そして舞台は再び埠頭へと移る。時あたかも3人ライダーを取り囲む悪の
軍団がその包囲の輪を狭めていこうとしていた。アクアラングマン達を加えて
数の上では圧倒的優位の怪人軍団は、その優位のまま勝負を決するべく身構える。
思いがけず援軍を得る形となったゼティマ怪人にも勢いが戻ってきたかといった
ふうである。
「ライダー共め、ここがお前達の墓場だ」
「ベルトは我らシャドウのもの・・・者共かかれ!!」
シャドウナイトの命令と共に、取り囲むアクアラングマン達が一斉に襲いかかる。
その後を吸血カメレオンとコウモリフランケンが続き3人に襲いかかる。そして
シャドウナイトは高見の見物を決め込む。
「二人とも・・・いくよ?」
V3の言葉にXとファイズが応え、ここに怪人達との戦いが始まった。互いに相手
を見定め、両者正面からぶつかり合う。
打ちかかる吸血カメレオンを軽くいなし、肩車に担ぎ上げたそのままの勢いで
猛回転。怪人の平衡感覚を奪う飛行機投げを食らわす。普通の人間でもこれだけの
勢いで回転すれば目が回ってしまう程のスピードでぶん回されれば、さしもの
ゼティマの改造人間も形無しだ。
「うええええっ、目が回るぅ」
ただでさえ巨大な眼球がせわしく左右非対称に動き回ったかと思うと、今度は
激しくぐるぐると回転する。電子頭脳の平衡感覚を司る部分は致命的なダメージ
を受けたようだ。
「とうっ!!」
ようやくV3は担いでいた吸血カメレオンを空中高く放り捨てる。手足をばたつかせ
ながら宙を舞う吸血カメレオンは、蓄積したダメージに加え平衡感覚を破壊された
ことで完全に反撃の術を失っていた。なすすべ無く顔面から地面に叩き付けられた
カメレオン、ようやく立ち上がるももはや手向かう術も力もない。とどめの一撃を
加えんと、空中高く跳躍するV3。そのまま華麗に3回転すると、十分に延びきった
両足が必殺のキックを繰り出す。
「V3ィ、フル回転ッキィーック!!」
ジャンプの高度と回転運動、そして完全なキックのフォームが可能にする必殺の
一撃が怪人を捉えると、埠頭から大きく吹き飛ばされた吸血カメレオンは巨大な
水柱とともに海の藻屑と消えた。