憎き敵を討ち果たし、仲間たちの元に戻ってきたライダーマンを駆け寄ってきた仲間
たちが囲む。目の前で見た光景に一度はたたれた一縷の望みが、思いもよらぬ形で
つながっていた。そして、恐るべき悪の野望を打ち砕いただけにとどまらず、その野望の
前に命を落とした仲間たちの仇をとることができたのだ。
「無事だったんだ!」
「ぜったい助からへんって思ってたのに」
死闘を制したV3、そしてその後に亜依が続き、ライダーののとXライダーとも無事を
喜び合う。ボロボロになってほとんど機能しなくなったヘルメットを外し、ミカは大きく
一つ二つ息をつくと、微笑とともに言った。
「まだ生きてやるべき事があるって事を・・・みんなが教えてくれたから」
と、変身を解いた真里がミカの前に立つ。不思議そうな顔をするミカに、真里は問いかける。
「ところで、ミカちゃんは自分のことをまだゼティマの一員だって思ってる?」
「えっ・・・それは・・・」
それは彼女の心に消えずに残っている重い十字架。悪の野望のためとは知らず、自分の理想
を信じて追いかけた果てに待っていた、あまりに大きすぎる罪。そのことが彼女の頭から
離れたことは一度もなかった。
「確かに最初はそうだったかも知れないけど、おいら達仲間じゃん。おいら達みんなこう
思ってるんだよ」
「何ですか?」
仲間たちが今、自分のことをどう思っているのか。ミカは真里の言葉を待つ。一方の真里
も一つ息をつくと、笑みとともに言った。
「おいら達の仲間、『仮面ライダー4号』。ライダーマンにこの名前を贈るよ!」
「矢口サン・・・」
互いに抱擁を交わす二人。そしてその様子を見つめる亜依と希美。少女たちの友情が、
いっそう強さを増した瞬間だった。が、一人愛だけは、喜びの中に小さな疑問を感じて
いた。
「・・・あれ?ねぇ、あっしは?あっしは何号になるの?」
しかし、愛の言葉が目の前の光景が作り出す空気にかき消されてしまっていたのが、
何となく不憫なことではあった。