センチピードオルフェノクの攻撃から立ち直ったれいなは、気を失って倒れて
いる少年仮面ライダー隊の元へと駆けていく。その一方で、そろい踏みした5人の
仮面ライダーがGOD機関の怨霊、コウモリフランケンと対峙する。
「おのれ、ライダー共めが!」
圧倒的不利を負う形となったコウモリフランケンは、一目散に逃げ出そうと翼を
はためかせて舞い上がる。だが、そう易々とこれを許す仮面ライダーではない。
まずはダブルライダーが二人そろって空中高くジャンプする。そして繰り出す
一撃は必殺のライダーダブルキックだ。
「ライダー、ダブルキーック!!」
必殺の一撃がコウモリフランケンの両腕にヒットする。二人の攻撃で翼を
もぎ取られたコウモリフランケンは、翼だけでなくキックによってその両腕までも
使い物にならなくなったか、力無くだらりとぶら下げたまま、なすすべ無く
身もだえるだけだ。
そしてV3を先頭にその後ろにライダーマン、さらにライダーあい、ののが並び
その最後列にXライダーが付く。5人ライダーの合体技で怪人を倒そうというのだ。
「Xライダースーパーファイブキックだ!」
「おう!!」
V3の言葉に4人が応える。5人の力と心をひとつに合わせた合体技が発動する
時がやってきたのだ。
まずは4人中後列に陣取ったライダーののがXライダーを前方へと投げ上げる。
さらにライダーあいが、続いてライダーマン、そしてV3が勢いよくXライダーを
投げていく。4人のライダーがXを投げることでエネルギーが発生し、そしてさらに
Xライダーが空中で宙返りをすることでそのエネルギーは倍化、必殺のキックと
なって怪人に炸裂するのだ。
「Xライダー!スーパーファイブ、キーック!!」
空中から矢のように突き刺さるキック。4人のライダーの力を得て破壊力を増した
必殺の一撃が、轟音とともにコウモリフランケンに炸裂する。
「ぐおおおおおっ!!」
Xライダーのキックが怪人の胸板に決まるや、コウモリフランケンはそのまま大きく
吹き飛ばされた。そして立ち上がる事さえできぬまま、大爆発とともに消滅した。
シャドウの一味が早々と退散、そしてGOD機関の怨みを込めた刺客が打ち負かされ
残るはアポロガイストただ一人。真っ赤な仮面で怒りを隠しても、その言葉にまで
にじむ憤怒の感情は抑えられない。だが、今は彼にとっても勝負の時ではない。
「軍団の怨み、必ず晴らしてやる・・・覚えていろ!!」
銀色のマントを翻し、アポロガイストも無念の退却となった。かくして、埠頭に現れた
すべての悪の勢力はここに姿を消したのである。戦いを終えて一所に集まり、互いに
勝利を喜び合う戦士たち。と、そこに一台のクーペが猛スピードで走ってくるのが
見えた。程なくしてけたたましいブレーキ音とともに停車した車から降りてきた女性が
二人。それはアヤカと貴子の二人だったが、彼女たちは戦士たちに、驚くべき知らせを
携えてやってきたのだ。
今日の分は以上です。今回のお話もいよいよ終わりに近づいてきました。続きは
また今度。
更新乙です。
ワクワクしますな〜。
戦いを終えてひとまず変身を解いた少女達の前に、あわただしく車を降りてきた
のは貴子とアヤカの二人だった。
「みんな大変や!ヨロイ元帥がゼティマ軍団総攻撃を企んでる!」
車を降りるなり発せられたのは、貴子のこの言葉だった。さらに彼女の言葉を補う
かの如くアヤカがそれに続く。
「蠍谷のプルトンロケット発射基地からの攻撃が成功したのを合図に、東京中で
改造人間達が破壊活動を開始するらしいの」
古代の遺物ゴウラムがクウガの力を呼び覚ました直後、ダブルライダーの後を追う
二人はその道すがらに驚くべき通信を受信した。それは彼女たちの味方が二人に
知らせた極秘情報だった。
「蠍谷の基地にいる『ゼティマハンター』のメンバーから連絡があったんや。
発射計画はトラブルで中座しとったらしいけど、故障が直って数時間後にはロケット
発射の準備にかかれるらしいんよ・・・急がな!!」
ゼティマハンター、それはFBIがゼティマに送り込んだ潜入捜査官達のことである。
その任務は最悪命に関わる危険な内容であり、彼らは命がけの活動によって貴重な
情報をもたらしていたのだ。勇気ある捜査官によって貴子に伝えられた総攻撃計画。
ついにこの恐るべき悪の計画が仮面ライダー達の前に明かされたのである。
「蠍谷は奴らの拠点の一つです。ワタシ達は組織を脱走する前に一度行った事が
あるから、場所もだいたいなら」
そう言って少女達を見やるミカ。基地の場所もおよその位置を把握していると
言う。敵は蠍谷にあり。しかしながらこのまま敵と総力戦と言うわけにはいかない。
また、敵の手から救出した少年仮面ライダー隊の少女達をれいな一人に任せる
わけにもいかない。
そこで真里の提案により、戦いを終えたばかりのひとみとまいをこの場に残し、
後の憂いに備えることにした。貴子達と人造人間の少女達に後を任せると、少女
達〜5人ライダーは爆音をとどろかせて悪の牙城へと走り出すのだった。
マシンを走らせる5人の少女達。走る車の間を縫うようにすり抜け街から郊外
へ、そして緑の映える曲がりくねった峠道を走る。急がなければプルトンロケット
による東京攻撃が始まってしまう。彼女たちに残された時間はそう多くはない。
「蠍谷のヨロイ元帥・・・そいつがミカさんの右腕を奪った敵?」
クルーザーを駆る愛が隣を併走するミカに言う。しかし、ミカにとってヨロイ元帥
は単に自分に傷を負わせた相手と言うだけにはとどまらない。
「右腕だけじゃない・・・仲間の命も奪った男です」
この戦いは、東京を悪の魔手から救うという事にとどまらず、ミカにとっては宿命
の戦いである。憎きヨロイ元帥と決着をつけなければならない。仲間達のため、
そして自らのために。
(とうとうこの時が来たのね・・・みんなの敵を取る時が)
それは彼女がアメリカに渡るうえで避けては通れない戦いだった。オーパーツの謎
を解明するために自分の力が必要とされている事は承知している。だが、因縁に
決着をつけずして、アメリカに渡る事は出来ない。
「みんな、がんばろうね?」
真里の言葉に頷く少女達。ミカの決意を知らぬまでも、この戦いが大きな意味を持つ
事は真里自身も理解している。敵の野望を打ち砕かなければ、日本の未来は闇に
閉ざされてしまうのだ。
マシンは遂に蠍谷付近の登山道へやってきた。道をしばらく進むと、やがて
分かれ道に差し掛かった。少女達は一旦マシンを止めると、2つの道を交互に
見比べている。一方は登山道が続き、そしてもう一方は鎖によって隔絶された、
未舗装の荒れた道。ご丁寧に「危険、立ち入り禁止」などと書かれた立て看板
までが立てかけられている。
「こっちのが何かあやしいよね・・・」
「・・・うん」
少女達を見やって呟く亜依の言葉に納得する一同。と、後方から車の近づく
音がする。マシンのミラーに映ったのは怪しげな黒いバン。そこで少女達は
マシン共々身を隠し、そのまま車をやり過ごしてみる事にした。車は少女達に
気づかないのか、速度を落とさずそのままのスピードで道に差し掛かる。そして
一瞬見えた運転席には見覚えのある黒覆面がハンドルを握っていた。
(あっ!!)
どういう訳か、車が鎖をすり抜けてそのまま荒れた道の方へと走り抜けていく。
この光景に少女達は鎖が周囲の目を欺くためのカモフラージュ、立体映像の
ようなものだと気づいた。そして、同時に彼女達は車の正体をも察知した。間違い
ない、車に乗っていたのはゼティマの一味だ。そして、その荒れた道こそが、
ヨロイ元帥の待つ蠍谷へと続く唯一の道なのだ。各々黒いバンが走り去っていった
方向を確認すると少女達は再びマシンを駆り、敵の基地へと続く荒れた道を疾走
する。
しかし、しばらく走ったところで、まるで少女達の行動が敵に露見したかの
ごとく、荒れ地を走るマシンの近くで突如として大爆発が起こる。敵の警備システム
か何かに引っかかってしまったか、大地を揺るがす轟音と共に10メートルにも
達しようかという程の土煙が噴き上がる。
「まさか、オイラ達もう見つかっちゃった?」
「どうせ同じれす。乗り込んで行ってやっつけるだけれすよ!」
敵に見つかろうと見つかるまいと、ここまで来たら大差はない。真里と希美は
互いに言葉を交わすとグリップを握る手に力を込めた。マシンはさらに加速し、
残る少女達も取り残されまいとばかりにスピードを上げて地雷原と化した荒野を
一気に走り抜ける。その間も大爆発は続き、常人ならばマシンのコントロールを
失うほどの衝撃と土煙が少女達を襲った。
「のこのこ迷い込んで来おって・・・一体何処の馬の骨だ!」
司令室に映し出された光景を目の当たりにして、苦々しげに吐き捨てるのは
ヨロイ元帥その人である。プルトンロケットのトラブルを解消し、いよいよ作戦
を開始しようとしたその矢先、謎の侵入者によってまたも計画は中座させられた
のだ。元帥は戦闘員に命じ、侵入者の映像を拡大させた。一人一人の顔がハッキリ
と判るに至り、彼は侵入者の正体を確認する事が出来た。
「誰かと思えばあの小娘どもではないか!ちょうど良い、この蠍谷を奴らの墓場
にしてくれようぞ」
ライダー抹殺の好機と見たヨロイ元帥は、近くに待機していた戦闘員の一人に
何事かを命じる。基地の外では、少女達が爆煙を抜けて発射基地入り口へと近づき
つつあった。