仮面ライダーののBLACKRX

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37名無し天狗
(☆)「猪口才な、死ねええええ!!!」

猛り狂う「黒龍丸」は口から火炎を吐いて嵐を襲います!
その火炎を嵐はサッとかわし、「黒龍丸」に飛び掛かりますが、
「黒龍丸」に容易く弾かれ、天守閣の石垣に激突!!

苦悶に顔を歪める嵐。ですがすぐに立ち上がり、
両脚を八の字に踏ん張って身構えます。

(☆)そこへ“月ノ輪”が嵐の加勢に入ります。

「今こそご恩返しの時!嵐殿、助太刀仕る!!」
「かたじけない!!」

嵐と“月ノ輪”は協力して「黒龍丸」退治に乗り出しました。
二人は「黒龍丸」の周りをビュンビュンと飛び回り翻弄します!!

「えぇい、小賢しい!!」

どうやら「黒龍丸」その大きな図体故にあまり素早くは動けぬようであります。
ですが強固な鱗に覆われた身体を盾に二人の刃を悉く弾き返します!!

(☆)と、嵐は「黒龍丸」の死角に回りつつ頭上近くまで跳躍し、
以前戦った「血車大蛇」の時のように彼の者の目を狙います!!

「この手の魔物は目だけは脆い!もらった!!」

(☆)だが「黒龍丸」も負けてはいない!!
その両目が邪悪に光ったかと思うと、
そこから奇妙な光線が放たれたのであります!!(☆・☆・☆)
38名無し天狗:04/02/18 21:12 ID:xlgcZOru
この「黒龍丸」の怪光線を嵐は寸での所でかわします!
嵐にかわされた光線はそのまま彼方の櫓に命中、その刹那!(☆)
櫓は轟音と共に、木っ端微塵に大爆発!!

流石は伝説の魔物…嵐と“月ノ輪”に戦慄が走ります。

(☆)勝利を確信した「黒龍丸」はその巨体と怪力に物を言わせ、
城中の建物や塀を片っ端から破壊して参ります!!
忽ち城中より響く高島家の家臣並びに女中たちの逃げ惑う悲鳴!!
崩れ落ちる壁や天井に石垣が彼らを襲い、ある者は下敷きや生き埋めとなって死に、
ある者は退路を断たれて立ち往生するなど右往左往!!
瞬く間に高島城は地獄絵図の様相を呈したのであります!!(☆☆・☆・☆)

この凄惨な様を目の当たりにして成す術無き嵐たち。
このまま、黙って指を咥えて見ているしか無いのでありましょうか…。

(☆)だが嵐は挫けません。気力を振り絞って立ち上がると、
相討ち覚悟で「黒龍丸」を凝視します!
どうやら、狙いは一つと見たようであります。
39名無し天狗:04/02/18 21:33 ID:xlgcZOru
「いくら外見を強くしようとも、その“内側”まではどうすることも出来まい!」

(☆)何と嵐は、「黒龍丸」の体内に飛び込み、
体内から一気に攻めようと言うのであります!!(☆・☆☆・☆☆)

確かに内臓は脆うございます。
しかしその手段はあまりと言えばあまりに無謀!!(☆・☆)
下手を致さば胃液で消化されることも充分に有り得ます!!
生還の可能性は殆ど皆無に等し!!(☆)
ですがこの魔物の横暴を食い止めるにはそれしか他に道は無しと、
嵐は決死の覚悟で臨みます!!

嵐一人を死なせてはならじと、“月ノ輪”が声を掛けますが、
この時思い掛けぬ言葉が!!

「嵐殿・・・ユキさん!!あたしも行きます!!共にあの龍を!!」
「・・・・・・!!その声は……!!?」

驚く嵐。確かにそれは聞き覚えのある声でした。

「あなたは・・・お美和さん!?お美和さんなのか!!?」
「ええ!今度はあたしがあなたを助ける番です!!」

(☆)・・・実はお美和は谷一族の隠れ里で治療を受けた際、
「何としてもユキさんに恩返しがしたい、ユキさんの力になりたい!!」と
頭領・谷の鬼十に必死に嘆願しておりました。
初めは断った鬼十ではありましたが、お美和の心からの訴えと
その熱意を汲み、これまでの「狂い毒蛾」の禍々しい化身を打ち消し、
新たに“月ノ輪”の力を与えたと言う訳でございます。
40名無し天狗:04/02/18 21:53 ID:xlgcZOru
「お美和さん…あなたはそこまで……
 相判った。我々にもこれまであなたには大きな恩がある。
 共に修羅の道を歩もうぞ!!」
「はい!!」

「何をゴチャゴチャ言っておるかああ!!!」

お城を破壊していた「黒龍丸」は狙いを二人に変えて
ズンズンと肉薄します。
嵐と“月ノ輪”、いやさ、ユキとお美和は決死の覚悟で
その「黒龍丸」の口内へと飛び込んで参ります!
互いの真意を知った二人に、もう、迷いはございませんでした。

(☆)大きく跳躍した嵐と“月ノ輪”は、
吸い込まれるように「黒龍丸」の口内へと入って行きます。

「ぐっ!!貴様ら、何をするつもりだ!!?」

うろたえる「黒龍丸」。二人は既に咽喉の奥へ!!(☆☆)
二人は食道を通過中の折にも、その肉壁を斬り付けておりました。

「・・・・・・!!ぐおおおおおお!!!!」

轟音を響かせて「黒龍丸」は転倒、そのまま苦悶からのたうちます!!
(☆)一方、嵐たちは「黒龍丸」の内臓と言う内臓をズタズタにしつつ、
奥へ奥へと進みます!!

(☆)やがて二人は「黒龍丸」の胃袋に到達致しました!!
41名無し天狗:04/02/18 22:11 ID:xlgcZOru
嵐たちに体内を悉く斬り刻まれ、「黒龍丸」は先刻までの勢いが嘘のように
全身を痙攣させております。

一方、胃袋の中の嵐たちは、時折溢れ出す胃液に注意しつつ、
その肉壁に深々と刀身を突き入れ、大きく斬り裂いて参ります。
そして胃袋を完全に使い物にならなくした二人は二手に分かれます。
“月ノ輪”は腸を、そして嵐は心臓を各々狙い、生還を誓って散って参りました。

(☆)やがて心臓を見つけた嵐は、その名の通り嵐の如く怒涛の斬撃を見舞います!!
一方の“月ノ輪”も、その姿の元となった月ノ輪熊を思わせる奮迅の大暴れ!!
あれよあれよと言う内に腸の肉壁は刀傷で完膚なきまでボロボロに!!

流石の「黒龍丸」も、もはや、これまででございます。

暫くの痙攣の後、二人の猛襲を受け続けてきた「黒龍丸」は、
伝説の魔物とは思えぬ程、弱々しく無惨な最期を遂げたのでした。

そして夜明けを迎えた時、嵐と“月ノ輪”は「黒龍丸」の口の中から
奇跡的に生還し、互いの健闘を称えて力強い握手を交わしたのです。
その二人の姿を、昇る朝日が美しく照らしておりました・・・。
42名無し天狗:04/02/18 22:29 ID:xlgcZOru
それ以降、血車党は「君子危うきに近寄らず」とて
諏訪神社から手を引き、ここに信州諏訪藩の危機は、完全に去ったのであります。

尚、この霊石「亜摩陀無」とそれを収める「嗚呼玖瑠」が三百年以上の時を越えて
平成の世に加護博士を通じて現在の仮面ライダーあいこと加護亜依の元に亘ったのは
皆様ご存知の通り。まさに、亘るべき人物に亘ったと申せましょう。
そして同じ平成の世に目覚めた愚論義を相手に、ライダーあいは「多岐優空我命」の
ご加護のもと、戦い続けているのであります。

(☆)さて、無二斎信智公も無事高島城にご帰還。
将軍家よりお城の修築のお許しを頂戴し、併せて此度の一件の犠牲になった
全ての者たちを心より供養致しました。

「イヤ、ユキ殿、此度のこと、実にかたじけない。そなたこそ、神に匹敵する勇者なり!!」

信智公はユキに多大なる感謝の意を表します。ですが・・・

「私は大したことは致しておりませぬ。私はただ諏訪藩の危機を救いたいと思うた、
 それだけでございます。」
「いつもながら謙虚じゃのぉ。うむ、実にあっぱれ!」
「勿体のう存じます。それに…あの「黒龍丸」を斃したのは……嵐殿でござる。」
「何?嵐?何者じゃそれは?今いずこにおる?召抱えたいものじゃ。」
「イエ…あのお方はもういずこかへと旅立って参りました。
 それに…嵐殿もきっと今の私と同じ気持ちでございましょう。」
「そうか……。」

最期まで謙虚さを忘れぬユキでありました。
43名無し天狗:04/02/18 22:58 ID:xlgcZOru
ここに信州諏訪は、ようやく平和を取り戻りました。空は一点の曇りも陰りも無く、
平和の戻った信州諏訪を祝福するかの如くカラリと晴れ渡っております。
あの忌まわしき笠雲も、もうございません。

「お美和さん、先程は実にかたじけない。しかし、よいのか?
 これでまたあなたは血車党に狙われることになるが・・・。」
「構いません!あたしはもう昔のあたしじゃないんです。
 それに…ユキさんはあの時仰ってたじゃないですか。
 「共に修羅の道を行こう」って。ですから、これからの旅もご一緒します!
 楽しくワイワイやりながら、土地土地の民謡を唄いながら、ネ♪」
「お美和さん…
 フフ…そうだな。旅は人数が多いほど楽しい!」

かくしてお美和は、再びユキたちと旅をすることになったのでございます。(☆)と、そこへ・・・

「おぉ〜〜〜い、待ってくれぇええ〜〜〜!!!
 …待って下せぇ、ワシも仲間に入れて下せぇ!!」
「鼬(いたち)小僧!!?」
「ワシゃユキ殿や名主さん、諏訪神社の宮司さんと出会って、今度こそ本当に目が醒めた!!
 自分の人生を見つめ直し、あんた方に恩返しして、必ず真人間になってみせまさぁ!!ですからどうか・・・!!」

鼬小僧は真剣です。目が訴えております。

「仕方ないな、今度だけだぞ。」
「!!…ありがてぇ、ありがてぇええぇ!!!」
「但し、今度また道を踏み外したその時は…わかっておろうな?」
「へぇ!そりゃあ勿論…!!」

(☆)こうしてまた一人、粗忽者の鼬小僧が新たに旅の一行に加わり、四人の…
時折「三人と一頭」になるやもしれませんが、彼女たちの世直し旅は続くのでございます。

  第五十二話「呪われし神話の行方〜変身忍者嵐・第三章〜」 完
44名無し天狗@締め口上:04/02/18 23:03 ID:xlgcZOru
(☆)これをもちまして「変身忍者嵐・第三章」、読み切りにございます。
長らくのお付き合い誠にありがとうございまする。
この「締め口上」までが私めの此度の講談の全てにござりますれば、
データスレご編纂の方には重ね重ねご迷惑とは存じまするが何とぞ
お引き合わせの程宜しくお願い申し上げます。

では、皆様方の無病息災をお祈りしつつ、
私めの講談、一先ずお開きと致しとう存じまする。