川σ_σ||<いんたーみっしょん。三つ目のお話です。
いんたーみっしょん
【第三の視点】
蠍谷の死闘・・・
ライダー達の戦い、そして守備隊の戦い・・・
全てが終わった頃に蠍谷の入り口付近で佇む4人の姿があった・・・・
「今回出番はなしか・・・・」
「これだけでも充分でしょ?」
そう言った雅恵とめぐみの足元にはガラクタと化したロボットのパーツが転がっている。
それは数十分前にはヘラクレス1・2と名乗る2体のロボットと
ブラックマンと言うアンドロイドの形を成していたのだ。
「大地震だってさ・・・・・」
ここはハローワーク商会。
TVを見ていた瞳があゆみに言った。
バイクロッサーこと大谷雅恵・村田めぐみ、そして2人の姉妹とも言うべき
斉藤瞳と柴田あゆみの4人が蠍谷に行くきっかけになったのは
このニュースを聞いたからだ。
「小笠原の火山活動で関東に大地震?へぇー・・・」
瞳の言葉にTVの画面を見たあゆみは特に気にも留めないと言った感じで呟く。
「情報操作?」
あゆみの質問に瞳は頷いた。すると事務所のドアが勢い良く開いた。
「大変大変!!大地震だってさ!どうする?」
そう言ってやって来たのは雅恵であった。
雅恵も自分のお店ペガサスでこのニュースを見ていたのだ。
慌てた様子の雅恵を見て思わず吹き出す瞳。
そんな瞳を雅恵はキョトンと見つめていた。
「ニュース・・・・見てなかったの?」
「見てたよ」
「だったらなんでそんなに落ち着いてるんだよ!」
興奮気味の雅恵に瞳は座るように言うと話を始めた。
「火山活動のニュースってそんなに騒いでた?
それに大きな地震が起こるならもっと早くからわかりそうなもんだけど・・・」
「はぁ?」
「だから・・・地震なんて嘘なんだよ。たぶん政府の情報操作でしょ」
「どうして?」
「どうしてって・・・・あんたねぇ・・・ゼティマしか考えられないでしょう。
ほら・・昨日アヤカちゃんの話したでしょう?どうやら政府も
秘密裏にゼティマに対する動きがあるって、そこが何か嗅ぎつけたんじゃない?」
瞳の言葉に雅恵は驚きの表情を浮かべる。
「マジで?中澤さんから連絡があったの?」
「推理だよ推理。私は探偵の娘だよ」
「けど・・・もし本当だったら?」
「今更どうにかなる?」
「・・・・無理だね」
雅恵はそう言うとやっと落ち着きを取り戻した。
「とにかく中澤さんに連絡取ってみよう・・・」
瞳はそう言うと携帯を手にした。
川σ_σ||<つづけ!
「駄目だ・・・出ない」
中澤と連絡を取ろうとしたが応答がない。
やはり何か事件が起こっているのだと確信した瞳は
雅恵にめぐみを呼んで来るように言うと、自らも出かける準備を始めた。
「そんじゃ出発!」
インテリアショップペガサスと書かれたバンに乗り込んだ4人。
めぐみは車を中澤家と向かわせた。
「どうも最近こんなんばっかだね」
あゆみがそう言うと瞳も頷く。しかし
「なにが?」
雅恵は2人に聞いた。
「何がって・・・私たちに連絡がないって事だよ。
何か事件があっても終わってから知らされる事が多いでしょ?」
瞳は不満そうに言う。
「そりゃ・・・あの子達はみんな何かあると突っ走っちゃうからじゃないの?
作戦とか・・・・そんなの一切お構いなし!思った通りに行動しちゃうの」
めぐみが言った。
確かにその通りかも知れない・・・瞳はそう思った。
自分達に連絡した所で戦力は増えるがそれよりも先に
行動に移ってしまうのは中澤家の面々の癖であるとも言えるのだ。
「まあ、そうかも知れないけど・・・まさかあてにされてないなんて事は・・・」
「どうだろうね・・・実際・・・・・」
瞳の言葉に雅恵はそっけなく答えた。
どうやら瞳と同じ事を雅恵やめぐみも一度は考えた事がある様だ。
「そうなると・・・でもどうなんだろう?」
「なにが?」
「私達の戦力・・・中澤さん達と比べると・・・」
あゆみは不安そうに言う。
自分達は弱い・・・あゆみが一番認めたくない事である。
「あのさぁ・・・そんな心配してたらキリがないよ・・・少なくとも役には立ってるんだし
確かにガチンコで勝負したら負けるかもしれないけどそれで良いんじゃないの?」
雅恵が言った。確かにその通りである。
少なくとも自分達はゼティマと戦える力を持っているのである。
たとえそれが中澤家の面々より劣っていたとしてもそんな事は問題ではない。
自分達にできる事をやる・・・それで良い。雅恵もめぐみもそう思っているのである。
そんな会話をしている4人の車の前から一台のバイクが走って来た。
「あれ!」
「ミカちゃん!」
4人がそれがミカだと気がついた時には既にミカは目の前に迫っていた。
「とっ・・・・」
めぐみは慌てて車を止めたがミカは気がついていないようである。
目の前の交差点を勢い良く曲がって行った。
「追うよ!」
瞳の言葉にめぐみはアクセルを踏み込んだ。
「駄目だ・・・追いつけないよ・・・」
特別仕様のミカのバイクと配達用の車・・・その性能の差は歴然である。
二台の差はどんどん開いて行く一方であった。
「ああ・・・・見えなくなちゃった・・・・」
雅恵が悔しそうに言う。
とりあえずそのまま車を走らせるめぐみは瞳に言った。
「お得意の推理でミカちゃん達がいそうな場所の特定できないの?」
「うーん・・・・今現在この場所で・・・・そうか!めぐみ!とりあえず港だ!」
「港?」
「そう、港!悪人が悪さをする場所は港って相場が決まってるの!」
「本当かよ・・・・」
「とにかく急げ!!」
ある程度の見当をつけ港に向かった4人。
とは言え埠頭もそれなりの広さがある。あちこち探しまわっている所に
猛スピードで走る一台のクーペを見つけた。
( `_´)<つづけ!
「あれ!アヤカちゃんの車!」
瞳が叫んだ。
「今度こそ・・・」
そう言うとめぐみはその車の後を追う。
それでもやはり車の性能の差があった。
やっと追いついた頃にはライダー達が蠍谷に向かって出発した所であった。
「ああ・・行っちゃうよ・・・」
走り去るバイクを悲しそうに見つめるあゆみであったが
そこにはまだ稲葉とアヤカ、それにひとみとまいの姿があった。
「稲葉さん!」
車を降りた瞳が稲葉に駆け寄る。
「おう!あんたらも来てたんかい」
「それよりみんな何処行ったんですか?」
「何処て・・・・あんたらも行くん?」
「はい」
瞳がそう言うと稲葉は一瞬躊躇したようなそぶりを見せたが言った。
「蠍谷や・・・」
「蠍谷?」
「ああ・・・ヨロイ元帥の計画を阻止するんや」
「場所は?」
「それが・・・うちはわからんねん・・・」
稲葉の言葉に4人は愕然とする。しかし
「じゃあみんなはどうやって・・・」
「なんやミカが場所知っとるらしいからそれで」
その言葉を聞いた瞳はアヤカを見た。
「・・・・行くの?」
「勿論!」
「そう・・・・」
アヤカはそう言うと4人が乗ってきた車のナビを操作し始めた。
少ししてアヤカが言う。
「ここ・・・・私もだいたいの場所しかわからないからここまでだけど・・・」
「大丈夫!そこまで行けばもう騒ぎが始まってるでしょうから何とかなるよ」
そう言うと4人は稲葉達と別れ蠍谷へ向かう為、車を発進させた。
「蠍谷か・・・聞いた事もないね・・・」
「まあでもいかにもって感じ」
敵がいると思われる場所を聞いて瞳は笑っている。
こんな状況でも余裕を持とうと言う瞳ならではの行動とも言えるだろう。
「ヨロイ元帥ってどんなやつ?」
「さぁ?戦った事あったっけ?」
瞳の行動により張り詰めていた車内の空気が一転し
他の3人にも心の余裕が出来てきた様だ。