しばらくモーヲタやっている間に・・・

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150う〜み〜写真集 ◆toRomonInU

ずっと店員の連絡を待っているわけにも行かない。ベンチに座って次の案を考えることにした。
「別ルートから攻めるには、やっぱり祐樹の友達を探した方がいいね」
「友達かぁ…近くに住んでるといいんだけど」
「一コ上だから高校生か…でも、仲いいんだったら中学生の頃からの友達じゃないか、と踏んでみる」
「高校一緒かどうかわからなくなるよね、そうすると。まぁイイか!よしあさ美ちゃん、地元の中学校に行ってみよう!」
「でも、中学校なんか行って何か手がかりあるかな?」
希美が立ち上がる。
「元担任に話を聞けるかもしれないし、少なくとも全員の進学先まではわかるじゃん?
 高校はその後じゃないと探すの大変でしょ」

あさ美が感心して言葉を漏らす。
「…ののちゃん頭良くなった?」
希美がにやけながら振り返る。
「元から」

151う〜み〜写真集 ◆toRomonInU :04/11/07 06:27:29 ID:cXmdjzD/

後藤家から近い中学校は二つあった。まず、駅から近いほうの中学校へと二人は向かった。
「港区立夢が丘中学校」

受付の事務室前で、二人は説教をされていた。
「いきなり卒業アルバムを見せろと言われても無理です。最近は物騒だから注意しなくてはいけないので」
「卒業生でもないのに何でそんなものが見たいんだ?言ってみなさい」
「身分を証明できるものがあれば一番いいんだけどね、あとは親御さんの電話とかさ」
事情を話すわけにも行かないので、二人はすごすごと引き下がって、正門の前でうなだれていた。
「これじゃもう一個の方行っても同じだよ…どうしよ」

校庭から、ランニングと思しき掛け声がそろって近づいてきた。正門から外周へと出るのだろうか。
一群が二人の横を通るとき、二人は思わず嘆願するような目でランナーたちを見つめてしまう。
するとランナーの一人が素っ頓狂な声を上げた。
「ポッキーガールズだ!」
先頭を走っていた少年が速度を緩めずに怒鳴った。
「大神、あんまり面白くないぞ!」
大神と呼ばれた少年が反論しようとした時、紺野が「ホントですよー!」と怒鳴り返した。
少年達がばらばらと立ち止まり、二人を取り囲む。すぐに辺りは様々な叫び声で満ち溢れた。
二人にとっては今までで一番「有名になって良かった」と感じた瞬間だった。
すぐさまアイドルになり、声をかける。
「あの、困ってるんです助けてください!」
体育会系の野太い声で、頼もしい言葉が一斉に返ってきた。

少年達は事務員に、二人が怪しい人間ではないことをとても熱心に説明してくれた。
そして、二人は昨年の卒業アルバムを見ることを許可された。


152う〜み〜写真集 ◆toRomonInU :04/11/07 06:28:29 ID:cXmdjzD/

卒業生氏名一覧の男子を一通り眺めるが、後藤祐樹の名前は見つからなかった。
念のため写真を探してみたが、やはりいない。
「もう一つの学校だね…または私立中学?はぁ…」
希美はそれに答えずにアルバムをパラパラマンガのようにめくっている。
「もう一つの学校でも、こんなにうまく行くのかなぁ…」
希美は黙ったままアルバムを裏返し、同じ方法で反対側のページを眺めている。
あさ美は次第に頭が混乱して、苛ついてきた。
「ののちゃん、遊んでないで何か解決策を考えてよ!私ばかりに押し付けないで!」
それに対してもしばらく希美は黙ったままだったが、やがて笑顔でアルバムの一頁を開いて
あさ美に押しやった。
三年二組の顔写真集。楽しそうな笑顔が並んでいる。
希美は一人の少女を指した。
「これ解決策」

希美の指の下で、見覚えのある顔が笑っていた。
「16番 須 尭  麻 衣」

153う〜み〜写真集 ◆toRomonInU :04/11/07 06:29:21 ID:cXmdjzD/



「…あもしもし?お久しぶりです!ちょっと聞きたいことがあるんですけど、何処かで
 お会いできませんか?…今は夢が丘中学校の前にいます。…はい分かりました、待ってます!」
電話を切って、あさ美が口を開いた。
「…さっきはごめんね?私、ホント…」
希美は怒らず、首を振る。
「頭悪いから、次どうしようその次どうしようとか、あんまり難しいコト分かんないの。
 …たまたま、めくってたら麻衣ちゃんと目があった、てだけ。偶然だよ何も凄くない」
「…ごめん」
「いいって!謝ってないで麻衣ちゃんに訊くこと考えるぞ!頼むぞあさ美!」
あさ美はなおさら自分のした事に後悔した。