なぁ気になったんだが

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69ねぇ、名乗って


「糞とかウン・・・そんなのは、どうでもいいんです!!」

問題は

それだ。
よっすぃさん(仮)のその格好。
上半身は真っ裸で
下には

なんと!
なんと!!!

私の大大大大大お気に入りの
Berry’sのタイトスカートを履いて――――――
(しかもそれは安倍さんからのプレゼント!)

いろんな意味で私は
まさにそう、失神一歩手前な状態だ。
70ねぇ、名乗って:04/03/12 22:37 ID:rrdmLCrW

「いいよな〜なかなか」

とか言って、満足そうに鏡の前でポーズまで決めて。

「俺、結構似合ってると思わね?」
「そっ・・・そっ・・・」

そんなことどうでもいいから!
は、早く上!
上半身なんか着てくださいって!!

なんてったって
吉澤さんのセミヌードを
私は目の当たりにしちゃったわけで。
そんな格好で下にはスカートなんだから
なおさら悪い。

もちろん胸はぺったんこだったけど。
71ねぇ、名乗って:04/03/12 22:38 ID:rrdmLCrW

「だって俺、服ないんだもん」

「服どころか
 その、
 言いにくいんだけどさ・・・
 下着もないわけ。

 さすがにヤバいだろ?」


そんなこと言われても!
私にどうしろと!?
っていうか・・・まさか、今まで一週間

ずっと同じパン・・・・・・・

「言いにくくて」

そう言って照れ笑いを浮かべた。
72ねぇ、名乗って:04/03/12 22:39 ID:rrdmLCrW

とにかくまずよっすぃさん(仮)にスカートを脱いでもらって
(もちろんトイレで。もちろん即洗濯機に放り込んだ)
普段の服を着てもらった所でようやく落ち着いた。

そういえば
出会ってからずっとよっすぃさん(仮)はこの服装だった。
気づかない私も悪かったんだろうか・・・
ちょっと反省。

「というわけで」
「服はともかくねぇ」
「・・・やっぱり、ムリ?」
「当たり前です!」

男の人の下着なんて
私に買いにいかせるか!?フツー。
かと言って・・・
これ以上同じ下着でいられるのも困る。

困った・・・。
73ねぇ、名乗って:04/03/12 22:40 ID:rrdmLCrW


「俺が買いに出ればいいことじゃん」
「はぁ!?」

何を言い出すんだこの人は!
たとえ偽者でも瓜二つの外見で
男性下着なんて買いにいった日には・・・・・。
モーニング娘。の吉澤ひとみ(18)が
男性用下着を買っていった・・・なんて知られたら

考えただけでも恐ろしい・・・。

「だけどさ、それはガキさんだって同じことだし」
「え?」
「ガキさんが男性下着買っていったって報じられてもまずいんだろ?」

そりゃぁ、そうだけど。
74ねぇ、名乗って:04/03/12 22:41 ID:rrdmLCrW

「わかったぁぁぁぁ!!!」

突然、よっすぃさん(仮)が大声をあげた。
部屋の空気が
びぃん、と振るえた。

「な、何が!?」
「簡単なことじゃないか!ガキさん!」

だから何が!

「要は、俺がその‘吉澤ひとみ’だと思われなければいいんだろ?」
「そりゃぁ、そうですけど」
「いい手があるYO!」
「はぁ?」

「変装♪」
75ねぇ、名乗って:04/03/12 22:42 ID:rrdmLCrW

ほんとに・・・上手くいくんだろうか。
そんな思いに駆られつつも
言われるままにコンビニまで走って
購入してきたブツを袋から取り出す。

まずは、ヘアカラー。
続いてサングラス。帽子。
それからマフラー。(マスクの代用らしい)

「うんうん。完璧」
「・・・ほんとに?」
「あとは、服だけど・・・」

それも問題だ。
借りるか・・・でも、誰に―――


「あっ」
76ねぇ、名乗って:04/03/12 22:43 ID:rrdmLCrW

忘れていた。
私としたことが。
一番いい人がいるじゃないか!

「何何?」
「いい事思いついた」
「え?」
「で、電話電話!」

なかばよっすぃさん(仮)を無視して
携帯のメモリを開く。

プルルルル、プルルルル、プルルル・・・・

『もしもし?』

「もしもし、新垣ですけど・・・吉澤さんですか?」
77ねぇ、名乗って:04/03/12 22:44 ID:rrdmLCrW

『どしたの〜』
「いや、実はですね・・・ちょっとお願いが」
『ん〜何?』
「吉澤さんの服、貸してもらえませんか?」

そういうと、吉澤さんは受話器の向こうで
へぇ?と気の抜ける声をあげた。

『いーけど…どうするの?』
「ちょっと事情がありまして」
『・・・分かったヨ。じゃぁ持っていこうか?」
「いやっ!それは駄目ですっ」

「えーっ!!いいじゃんYO〜」

すぐ傍でおとなしく座って聞いていたよっすぃさん(仮)が
いきなり大声をあげる。
私は、全身の血の気が引いた気がした。
78ねぇ、名乗って:04/03/12 22:45 ID:rrdmLCrW

『何?ガキさん、そこに誰かいるの?』
「あ、いや、そんなことは・・・」

しどろもどろな言い訳を返しつつ
片手でよっすぃさん(仮)を追い払う。
それでもこの人はしっつこかった。

「俺も吉澤って奴見てみてぇ〜」
「ム、無理に決まってるじゃないですか!}

子供かこの人は。

『ガキさん!?』
「何でもないんですっ!じゃ、取りにいきますからぁ!!」

ちょっと強引に電話を切った。
吉澤さんには申し訳ない、ほんと。
それもこれも
全部目の前に転がってるこの人のせいで!!!
79ねぇ、名乗って:04/03/12 22:46 ID:rrdmLCrW

私の目の前に転がってるよっすぃさん(仮)は
さっきと一転して妙に静かだ。
いや、微かになんか聞こえる。
・・・うーんうーんって唸ってる・・・?

「・・・どうしたんですか」
「・・・」

私の問いかけには無言で
よっすぃさん(仮)は私を睨み上げた。
それから無言で自分の向こう脛の方を指す。

「なんですか」
「足」
「は?」
「蹴っただろ、今、思いっきり」

記憶になかった。
ていうか、それは自業自得ってもんじゃ?

「入った…見事急所に」

無意識に蹴っ飛ばしてしまったらしい。
よっすぃさん(仮)はまだソコをさすっている。
80ねぇ、名乗って:04/03/12 22:47 ID:rrdmLCrW

「あー痛い痛い」

なんて嫌味な・・・
いや、ここは素直に

「・・・すいませんでした」

するとよっすぃさん(仮)は
ふぅ、とため息をついて
許してあげないこともないYO、と言った。

もう反論する気にもなれなかった。

「よっすぃさんて」
「ん?」
「語尾、変ですよね」
「そんなことないYO!」
「ほら、そことか」
81ねぇ、名乗って:04/03/12 22:48 ID:rrdmLCrW

よっすぃさん(仮)はしばらく考え込んで
少し腕を組んだ。
そして


「俺の特徴だから」



そういうのは
特徴って言わない。



「でさぁ」
「何ですか」
「吉澤サンの服、俺が着ていいわけ?」
「どういう意味です」
「仮にもね、その、オンナノコの服なわけでさぁ」
「・・・」
「失礼じゃない?男として」


さっき私のスカートを履いて喜んでた事実を忘れてる。
82ねぇ、名乗って:04/03/12 22:49 ID:rrdmLCrW

「吉澤さんはそんな事気にしませんよ」

と勝手に決め付けたけど
事実、そんな気がしないでもない。
「男の人に貸しますね〜」とか言っても
「いいYO〜」って普通に言いそうだ。

なかなかスッキリした子だね、と
よっすぃさん(仮)は言った。


「さすが、俺似」


いや逆だろ
とは、あえて突っ込まないでおく。
83ねぇ、名乗って:04/03/12 22:50 ID:rrdmLCrW

数時間後
私は吉澤さん家の前にいた。

「早かったね」
「はい」

なにしろ、急を要する事情なので。

「なんでもいいの?」
「はぁ。出来れば男っぽいのを」
「ふーん。そりゃまぁあるけど・・・」

助かった!
娘。で唯一男物なんて持ってるの
きっと吉澤さんしかいない筈だ。

「どうぞ」

自由に見ていいよ、と言って
吉澤さんは消えてった。
84ねぇ、名乗って:04/03/12 22:51 ID:rrdmLCrW

うーん・・・こうして見てみると
ほんと、吉澤さんの服のセンスって


すごい。


真っ黒の甚平とか
真っ黒の「つなぎ」とか
さ、佐川急便のジャンバーまで!!

いつ着るんだろう。

「決まったぁ〜?」

コーヒーとベーグルをお盆に乗せて
吉澤さんが再び現れた。

「好きなの持っていっていいよ」
「はぁ・・・」
「ガキさんには、コレとかいいんじゃない」
85ねぇ、名乗って:04/03/12 22:52 ID:rrdmLCrW

これはその
いわゆる、柔道着では・・・?

「ガキさん、カンフーとか好きでしょ」

決められてしまった。

「あたしもう着ないからあげるよ」
「でも」
「ごめん、ちょっと襟元ほつれてるけど」


着てたのか。


断る間もなくそれを受け取った。
でも
吉澤さんが着るとそれはそれで
納得できそうな気がしないでもない。