「くそっ!いない?」
スーパー1は林の中で倒れた樹木をかき分けていた。
樹木の下敷きになっているはずのタイガーロイドがいない。
「・・・逃がしたか。」
周りを見渡すがそれらしい人影は見当たらなかった。
闘いはほぼ互角だった。
山肌は半分以上が焼け落ち、闘いの激しさを物語っていた。
「ふん、麻琴のことが無ければ決着を付けてやったところだ・・」
タイガーロイドは少し強がりを言いながらZXたちのいる廃車置場を目指していた。
「ん?・・・」
突然正面に人の気配がして立ち止まった。
「・・・麻琴か。」
「信田さん?」
「その様子だと無事勝ったようだな。さすが麻琴だ・・・」
タイガーロイドとZX、そしてスカイライダーは少し距離をとって向かい合った。
「・・・麻琴。私と一緒に戻らないか?」
「何をバカなことを!」
タイガーロイドの言葉にZXは大声で反発した。
「ゼティマを倒したいのだろ?そのためには組織に戻った方が早道なんだよ。」
「一体何を・・・」
困惑するZXにタイガーロイドは話を続ける。
「お前の力はまだまだそんなものではない。私と力を合わせればゼティマどころか、何もかも、全てが手に入るんだぞ。」
「・・・・・・・信田さん。」
ZXはタイガーロイドの言葉を聞いて前に進みだした。
「まこっちゃん?・・・」
スカイライダーは不安そうに見守る。
ZXはタイガーロイドの目の前に立ち、千切れた「マイクロチェーン」の先端を掲げた。
「・・・これを見てください。」
「何だそれは?」
「奈津美ちゃんの形見です・・・」
「・・・・・」
「信田さんが何をしようとしているのかは知りません。でも、あなたのやったことは絶対に許しませんから・・・」
ZXはそれだけ言うとマイクロチェーンを大事に抱え、タイガーロイドの横をすり抜け、歩き出した。
スカイライダーもその後に続く。
「待て・・・許さないのなら、ここで私を倒してみたらどうだ?」
タイガーロイドはそう言ってZXを挑発した。
それを聞いてZXは振り向こうともせずに答える。
「信田さんには随分とお世話になりましたから、今回は見逃してあげます。・・・次に会ったら容赦しませんから。」
「何だと!・・・・ぐっ・・・」
カッとなり前に出たところで、タイガーロイドの脇腹に激痛が走った。
スーパー1との激闘で受けたダメージだ。
ZXはこのダメージを一瞬で見抜いていた。
「・・・ふん。その甘さがお前の最大の弱点だ。次に会った時は、逆に力づくで連れて帰るからな・・・」
タイガーロイドは脇腹を押さえ、負け惜しみを言いながらZXとスカイライダーを見送った。
つづく