にじり寄るゼティマ怪人、そしてシャドウの破壊ロボット軍団。形勢はまたも逆転し
再び正義の戦士達が不利を負う様相となった。
「我々としても本意では無いが・・・」
「手を組んだ方が目的の達成は確実な状況だ」
「ヒュヒュヒュヒュ〜。その通り」
互いに言葉を交わすシャドウナイトとコウモリフランケン、そして吸血カメレオン。
改造人間と破壊ロボット、2つの悪が共に手を組み戦士達の前に立ちはだかる。V3
とXライダー、ファイズフォンを手に身構えるれいなの3人を取り囲む悪の軍団は
徐々にその包囲網を縮めてにじり寄る。しかし、戦いをあきらめる3人ではない。
「数の差が力の差じゃ無いって事を見せてやる!」
「おう!!」
V3の言葉に二人が応え、れいなは変身コードを入力してファイズフォンをベルトに
装填する。ほとばしる閃光とともにファイズが姿を現し、3人の仮面ライダーが悪と
対峙する。数の上では敵が圧倒的有利と見えるが、不利を背負おうとも戦いから逃げる
訳にはいかない。3人は決意と共に敵をにらみつける。
一方同じ頃、少年仮面ライダー隊の危機を察知したダブルライダーもまた埠頭へと
マシンを走らせていた。赤いマフラーをなびかせ、風を切り疾走する2台のサイクロン
を駆るのはライダーのの、そしてライダーあい。裕子からの連絡を受けた二人は
電波の発信源を突き止めると少女達を救うために行動を開始したのである。
「間に合うといいれすね・・・」
「ウチらが行くまで、みんながんばってや」
はやる気持ちを抑えながらも二人は走る。峠道を縫うように走り、一陣の風の如く
橋を越える。そんな中、一瞬後方が気になったライダーあいはミラー越しに様子を
伺う。と、彼女の視界に映ったのは空中を飛翔する黒い影だった。
(何や・・・あれは?!)
そして影は徐々に大きくなっていく。それは当然ながら影を成す物体が二人の
そばに近づきつつあるということである。そして影がひときわ大きくミラーに
映り込んだその直後、それは遂に疾風を巻き起こしながら二人を追い越した。
「うわっ!!」
あわてて急ブレーキを踏む二人。どうにか停車したところで素早くサイクロンから
降りた二人は上空へと視線を向けると、そこにはクワガタムシのような姿をした
謎の飛行物体が漂っている。
「何れすか・・・あれ」
「敵の新兵器か何かやろうか?」
互いに謎の物体を見上げるダブルライダーはその動向を警戒して身構える。その
間に謎の物体はゆっくりと下降し、二人の前で静止した。
と、その時ライダーあい〜亜依の心に何者かが語りかけてきた。それは彼女に
宿るもう一つの内なる力の声なのか、それともこの謎の物体が持つ意志なのか。
『カディル・サキナム・ター』
「は?」
謎の意志が語った言葉に戸惑う亜依。声の主はさらに続ける。
『シェンク・ゾ・ター』
聞き慣れない言語で語りかける謎の意志。その正体を、何故か亜依は察する
事が出来た。その声の主こそ、目の前の謎の物体。そしてその言葉。最初の言葉は
自分が駆けつけたという事を告げ、そして続く言葉は亜依を主として共に戦うと
いう意思表明。もちろん、言語自体を知っている訳ではない。しかし、謎の物体の
意志は確かに亜依へと伝わっていた。