「貴様・・・やはり生きていたか!」
倉庫の上に立つ影を見上げる巨大な目玉。シャドウナイトは二人の少女に覚えが
あった。一人は情報として、そしてもう一人とは実際に遭遇している。少女達は
身を躍らせて敵の輪の中に飛び込むと、手当たり次第に取り囲むアクアラングマン
達を殴り倒す。
「あっ、あの時の?!」
ファイズ〜れいなの脳裏に蘇る記憶。人造人間の少女、まい。そしてまたの名を
キカイダー01。
「また会ったね。奇遇じゃん」
二人が一瞬視線を交わしたところで、今度はもう一人の少女、キカイダーこと
ひとみが二人の間に入る。彼女にとっては同族とも言うべきロボットとの戦いは
気の進まぬところがある様子だが、それでもこの戦いを避けて通るわけには
いかない。一瞬だけ浮かべた淋しげな表情が、敵の姿を見るや決意の表情に変わり
振るった拳が敵の身体を打ち抜く。しかしアクアラングマンの数を大きく減らす
までには至らない。二人は互いに視線を交わして頷くと、戦闘モードにチェンジ
するべく身構えた。
「チェインジ、スイッチオン!ワン、ツー、スリー!!」
ひとみのかけ声とともに両肩のスイッチが押され、大きく跳躍した身体が極彩色
の光に包まれる。そして、まいもまた戦闘モードへとチェンジするべく叫ぶ。
「チェンジキカイダー、ゼロ!ワン!!」
かけ声と共に顔の前で交差した腕を開く。閃光と共に跳躍する2つのボディは
少女を戦う機械の姿に変えた。閃光の収束と共に現れたのは2体の人造人間、
キカイダーとキカイダー01。
「ええい、ギアとこやつらの首、両方いただきよ!やれ!!」
シャドウナイトの命令と共に襲いかかるアクアラングマン達。二人の人造人間も
正面からこれを迎え撃つ。正邪相打つ熾烈な戦いの中で、やがて両者拮抗していた
戦いのバランスはキカイダー有利の展開になっていた。殴られ、蹴り倒された
アクアラングマンはわずかに微動しただけで動きを停止し爆発、消滅したのだ。
実はこの時、敵は図らずもその弱点を露呈していた。実はこのアクアラングマン、
海水からエネルギーを得るものの地上においてはその消耗は極端に早く、その都度
海水からエネルギーを得なければならないのである。
ファイズが片っ端から海に叩き込んでいるうちはエネルギー充填の機会があったが
キカイダー達との戦いにおいては全くその機会が与えられず、ついにエネルギーが
消耗しだしたのだ。
「海水からエネルギーを得られなければ、私たちの敵じゃない!」
水平に振るった手刀で敵の腕を吹き飛ばしたキカイダーは、この事態に戸惑う
シャドウナイトに向かって言い放つ。一方の01もアクアラングマンの一体を
飛行機投げに捉え、とどめとばかりに腕の機銃を一斉掃射して敵の群れを打ち抜いた。