「さて、順番だけど、どうしよっか」
なっちが切り出し、順番決め作戦タイムの開始。
「とりあえず高橋の5番手は決まりだよね〜」
「はい、私はそれで……」
「よーしまず、大将は高橋っと」
「飯田さんはろうしたいれすか」
「俺は何でもいい」
「じゃ、1番がいい人?」
「はい!」
「へい〜!」
「おおっ!なっちもぉ!」
矢口と辻と安倍が一番争いで揉め始める。
みんな早く闘いたくてウズウズしているのだ。
「じゃさ。圭織は4番目にして、あとはジャンケンするべさ」
「うん!飯田しゃん、それでいいれすか?」
「勝手にしろ」
「はいはい〜。ジョンソン飯田が副将ね〜。負っけねぇぞ〜!」
矢口はもうジャンケンに闘志むき出しである。
「ジャンケンぴょん!!」
「あいこでぴょん!」
「ぴょん!」
三人のジャンケンを愛は興味深そうに見つめ、飯田はうっとうしそうにため息をついた。
数回のあいこの末、ようやく決まる。
「おっしゃー!」
「ま、しょうがないべ」
「くっそー。ののがジャンケン弱いの知ってて」
ジャンケンの結果、1番に矢口、2番に安倍、3番に辻という順になった。
まとめるとこうなる。
先鋒 矢口真里
次鋒 安倍なつみ
中堅 辻希美
副将 飯田圭織
大将 高橋愛
一方の保田チームは…。
「あいこでしょ」「しょ」「しょ」「しょ」
こちらもジャンケンをしていた。
ジャンケンしているのは亀井・田中・道重の問題児トリオである。
保田と藤本は最初から順番が決まっていた。
3連勝して最後を決める、ということで保田は3番目の中堅に入っている。
そして藤本は5番手である。
今回の目的はあくまで保田圭とその弟子の力を確かめること。
だから彼女は一番最後の大将だ。
という訳で、問題児トリオは1,2,4番目をジャンケンで争っているのだ。
「あ、勝った!」
まず道重が勝った。
田中は不快を思いっきり顔に出す。
「一番かわいい私が、先鋒でいきま〜す」
「グヌヌ…。エリ!続きたい!」
「はいはい〜!負けないよ♪」
もし4番手になったら出番が回ってこないと思っていた。3連勝してしまうからだ。
だから田中はムキになって勝ちにいく。
自分を忘れてる奴らに目にもの見せてやりたいと思ったのだ。
ところが…。
亀井がパーで、田中がグー。
「わぁ、エリが勝ったよ〜」
「そんなのなか…」
こうして亀井が2番手。田中が4番手に決まった。
ガックリと肩を落として隅に引っ込む田中。
そんな田中に藤本が声をかける。
「お前、本気で3連勝できると思ってるのか。あっちには安倍と飯田がいるんだぜ」
「こっちはさゆとエリと師匠ばい。うちの出番は100%なかよ」
誇張でも冗談でもなく、田中は本気でそう言ってヘコんでいる。
ようやく本気で暴れられると思ったのに、おいしい所を道重と亀井にとられたから。
藤本は少しゾクゾクし、それ以上におもしろいと思った。
(そこまで言う力……見せてもらおうか)
先鋒 道重さゆみ
次鋒 亀井絵里
中堅 保田圭
副将 田中れいな
大将 藤本美貴
互いに順番は決まった。もう決めることはない。
順番に1対1。素手。ルールはこれだけだからだ。
『先鋒、前へ!!』
コロシアムに響くアナウンス。
大歓声に包まれる表の大会と異なり、沈黙に包まれた空間。
「な〜んかヤナ感じだねぇ」
表の格闘家チーム先鋒、矢口真里が立つと、他のメンバーが簡単な声援をおくる。
「矢口さん、がんばって!」「油断するなよ」
「ぶん投げてやるのれす!!」「……」
それぞれの声援に矢口は微笑を浮かべ、ついにコロシアムに入った。
あちら側からは道重さゆみが現れた。
「なぁんだガキかよ」
「お久しぶりですね〜」
「ん〜どっかで会ったっけ…?」
「私ってかわいい?」
その台詞に矢口の記憶が蘇る!
トーナメントの数日前、夜中に突然現れた奇妙な少女。
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!あのときのガキか!!」
「ウフフ…世の中、かわいい子が勝つってこと、教えてあ・げ・る♪」
「それなら、やっぱりおいらの勝ちじゃん」
「ムカッ」
これが本当に闇の代表なのか、と矢口は思った。
(まったく緊張感のない子供じゃないかよ)
柔道着の帯をしめる。とはいえ、どんな相手だろうと油断はしない。
常に全力。それが矢口真里を矢口真里たらしめるものだ。
何を考えているのかわからない表情で、道重さゆみはその場に構えた。
さぁ、いよいよ光と闇の直接対決の時。
『矢口真里vs道重さゆみ!!!始め!!』
ドン!!
第26話「最強チーム完成!」終わり
次回予告
ついに5vs5マッチが始まった!
先鋒戦はヤグ嵐の矢口真里と、特殊な気孔の使い手道重さゆみ。
ともに全勝を語る両陣営の大事な初戦を飾るの果たして!?
そして究極の対決も…!?
「次鋒戦!!安倍なつみvs亀井絵里!!!」
To be continued