻の考えを先読みして
引くところは引いているように言ったものの
こうなってくると話は違う。
加護の中で押さえきれぬものが溢れ出しそうになる。
41L.O.D:04/11/17 22:48:41 ID:K0ScqbLx
「携帯置いてくとか、ほんとありえない・・・・
 いっぱい連絡したのに・・・・」
「なぁ、のの、うちやあさ美ちゃんおったんやから
 連絡してくれればよかったんやないのっ?」
「・・・・・・・・・・」
「みんな、うちらと一緒にいるって教えてくれたんやろ
 それをまこっちゃんがいないのとか
 うちらが勝手にご飯食べに行ったみたいに言うて
 どっちがわがまま言うてるんか分かっとんのかっ」
「・・・・・だって」
「だってもクソもあるかいな!
 あんたのワガママで一気に冷めたわ!!
 ほんま腹立つわ、こいつ!!」
「うっさーーーい!!なんだよっ、その言い方!
 ののも腹立ったんだよっ!!」

  ガタァアアアアンッ!!

立ち上がって、椅子を蹴り飛ばした辻が加護を押し倒して、上から殴りつける
加護もこのあとの仕事のことなんか忘れて、辻の顔を殴り飛ばした。
マネージャーがこの騒動を聞き付けて、飛び込んできた時には
控え室どころか、二人がひどいことになっていた・・・・・・
42L.O.D:04/11/17 22:51:54 ID:K0ScqbLx
数時間に渡り、マネージャーに説教された辻が家に帰ってきたのは9時過ぎ。
それでも、気持ちが収まらず、まず母親に一言言われた。
遅い夕ご飯を食べるも、食事を取るという行為に
自分の怒りの元をオーバーラップさせてしまい
早々にやめて、部屋に閉じこもった。
居間のテレビの音が漏れ聞こえてくる。
落ち着かず、音楽をかけてみるも気分に合わない。
やり場のない怒り。
いや、怒りなのかどうか分からない。
だけど、辻の心を裏切られたという気持ちでいっぱいだった。

「一緒に遊びたかったのに」

加護の顔が浮かぶ。
ああなったらダメだ。
どうしてもぶつかってしまう。
その度に後悔するのも分かってる。
だけど、止められない。
まるで、ビリヤードの最初のショットのように
考えや理性が吹き飛んで、言い合いが始まる。
だけど、こんな喧嘩は久しぶりだった。
43ねぇ、名乗って:04/11/19 10:25:27 ID:nh+fpFVW
へぇ
44ねぇ、名乗って:04/11/19 13:13:44 ID:nh+fpFVW
へぇ へぇ
45ねぇ、名乗って:04/11/19 13:25:06 ID:nh+fpFVW
へー
46ねぇ、名乗って:04/11/19 19:59:02 ID:nh+fpFVW
47ねぇ、名乗って:04/11/19 21:13:59 ID:nh+fpFVW
48L.O.D:04/11/19 21:35:43 ID:XLteSTCo
第二話 カナシイコト

憂鬱な寝起き。
携帯を開いてみると、前の夜、寝る直前まで
加護と送りあったメールが並んでいる。
こんなんだったら抜け出して、どっかの店で
甘いものでも食べながら
話を聞いてあげた方が良かったんじゃないか、と
思いつつ、鏡を覗き込むと
いつも以上に前髪にクセがついている。

「はぁー・・・・」

憂鬱な朝だ。
今日はあまり運勢がよくない気がする。
そして、そんな時はテレビの占いは見ないようにしてる。
これで本当に悪かった日にはいたたまれないから。
朝からリハーサル。
小川が心配。
いつも元気な小川が落ち込んでいると
さすがに控え室の雰囲気が違う。
誰も必要以上にしゃべらなかった。
今日は調子を取り戻しているか
いや、辻には連絡できていないはずだ。
あの子は大胆だけど、臆病だから。
49L.O.D:04/11/19 21:40:06 ID:XLteSTCo
「はぁー・・・・ん?」

携帯がバイブしてるのに気付き、手に取る。
表示に映ってるのは、小川の名前だった。

「もしもしー?」
『こんちゃん・・・・・』
「ん?どしたー、まこっちゃん」
『リハの前に付き合ってくれる・・・・・?』
「い、いいよ・・・・・」

(・・・・病んでるなぁ)


予定よりも家を早く出て、小川が指名したリハ場所近くの喫茶店へ向かう。
よく関係者が利用するので、挙動不審な人間が入ってきても
誰も見向きもしない。
帽子を深くかぶった紺野は店の奥に小川の姿を見つけた。

「・・・・こんちゃーん」
「あ、えーっと・・・あの、アイスティで」
「・・・・・・」
「・・・・どうしたの?」
「え、あ、うん・・・・」

小川の目の下にはクマが出来てた。
寝れなかったのだろうか。
いつもの覇気はない。
やっぱりあの事が気になってるのだろうか。
50ねぇ、名乗って:04/11/19 21:42:34 ID:nh+fpFVW
51L.O.D:04/11/19 21:43:41 ID:XLteSTCo
「ののちゃんに連絡とれた?」
「ううん・・・・」
「電話・・出てくれないの?」
「うん・・・・」
「メールも返ってこないんだ・・・・・」
「どうしたらいいだろう・・・・」
「実はね・・・・・」

紺野は携帯を取り出す。
昨日の辻と加護の騒動
飛び火してはいけないと、娘。サイドにはなにも教えられなかった。
加護からあの後、何が起きたのか聞いた紺野は顛末を知っている。
昨日のメールのやり取りを見せると
小川の表情はどんどん曇っていってしまう。

「・・・・・見せない方がよかった・・・・かな?」
「ごんぢゃーーーーんぅっ!」
「駄目だよ、まこっちゃん。そんな泣いちゃっ・・・・リハ始まるしっ」
「ダメだ、こりゃダメだ・・・・うちはもう・・・・・」

なにやらすっかりネガティブな小川に戻ってしまった。
紺野は眉間にしわを寄せる。
自分に出来ることはなにもない。
52L.O.D:04/11/19 21:48:57 ID:XLteSTCo
加護が目を覚ましたのは9時過ぎ。
ボーッとしたまま、何分過ぎただろう。
昨日、もうちょっと早く起きておけばよかったと後悔する。

「あさ美ちゃんにメール送らなきゃ・・・」

長い時間付き合わせてしまった。
昨日のあの後のこと、今までの辻への思い
紺野との仲や小川のこと・・・・・
いつから、こうなったのかは分からないけど
なぜか紺野にはいろんなことが話せた。
あの子が聞き上手だからかもしれない。
しゃべるテンポは二人とも違って
だけども、会話はちゃんと進んでる。
なんとなく思うが、物事への感性が似てるのかもしれない。
紺野は他人の痛みが分かる子で
時折、感情任せに相手を傷つけてしまう自分には真似のできないことだ。

「ありがと・・・・」
53L.O.D:04/11/19 21:55:37 ID:XLteSTCo
つぶやきながら、打つメール。
寝ぼけた頭のまま、ベッドに寝転ぶ。
頭の片隅で今日の仕事のことを考えてる。
今日も会わなきゃいけない。
喧嘩してても、仕事では一緒。
仲裁してくれる人もいない。

「やになるわー・・・・」

思わずついて出た本音。
向こうが謝らない限り、謝る気はない。
勝手なのは向こうだから
加護が謝る理由はない。
昨日の言い種は納得できない。

「よし、と・・・・・」

それでも、仕事はしなくちゃいけない。
54L.O.D:04/11/19 22:05:45 ID:XLteSTCo
「はいー、今度はこっちねっ!」

遊園地での雑誌撮影。
キッズなんとかって奴で、確かミニモニ。の時にもやった。
二人で次々とポーズを取っていく。
笑顔、笑顔、そして笑顔。
慣れたものだ。
顔を近付ける。
頬がくっつく。
ふざけてキスのまね。
爆笑。
楽しそうな現場。
笑いが絶えない。
プロの仕事。

「休憩はいりまーす」

お互いが体をサッと離した。
辻はマネージャーの腕に手を絡めて話しかけてる。
手持ち無沙汰で、携帯を鞄から取り出すと
紺野からメールが入っていた。

「・・・・なんもだよー。
 これからリハーサルです。
 あいぼんもがんばってね。」

チラッと見ると、辻もこっちを見てた。
なんで自分の行動をいちいちチェックされてるのだろう。
すごく嫌。
55L.O.D:04/11/19 22:11:28 ID:XLteSTCo
「1、2、3、4!ちょっと道重、立ち位置違う!」

分かってた。
自分がおかしいことに。
眠れなかったせい?
注意されてないのは偶然、ってぐらい。
フラフラする・・・・・・・

  フラッ!

「まこっちゃん!!?」

小川が意識を失った瞬間、紺野は曲が鳴ってるのも構わず駆け寄った。
ダンスのパートナーを勤めていた吉澤が間一髪で抱きとめたものの
小川は目をつぶったままだ・・・・・・

「ま、ま、まこっちゃんっ!」
「あー・・・寝不足?ちゃんと自己管理しなさいよっ!
 吉澤、一人で動ける?二番、誰だっけ?藤本か、大丈夫でしょ?」

スタッフによって、運び出される小川の姿を目で追ってるも
すぐに練習は再開される。
集中しなきゃいけないけど
そんなこと出来るわけがなかった。
ここに来る前に、見た小川の顔が深く胸の奥で疼いた・・・・
56L.O.D:04/11/19 22:45:09 ID:XLteSTCo
[更新レス]
あー、どうも、作者のL.O.Dです。
久しぶりに羊で書かせてもらってますが
読んでもらえてるのでしょうか(w
57ねぇ、名乗って:04/11/19 23:16:34 ID:nh+fpFVW
うん
58名無し募集中。。。:04/11/19 23:21:47 ID:c/Cp8dN+
みてますよぉ(w
59名無し募集中。。。:04/11/19 23:40:13 ID:jXY5HZCT
がんばってー
60L.O.D:04/11/20 20:31:54 ID:PCg19dcV
ゆっくりと目を開けると、蛍光灯の明かり。
ダルい体。
あの瞬間、意識を失った、と自分で分かった。
リハに出れないなんて最悪。
マネージャーに怒られる。

「・・・・・行かなきゃ」

半身起こしたところに、誰かが入ってくる。

「あら?起きたの?」

石川だった。
休憩中なのだろうか。
手には小川の携帯。

「ありがとうございます」
「寝てなきゃだめよー、まこっちゃん」
「休憩中なんですか?」
「ううん」
「えっ?」
「心配だから抜け出してきちゃった」
「そんな・・・・」
「サボりたかったわけじゃないんだよー?」
「なんて言ってきたんです?」
「んー、ま、アレでね」
「あー・・・アレ」

意味ありげに笑う石川の無邪気な笑顔。
お返しに笑ったけど、自分でも力なく笑ってるのが分かる。
61L.O.D:04/11/20 21:23:51 ID:PCg19dcV
「石川さん・・・・・」
「なぁに?」
「石川さんはメンバーのこと特別に思ったりしますか?」
「特別に?みんな、好きだけど・・・・そうね
 シゲさんには負けない!絶対負けないんだから!
 あとね、キャメイね、元祖としてゆずらないわよっ」
「いやー・・・・まぁ・・・・友達、というかぁ・・・・」
「あぁー、そういう特別ねっ!そうねー・・・・・
 よっちゃんかなぁ・・・・・・・
 やっぱりね、普段はそんなに話さないけど
 うちが本当にダメな時、支えてくれるのはよっちゃん」
「吉澤さんかぁ・・・・・」
「なぁによぅ、そんな質問しちゃって〜」

小川はうつむいて、言葉を探す。
だけど、うまい言葉は見つからない。
今の自分達を言い表す言葉なんてない。
友達でも、親友でもない・・・・・・

「のののこと、好き?」
「あ・・・・・そういうわけじゃないけど・・・・・」
「でも、あるよ。親友とも違うもの。」
「どうしたらいいか分からないっす。
 電話もメールもダメで・・・・・
 もうダメかも・・・・・・・・」
「そうかな」
「え?」
「私はー・・・・のののかぁちゃんだからね」
「石川さん・・・・・」
「あの子はね、時がくれば分かってくれるよ」
62名無し募集中。。。:04/11/21 11:55:44 ID:lMbnjqD4
ho
63L.O.D:04/11/21 19:19:55 ID:J1cCZhMT
「ね、あいぼ・・・・」
「・・・・・」

あからさまに無視をされて、辻は顔を歪めた。
自分だって好きで話しかけたわけじゃないのに
せっかくの撮影で和らいでたものがなくなった。
いつもの喧嘩なら今のタイミングで仲直りする。
どちらかが話しかけたら、ぶっきらぼうでも答える。
だけど、今回は違うし、今は違う。
辻もまだ納得してないし
加護も納得出来てない。
携帯電話を見ると、小川からのメールが一件入ってた。
辻はそれを読まずに、携帯を閉じた。

「ラスト撮影入りまーす!」
「よろしくお願いしまーす!」

浴びるライトの光。
プロの顔に戻る。
見てくれるのは何万という子供達。
そして、おっさん共。
メリーゴーラウンドは回る。
何を追いかけて走るのか分からない馬。
そして、それは一生抜かれることも抜くこともない。
追い付くことも捕まえることもできない。

(悲しいな・・・・・)

なんとなくそんなことを考えながら
笑顔を振りまく自分がピエロのような気がして
辻は精いっぱいの笑顔を作った。
64L.O.D:04/11/21 19:39:10 ID:J1cCZhMT
「そんなことないですよぉー」
「あはははは」

戻ってきた小川が練習に加わり
ようやくリハーサルが終わって
メンバーが小川を囲んで、談笑してる。
小川はすっかり調子を取り戻したのか
いつもの調子で元気を振りまいてる。
紺野はそれを遠めに見ながら、帰る支度をしていた。

(良かった・・・・)

ひとまず小川が調子を取り戻してくれたのが嬉しい。
帰ろうとしたところを小川に呼び止められた。

「こんちゃん!」
「えっ?」
「待ってよ、一緒に帰ろう」
「う、うん」
「荷物まとめるから!」

ロビーのベンチで通りかかるスタッフやダンサーの人に挨拶をしながら待つ。
あの後、紺野が話しかけないから
心配していることを察してくれたのだろうか。
そこへ矢口と石川が通りかかる。
65L.O.D:04/11/21 19:53:11 ID:J1cCZhMT
「キャハハハ、お、紺野」
「あ、お疲れさまでーす」
「矢口さん、先に行ってタクシー探しておいてくださいっ」
「なんだよー、おいらパシリかよー」
「そう言わないで、ビビンバおごってあげますからぁ」
「よっしゃ、忘れんなよっ!」

矢口がいなくなると、石川は紺野の隣に腰掛ける。
あまり二人になる機会はないから、緊張する。
タンポポで一緒だったとはいえ
先輩とこういう状況は慣れるものではない。

「あのね」
「は、は、はいっ」
「や・・・・そんな緊張しなくてもいいけど
 えっと、小川のことなんだけどさ」
「はい?」
「紺野、ちゃんと見ててあげてね?」
「あ、はいっ」
「なにかあったら、私とかよっちゃんとか
 相談してもいいんだからね」
「はいっ」
「これからご飯でもいくの?」
「たぶん・・・・・・」
「あんまり遅くなる前に帰りなさいよ・・・っと、じゃぁね」

まるでそれを分かってたかのように
石川が自動ドアの向こうへ消えたのと同時に
小川が廊下の向こうからバタバタと歩いてきた。
66L.O.D:04/11/21 20:07:17 ID:J1cCZhMT
「ごめんよぉ・・・・・」
「ううん」
「行こっか」
「うん」

タクシーに乗り込んだ二人。
すっかり夜の顔をしている東京。
過ぎ去るネオンを見つめながら、話し出したのは小川からだった。

「・・・ごめんね」
「えっ、なにが?」
「倒れたりして」
「や、そんなこと、全然・・・・」
「一瞬、あさ美ちゃんが私のこと呼んでくれたのは覚えてるよ」
「・・・・・・・」

倒れた瞬間は本当に驚いたし、心配だった。
だから、必死になっていた自分を思い出してしまった。

「ありがとうね・・・・」
「いえいえ・・・・」
「だめだねー、やっぱ強くはなれないよ」
「・・・・・」
「元気、元気、って言われるけどさ
 私はなーんも変わってないよ。
 デビューする前のまんま・・・・・・」
「そんなこと・・・」
「ううん・・・こういう時、ほんとだめなんだよね
 すぐダウンしちゃう、昔からそう・・・・
 娘。入って、頑張ってるけどさ」
67L.O.D:04/11/21 21:33:58 ID:J1cCZhMT
小川は噛み締めるように言葉をつぶやく。
まるで、自分に言い聞かせるように。
紺野はデビューした頃のことを思い出す。
電車に乗りながら、レッスンでの悔しさを思い出して
泣く小川の頭を撫でてあげたことがある。
なぜか、そういう時に自分だけが泣けずにいた。

「あいぼんとののちゃんだったら仲直りしてくれるからさ
 それが終わったら、きっとまこっちゃんも許してもらえるよ」
「そかなぁ」
「大丈夫、ね、今日はさ、遊ぼうよ!」
「うーん・・・・・」
「何時までだって付き合うよっ」
「・・・・ありがと、よーしっ!プリクラ撮るか!」
「撮ろう、撮ろうー!」

小川の笑顔。
ニカーッと笑う。
やっぱり人の良さは笑顔に出る。
その前にまず腹ごしらえだ。
68L.O.D:04/11/21 21:56:11 ID:J1cCZhMT
チャポン・・・・

お風呂の中で、天井を見つめながら
今日一日のことを思い返してた。
結局、辻とは一言も話さなかった。
マネージャーからいい加減にしろと怒られた。
それでも、引けるわけがない。
自分だけじゃなく、友達の紺野や小川のことまで振り回す
その態度が気に食わないのだから。

「はぁ・・・・しばらくは許さん・・・・・」

ぼそっとつぶやき、そのまま顔を水中の中へ潜り込ませた。
もうしばらく二人の喧嘩は長引くようだ。

[第二話 終了]
69L.O.D:04/11/22 21:54:07 ID:6ctyAiDz
第3話 チイサナコト

「・・・・・・・」

震える携帯電話。
それを手に取ったまま、辻は難しい顔をしていた。
午後11時。
かけてきてる相手は分かってる。
だけど、出ることが出来ずにいた。
今、出ると、ひどいことを言ってしまいそうな気がした。

・・・・ブブブブブ・・・・ブッ

切れた。おそるおそる開けると
やはりその電話は小川からの電話。
ゆっくりと下唇を噛み締めながら
携帯の電源を落とすと
机の上へ放り投げて、布団をかぶった。

70L.O.D:04/11/22 22:19:46 ID:6ctyAiDz
「ダメだぁ・・・・・」

小川は今にも泣きそうな顔で携帯を見つめる。
もうあれから5日以上経ったのに
辻は電話も出てくれないし、メールも返してくれない。

「てか、なんでうちがこんな悩んでるんだろ・・・・」

思えば、辻の過剰な嫉妬のせい。
誰かとご飯を食べにいくのを辻に許可を取る必要はないし
辻は自分の親ではない。
そんなことが頭をよぎって、振り切るように頭をブンブンと振る。
自分の気持ちは分かってる。
辻がそうやって自分を大切に思ってくれることが嬉しいし
いつの間にか、もはや親友という以上の存在になってた。
気兼ねなくなんでも言える。
なにも不安に思うことも
構えることもなく、言葉を発しあえる人・・・だったはずだ。
あと、何日、こんな日が続くのだろう。

もはや日課となりつつある、仕事後の会議。
小川と紺野は紺野が見つけてきた隠れ家のようなカフェで
マンゴージュースやらクラブサンドやらで空腹を満たしながら、話をしていた。
71L.O.D:04/11/22 22:28:46 ID:6ctyAiDz
「そっかぁ・・・・・」
「あ、あさ美ちゃん、携帯鳴ってるよ」
「ほんとだ・・・・ちょっと出ていい?」
「うん」

誰か友達からなのだろうと思い
小川は視線をはずして、壁に張られたアーリーアメリカンのようなポスターを
なにげなく見ていたのだが
紺野の第一声に驚いてしまう。

「あ、あいぼん。」
「あいぼん!?」
『ん、おー、ごめん。まこっちゃんと一緒だったんだ?』
「そう、ご飯食べてたの」
『今、よかった?』
「うん、だいじょぶだよー」
『あー・・・ごめん・・・まだののとうまくやれなさそう』
「うーん・・・怒ってるの?」
『うちがだめ・・・話せない』
「そっかぁ、昨日も言ったけど、私達は大丈夫だからね」
『ごめんなぁ・・・・・』

72L.O.D:04/11/22 22:39:32 ID:6ctyAiDz
なんとなく話の内容から分かる。
加護は辻とうまくいってない。
辻がまだ怒ってるんだろうか
小川の胸の中を不安が埋め尽くす。

『まこっちゃんにごめん、って言っといて』
「うん、じゃぁね〜」
「あいぼん、なんて?」
「やっぱり、ののちゃんと話せないみたい」
「話せない・・・・・・かぁ」
「あいぼんは、今回ね、ののちゃんが勝手に怒ってるのもそうだけど
 うちらのこと、こうやって振り回してるみたいのが
 すっごく嫌なんだって・・・・・・・」

加護の思いが分かるし、嬉しい。
間に入ってくれる紺野には毎晩、毎晩、申し訳ない。
小川はため息を一つついて話し始めた。

「こんこん、ほんとありがとぉ・・・・あのね」
「うん?」
「うちもさ・・・ちょっと同じこと考えてた」
「え?」
「なんかうちが悩むことじゃないじゃん。
 のんちゃんが勝手に言っててさ
 悪いの、うちじゃないよ・・・・・・って」
「あー・・・・・」
73L.O.D:04/11/22 22:50:33 ID:6ctyAiDz
「だって、そうっしょ。うち、のんちゃんの物じゃないし
 誰とご飯食べに行ったっていいじゃん
 今だってこんちゃんと一緒に来てるし
 これさえもあいつはグチグチ言うの?
 それってさぁ・・・・なに?」
「まこっちゃん・・・・・」
「なんか違うよ・・・そうじゃないよ・・・・」

まるでなにかが溢れ出すように
せき止めていたものが欠壊するうように
次々と言葉をたて並べた小川はうつむき
その言葉を自ら噛み締める。
思っていたけど、口に出せなかったこと
自分の中で天秤にかけて
友達でありたいがために言わなかったこと
きっとこれを本人にぶつけたら
今、かろうじてつながってるものさえも切れてしまうかもしれない。
だから、小川が言えなかったことが溢れた。

「ひっく・・・・・うぅ・・・・・うっ」
「そだね・・・まこっちゃんの言う通りだよ
 今まで我慢してたんだね・・・・・・
 うちにはそういうの言っていいからね・・・・」
「ごんぢゃぁーん・・・・・・」
「とりあえず鼻水かもうね?」
「ヴァー・・・・・・」
74L.O.D:04/11/23 20:37:33 ID:gF5L+6m7
頭が痛い・・・・
ここ、2、3日、ちゃんと寝れていない気がする。
早く寝てるが、夜中に目を覚ましているような
眠りが浅い感じ。
寝起きも悪いし、起きて、2時間経っても頭がボーッとしてる。
新曲のテレビ収録。
今日は早く終わってほしい。
何事もなく終わって、帰って眠りたい。

「リハ入りまーす!」
「3、2、1、キューッ!」

イントロが流れて、ダンスは完璧に覚えてる。
体は動く、間違ってない。
だけど、何か違和感がある。
曲中で見つめあう。
視線が重なる。
痛いくらいの視線。
それが答えだ。
75L.O.D:04/11/23 20:42:40 ID:gF5L+6m7
『・・・シャバラランラランララン ロボロボ』

「OKでーす!お疲れ様でーす」
「ありがとうございましたぁ」

一足先に廊下を歩いていく背中。
振り向くことも話しかけることもない。

「ごめん、トイレ行ってくる・・・」
「楽屋、間違えないでね」
「うん」

加護が一瞬だけこっちを見た気がした。
76L.O.D:04/11/23 20:47:34 ID:gF5L+6m7
加護は楽屋に入ってすぐ、辻の携帯がテーブルの上で鳴ってるのを見つけた。

(しばらく戻ってこないやろ・・・・)

誰からの着信かだけ見ようと覗き込むと
そこには、こんこんと・・・・・

「なんで、あさ美ちゃんとメールしてるん・・・」

口をついて出た言葉に思わず口を塞ぐ。
自分は辻とは違う。
紺野が誰かとメールしてたって関係のないことだ。
それに内容を見たわけじゃない。
小川のことを思って、連絡したのかもしれない。
それならなにも問題はな・・・・・・
77L.O.D:04/11/23 21:04:33 ID:gF5L+6m7
「あいぼん・・・・・」
「え・・・・・」
「ののの携帯、いじったでしょ」
「いじってないよ」
「絶対見た!」
「見てないからっ」

これ以上、ゴタゴタしたくなくて、鏡を見た。
辻が飛びつくように携帯を手にする。
いじられてないのを確認するも
謝ることなく、楽屋を飛び出した。

(なんやの、あいつ・・・・・・)

頭の中で辻の声がリフレインする。
嫌になる。
あの嫉妬と思い込み
少し疲れる。
ゴロンと横になって、天井を見つめながらつぶやく。

「あさ美ちゃん、どんなメールしてたんやろ」
78L.O.D:04/11/23 21:21:06 ID:gF5L+6m7
「紺野、ちょっと・・・」
「あ、はい」

楽しそうにしゃべる輪を抜けて、石川が雑誌を読んでた紺野を呼び出した。
楽屋を出て、廊下を曲がったところで、声を潜めてしゃべる。

「どうなった?」
「ののちゃんですか?」
「うん、まことは元気になったみたいだけど・・・・」
「だめ・・・ですね」
「あいぼんが怒ってるの?」
「はい、すごく・・・私達のことを気にしてて」
「そっか・・・」
「私、ののちゃんにもメールしてるんですけど
 あいぼんが怒ってるし
 また同じことやっちゃいそうで怖い・・・って」
「でも、W、二人しかいないからそのままじゃ駄目だよね」
「はい・・・・私もそう思います・・・」
79L.O.D:04/11/23 21:27:35 ID:gF5L+6m7
現状を聞いた石川の顔は難しいままだ。
言葉通りだ。
あの二人がこのままでいていいわけがない。
だが、紺野にはどうすればいいかも分からずにいた。
三人それぞれの言いたいことは分かる。
けど、今の状況を打破するのには誰かが歩み寄らなきゃだめだった。

「私、あいぼんに会おうか?」
「あ、いいですね。お願いします」
「まずはあいぼんだよね・・・・」
「私、まだののちゃんと話してないんで・・・・」
「うん、そうしよっか・・・・
 ほんと、手間のかかる連中だよねー。」

苦笑する石川に紺野も笑って返す。
それが本音ではないことは分かる。
この人は、いつも協調性を考える。
なにか問題が起きるのを嫌う。
今回のも見ていられないのだろう・・・・・
80L.O.D:04/11/23 21:35:27 ID:gF5L+6m7
加護は石川に呼ばれ、彼女の家へ着いた。
一人暮らしはこういう時に便利だが
寂しがりの加護にはまだまだ無理だなと思う。
自分の年の時には石川は娘。と自立を両立してた。

「お邪魔しま・・・・」
「散らかってるけど、ごめんね・・・・」
「梨華ちゃん、散らかり過ぎだから!」

自立と両立は言い過ぎた。
かわいいもの好きだが、整理整頓が苦手なのか
それとも、実はずぼらでおおざっぱな性格が出てるのか
出したところに戻す、いらないものは捨てるが出来ないのかもしれない。

「もー・・・・・」
「あいぼん、片づけとかしなくても・・・・」
「しなきゃ座るとこもないでしょ!」
「・・・・ごめんなさい」
「あーもう、綿棒、こんなしてー」
「なんか使ったあと、まだ使えるかなーと思って置いちゃわない?」
「置きません!捨てなさい、まったくもー」
「ふふふっ、お母さんみたい」
「お母さんじゃないよぉー、誰だよ、自分でかぁちゃんって言ってるのー」
「私じゃないもーん、トメ子さんだもーん」
81L.O.D:04/11/24 16:48:16 ID:s2XgIISW
石川のことだ。
紺野から話は聞いてるのだろう。
交わす言葉の端から分かる。

「紅茶でいいでしょ?」
「うん」
「薄味?」
「4回目のパックとかやめてなー」
「ダメ?」
「・・・・梨華ちゃん、その貧乏性直しなよ」
「だってさ、もったないでしょ」

基本的にケチである。
他人になにかをしてあげることに関しては
暇を惜しまないが、物に関してはケチなのだ。
石川は堅実でしっかりしているというが
端から見てると、なにもそこまでという時もある。
生活の知恵といえばそうなのかもしれないが
ご飯を食べに行って、つまようじを集めて持って帰るのだけはやめてほしい。

「あ、そのネイルかわいい」
「自分でやったんだよー」
「あいぼん、手ちっちゃいねー」
「指プクプクしてるし、梨華ちゃんの手の方がきれいだよ」
「ののとさ・・・うまくいってないって?」

構えてはいたものの、思ってたよりはやく来た。
顔を上げると、石川は優しく笑う。
82L.O.D:04/11/24 17:04:50 ID:s2XgIISW
「話、聞いてるよ」
「そか」
「二人しかいないWでしょー」
「分かってる・・・分かってるの・・・・・」
「あいぼんの気持ちも分かるよ、優しいね・・・・」
「・・・・ののには優しくなれない」
「どうしたいの?」
「もう嫌だ・・・・・」
「そんな・・・・」
「Wがじゃない・・・ののの性格・・・・・
 今日もさ・・・・・・・・・・・」
83L.O.D:04/11/24 17:08:56 ID:s2XgIISW
「ごめん、遅れちゃった。待った?」

辻は紺野と約束してた時間に少し遅れてきた。

「ううん、全然だよ」
「ここ・・・スパゲティがおいしいとこ?」
「うん、そう。あのね、これとこれはおいしかった!」
「そかぁ・・・食べちゃうかなぁ・・・・」
「絶対、オススメだよー。」

落ち着いた店内。
あまりこういうところに出入りしない辻は落ち着かない。
紺野もスパゲティを頼んで、その間は何気ない話をしてた。

「あさ美ちゃんと二人っきりって初めてだね」
「そだね」
「二人ゴトだ」
「アハハハハ」
「・・・・娘。の新曲聞いたよ、てかメインじゃん!」
「いっぱいいっぱいだよ」
「のの、結局、娘。で一回もメインないよー」
「もう収録の度にドキドキしちゃって・・・・・」
84L.O.D:04/11/24 17:13:23 ID:s2XgIISW
美味しいスパゲティも食べ終わるか、といったところ
話始めたのは紺野から。

「ののちゃん・・・・話があるんだけど」
「んぅ?」
「あいぼんと仲直り出来ない?」
「うー・・・・・」
「まこっちゃんの電話に出てあげるだけでもいいから」
「怖い・・・・・」
「こわい?」
「なんかよけいなこと言いそう・・・・
 今日もね、楽屋であいぼんが座ってて
 のん、テーブルの上に携帯置いてたの
 で、トイレから帰ってきた時、携帯見られた、と思って
 ちょうど、こんこんからメールが来てて・・・・」
「なんか・・・・言っちゃったの?」
「あいぼんに怒鳴っちゃった。
 帰り際に話しかけようとしたら
 反対に怒鳴られて、黙ってろ・・・・って」

話がややこしくなってきた。
小さなことのように見えて、それは閉じぬ穴を作ってしまった気がした。
同じようなことが続くと、人間は普段の何倍もの意味で考えてしまう。
加護にとって普段ならなにげない小競り合いも
今は喧嘩の火種でしかない。
ましてや、辻の勘違いや嫉妬なんてものは原因にしかならない。
加護は今日のことをひどく怒ってるだろう。
あとはもう石川がなんとか言ってくれるのを願うしかない。
85L.O.D:04/11/24 17:17:37 ID:s2XgIISW
「ののちゃんは、みんなと仲直りしたいの?」
「した・・・いけど、出来ない」
「なんで?」
「あいぼんにひどいこと言っちゃったし
 まことだって怒ってる・・・・・・」

紺野は思い出した。
小川は今、怒っている。
早く謝らないがために、糸はどんどん絡まりはじめていた。
後悔する、あと一日でも早ければこんなことにはなってなかった。
怒ってないとはいえない。
辻自身が気をつけなきゃ、また同じことだ。
繰り返したら、もっと深いところからやり直すはめになる。

「ののが悪いって分かってるけど・・・・」
「そんな・・・・・」
「分かってるんだよ・・・・だけど・・・・
 素直になんかなれないよ・・・・・
 だって、ののも傷付いたもん・・・・・
 すっごく寂しくて・・・・・・」
86L.O.D:04/11/24 17:32:52 ID:s2XgIISW
「ののちゃんは、みんなと仲直りしたいの?」
「した・・・いけど、出来ない」
「なんで?」
「あいぼんにひどいこと言っちゃったし
 まことだって怒ってる・・・・・・」

紺野は思い出した。
小川は今、怒っている。
早く謝らないがために、糸はどんどん絡まりはじめていた。
後悔する、あと一日でも早ければこんなことにはなってなかった。
怒ってないとはいえない。
辻自身が気をつけなきゃ、また同じことだ。
繰り返したら、もっと深いところからやり直すはめになる。

「ののが悪いって分かってるけど・・・・」
「そんな・・・・・」
「分かってるんだよ・・・・だけど・・・・
 素直になんかなれないよ・・・・・
 だって、ののも傷付いたもん・・・・・
 すっごく寂しくて・・・・・・」

[第三話終了]
87L.O.D:04/11/25 21:34:32 ID:tAp3oXsh
第4話 キズツイタコト

あれからまた一週間が過ぎた。
未だに辻と加護は仲直りしてないし
小川は辻に電話するのをやめた。
全てがよくない状態のまま、止まってしまっていた。

「・・・・・なにやってんだか」

吉澤ひとみは高みの見物を決め込んでいた。
石川もなにやら動き回ってるから
早々に片付くと思ってたのに
どうも誰もが意固地になっているのか
話は進んでないようだ。
楽屋の隅で横になりながら、みんなを見てると
それに気付いたの小川が走り寄ってきた。

「吉澤さぁ〜ん、品定めはダメですよぉ」
「してねーって」
「一緒に遊びましょー」
「・・・・遊んでる場合かっての」
「?」
「麻琴、ちょっと座れ」
「ほぁ?」
「いいから」
88L.O.D:04/11/25 21:43:54 ID:tAp3oXsh
自分の横に座らせて、一呼吸置く。
みんな自分達を気にしていない。

「なんか考えてるでしょ」
「・・・・・・・」
「水くせぇよ、相談すりゃいいのに」
「いやぁ・・・・」
「なんとなく分かってるけどさ。
 梨華ちゃんだけじゃダメみたいでさ。」
「うちは・・・・ちょっともう・・・・えぇ」
「よけいなお世話かもしれねーけど
 そうだな・・・・今、こうやってさ、みんないるだろ?」
「うん」
「部屋の隅から見てみるんだよ」
「?」
「気持ちを落ち着けて、体の力を抜いて
 スゥーッと見てみるんだ。
 そしたら、誰がなにをしてるかだけじゃなくて
 誰がなにを考えてるかが分かってくるし
 今、なにをしようとしてるかまで見えてくる。」
「どういうことですかね?」
89L.O.D:04/11/25 21:55:48 ID:tAp3oXsh
「物事は感情だけじゃなくて、違う見方も必要ってこと」
「あー・・・・」
「分かるか?」
「分かったような・・・・」
「今の麻琴はさ、ののへの気持ちとかでしか見れてないんだよ。
 そうじゃなくてさ、もっと大きな視点から考えるんだ。」
「・・・・・・」

ニマっと笑ってみせた吉澤。
たまに見せるこの人の大きさが羨ましくなる。
冷静で、温厚。
他人と違う視界を望み、他人に影響されずに生きる。
それは時におかしく、時に奇怪に見えても
全てが彼女の持つ時計の中で動いてる気がする。

「ありがとうございます」
「大事なのはさ、自分だよ。
 嘘つきたくねぇじゃん」
「はいっ」

ペコリと頭を下げて、小川が離れてく。
吉澤はまたゴロッと横になって
楽屋の隅から、その世界を見てる。

「・・・・飯田さんのパンツ見えそう」
「よっすぃ!?」
「うそー・・・・・・」
90L.O.D:04/11/25 22:09:53 ID:tAp3oXsh
「て、言われたんだけど・・・・・」

真夜中のコーヒーショップ。
小川は昼間、吉澤に言われたことを紺野にそのまま伝えた。
違う視点。
分かりそうで、分からない。
今、自分が見てるものとは違う視点がどこにあるのか
小川の頭の中で理解できなかった。

「うーん・・・・・そだなぁ」
「なんかの哲学なのかなぁ」
「きっと吉澤さんなりに答えを出す方法を考えてくれたんだよ。
 だから、ちゃんと考えないと・・・・・・」
「別な視点ってなんだぁ・・・・・」
「あ」

紺野がなにか気付いたらしく、声を上げた。
小川はポカーンとしながら、次の言葉を待つ。
91L.O.D:04/11/25 22:19:22 ID:tAp3oXsh
「今、まこっちゃんはさ、ののちゃんのことネガティブに捉えてるんじゃないかな」
「ネガ・・・ティブ?」
「うん、それまでは、気にならなかったことが
 今は目について見えちゃうことってない?」
「・・・・・・うー」
「相手のことが悪く見える時って
 自分も感情的になっちゃって、悪く見ちゃってるんじゃないかな」
「自分も・・・・・」
「そう、あんなこともいやだ、こんなこともいやだ、って
 仲良かった時には気にしなかったことも
 それがすごく嫌な点に思えてしまうの。」

言われてみると、確かにそうで
辻のしたことに対して、感情的になってる自分がいた。
一瞬、表情を曇らせた小川がつぶやく。

「だけど・・・許せないよ」
「うーん、それを許せる日が来なきゃ・・・・・」
「分かってる・・・・・」
92L.O.D:04/11/25 22:25:13 ID:tAp3oXsh
部屋で漫画を読んでた辻希美は飛び起きた。
携帯が鳴っているが、鞄がどこか分からない。
ようやく見つけると、それは石川からの電話だった。

『のの〜♪』
「梨華ちゃぁ〜ん」
『のの、ケーキ食べたくない?』
「食べたい!」
『ケーキバイキングのお店見つけたんだけど・・・・』
「えっとねー、うちは・・・夜、大丈夫」
『私も、9時過ぎくらいには大丈夫かな』
「いっぱいあるの?」
『25種類とか』
「やったぁ」
『やっぱり、こういうのはののだよねー』
「久しぶりだねっ」
『そだね、じゃ、明日、仕事終わったら連絡するよ』
「分かったぁ」

電話が切れる。
笑顔がこぼれてる。
こんな風に笑うのは、久しぶりかもしれない。
もしかしたら、石川は誰かから聞いたのかもしれない。
だとしたら、ちょっとした気遣いだけど嬉かった。
携帯を開いて、履歴を見る。
ある時から小川の名前がなくなった。
本当にプツリとかかってこなくなった。
93L.O.D:04/11/25 22:30:41 ID:tAp3oXsh
「メール・・・・・・」

開いたまま、読んでなかったメールもいくつもある。
受信ボックスから、そのメールまで開いたが
最後のボタンを押せない。
怒りにまかせ、読まずにいたもの。
胸がドキドキしてくる。
本当に読んでいいのだろうか。
辻は自分の気持ちが分からなくなっていた。
自分のしたことの過ちも
それでみんなが傷付いたことも分かってる。
だけど、あの数時間、自分が味わった寂しさを忘れられない。

  ピッ

「のんちゃん、ごめん。
 電話出てくれないと寂しいよ……
 いっぱい謝りたいから
 電話出て下さい」

「まだ怒ってるのかなぁ。
 のんちゃん傷つけちゃって
 すごく苦しいよ………
 また一緒に遊びたいよ。
 だから、許してください」
94L.O.D:04/11/25 22:37:29 ID:tAp3oXsh
「まこと・・・・・・」

涙が溢れていた。
一生懸命、自分に気持ちを伝えるために
何度も、何度もメールを送ってくれた。
それを自分は読まずにいた。
こんなに許しを請うてるのに
見ることもせず、許すことなど出来ずにいた。
自分が傷付いたことだけを考えていた。
今、小川に電話をしたら出てくれるだろうか。

「だめ・・・・怖い・・・」

電話は来なくなった。
辻が電話に出てくれないから
反対に小川は怒ってしまったのかもしれない。
自分が犯した過ちに気付く。
携帯電話を持った手が震えていた。
小川に電話など出来ない。
誰に相談すればいいだろう。
考えがまとまらない。

「あ、梨華ちゃん・・・・」

辻は履歴から石川の電話へかけ直した・・・
95L.O.D:04/11/26 20:27:46 ID:ZF494a2r
震える携帯電話。
加護はヘッドホンを外して、手に取る。
紺野からの着信、通話ボタンを押した。

『起きてた?』
「おー、起きてたよー」
『まこっちゃんと一緒なんだけどさ』

部屋の時計を見た。
もう午前1時を過ぎてる。

「夜遊びはあかんでー」
『あのね・・・・あいぼんはさ
 のんちゃんと仲直り出来ない?』
「あー・・・・」
『このままじゃダメだよ・・・・・
 みんながみんな出来ないって思ってちゃ
 いつまで経っても仲直りなんてできないよ』
「まこっちゃんはどうなの?」

加護が知りたいのは小川の気持ちだ。
辻の勝手な嫉妬や言葉にも腹が立ったが
なにより、他人を傷つけたことに腹が立ってた。
小川がもう許すなら、自分の気持ちを抑えるくらい出来た。
96L.O.D:04/11/26 20:33:31 ID:ZF494a2r
『代わるね・・・・・』
『あ、ども』
「な、まこっちゃんはののの事・・・・・・」
『うーん・・・まだちょっとアレだけど・・・・・・
 でも、こんちゃんの言う通りだとうちも思う』
「そか・・・・」
『あいぼん、ごめんね、こんこん借りてて』
「そんなー、きみら、同期じゃんかー」
『そうだよね、あはははは』
「じゃ、分かった・・・ちょっとだけ時間ちょうだい。頑張るから」
『うん、ありがとねー、あさ美ちゃんに代わるよぉ』
『こんな時間にごめんね』
「いいよー」
『じゃぁ、おやすみなさい』
「おやすみなぁー。」

電話を切って、フッと自分の言葉を思い出した。

「同期・・・・か」

辻と会って、もう4年になる。
ただの4年じゃない。
学校の友達よりも、家族よりも側にいた。
喧嘩もしたし、バカなこともした。
修羅場みたいな現場も体験したし
いつだって一緒にいた。
今は違う。
二人しかいないのに
二人はそこにはいない。
会話もなく、笑いあうこともない。
今まで過ごしてきた時間さえも無視していた。
97L.O.D:04/11/26 20:50:17 ID:ZF494a2r
ベッドに寝転がり、壁の方へ寝返りを打つ。
加護は今、それが正しいことなのか悩み始めている。

「のの・・・・・・」

もうしゃべらなくなって、二週間が過ぎた。
仕事で毎日会うのに。
収録の合間は笑顔を見せて
楽屋ではそれぞれがそれぞれのことをして
笑いあうこともなく過ごす。
仕事はそれでいいのかもしれないが
これまでの自分とこれからの自分にとって
良くないことのような気がする。
辻希美は自分にとって、ただの仕事の相棒か。

「違うよなぁ・・・・・」

分かってる。
頭では分かってても、まだ・・・・・・
うなづけない自分がそこにはいた。
98L.O.D:04/11/26 20:57:28 ID:ZF494a2r
翌日、午後10時過ぎ。
ケーキは取り止めて、よく行く焼肉屋で待ち合わせた。
気持ちを紛らわすためにユッケの一つでも食べたかったのだ。
こっちに向かうと電話をもらって、30分。
のんびりと自由気ままに食べて待ってると
襖が開き、石川が姿を見せた。

「あ、のの、先に食べてたのーっ、ずるーい」
「梨華ちゃん・・・」
「ご飯粒ついてるよー、んしょっと・・・・
 なにしよっかなぁ・・・・・・」

石川が追加でいくつか注文した後
ようやく落ち着いて向かい合った。
石川は黙ったままの辻に優しく話しかける。

「今日はどうだった?」
「ううん・・・・」
「話せなかったかぁ」
「うん・・・・」
「まことにはまだ電話出来なさそう?」
「怖い・・・・」
「でも、ののがごめんなさいしないと」
「うん・・・・」
「こげるよ。さ、私も食べよっと。」
99L.O.D:04/11/26 21:02:27 ID:ZF494a2r
手頃な肉が焼けると辻の皿に入れてくれたりして
石川がますますかぁちゃんのように振舞う。
交わすのは何気ない会話。
石川にだから話せる話はいっぱいある。
一つずつ言葉を吐き出す度に
昼間感じる重苦しい雰囲気や
心の奥にある不安が解けていく気がする。
小一時間、しゃべりぱなしでお腹もいっぱいになり
勘定は石川がもってくれた。

「ごちそうさまでしたぁ」
「ま、たまにはいいとこも見せないとね〜」
「梨華ちゃん、もう帰る?」
「んー、まだ大丈夫だけど」
「覚えてる、この近くの公園・・・・・?」
「あぁ、一回行ったね。これぐらいの時間にっ」
「ののがあいぼんと喧嘩しちゃってさぁ」
「そうそう、慰めてたら私まで泣いちゃって・・・・」
「もう一回行かない?」
「じゃぁ、約束して」
「?」
「公園でまことに電話すること」
「そんなぁ・・・・」
「フフッ」

100L.O.D:04/11/26 21:05:10 ID:ZF494a2r
微笑んだ石川は一足先に走り始める。
出遅れた辻がそれを追いかけると
公園はもう目の前で、心の準備なんてできぬままたどり着いてしまった。
小川への電話、昨日も、昼間も出来なかった。
アドレスまでは開いてるのに、最後のボタンが押せなかった。

「約束だよ」
「ズルいよ」
「チャンスでしょ」
「?」
「まことに電話する理由を作ってあげたの」
「むぅー・・・・・」
「ほら、ブランコこいであげるから」

石川の言われるまま、ブランコへ座り、携帯電話を開いた。
小川の番号・・・・・
ここからボタン一つで電話はかかる。

「えい」
「あっ!」

後ろから伸びてきた手が押してしまった。
電話はすでにコールを始めてる。
101L.O.D:04/11/26 21:09:36 ID:ZF494a2r
「あっ・・・・まこと・・・ごめんね・・・・ごめんなさいっ
 のの、ほんとバカだ・・・自分のことばっかで
 みんな振り回しちゃって・・・・あいぼんやこんこんまで
 ・・・・恥ずかしくて、どうしたらいいか分からなくて
 ずっと電話もメールも見れなかった・・・・・・
 まことから送られてたメール見れなかったよ・・・・・
 ・・でもね、昨日見たの・・・・そしたらね・・・・
 ののバカだなぁ・・・って・・・・ひっぐ・・・・・・
 まことに謝んなきゃ・・・・・って・・・・・・うぅ・・・
 思ったけど・・・・・けど・・・・怖くって・・・・
 ごめんなさい・・・・わがまま言ってごめんなさいっ・・・・」
『のんちゃん・・・・』
「ごめんなさいぃ・・・・・うぅっ・・・・ふっ・・・・」

そのまま泣き崩れ、砂の上に落ちる携帯。
石川はそれを拾った。

「んー・・・」
『バッカだなぁ、つじは・・・・・・』
「ほーんとバカだね」
『あっ・・・石川さんですか』
「もー、泣いちゃって電話もできないよ、この子」
『ひぐっ・・・・ずずっ・・・・・』
「まこともか・・・・ね、ののの気持ち分かったよね」
『はいぃ・・・・分かがりまじたぁ・・・・・』
「まだののはしばらくかかりそうかな。
 今日はそういうことでさ、後から電話するかもしれないけど
 また明日ね・・・・・・・・・・」
『はぁい・・・ひっく・・・・・・・・』
102L.O.D:04/11/26 21:13:19 ID:ZF494a2r
電話を切り、辻のバッグの中へ滑り込ませると
石川の首筋へ飛びつくように抱きついてきた。
いつまで経っても変わらない。
泣き虫で弱い。

「もー・・・」
「うぅー・・・・ひっく・・・ひっく・・・・・」
「良かったね、まこと怒ってなかったよ」
「梨華ぢゃーん」
「あー、もう、すっごい顔になっちゃって・・・・・」

ぎゅっと抱きしめる。
いつだってこうしてきたし
いつまでもこういう関係でいたい。
なにがあったって、壊れぬものを
辻と石川は築いてきたと思っている。
103L.O.D:04/11/26 21:14:43 ID:ZF494a2r
無償の愛。
求められるままに与えることの出来る優しさを感じている。
辻にだけじゃない、加護や小川だって同じ。
石川にとってはかわいい妹であり、仲間。
その気持ちを少しずつでも理解してほしかった。

「のの・・・・・・」
「ん」
「あいぼんと仲直りできる?」
「んぅ・・・・・」
「できるよね?」
「うん・・・・・・」
「約束だよ?」
「んっ・・・・・」

辻が胸の中で小さくうなづいた。
104L.O.D:04/11/26 21:16:46 ID:ZF494a2r
「仲直り・・・・したんだ」

朝起きて、メールが入ってたことに気付いた加護は
寝ぼけ眼でつぶやく。
紺野と小川の両方から辻と仲直りできたというメールが来てた。

「よかった・・・・・」

携帯を閉じて、噛み締める。
もはや意地の張り合いのような無言の反抗に
幕引きが訪れる。
小川の喜びっぷりに思わず安堵の表情を浮かべてしまった。
しかし、そこでフと気付く。
自分は笑えるだろうか。
今までと変わらないように
いや、何もなかったように笑えるだろうか。
こんなに会話をしなかったことなどない。
どうやって話しかけよう。
こっちから謝ろうか
楽屋に入るのはどっちが早いだろうか。
入って、先にいたらどうしよう。
105L.O.D:04/11/26 21:19:58 ID:ZF494a2r
落ち着かない気持ちは移動中も変わらず
手持ち無沙汰に紺野へのメールを返す。
スタジオについて、クロークを抜け
Wの張り紙をされた楽屋のノブを回す。
ゆっくりとドアが開き
視界に誰かの影が映る。

先にいた。
開いたドアに向けられたその視線は
どこか脅えたような、緊張した視線で
加護の方が驚き、身構えた。
辻がずっと考えてた言葉をなんとか出してくる。

「・・・・・おはよぅ」
「・・・・・おはよ」

初めて交わした言葉はただの挨拶だった。
106L.O.D:04/11/26 21:21:45 ID:ZF494a2r
第五話 イイコト

石川が自動販売機で紅茶を買おうと小銭を入れていると
横からスッと伸びてきた手が缶コーヒーのボタンを押してしまった。

「!?」
「おつかれ」

そこにいたのは、吉澤ひとみ。
ニマッと笑うと、何事もなかったようにコーヒーを飲み始める。

「・・・・いる?」
「もうっ」
「随分と頑張ってたみたいじゃん」
「まぁねー」
「うちには出来ねぇや」

ドカッとベンチに腰を下ろしながら
紅茶を買い直す石川の姿を見てる。
石川もそれに付き合うように横に腰を下ろした。

「あらぁ、そんなことないでしょぉー」
「梨華ちゃんには頭下がるよ」
「・・・・私だってずっといるわけじゃないよ」
「・・・・・・分かってる」
「やだっ、こんな話するなんて」

自分から切り出したのに、話を止めるように立ち上がる石川。
走り去ろうとしたその瞬間、吉澤がその手首を掴む。
107L.O.D:04/11/26 21:23:55 ID:ZF494a2r
「よっちゃん・・・・」
「ずっと一緒だから」
「・・・・・」
「娘。卒業したって、変わらないから・・・・・ね」
「・・・・・うん」

不器用な人だ、決して器用じゃない。
恥ずかしがり屋で繊細な人。
指をそっとはずすと、その顔に微笑みを浮かべる。
石川はその指を握り返す。

「だーいじょうぶですよ、とーちゃん」
「・・・・・ははっ」
「頑張ろうね」
「あぁ・・・・・」

そこへバタバタッと走ってくる足音。

「まこっちゃん、待って!」
「アハハハハハ、あさ美ちゃん、遅いからっ!」
「焼き肉逃げないからっ!!」
「あっ!」

二人の姿を見つけて、小川は足を止める。
後から来た紺野も誰がいるのかとひょこっと覗き込む。
108L.O.D:04/11/26 21:29:02 ID:ZF494a2r
「飯行くの?」
「そーなんですよぉー」
「食べ過ぎないようにね・・・・・」
「もぉー、やだなぁー、石川さんはぁっ!」
「痛っ、痛いから、まこと!」
「吉澤さぁん、今度、デートしてくださいよぉ〜」
「やだよ」
「なーんでですかぁ、一緒に遊園地とか行きましょーよぉ」
「二人はやだ」
「二人っきりでいいじゃないですかぁ〜」
「なんで、そんなに二人っきりにこだわるんだっつーの」
「私は二人で行きたいんですぅ」

そのやり取りに石川が苦笑してると
紺野がそっと会釈をして、小川を置いて走っていく。

「ほら、お前、こんこん行っちゃったぞ!」
「マジで!あさ美ちゃぁーんっ!」
109L.O.D:04/11/26 21:31:34 ID:ZF494a2r
去ろうとして、小川は振り返る。

「ありがとうございましたぁ!」
「気にすんな、って」
「楽しんでおいで〜」
「はぁ〜い、おつかれさまでしたぁ!!」

石川と吉澤は顔を見合わせた。

例え離れたって、誰かを思う気持ちは変わらないから
その気持ちは忘れたくないから
差し出された手をそっと握り返して・・・・・

  ジュゥーッ

「焦げるからっ!!」
「うぉっ!あちぃっ!」
「なにしとんねんっ、もーっ!」
「あぁぁっ、ダメですよぉ・・・・」

小部屋で四人。
焼けた側から肉の奪い合い。
特に会話もなく、食べている。
加護が丹念に焼いてた牛タンを
ひょいっと辻が横取っていく。
110L.O.D:04/11/26 21:34:12 ID:ZF494a2r
「あぁーっ!」
「んまーい」
「のんちゃん、カクテキ一個ちょーだい」
「はい、まこと」
「ののーっ、うちの牛タン返せーっ!」
「焼けばいいじゃんかよー」
「ムカつく、お前ムカつくっ!!」

加護が辻の首を絞めると、さすがに紺野がピシャリ。

「こらっ!喧嘩しちゃダメッ!」
「・・・・へぃ」
「・・・・ごめん」
「アハハハハ、怒られてやんのー」
「ハッ!まこと、のののカルビ食った!?」
「てか、焼いてたの全部ないから!」
「私のギョウジャニンニク・・・・・・・」
「・・・・・ほぁえ?」
「とぼけるなぁーっ!」
「ビビンバでも食べてなさいっ!」
「まこっちゃん、お肉禁止ですっ!」
「なんだよぉ、みんなしてよぉ〜〜っ」

「「あんたが悪いっ!!」」
111L.O.D:04/11/26 21:35:33 ID:ZF494a2r
帰りのタクシーの中
携帯が鳴っているのに気付いて
辻は開いてみた。

「まことからだ・・・・・」

添付ファイルがある。
ダウンロードを終えると
携帯の小さな画面に表示される。
4人が顔を寄せあって撮った写真。
そして、一言。

『大好き!』

頬を緩ませた。
素直にこの言葉がうれしいし
受け止めれる、今なら。
ギュッと携帯を抱きしめる。

「・・・・・・ありがと」
112L.O.D:04/11/26 21:38:16 ID:ZF494a2r
辻は携帯のボタンを押して、一つ前のメールを開いた。
加護からのメール。
あの後、二人は喧嘩のことには触れず
少しずつ、少しずつ何気ない会話を繰り返してたが
ある日、眠る前に送られてきた。

「双子のようで双子じゃないのがWだよね。
 うちら、それ忘れちゃダメだよ。
 まだまだ一緒に走っていこーな♪」

「んっ・・・・・」

二人は同じじゃない。
違うからこそWである。
違うからこそがんばれるし
違うからこそ競争する。
だから、一緒にいる。
だから、手をつなぐ。
どこまでも走るために。
そんな思いを噛み締める。
113L.O.D:04/11/26 21:40:50 ID:ZF494a2r
「あ・・・・・」

娘の新曲がいきなり流れ出し
紺野からの電話。
めずらしくテレビ電話だ。
向こうはもう家へ着いたようだ。

『ののちゃんっ』
「こんこん〜」
『言えなかったねぇ』
「だぁって、あいぼん連れてってくれないんだもーん」
『またチャンスはあるよっ』
「そだねぇー・・・はぁぁあ・・・・
 なんかすっごい照れる、マジで!」
『でも、今、言っておかないと』
「・・・・・あぁ、なんでこんな好きなんだろ」
『いいコトですっ』
114L.O.D:04/11/26 21:43:07 ID:ZF494a2r
「こんこんに相談してよかった・・・・」
『私はなんにもしてないよぉ』
「そだ、知ってる?」
『なになに?』
「B型ってね、O型ともAB型とも相性がいいんだよ。
 だからね、こんこんがうちらの間に入ってくれると
 うまくいくんだよ、きっと!」
『あぁ〜・・・・そだねぇ・・・・』
「また、よろしくね?」

辻の言葉に紺野はクスッと笑った。

『また喧嘩して、仲裁に入るのは嫌だよっ』
「うぁ〜、ごめんよぉ」
『遊びにいくのはいいよっ、またご飯食べに行こ
 おいしいお店、探しておくから!』
「うんっ!!」

 fin.
115L.O.D:04/11/26 21:49:34 ID:ZF494a2r
[終了レス]

駆け足で更新していきました。
久しぶりの羊どころか、久しぶりの娘。小説だったんですが
楽しんでいただけましたでしょうか。
ご感想、ご意見、様々、お待ちしております。

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