しばらくモーヲタやっている間に・・・

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109う〜み〜写真集 ◆toRomonInU

田町駅を出た二人、一抹の不安を抱えていた。
もし、逃げた事が社員に知れていたら。
事件はまったく解決しないで、大目玉を食らうだけになる。
事務所に向かう足取りも遅くなる。

気がつくと二人とも、公園のベンチに座っていた。
「行きたくないけど、でも仕方ないよね」
「駐車場の時みたいにブチ破れれば…」
「じゃぁ逃げる計画を立てとこう!少しは気休めになるでしょ」
考え始めるあさ美。希美はシャドウボクシングの真似をしている。

しばらくして、希美が叫んだ。
「あさ美ちゃあん、そのバット貸して!」
見回すと、ベンチの下に銀色の金属バットが落ちているのが目に入った。

手にとって、じっと見つめる。
ふと脳裏に、オフィスの中で大人たちに向かってこれを振り回す自分たちが浮かんだ。
誰かが一生懸命作ったものを叩き壊しながら。
頑張って生きてきた誰かを傷つけながら。
慌ててイメージを振り払う。

110う〜み〜写真集 ◆toRomonInU :04/09/30 03:48:26 ID:2qq5QTXr

「どうしたの?」
希美が隣に座る。
「これで、人を殴っちゃいけない、って思ったの」
「そうだね…」
二人でじっとバットを見つめる。

しばらくして、希美が苦しそうに口を開いた。
「…でも、あいぼん、探さないと。他の誰にもできないことをやらないと。
 せっかくここまで来たんだから。…脅かすだけだったら、誰も傷つかないから、それ持って、行こ?」
少し考えるあさ美。希美の言うことはもっともだと思った。ではその場合は…
「その場合は…じゃあ、追いかけられたら二手に分かれよう。三階だから
 エレベーターで降りる人と、階段で降りる人。んでバットは一階に置いておいて、
 捕まらなかった方がそれで相棒を取り返す、と」
すかさず希美が口をはさむ。
「じゃエレベーターの人やる〜!」
公平に決めようと思っていたあさ美だが、そう言われては仕方がない。
「うん、いいよ私階段で降りる」
「よし、じゃ行こう!あいぼんのために勇気を出して!」
首をかしげながらも希美について行くあさ美だった。