そしてあいの姿が閃光に包まれ、その収束の後に現れたのはあの古代の戦士。
先史時代においてクウガは目の前の古代の遺物を「馬の鎧」として装着し、あの
凶暴な殺人部族「グロンギ族」と戦っていたのである。そして古代の遺物の名は
「ゴウラム」。ゴウラムはすっ、と上昇するやあいのサイクロンの上空へと
近づく。そしてサイクロンに覆い被さるような形で重なると次の瞬間、まばゆい
金色の光と共にその姿は二人の知るサイクロンから劇的に変化していた。倍以上に
大きくなったボディの全面に輝くのは、ゴウラムの黄金の角。まさにゴウラムは
現代におけるクウガの馬・・・サイクロンの鎧となったのである。
「融合・・・したんかな」
驚くべき変化を遂げたマシンに手を添えると、クウガ〜亜依の意識は古代の意志
と一つになる。先代のクウガが刻んだ戦いの記憶を伝えるゴウラムの意志を、亜依
は確か受け取った。
と、その時後方から見えてくるのは一台のクーペの姿。それは貴子を乗せたアヤカ
の車だった。車中の二人もダブルライダーの姿を確認して停車する。二人もまた、
少年仮面ライダー隊の危機を察知して少女達に合流しようとしていたのである。
「ライダー、少年仮面ライダー隊が!」
「判ってます、稲葉さん」
貴子の声に頷くライダーののとクウガ。二人の勇姿が貴子にはとても心強く見えた。
と、貴子はふとあの遺物のことを思い出し二人に尋ねる。
「なぁなぁ二人とも、金色のクワガタみたいなの見ぃひんかった?」
貴子の言葉に二人の仮面ライダーは互いに顔を見合わせる。そして合点がいったか
二人は笑いながら貴子に答えた。
「それならほら、あそこに」
そう言ってクウガはゴウラムと融合したサイクロンの方を指さす。黄金に輝くマシン
の姿に貴子は目を丸くする。
「あのクワガタが・・・」
「こんな姿に?」
あまりの出来事にアヤカも自分の目を疑う。だが、今は現実に対する詮索をしている
場合ではない。少女達の命がかかっている。
「電波の発信源は港や、急ごう!」
亜依〜クウガの言葉に3人が答え、各々のマシンに乗り込む。少女達の危機を救うべく
再びマシンを走らせようとしていた。だが、突如として地響きが起こると、目の前の道路
を覆うアスファルトが、うなりと共に砕けて吹き飛ぶ。
「うわっ?!」
「さては・・・新手の改造人間かッ!!」
つぶてとなって飛んでくる破片を避けようと、あわてて4人はマシンを盾に身を隠す。
そしてもうもうと立ちこめる土煙の彼方から、異形の影が一つ現れた。煙が散り、4人
が再び視界を取り戻した時、その眼前に立つのはとげとげしい赤い甲羅に覆われた
ザリガニの改造人間。ヨロイ軍団のザリガーナだ。
「あの小娘共のところに行くつもりだろうが、そうはさせんぞ!」
腕のハサミを振り上げて4人を威嚇するザリガーナ。その言葉に呼応したか、隠れ潜んで
いたと思われる戦闘員達も一斉に姿を現した。またもゼティマの軍団が行く手を阻み、
ダブルライダーと怪人達の戦いの火ぶたが切って落とされようとしていた。