「それでどっちを取るか、迷ってるわけか」
「実は・・・」
迷いが滲むミカの言葉に、裕子はひとつ息をついたところでこう答える。
「あの子達なら、きっと大丈夫やと思うよ。もちろんライダーマンとしての
存在もきっとあの子らには大事やと思うけど、何よりミカちゃん自身の事を
大事に考えてるはず。やりたい事があるんなら、遠慮せんでいいと思うよ?」
「中澤サン・・・」
少女たちの友情にあえて今は甘えることにしよう、裕子の言葉にミカの心は
決まった。ゼティマ軍団との戦いは仲間の少女たちの力を信じ、ひとまず
彼女たちに任せてみよう。そして自分は己の力をもって、オーパーツの謎を
解明してみせる。決意も新たに立ち上がったミカは裕子の両手を握り締めて
言う。
「ワタシ、決めました。自分の心の声を信じてみたいと思います」
「その方がきっとみんなも喜ぶと思うよ。応援してるから」
ミカ、そして裕子。見つめあう二人の間にもまた信頼の絆が強く結ばれていた。
と、その時突然耳慣れない信号音がリビングに響く。しばらくその状態が
続いたところで、音の正体を思い出したか裕子が声を挙げる。そのまま彼女は
電話のそばに駆け寄ると、傍らにおいてあったペンダントを取り上げた。
それはまさしく少年仮面ライダー隊のペンダントだ。
「少年仮面ライダー隊の信号電波や!」
「ってことは・・・」
少年仮面ライダー隊の少女たちを襲った事態を瞬時に察知した二人は互いに
顔を見合わせる。
「あの女の子達が危ない!」
「ワタシが行きます。きっと矢口サンや他のみんなも追ってるかも。それに、
日本を去る前に・・・決着をつけなきゃいけない相手がいるから」
彼女の言うその相手について、当然裕子も思い当たる節があった。それは
ミカを罠に陥れ、ゼティマでの地位と彼女の親友達、そして彼女自身の右腕を
奪った卑劣なる男の名前だ。
「ヨロイ元帥・・・やな?」
裕子の言葉にミカは力強くうなずくと、リビングを後にする。裕子はそれ以上
何も言わず、ただ彼女の小さな後姿を見送っていた。強い決意を胸にミカは
爆音を轟かせ中澤家を飛び出す。怨敵との最後の戦いが近づこうとしていた。