モッさん最強

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2220−4
0−4「get out from the shell」


 暗闇の砂浜に、一人寝そべっている男がいた。男は空で輝いている星空を
 眺めながら、ただ時間が過ぎてゆくのも待っていた。

 何もかも退屈で仕方がなかった。

 でもそれから逃げ出す事を許さないこの島に、最悪の宿命を感じながら、
 男は目を閉じた。少しだけ、眠りにつく。

2230−4:04/07/11 22:03 ID:8B1HnhQt


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2240−4:04/07/11 22:04 ID:8B1HnhQt


 目覚めてもまだ悪夢からは逃れられない。これは自分が生きてゆく限り、
 半永久的に、月の子の寿命である400年は続いてゆく悪夢だった。
 そしてそれは、月の子が生まれた時から課せられた宿命でもある。

 不意に、寝そべっている男の横に、長身の男が座った。
 男は砂を掌で掬い上げると、手を開き、砂を指と指の間から流れさせる。
 それを何度も繰り返しているうちに、寝そべっていた方の男が話しかけた。

 「ガックン、ここ来てもいつもそればっかりだよね。」

 長身の男はそう言われても一連の動作を繰り返した。やがてその手が止まると、
 ガックンと呼ばれた男は拳を砂へと叩き付けた。

2250−4:04/07/11 22:05 ID:8B1HnhQt


 月の子はこの世界において、唯一外部との交流を完全に遮断していた。
 というよりも、遮断されていた。『月の子』というのはその外部の人達が
 付けたもので、詳しい知識もその大部分が憶測に過ぎなかった。
 なんせ知る事が全く出来ないのだから。ただ外の人々も仲の人々も、
 共通した言葉をこの島に付けていた。

 『shell』

 皆そう呼んでいた。それは貝のように中に閉じこもったまま一生を終える、
 と言う意味。そして周りが海に囲まれているが、海(sea→s)を取ったら
 ただの地獄(hell)という、皮肉も込められていた。
 Shellに住む月の子達は、生まれてから誰もそこから出る事無く、生まれ、
 育ち、やがて死んでゆく。
2260−4:04/07/11 22:06 ID:8B1HnhQt

 月の子達がshellから出られないことには理由があった。Shellは島なのだが
 回りは空海共に凶暴なクリーチャーが多く生息していて、たとえ船を出してみても
 襲われ誰一人として生き残れない。月の子は皆強力な力を持っているが、
 数には対応しきれない。クリーチャーはピラニアのように血の匂いを嗅ぎ付け
 ドンドン増えてゆく。そして逃げ出そうとする月の子を一人残らず食い尽くして
 しまうのだ。それを皆知っていたから、誰一人としてここから抜け出そう
 だなんて考えもしなかった。


 「こんなところで終わっていいはずがない。」

 Gacktはふと、呟いた。

 「皆そう思いながら、結局このおぞましい地獄から抜け出せずに
 終っていくのかな・・・。」

 そう嘆くhydeに、Gacktは言った。

2270−4:04/07/11 22:07 ID:8B1HnhQt




 「こんな計画があるんだが、どうだ?」




2280−4:04/07/11 22:07 ID:8B1HnhQt


  Gacktの考えた計画はあまりに無謀で、破天荒なものだった。
 Shellを抜け出し、一番の強国の軍に入る。そして暗殺等を駆使して地位を
 上げていって王座に着き、shellの周りのクリーチャーを総力を上げて
 絶滅させる。最初から最後まで、ひたすら滅茶苦茶な計画。
 しかしhydeは、その計画とはいえない夢物語に魅力を感じた。
 もしも、もしもそれが達成できたなら・・・。
 夢のない島で夢を持つ事をやめていた青年にとって、それは非常に魅力的な
 ものだったのだ。Hydeはその計画に乗ってしまった。


 「でもどうやってこっから出るの?」

 Gacktは軽く笑って言った。


 「根性。」

2290−4:04/07/11 22:08 ID:8B1HnhQt





 「はぁ・・・・・はぁ・・・・・。はい・・・ど・・・大丈夫・・・・か?」


 「・・・・・な・・・・ん・と・・・か・・な。」


 満月の夜、力を全て解放し、フルパワーで一番近い沖まで飛ぶ。
 
 無鉄砲なその計画は、全身傷だらけになりながらも成功してしまった。
 ただし二人の体力の限界も近い。二人はそのまま瞳を閉じた。

2300−4:04/07/11 22:10 ID:8B1HnhQt

 この時期hydeは詞を書いていた。

 抜け出した大地で手に入れたのは自由。
Maybe lucky Maybe lucky I dare say I’m lucky
 レールの上に沿ってどこまで行けるかな
Maybe lucky Maybe lucky I dare say I’m lucky

 (STAY AWAY)

 hydeの当時の心境を率直に表した詞といえるかもしれない。
2310−4:04/07/11 22:10 ID:8B1HnhQt




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2320−4:04/07/11 22:12 ID:8B1HnhQt

 「生きとるか?」

 二人が目覚めたのはある民家だった。
 二人は海辺で倒れている所をこの家の住人に発見され、介抱された。
 この時助けたのが、

 「うちは中澤裕子。裕ちゃんでええで。」

 中澤だった。
 暫く3人での生活が始まる。そこで二人が知ったのは、中澤と言う人間は
 物凄い戦闘力を持った女だと言う事。
 月の子でも上位に入る力を持っているといえるだろう。そんな中澤は、
 二人の計画をまるで知っているかのように、一つ提案をした。


 「アップフロント国の軍隊に入軍せえへん?」

 二人にとって、この上なく都合のいい展開が待っていた。
 その後は周知の通り、二人は戦で結果を残し、暗殺を繰り返し、今。
 目標は目の前までに来ていた。
 しかし目前で、夢は潰えた・・・。

 To be continued…