4時間後。
ソニンたち守備隊の面々は撤収を終え、都内某所の駐屯地に戻っていた。
駐屯地の建物の中は静まり返っていた。
怪我をした者は治療を受けながら、無傷のものは座ったまま・・・誰も口を開こうとしなかった。
会議室ではソニンと副隊長、第一、第二中隊長、そして前田の5人が集まっていた。
「それで、こちらの損害は?」
「軽傷8人、重傷15人、うち2人がそれぞれ片腕、片足を切断、おそらく再起不能です。
それと戦死・・・いや殉職者が4人・・・です。」
「うん。思ったより健闘したわね・・・」
第一中隊長の報告に、ソニンは顔色1つ変えずに答えた。
そして詳しい戦闘の報告と検証が始まる。
「・・・・武器を使った戦闘方法を練り直さないとダメね。いくら時間が無かったとはいえ
今回はあまりにお粗末だったし。」
「わかりました。」
中隊長たちは黙ってメモを取った。
「・・・通常戦闘もこの程度の改造人間に苦戦するようじゃこれから苦しいね。何か対策を考えないと・・・」
あくまで冷静に受け答えをするソニン。
前田は横で聞きながら少しずつ腹が立ってきた。
「明日までに文書にして報告してちょうだい。それと片足と片腕を失くした2人は第一研究所の施設に移して。五木教授に話は通してあるから。あと、念のため豊川の駐屯地の護衛に3中隊から分隊を1つ派遣しておいて。」
それだけ言ってソニンは立ち上がり、出口へ向かった。
「・・・どこへ行くの?」
後ろから前田が声をかけた。
「死体安置所よ。検死と解剖の準備があるから・・・」
「・・・ちょっと冷たいんじゃないの?」
前田の声が少し大きくなった。