官邸の裏口からリムジンを断り、守備隊の車に乗った。
首相を信用していないわけではないが、さっきの話を聞いた直後に政府の車に乗る気にはならなかった。
ソニンが窓から外を見ると避難に向かう家族の姿が目に入る。
母親が不安そうな顔で赤ん坊を背負い、父親が大きな荷物を持ちもう一人の子供の手を引っ張っている。
父親に連れられた子供は状況を理解できないのか無邪気に笑っていた。
ソニンは視線を車内に戻し、前を向いたまま前田に語りかけた。
「闘う理由とか、事情とか、お互い色々あると思うけど・・・とりあえず今やるべきことは一つよね。」
再び外に目をやると避難に向かう人の列はまだ続いていた。
「守らなくちゃ・・・・」
ソニンは自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
前田もそれを聞いて黙ってうなずいた。
「隊長、もう全員揃ってますよ。」
守備隊の駐屯地に到着すると副隊長が出迎えた。
「全員?志願者だけって言ったでしょ。ちゃんと作戦内容を説明したの?」
「それがケガ人も含めて全員行くって聞かないんですよ。それと第三中隊も・・・」
「第三中隊はダメよ。今回は置いていくから。」
力不足の彼らを連れていっても足手まといになる。
それに全員出撃して、もし全滅してしまったらその首相を守る者がいなくなる。
「中隊長あたりは泣いて頼んでるんですが・・・」
「ダメなものはダメよ。じゃあ詳しく説明するから・・・」
ソニンはそう言って会議室へ向った。
副隊長はソニンの後ろの女性に気が付いた。
「隊長・・この人が例の・・・」
「・・・そう、この人が真・仮面ライダーさんよ。」