久しぶりに小説書きます。よかったら読んでいってください。
あと、ネタが古いんですけどその辺りは勘弁してください。
しばらくモーヲタやっている間に、時が流れてしまったようです。
「ひと夏のポッキーガールズ」
水平線から金色の太陽が顔を出す――頃には、もう起きて牛の世話をしていた。
牧場の朝は早い。眠い年頃の希美にはきつい生活だ。
搾乳装置がうなりをあげるそばで、干草に寝そべって一休み。日課だ。
そしてそれが一休み程度では終わらないこともいつものことである。
牛舎の高窓から朝日がじかに希美の顔に照りつける。
飛び起きる希美。また大目玉だ。自分にうんざりしながら小走りで家に戻る。
こういうときに限って姉の文子が無断外泊をしてたりする。親の怒りは全て希美に注がれる。
いつもより一段とまずい朝食を済ませた希美は、いつもより一時間も早く学校に出かけた。
希美が家を出る頃、やっと起き出す姉妹がいる。
一通りの支度を終え、一家揃って食卓に着く。
「今日もイチゴさんに感謝して過ごしましょう!」
里沙が本心でそう言っているのかどうかわからないまま、アスパラのバター炒めに箸を
伸ばすあさ美。イチゴ農家の娘としては致命的なことに、イチゴが嫌いなのだ。
自営業といっても、第三次産業の家に生まれて本当によかったと最近思う。
同級生の希美やあさ美、先輩の愛などの話を聞いていると逃げ出したくなる。
自分は恵まれている。贔屓目だけどいい店だと思うし、店員も客も最高。手伝うのが楽しい。
幸せ、というか満ち足りた感覚を覚える。来年は高校生。店を手伝ったらお金がもらえるようになる。
そのお金で、母親に食器洗い乾燥機を買ってあげるんだ。
朝食の卵を割ったら、黄身が二つ入っていた。
「ああっ!黄身が二つあるじゃない!一つ使わなくて済むわ〜ありがとねー麻琴」
人とものを分かち合うことの喜びを麻琴は知っている。今日はラッキーデイだ。
島には会社員も住んでいる。亜依の父親はその一人だ。
ポッキー作りが島の大きな産業になっているが、亜依の父親は運送業者である。
住民の荷物を運ぶこともあるし、出来上がったポッキーを日本に出荷するのも亜依の父親の仕事である。
亜依も口に出しては言わないが、結構な美男である。日本人の母親が惚れて、結婚したのも分からなくはない。
また、亜依の叔父はグリコの社員である。今は作業の進捗状況を確認にわざわざ日本からやってきている。
叔父の娘である真希は日本の高校生。今は夏休みだそうで、亜依の家に親子そろってステイしている。
真希はまだ寝ている。気楽なものだ。
ここでの真希の日常といえば、昼頃に起きて散歩をして、圭織のカフェに遊びに行くことくらいだからだ。
早く卒業して、暇が増えるといわれる高校生になりたい。
昔からませていた亜依だが、年齢と学力以外はすでに高校生に見えるのだった。
島の中学校は小さい。
生徒も少ないため、アットホームなまったりとした校風が自然と受け継がれている。
全学年一クラス。一年が八人、里沙のいる二年が七人、三年に至っては希美とあさ美と
亜依と麻琴の四人だけだ。派閥も何もありはしない。
放課後は、四人揃って麻琴の家のカフェで何時間も粘る。麻琴以外の三人は早く家に
帰りたくはないと思っているので、理想的な時間の過ごし方となる。
麻琴の家のカフェ「acp」は様々なものを取り扱っているが、若向けのフレーバーが充実し
ているので、店内は若者が多い。
三人はベンチシートに滑り込み、麻琴がいつものキャラメルカプチーノを持ってくるのを待つ。
そして、何時間も話し込むのだ。
しばらくすると、同じような年頃の女の子が一人やってくる。日本人だ。
「あー麻衣ちゃん!こっちこっち!」
須尭麻衣。亜依の一才年上で、メル友である。今、日本は夏休みなので、メル友に会いにきたというわけだ。
麻衣も加わって、おしゃべりに花が咲く。じきに手伝いで途中退席していた麻琴も戻ってきて、
いつもの大騒ぎとなる。
六時を回り、皆喋りつかれると圭の出番である。「acp」のもう一人の従業員だ。
バイトとはいえ、圭の出す軽食は定評がある。これで五人はすっかり満足し、四人は店を後にする。
翌日も、そのまた翌日も、同じ事を繰り返す。そしてだんだん大人になっていく。
川c・-・)<みなさんお久しぶりです。誰も覚えてねぇか。う〜み〜写真集といいます。
前作「特殊能力」が終了してからすぐに書き始めたのがこの小説です。
ファイルの作成日時を見ると、一昨年の11月。長々と何やってるんだか。
始めは「The Pocky Island」というタイトルで、小説作者養成塾にも何度か
宣伝まがいの行為をしてきましたが、ちょっと問題があってタイトルを変え
ての連載開始となりました。2年近くかけましたが500レスもいかないので、
軽い気持ちで読んでください。どうぞよろしく。