仮面ライダーののBLACKRX

このエントリーをはてなブックマークに追加
501ナナシマン
 数日後。国際線ロビーの一角に少女達の一団がいた。笑顔で言葉を交わす彼女達が
日本の平和を脅かす悪の陰謀を、熾烈な戦いの末に阻止したと誰が気づくだろうか。
小さな体に秘められた、無限の力を誰が知るだろうか。しかし、それは彼女たちが
知っていればいい事なのかもしれない。例え離れていても心は一つ。正義の心と
友との確かな絆を胸に秘め、少女達は旅立つ仲間を見送るために集まったのだ。

 別れの時までのわずかな時間を惜しむように語らう少女達。それは出発案内の
アナウンスが聞こえてきてもなお続いていた。しかし、最終出発を知らせるアナウンス
が別れの時を告げる。

 出発ロビーのガラス窓越しに映る仲間へと、しきりに手を振る少女達。そして誰から
ともなくこんな言葉が聞こえてきた。

 「上に行こうよ!ミカちゃんの乗る飛行機が見えるかもしれない」

 その言葉にはじかれるように少女達は階段を駆け上がり、展望ロビーを目指す。一方
仲間達の声に送られて一人機中の人となった少女もまた、ターミナルの建物が見える
窓側の席に座る。展望ロビーには仲間の少女だけではなく、旅立つ人を見送る人々や
飛行機を見学する人がフェンス際に集まっていた。それでも機中の少女は目を凝らし、
仲間の姿を求めた。するとロビーの一角に、小さな体に見合わず大きなしぐさで手を振る
小さな人影が見える。
502ナナシマン:04/07/15 22:04 ID:lvdgOcHP
すると、せっかく目に付いた仲間達らしき人影が不意にぼやけた。それと同時に、
頬のあたりに緩やかに伝うものに気づいた彼女は、人差し指で拭うと唇をかみ締めた。

 (・・・みんな、本当にありがとう。ワタシは自分のするべきことを終えたら、必ず
帰ってきます。だってワタシは、仮面ライダー4号なんですもの)

一人の少女の決意を乗せて、鋼の翼が徐々にその速度を上げていく。そして機体は彼女に
まるで何かを諭すかのように、騒音とともにゆっくりとした浮揚感を与えた。一方、
展望ロビーでもいよいよ日本を離れていく飛行機を目で追いながら、別れの涙で崩れて
しまいそうな笑顔を支えながら、友の姿を見送る少女達の姿があった。


 ミカ・トッド、またの名をライダーマン。そして、栄光の仮面ライダー4号の名を
贈られた彼女は今、新たな戦いの場へと旅立っていった。自らの前に立ちはだかる謎を
解き明かしたその時、彼女は再びライダーマンとして戻ってくるだろう。日本は未だ、
悪の秘密結社ゼティマによって狙われている。仮面ライダー4号として、彼女が再び敵と
対峙する時はそう遠いことではないだろう。



第57話 「仮面ライダー4号は君だ!」 終