闘いの様子をモニターで見ながら、信田は失望した様子だった。
「麻琴・・お前の力はこんなものなのか?」
「・・・え?なんです?」
男が信田の方を向く。
「いや何でもない。・・・どうやら勝負あったようだな。」
「そうですね」
男が嬉しそうに言った。
それを聞くと、信田は黙って立ち上った。
「・・・どちらへ?」
「『1号機』の回収に行ってくる。」
そう言って林の中に歩き出した。
ZXは迷っていた。
いったんこの場から逃げて立て直すか、相討ち覚悟で闘いを挑むか・・
ZXの脳裏に紺野の姿が浮かんだ。
・・・これ以上仲間の被害を増やすわけにはいかない。
こいつは自分が責任を持って・・・
「まこっちゃん!」
上空から声が聞こえた。
スカイライダーだった。
「まこっちゃん、ひょっとして苦戦してるの?」
上空から声を掛ける。
ZXはチラと「2号機」を見る。
「大丈夫だよ、こんな奴の一人や二人」
「ナンダト!」
ドガッ!
「2号機」のパンチが廃車にめり込んだ。
その隙にZXはスルッと廃車の隙間から脱出する。
明らかにさっきより動きが良い。
「頭を使わなきゃダメだよ。」
スカイライダーが人差し指で頭を突付く仕草をした。
「うん・・」
ZXはいったん距離を取った後、一気に反撃に転じた。
ZXは2号機に向かってまっすぐに突っ込む。
「フン、ナンドヤッテモ、オナジダ」
さっきと同じように2号機が高速でパンチを繰り出す。
しかし突如ZXが2号機の視界から消える。
「・・ドコダ?」
「・・・ここだよ。」
2号機が下を向くと、真下にZXがいた。
ZXは体を沈ませてパンチをかわし、一気に懐に飛び込んでいた。
ガツッ!
そのままZXは体を伸ばし、頭突きをお見舞いする。
「ウッ・・」
2号機がひるんだところで、両手で肩を掴み、2発、3発と連続して頭突きをお見舞いする。
・・・スカイライダーは上空でその様子を見ながら困惑していた。
「いや・・・・『頭を使う』って、そういう意味じゃ・・・」
「・・わかってるってば。」
「コノ・・・」
ZXは2号機の苦し紛れのパンチを再び体を沈めてかわし、至近距離からドロップキックの体勢に入った。
ちょうどプロレス技の「カンガルーキック」のような形になる。
ペタン、とZXの両足が2号機の胴体に当たった。
「ソンナモノガ・・・ウオオオオ!!」
キックが当たると同時に踵のジェットエンジンが噴射した。
2号機が大きく後方に吹っ飛んだ。
「マイクロチェーン!」
ZXの放ったマイクロチェーンが2号機を襲う。
2号機は立ち上がって横に避け、チェーンは後ろの廃車に突き刺さった。
「コンナ ノロマナ チェーンナド アタルモノカ」
「そーれ!」
ZXがチェーンを思い切り引っぱった。
「ウアアアアアア・・・」
チェーンに引っぱられた廃車が2号機の後頭部を直撃し、崩れてきた廃車の山の下敷きになった。
「どう?」
ZXは上空のスカイライダーに親指を立ててアピールした。
つづく