次の曲はカバーでいいよ、クソ新曲よりもさぁ。

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96適当な事言いすぎ
 番外2
  今日の目覚めは電子音だった。まだ4時とかじゃん・・・。俺は思い瞼を必死に
 こじ開けると、ディスプレイに表示される名前をなんとか読み取る。
 「もしもし?」
 声があからさまに弱っていたのか、向こう側からは笑い声が聞こえてきた。
 吉澤は好きなだけ笑うと、
 「今日は何の日だ?」
 「え?・・・・・・・・・・・・・・・・・なんだろ。」
 全然何も見当がつかなかったので、適当に呟く。
 「誕生日?」
 「違うよ!あたしはもうちょっと後!今日は、エイプリルフール。」
 あ、俺は寝たくてたまらなかったが、なんだか面白い香りがしたので話を
 聞き続けた。
 「だから、ちょっとドッキリしない?」 
 「誰?」
 「矢口さん。」
 お、いい線。ちょうど俺と仲がよく、そしてはめてみたい娘でもある。俺は
 OKすると、すぐ部屋に来るように言われた。
97二股にびびるハタチ:04/04/02 00:27 ID:ixDn4ibS
 「え?こんな大掛かりなわけ?」
 部屋に行くと、少し驚いた。吉澤の部屋にいたのは、吉澤の他に辻、加護、
 紺野、高橋。大人数・・・。なんか凄い入り組んだものをしそうな気が・・・。
 吉澤は俺が来るが否や、開口一番、
 「まあ最終的な形としては、告って。」
 「は?」
 「いやだから矢口さんに告るんやて。」
 「あなたしか出来無い事なんて、よろしくお願いします。」
 紺野はかるく礼までしてきた。
  ここで吉澤が詳しい説明に入る。俺は今日一日、マネージャーの代理を
 仕事としてやるらしい。(マネージャーさんは春休み中とか)俺以外の5人は
 俺を意識させるようなニュアンスを色んな所でさせて、俺自身もちょっと
 ドキっとさせるような事をする。そんで仕事終わりに矢口を呼び出し、告白する。
 矢口が混乱して訳分からなくなった所、もしくはそれを受けた所で種明かし、
 という流れだった。
 「ホンれす!!!」
 辻が台本を俺に渡してきた。そこには『4月馬鹿決定戦!』なんて書いて
 あった。なんて嫌なタイトル・・・。バレンタインの時は被害者だったし、
 いっちょやってやるか!俺は何気気合が入っていた。あれ?でも待てよ。
 「俺、二股ですか?」
 「『梨華を捨ててもいい、お前が欲しい!!』くらい言うんやよ。」
 芝居がかった高橋の言い回しに全員笑った。
98桜満開:04/04/02 00:29 ID:ixDn4ibS
  とは言うものの、マネージャーと言う仕事はかなり大変と聞く。俺なんかが
 代理で、果たして大丈夫なのだろうか?
 
 「大丈夫やよ、今日はハロモニ2本録り、コント4本やから。タイムテーブルが
 あれば全然なんてことない。」
 いや、そう言う問題じゃなくてさ・・・。君らの相手がいかに大変か、自覚あります?
 なんて思いながらも敢えて口にはしない。俺達は荷物をまとめると、
 テレ東へ向け動き出した。人数も人数なので車に納まらないかと心配していたら、

 「きつい!きついって!!」
 なんて言いながらミニモニ3人と紺野はなんとか後部座席に納まっていた。
 助手席には吉澤が座る。出発の準備をしていると、後ろではなにやらじゃんけんが
 始まっていた。あまりに騒がしいので話を聞いてみる。
 「どうしたの?」
 「あまりにきつすぎるから、じゃんけんで負けた人がトランク行きになるのれす!」
 トランク・・・。なんか金田一の死体をトランクに入れて移動していたトリックを
 思い出した。
 「じゃああたしが中心でジャンボじゃんけんだぁ〜!!」
 吉澤がノリで立ち上がる。
 「よっしゃ!行くで!!」
 加護は拳を握りしめて突き上げた。高橋は十字架のシルバーアクセを見て精神統一。・・・・皆必死だなぁ。
 
 「せーの!じゃん!けん!ぽん!」

  車の発進後、後ろでは辻加護紺野が仲良くしゃべっていて、俺の横には何故か
 高橋が座っていた。車からは綺麗に咲き誇る桜の景色が見えた。
99心がfragile:04/04/02 00:31 ID:ixDn4ibS
 「吉澤さん。桜、綺麗でしたね。」
 「見えねぇよ!!」
 紺野の発言に、ふてくされながらもしっかりツッコミを入れる吉澤。まさか
 あそこでジャンボじゃんけんの中心が一人負けするなんてねぇ・・・。
 ちょっとだけ服が汚れている吉澤を見て少し切なくなった。
 
 とりあえず全員の前に立ち、マネージャーをする事になったを告げ、
 「じゃあこっからは俺マネージャーだから、ビシビシ行くよ!!呼び名も
 全員苗字で呼び捨て。」
 普段の恨みを込めて(ぉぃ)
 「これ、タイムスケジュール。」
 吉澤に渡されると、俺は一通り目を通し、即指示を出した。
 
 「じゃあすぐ着替えて。7時半からリハ。」
 『知ってま〜す』
 
 ザクッ。
 
 「あ・・・そう・・・。じゃあ頑張れよ!」
 語調だけ強めて部屋を出ると、廊下でちょっと落ち込んだ。
100甘口採点:04/04/02 00:32 ID:ixDn4ibS
  撮影は順調とは言えないが普通通り進んでいた。でも普通通りに行って
 昼飯が3時とは・・・。忙しいもんだなぁ、俺は衣装を持って移動していた。
 
 あれ?これなんかマネージャーって言うより、雑用?
 
 「矢口ぃー。」
 俺がドアを開けると、矢口は笑顔で衣装を受け取った。俺が控室を出て、
 しばらくすると、矢口は着替えて出てきた。
 「・・・・・・・。」
 俺は何も言わずに、その姿にただ見惚れていた。
 「どうした?そんな顔して。」
 「いや、なんてーか・・・・・可愛いなって・・・。」
 かなり控えめな言い方な俺を見て、矢口の表情が一瞬変わる。少しだけ頬が
 赤くなっているようにも見えた。
 
 「・・・なぁーに言ってんの!当たり前でしょーが!!」
 矢口は相変わらず顔を赤らめたまま、駆け足でスタジオへと行ってしまった。
 俺が舌を出しているのにも気づかずに。
 「80点ってトコやね。表情もっとやらかくせな。」
 高橋が控室から出てくる。しっかり見られていたようで、しっかりダメ出しも入った。
 「梨華よりマシだと思うけど。」
 俺が笑うと、高橋も笑った。そしてすぐに辺りを見回す。誰もいないのを
 確認すると、二人でまた笑った。
101捜索:04/04/02 00:36 ID:ixDn4ibS
 「次は・・・・。」
 俺は『4月馬鹿決定戦!』の続きを読んだ。っていうかこれ誰が書いたの?
 矢口の台詞は当然ないもんと思っていたら、なんか勘で書かれていて、
 しかも大体当たってるし。どうやらこの台本によると、今は吉澤がさっきの
 場面を目撃したと言う設定で矢口に話しかけているらしい。次の俺のシーン(?)は
 昼飯まで無かった。しかしだからと言って安心は出来ない。マネージャーの
 仕事は本当にやっているのだから、そっちをしなくては・・・。
 俺はスタジオへと向かった。
 
 「全員いる?」
 ここでは矢口とは別のコントを撮影中。5,6期が全員いるはずなのだが・・・。
 
 「亀井がいない!?」
 困った。これが一番困るんだ・・・。亀井とはほぼ面識が無い、っていうか
 話した事あったっけ?ぐらいによく知らない。
 「探してくる!」
 でもここは仕事だ。俺はスタジオを飛び出すと、駆け出した。どこにいるのか
 なんて全然見当もつかないから、とりあえず現在は無人のはずの控室へ。
102巻いていこう:04/04/02 00:37 ID:ixDn4ibS
 ガチャッ。
 「亀井?」
 「はーい・・・。」
 低いテンションで返事が聞こえる。しかし声がどこから聞こえてきたのか
 全然分からなかった。そんなに広くない控室を、ぐるぐる探し回る。
 
 「あれ?」
 「ここでーす。」
 声は後ろから聞こえた。俺は振り返ると、呆れて一言。
 「何やってんの?」
 「出れなくなりました・・・。」
 亀井は壁とロッカーの僅かな隙間に挟まりながら、応対してくる。なんとも
 奇妙な光景だ。
 「なんでそんな所入って・・・あ、隙間に入るの好きなんだっけ。」
 思い出したように呟くと、一番端のロッカーから順に、コツコツとどかし
 始めた。ていうか重・・・。でも時間が押してしまうから俺は精一杯急ぐ。
 なんとかロッカーをどかすと、亀井はぴょんっと軽く跳ねて出てきた。
 
 「もうするなよ。」
 「それは出来ませんよ〜。ここに入ると落ち着くんです。」
 亀井は全く懲りてない様子の顔。
 「時間押してるから走るぞ。」
 俺は亀井の手を引いて走り出した。
103痛恨:04/04/02 00:39 ID:ixDn4ibS
  お昼休み。俺は弁当を運んで控室に訪れた。ドアを開けると石川と吉澤、
 藤本が休んでいた。
 「弁当いかがすかー。」
 冗談めかして入ると、
 
 「梨華ちゃんに似てきたね。」
 
 藤本がボソッと呟いた。え?何それ寒いって事?俺は胸に言葉の矢が
 突き刺さったまま、弁当を3人に配った。そして俺も一緒に食べ始める。
 談笑しながら食べていると、
 
 「あ゛〜もうこんな時間かよ〜!」
 矢口が入ってきた。俺は弁当を渡すときに一言言わなきゃいけないんだっけな。
 でも・・・石川がいるのがちょっと気になった。
 まあ大した事言うわけじゃないんだけど・・・、俺はとりあえず、台本通りに動いた。
 「これ食って頑張れ。まだ腸がよくないなら、少し食べるから。」
 ちょっとした言葉で心を軽く擽りたいのだろうか?これが効くかどうかは、
 吉澤達がいかに俺を意識させているかにかかっているな。なんて思いながらも、
 顔は優しく微笑んでいる俺。矢口はまんざらでもない顔で、弁当を受け取ると、
 すぐに食べ始めた。
 「食べきれないからちょっと食べて〜。」
 吉澤が半笑いで寄ってきたのはそれからすぐだった。
104痛恨:04/04/02 00:42 ID:ixDn4ibS
  落ち目なのに、なんでこんなに忙しいの?暇人大学生の俺は思った。番組も
 全盛期と比べて少ない所を見ると、一番流行ってた頃はどんな生活をしていた
 のだろうか?おそらく俺の想像を絶するものだったんだろうなぁ。彼女達は
 午後も忙しく収録をこなしていった。
  段々時間が近づいてくるに連れて、なんだか緊張してきた。慣れない演技は
 大西さんの時以来だろうか。番組の台本の内側に、例の台本を潜ませて読む。
 スタジオの方では、全員集合してやけに盛り上がっていた。
 『やった!!!』
 燃えてますね皆さん。20にしてなんか落ち着きを得てしまったおっさんは
 静かにその情景を見守っていた。

 「じゃあ、今日はこれで解散!早く帰れよ!」
 全員だべりながら帰り支度を始める。俺は矢口に近づくと、言った。
 「ちょっといい?」
 「何?」
 「話があるから、来て。」
 俺は矢口を屋上へと連れて行った。にしてもこの季節になんで屋上なんだよ・・・。
 なんて今更心の中で愚痴りながら、表情は緊張でこわばっていた。
 
 「何?話って。」
 ああなんていうか、屋上に呼び出すって、定番のような、定番で無いような。
 俺は覚悟を決めた。一回、深呼吸をすると、声をあげる。
 「矢口!!好きだ!!」
 「へ?」
 矢口は素っ頓狂な声を上げ、目をぱちくりさせた。俺は台本通りに続けた。
 「なんだかよく分からないんだけど、もうこの感情を抑えられないんだ!!
 頭の中が矢口の事でいっぱいなんだよ!!」
 恥ずかしい・・・。誰だ脚本家は!!なんて心中嘆く。
 「・・・・・・・・。」
 口は無言のまま、俺の胸に体を寄せ、手を俺の背中に回す。あとは皆が来るのを待つだけだ。
105痛恨:04/04/02 00:43 ID:ixDn4ibS
 ガチャッ。 
 来た!!俺は視線をドアへと移す。すると、そこに立っていたのは石川だった。
 「どういうこと?」
 雨が降ってきた。あっという間に本降りになり、俺たち3人を打ちつけた。
 石川の目は暗くてよく見えなかったが泣いているようにも思えた。
 
 「やっぱり矢口さんの事が好きだったのね!!」
 矢口が病気だった時の一件もうまい事引きずっている。石川は近づくと、
 俺の事を思いきりひっぱたいた。そしてそのまま中へと入って行ってしまった。
 
 「梨華!!」
 俺が追いかけようとすると、矢口が俺を止める。
 「おいらの事が好きなんでしょ?」
 それを言われると苦しい。俺は口ごもって何も言えなかった。
 「そろそろ寒いし、中入ろうか・・・。」
 俺はそう言って矢口の手を引く。室内に入ると、すぐに辻が大慌てで走ってきた。
 「すみません!!最後のページ抜けてました!!」
 辻は俺に台本を投げる。
 『4月馬鹿王決定戦:完全版』と書かれている。読んでみた。
 ・・・・・・・・多分俺の顔色はどんどん悪くなっていたと思う。
106蓮根:04/04/02 00:46 ID:ixDn4ibS
 矢口、無言のまま抱きしめる。
 ガチャ(ドアの開く音)石川登場。
 石川:どういうこと?
   やっぱり矢口さんが好きだったのね!!
   石川、殴るもしくは泣きながら退場。追おうとする○○を止める矢口。
 矢口:おいらの事、好きなんでしょ?
 矢口、雨が降っているから中へ入るように促す。辻、大慌てで現れる。
 辻:すみません!最後のページが抜けてました!!
 ○○、読む。青ざめてゆく顔。怒りに満ちた表情。
 矢口:
 「ちょっとぉ〜、中に入ろうって言うのはおいらの所なのに勝手にやりやがってぇ〜。」
 台本通りに矢口は言った。
 「・・・・・・・・・・・。」
 俺は多分物凄い目で矢口を見た。矢口はそれを見てゲラゲラと笑う。
 下のほうからも笑い声が聞こえてくる。そして矢口は最後の台詞を口にした。
 「脚本家、おいら。」
 俺はその場で崩れ落ちると、下にいた吉澤、加護、高橋、紺野が階段を
 駆け上ってきた。そして一気にヒートアップ。
 「またまたかかりました!!!」
 吉澤は大笑い。よく見てみるとこいつら、バレンタインの時と全く同じメンツ
 じゃねぇか!!俺は気づくと悔しくて拳で地面を強く打ちつけた。
 「あ、そういえば。石川さんどうします?」
 紺野の一言で、笑い声が途絶えた。え?あいつもドッキリに参加してたんじゃないの?
 俺が不思議そうな顔をしていたのに気づいたのか、
 「ああ、梨華ちゃんは大根やから、何にも押しえてへんよ?だから今の本当やと思ってる。」
 
 「・・・・・・・・・どっち行った?」
 「え?・・・・・階段をずっと降りていった。」
 俺はそれを聞くと全速力で階段を駆け下りていった。
 今日最後の大仕事のために。