「敵のアジトに乗り込むんですか?戦力が足りません、無茶です!自衛隊を出してください。」
「自衛隊か・・・」
首相は視線を落として考え込んだ。
「全てを国民に明らかにして、自衛隊の総攻撃を行うべきです!」
「・・・実は先ほど空自のRF-4偵察機が落とされた。空からの攻撃はできない。。
山が険しくて戦車も近寄れん。歩いたら並の人間では2日はかかる。自衛隊の攻撃は無理だ・・・」
「自衛隊が無理なら米軍の力を借りて・・・」
「アメリカ軍はだめだ!」
外務次官が立ち上がった。
「これは内政問題だ。外国の軍隊を介入させるわけにはいかん。」
「住民に危険が迫ってるんですよ。」
「地震の注意情報と偽って避難勧告をした。8割以上の住民は避難できるはずだ。」
「しかし・・・」
「ここでアメリカ軍の介入を許せば日本は独立を保てない。60年前に逆戻りだ。」
「・・・だからって数十万以上の国民を見殺しにする気ですか?」
「アメリカの再占領後、再び独立を取り戻すのにどれだけの時間と血が流れると思う?
国家として絶対に譲れないものがある。多少の犠牲は・・・仕方ないのだ!」
次官が話し終えると場が静まり返った。
首相を含めて全員が苦渋の表情だ。顔を両手で覆っている者もいる。
相当苦しい選択だったのだろう。
黙り込むソニンに対し、首相がさらに驚くべき言葉を告げる。
「・・・そもそも、アメリカが我々の味方とは限らんのだよ。」
「まさか!」
「これだけの騒ぎにも関わらずアメリカ軍からは衛星写真の1つも送って来ない。
FBIは協力的なのだが・・・アメリカ政府からは情報が来ない。」
「日本と同じように、アメリカも奴らに支配されているのですか?」
「・・・わからん。むしろ奴らのバックがアメリカ、という可能性もある。」
「日本を占領するためにアメリカがゼティマを作った、と言うんですか?」
「あくまでその可能性もある、と言う話だ。もはや何が起きても不思議ではない。」